出典 · ローマ期
ビブリオテーケー(ギリシア神話)
アポロドーロス(偽アポロドーロス) · 1〜2世紀頃 · Bibliotheca (The Library)
ローマ期に古い伝承を集成した神話便覧。トロイア戦争は摘要(Epitome)3〜7章。系図の「標準版」として引かれるが、ホメロスより後の付加を多く含む。
日本語訳: 高津春繁訳『ギリシア神話』岩波文庫、1953 · 原文・参考リンク ↗
この出典が語っていること
アケロン
- 川としてではなく人格としてのアケロンが、父として出てくる話もある。アポロドーロスでは、ペルセポネが柘榴の実を食べたと告げ口したアスカラポスは、アケロンとゴルギュラの子。オウィディウス『変身物語』では、アスカラポスはオルプネが暗い森でアケロンとのあいだに産んだ子とされる。 (アポロドーロス1.5.3、『変身物語』5.539-541)
アキレウス
- アキレウスの死は『イリアス』の外側にある。『アイティオピス』要約ではトロイア勢を追って市中に攻め入り、パリスとアポロンに討たれる。アポロドーロス摘要 5.3 は「スカイア門でアレクサンドロス(パリス)とアポロンに踝(くるぶし)を射られた」とする。オウィディウス『変身物語』ではアポロンがパリスの矢を導くが、踵とは書かれない。 (『アイティオピス』要約(プロクロス)、アポロドーロス摘要 5.3、『変身物語』12.580-628)
- 関係: killed_by → paris (『アイティオピス』要約(プロクロス)、アポロドーロス摘要 5.3)
- 関係: killed_by → apollo (パリスと共に。摘要 5.3 は「スカイア門でアレクサンドロスとアポロンに射られた」とする)
アクリシオス
- アポロドーロスでは、アバスの双子の息子アクリシオスとプロイトスは母の胎内にいるときから争い、成長すると王位をめぐって戦い、その戦いで初めて盾を発明した。アクリシオスが勝ってプロイトスを追い出したが、プロイトスはリュキアの王の婿となってその軍で戻り、キュクロプスが城壁を築いたティリュンスを占めた。二人は国を分け、アクリシオスはアルゴス、プロイトスはティリュンスを治めた。 (2.2.1)
- 男の子を得る方法を神託に尋ねたアクリシオスは、娘が産む男の子に殺されると告げられ、地下に青銅の部屋を作ってダナエを閉じこめた。パウサニアスは、アルゴスにその青銅の部屋の上にあったという地下の建物が残り、僭主ペリラオスが取り壊したと記す。ヒュギヌスでは閉じこめた先は「石壁の牢」。 (アポロドーロス2.4.1、パウサニアス2.23.7、10.5.11、ヒュギヌス63)
- アポロドーロスは、ダナエを誘惑したのはプロイトスで、それが兄弟の争いのもとになったという説と、ゼウスが金の流れとなって屋根からダナエの膝に降り注いだという説を併記する。 (2.4.1)
- ペルセウスが生まれたことを知ったアクリシオスは、ゼウスに誘惑されたという話を信じず、娘と子を箱に入れて海に投げこんだ。箱はセリポス島に流れ着き、ディクテュスが子を拾って育てた。 (2.4.1)
- アポロドーロスでは、ペルセウスがダナエとアンドロメダを連れてアルゴスへ向かうと、アクリシオスは神託を恐れてペラスゴイ人の地へ去った。ラリサ王テウタミデスが亡父のための競技を開き、五種競技に出たペルセウスの円盤がアクリシオスの足に当たって即死させた。パウサニアスでは、ペルセウスは祖父に会ってあいさつしたいと願い、自分が考案した円盤を得意げに披露していたところ、アクリシオスが気づかれずに進路に入ってしまった。 (アポロドーロス2.4.4、パウサニアス2.16.2)
- ペルセウスは神託が果たされたと知ってアクリシオスを町の外に葬り、自分が死なせた人の遺産を受け継ぐのを恥じて、プロイトスの子メガペンテスとアルゴスとティリュンスを取り替えた(アポロドーロス)。パウサニアスは、そのうえでペルセウスがミュケナイを築いたとし、剣の鞘の石突き(ミュケス)が落ちた所、あるいはキノコ(ミュケス)から湧いた水を飲んだ所だから、という町の名の由来を伝える。 (アポロドーロス2.4.4、パウサニアス2.16.3)
- アポロドーロスでは、アクリシオスの妻はラケダイモンの娘エウリュディケで、娘はダナエ一人。パウサニアスは、スパルタのアルゴスのヘラの神殿を、アクリシオスの妻エウリュディケが建てたと記す。ヒュギヌスはダナエの母をアガニッペとする。『イリアス』はダナエを「アクリシオスの娘」と呼ぶ。 (アポロドーロス2.2.2、パウサニアス3.13.8、ヒュギヌス63、『イリアス』14.319)
- 関係: parent → danae (『イリアス』14.319「アクリシオスの娘ダナエ」、アポロドーロス2.2.2(母はラケダイモンの娘エウリュディケ)、ヒュギヌス63(母はアガニッペ))
- 関係: grandparent → perseus (2.4.1)
- 関係: killed_unintentionally_by → perseus (アポロドーロス2.4.4 ラリサの葬送競技で円盤が足に当たる。パウサニアス2.16.2 気づかずに円盤の進路へ入る。ヒュギヌス63 セリポスのポリュデクテスの葬送競技で風にあおられた円盤が頭に当たる)
アクロポリス
- アテナは赤子のエリクトニオスを箱に入れてケクロプスの娘パンドロソスに預け、開けることを禁じたが、姉妹が好奇心から開け、中の赤子に巻きつく蛇を見た。姉妹は蛇に殺されたとも、アテナの怒りで狂ってアクロポリスから身を投げたともいう。エリクトニオスはのちに王となり、アクロポリスにアテナの木像を立て、アテナの聖域に葬られた。 (アポロドーロス3.14.6-7、パウサニアス1.18.2)
- 関係: visited_by → erichthonius (3.14.6-7 アクロポリスに木像を立て、聖域に葬られた)
アクタイオン
- アリスタイオスと、カドモスの娘アウトノエの子。つまりカドモスの孫で、ディオニュソスやペンテウスとはいとこにあたる。テーバイ王家の不幸の最初の一つとして語られる。 (3.4.4 /『神統記』977(アウトノエとアリスタイオス)/ Met. 3.138-142)
- 古い形の一つ: 前5世紀の系譜家アクシラオスは、アクタイオンがセメレ(ゼウスの恋人でディオニュソスの母)に求婚したためゼウスが怒った、とする。前6世紀の抒情詩人ステシコロスも、セメレを妻にさせないために女神が鹿皮をアクタイオンにかぶせ、猟犬に襲わせたと歌ったという。 (3.4.4(アクシラオス)/ パウサニアス 9.2.3(ステシコロス))
- 「水浴び」の形: アポロドーロスは「大多数の人の説では」として、アルテミスの水浴びを見てしまったため、女神がその場で鹿に変え、50匹の猟犬を狂わせたとする。オウィディウスはこの形を詳しく描き、アクタイオンが偶然洞窟の泉に迷い込んだだけで罪はなかったと強調する。女神は水をかけて「見たと言えるものなら言ってみよ」と告げ、鹿に変える。 (3.4.4 / Met. 3.138-205(罪のなさ 3.141-142、女神の言葉 3.192-193))
- オウィディウスは猟犬の名を30頭以上並べ、声の出ない鹿の姿のアクタイオンを、仲間の狩人たちが「アクタイオンはどこだ」と呼びながら追い立てる場面を描く。アポロドーロスには、主人を失って吠え続ける猟犬のために、ケイロンがアクタイオンの像を作って慰めたという結末が残る。 (Met. 3.206-252(犬の名 3.206-225)/ 3.4.4)
- 関係: enemy → artemis (Met. 3.138-252 / 3.4.4 / 『バッコスの信女』337-340)
- 関係: student → chiron (3.4.4 ケイロンのもとで育てられ、狩人に仕込まれた)
- 関係: enemy → zeus (3.4.4 アクシラオスの説: セメレに求婚したためゼウスが怒った)
アドメトス
- ゼウスが息子アスクレピオスを雷で打ち殺したことに怒り、アポロンは雷を鍛えたキュクロプスたちを殺した。その罰としてアポロンは1年間、人間であるアドメトスの家で奉公した。アポロドーロスは、アポロンの世話で牛がみな双子を産んだと伝える。 (『アルケスティス』1-10、アポロドーロス 3.10.4)
- ペリアスは娘アルケスティスを、獅子と猪を車に繋いだ者に与えると言った。アポロンが二頭を繋いでアドメトスに渡し、アドメトスはそれで妻を得た。 (1.9.15)
- アポロンは運命の女神たちを欺いて、アドメトスの死の日が来たとき誰かが代わりに死ねば助かる、という約束を取りつけた。父も年老いた母も断り、代わりに死ぬと言ったのは妻だけだった。 (『アルケスティス』10-18、アポロドーロス 1.9.15)
- アポロドーロスの名簿では、アルゴ船の乗組員にも、カリュドンの猪狩りの狩人にも「ペライのアドメトス」の名が入っている。 (1.9.16(アルゴ船)、1.8.2(猪狩り))
- アドメトスは婚礼の犠牲でアルテミスを忘れたため、寝室を開けると蛇がとぐろを巻いて満ちていた。アポロンは女神を宥めるよう命じ、運命の女神たちから身代わりの約束を得た。 (1.9.15)
- 関係: spouse → alcestis (『イリアス』2.711-715、エウリピデス『アルケスティス』、アポロドーロス 1.9.15)
- 関係: master → apollo (『アルケスティス』1-10、アポロドーロス 3.10.4。キュクロプスを殺した罰で、アポロンが1年間アドメトスに仕えた)
- 関係: enemy → artemis (1.9.15。婚礼でアルテミスへの犠牲を忘れ、寝室に蛇の群れが現れる)
- 関係: participated_in → argonauts (1.9.16「ペライのペレスの子アドメトス」)
- 関係: participated_in → calydonian-boar-hunt (1.8.2 の狩人の名簿)
- 関係: descendant → hellen (1.7.3, 1.9.14。ヘレン→アイオロス→クレテウス→ペレス→アドメトス)
アドニス
- 親は出典で割れる。アポロドーロスによれば、ヘシオドスはアドニスをポイニクス(フェニキアの名祖)とアルペシボイアの子とした。 (3.14.4(ヘシオドスの該当作品は『名婦列伝』とされるが、アポロドーロスの引用でしか伝わらない))
- 前5世紀の叙事詩人パニュアシスの説では、アッシリア王テイアスの娘スミュルナが、アプロディテを敬わなかった罰として父に恋し、乳母の手引きで12夜をともにする。気づいた父に剣で追われ、神々に祈って木に変えられた。これがスミュルナ(没薬、ミルラ)の木で、10か月後に木が裂けてアドニスが生まれた。 (3.14.4)
- アポロドーロスは別の箇所で、キプロスのパポスを建てたキニュラスが、キプロス王ピュグマリオンの娘メタルメを妻とし、その子の一人がアドニスだった、という系譜も載せている。同じ本の中で、アドニスの親が二通りに書かれていることになる。 (3.14.3(系譜)と 3.14.4(ヘシオドス説・パニュアシス説))
- アポロドーロスによれば、美しい赤子に目をつけたアプロディテが彼を箱に隠してペルセポネに預けたが、ペルセポネも気に入って返さない。ゼウスが裁いて1年を3つに分け、3分の1はひとりで、3分の1はペルセポネのもとで、3分の1はアプロディテのもとで過ごすよう命じた。アドニスは自分の取り分もアプロディテのもとで過ごした。冥界と地上を行き来する、ペルセポネに似た季節の神の姿が見える。 (3.14.4)
- 関係: lover → aphrodite (Met. 10.519-559, 10.708-739 / 3.14.4 / サッポー断片 140a)
- 関係: foster_child → persephone (3.14.4 赤子のアドニスを箱に隠してペルセポネに預けたところ、ペルセポネが返さなくなった)
- 関係: advisee → zeus (3.14.4 ゼウスの裁定で1年を三分し、アプロディテとペルセポネのもとで過ごす)
- 関係: killed_by → artemis (3.14.4 冒頭「アルテミスの怒りによって」狩りの最中に猪に突かれて死んだ、という説。直接手を下したのは猪)
アドラストス
- 猪と獅子の予言: アドラストスは「娘たちを猪と獅子に嫁がせよ」という予言(エウリピデスではアポロンの神託)を受けていた。ある夜、館の門前でポリュネイケスとテュデウスが寝床をめぐって取っ組み合っているのを見て、予言を思い出し、二人を婿にして故郷に戻すと誓った。何が「猪と獅子」だったのかは出典ごとに違う。 (3.6.1 盾の図柄 /『フェニキアの女たち』408-429 取っ組み合い / 『神話伝説集』69 身にまとった皮)
- 七将に入るか: アイスキュロス『七将』とソポクレス『コロノスのオイディプス』の七人にはアドラストスがいない(代わりにエテオクロス)。エウリピデス『フェニキアの女たち』とアポロドーロスでは、アドラストス自身が七人の一人として門に立つ。 (『七将』375-676 /『コロノスのオイディプス』1313-1325 / 1134-1138 / 3.6.3)
- ただ一人の生還: 将たちが倒れるなか、アドラストスだけが馬アレイオンに救われた。アポロドーロスは、この馬はデメテルがエリニュスの姿でいたときにポセイドンと交わって生まれたと説明する。ピンダロスは、七つの火葬の火が燃え尽きたあと、アドラストスがアンピアラオスを「わが軍の目」と呼んで嘆いたと歌う。 (3.6.8 /『イリアス』23.346-347 /『オリュンピア祝勝歌』6.12-17)
- 遺体の返還: テーバイの新王クレオンがアルゴス勢の埋葬を禁じると、アドラストスはアテナイに逃れて「慈悲」の祭壇に嘆願し、テセウスが軍を出してテーバイから遺体を取り戻した。エウリピデス『嘆願する女たち』はこれを劇にし、ヘロドトスはプラタイアの戦い(前479年)の前に、アテナイ人が自分たちの功績としてこの出来事を持ち出し、遺体をエレウシスに葬ったと語った、と伝える。 (3.7.1 /『嘆願する女たち』/ 9.27.3)
- 最期: パウサニアスによれば、メガラ人はアドラストスもメガラで祀り、彼は息子たちの世代がテーバイを落とした後に軍を連れ帰る途中、老いと息子アイギアレウスの死の悲しみからメガラで死んだと言っていた。エピゴノイの遠征で死んだのは、七将のうちただ一人生き残ったアドラストスの息子だった、という対の構図になっている。 (1.43.1 / 3.7.3 / 『神話伝説集』71)
- 予言者アンピアラオスは総大将アドラストス以外の全員が死ぬと予見して遠征を拒んだが、かつての争いの和解で「今後の争いは妻エリピュレに裁かせる」と誓っていた。ポリュネイケスがエリピュレに首飾りを贈ると、彼女はアドラストスの側に立って夫を出陣させた。 (3.6.2)
- テーバイの戦いで、カパネウスは梯子で城壁を登るところをゼウスの雷に撃たれ、エテオクレスとポリュネイケスは一騎打ちで刺し違え、アンピアラオスは逃げる途中ゼウスが雷で裂いた大地に戦車ごと消えた。アドラストスだけが馬アレイオンに救われた。 (3.6.7-8)
- 関係: parent_in_law → polynices (3.6.1 娘アルゲイアを嫁がせる /『フェニキアの女たち』408-429 /『コロノスのオイディプス』1301-1302)
- 関係: parent_in_law → tydeus (『イリアス』14.121 / 1.8.5, 3.6.1 娘デイピュレを嫁がせる)
- 関係: grandparent → diomedes (1.8.5 娘デイピュレとテュデウスの子がディオメデス)
- 関係: parent_in_law → diomedes (『イリアス』5.410-415 ディオメデスの妻アイギアレイアは「アドラストスの娘」/ 1.8.6(アイギアレウスの娘とする説も))
- 関係: participated_in → seven-against-thebes (『ネメア祝勝歌』9.16-27 / 1134-1138, 1187-1188 / 3.6.1-8 / 『嘆願する女たち』)
- 関係: visited → theseus (アテナイに嘆願に行き、テーバイからの遺体の返還を頼む。『嘆願する女たち』/ 3.7.1)
- 関係: enemy → amphiaraus (『ネメア祝勝歌』9.13-15 内乱でアンピアラオスにアルゴスを追われる / 3.6.2)
アイアコス
- アポロドーロスでは、ゼウスは河神アソポスの娘アイギナをさらい、当時オイノネと呼ばれた島へ連れていってアイアコスをもうけた。島はのちにアイギナと呼ばれる。ヒュギヌスでは、ヘラを恐れたゼウスがアイギナをデロス島へ連れていった、とする。 (アポロドーロス3.12.6、ヒュギヌス52)
- 島でひとりきりのアイアコスのため、ゼウスが蟻を人間に変えた(アポロドーロス、ヘシオドスの断片)。ヒュギヌスでは、ヘラが水に蛇を送って毒を入れたため民が死に、アイアコスの願いでゼウスが蟻を人に変えて、ギリシャ語で蟻を「ミュルメケス」ということからミュルミドネスと名づけた。オウィディウスでは疫病の原因はヘラ(ユノ)の怒り。パウサニアスは、アイアコスが民を求めるとゼウスが地から人々を生え出させた、というアイギナの伝えを記す。 (アポロドーロス3.12.6、『カタログ』断片(エヴリン=ホワイト53)、ヒュギヌス52、『変身物語』7.523-657、パウサニアス2.29.2)
- アポロドーロスでは、アイアコスは人間の中で最も敬虔で、ペロプスがアルカディア王ステュンパロスをだまし討ちにして体を散らしたためにギリシャが不作に苦しんだとき、神託に従ってアイアコスが祈り、災いがやんだ。パウサニアスは、デルポイの巫女が「祈るのがアイアコスでなければゼウスは聞き入れない」と言い、各都市の使者がアイギナに来て、アイアコスが全ギリシャのゼウス(パンヘレニオス)に犠牲と祈りを捧げて雨を降らせたと記し、アイアコスの聖域の入口にその使者たちの浮彫があったと伝える。 (アポロドーロス3.12.6、パウサニアス2.29.6-8、1.44.9(メガラのゼウス・アペシオス))
- アポロドーロスでは、アイアコスはスキロンの娘エンデイスとのあいだにペレウスとテラモンを、アザラシに姿を変えて逃れようとしたネレウスの娘プサマテとのあいだにポコスをもうけた。競技にすぐれたポコスを兄たちがねたみ、くじに当たったテラモンが円盤で殺し、ペレウスが死体を隠すのを手伝った。露見すると、アイアコスは二人をアイギナから追放した。パウサニアスは、円盤を投げてポコスを殺したのはペレウスで、母の意を汲んだものだとし、アイアコスの聖域の隣にポコスの墓があったと記す。 (アポロドーロス3.12.6、パウサニアス2.29.9)
- アポロドーロスは、ペレキュデスによればテラモンはペレウスの兄弟ではなく友で、アクタイオスとグラウケの子だ、という別説も添える。 (3.12.6)
- アポロドーロスによれば、アイアコスは死後もプルトン(ハデス)の館で敬われ、ハデスの鍵を預かる。プラトン『ゴルギアス』の神話では、ヨーロッパから来た死者を裁く裁判官で、杖を持つ。オウィディウスでは、大アイアスが、祖父アイアコスは沈黙の者たちの国で法を与え、ゼウスはこれを自分の子と認めているから、自分はゼウスから数えて三代目だと誇る。 (アポロドーロス3.12.6、『ゴルギアス』523e-526c、『変身物語』13.25-28)
- 関係: child → zeus (アポロドーロス3.12.6、『イストミア祝勝歌』8.21-23、ヒュギヌス52。母は河神アソポスの娘アイギナ)
- 関係: ruler → myrmidons (アポロドーロス3.12.6、『変身物語』7.614-657、『カタログ』断片(エヴリン=ホワイト53) ゼウスが蟻を人に変えてアイアコスの民とする)
- 関係: parent → peleus (アポロドーロス3.12.6、『イリアス』21.189)
- 関係: grandparent → ajax-the-great (『変身物語』13.25-28、アポロドーロス3.12.6-7(テラモンの子))
- 関係: servant → hades (アポロドーロス3.12.6 死後もプルトンの館で敬われ、ハデスの鍵を預かる。『蛙』464以下 門番として登場)
アイエテス
- アポロドーロスでは、金毛の羊に乗って逃れたプリクソスを、コルキス王アイエテス(ヘリオスとペルセイスの子で、キルケとパシパエのきょうだい)が迎え、娘カルキオペを妻に与える。プリクソスは羊を逃亡の神ゼウスに捧げ、毛皮をアイエテスに贈り、アイエテスはそれをアレスの森の樫の木に釘で打ちつけた。 (1.9.1)
- アポロドーロスでは、イアソンが羊毛を求めると、アイエテスは一人で青銅の足の牡牛にくびきをかけられたら与えると約束する。牛はヘパイストスから贈られた、火を吐く巨大な二頭。竜の歯は、カドモスがテバイでまいた竜の歯の半分をアテナから得たもの。イアソンが牛を御しても羊毛を渡さず、アルゴ船を焼いて乗組員を殺そうとした。 (1.9.23)
- アポロドーロスでは、羊毛を奪ったメデイアを追うアイエテスに対し、メデイアは弟アプシュルトスを殺して体を切り刻み海に投げる。アイエテスは亡骸を拾い集めて遅れ、追跡をやめて葬り、その地をトミと名づけた。さらにコルキス人を各地に送り、メデイアを連れ戻せなければ彼女が受けるべき罰を受けさせると脅した。 (1.9.24)
- アポロドーロスの結びでは、後年メデイアがひそかにコルキスに戻ると、アイエテスは兄弟ペルセスに王位を奪われていた。メデイアはペルセスを殺して父に王国を返した。 (1.9.28)
- 関係: child → helios (『神統記』956-957(母ペルセイス)、『オデュッセイア』10.138-139(母ペルセ)、アポロドーロス1.9.1)
- 関係: sibling → pasiphae (アポロドーロス1.9.1、ヒュギヌス序文)
- 関係: parent → medea (『神統記』958-962(母はオケアノスの娘イデュイア)、アポロドーロス1.9.23)
- 関係: owner → golden-fleece (アポロドーロス1.9.1 プリクソスから贈られ、アレスの森の樫に打ちつける。ヒュギヌス22 羊毛がアレスの社にあるかぎり王国を保つというお告げ)
- 関係: parent_in_law → phrixus (アポロドーロス1.9.1、ヒュギヌス3 娘カルキオペを妻に与える)
- 関係: enemy → jason (アポロドーロス1.9.23、『アルゴナウティカ』3.401-421、『ピュティア祝勝歌』4.224-246)
- 関係: enemy → argonauts (1.9.23 アルゴ船を焼いて乗組員を殺そうとたくらむ)
- 関係: received_gift → hephaestus (1.9.23 青銅の足で火を吐く二頭の牡牛)
- 関係: received_gift → athena (1.9.23 カドモスがテバイでまいた竜の歯の半分)
アイゲウス
- アテナイ王パンディオン(二代目)の子。パンディオンは国を追われてメガラに逃れ、そこでアイゲウスが生まれた。 (アポロドーロス 3.15.5、ヒュギヌス 48「パンディオンの子アイゲウス」)
- アポロドーロスは、アイゲウスは実はスキュリオスの子で、パンディオンが自分の子として通したのだ、という説も併記する。 (3.15.5)
- 子ができないアイゲウスがデルポイで受けた神託は「アテナイに着くまで酒袋の口を解くな」という謎だった。エウリピデス『メデイア』では、アイゲウスがちょうどこの神託の帰りにコリントスでメデイアに会う。 (アポロドーロス 3.15.6、『メデイア』663-688(神託は 679-681))
- 帰路トロイゼンでピッテウスが神託の意味を悟り、酔わせたアイゲウスを娘アイトラと寝かせた。アイゲウスは岩の下に剣とサンダルを隠し、これを取り出せる男子が生まれたら自分のもとへ送れと言い残した。 (3.15.7)
- アポロドーロスでは、テセウスが帆を白に替え忘れたため、アクロポリスから黒い帆の船を見たアイゲウスが身を投げて死ぬ。 (摘要 1.10)
- メデイアを妻にしていたアイゲウスは、やって来た若者テセウスをメデイアにそそのかされて毒殺しかけたが、剣を見て息子と気づいて杯を払い落とした。 (摘要 1.5-6、『変身物語』7.404-424)
- メデイアは若者テセウスを裏切り者だと言ってアイゲウスに警戒させ、アイゲウスは彼をマラトンの牛の退治に送り、戻ると毒を差し出した。テセウスが剣を渡したのでアイゲウスは息子と気づいて杯を払い落とし、メデイアは追放された。 (摘要 1.5-6)
- テセウスが3度目の貢ぎ物としてクレタへ向かうとき、船は黒い帆だったので、アイゲウスは生きて帰るなら白い帆を張れと命じた。 (摘要 1.7)
- 関係: parent → theseus (アポロドーロス 3.15.7, 3.16.1、ヒュギヌス 48。同じ夜にポセイドンもアイトラと交わったとされる)
- 関係: spouse → medea (アポロドーロス 1.9.28。『メデイア』663-758 で避難先を約束し、その後の結婚につながる)
- 関係: ruler → athens (アポロドーロス 3.15.6、ヒュギヌス 48)
- 関係: enemy → minos (3.15.7-8。息子アンドロゲオスの死を理由にミノスがアテナイを攻め、若者の貢ぎを課す)
アイギス
- アポロドーロスでは、ペルセウスがメドゥーサの首をアテナに与え、アテナはそれを盾の真ん中に据えた。 (2.4.3)
アガウエ
- 関係: child → cadmus (『神統記』975-976 / 3.4.2 /『バッコスの信女』1216-1300)
- 関係: child → harmonia (『神統記』975-976 / 3.4.2)
- 関係: parent → pentheus (『バッコスの信女』507 / 3.5.2 / Met. 3.725 / 『神話伝説集』184。夫はスパルトイ(竜の歯から生まれた戦士)の一人エキオン(『バッコスの信女』538-541, 1274 / Met. 3.126))
- 関係: killed → pentheus (『バッコスの信女』1114-1147 / 3.5.2 / Met. 3.710-731 / 184)
- 関係: sibling → semele (『神統記』976 / 3.4.2)
- 関係: sibling → ino-leucothea (『神統記』976 / 3.4.2 /『バッコスの信女』1129-1130 ペンテウス殺しに加わる)
- 関係: uncle_aunt → dionysus (姉妹セメレの子。3.4.2-3 /『バッコスの信女』26-31)
- 関係: punished_by → dionysus (『バッコスの信女』26-42 セメレを中傷した罰に狂わされる / 3.5.2)
- 関係: uncle_aunt → actaeon (姉妹アウトノエの子。3.4.2-4)
アゲノル
- 『イリアス』で、ゼウスはエウロペを「名高いポイニクスの娘」と呼び、ミノスとラダマンテュスを産んだ女として挙げる。ホメロスには、エウロペの父としてのアゲノルは出てこない。アポロドーロスも、エウロペはアゲノルではなくポイニクスの娘だという説を併記する。 (『イリアス』14.321-322、アポロドーロス3.1.1)
- アポロドーロスでは、イオの子エパポスの娘リビュエ(リビュアの地名の由来)が、ポセイドンとのあいだに双子のアゲノルとベロスを産む。アゲノルはフェニキアへ行って王となり、大きな一族の祖となった。ベロスはエジプトに残って王となり、アイギュプトスとダナオスの父となる。ヒュギヌスも、ポセイドンの子としてリビュエから生まれたアゲノルとベロスを挙げる。 (アポロドーロス2.1.4、3.1.1、ヒュギヌス157)
- アポロドーロスでは、アゲノルはフェニキアでテレパッサを妻とし、娘エウロペと、カドモス、ポイニクス、キリクスの三人の息子をもうける。ヒュギヌスでは、エウロペはシドンの人アゲノルとアルギオペの娘で、ゼウスは牡牛に化けて彼女をシドンからクレタへ運ぶ。 (アポロドーロス3.1.1、ヒュギヌス178)
- エウロペが消えると、アゲノルは息子たちに、見つけるまで帰ってくるなと命じて探しに出す。母テレパッサと、タソス(ポセイドンの子、ペレキュデスではキリクスの子)も同行した(アポロドーロス)。オウィディウスは、見つけられなければ追放すると言い渡した父を「同じひとつの行いで、敬虔にして非道」と評する。 (アポロドーロス3.1.1、『変身物語』3.3-5(facto pius et sceleratus eodem))
- 探しあぐねた息子たちは帰郷をあきらめて各地に住みつく。アポロドーロスでは、ポイニクスはフェニキアに、キリクスはフェニキア近くのピュラモス川のほとりに住んでその地をキリキアと名づけ、カドモスとテレパッサはトラキアに、タソスはトラキア沖の島にタソスの町を建てた。ヘロドトスも、キリキア人はもとヒュパカイオイと呼ばれ、フェニキア人でアゲノルの子キリクスから名を取ったと書く。ヒュギヌスでは、ポイニクスはアフリカへ渡ってとどまり、そのためアフリカの人々がポエニ(フェニキア人)と呼ばれるという。 (アポロドーロス3.1.1、ヘロドトス7.91、ヒュギヌス178)
- アゲノルという名の人物は神話に何人もいる。よく知られるのは、『イリアス』でアキレウスに立ち向かい、アポロンに霧に包まれて救われるトロイア方の戦士アゲノル(アンテノルの子)。ほかにもアポロドーロスには、アルゴスの王家やアイトリアの王家のアゲノル、予言者ピネウスの父とする説のアゲノルなどが出てくる。 (『イリアス』21.544-598、アポロドーロス1.7.7、1.9.21、2.1.2、ヒュギヌス19(ピネウスはアゲノルの子))
- 関係: parent → europa (アポロドーロス3.1.1(母はテレパッサ)、ヒュギヌス178(母はアルギオペ)、『変身物語』2.858「アゲノルの娘」)
- 関係: parent → cadmus (アポロドーロス3.1.1、ヘロドトス4.147、『変身物語』3.8「アゲノルの子」、ヒュギヌス6)
- 関係: child → poseidon (アポロドーロス2.1.4、3.1.1、ヒュギヌス157。母はエパポスの娘リビュエ)
- 関係: descendant → io (2.1.3-4 イオ→エパポス→リビュエ→アゲノル)
- 関係: grandparent → minos (3.1.1(エウロペの子))
- 関係: grandparent → rhadamanthus (3.1.1(エウロペの子))
- 関係: grandparent → semele (3.4.2(カドモスの娘))
- 関係: ancestor → dionysus (3.4.2-3(カドモスの娘セメレの子))
大アイアス
- 『小イリアス』要約では、判定の後に狂ってアカイア勢の家畜を殺し、自害する。アポロドーロス摘要 5.6-5.7 も同じ筋で、アテナが狂気を送ったとする。 (『小イリアス』要約(プロクロス)、アポロドーロス摘要 5.6-5.7)
- アポロドーロス摘要 5.8 によれば、トロイアで死んだ者のうち彼だけは火葬されず、棺に納めてロイテイオンに葬られた。自害した者への扱いの違いとされる。 (摘要 5.8)
- アキレウスが倒れたあと、アイアスは矢の雨の中で遺体を担いで敵中を運び、オデュッセウスが追手を防いだ。 (摘要 5.4)
- 関係: enemy → athena (ソポクレス『アイアス』51-65、アポロドーロス摘要 5.7。アテナが狂気を送る)
小アイアス
- 落城の夜、アテナの神殿で女神像にすがっていたカッサンドラを、像ごと引き剥がして乱暴を働いた。ホメロスにこの話は無く、『イリオスの陥落』の要約とアポロドーロス摘要が伝える。 (『イリオスの陥落』要約(プロクロス)、摘要 5.22)
- アポロドーロスでは、アテナはゼウスに嵐を送らせ、アイアスの船に自ら雷を投げつける。岩にたどり着いたアイアスが「アテナの意に反して助かった」と言うと、ポセイドンが岩を割って沈めた。打ち上げられた遺体はテティスがミュコノスに葬った。 (摘要6.5-6)
- カッサンドラへの乱暴のために、アテナの像は天を仰いでいるのだと言われる、とアポロドーロスは伝える。 (摘要5.22)
- 関係: abducted → cassandra (『イリオスの陥落』要約、アポロドーロス摘要 5.22。アテナ像にすがるカッサンドラを像ごと引きずった)
アルケスティス
- アドメトスの死の日が来たとき、父も母も身代わりを断り、妻アルケスティスだけが代わりに死ぬと言った。 (『アルケスティス』15-18、アポロドーロス 1.9.15)
- アポロドーロスはまず「コレ(ペルセポネ)が彼女を地上へ送り返した」と書き、別説として「ヘラクレスがハデスと戦って連れ戻した」を併記する。相手が死神タナトスではなくハデスになっている。 (1.9.15)
- 父ペリアスは、獅子と猪を車に繋いだ者に娘を与えると言い、アポロンの助けを得たアドメトスがこれを果たした。 (1.9.15)
- 父ペリアスは、イアソンに金羊毛を取りに行かせた王。アルケスティスはその娘たちの一人として名が挙がる。ペリアスはのちに、メデイアに「若返らせる」とだまされた娘たちの手で切り刻まれ煮られて死ぬ(アポロドーロスはその娘たちの名を挙げていない)。 (1.9.10(ペリアスの娘たち)、1.9.27(メデイアによるペリアス殺し))
- アポロドーロスでは、アドメトスは婚礼の犠牲でアルテミスへの捧げ物を忘れ、花嫁の部屋を開けるととぐろを巻いた蛇でいっぱいだった。アポロンは女神をなだめるよう命じ、モイライ(運命の女神たち)から、アドメトスが死ぬときに誰かが進んで代わりに死ねば免れる、という恩恵を得た。アポロンは、ゼウスの雷を作ったキュクロプスを殺した罰として1年アドメトスに仕え、牛にみな双子を産ませていた。 (1.9.15、3.10.4)
- 関係: spouse → admetus (『イリアス』2.711-715、エウリピデス『アルケスティス』、アポロドーロス 1.9.15)
- 関係: rescued_by → herakles (ヘラクレスに死から連れ戻される。『アルケスティス』1140-1146、アポロドーロス 1.9.15)
アルクマイオン
- 母殺し: 父アンピアラオスは出陣の前、息子たちに、成長したら母を殺しテーバイを攻めよと命じていた。アポロドーロスでは、アルクマイオンはテーバイ攻略の後、母が自分の出陣のためにも(ポリュネイケスの子テルサンドロスから衣を受け取って)買収されていたと知って怒りを募らせ、アポロンの神託に従って母を殺す。弟アンピロコスと共に殺したとも、一人で殺したともいう。 (3.6.2, 3.7.2, 3.7.5 / 『神話伝説集』73)
- 放浪と二人の妻: 母の復讐の霊(エリニュス)に取り憑かれて狂ったアルクマイオンは、アルカディア、次いでプソピスの王ペゲウスのもとで清められ、その娘アルシノエと結婚してハルモニアの首飾りと衣を贈る。しかし彼のために土地が不毛になり、神託に従って河神アケロオスのもとへ行き、その娘カリロエを妻とする。カリロエが首飾りと衣を欲しがったため、「デルポイに奉納すれば狂気が治ると告げられた」と偽ってペゲウスから取り戻そうとし、事情が知れてペゲウスの息子たちに殺された。 (3.7.5)
- 太陽が見ていない土地: トゥキュディデスは、母殺しの後に放浪するアルクマイオンにアポロンが、「母を殺した時に太陽がまだ見ていなかった土地、まだ陸でなかった土地」に住むまで恐怖から解放されないと告げた、という話を伝える。彼はアケロオス川の運んだ土砂でできたオイニアダイ周辺の土地を見つけてそこに住み、その地方は息子アカルナンの名からアカルナニアと呼ばれた。アポロドーロスもアケロオスの土砂でできた土地に住んだとする。 (トゥキュディデス 2.102.5-6 / 3.7.5, 3.7.7)
- 息子たちの復讐: 夫の死を知ったカリロエは、自分を口説くゼウスに、アルクマイオンとの息子たちをすぐに大人にしてほしいと頼んだ。急に成人した二人の息子アンポテロスとアカルナンは、首飾りと衣をデルポイに奉納しに行く途中のペゲウスの息子たちを討ち、ペゲウス夫妻も殺した。首飾りと衣は、アケロオスの指示でデルポイに奉納された。 (3.7.6-7)
- エウリピデスの異伝: アポロドーロスによれば、エウリピデスは、狂気のさなかのアルクマイオンがテイレシアスの娘マントとの間に息子アンピロコスと娘ティシポネをもうけ、コリントス王クレオンに預けたと語った。美しく育ったティシポネはクレオンの妃に奴隷として売られ、実の娘と知らずにアルクマイオンが買い取る。 (3.7.7)
- 神託はエピゴノイの遠征をアルクマイオンが率いれば勝つと告げた。彼は母を罰する前に軍を率いるのを渋ったが、総大将となってエテオクレスの子ラオダマスを討ち、テーバイ人は町を捨てて逃れた。 (3.7.2-3)
- アケロオスの娘カリロエが首飾りと衣を欲しがったため、アルクマイオンは「デルポイに奉納すれば狂気が治ると神託があった」と偽ってペゲウスから取り戻したが、召使いの口から真相が漏れ、ペゲウスの息子たちに待ち伏せされて殺された。 (3.7.5)
- 関係: child → amphiaraus (『オデュッセイア』15.248 / 3.6.2, 3.7.2)
- 関係: child → eriphyle (3.7.2 / 『神話伝説集』71, 73)
- 関係: killed → eriphyle (3.7.5 アポロンの神託に従って母を殺す(弟アンピロコスと共に、とも)/ 73)
- 関係: participated_in → epigoni (3.7.2-3 総大将としてエテオクレスの子ラオダマスを討つ / 10.10.4 / 71)
- 関係: visited → oeneus (3.7.5 放浪中、カリュドンのオイネウスにもてなされる)
- 関係: companion → diomedes (1.8.6 ディオメデスと共にひそかにカリュドンへ行き、祖父オイネウスから王位を奪ったアグリオスの息子たちを討つ)
アルクメネ
- 夫アンピトリュオンがタポス遠征から戻る前夜、ゼウスは夫の姿になり、一夜を三倍の長さに引き延ばしてアルクメネと過ごし、戦の話まで語って聞かせた。翌日帰った夫は妻の冷たい出迎えを怪しみ、予言者テイレシアスから事の次第を知った。 (2.4.8)
- 生まれたのはゼウスの子ヘラクレスと、一晩遅く宿ったアンピトリュオンの子イピクレス。生後8か月のとき、ヘラの送った2匹の大蛇をヘラクレスが両手で絞め殺した。 (アポロドーロス 2.4.8、ピンダロス『ネメア祝勝歌』1.33-40(生まれてすぐに双子の兄弟と、ヘラが蛇を送る))
- アポロドーロスは同じ箇所で、蛇をベッドに入れたのはアンピトリュオン自身で、どちらが自分の子か見分けるためだった、というペレキュデスの異説も伝える。逃げたイピクレスが実子、踏みとどまったヘラクレスがゼウスの子というわけである。 (2.4.8)
- アルクメネの父エレクトリュオンはペルセウスとアンドロメダの子。夫アンピトリュオンもペルセウスの孫、エウリュステウスの父ステネロスもペルセウスの子で、ヘラクレスをめぐる争いはペルセウス一族の内輪の話でもある。 (2.4.5)
- アンピトリュオンの死後、アルクメネはゼウスの子ラダマンテュス(ミノスの兄弟)と結婚し、ボイオティアで暮らしたとアポロドーロスは伝える。 (2.4.11, 3.1.2)
- 関係: lover → zeus (『神統記』943-944、『オデュッセイア』11.268、アポロドーロス 2.4.8)
アルキュオネ
- 父親のアイオロスは、出典によって別人になる。アポロドーロスでは、ギリシャ人の名祖ヘレンの子アイオロスの娘。オウィディウスではアルキュオネ自身が「父ヒッポテスの子は、強い風を牢に閉じ込めている」と言い、『オデュッセイア』でオデュッセウスに風の袋を渡した風の番人アイオロスを父にしている。物語の最後に、娘夫婦の子育てのために父が風を封じるという結びは、この系譜があって成り立つ。 (アポロドーロス 1.7.3-4 / Met. 11.431-432、11.747-748 /『オデュッセイア』10.1-2(ヒッポテスの子アイオロス))
- アポロドーロスでは、美談ではなく罰の話。二人は思い上がって互いをゼウス、ヘラと呼び、ゼウスの怒りで妻はカワセミ(アルキュオン)に、夫はケユクスという鳥に変えられた。 (1.7.4)
- 同じ名のアルキュオネが、プレイアデス(アトラスの7人の娘)にもいる。こちらはポセイドンとのあいだに子をもうけた星の娘で、ケユクスの妻とは別人。SUBARUの車名「アルシオーネ」はプレイアデスの星の名から取られている。 (アポロドーロス 3.10.1 / SUBARUトリビア Vol.112)
- 関係: spouse → ceyx (Met. 11.410-748 / 1.7.4)
- 関係: grandchild → hellen (1.7.3-4 ヘレンの子アイオロスの娘。オウィディウスの風の神アイオロスとは別の系譜)
アルタイア
- 薪の形: メレアグロスが生まれたとき(アポロドーロスでは生後7日目)、運命の女神たちが「炉の薪が燃え尽きるとき、この子も死ぬ」と告げた。アルタイアは薪を火から取り出して水をかけ、奥にしまっておいたが、兄弟の死を知ると取り出して火に投じた。バッキュリデス(前476年)では「飾りのある箱から」取り出したとされる。 (バッキュリデス 5.136-144 / 1.8.2-3 / Met. 8.451-459, 8.511-514)
- 最期: アポロドーロスでは、息子の死の後、アルタイアはメレアグロスの妻クレオパトラと共に首を吊る。オウィディウスでは、自らの行いを悔いて剣で腹を刺す。 (1.8.3 / Met. 8.531-532)
- 関係: spouse → oeneus (1.8.1 テスティオスの娘アルタイアを妻とする / 『神話伝説集』129, 174)
- 関係: parent → meleager (『イリアス』9.555 / バッキュリデス 5.136-140 / 1.8.2 / Met. 8.451-459)
- 関係: killed → meleager (運命の薪を燃やす。バッキュリデス 5.136-144 / 1.8.3 / Met. 8.460-525)
- 関係: parent → deianira (1.8.1 ディオニュソスとの子とも言われる / 129)
- 関係: lover → dionysus (129 オイネウスの客となったディオニュソスがアルタイアを愛し、デイアネイラが生まれる / 1.8.1「デイアネイラはディオニュソスがアルタイアに生ませたと言われる」)
- 関係: participated_in → calydonian-boar-hunt (狩りの後日談の当事者。1.8.3 / Met. 8.445-532)
アマルテイア
- アポロドーロスでは、レアはクレタのディクテの洞窟でゼウスを産み、クレテスとメリッセウスの娘のニンフ、アドラステイアとイデに預けた。ニンフたちはアマルテイアの乳で赤子を養い、クレテスは槍を盾に打ち鳴らして泣き声をクロノスから隠した。 (1.1.6-7)
- アポロドーロスでは、アケロオスは自分の角を取り戻すために、代わりにアマルテイアの角を差し出した。このアマルテイアはハイモニオスの娘で、ペレキュデスによれば、その雄牛の角は望む食べ物や飲み物をいくらでも出す力を持っていた。 (2.7.5)
- 関係: foster_parent → zeus (『ゼウス讃歌』48-49、アポロドーロス1.1.7、『祭暦』5.115-121、ヒュギヌス『天文譜』2.13.5-6)
アマゾン族
- アポロドーロスでは、テルモドン川のほとりに住み、男の子が生まれても育てるのは女の子だけ。槍を投げるのに邪魔だとして右の乳房を締めて取り去り、授乳のため左は残したという。 (2.5.9)
- トロイア戦争では、アレスの娘である女王ペンテシレイアがトロイア側に加わり、アキレウスに討たれる。この話は叙事詩圏の『アイティオピス』で語られ、アポロドーロスが要約している。 (アポロドーロス摘要 5.1)
- ヘラクレスの第九の功業では、女王ヒッポリュテは帯を渡すと約束したが、ヘラがアマゾンに化けて「女王がさらわれる」と触れ回ったため戦いになり、ヘラクレスは女王を殺して帯を奪った。帯はアレスから授かったもの。 (2.5.9)
- テセウスがアマゾンの一人(アンティオペ、メラニッペ、またはヒッポリュテ)をさらったため、アマゾンはアテナイに攻め寄せ、アレイオパゴスのあたりに陣を敷いたが、テセウス率いるアテナイ人に敗れた。 (摘要1.16)
- 関係: enemy → herakles (2.5.9 女王ヒッポリュテの帯をめぐる戦い)
- 関係: enemy → theseus (摘要 1.16 テセウスがアンティオペ(メラニッペ、ヒッポリュテとも)を連れ去り、アマゾンがアテナイに攻め寄せる。プルタルコス『テセウス伝』26-27)
- 関係: ruled_by → penthesilea (トロイア側に来た女王。アポロドーロス摘要 5.1)
- 関係: participated_in → twelve-labors (2.5.9 第九の功業)
アンピアラオス
- 予見と強いられた出陣: 彼は予言者として、アドラストス以外の将はみな死ぬと見抜いて出陣を拒んだ。かつてアドラストスと争って和解したとき、以後の争いは妻エリピュレに裁かせると誓っていたため、ポリュネイケスから首飾りを受け取ったエリピュレが出陣を決め、彼は逆らえなかった。出陣の前、子らに成長したら母を殺してテーバイを攻めよと命じる。ヒュギヌスでは、妻に知らせて隠れていたところを、首飾りと引き換えに妻に居場所を明かされる。 (3.6.2 /『ネメア祝勝歌』9.13-17 / 『神話伝説集』73)
- 最期: 敗走の途中、イスメノス川のほとりで、テーバイ方のペリクリュメノスの槍に背を突かれる寸前に、ゼウスが雷で大地を裂き、アンピアラオスは戦車と御者もろとも地中に消えた。ピンダロス(前5世紀前半)は、背を突かれて武名を汚す前に、とこの場面を歌う。アポロドーロスはさらに、ゼウスが彼を不死にしたと書き、御者の名をバトン、あるいはエラトンとする。 (『ネメア祝勝歌』9.24-27 / 3.6.8)
- 瀕死のテュデウスをアテナが不死にしようとしているのを見たアンピアラオスは、出陣をあおったテュデウスを恨んでいたので、テュデウスが倒したメラニッポスの首を切って渡した。テュデウスが脳を啜るのを見たアテナは嫌悪して不死を与えるのをやめた。 (3.6.8)
- 関係: spouse → eriphyle (『オデュッセイア』11.326-327 / 『ネメア祝勝歌』9.16-17 / 3.6.2)
- 関係: parent → alcmaeon (『オデュッセイア』15.248 / 3.6.2, 3.7.2)
- 関係: enemy → adrastus (『ネメア祝勝歌』9.13-17 アドラストスをアルゴスから追い出したが、妹エリピュレを妻に迎えて和解 / 3.6.2 以後の争いはエリピュレが裁くと誓う)
- 関係: enemy → tydeus (『七将』570-575 / 3.6.8)
- 関係: companion → zeus (『オデュッセイア』15.245 ゼウスとアポロンに愛された / 『ネメア祝勝歌』9.24-27 ゼウスが大地を裂いて隠す / 3.6.8 ゼウスが不死にした)
- 関係: participated_in → seven-against-thebes (『オデュッセイア』15.246-247 /『七将』568-625 / 1109-1112 / 3.6.2-8)
- 関係: participated_in → calydonian-boar-hunt (1.8.2 猪の目を射る / Met. 8.316-317 / 8.45.7)
- 関係: participated_in → argonauts (1.9.16 アルゴナウタイの名簿に「オイクレスの子アンピアラオス」)
アンピトリテ
- アポロドロスは、アンピトリテをオケアノスの娘たち(オケアニス)の一人に数え、ポセイドンの妻になったのも「オケアノスの娘アンピトリテ」だと書く。ところが同じ書のネレイスの名の一覧にも彼女の名があり、一つの本の中で二つの系譜が混ざっている。 (1.2.2, 1.2.7, 1.4.5)
- 関係: spouse → poseidon (『神統記』930-933、アポロドロス 1.4.5)
- 関係: parent → triton (『神統記』930-933、アポロドロス 1.4.5)
- 関係: child → oceanus (アポロドロス 1.2.2, 1.4.5 では「オケアノスの娘」(同じ書の 1.2.7 ではネレイスの一覧にも名がある))
アンドロメダ
- 母カシオペイアがネレイス(海のニンフ)たちと美しさを競い、自分が誰よりも美しいと誇った。怒ったネレイスたちにポセイドンが加勢して洪水と怪物を送り、アンモンの神託が「娘を差し出せば救われる」と告げたため、ケペウスは民に迫られて娘を岩に縛った。 (2.4.3)
- アンドロメダにはもともとケペウスの兄弟ピネウスという婚約者がいた。ピネウスは救出後にペルセウスを陥れようとし、ゴルゴンの首で仲間もろとも石にされた。 (2.4.3)
- ギリシャに来る前に生まれた長子ペルセスはケペウスのもとに残され、ペルシア人の祖とされる。ミュケナイではアルカイオス、ステネロス、エレクトリュオンらを生み、この系統からアルクメネ、そしてヘラクレスが出る。 (アポロドーロス 2.4.5、ヘロドトス 7.61.3)
- 関係: spouse → perseus (アポロドーロス 2.4.3、ヘロドトス 7.61.3、オウィディウス『変身物語』4.735-739)
- 関係: enemy → poseidon (2.4.3 ネレイスたちの怒りに与したポセイドンが洪水と海の怪物を送る)
アンタイオス
- アポロドーロスでは、ヘラクレスが十一番目の功業(ヘスペリデスの黄金の林檎)の途上でリビュアを通ると、ポセイドンの子アンタイオスが治めていた。よそ者に組み討ちを強いて殺していた彼を、ヘラクレスは抱えて宙に持ち上げ、骨を砕いて殺した。大地に触れると強くなったので、大地(ゲー)の子だと言う者もいた。 (2.5.11)
- 父はポセイドンとするのがアポロドーロスとピンダロス、ヒュギヌスもネプトゥヌスの子の列に名を挙げる。一方ヒュギヌスの「ヘラクレスの副次的な手柄」の章では「大地の子アンタイオス」とされ、アポロドーロスも、大地に触れると強くなることから大地の子と言う者がいたと記す。 (アポロドーロス2.5.11、『イストミア祝勝歌』4.54、ヒュギヌス31、157)
- 関係: child → poseidon (アポロドーロス2.5.11、『イストミア祝勝歌』4.54(父ポセイドンの神殿)、ヒュギヌス157(ネプトゥヌスの子の列))
- 関係: child → gaia (アポロドーロス2.5.11 大地に触れると強くなるので大地の子と言う者もいた。ヒュギヌス31「大地の子アンタイオス」)
- 関係: killed_by → herakles (アポロドーロス2.5.11、『イストミア祝勝歌』4.52-55、ディオドロス4.17.4、ヒュギヌス31)
- 関係: participated_in → twelve-labors (アポロドーロス2.5.11 十一番目の功業(ヘスペリデスの林檎)の途上。パウサニアス9.11.6 テバイの破風では二つの功業の代わりに置かれる)
アンティゴネ
- 関係: child → oedipus (OT 1462-1475 / 3.5.8 / 『フェニキアの女たち』55-58)
- 関係: child → jocasta (『フェニキアの女たち』55-58 / 3.5.8(異説ではエウリュガネイアの子))
- 関係: companion → oedipus (盲目の父の手を引いて放浪する。『コロノスのオイディプス』冒頭 / 3.5.9 /『フェニキアの女たち』1679-1682)
アポロン
- カッサンドラに予言の力を与えて言い寄ったが拒まれ、「誰にも信じてもらえない」という呪いを加えた。ホメロスはカッサンドラを美しい王女として挙げるだけで、予言者としては描かない。 (アポロドーロス 3.12.5。『アガメムノン』1202-1212。『イリアス』13.365-366, 24.699-702 では予言への言及が無い)
- 関係: suitor → cassandra (アポロドーロス 3.12.5。予言の力を与えたが拒まれ、誰にも信じられない呪いをかけた。『アガメムノン』1202-1212 でカッサンドラ自身が語る)
アレス
- カドモスはアレスの泉を守る竜(アレスの子ともいう)を殺した償いに、アレスに「永遠の一年」、当時の8年のあいだ仕えた。 (3.4.1-2)
- 娘アルキッペに乱暴しようとしたポセイドンの子ハリロティオスを殺し、ポセイドンに訴えられて、アレイオパゴスで十二神の裁きを受け無罪となった。 (3.14.2)
- 関係: parent → penthesilea (Epit. 5.1。トロイアに加勢したアマゾンの女王はアレスの娘とされる)
アルゴ船
- アポロドーロスでは、船を造ったのはプリクソスの子アルゴスで、アテナの助言によって50櫂の船を造り、その名を取ってアルゴと名づけた。 (1.9.16)
- アテナは舳先に、神託で知られるドドネの樫の木を組み込んだ。このため船は口をきき、アプシュルトス殺しのあと「キルケに清めてもらわなければゼウスの怒りは止まない」と告げた。 (1.9.16, 1.9.24)
- 名の由来は二通りに説明される。造り手アルゴスの名を取ったとするアポロドーロスの説と、形容詞 argos(速い、きらめく)から「速き船」とする説(etymonline)。 (アポロドーロス 1.9.16、etymonline「Argonaut」)
- 帰国後、イアソンは英雄たちとともに地峡(イストモス)へ船を運び、ポセイドンに奉納した。 (1.9.27)
- 関係: created_by → athena (アポロニオス 1.18-19, 1.111-114 アテナ自身が造り、アルゴスがその指示で組み立てた。アポロドーロス 1.9.16)
- 関係: owned_by → jason (アポロドーロス 1.9.16、『オデュッセイア』12.69-72)
- 関係: participated_in → argonauts (アポロニオス 1.4、アポロドーロス 1.9.16)
アルゴナウタイの遠征
- 乗組員の顔ぶれは資料ごとに違う。アポロドーロスの名簿には、テセウス、オデュッセウスの父ラエルテス、女狩人アタランテ、メレアグロス、さらにヘラクレスが家畜小屋を掃除することになるアウゲイアスまで入っている。 (1.9.16)
- アポロニオスでは、ヘラクレスは序盤でミュシアに置き去りにされる。愛する従者ヒュラスが泉のニンフにさらわれ、探しに行ったあいだに船が出てしまった。海神グラウコスが現れ、ヘラクレスはエウリュステウスのもとで十二の難業を果たす定めだと告げて一同をなだめる。 (アポロニオス 1.1207-1320、アポロドーロス 1.9.19)
- 出航を見送るケイロンの妻の腕には幼いアキレウスがいる。アルゴ船の英雄たちはトロイア戦争の英雄たちの父の世代にあたり、ペレウスとアキレウス、ラエルテスとオデュッセウスのように親子で二つの物語がつながる。 (アポロニオス 1.553-558、アポロドーロス 1.9.16)
- アポロドーロスは、往復の航海全体を4か月で終えたとする。 (1.9.26)
- 予言者ピネウスの教えで、打ち合う岩の間にまず鳩を放つ。鳩は尾の先だけを挟まれて抜け、アルゴ船も船尾の飾りを削られただけで通り抜けた。以後、岩は動かなくなった。 (1.9.22)
- 盲目の予言者ピネウスは、ハルピュイアに食事を奪われ汚されていた。北風の神の息子ゼテスとカライスが翼で追い払い、ピネウスは礼に航路を教えた。 (1.9.21-22)
- 最初に寄ったレムノス島は、女たちが父と夫を殺して男のいない島になっていた。イアソンは女王ヒュプシピュレとのあいだに子をもうける。 (1.9.17)
- ドリオネス人の王キュジコスに歓待されたが、夜に吹き戻されて再上陸し、敵と取り違えた戦いで王を殺してしまう。 (1.9.18)
- クレタ島では、一日三度島を駆け回る青銅の巨人タロスが石を投げて上陸を阻んだが、メデイアの計略で倒れた。 (1.9.26)
- 追ってくるアイエテスから逃れるため、メデイアは弟アプシュルトスを殺して切り刻み、海に投げた。これに怒ったゼウスが嵐を送り、船はキルケに清めてもらえと声を発した。 (1.9.24)
- 関係: participant → jason (指揮者。アポロドーロス 1.9.17)
- 関係: participant → argo (遠征の船。アポロドーロス 1.9.16)
- 関係: participant → golden-fleece (目的。アポロドーロス 1.9.16, 1.9.23)
- 関係: participant → medea (コルキスから同行。アポロドーロス 1.9.23-26)
- 関係: participant → herakles (アポロニオス 1.122-131, 1.1207-1320(途中で置き去り)、アポロドーロス 1.9.16, 1.9.19)
- 関係: participant → orpheus (アポロニオス 1.23-34、アポロドーロス 1.9.25 セイレネスの歌を対抗の歌で打ち消す)
- 関係: participant → peleus (アポロニオス 1.90-94、アポロドーロス 1.9.16)
- 関係: participant → castor (1.9.16)
- 関係: participant → polydeuces (1.9.16, 1.9.20 ベブリュクス人の王アミュコスを拳闘で倒す)
- 関係: participant → laertes (1.9.16 名簿に「アルケイシオスの子ラエルテス」。オデュッセウスの父)
- 関係: participant → theseus (1.9.16 名簿には入るが、アポロニオス 1.101-104 は不参加とする)
- 関係: participant → circe (アポロドーロス 1.9.24 アプシュルトス殺しの穢れを清める、アポロニオス 4.659-752)
- 関係: participant → sirens (1.9.25 セイレネスの海を通過)
- 関係: participant → scylla (1.9.25 テティスとネレイスたちがヘラの呼びかけで船を導く)
- 関係: participant → charybdis (1.9.25)
- 関係: participant → alcinous (1.9.25 パイアケス人の島でコルキス人がメデイアの引き渡しを求める)
- 関係: participant → arete (1.9.25 アレテが先回りしてメデイアをイアソンと結婚させる)
- 関係: located_at → crete (アポロニオス 4.1638-1688、アポロドーロス 1.9.26 青銅の番人タロス)
アルゴス
- アポロドーロスでは、オケアノスとテテュスの子イナコスから王家が始まる(アルゴスの川イナコスはこの名にちなむ)。イオはアルゴスの王イアソスの娘で、ヘラの巫女を務めていたときにゼウスに愛され、白い雌牛に変えられた。イオをイナコスの娘とする人々も多い。 (2.1.1、2.1.3)
- ダナオスは五十人の娘とともにエジプトから船で逃れてアルゴスに来て、王ゲラノルから国を譲られた。土地はポセイドンがイナコスへの怒りから泉まで干上がらせていたため水がなく、水を探しに出た娘アミュモネに、ポセイドンがレルネの泉を示した。 (2.1.4)
- テーバイを追われたポリュネイケスが逃れたアルゴスの王はタラオスの子アドラストスで、予言に従ってポリュネイケスとテュデウスを娘の婿に迎え、七将のテーバイ攻めを率いた。 (3.6.1)
- 関係: ruled_by → adrastus (3.6.1)
- 関係: visited_by → danaids (2.1.4)
- 関係: visited_by → io (2.1.3 アルゴスの王家の娘)
アリアドネ
- アポロドーロスでは、テセウスに恋したアリアドネは「アテナイに連れ帰って妻にする」と誓わせたうえで、ダイダロスに迷宮の出方を聞き、その助言どおり糸玉をテセウスに渡した。 (摘要 1.8-9)
- アポロドーロスでは、ナクソス島でディオニュソスが彼女に恋して連れ去り、レムノスで子をもうけた。オウィディウスでは、テセウスがディア島の浜に置き去りにしたのを、リベル(ディオニュソス)が慰めて救い、冠を天に投げ上げて星座にした。 (アポロドーロス摘要 1.9、『変身物語』8.174-182)
- 関係: child → minos (『オデュッセイア』11.322、『神統記』948、アポロドーロス 3.1.2)
- 関係: lover → theseus (『オデュッセイア』11.321-325、アポロドーロス摘要 1.8-9、『変身物語』8.172-176)
- 関係: spouse → dionysus (『神統記』947-949、アポロドーロス摘要 1.9、『変身物語』8.176-179)
- 関係: advisee → daedalus (摘要 1.8-9 迷宮から出る方法をダイダロスに尋ね、その助言で糸を渡す)
アキレウスの武具
- アキレウスの死後、この武具をめぐってアイアスとオデュッセウスが争い、オデュッセウスが得る。『小イリアス』の要約は「アテナの企みによって」と書く。敗れたアイアスは狂って家畜を殺し、自害する。 (『小イリアス』要約 / 『オデュッセイア』11.538-565 / 摘要 5.6-5.7)
- 誰が判定したかは伝承で違う。『小イリアス』要約は「アテナの企み」でオデュッセウスが得たとし、アポロドーロス摘要 5.6 は判定者をトロイア人、異説では同盟軍だとする。『小イリアス』の断片には、城壁の下で立ち聞きしたトロイアの娘たちの言い争いで決めたという形も伝わる。 (『小イリアス』要約(プロクロス)と断片2(アリストパネス『騎士』1056 への古註が引く)/ 摘要 5.6「判定者はトロイア人、あるいは同盟軍」)
アルテミス
- ゼウスとレトの娘で、アポロンの双子。アポロドーロスは、レトがデロスでまずアルテミスを産み、その助けを得てアポロンを産んだとする。『アポロン讃歌』は、アルテミスはオルテュギアで、アポロンはデロスで生まれたと歌う。 (『神統記』918-920。アポロドーロス 1.4.1(産んだ順と場所))
アスクレピオス
- アポロドロスは、母をレウキッポスの娘アルシノエとする説を先に挙げ、テッサリアのプレギュアスの娘コロニスの子とする説も「ある人々は」として併記する。 (3.10.3)
- アスクレピオスはついに死者を生き返らせたため、ゼウスに雷で打たれる。ピンダロスは「黄金の報酬に心を動かされて」死にかけた男を連れ戻したからだとし、アポロドロスは、人間が医術を身につけて互いに救い合うことをゼウスが恐れたからだとする。 (ピンダロス『ピュティア』3.54-58。アポロドロス 3.10.3-4)
- アポロドロスでは、アスクレピオスはアテナからゴルゴン(メドゥサ)の血を授かっていた。左の血管から流れた血は人を滅ぼすのに、右の血管の血は人を救うのに使い、それで死者を生き返らせた。 (3.10.3)
- アポロドーロスでは、コロニスの不実を知らせたカラスをアポロンが呪い、白かった羽を黒くした。ピンダロスでは知らせの鳥は出ず、アポロンが万事を見通す心で知ったとされる。 (アポロドーロス 3.10.3、ピンダロス『ピュティア祝勝歌』3.27-30)
- ゼウスがアスクレピオスを雷で殺すと、アポロンは雷を作ったキュクロプスたちを殺した。ゼウスはアポロンをタルタロスに投げ込もうとしたが、レトのとりなしで、1年間人間(アドメトス)に仕える罰に変えた。 (3.10.4)
- 関係: child → apollo (『アスクレピオス讃歌』(16)1-4。ピンダロス『ピュティア祝勝歌』3.8-46。アポロドロス 3.10.3)
- 関係: student → chiron (『イリアス』4.219 ケイロンがアスクレピオスに薬を教えた。ピンダロス『ピュティア』3.1-7, 3.45-46。アポロドロス 3.10.3)
- 関係: killed_by → zeus (ピンダロス『ピュティア』3.55-58。アポロドロス 3.10.4)
- 関係: received_gift → athena (3.10.3 アテナからゴルゴンの血管から流れた血を授かる。左側の血は人を滅ぼし、右側の血で死者を生き返らせた)
- 関係: revived → hippolytus (3.10.3 死者を生き返らせた例。アポロドーロスは典拠を『ナウパクティカ』の作者とする)
- 関係: revived → capaneus (3.10.3 ステシコロス『エリピュレ』によるとして挙げられる。ステシコロスの断片そのものは未確認)
アステュアナクス
- 一方『イリオスの陥落』の要約では、はっきりと「オデュッセウスがアステュアナクスを殺す」と書かれる。エウリピデスやアポロドーロスでは、オデュッセウスの提案でギリシャ勢が決定し城壁から投げ落とす形になっている。 (『イリオスの陥落』要約、アポロドーロス摘要 5.23、『トロイアの女』709-725(オデュッセウスの提案))
アタランテ
- 父の名が割れる。アポロドーロスは、アルカディアのイアソスの娘とし、男子を望んだ父に捨てられて雌熊に育てられたと語ったうえで、「ヘシオドスらはスコイネウスの娘、エウリピデスはマイナロスの娘とし、夫もメラニオンではなくヒッポメネスとする」と書き添える。オウィディウスも、猪狩りの場面では「テゲアの」、徒競走の場面では「スコイネウスの娘」と呼び分けている。アルカディアの狩人とボイオティアの走者が、同じ名で語られていることになる。 (3.9.2 / Met. 8.317, 10.609)
- 猪狩りでは、ケペウスやアンカイオスが女と狩りをするのを嫌がったが、メレアグロスが同行させた。アタランテが最初に猪の背に矢を当て、メレアグロスが止めを刺して、皮を彼女に与える。オウィディウスでは、矢が耳の下をかすめて毛を赤く染め、メレアグロスが「武勇の褒美を受けよ」と叫ぶ。これに怒ったテスティオスの息子たちが皮を奪い、メレアグロスに殺される。 (1.8.2-3 / Met. 8.380-444)
- 徒競走: 求婚者はアタランテと走り、負ければ殺される。オウィディウスでは、アプロディテがキュプロス島タマソスの畑の木から摘んだ3つの黄金の林檎をヒッポメネスに渡し、彼はそれを走りながら投げてアタランテが拾う間に勝つ。アポロドーロスでは林檎を持って来るのはメラニオン。ヒュギヌスでは、求婚者が武器を持たずに先に走り、アタランテが武器を持って追う、という形になっている。 (Met. 10.560-680(林檎 10.644-651)/ 3.9.2 / 185)
- 結末は獅子への変身。アポロドーロスでは、狩りの途中でゼウスの神域に入り、そこで交わったため獅子に変えられた。オウィディウスでは、恩を忘れたヒッポメネスに怒ったアプロディテが、キュベレの神殿の洞で二人に欲情を起こさせ、神殿を汚された女神キュベレが二人を獅子にして自分の車を引かせた。ヒュギヌスでは、パルナッソス山で勝利のゼウスに犠牲を捧げる途中、アプロディテの怒りで神域の中で交わり、ゼウスが二人を獅子と雌獅子に変えた。 (3.9.2 / Met. 10.681-704 / 185)
- 息子パルテノパイオスは、テーバイを攻めた七将のひとり。ソポクレス『コロノスのオイディプス』では「昔の処女(パルテノス)にちなんで名付けられた、アタランテの忠実な子」と紹介され、名前そのものが母の処女性を思い出させる。父はアポロドーロスではメラニオンかアレス、ヒュギヌスではメレアグロスとされる。 (『コロノスのオイディプス』1320-1322 / 3.9.2 / 『神話伝説集』70 /『フェニキアの女たち』1104-1109, 1153-1162)
- アポロドーロスによれば、男子を望んだ父に捨てられたアタランテは、雌熊の乳で育ち、狩人たちに拾われた。成人して処女を守り荒野で武装して狩りをし、乱暴しようとしたケンタウロスのロイコスとヒュライオスを射殺した。 (3.9.2)
- 関係: participated_in → calydonian-boar-hunt (1.8.2 / Met. 8.317-328, 8.380-387 / 『神話伝説集』173-174 / 8.45.6 テゲアの破風)
- 関係: courted_by → meleager (1.8.2 / Met. 8.324-328, 8.425-427 猪の頭と皮を贈られる)
- 関係: spouse → hippomenes (Met. 10.560-680 / 185 / 3.9.2(エウリピデスは夫をヒッポメネスとする、と))
- 関係: participated_in → argonauts (1.9.16 アルゴナウタイの名簿に「スコイネウスの娘アタランテ」。アポロニオス『アルゴナウティカ』1.769-773 では、同行を望んだがイアソンが断ったとされる)
- 関係: rival → peleus (3.9.2 ペリアスの葬礼競技でペレウスと組み合い、勝つ)
アタマス
- 後妻のイノは前妻ネペレの子を憎み、女たちに種麦をこっそり炒らせて畑を不作にした。デルポイに神託を聞きに行く使者を買収し、「プリクソスをゼウスに捧げれば不作が止む」と言わせた。民に迫られたアタマスは息子を祭壇に立たせる。 (1.9.1)
- アポロドーロスは1巻で、ヘラの怒りで狂ったアタマスがイノとの子レアルコスを矢で射殺し、イノはもう一人の子メリケルテスを抱いて海に身を投げた、と書く。 (1.9.2)
- 同じアポロドーロスが3巻では、ディオニュソスを預かったことでヘラに狂わされたアタマスが、レアルコスを鹿と思い込んで狩り殺した、と別の形で書く。 (3.4.3)
- ボイオティアを追われたアタマスは、「野の獣にもてなされた所に住め」という神託を受けた。羊を食べていた狼たちが彼を見て獲物を置いて逃げたので、そこに住んでアタマンティアと名づけ、ヒュプセウスの娘テミストを妻にした。 (1.9.2)
- 父のアイオロスはヘレンの子で、テッサリアの王。『オデュッセイア』で風の袋を渡すアイオロスとは同名の別人として扱われる。同じアイオロスの息子たちの中に、コリントスのシシュポスやサルモネウスがいる。 (アポロドーロス 1.7.3。『オデュッセイア』10.2 の風のアイオロスは「ヒッポテスの子」)
- 関係: parent → phrixus (アポロドーロス 1.9.1、ヒュギヌス 2-3)
- 関係: parent → helle (アポロドーロス 1.9.1、ヒュギヌス 2-3)
- 関係: spouse → ino-leucothea (アポロドーロス 1.9.1, 3.4.3、『変身物語』4.416-542)
- 関係: grandchild → hellen (1.7.3。ヘレンの子アイオロスの息子)
- 関係: sibling → sisyphus (1.7.3。アイオロスの息子7人(クレテウス、シシュポス、アタマス、サルモネウスほか)の一人)
- 関係: enemy → hera (アポロドーロス 1.9.2, 3.4.3、『変身物語』4.416-542。ディオニュソスを育てたことを恨んだヘラに狂わされる)
- 関係: foster_parent → dionysus (3.4.3。ヘルメスが赤子のディオニュソスを連れてきて、イノとアタマスに女の子として育てさせた)
アテナ
- ポセイドンとアテナイの守護神の座を争い、オリーブの木を生やして勝った。都市名アテナイと神名の先後関係は古代から論じられてきたが、決着していない。 (3.14.1)
- 関係: enemy → poseidon (3.14.1。アテナイをめぐる争い)
- 関係: companion → hephaestus (3.14.6。ヘパイストスに襲われかけ、その精から大地にエリクトニオスが生まれる)
アテナイ
- ケクロプスの時代、ポセイドンとアテナがこの土地を争った。ポセイドンはアクロポリスの中ほどに三叉の矛を打ちつけて海水の泉を湧かせ、アテナはオリーブを植えた。十二神の審判はアテナの勝ちとし、怒ったポセイドンはトリアシオン平野を海に沈めた。 (3.14.1)
- ヘロドトスは住民の呼び名の変遷を、クラナオイ、ケクロピダイ、アテナイ人、イオニア人と並べる。アポロドーロスでは、もとアクテと呼ばれた土地を、ケクロプスが自分の名にちなんでケクロピアと呼んだ。 (ヘロドトス 8.44、アポロドーロス 3.14.1)
- アポロドーロスによれば、土地がアテナのものとされたのは、先にオリーブを植えたのがアテナだとケクロプスが証言したためで、アテナは町を自分の名にちなんでアテナイと名づけた。オリーブは今もパンドロセイオンに示されている、とも書く。 (3.14.1)
- 関係: owned_by → athena (アポロドーロス 3.14.1 十二神がアテナに土地を与えた。ヘロドトス 8.55)
- 関係: visited_by → poseidon (アポロドーロス 3.14.1 アクロポリスに三叉の矛を打ちつけて海水の泉を湧かせた。敗れてトリアシオン平野を水浸しにする。パウサニアス 1.26.5(矛の跡と海水))
- 関係: ruled_by → cecrops (アポロドーロス 3.14.1、ヒュギヌス 48)
- 関係: ruled_by → erichthonius (アポロドーロス 3.14.6、ヒュギヌス 48)
- 関係: ruled_by → erechtheus (『イリアス』2.546-551、アポロドーロス 3.15.1)
- 関係: ruled_by → aegeus (アポロドーロス 3.15.5-6、ヒュギヌス 48)
- 関係: visited_by → medea (『メデイア』663-758 アイゲウスに避難先を約束させる。アポロドーロス 1.9.28)
- 関係: visited_by → boreas (イリソス川のほとりでオレイテュイアをさらう。『パイドロス』229b-c、アポロドーロス 3.15.2)
アトラス
- アポロドロスは母をオケアノスの娘アシアとする。父がイアペトスで兄弟がプロメテウスたちである点はヘシオドスと同じ。 (1.2.3)
- アポロドロスでは、ヘラクレスはプロメテウスの助言に従い、自分でヘスペリデスの林檎を取りに行かず、天をいったん肩代わりしてアトラスに取りに行かせる。戻ったアトラスが天を背負い直すのを嫌がると、ヘラクレスは「頭に当て物をする間だけ持ってくれ」と頼んで天を返し、林檎を拾って去る。自分で蛇を殺して取ったという別伝も併記される。 (2.5.11)
- アトラスの娘たちは系譜の要所に顔を出す。プレイアデスの一人マイアはゼウスとのあいだにヘルメスを産み、同じくエレクトラはダルダノスを産んで、トロイア王家の祖となる。ヘシオドスも「アトラスの娘マイア」をヘルメスの母とする。 (アポロドロス 3.10.1-2, 3.12.1。『神統記』938)
- 関係: enemy → herakles (2.5.11 金の林檎を取りに来たヘラクレスに天を預け、林檎を取ってくるが、策略で再び天を背負わされる)
アトレウス
- アポロドーロスの摘要では、王権の印である黄金の仔羊をめぐって兄弟が争う。妻アエロペが情人テュエステスに仔羊を渡し、テュエステスが王位を得るが、ゼウスが太陽の進路を逆に回してアトレウスの正当性を示す。 (摘要 2.10-2.12)
- アトレウスは和解を装ってテュエステスを招き、その三人の子を殺して料理し、父親に食べさせた。食べ終えてから手足を見せ、国外に追った。アイスキュロス『アガメムノン』ではアイギストス自身がこの話を語り、自分の復讐の理由として示す。 (摘要 2.13 / 『アガメムノン』1583-1602)
- この所業は、タンタロスの罪、ペロプスがミュルティロスにかけられた呪いに続く「アトレウス家の呪い」の一段として語られる。アガメムノンの殺害も、オレステスの母殺しも、この連鎖の続きとして説明される。 (摘要 2.1-2.14 / 『アガメムノン』1468-1512)
- テュエステスは仕返しの方法を神託に問い、自分の娘との間に子をもうけよと言われてアイギストスをもうける。成長したアイギストスはアトレウスを殺し、テュエステスを王位に戻した。 (摘要 2.14)
- 関係: ruler → mycenae (『イリアス』2.105-108、アポロドーロス摘要 2.11-2.12)
アッティカ
- 大地から生まれ、人と蛇の混じった体を持つケクロプスがアッティカ最初の王で、それまでアクテと呼ばれた土地を自分の名からケクロピアと名づけた。 (3.14.1)
- ケクロプスの時代、ポセイドンはアクロポリスの真ん中を三叉の矛で打って海(エレクテイスと呼ばれる)を湧かせ、アテナはケクロプスに見届けさせてオリーブを植えた。ゼウスが立てた十二の神々の裁きで、先にオリーブを植えたと証言されたアテナのものとなり、怒ったポセイドンはトリアの平野を水浸しにし、アッティカを海の下に沈めた。 (3.14.1)
- パンディオン王の時代にデメテルとディオニュソスがアッティカに来た。デメテルはエレウシスでケレオスに迎えられ、ディオニュソスはイカリオスにもてなされて、ぶどうの枝と酒づくりを教えた。イカリオスが羊飼いたちに酒を振る舞うと、水で割らずに飲んだ彼らは魔法をかけられたと思って彼を殺し、翌朝事情を悟って葬った。 (3.14.7)
- 父を探す娘エリゴネに、イカリオスに付き従っていた飼い犬マイラが亡骸のありかを示し、エリゴネは父を嘆いて首を吊った。 (3.14.7)
- 関係: owned_by → athena (3.14.1)
- 関係: visited_by → poseidon (3.14.1)
- 関係: ruled_by → cecrops (3.14.1)
- 関係: visited_by → dionysus (3.14.7)
- 関係: visited_by → demeter (3.14.7)
アウゲイアス
- アポロドーロスでは、第五の難業は、アウゲイアスの家畜の糞を一日で運び出すこと。アウゲイアスはエリスの王で、ヘリオスの子、ポセイドンの子、ポルバスの子と諸説ある。ヘラクレスはエウリュステウスの命令であることを隠して、家畜の十分の一を報酬に一日で片づけると申し出た。息子ピュレウスを証人に立て、囲いの土台に穴をあけ、近くを流れるアルペイオス川とペネイオス川の流れを変えて引き込み、別の出口から流し出した。 (2.5.5)
- アポロドーロスでは、それがエウリュステウスの命令だったと知ったアウゲイアスは報酬を払わず、約束も否定して裁きにかけた。ピュレウスが父に不利な証言をすると、アウゲイアスは投票の前にピュレウスとヘラクレスをエリスから追放した。ピュレウスはドゥリキオンへ移り、ヘラクレスはオレノスのデクサメノスのもとへ行った。エウリュステウスも、報酬目当ての仕事だとしてこの難業を十の中に数えなかった。 (2.5.5、2.5.11)
- アポロドーロスでは、ヘラクレスはのちにアルカディアの軍と志願者を率いてアウゲイアスを攻める。アウゲイアスは、兄弟アクトルの子で二人が一つにつながったモリオネ(エウリュトスとクテアトス)を将とした。ヘラクレスは病のため休戦し、その隙を突かれて多くを失ったが、のちにイストモス祭へ向かうモリオネをクレオナイで待ち伏せて殺し、エリスを落としてアウゲイアスと息子たちを殺した。ピュレウスを呼び戻して王位を与え、オリュンピア競技を催した。 (2.7.2)
- アポロニオス『アルゴナウティカ』では、ヘリオスの子とうわさされるエリスの王アウゲイアスが、富を誇りつつ、コルキスの地とその王アイエテスをひと目見たいと願ってアルゴ船に加わる。コルキスでは、テラモンとともにイアソンに従ってアイエテスの館へ行く。アポロドーロスのアルゴナウタイの名簿にも「ヘリオスの子アウゲイアス」がいる。 (アポロニオス1.172-175、3.196-198、3.440、アポロドーロス1.9.16)
- 英語の形容詞 Augean(ひどく汚い)は1590年代から使われ、ヘラクレスの難業の「アウゲイアスの家畜小屋」に由来する。etymonline は、小屋には3,000頭の牛がいて30年間掃除されていなかったとし、名はおそらく auge(輝き、日の光)からと説明する。アポロドーロスとパウサニアスの話には、この頭数と年数は出てこない。 (etymonline「Augean」(2026年9月閲覧)、アポロドーロス2.5.5、パウサニアス5.1.9-10)
- 関係: child → helios (アポロドーロス1.9.16、2.5.5(ほかにポセイドンの子、ポルバスの子とする説も併記)、アポロニオス1.172-173(「うわさでは」ヘリオスの子))
- 関係: child → poseidon (2.5.5 ポセイドンの子とする説)
- 関係: participated_in → twelve-labors (2.5.5 第五の難業(のちにエウリュステウスが数に入れない))
- 関係: enemy → herakles (アポロドーロス2.5.5、2.7.2、『オリュンピア祝勝歌』10.24-42、パウサニアス5.1.10-5.3.1)
- 関係: killed_by → herakles (2.7.2 エリスを落としたヘラクレスがアウゲイアスと息子たちを殺す。パウサニアス5.3.1、5.3.3 では許されて老いて死ぬ)
- 関係: member_of → argonauts (アポロニオス1.172-175、3.197、3.440、アポロドーロス1.9.16)
ベレロポン
- アポロドーロスではステネボイア。同じ役の女性に二つの名がある。 (2.3.1)
- ベレロポンの子ヒッポロコスの子がグラウコス、娘ラオダメイアがゼウスとの間に生んだのがサルペドン。『イリアス』でトロイア側に立つリュキアの二大将は、どちらもベレロポンの孫にあたる。なおアポロドーロスは、サルペドンをエウロペの子(ミノスの兄弟)とする別系譜も伝える。 (『イリアス』6.196-206、アポロドーロス 3.1.1)
- アポロドーロスでは、ベレロポンは誤って兄弟を殺し、プロイトスのもとへ行って清めを受けた。そこでステネボイアに言い寄られて拒み、讒言される。 (2.3.1)
- 関係: owner → pegasus (『神統記』325、『オリュンピア祝勝歌』13.63-90、アポロドーロス 2.3.2)
- 関係: killed → chimera (『イリアス』6.179-183、『神統記』325、アポロドーロス 2.3.2(空の上から射落とす))
- 関係: enemy → amazons (『イリアス』6.186、『オリュンピア』13.87-89、アポロドーロス 2.3.2)
- 関係: grandparent → sarpedon (『イリアス』6.196-199、アポロドーロス 3.1.1 娘ラオダメイアとゼウスの子)
ボイオティア
- カドモスはデルポイで、エウロペのことは気にせず牝牛に導かれ、牛が疲れて倒れた所に町を建てよとの神託を受けた。ペラゴンの群れの牝牛の後を追うと、牛はボイオティアを横切って、いまテーバイのある場所で倒れた。 (3.4.1)
- 関係: has_member → thebes (3.4.1)
- 関係: visited_by → cadmus (3.4.1)
ボレアス
- アテナイ王エレクテウスの娘オレイテュイアを、イリソス川のほとりからトラキアへさらって妻にした。オウィディウスでは、トラキア人テレウスの悪行のせいでアテナイ側に拒まれ続け、ついに「力こそ自分にふさわしい」と力ずくでさらう。 (アポロドーロス 3.15.2、『変身物語』6.683-707)
- オレイテュイアとの間に生まれた息子ゼテスとカライスは、父譲りの翼をもち、アルゴ船の乗組員になった。 (アポロドーロス 1.9.16, 3.15.2、アポロニオス 1.211-223、『変身物語』6.711-721)
- 関係: abducted → orithyia (アポロドーロス 3.15.2、『変身物語』6.683-707、アポロニオス 1.211-218、『パイドロス』229b-c)
- 関係: visited → athens (イリソス川のほとりでオレイテュイアをさらう(『パイドロス』229b-c、アポロドーロス 3.15.2)。のちに同じ川のほとりに聖域が設けられる(ヘロドトス 7.189))
カドモス
- アポロドーロスの形: 妹探しをあきらめてデルポイで神託を問うと、「エウロペのことは詮索するな。牝牛について行き、牛が疲れて倒れた所に町を建てよ」と告げられる。ポキスを抜け、ボイオティアを通った牛が伏したのが今のテーバイの地だった。 (3.4.1。オウィディウス Met. 3.10-25 もほぼ同じ筋(ボイオティアの名を牛 bos に結びつける))
- 牛をアテナに捧げるため水を汲みに行かせると、アレスの泉を守る竜(アレスの子とも)が従者たちを殺す。カドモスは竜を倒し、アテナの勧めでその歯を地にまく。武装した男たちが生え出て互いに殺し合い、生き残った5人(エキオン、ウダイオス、クトニオス、ヒュペレノル、ペロロス)が「まかれた者(スパルトイ)」としてテーバイの名家の祖になった。竜を殺した償いとして、カドモスは「永遠の一年」、つまり8年間アレスに仕えた。 (3.4.1-2 / Met. 3.26-130)
- ゼウスはアレスとアプロディテの娘ハルモニアを妻に与え、神々がみな天を離れてカドメイア(テーバイの城砦)で婚礼を祝った。カドモスが花嫁に贈った衣と、ヘパイストス作の首飾りは、のちにテーバイ攻めの因縁となる品として語り継がれる。首飾りの贈り主については、ヘパイストスがカドモスに与えたという説と、エウロペがゼウスからもらったものだとするペレキュデスの説がある。 (3.4.2)
- 晩年、カドモスとハルモニアはテーバイを去ってイリュリアへ行き、そこで王となる。最後は二人とも蛇(竜)に変えられた。アポロドーロスでは、ゼウスが蛇になった二人をエリュシオンの野へ送る。オウィディウスでは、一族の不幸の原因は自分が殺したアレスの竜ではないかと嘆くカドモスが、そのまま蛇になり、妻も後を追って蛇になる。 (3.5.4 / Met. 4.563-603)
- ゼウスが牡牛に化けてエウロペをクレタへ連れ去ると、父アゲノルは息子たちに妹を見つけるまで帰るなと命じた。カドモスは母テレパッサとトラキアに住み、母の死後デルポイで神託を問うた。 (3.1.1、3.4.1)
- カドモスの娘セメレはゼウスの雷に打たれて死に、イノはヘラに狂わされて息子メリケルテスとともに海に身を投げ、アウトノエの子アクタイオンは鹿に変えられて自分の犬に食われた。一族には不幸が続く。 (3.4.3-4)
- 関係: sibling → europa (3.1.1 / Met. 3.1-9 父アゲノルに妹を見つけるまで帰るなと命じられる)
- 関係: creator → thebes (3.4.1 / Met. 3.10-130 牝牛が伏した場所に町を建てる)
- 関係: ruler → thebes (3.4.2 アレスへの奉仕のあと、アテナが王位を整える)
- 関係: enemy → ares (3.4.1-2 アレスの泉を守る竜を殺し、償いに8年間アレスに仕える / Met. 3.31-98)
- 関係: advisee → athena (3.4.1 竜の歯をまけと勧める / Met. 3.101-105)
- 関係: parent → ino-leucothea (『神統記』975-978 /『オデュッセイア』5.333「カドモスの娘イノ」/ 3.4.2)
- 関係: visited → elysium (3.5.4 ハルモニアとともに蛇に変えられ、ゼウスにエリュシオンの野へ送られる)
- 関係: grandparent → actaeon (アポロドーロス 3.4.4、『神統記』977 娘アウトノエの子)
カルカス
- 役割は後代の伝承ほど増える。アポロドーロスの摘要では、ヘラクレスの弓が無ければ城は落ちないと告げてピロクテテスを呼び戻させ、ヘレノスが城を守る神託を知っていると言い当てる。木馬を思いつくのは摘要ではオデュッセウスだが、クイントゥスでは「もう力攻めはやめて計略に移れ」と最初に進言するのがカルカスになる。 (摘要 5.8(ヘラクレスの弓)、5.9(ヘレノスが神託を知ると告げる)。ネオプトレモスを呼ぶ条件を告げるのはヘレノス自身(摘要 5.10)/ クイントゥス『トロイア戦記』12.1-20)
- 自分より優れた占い師に出会えば死ぬと予言されていた。戦後コロポンで、アポロンとマントの子モプソスと占いを競い、野生の無花果の実の数と孕んだ豚の子の数を当てられて負け、悲嘆のうちに死んだ。 (摘要 6.2-6.4)
- アポロドーロスによれば、アキレウスが9歳のとき、カルカスはアキレウス抜きではトロイアは落ちないと告げた。そこでテティスは息子に女の服を着せて隠した。 (3.13.8)
- コロポンで予言者モプソスと競い、カルカスが野生のいちじくの実の数を問うとモプソスは「一万と一升と一つ」と答えて的中させた。モプソスが孕んだ豚の子の数を問うと、カルカスは8匹と答えたが、モプソスは9匹、すべて雄で翌日の第六時に生まれると言い、その通りになった。カルカスは悲嘆のうちに死んだ。 (摘要 6.3-4)
カリオペ
- アポロドロスによれば、カリオペはオイアグロスとのあいだに(名目上はアポロンの子として)リノスとオルペウスを産んだ。リノスは竪琴の師としてヘラクレスに殺され、オルペウスは歌で石や木を動かした。トラキア王レソスの母もカリオペだとする説があるという。 (1.3.2, 1.3.4)
- 関係: parent → orpheus (1.3.2 オイアグロスとのあいだに(名目上はアポロンの子として)オルペウスを産む)
カリスト
- 出自は出典で割れる。アポロドーロスのまとめでは、エウメロスらはアルカディア王リュカオンの娘、ヘシオドスはニンフの一人、アシオスはニュクテウスの娘、ペレキュデスはケテウスの娘とする。オウィディウスはリュカオンの娘とし、熊になった彼女が狼を恐れる場面に「父がその中にいるのに」と添える(リュカオンは狼に変えられていた)。 (3.8.2 / Met. 2.495(リュカオンの狼への変身は Met. 1.209-243))
- アポロドーロスは、誰が熊にし、誰が殺したかの異説を並べる。ゼウスがヘラの目を逃れるために熊に変え、ヘラがアルテミスをそそのかして野獣として射させた、という説。アルテミス自身が、処女を守らなかったことに怒って射た、という説。ゼウスが化けたのもアルテミスとする説とアポロンとする説がある。死後、ゼウスは子をアルカディアでマイアに育てさせ、カリストを星にして「熊」と名付けた。 (3.8.2)
- 関係: lover → zeus (3.8.2 / Met. 2.409-440 アルテミスの姿に化けて近づく)
- 関係: companion → artemis (3.8.2 同じ装いで狩りに従い、処女を守ると誓う / Met. 2.409-416, 2.441-465)
- 関係: killed_by → artemis (3.8.2 異伝: ヘラにそそのかされて、または誓いを破ったために、アルテミスが熊を射殺す)
- 関係: enemy → hera (Met. 2.466-495 ヘラ(ユノ)が熊に変える / 3.8.2 熊を射させる)
カリュドン
- アルゴス近郊のオイノエという地名は、カリュドンを追われたオイネウスにちなむとアルゴス人は言う。王位を奪われたオイネウスを孫ディオメデスがアルゴスに迎え、死後その地に葬ったためだという。 (2.25.2 / 1.8.6)
- 関係: ruled_by → oeneus (『イリアス』9.533-540, 14.115-117 / 1.8.1)
カリュドンの猪狩り
- アポロドーロスの名簿(1〜2世紀): 出身地つきで並べる。カリュドンからメレアグロスとドリュアス、メッセネからイダスとリュンケウス、スパルタからカストルとポリュデウケス、アテナイからテセウス、ペライからアドメトス、アルカディアからアンカイオスとケペウス、イオルコスからイアソン、テーバイからイピクレス、ラリッサからペイリトオス、プティアからペレウスとエウリュティオン、サラミスからテラモン、アルカディアからアタランテ、アルゴスからアンピアラオス、それにテスティオスの息子たち。アルゴナウタイの顔ぶれと大きく重なる。 (1.8.2。アルゴナウタイの名簿は 1.9.16)
- アポロドーロス、オウィディウス、ヒュギヌス、テゲアの神殿破風(パウサニアスの記録)の4つを突き合わせると、すべてに名があるのはメレアグロス、アタランテ、カストルとポリュデウケス、テセウス、ペレウス、テラモン、アンカイオスの8人と、テスティオスの息子たち(アルタイアの兄弟)。ネストルはオウィディウスだけ、アスクレピオスはヒュギヌスだけに出てくる。後代の作家ほど、別の物語で有名な英雄を名簿に加えていったことがうかがえる。 (1.8.2 / Met. 8.299-317 / 173 / 8.45.6-7 を照合した本サイトの集計。イリアス 9.543-546 とバッキュリデス 5 には名簿自体が無い)
- メレアグロスが生まれて7日目、運命の女神たちが「炉で燃えている薪が燃え尽きたときこの子は死ぬ」と告げ、母アルタイアは薪を取り出して箱にしまった。兄弟を殺されたアルタイアがその薪を燃やすと、メレアグロスはたちまち息絶えた。 (1.8.2-3)
- メレアグロスが猪の皮をアタランテに与えると、テスティオスの息子たち(母の兄弟)は、女が男を差し置いて賞を得ることを侮りとし、メレアグロスが取らないなら血筋から自分たちのものだと皮を取り上げた。メレアグロスは彼らを殺して皮をアタランテに返した。 (1.8.2-3)
- 関係: has_episode → oeneus (発端。『イリアス』9.533-537 収穫の初穂をアルテミスにだけ捧げなかった / 1.8.2 / Met. 8.273-283)
- 関係: participant → artemis (猪を送った女神。『イリアス』9.538-542 / バッキュリデス 5.97-110 / 1.8.2 / Met. 8.279-283)
- 関係: has_episode → meleager (猪を仕留める。『イリアス』9.543-546「多くの町から狩人と犬を集めて」/ 1.8.2 脇腹を突いて / Met. 8.414-424)
- 関係: has_episode → atalanta (最初に矢を当て、皮を贈られる。1.8.2 / Met. 8.380-387, 8.425-431。ホメロスとバッキュリデスには出てこない)
- 関係: has_episode → althaea (結末。兄弟を殺された母が運命の薪を燃やす。バッキュリデス 5.136-144 / 1.8.3 / Met. 8.445-525)
- 関係: participant → castor (1.8.2 / Met. 8.301-302 / 『神話伝説集』173 / 8.45.7 テゲアの破風)
- 関係: participant → polydeuces (1.8.2 / Met. 8.301-302 / 173 / 8.45.6 テゲアの破風)
- 関係: participant → theseus (1.8.2 / Met. 8.268-271, 8.303, 8.403-410 / 173 / 8.45.6)
- 関係: participant → peleus (1.8.2 投げ槍でエウリュティオンを誤って殺す / Met. 8.309「偉大なアキレウスの父」 / 173 / 8.45.6)
- 関係: participant → jason (1.8.2 / Met. 8.302, 8.411-413 投げた槍が外れて犬に当たる / 173。テゲアの破風(パウサニアス 8.45.6-7)には名が無い)
- 関係: participant → amphiaraus (1.8.2 猪の目を射る / Met. 8.316-317「まだ妻から無事なオイクレスの子」/ 8.45.7。ヒュギヌス173の名簿には無い)
- 関係: participant → admetus (1.8.2 ペライから / Met. 8.310「ペレスの子」/ 173)
カリュプソ
- 異伝: ホメロスは二人の間の子に触れないが、ヘシオドス『神統記』ではナウシトオスとナウシノオスを産んだとされ、アポロドーロスの摘要ではラティノスを産んだとされる。 (『神統記』1017-1018、アポロドーロス Epit. 7.24)
カパネウス
- 雷に打たれる場面: エウリピデス『フェニキアの女たち』では、長い梯子を担いで「ゼウスの聖なる火さえ町の破壊を止められない」と叫びながら、盾で石を防いで一段ずつ登り、胸壁を越えようとした瞬間に雷に打たれる。手足は四方へ飛び散り、燃える体が地に落ちた。パウサニアスによれば、テーバイ人は彼が打たれたのをプラタイアからの入口にあたるエレクトラの門だとしていた。 (1172-1186 / 3.6.7 / 9.8.7)
- 妻エウアドネ: ゼウスに打たれた者として、カパネウスは他の死者とは別に葬られる。妻エウアドネ(イピスの娘)は、夫の火葬の火を見下ろす岩に現れ、父イピスが止めるのも聞かず、夫と同じ墓に入るため火の中へ身を投げる。アポロドーロスも同じ結末を伝える。 (『嘆願する女たち』934-938, 980-1071 / 3.7.1)
- 家系: アポロドーロスはヒッポノオスの子とする。パウサニアスはデルポイのアルゴス人の奉納像の説明で、カパネウスとエテオクロスを「プロイトスの子孫」と呼ぶ。ヒュギヌスは母をアドラストスの姉妹アステュノメとし、カパネウスをアドラストスの甥にあたる人物とする。 (3.6.3 / 10.10.3 / 『神話伝説集』70)
- 蘇りの異伝: アポロドーロスは医神アスクレピオスが死者を蘇らせた例を集め、ステシコロス(前6世紀)の詩『エリピュレ』によれば、その中にカパネウスとリュクルゴスがいたと記す。 (3.10.3。ステシコロスの断片そのものは未確認)
- 関係: participated_in → seven-against-thebes (『七将』422-451 / 1128-1133, 1172-1186 / 3.6.3, 3.6.7 /『コロノスのオイディプス』1318-1319)
- 関係: killed_by → zeus (雷に打たれる。『フェニキアの女たち』1180-1186 / 3.6.7 /『嘆願する女たち』934)
カッサンドラ
- アポロンに求愛され、予言の力と引き換えに応じると約束しながら拒んだため、「予言は当たるが誰にも信じられない」呪いをかけられた。この経緯が語られる最も古い明確な典拠はアイスキュロス『アガメムノン』。 (『アガメムノン』1202-1212、アポロドーロス 3.12.5)
- 落城の夜、アテナの神像にすがったところを小アイアスに襲われる。『イリオスの陥落』要約では神像ごと引き剥がしたとされ、アポロドーロスは神像にすがる彼女を辱めたと書く。この冒涜がギリシャ勢の帰路(ノストイ)の災いの原因とされる。 (『イリオスの陥落』要約、アポロドーロス摘要 5.22, 6.6)
- 関係: child → hecuba (3.12.5)
- 関係: sibling → helenus (3.12.5。二人とも予言の力を持つ双子とする伝えもある)
- 関係: abducted_by → ajax-the-lesser (『イリオスの陥落』要約、アポロドーロス摘要 5.22。アテナの神像から引き剥がされる)
カシオペイア
- アポロドーロスでは、ケペウスの妃カッシエペイアがネレイス(海のニンフ)たちと美しさを競い、誰よりも美しいと誇った。ネレイスたちが怒り、ポセイドンも怒りに加わって洪水と怪物を送る。アンモンの神託が、娘アンドロメダを怪物の餌食にすれば救われると告げ、ケペウスはエチオピアの民に迫られて娘を岩に縛った。 (2.4.3)
- 関係: parent → andromeda (アポロドーロス2.4.3、『変身物語』4.738、ヒュギヌス64)
- 関係: rival → nereids (アポロドーロス2.4.3 美しさを競い、誰よりも美しいと誇る。ヒュギヌス『天文譜』2.10)
- 関係: punished_by → poseidon (2.4.3 ネレイスの怒りに加わったポセイドンが洪水と怪物を送る。『神話集』64 ではネプトゥヌスがアンドロメダを求める)
- 関係: parent_in_law → perseus (アポロドーロス2.4.3、『変身物語』4.736-738 ペルセウスを婿として迎える)
カストル
- 死因として広く伝わるのは、イダスとリュンケウスの兄弟との牛をめぐる争い。カストルはイダス(あるいはリュンケウス)に討たれ、ポリュデウケスだけが不死ゆえに残される。 (アポロドーロス 3.11.2 / ピンダロス『ネメア祝勝歌』10.55-90)
- テセウスが少女ヘレネをさらってアピドナイに連れ去ると、テセウスが冥界にいる間に、カストルとポリュデウケスは町を攻め落としてヘレネを取り戻し、テセウスの母アイトラを捕虜にした。 (3.10.7、摘要1.23)
- アパレウスの子イダス、リュンケウスと牛を奪ったとき、分配を任されたイダスは牛を四つに切り、先に食べ終えた者が半分を取ると言って、自分と兄弟の分を平らげて牛を持ち去った。待ち伏せの際、地中まで見通すリュンケウスがカストルを見つけ、イダスが討った。 (3.10.3、3.11.2)
- 関係: child → tyndareus (『オデュッセイア』11.298-300、アポロドーロス 3.10.7)
- 関係: sibling → clytemnestra (3.10.7)
- 関係: participated_in → sparta (3.10.5-3.10.7。スパルタ王家の子として)
ケクロプス
- アポロドーロスは、ケクロプスを大地から生まれた者(アウトクトン)で、人と蛇の混じった体をもつアッティカ最初の王とする。以前アクテと呼ばれた土地を、彼にちなんでケクロピアと呼ぶようになった。 (3.14.1)
- ケクロプスの時代に、アテナとポセイドンがアッティカを争った。ゼウスが立てた十二神の審判は、ケクロプスが「アテナが先にオリーブを植えた」と証言したのを受けてアテナの勝ちとした。アポロドーロスは、審判をケクロプスとクラナオス、あるいはエリュシクトンとする説があることにも触れ、それを退けている。 (3.14.1)
- 妻アグラウロスとの間に、息子エリュシクトンと、アグラウロス・ヘルセ・パンドロソスの3人の娘がいた。アテナは赤子エリクトニオスを入れた箱をこの娘たちに預け、開けるなと命じたが、娘たちは開けてしまう。 (アポロドーロス 3.14.2, 3.14.6、『変身物語』2.552-561)
- アテナイの王の系図には、同じ名のケクロプスがもう一人いる。エレクテウスの長男で、父の跡を継いで王になった。 (3.15.5)
- ポセイドンは最初にアッティカに来て、アクロポリスの中央を三叉の矛で打ち、いまエレクテイスと呼ばれる海を湧き出させた。アテナはケクロプスを証人に呼んでオリーブを植え、その木はパンドロセイオンに今も示されている。土地を得られなかったポセイドンは怒ってトリアの平野を水浸しにし、アッティカを海に沈めた。 (3.14.1)
- 箱を開けてエリクトニオスに巻きつく蛇を見た娘たちは、蛇に殺されたとも、アテナの怒りで狂ってアクロポリスから身を投げたともいう。 (3.14.6)
- 関係: child → gaia (アポロドーロス 3.14.1「大地から生まれ、人と蛇の混じった体をもつ」。ヒュギヌス 48「大地(テラ)の子ケクロプス」)
- 関係: ruler → athens (アポロドーロス 3.14.1 アッティカ最初の王。ヒュギヌス 48 アテナイ王の名簿の最初)
- 関係: judge → athena (3.14.1。アテナが先にオリーブを植えたと証言し、アテナの勝ちの根拠になった)
- 関係: grandparent → cephalus (3.14.3。娘ヘルセとヘルメスの子ケパロス(曙の女神にさらわれる)。アポロドーロスは、プロクリスの夫のケパロス(デイオンの子、3.15.1)と別の人物として書いている)
- 関係: parent_in_law → hermes (アポロドーロス 3.14.3 娘ヘルセがヘルメスの子を産む。『変身物語』2.708-832 ではヘルセに恋したメルクリウスを姉アグラウロスが妨げ、石にされる)
ケンタウロス族
- アポロドーロスは、ケイロンをクロノスとピリュラの子の「二つの姿のケンタウロス」とし、イクシオンの一族とは別の出自にしている。 (1.2.4)
- エリュマントスの猪を捕らえに行くヘラクレスを、シレノスの子のケンタウロスのポロスがもてなし、客には焼いた肉を、自分は生肉を食べた。一族共有の酒壺をヘラクレスが開けると、匂いを嗅いだケンタウロスたちが岩と樅の木を手に襲来し、ヘラクレスは火のついた薪と矢で撃退した。 (2.5.4)
- 逃げたケンタウロスたちはマレアのケイロンのもとへ逃げ込み、ヘラクレスの矢がエラトスの腕を貫いてケイロンの膝に刺さった。傷は治らず、不死のケイロンは死ねなかったが、プロメテウスが代わりに不死となることを申し出て、ケイロンは死んだ。ポロスは、死体から抜いた矢を足に落として死んだ。 (2.5.4)
- エウエノス川で渡し守をしていたケンタウロスのネッソスは、デイアネイラを運ぶ途中で襲おうとして、ヘラクレスに心臓を射抜かれた。死に際に、自分の血と精をまぜれば夫の心をつなぐ媚薬になるとデイアネイラに教える。 (2.7.6)
- 関係: has_member → chiron (『イリアス』11.832「最も正しいケンタウロス」、アポロドーロス1.2.4)
- 関係: enemy → herakles (2.5.4、2.7.6)
- 関係: enemy → deianira (2.7.6 ネッソスが渡河の途中で襲う)
ケパロス
- アポロドーロスには二人のケパロスがいる。一人はヘルメスとケクロプスの娘ヘルセの子で、曙の女神に愛されてさらわれ、シリアで息子ティトノスをもうけた(エオスの夫になるトロイア王家のティトノスとは別人)。もう一人はデイオンの子で、エレクテウスの娘プロクリスの夫。 (3.14.3(ヘルメスの子)、3.15.1(デイオンの子))
- プロクリスから贈られた犬は、どんな獲物でも捕らえる犬で、テーバイを荒らしたテウメッソスの女狐の退治に使われた。決して捕まらない狐と、決して逃さない犬の追いかけっこは、ゼウスが両方を石に変えて終わらせた。 (アポロドーロス 2.4.7、『変身物語』7.790-792(二つの大理石に変わる))
- アポロドーロスでは、狩りの最中に知らずにプロクリスを槍で死なせたケパロスは、アレイオス・パゴスで裁かれ、永久追放の刑を受けた。 (3.15.1)
- 関係: spouse → procris (アポロドーロス 3.15.1、『変身物語』6.681-682, 7.690-862)
- 関係: killed_unintentionally → procris (アポロドーロス 3.15.1(狩りの最中に知らずに槍で)、『変身物語』7.835-862)
- 関係: abducted_by → eos (アポロドーロス 3.14.3(ヘルメスとヘルセの子のケパロスとして)。『変身物語』7.700-713 ではプロクリスの夫が、結婚して間もなくヒュメットス山でアウロラにさらわれる)
- 関係: lover → eos (『神統記』986-987 エオスはケパロスとの間にパエトンを産む。アポロドーロス 3.14.3)
- 関係: child → hermes (3.14.3。ヘルメスとケクロプスの娘ヘルセの子。アポロドーロスはプロクリスの夫(デイオンの子)とは別人として書く(claim 参照))
ケルベロス
- 悲劇やアポロドーロス以降は3つの頭が普通になる。アポロドーロスは「犬の頭が3つ、竜の尾、背中には様々な蛇の頭」と描く。オウィディウスも「三つの吠え声」と書く。 (エウリピデス『ヘラクレス』24(三つの体)、611(三つの頭)、アポロドーロス 2.5.12、オウィディウス『変身物語』7.414)
- ハデスは「持っている武器を使わずに制するなら連れて行ってよい」と条件をつけた。ヘラクレスは獅子の皮をまとい、尾の竜に噛まれながら首を抱えて屈服させ、エウリュステウスに見せたあと冥界へ返した。 (2.5.12)
- 関係: abducted_by → herakles (『オデュッセイア』11.623-625、『イリアス』8.366-368、アポロドーロス 2.5.12)
- 関係: participated_in → twelve-labors (2.5.12 第十二の功業)
ケユクス
- アポロドーロスの形: 明けの明星の子ケユクスは、アイオロスの娘アルキュオネを妻とした。二人は思い上がりから、夫は妻をヘラと、妻は夫をゼウスと呼んだので、ゼウスが二人を鳥に変えた。妻はアルキュオン(カワセミ)に、夫はケユクスという鳥になった。 (1.7.4)
- アポロドーロスでは、トラキスのケユクスはヘラクレスの友でもある。カリュドンを去ったヘラクレスは妻デイアネイラを連れてケユクスのもとに身を寄せ、ケユクスの子ヒッパソスはヘラクレスとともにオイカリア攻めで戦死した。ヘシオドスに帰される『ケユクスの結婚』という詩があり、ヘラクレスがケユクスの婚礼の宴を訪れる話だったとされる。オウィディウスもトラキスを「ヘラクレスの町」と呼ぶ。 (アポロドーロス 2.7.6-7 / Met. 11.627「ヘラクレスのトラキス」。『ケユクスの結婚』はアポロニオス古注 1.128 等に引かれる断片のみで、内容は未確認)
- 関係: spouse → alcyone (Met. 11.410-748 / 1.7.4)
- 関係: visited_by → herakles (2.7.6-7 カリュドンを追われたヘラクレスがデイアネイラを連れてトラキスのケユクスのもとへ行き、2.8.1 ヘラクレスの死後、子らもケユクスを頼る)
キマイラ
- 『イリアス』16巻には、キマイラを育てたのはアミソダロスという人物で、その息子たちがトロイア側で戦ったとある。怪物に「飼い主」がいたという珍しい伝え。 (『イリアス』16.328-329。アポロドーロス 2.3.1 もホメロスを引いてこれに触れる)
- アポロドーロスはヘシオドスを引いて、テュポンがエキドナに生ませた子とする。一体で三匹の獣の力をもち、真ん中の山羊の頭から火を吐いた。 (2.3.1)
- 関係: killed_by → bellerophon (『イリアス』6.179-183、『神統記』325、アポロドーロス 2.3.2)
- 関係: child → typhon (2.3.1「ヘシオドスの言うようにテュポンがエキドナに生ませた」)
ケイロン
- 他のケンタウロスがイクシオンの子孫とされるのに対し、ケイロンはクロノスとピリュラの子とされる。そもそも血筋が違うから、彼だけが粗暴でなく賢いという説明になっている。 (1.2.4)
- 後代の伝承では、アスクレピオス(医術)、イアソン、アクタイオン、そしてアキレウスなど、多くの英雄の養育者・教師として名前が挙がる。医術の起源を彼に結びつける伝承も多い。 (アポロドーロス 3.4.4, 3.13.6 / ピンダロス『ピュティア祝勝歌』4.102-103, 『ネメア祝勝歌』3.43-53)
- ヘラクレスがケンタウロスたちと争った際、ヒュドラの毒を塗った矢が誤って彼に当たる。不死のために死ぬこともできず、痛みに苦しみ続けた末に不死を手放して死んだとされる。癒す者が自分の傷だけは癒せないという形になっている。 (2.5.4)
- ペレウスが赤子アキレウスを連れて来ると、ケイロンは獅子や猪の臓物と熊の髄を食べさせて育て、乳房(χείλη)に唇を付けなかったのでアキレウスと名付けた。それまでの名はリギュロンだった。 (3.13.6)
- ヘラクレスがケンタウロスたちを追ってマレアに至ると、彼らはケイロンのもとに逃げ込んだ。ヘラクレスの矢はエラトスの腕を貫いてケイロンの膝に刺さり、ヘラクレスは矢を抜いてケイロンの薬を塗ったが治らなかった。死を願っても不死ゆえに死ねず、プロメテウスが代わりに不死となることをゼウスに申し出て、ケイロンは死んだ。 (2.5.4)
- 関係: child → kronos (1.2.4。クロノスとオケアノスの娘ピリュラの子とされ、他のケンタウロスとは出自が異なる)
クリュサオル
- アポロドーロスでも、首が斬られるとゴルゴン(メドゥーサ)から翼の馬ペガソスと、ゲリュオンの父クリュサオルが飛び出し、どちらもポセイドンの子とされる。ゲリュオンは、腰で一つにつながり脇腹と腿から三つに分かれた三人の男の体をもち、オケアノスの近くの島エリュテイア(今のガデイラ)に住んでいた、と書かれる。 (2.4.2、2.5.10)
- 関係: child → medusa (『神統記』280-281 首を斬られたメドゥーサから生まれる。アポロドーロス2.4.2、ヒュギヌス151)
- 関係: child → poseidon (『神統記』278-279(「黒髪の神」)、アポロドーロス2.4.2、ヒュギヌス151)
- 関係: sibling → pegasus (『神統記』280-283、アポロドーロス2.4.2、『変身物語』4.785-786(名は出さず「その兄弟」))
キニュラス
- アポロドーロスの系譜: エオスにさらわれたケパロスの子孫サンドコスが、キリキアに町を建て、その子キニュラスが人々を連れてキュプロスに渡り、パポスを建てた。キュプロス王ピュグマリオンの娘メタルメを妻とし、息子オクシュポロスとアドニス、娘オルセディケ、ラオゴレ、ブライシアをもうけた。娘たちはアプロディテの怒りで異国の男たちと交わり、エジプトで生涯を終えた。 (3.14.3)
- 関係: parent → adonis (Met. 10.503-518(娘ミュラとの子)/ 3.14.3(妻メタルメとの子))
- 関係: child_in_law → pygmalion (3.14.3 キュプロス王ピュグマリオンの娘メタルメを妻とする)
- 関係: descendant → eos (3.14.3 エオスとケパロスの子ティトノス(トロイアのティトノスとは別人)→ パエトン → アステュノオス → サンドコス → キニュラス)
- 関係: descendant → cephalus (3.14.3 上と同じ系譜。ケパロスはヘルメスとヘルセの子)
キルケ
- 関係: parent → telegonus (Epit. 7.16 オデュッセウスとの間に生まれた子)
クレイオ
- アポロドロスによれば、クレイオはアプロディテがアドニスに恋したことをからかい、怒ったアプロディテによってマグネスの子ピエロスに恋させられた。二人のあいだに生まれたのが美少年ヒュアキントスで、楽人タミュリスが恋し、のちにアポロンが愛して、円盤投げの事故で死なせてしまう。 (1.3.3)
- 同じアポロドロスは、スパルタ王家の系譜を語る箇所では、ヒュアキントスをアミュクラスとディオメデの息子とし、アポロンに愛されて円盤で誤って殺されたと書く。一つの本の中で、ヒュアキントスの親がムーサのクレイオとピエロスの組と、人間の王アミュクラスの組の二通りに語られている。 (1.3.3, 3.10.3)
- 関係: parent → hyacinthus (1.3.3 マグネスの子ピエロスとのあいだにヒュアキントスを産む)
- 関係: punished_by → aphrodite (1.3.3 アドニスへの恋をからかって怒りを買い、罰として人間ピエロスに恋させられる)
クリュタイムネストラ
- レダとテュンダレオスの娘。同じ夜にゼウスとも交わったレダは、ゼウスからヘレネとポリュデウケスを、テュンダレオスからカストルと彼女を産んだとされる。つまりヘレネとは半分だけ姉妹にあたる。 (3.10.7)
- 関係: child → leda (3.10.7)
- 関係: child → tyndareus (3.10.7。ヘレネがゼウスの子とされるのに対し、彼女はテュンダレオスの子とされる)
- 関係: sibling → helen (3.10.7)
- 関係: sibling → castor (3.10.7)
- 関係: sibling → polydeuces (3.10.7)
コイオス
- アポロドロスによれば、娘アステリアはゼウスに言い寄られて鶉の姿で海に身を投げ、その名の町がのちにデロスと呼ばれるようになった。そのデロス島で、もう一人の娘レトがアルテミスとアポロンを産む。コイオスの二人の娘が、同じ島でつながっている。 (1.4.1)
- 関係: spouse → phoebe (『神統記』404-405、アポロドロス 1.2.2)
- 関係: parent → leto (『神統記』404-408、アポロドロス 1.2.2)
コルキス
- プリクソスは金の毛の雄羊に乗ってコルキス人のもとに来た。王アイエテスはヘリオスとペルセイスの子で、キルケとパシパエの兄弟にあたり、プリクソスを迎えて娘カルキオペを妻に与えた。プリクソスは雄羊を逃走の守り神ゼウスにささげ、毛皮をアイエテスに贈り、アイエテスはそれをアレスの森の樫の木に釘で打ちつけた。 (1.9.1)
- アルゴナウタイはカウカソスを過ぎてコルキスのパシス川に着いた。アイエテスは、ヘパイストスから贈られた青銅の足で火を吐く二頭の牡牛にくびきをかけ、竜の歯をまくことを毛皮の条件とした。竜の歯は、カドモスがテーバイでまいた歯の半分をアテナから得たものだった。 (1.9.23)
- アイエテスとオケアノスの娘イデュイアの娘で魔女のメデイアはイアソンに恋をし、ギリシャへ連れて行き妻にすると誓わせて、父に隠れて盾・槍・体に塗る薬を与えた。 (1.9.23)
- 関係: ruled_by → aeetes (1.9.1)
- 関係: visited_by → phrixus (1.9.1)
- 関係: visited_by → jason (1.9.23)
- 関係: visited_by → argonauts (1.9.23)
- 関係: setting_of → golden-fleece (1.9.1 アレスの森の樫の木)
コリントス
- アポロドーロスによれば、シシュポスはエピュラ(いまのコリントス)を建てた。その子グラウコスの子がベレロポンである。 (1.9.3)
- 関係: ruled_by → sisyphus (1.9.3 エピュラを開いた)
クレオン
- ホメロスでは、『オデュッセイア』11歌の冥界で、ヘラクレスの妻メガラが「心高いクレオンの娘」として出てくるだけで、クレオンがイオカステの兄弟であることも、アンティゴネとの対立も語られない。アポロドーロスでは、ヘラクレスがオルコメノスのミニュアス人を破った褒美として、テーバイ王クレオンが長女メガラを彼に与える。 (『オデュッセイア』11.269-270 / 2.4.11)
- 二度の王: 最初はライオスが殺された後。スピンクスがテーバイ人を襲い、謎を解けずに多くが食われ、最後にクレオン自身の息子ハイモンまで犠牲になったとき、クレオンは謎を解いた者に王位とライオスの妃を与えると布告した。こうしてオイディプスが王となる。二度目は、オイディプスの息子たちが相討ちで死んだ後。 (3.5.8, 3.7.1 / 『神話伝説集』67)
- 息子メノイケウスの犠牲: エウリピデス『フェニキアの女たち』では、テイレシアスが町を救うにはクレオンの息子メノイケウスを犠牲にせねばならないと告げる。クレオンは息子を逃がそうとするが、メノイケウスは父を欺いて城壁の上から竜の棲み処の上で自ら喉を突いた。アポロドーロスも、メノイケウスが門の前で自害したと伝える。 (911-1018, 1090-1092 / 3.6.7)
- 息子ハイモンの死に方は出典で違う。アポロドーロスでは、スピンクスに食われた最後の犠牲者。ソポクレスでは、アンティゴネの死を知って父に剣を向けたあと自害する。ヒュギヌスでは、アンティゴネをかくまって子までもうけたことが露見し、ヘラクレスのとりなしも実らず、アンティゴネを殺して自らも死ぬ。 (3.5.8 /『アンティゴネ』1192-1243 / 『神話伝説集』72)
- 関係: sibling → jocasta (共にメノイケウスの子。『オイディプス王』69-70 / 3.5.7-8 / 『神話伝説集』70「イオカステの兄弟クレオン」)
- 関係: parent → haemon (『アンティゴネ』626-765 / 3.5.8)
- 関係: enemy → antigone (埋葬の禁を破った彼女を岩屋に閉じ込める。『アンティゴネ』441-525, 773-780 / 3.7.1 / 72)
- 関係: uncle_aunt → polynices (3.5.7-8)
- 関係: uncle_aunt → eteocles (3.5.7-8 /『フェニキアの女たち』690-783)
- 関係: ruler → thebes (3.5.8(ライオスの死後)、3.7.1(兄弟の死後)/『アンティゴネ』162-210 / 67)
- 関係: parent_in_law → herakles (『オデュッセイア』11.269-270「心高いクレオンの娘メガラ」をヘラクレスが妻とする / 2.4.11 / 72)
- 関係: advisee → tiresias (『アンティゴネ』988-1090 /『フェニキアの女たち』834-959 息子メノイケウスを犠牲にせよと告げられる / 3.6.7)
- 関係: enemy → theseus (『コロノスのオイディプス』887-1043 / 『嘆願する女たち』/ 3.7.1 テセウスがテーバイを攻めて遺体を取り戻す)
- 関係: participated_in → seven-against-thebes (『フェニキアの女たち』690-783, 834-1018 / 3.6.7, 3.7.1)
クレタ島
- アルゴ船がクレタに近づくと、1日に3度島を巡回する青銅の番人タロスが岩を投げて上陸を阻んだ。タロスは首から踝まで一本の血管が通り、端を青銅の釘で留めていた。メデイアの魔術で倒れたとも、ポイアスが踝を射たともいう。アポロドーロスは、タロスは青銅の種族の生き残りとも、ヘパイストスがミノスに贈ったものとも伝える。 (アポロニオス 4.1638-1688、アポロドーロス 1.9.26)
- クレタは牡牛の物語が重なる島でもある。エウロペを運んだゼウスの牡牛、ミノスがポセイドンから授かり惜しんだ牡牛、その牡牛から生まれたミノタウロス、ヘラクレスが第七の功業で連れ出した「クレタの牡牛」。 (3.1.1, 3.1.3-4, 2.5.7)
- ミノスは王位の証しとしてポセイドンに海から牡牛を送るよう祈り、生贄にすると約束したが、送られた見事な牡牛を群れに加えて別の牛を捧げた。怒ったポセイドンは牛を狂暴にし、パシパエに恋心を抱かせた。ダイダロスの木の牝牛によってミノタウロスが生まれ、ミノスは神託に従ってこれを迷宮に閉じ込めた。 (3.1.3-4)
- 関係: ruled_by → minos (『オデュッセイア』19.178-179、アポロドーロス 3.1.3)
- 関係: visited_by → europa (3.1.1 牡牛に変身したゼウスがエウロペを背に乗せ、海を渡ってクレタに運ぶ)
- 関係: visited_by → daedalus (3.15.8)
- 関係: visited_by → theseus (摘要 1.8)
- 関係: visited_by → argonauts (アポロニオス 4.1638-1688 青銅の巨人タロスに上陸を阻まれる。アポロドーロス 1.9.26)
クレイオス
- アポロドロスもティタンの一人に挙げ、ポントスの娘エウリュビエとのあいだにアストライオス、パラス、ペルセスが生まれたと書く。ヘシオドスと同じ系譜。 (1.1.3, 1.2.2)
- 関係: child_in_law → pontus (妻エウリュビエはポントスとガイアの娘。『神統記』237-239, 375。アポロドロス 1.2.2 も「ポントスの娘エウリュビエ」と書く)
ダイダロス
- アポロドーロスでは、ダイダロスは自分の姉妹ペルディクスの子で弟子のタロスが、蛇の顎骨で細い棒を切った(鋸の発明)のを見て、才能で抜かれるのを恐れアクロポリスから突き落とした。アレイオス・パゴスで有罪とされ、ミノスのもとへ逃れた。 (3.15.8)
- クレタでは、牡牛に恋した王妃パシパエのために車輪付きの木の雌牛を造って牛の皮を張り、中に入れた。生まれたミノタウロスを閉じ込めるため、出口の分からない迷宮も造った。オウィディウスは、曲がりくねるマイアンドロス川のように道を入り組ませ、造った本人も入口に戻るのがやっとだったと書く。 (アポロドーロス 3.1.4、『変身物語』8.159-168)
- テセウスの脱出を助けたことで、ミノスはダイダロスを息子イカロスとともに迷宮に閉じ込めた。ダイダロスは翼を作り、「高く飛べば太陽で膠(にかわ)が溶け、低く飛べば海の湿気で羽が外れる」と息子に言い聞かせて飛び立った。オウィディウスのダイダロスは「ミノスは陸も海も支配できても、空は支配できない」と言う。 (アポロドーロス摘要 1.12、『変身物語』8.183-195)
- 逃れた先はシチリアのカミコスの王コカロスのもと。追ってきたミノスが「巻貝に糸を通せる者」を探すと、ダイダロスは蟻に糸を結んで貝の穴を通らせてしまい、居場所が知られた。 (摘要 1.13-15)
- シチリアの王コカロスは引き渡しを約束してミノスをもてなしたが、湯浴みのあとミノスはコカロスの娘たちに殺された。煮え湯を浴びせられて死んだとする説もある。 (摘要1.15)
- 関係: creator → labyrinth (アポロドーロス 3.1.4, 3.15.8、『変身物語』8.159-168)
- 関係: parent → icarus (アポロドーロス摘要 1.12(母はミノスの女奴隷ナウクラテ)、『変身物語』8.195)
- 関係: servant → minos (3.15.8 アテナイを逃れてミノスのもとへ。摘要 1.12 テセウスの脱出に加担したとして迷宮に閉じ込められる)
- 関係: advisor → ariadne (摘要 1.8-9 迷宮から出る方法(糸)を教える)
- 関係: visited → crete (『イリアス』18.590-592 クノッソスで踊り場を造る。アポロドーロス 3.15.8)
ダナエ
- 父アクリシオスは地下に青銅の部屋を造ってダナエを閉じ込めたが、ゼウスが黄金の流れとなって屋根から膝に注ぎ込み、彼女は身ごもった。ピンダロスもペルセウスを「自ら流れる黄金から生まれた」と呼ぶ。 (アポロドーロス 2.4.1、ピンダロス『ピュティア祝勝歌』12.17-18)
- アポロドーロスは同じ箇所で、ダナエを誘惑したのは叔父プロイトスで、それがアクリシオスとプロイトスの兄弟の争いのもとになった、という説も併記している。 (2.4.1)
- 子がゼウスの子だと信じないアクリシオスは、母子を箱に入れて海に流した。箱はセリポス島に流れ着き、ディクテュスが子を育てた。 (2.4.1)
- セリポス王ポリュデクテスがダナエに言い寄り、邪魔なペルセウスをゴルゴン退治に送り出した。戻ったペルセウスは、祭壇に逃れていた母を救うためメドゥサの首で王とその仲間を石に変えた。 (アポロドーロス 2.4.2-3、ピンダロス『ピュティア』12.14-15(母の隷属と強いられた婚姻))
- ペルセウスが母とアンドロメダを連れてアルゴスへ向かうと、アクリシオスは神託を恐れて国を去ったが、ラリッサの競技会でペルセウスの投げた円盤が足に当たって死んだ。 (2.4.4)
- 関係: lover → zeus (『イリアス』14.319-320、アポロドーロス 2.4.1)
- 関係: parent → perseus (『イリアス』14.319-320、アポロドーロス 2.4.1)
ダナイデス
- 系譜: イオの子エパポスの孫ベロスに、双子の息子ダナオスとアイギュプトスがいた。ダナオスには50人の娘、アイギュプトスには50人の息子が生まれる。王位をめぐる争いで息子たちを恐れたダナオスは、アテナの勧めで史上最初の船を造り、娘たちを乗せてアルゴスへ逃れ、王となって住民を自分の名にちなんで「ダナオイ」と呼ばせた。ホメロスがギリシャ勢を呼ぶ「ダナオイ」の由来譚になっている。 (2.1.4)
- アポロドーロスの形: 息子たちが和解と結婚を求めてアルゴスに来ると、ダナオスは結婚を認めてくじで組み合わせを決め、婚礼の宴のあと娘たちに短剣を渡す。娘たちは眠った夫を殺したが、長女ヒュペルムネストラだけは、自分の処女を尊重したリュンケウスを助けた。ほかの娘たちは夫の首をレルネに埋めた。のちにダナオスはヒュペルムネストラとリュンケウスを結婚させ、残りの娘たちは競技の勝者に妻として与えた。 (2.1.5)
- 冥界で穴の開いた器に水を汲み続ける罰は、アポロドーロスの神話本文には出てこない。ラテン文学では定番で、ホラティウスは「絶えず底から流れ出る水」と「冥界の罰」を歌い、オウィディウスも「失う水を繰り返し汲むベロスの孫娘たち」を、タンタロスやシシュポス、イクシオンと並べて冥界の罪人に数える。 (ホラティウス『歌章』3.11.21-32 / Met. 4.457-463、10.43-44 / アポロドーロス 2.1.4-5 には罰の記述がない。罰とダナイデスを結びつけた最古の資料は未確認)
- アポロドーロスでは、夫を助けたヒュペルムネストラをダナオスは閉じ込めた。ほかの娘たちは夫の首をレルネに埋め、町の前で葬礼を行い、ゼウスの命でアテナとヘルメスに清められた。のちにダナオスはヒュペルムネストラをリュンケウスと添わせ、ほかの娘たちは競技の勝者に嫁がせた。 (2.1.5)
- 関係: advisee → athena (2.1.4 アテナの勧めで父ダナオスが最初の船を造り、娘たちを乗せて逃れる / 2.1.5 アテナとヘルメスが殺人の穢れを清める)
- 関係: advisee → hermes (2.1.5 ゼウスの命でアテナとともに娘たちを清める)
- 関係: lover → poseidon (2.1.4-5 姉妹の一人アミュモネがポセイドンと交わり、ナウプリオスを生む(ナウプリオスはパラメデスの父))
デイアネイラ
- ヘラクレスは、牡牛の姿になった河神アケロオスと彼女をめぐって組み合い、その角を一本折って勝った。アポロドーロスは、アケロオスがその角をアマルテイアの角(豊穣の角)と交換して取り戻したと付け加える。 (2.7.5)
- エウエノス川で、渡し守をしていたケンタウロスのネッソスがデイアネイラを運ぶ途中で襲いかかり、ヘラクレスに射殺された。ネッソスは死に際に、自分の血を「ヘラクレスの心をつなぎとめる媚薬」として取っておけと告げた。その血には矢に塗られたヒュドラの毒が混じっていた。 (アポロドーロス 2.7.6、ソポクレス『トラキスの女たち』555-577、『変身物語』9.101-133)
- ヘラクレスがオイカリアを落として王女イオレを連れ帰ると知り、デイアネイラは夫の心が移るのを恐れて、ネッソスの血を塗った衣を送った。衣を着て生贄を捧げるうちに毒が体を焼き、肉ごと剥がれた。 (アポロドーロス 2.7.7)
- アポロドーロスでは、事の次第を知ったデイアネイラは首を吊った。 (2.7.7)
- アポロドーロスでは、父オイネウスの別の子がテバイ攻めの勇士テュデウスで、その子がトロイア戦争のディオメデス。デイアネイラはディオメデスの叔母にあたる。さらにこのオイネウスは、『イリアス』でディオメデスが語る祖父、かつてベレロポンを20日間もてなした客友でもある。 (アポロドーロス 1.8.1, 1.8.4-5、『イリアス』6.215-217, 14.115-117)
- オイカリアを落としたヘラクレスは、生贄のための晴れ着を取りに伝令リカスをトラキスへ送った。リカスからイオレのことを聞いたデイアネイラは、夫の愛を失うことを恐れて衣にネッソスの血を塗る。毒に焼かれたヘラクレスはリカスの足をつかんで岬から投げ落とした。 (2.7.7)
- ネッソスは神々から渡し守の役を授かったと称してエウエノス川で旅人を運んでいた。ヘラクレスは自分で渡り、デイアネイラをネッソスに託したが、ネッソスは川の途中で彼女を襲い、岸に上がったところを心臓を射抜かれた。 (2.7.6)
- アポロドーロスは、デイアネイラは母アルタイアがディオニュソスとの間にもうけた子とも言われ、戦車を駆り戦いの技を修めていた、と記す。 (1.8.1)
- 関係: spouse → herakles (アポロドーロス 2.7.5 河神アケロオスとの組み打ちに勝ったヘラクレスの妻になる)
- 関係: killed_unintentionally → herakles (殺意はなく、媚薬と信じて毒の衣を贈った。アポロドーロス 2.7.7、ソポクレス『トラキスの女たち』555-577、オウィディウス『変身物語』9.101-272)
- 関係: child → dionysus (1.8.1 オイネウスの妻アルタイアがディオニュソスとの間に生んだ、とする言い伝えを記す)
- 関係: uncle_aunt → diomedes (アポロドーロス 1.8.1, 1.8.4-5 兄テュデウスの子がディオメデス)
デイポボス
- 関係: sibling → paris (3.12.5)
- 関係: killed_by → menelaus (『アエネイス』6.494-534、アポロドーロス摘要 5.22)
デルポイ
- アポロドーロスでは、アポロンがデルポイに来たとき神託を告げていたのはテミスで、神託の裂け目に近づくのを妨げた大蛇ピュトンを殺して神託所を手に入れた、と力ずくの継承になっている。 (1.4.1)
- アポロドーロスによれば、狂気でわが子を殺したヘラクレスがデルポイで住む地を尋ねると、ピュティアが初めて彼を「ヘラクレス」と呼び(それまではアルケイデス)、ティリュンスでエウリュステウスに12年仕えて十の仕事を果たせば不死になると告げた。後にヘラクレスは答えを得られず三脚台を奪おうとし、アポロンと争ってゼウスの雷で引き分けられた。 (2.4.12、2.6.2)
- カドモスは妹エウロペの行方を尋ねにデルポイへ行き、妹のことは気にせず、牛について行って牛が倒れた所に町を建てよと告げられた。これがテーバイ建国につながる。 (3.4.1)
- 関係: owned_by → themis (『慈しみの女神たち』2-6。アポロドーロス1.4.1 アポロンが来たとき神託を告げていたのはテミス)
- 関係: visited_by → herakles (2.4.12(名を告げられる)、2.6.2(三脚台を奪おうとする))
- 関係: visited_by → cadmus (3.4.1)
デウカリオン
- ゼウスが青銅の種族を滅ぼそうとしたとき、父プロメテウスの助言で箱(ラルナクス)を作り、食糧を積んでピュラと乗り込んだ。9日9夜漂ってパルナッソス山に着き、雨がやむと船を下りてゼウスに犠牲を捧げた。 (1.7.2)
- ゼウスが望みを一つかなえると言ったので、人間が欲しいと願った。ゼウスの命で頭越しに石を投げると、デウカリオンの投げた石は男に、ピュラの投げた石は女になった。 (1.7.2)
- アポロドーロスはデウカリオンをプティア周辺の王とする。ピンダロスでは、パルナッソスから下りた二人が最初に住んだのはロクリスのオプスの町(プロトゲネイアの町)とされる。 (アポロドーロス 1.7.2、ピンダロス『オリュンピア祝勝歌』9.41-46)
- 関係: child → prometheus (アポロドーロス 1.7.2。ヘシオドス断片(M-W fr. 2 / Evelyn-White fr. 1、アポロニオス古註の引用)は母をプロノイアとする)
- 関係: spouse → pyrrha (アポロドーロス 1.7.2、『変身物語』1.318-329)
- 関係: parent → hellen (アポロドーロス 1.7.2(ゼウスの子とする説も併記)、ヘシオドス断片 Evelyn-White fr. 1、トゥキュディデス 1.3.2)
- 関係: participated_in → deucalions-flood (アポロドーロス 1.7.2、『変身物語』1.253-415、ピンダロス『オリュンピア祝勝歌』9.41-53)
- 関係: enemy → zeus (1.7.2。青銅の種族を滅ぼそうとしたゼウスの洪水を生き延びる。水が引いた後はゼウスに犠牲を捧げ、望みをかなえてもらう)
デウカリオンの洪水
- ゼウスが青銅の種族を滅ぼそうとしたとき、デウカリオンは父プロメテウスの助言で箱(ラルナクス)を作り、食糧を積んでピュラと乗り込んだ。ゼウスは大雨でギリシャの大半を水浸しにし、近くの高い山に逃げたわずかな者を除いて人間は滅びた。このときテッサリアの山々が裂け、イストモスとペロポネソスの外の世界はすべて水に沈んだという。二人は9日9夜漂ってパルナッソスに着いた。 (1.7.2)
- 箱舟が着いたのはパルナッソス山。アポロドーロス、オウィディウス、ピンダロスがそろってこの山を挙げる。 (アポロドーロス 1.7.2、『変身物語』1.316-319(頂が二つある山)、ピンダロス『オリュンピア祝勝歌』9.43)
- 水が引いたあと、二人が背後に投げた石から男と女が生まれた。人間の作り直し方としては、プロメテウスが土から人を造ったという話(アポロドーロス 1.7.1)と並んで、ギリシャ神話に二つある人類の起源の一つになる。 (アポロドーロス 1.7.1-2、『変身物語』1.398-415)
- 生き残りが二人だけかどうかは出典で違う。オウィディウスとヒュギヌスは二人だけとするが、アポロドーロスは近くの高い山に逃げたわずかな者も生き延びたと書く。 (『変身物語』1.325-326、ヒュギヌス 153、アポロドーロス 1.7.2)
- アポロドーロスでは、デウカリオンは9日9晩箱に乗って海を漂い、パルナッソスに着いて、雨がやむと逃避の守り手ゼウスに犠牲を捧げた。ゼウスがヘルメスを遣わして望みを尋ねると、デウカリオンは人間を得たいと答えた。 (1.7.2)
- 関係: participant → deucalion (アポロドーロス 1.7.2、『変身物語』1.253-415、ピンダロス『オリュンピア祝勝歌』9.41-53)
- 関係: participant → pyrrha (同上)
- 関係: participant → zeus (洪水を起こした神。アポロドーロス 1.7.2、『変身物語』1.253-261、ピンダロス『オリュンピア祝勝歌』9.50-53)
- 関係: participant → prometheus (1.7.2。息子に箱を作るよう助言した)
- 関係: participant → hellen (1.7.2。洪水後に生まれた子。ギリシャ人の名祖)
ディオネ
- アポロドロスは、ウラノスとガイアの娘たち(ティタニス)としてテテュス、レア、テミス、ムネモシュネ、ポイベ、テイアと並べてディオネを挙げ、別の箇所でゼウスとのあいだにアプロディテを産んだとする。 (1.1.3, 1.3.1)
- 関係: parent → aphrodite (『イリアス』5.370-417。アポロドロス 1.3.1)
- 関係: lover → zeus (アポロドロス 1.3.1 ゼウスとのあいだにアプロディテ。『イリアス』5.370-371 でもアプロディテはディオネとゼウスの娘として扱われる)
- 関係: child → uranus (1.1.3 ティタンの女神の一柱として)
- 関係: child → gaia (1.1.3)
ディオニュソス
- ヘラに唆されたセメレがゼウスに本来の姿で現れるよう求めて雷に焼かれ、ゼウスは胎児を自分の腿に縫い込んで月満ちるまで育てた、という「二度生まれ」の話は後代の伝承。 (3.4.3)
- アポロドーロスでは、リュクルゴスは狂わされ、葡萄の枝を払うつもりで息子ドリュアスを斧で殺す。のちに馬に引き裂かれて死ぬ。 (3.5.1)
- 生まれた子はヘルメスによってイノとアタマスに預けられ、女の子として育てられた。ヘラが二人を狂わせたため、ゼウスは子を子山羊に変え、ヘルメスがニュサのニュンペのもとへ運んだ。 (3.4.3)
- 冥界から母セメレを連れ戻し、テュオネと名づけてともに天に昇った、とアポロドーロスは伝える。 (3.5.3)
- 関係: foster_child → hermes (3.4.3。ヘルメスが赤子をニュサのニュンペたちに預けた)
エキドナ
- アポロドロスは、エキドナを大地ガイアとタルタロスの娘とする。テュポンと同じ両親で、夫婦は兄妹ということになる。この書では、道行く人をさらっていたエキドナを、全身に目を持つ巨人アルゴスが眠っているところを襲って殺したとも伝える。 (2.1.2(テュポンの両親は 1.6.3))
- 関係: spouse → typhon (『神統記』306-308、アポロドロス 2.3.1, 2.5.10-11, 3.5.8)
- 関係: parent → chimera (アポロドロス 2.3.1「ヘシオドスの言うとおりテュポンがエキドナに産ませた」。『神統記』319 の「彼女」はエキドナともヒュドラとも読める)
- 関係: parent → sphinx (3.5.8 スピンクスの母はエキドナ、父はテュポン)
- 関係: child → gaia (2.1.2 タルタロスとガイアの娘)
- 関係: child → tartarus (2.1.2 タルタロスとガイアの娘)
エイレイテュイア
- 関係: child → zeus (『神統記』921-923、アポロドロス 1.3.1)
- 関係: child → hera (『神統記』921-923、『イリアス』11.270-271「ヘラの娘たち」、アポロドロス 1.3.1)
- 関係: enemy → alcmene (『イリアス』19.117-119 ヘラがエイレイテュイアたちを押しとどめてアルクメネのお産を止める。オウィディウス 9.281-323、アポロドロス 2.4.5)
エレウシス
- ハデスがペルセポネをさらうと、デメテルは夜も昼も松明を持って地上を探し、事情を知ると神々に怒って天を去り、女の姿でエレウシスに来た。最初に座った岩は、女神にちなんで「笑わない岩」と呼ばれるようになり、「美しい踊りの井戸」のそばにあった。 (1.5.1)
- デメテルはエレウシスの王ケレオスの館に迎えられ、侍女の冗談でようやく笑った。王妃の子の乳母となり、夜ごと火に置いて不死にしようとしたが、見つかって中断され、正体を明かした。アポロドーロスでは、女たちがテスモポリアの祭りで冗談を言い合うのはこのためとされる。 (「デメテル讃歌」184-274、アポロドーロス1.5.1)
- デメテルは王妃メタネイラの上の子トリプトレモスに、翼のある竜の車と小麦を与え、彼は空を駆けて人の住む大地全体に種をまいた。パニュアッシスはトリプトレモスをエレウシスの子とし、ペレキュデスはオケアノスと大地の子とする。 (1.5.2)
エリュシオン
- 関係: visited_by → cadmus (『オリュンピア祝勝歌』2.78(至福者の島)/ 3.5.4(エリュシオンの野))
エンデュミオン
- アポロドーロスの形: アエトリオスとカリュケの子で、テッサリアからアイオリス人を率いてエリスを建てた。ゼウスの子とする説もある。並外れた美しさに月(セレネ)が恋し、ゼウスが望むものを選ばせると、不死で年を取らないまま永遠に眠ることを選んだ。 (1.7.5)
- 関係: lover → selene (アポロドーロス 1.7.5 /『アルゴナウティカ』4.57-58 / テオクリトス『牧歌』20.37-39 / パウサニアス 5.1.4)
- 関係: advisee → zeus (1.7.5 ゼウスが望みを選ばせ、エンデュミオンは永遠の眠りを選ぶ)
- 関係: child → zeus (1.7.5「ゼウスの子だと言う者もいる」。本文の系譜ではアエトリオスとカリュケの子(アエトリオス自身がゼウスの子とされる。パウサニアス 5.1.3))
エオス
- アポロドロスは、エオスが絶えず人間の男に恋をするのは、アレスと寝たことを怒ったアプロディテの仕業だと説明する。オリオンをさらってデロス島へ連れて行った話もここにある。 (1.4.4)
- 関係: lover → ares (1.4.4)
- 関係: punished_by → aphrodite (1.4.4 アレスと寝たことへの罰として、アプロディテがエオスを絶えず恋に落ちるようにした)
エピゴノイのテーバイ攻め
- アポロドーロスの名簿: アンピアラオスの子アルクマイオンとアンピロコス、アドラストスの子アイギアレウス、テュデウスの子ディオメデス、パルテノパイオスの子プロマコス、カパネウスの子ステネロス、ポリュネイケスの子テルサンドロス、メキステウスの子エウリュアロス。デルポイの神託が、アルクマイオンを将とすれば勝つと告げた。 (3.7.2)
- ヒュギヌスの名簿: 「七人のエピゴノイ」として、アドラストスの子アイギアレウス、ポリュネイケスの子テルサンドロス、ヒッポメドンの子ポリュドロス、アンピアラオスの子アルクマイオン、パルテノパイオスの子トレシメネスを挙げ、別の版としてステネロス、ディオメデス、パルテノパイオスの子ビアンテスを含む名簿も並べる。パルテノパイオスの子の名がプロマコス、トレシメネス、ビアンテスと三通りに割れる。 (『神話伝説集』71 / 3.7.2)
- 父の戦いの鏡写し: 父の代でただ一人生き残ったのはアドラストスだったが、子の代でただ一人死んだのはアドラストスの子アイギアレウスだった。アポロドーロスでは、アイギアレウスはエテオクレスの子ラオダマスに討たれ、そのラオダマスはアルクマイオンに討たれる。ヒュギヌスも、父が生き残った代わりにアイギアレウスが身代わりに命を落としたと説明する。 (3.7.3 / 『神話伝説集』71 / 1.43.1)
- テーバイの陥落: ラオダマスが倒れると、テイレシアスはテーバイ人に使者を送って交渉するふりをし、その間に女子どもを車に乗せて逃げるよう勧めた。夜、ティルプッサの泉で水を飲んだテイレシアスはそこで息絶える。逃れたテーバイ人はヘスティアイアという町を建てた。アルゴス勢は無人の町に入って城壁を壊し、戦利品の一部とテイレシアスの娘マントをデルポイのアポロンに捧げた。パウサニアスは、グリサスの戦いで敗れたテーバイ人の多くがラオダマスとイリュリアへ逃れ、一部がテッサリアのホモレ山に移り、のちに戻ったときに通った門が「ホモロイスの門」と呼ばれるようになった、というテーバイの伝承も記す。 (3.7.3-4 / 9.8.6-7)
- テーバイを落としたあと、アルクマイオンは母エリピュレが自分のことでも買収されていたと知っていっそう怒り、アポロンの神託に従って母を殺した(弟アンピロコスと共にとする説もある)。母殺しのエリニュスに追われて狂気に陥り、各地をさまよう。 (3.7.5)
- 関係: has_episode → alcmaeon (3.7.2 神託に従い総大将に選ばれる。母エリピュレは衣を受け取って息子たちを出陣させる)
- 関係: participant → eriphyle (3.7.2 ポリュネイケスの子テルサンドロスからハルモニアの衣を受け取り、息子たちに出陣を勧める)
- 関係: has_episode → tiresias (3.7.3 テーバイ人に町を捨てて逃げよと勧め、逃げる途中ティルプッサの泉の水を飲んで死ぬ)
- 関係: participant → alcmaeon (3.7.2-3 総大将、ラオダマスを討つ / 10.10.4 / 『神話伝説集』71)
- 関係: participant → diomedes (『イリアス』4.405-410(ステネロスの「我々二人」)/ 3.7.2 / 10.10.4)
- 関係: located_at → thebes (攻め落とされた町。『イリアス』4.406 / 3.7.4)
エピメテウス
- アポロドロスでは、エピメテウスとパンドラの娘ピュラが、プロメテウスの子デウカリオンと結婚し、ゼウスの大洪水を二人だけ生き延びる。先に考える兄の子と、あとで考える弟の子が夫婦になって人類をやり直す。 (1.7.2)
- 関係: child → iapetus (『神統記』507-514。アポロドロス 1.2.3)
- 関係: spouse → pandora (『仕事と日』83-89 でヘルメスに届けられて受け取る。アポロドロス 1.7.2 では二人の娘がピュラ)
エレクテウス
- 後代の系図では、エレクテウスはエリクトニオスの子パンディオンの息子になる。パンディオンの死後、兄弟で役目を分け、エレクテウスが王位を、ブテスがアテナとポセイドンの祭司職を継いだ。妻プラクシテアとの娘にプロクリス、クレウサ、クトニア、オレイテュイアがいる。 (3.14.8, 3.15.1)
- エレウシスとの戦いで、ポセイドンの子エウモルポスがエレウシス側についた。勝つには娘の一人を犠牲にせよという神託を受け、エレクテウスは末娘を殺した。姉たちは一緒に死ぬと誓っていたので自ら命を絶った。戦いでエレクテウスはエウモルポスを討つ。 (3.15.4)
- アポロドーロスでは、息子エウモルポスを殺されたポセイドンがエレクテウスとその家を滅ぼす。 (3.15.4)
- 関係: ruler → athens (『イリアス』2.546-547、アポロドーロス 3.15.1、ヒュギヌス 48)
- 関係: grandchild → erichthonius (3.14.6, 3.14.8。エリクトニオス→パンディオン→エレクテウス)
- 関係: sibling → procne (3.14.8。パンディオンの子はプロクネ、ピロメラ、エレクテウス、ブテス)
- 関係: sibling → philomela (3.14.8)
- 関係: parent → procris (3.15.1)
- 関係: parent → orithyia (アポロドーロス 3.15.1-2、ヘロドトス 7.189、アポロニオス 1.211-213)
- 関係: parent_in_law → boreas (ヘロドトス 7.189 アテナイ人はボレアスを「婿」と呼んだ。アポロドーロス 3.15.2)
- 関係: killed_by → poseidon (3.15.4。ポセイドンの子エウモルポスを討ったため、ポセイドンがエレクテウスとその家を滅ぼした)
エリクトニオス
- 武具を作ってもらいにきたアテナにヘパイストスが言い寄り、逃げる女神を追って脚に種をこぼした。アテナが羊毛で拭って地面に捨てると、そこからエリクトニオスが生まれた。 (3.14.6)
- アポロドーロスは別説として、エリクトニオスはヘパイストスとアッティス(クラナオスの娘)の子だとする伝えも挙げる。 (3.14.6)
- アポロドーロスでは、アテナは赤子を不死にしようと神々に知らせずに育て、箱に入れてケクロプスの娘パンドロソスに預けて開けるなと命じた。姉妹が好奇心から開けると、赤子に大蛇が巻きついていた。娘たちの最期はすでに二通りあり、大蛇に殺されたとも、アテナの怒りで狂ってアクロポリスから身を投げたとも言われる。 (3.14.6)
- 王になったエリクトニオスは、アクロポリスにアテナの木像を置き、パンアテナイア祭を始めた。ナイアスのプラクシテアを妻にして、パンディオンをもうけた。 (3.14.6)
- ホメロスには「エリクトニオス」の名でのアテナイ王は出てこない。『イリアス』では、大地が産みアテナが育ててアテナイの自分の社に住まわせたのは「エレクテウス」とされる。後代の系図では、この生まれの話がエリクトニオスに移り、エレクテウスはその孫になる。 (『イリアス』2.546-551、アポロドーロス 3.14.6-8)
- 関係: child → hephaestus (アポロドーロス 3.14.6、ヒュギヌス 48「ウルカヌスの子エリクトニオス」)
- 関係: child → gaia (3.14.6。アテナが拭って捨てた種が大地に落ち、そこから生まれた)
- 関係: foster_child → athena (アポロドーロス 3.14.6、『変身物語』2.552-555(母のない子を箱に隠す))
- 関係: ruler → athens (アポロドーロス 3.14.6(アンピクテュオンを追って王になる)、ヒュギヌス 48)
- 関係: grandparent → erechtheus (3.14.6(子パンディオン)、3.14.8(パンディオンの子エレクテウス))
- 関係: grandparent → procne (3.14.6, 3.14.8)
- 関係: grandparent → philomela (3.14.6, 3.14.8)
エリニュス
- 三柱の名、アレクト、ティシポネ、メガイラは、ヘシオドスにもホメロスにも出てこない。アポロドロスは、ウラノスの血の滴から生まれた者としてこの三つの名を挙げる。ウェルギリウスの『アエネイス』では、ティシポネが冥界の罪人を鞭打ち、アレクトが戦争を起こし、メガイラは夜が一度のお産で産んだ二柱の「ディラエ」と姉妹とされる。 (アポロドロス 1.1.4。『アエネイス』6.570-572, 7.323-326, 12.845-848)
- 関係: child → uranus (『神統記』183-185、アポロドロス 1.1.4)
- 関係: enemy → orestes (『慈しみの女神たち』全体。母殺しのオレステスを追う)
- 関係: visited_by → oedipus (3.5.9 盲目のオイディプスがアテナイ近くのコロノスにあるエウメニデスの聖域にたどり着く)
エリピュレ
- なぜ妻が決めたのか: アポロドーロスによれば、アンピアラオスはかつてアドラストスと争い、和解の際に「以後アドラストスとの争いはエリピュレに裁かせる」と誓っていた。ピンダロスも、内乱のあとタラオスの息子たちがエリピュレを「誓いの証」としてアンピアラオスに嫁がせたと歌う。出兵をめぐって夫と兄が対立したとき、裁定はエリピュレに委ねられ、首飾りを受け取った彼女は出兵を選んだ。 (3.6.2 /『ネメア祝勝歌』9.13-17)
- 二度の買収: 1回目はポリュネイケスからハルモニアの首飾りを受け取って夫を出陣させ、2回目は10年後、ポリュネイケスの子テルサンドロスからハルモニアの衣を受け取って息子たちを出陣させた。どちらもカドモスがハルモニアとの婚礼で贈った品で、テーバイ王家に伝わっていたものだった。ヒュギヌスでは、首飾りを作って贈ったのは兄アドラストスとされ、隠れていた夫の居場所を明かした代価になっている。 (3.4.2, 3.6.1-2, 3.7.2 / 『神話伝説集』73)
- 最期: テーバイ攻略のあと、アルクマイオンはアポロンの神託に従って母を殺した。弟アンピロコスと共に殺したともいう。オロポスのアンピアラオスの聖域で、アルクマイオンだけが祀られなかったのは、この母への仕打ちのためだとパウサニアスは記す。 (3.7.5 / 1.34.3)
- 関係: spouse → amphiaraus (『オデュッセイア』11.326-327 /『ネメア祝勝歌』9.16-17 / 3.6.2)
- 関係: parent → alcmaeon (3.7.2 / 73 / 5.17.7 キュプセロスの箱の浮き彫り)
- 関係: killed_by → alcmaeon (3.7.5 / 73)
- 関係: received_gift → polynices (3.6.2 ハルモニアの首飾りを受け取る)
- 関係: participated_in → seven-against-thebes (3.6.2 /『オデュッセイア』15.247)
- 関係: participated_in → epigoni (3.7.2)
エリス
- 金の林檎を投げたという話は、ホメロスにもヘシオドスにも『キュプリア』の梗概にも無い。アポロドーロスの摘要が「エリスが美を競う賞として林檎を投げた」と伝えるのが、まとまった記述としては早い層にあたる。 (摘要(Epitome)3.2(版により 3.3)。本文に林檎の銘への言及は無い)
- 関係: participated_in → judgment-of-paris (『キュプリア』梗概。アポロドーロス摘要 3.2 ではゼウスがヘルメスに三女神をイデ山のアレクサンドロス(パリス)へ導くよう命じる)
- 関係: owner → golden-apple (摘要(Epitome)3.2。「美を競う賞として林檎を投げた」とある。版により 3.3 と数える)
エテオクレス
- 約束を破ったのはどちらか: エウリピデス『フェニキアの女たち』では、兄エテオクレスが先に王位に就き、1年後に弟ポリュネイケスと交代する約束だったが、王座に座ると明け渡さず弟を追放した。ソポクレス『コロノスのオイディプス』では、弟エテオクレスが町の人々を言いくるめて兄を追い出したとされる。アポロドーロスは、ポリュネイケスが先に1年治めて譲ったとする説と、エテオクレスが先に治めて譲らなかったとする説を並べる。 (69-76 /『コロノスのオイディプス』1292-1298 / 3.6.1)
- 相討ちの場面: エウリピデスの使者の報告では、一騎打ちでエテオクレスがテッサリア仕込みの技でポリュネイケスの腹を刺し、勝ったと思って武具を剥ごうとしたところ、まだ息のあったポリュネイケスに刺し返されて二人とも倒れる。それを見た母イオカステは剣で喉を突いて二人の上に倒れる。アポロドーロスは「両軍の決議によって一騎打ちをし、互いに殺し合った」と短く書く。 (1356-1424, 1455-1459 / 3.6.8)
- 息子ラオダマスは、10年後に攻めてきたエピゴノイ(七将の息子たち)とテーバイ軍を率いて戦い、アドラストスの子アイギアレウスを討つが、アルクマイオンに殺される。パウサニアスによれば、敗れたテーバイ人の多くはラオダマスと共にイリュリアへ逃れた。 (3.7.3 / 9.8.6)
- 関係: child → oedipus (3.5.8 /『フェニキアの女たち』55-58 /『七将』654-655)
- 関係: child → jocasta (3.5.8(エウリュガネイアの子とする異伝も)/『フェニキアの女たち』55-58)
- 関係: sibling → polynices (『七将』631-676 / 69-76 / 3.5.8)
- 関係: killed → polynices (相討ち。『七将』804-819 /『フェニキアの女たち』1404-1424 / 3.6.8)
- 関係: sibling → antigone (3.5.8)
- 関係: sibling → ismene (3.5.8)
- 関係: ruler → thebes (『イリアス』4.385-386「力強いエテオクレスの館」/『七将』1-9 / 3.6.1)
- 関係: visited_by → tydeus (『イリアス』4.384-390 使者テュデウスがエテオクレスの館で宴を開くカドモスの民に力比べを挑む / 3.6.5)
- 関係: nephew_niece → creon (クレオンは母イオカステの兄弟。3.5.7-8 /『フェニキアの女たち』690-783 で戦の相談をする)
- 関係: participated_in → seven-against-thebes (守る側の王。『七将』375-676 / 1090-1096 / 3.6.6)
エウロペ
- 父親は出典で割れる。ホメロスではポイニクス(フェニキア人の名祖)の娘。アポロドーロスはアゲノルとテレパッサの娘を本筋とし、「ポイニクスの娘だと言う人もいる」と添える。アゲノルの祖先をたどると、牝牛にされたイオとその子エパポスに行き着く。 (『イリアス』14.321 / 3.1.1、2.1.4(エパポス→リビュエ→アゲノル))
- クレタでゼウスとの間にミノス、ラダマンテュス、サルペドンを生んだとアポロドーロスは書く。ただし同時に、ホメロスではサルペドンはゼウスとラオダメイア(ベレロポンテスの娘)の子だと断っており、トロイア戦争で戦うリュキアのサルペドンとの関係は出典によって揺れる。 (3.1.1 /『イリアス』6.197-199)
- エウロペが姿を消すと、父アゲノルは息子たちに、エウロペを見つけるまで帰るなと命じて探しに出す。見つけられなかった兄弟は、それぞれフェニキア、キリキア、トラキアなどに住みついた。のちにクレタ王アステリオスがエウロペを娶り、その子らを育てた。 (3.1.1-2)
- カドモスがデルポイでエウロペの行方を尋ねると、神はエウロペのことは気にかけず、牝牛に導かれて、牛が疲れて倒れた所に町を建てよと告げた。牛が伏した所が今のテーバイである。 (3.4.1)
- 関係: abducted_by → zeus (Met. 2.833-875, 3.1-2 / 3.1.1 牡牛に化けたゼウスにクレタへ運ばれる)
- 関係: lover → zeus (『イリアス』14.321-322 / 3.1.1)
- 関係: parent → minos (『イリアス』14.321-322(ミノスとラダマンテュス)/ 3.1.1(ミノス、サルペドン、ラダマンテュス))
- 関係: sibling → cadmus (3.1.1 アゲノルとテレパッサの子)
- 関係: visited → crete (3.1.1 / Met. 3.1-2 / ヘロドトス 4.45.5)
エウリュディケ
- 関係: spouse → orpheus (『農耕詩』4.465、4.486 / Met. 10.1-10 / 1.3.2)
エウリュステウス
- ネメアの獅子を担いで帰ったヘラクレスに恐れをなし、以後は城内に入れず門の外で成果を見せさせ、自分は地中に造らせた青銅の甕に隠れた。命令は伝令コプレウスに伝えさせた。 (2.5.1)
- ヒュドラ退治はイオラオスの手を借りたから、アウゲイアスの家畜小屋は報酬を取ったからと言って数に入れず、功業を10から12に増やしたのもエウリュステウス。 (2.5.2, 2.5.5, 2.5.11)
- 第九の功業でアマゾンの女王ヒッポリュテの帯を取りに行かせたのは、娘アドメテが欲しがったからだった。 (2.5.9)
- ヘラクレスの死後、その子らを追ってアテナイと戦ったが敗れ、戦車で逃げる途中スケイロンの岩のあたりでヒュロスに討たれた。ヒュロスは首をアルクメネに渡し、アルクメネは機織りの杼で目をえぐった。 (2.8.1)
- 関係: master → herakles (『イリアス』8.362-363, 19.132-133、『オデュッセイア』11.620-622、アポロドーロス 2.4.12-2.5.12)
- 関係: participated_in → twelve-labors (2.5.1-12 功業を課す側)
- 関係: ruler → mycenae (2.4.5「ミュケナイも治めた」)
エウテルペ
- アポロドロスによれば、エウテルペは河神ストリュモンとのあいだにレソスを産んだ。レソスはトロイアに援軍として来て、ディオメデスに殺される。ただし母をカリオペとする説もあるという。 (1.3.4)
ガイア
- ティタン神族が敗れた後、タルタロスとの間に最後の子テュポエウスを産んだ。ゼウスの支配に対する最後の反乱となる。 (『神統記』820-822。アポロドーロス 1.6.3 ではキリキアで産んだとする)
ガニュメデス
- ゼウス自身が鷲の姿になって(あるいは鷲を遣わして)さらった、という形は後代の定着。オウィディウスでは鷲に変身したゼウスが連れ去る。 (『変身物語』10.155-161、アポロドーロス 3.12.2)
- 関係: lover → zeus (アポロドーロス 3.12.2、『変身物語』10.155-161。『イリアス』は酌をする者とだけ言い、恋情には触れない)
- 関係: participated_in → mount-ida (3.12.2 イダ山から連れ去られたとされる)
ギガース
- アポロドロスでは、ギガースは体の大きさも力も並ぶ者がなく、頭と顎から長い髪を垂らし、足は竜の鱗でできている。岩や燃える樫の木を天に投げつけた。中でもポルピュリオンとアルキュオネウスが抜きんでていて、アルキュオネウスは生まれた土地で戦うかぎり不死だった。 (1.6.1)
- アポロドロスによれば、神々には「ギガースは神の手では滅びず、人間の助けがあれば滅ぼせる」という神託があった。ガイアは人間の手でも死なないための薬草を探したが、ゼウスは曙と月と太陽に輝くことを禁じ、先にその草を摘み取って、アテナを通じてヘラクレスを呼び寄せた。 (1.6.1)
- アポロドーロスでは、神々もそれぞれ巨人を倒す。アポロンとヘラクレスはエピアルテスの左右の目を射抜き、ディオニュソスはテュルソスでエウリュトスを、ヘカテは松明でクリュティオスを、ヘパイストスは赤熱の鉄塊でミマスを倒す。アテナは逃げるエンケラドスにシチリア島を投げつけ、ポセイドンはコス島の一部を割ってポリュボテスに投げ落とす。 (1.6.2)
- 関係: child → gaia (『神統記』183-186。アポロドロス 1.6.1 はティタンのことで怒ったガイアがウラノスとのあいだに産んだと書く)
- 関係: child → uranus (『神統記』183-186(ウラノスの血から)、アポロドロス 1.6.1)
- 関係: sibling → typhon (1.6.3 ギガースが敗れたあと、ガイアがタルタロスと交わってテュポンを産む(母が同じ))
- 関係: participated_in → gigantomachy (アポロドロス 1.6.1-2。ピンダロス『ネメア祝勝歌』1.67-69)
- 関係: enemy → herakles (アポロドロス 1.6.1-2、ピンダロス『ネメア祝勝歌』1.67-69、エウリピデス『ヘラクレス』1190-1194)
- 関係: enemy → zeus (1.6.1-2)
- 関係: enemy → athena (1.6.2 逃げるエンケラドスにシチリア島を投げつけ、パラスの皮を剥いで身を守る)
ギガントマキア
- 巨人の王ポルピュリオンを倒したのは誰か。ピンダロスでは、ギガースの王はアポロンの矢で倒される。アポロドロスでは、ヘラに襲いかかったポルピュリオンをゼウスが雷で撃ち、ヘラクレスが矢でとどめを刺す。 (ピンダロス『ピュティア祝勝歌』8.12-18。アポロドロス 1.6.2)
- アポロドロスは戦いを一対一の組み合わせで並べる。アテナはエンケラドスにシチリア島を投げつけ、パラスの皮を剥いで盾にした。ポセイドンはコス島の一部を割り取ってポリュボテスを埋め、ヘルメスは冥王の兜で姿を消してヒッポリュトスを倒し、運命の女神たちも青銅の棍棒で戦った。最後にゼウスが雷で撃ち、死にかけた者すべてをヘラクレスが矢で射た。 (1.6.1-2)
- 戦場とされた「プレグラ」の場所は二つに分かれる。北ギリシャのパレネ半島とする伝え(ヘロドトスはパレネの旧名がプレグラだと書く)と、イタリアのクマエ近くの平野とする伝え。ディオドロスは、この平野がかつて火を噴いた丘(いまのウェスウィウス山)にちなんで「プレグライオン」と呼ばれたと書く。 (ヘロドトス 7.123.1。アポロドロス 1.6.1。ディオドロス 4.21.5-7, 5.71.4)
- 巨人アルキュオネウスは生まれた土地で戦うかぎり不死だった。ヘラクレスの矢に倒れても地上で息を吹き返しかけたので、アテナの助言でパレネの外へ引きずり出して殺した。 (1.6.1)
- 神々だけでは巨人を滅ぼせず、人間の助けが要るという神託を知ったガイアは、人間の手でも死なない薬草を探した。ゼウスは曙・月・太陽に光ることを禁じて先に薬草を摘み取り、アテナを通じてヘラクレスを呼んだ。 (1.6.1)
- 関係: participant → giants (アポロドロス 1.6.1-2、ピンダロス『ネメア祝勝歌』1.67-69)
- 関係: participant → herakles (アポロドロス 1.6.1-2、『ネメア祝勝歌』1.67-69、エウリピデス『ヘラクレス』1190-1194)
- 関係: participant → zeus (1.6.1-2 雷でポルピュリオンたちを撃つ)
- 関係: participant → athena (1.6.1-2 ヘラクレスを呼び寄せ、エンケラドスにシチリア島を投げつける)
- 関係: participant → hera (1.6.2 ポルピュリオンに襲われる)
- 関係: participant → apollo (アポロドロス 1.6.2 エピアルテスの左目を射る。ピンダロス『ピュティア祝勝歌』8.12-18 では巨人の王をアポロンの矢が倒す)
- 関係: participant → dionysus (1.6.2 テュルソスの杖でエウリュトスを倒す)
- 関係: participant → hecate (1.6.2 松明でクリュティオスを倒す)
- 関係: participant → hephaestus (1.6.2 灼熱の金属の塊でミマスを倒す)
- 関係: participant → poseidon (1.6.2 コス島の一部(ニシュロス)を割り取ってポリュボテスに投げつける)
- 関係: participant → hermes (1.6.2 冥王の兜をかぶってヒッポリュトスを倒す)
- 関係: participant → artemis (1.6.2 グラティオンを倒す)
- 関係: participant → moirai (1.6.2 青銅の棍棒でアグリオスとトアスを倒す)
- 関係: participant → gaia (1.6.1 ティタンのことで怒ってギガースを産み、人間の手でも死なない薬草を探す)
グラウコス
- 『イリアス』の外では、アキレウスの遺体を巡る戦いで大アイアスに討たれたとされる。遺体はアポロンが風に運ばせてリュキアへ帰したと語られる。 (アポロドーロス摘要 5.4。遺体をリュキアへ運ぶ話はクイントゥス『ホメロス後日譚』による)
- 関係: killed_by → ajax-the-great (摘要 5.4 アキレウスの遺体を巡る戦いの中で討たれる)
黄金の林檎
- アポロドーロスでは、エリスが美しさをめぐって林檎を投げ込み、ヘラ・アテナ・アプロディテが争う形が明確に語られる。 (摘要 3.2)
- アポロドーロスでは、ヘラはすべての人間を治める王権、アテナは戦の勝利、アプロディテはヘレネとの結婚を約束した。ヒュギヌスでは、ヘラは全土の支配と富、ミネルウァは人間で最も勇敢で万事に長じること、ウェヌスはヘレネを約束し、敗れたユノとミネルウァはトロイアに敵意を抱いた。 (アポロドーロス 摘要 3.2、ヒュギヌス 92(ToposText 掲載の Grant 英訳で確認))
- 関係: owned_by → eris (アポロドーロス摘要 3.2、ヒュギヌス 92。エリスが投げ入れる)
- 関係: participated_in → judgment-of-paris (摘要 3.2 この林檎の帰属をめぐる審判)
- 関係: owned_by → aphrodite (摘要 3.2 パリスの判定により最終的にアプロディテのものとなる)
金羊毛
- ボイオティア王アタマスの後妻イノは、先妻の子プリクソスとヘレを亡き者にしようと、種麦を炒らせて不作を起こし、偽の神託で「プリクソスを生贄に」と言わせた。実の母ネペレはヘルメスから授かった金毛の雄羊に二人を乗せて逃がし、途中で海に落ちたヘレの名から、その海峡はヘレスポントス(ヘレの海)と呼ばれた。 (1.9.1)
- コルキスに着いたプリクソスは雄羊を逃走の神ゼウスに捧げ、毛皮を王アイエテスに贈った。アイエテスはそれをアレスの森の樫の木に打ちつけ、眠らない竜に守らせた。 (1.9.1, 1.9.16)
- アポロニオスとアポロドーロスでは、竜を眠らせるのはメデイアの薬と呪文。竜は殺されず、夜のうちに金羊毛が持ち出される。 (アポロニオス 4.156-161、アポロドーロス 1.9.23)
- アイエテスは太陽神の子で、キルケとパシパエ(ミノスの妃)のきょうだいでもある。つまりメデイアは、オデュッセウスを引き留めたキルケの姪であり、ミノタウロスの母パシパエの姪、アリアドネの従姉妹にあたる。金羊毛をめぐる家系は、クレタの迷宮の家系と一本につながっている。 (アポロドーロス 1.9.1, 3.1.2、『神統記』956-962)
- アルゴ船を造ったアルゴスは、プリクソスがアイエテスの娘カルキオペとの間にもうけた子とされる。金羊毛を運んできた少年の息子が、それを取り戻しに行く船を造ったことになる。 (1.9.1, 1.9.16)
- 帰国したイアソンは金羊毛をペリアスに渡したが、両親を死に追いやられた恨みを晴らす機会をうかがった。 (1.9.27)
- イノは女たちを説いて男たちに知られずに種麦を炒らせ、まいても実らない不作を起こした。アタマスがデルポイに使いを送ると、使者を言いくるめて「プリクソスをゼウスに捧げれば不作が止む」と偽らせた。 (1.9.1)
- イオルコス王ペリアスは「片方のサンダルの男に気をつけよ」という神託を受けていた。川で片方のサンダルを失って現れたイアソンに、市民の一人に殺されると神託を受けたらどうするかと尋ねると、イアソンは「金羊毛を取りに行かせる」と答え、ペリアスはそのとおりに彼を送り出した。 (1.9.16)
- 関係: owned_by → jason (アポロドーロス 1.9.23, 1.9.27、『ピュティア』4.230-250)
- 関係: participated_in → argonauts (1.9.16 遠征の目的)
- 関係: owned_by → medea (1.9.23 薬で竜を眠らせて自ら手に入れ、イアソンとともに船へ運ぶ)
- 関係: owned_by → hermes (1.9.1 金毛の雄羊はもともとヘルメスがネペレに与えたもの)
- 関係: enemy → ino-leucothea (1.9.1 継母イノの策略でプリクソスが生贄にされかけ、雄羊が救い出す)
- 関係: owned_by → ares (1.9.1 アイエテスがアレスの森の樫に打ちつけた。1.9.16)
グライアイ
- アポロドロスでは、三人の名はエニュオ、ペンプレド、デイノ。生まれたときから老婆で、一つの目と一つの歯を順番に回して使っていた。ペルセウスは目と歯を奪い、有翼のサンダル・キビシス(袋)・冥王の兜を持つニンフたちの居場所を教えれば返すと迫った。 (2.4.2)
- アポロドーロスでは、ペルセウスはグライアイの目と歯を奪い、ニンフたちへの道を教えれば返すと迫った。教わると目と歯を返し、ニンフたちから有翼のサンダル、袋(キビシス)、ハデスの兜を得た。 (2.4.2)
- 関係: sibling → medusa (『神統記』270-276、アポロドロス 2.4.2「ゴルゴンたちの姉妹」)
- 関係: enemy → perseus (アポロドロス 2.4.2 目と歯を奪われ、ニンフたちへの道を教える。オウィディウス『変身物語』4.772-777 受け渡しの隙に目を奪われる)
ハイモン
- 死に方(2)スピンクスの犠牲: アポロドーロスでは、スピンクスの謎を解けずに多くのテーバイ人が食われ、最後にクレオンの息子ハイモンが食われた。これを機にクレオンは、謎を解いた者に王位とライオスの妃を与えると布告する。この形では、ハイモンはオイディプスが王になる前に死んでおり、アンティゴネとの婚約は成り立たない。 (3.5.8)
- 関係: child → creon (『アンティゴネ』626-765 / 3.5.8 / 『神話伝説集』72)
- 関係: killed_by → sphinx (3.5.8 スピンクスに食われた最後の犠牲者。ソポクレスとは相容れない異伝)
ハルモニア
- 神々の降りてきた婚礼: アポロドーロスによれば、アテナがカドモスに王国を用意し、ゼウスがハルモニアを妻として与えた。神々は皆天を離れてカドメイアで宴を開き、賛歌で婚礼を祝った。カドモスはこの婚礼の前に、アレスの竜を殺した償いとして「永遠の一年」(人間の8年)の間アレスに仕えていた。 (3.4.2)
- 呪われた首飾り: 婚礼の贈り物のうち、首飾りはヘパイストスの作だった。アポロドーロスは出どころに異説を挙げ、ヘパイストスがカドモスに与えたとも、ペレキュデスによれば、ゼウスから受け取ったエウロペ(カドモスの妹)が渡したともいう。首飾りと衣はテーバイ王家に伝わり、追放されたポリュネイケスがアルゴスへ持ち出してエリピュレを買収し(テーバイ攻め)、その子テルサンドロスが衣で再び買収した(エピゴノイ)。その後もアルクマイオン、その妻たち、ペゲウスの息子たちの手を渡るたびに死を招き、最後はデルポイに奉納された。 (3.4.2, 3.6.1-2, 3.7.2, 3.7.5-7)
- 蛇への変身: エウリピデス『バッコスの信女』の結末で、ディオニュソスはカドモスとハルモニアが蛇に変わり、牛の引く車で異民族を率いて多くの町を攻めるが、最後はアレスに守られて祝福された者たちの地へ移されると予言する。アポロドーロスでは、二人はイリュリアでエンケレイス人を率いて勝ち、のちに蛇に変えられてエリュシオンの野に送られる。オウィディウスでは、年老いて不幸の続いた家を離れイリュリアへ流れ着いたカドモスが、殺した竜の祟りなら自分も蛇になりたいと願って蛇に変わり、妻もそれに続いて、二匹は森へ這っていった。 (『バッコスの信女』1330-1339 / 3.5.4 / Met. 4.563-603)
- 首飾りと衣はアルクマイオンの死後、アケロオスの指示でアルクマイオンの子らがデルポイに奉納した。 (3.7.5-7)
- 関係: child → ares (『神統記』933-937 / 3.4.2 /『バッコスの信女』1332, 1357-1358「アレスの娘ハルモニア」)
- 関係: child → aphrodite (『神統記』933-937, 975 / 3.4.2)
- 関係: spouse → cadmus (『神統記』937, 975 / 3.4.2 /『バッコスの信女』1330-1339)
- 関係: parent → semele (『神統記』975-976 / 3.4.2)
- 関係: parent → agave (『神統記』975-976 / 3.4.2)
- 関係: parent → ino-leucothea (『神統記』975-976 / 3.4.2)
- 関係: received_gift → cadmus (3.4.2 婚礼でカドモスから衣と、ヘパイストスの作った首飾りを贈られる)
- 関係: received_gift → hephaestus (3.4.2 首飾りはヘパイストスの作。ヘパイストスがカドモスに与えたとも、ペレキュデスによればゼウスからエウロペが受け取ったものともいう)
- 関係: grandparent → pentheus (娘アガウエの子。3.4.2, 3.5.2)
- 関係: grandparent → dionysus (娘セメレの子。『神統記』940-942, 975-976 / 3.4.2-3)
- 関係: grandparent → actaeon (娘アウトノエの子。『神統記』977 / 3.4.2-4)
- 関係: visited → elysium (3.5.4 カドモスと共に蛇に変えられ、ゼウスによってエリュシオンの野へ送られる /『バッコスの信女』1338-1339「祝福された者たちの地」)
ハルピュイア
- アポロニオスの『アルゴナウティカ』では、神の怒りを受けた盲目の予言者ピネウスの食事を、ハルピュイアが空から舞い降りては口や手から奪い、残りを汚していく。アルゴ号に乗っていた北風ボレアスの息子たちが剣を抜いて追いかけるが、イリスが止め、二度とピネウスに近づかないと誓わせる。 (アポロニオス 2.178-300。アポロドロス 1.9.21)
- 関係: sibling → iris (ヘシオドス『神統記』265-269 タウマスとオケアノスの娘エレクトラから、イリスとハルピュイアたちが生まれる。アポロドロス 1.2.6)
- 関係: enemy → argonauts (アポロニオス 2.178-300 ピネウスの食卓を襲い、ボレアスの息子たちに追われる。アポロドロス 1.9.21)
ヘベ
- ヘラクレスは死後、神々のあいだに迎えられてヘベを妻にする。『神統記』は、苦しい功業をやり遂げたヘラクレスが雪のオリュンポスでヘベを妻にし、老いも苦しみもなく暮らすと歌う。生前ヘラクレスを苦しめ続けたヘラの娘と結ばれるという結末。 (『神統記』950-955。アポロドロス 2.7.7 は「ヘラと和解してその娘ヘベを娶り、アレクシアレスとアニケトスをもうけた」と書く)
- 関係: child → zeus (『神統記』921-923、『オデュッセイア』11.604、アポロドロス 1.3.1)
- 関係: child → hera (『神統記』921-923、『オデュッセイア』11.604、アポロドロス 1.3.1)
- 関係: spouse → herakles (『神統記』950-955、『オデュッセイア』11.601-604、ピンダロス『ネメア祝勝歌』1.69-72、アポロドロス 2.7.7)
ヘカトンケイル
- 関係: child → gaia (『神統記』147-153、アポロドロス 1.1.1)
- 関係: child → uranus (『神統記』147-153、アポロドロス 1.1.1)
- 関係: companion → zeus (『神統記』617-735 ゼウスに解放されて味方として戦い、のちに「ゼウスの忠実な番人」となる。アポロドロス 1.2.1)
ヘカベ
- パリスを身ごもったとき、燃える松明を産み落として街が焼ける夢を見た。予言者の助言でパリスはイダ山に捨てられる。『イリアス』にこの夢は無い。 (アポロドーロス 3.12.5、ヒュギヌス 91)
ヘレネ
- 母はレダ。白鳥の姿のゼウスと交わったレダが産んだ。 (3.10.7)
- 母は女神ネメシス。ゼウスから逃れるため雁に姿を変えたネメシスに、白鳥となったゼウスが交わり、ネメシスが産んだ卵をレダが預かって育てた。 (『キュプリア』断片(アテナイオス 8.334b-d)、アポロドーロス 3.10.7「一説には」)
- ギリシャ中から求婚者が集まり、父テュンダレオスは求婚者たちに誓いを立てさせたうえでメネラオスを夫に選んだ。 (3.10.8-9)
- 関係: child → leda (3.10.7。母をネメシスとする説もある(『キュプリア』断片))
- 関係: participated_in → judgment-of-paris (摘要 3.2 アプロディテがパリスに約束した報酬として、本人不在のまま賭けられる)
ヘレノス
- パリスの死後、ヘレネをめぐってデイポボスと争って敗れ、トロイアを去ってイダ山にこもる。そこをオデュッセウスに捕らえられ、トロイアが落ちるための条件を明かした。アポロドーロスが挙げる条件はペロプスの骨を持ち帰ること、ネオプトレモスを参戦させること、パラディオンを城内から奪うことの三つ。ソポクレス『ピロクテテス』では、ピロクテテスを連れて来なければ落ちないと予言する。 (アポロドーロス摘要 5.9-10、ソポクレス『ピロクテテス』604-613)
- 同じ王家の予言者でも、カッサンドラは信じられず、ヘレノスは信じられる。アポロドーロスは、プリアモスとヘカベの子としてカッサンドラとヘレノスを並べ、カッサンドラがアポロンの怒りで「真実を語っても信じられない」者にされた経緯を記す。一方ヘレノスは、捕らえられるとトロイア陥落の条件を語らされ、その言葉どおりに事が運ぶ。 (3.12.5(プリアモスの子女の列挙とカッサンドラへの呪い)、摘要5.9-10(捕らえられたヘレノスが、ペロプスの骨・ネオプトレモス・パッラディオンの三条件を告げる)。二人を双子とする伝えは後代の注釈に帰されるが、本文を確認できなかった)
- 関係: sibling → cassandra (3.12.5)
- 関係: abducted_by → odysseus (摘要 5.9-10 イダ山で捕らえられる)
ヘレ
- 雄羊に乗ってシゲイオンとケルソネソスの間の海の上に来たとき、ヘレは海に滑り落ちて溺れた。その海は彼女にちなんでヘレスポントスと呼ばれるようになった。 (アポロドーロス 1.9.1、ヒュギヌス 3)
- ヘレスポントスは「ヘレの海(ポントス)」の意味で、現在のトルコのダーダネルス海峡を指す古名。神話の少女の名が、エーゲ海とマルマラ海を結ぶ海峡の名に残っている。 (アポロドーロス 1.9.1。ダーダネルス海峡との同定は辞典類で未確認)
- ヘレスポントスという地名そのものは『イリアス』にすでに出るが、ホメロスはその名をヘレと結びつけていない。海峡の名を少女ヘレの墜落で説明する話は、現存する文献ではアポロドーロスやヒュギヌスで確かめられる。 (『イリアス』2.844(トラキア勢の土地を「流れの強いヘレスポントス」が囲む)。アポロドーロス 1.9.1、ヒュギヌス 3)
- 継母イノは女たちに麦の種を炒らせて不作を起こし、デルポイへの使いを抱き込んで「プリクソスをゼウスに捧げよ」という偽の神託を持ち帰らせた。祭壇に引き出されたプリクソスを、母ネペレがヘレとともに救い、ヘルメスから授かった金の毛の雄羊を与えた。 (1.9.1)
- 関係: child → athamas (アポロドーロス 1.9.1、ヒュギヌス 3)
- 関係: sibling → phrixus (アポロドーロス 1.9.1、ヒュギヌス 3)
- 関係: enemy → ino-leucothea (継母。アポロドーロス 1.9.1、ヒュギヌス 2)
ヘレン
- アポロドーロスによれば、それまでグライコイと呼ばれていた人々を、ヘレンが自分の名にちなんでヘレネスと呼ぶようにした。英語 Greek は、この「前の名」の側、ラテン語 Graeci(ギリシャ語 Graikoi)から来ている。ヘシオドスの名で伝わる断片には、デウカリオンの娘パンドラがゼウスとの間にグライコスを産んだという系譜もある。 (アポロドーロス 1.7.3。etymonline「Greek」(ラテン語 Graeci ← ギリシャ語 Graikoi)。ヘシオドス断片 M-W fr. 5 / Evelyn-White fr. 2(パンドラとグライコス))
- ニンフのオルセイスとの間にドロス、クストス、アイオロスの3人の息子をもうけた。ドロスの子孫がドーリス人、アイオロスの子孫がアイオリス人、クストスの子アカイオスとイオンからアカイア人とイオニア人の名が出た、とされる。部族の起源を一つの家系にまとめた系図。 (アポロドーロス 1.7.3。ヘシオドス断片 M-W fr. 9 / Evelyn-White fr. 4「戦を好む王ヘレンからドロス、クストス、馬を好むアイオロスが生まれた」(アポロニオス古註の引用))
- 父はデウカリオン、母はピュラ。ヘシオドスの名で伝わる系譜詩でもそうなっている。 (アポロドーロス 1.7.2、ヘシオドス断片 Evelyn-White fr. 1)
- アポロドーロスは「ヘレンの父はゼウスだと言う者もいる」と併記する。ギリシャ人の名祖を神の子にする系譜。 (1.7.2)
- デウカリオンはプロメテウスの助言で箱を作り、ピュラと乗り込んで9日9晩ただよい、パルナッソスに着いた。ゼウスの許しを得て肩越しに石を投げると、デウカリオンの石は男、ピュラの石は女になった。二人の最初の子がヘレンである。 (1.7.2)
- 関係: child → deucalion (アポロドーロス 1.7.2、ヘシオドス断片 Evelyn-White fr. 1、トゥキュディデス 1.3.2)
- 関係: child → pyrrha (アポロドーロス 1.7.2、ヘシオドス断片 Evelyn-White fr. 1)
- 関係: child → zeus (1.7.2「ゼウスの子と言う者もいる」。母はピュラのまま)
- 関係: grandparent → athamas (1.7.3。息子アイオロスの子の一人がアタマス)
- 関係: grandparent → sisyphus (1.7.3。シシュポスもアイオロスの子。コリントスのシシュポスとボイオティアのアタマスは兄弟になる)
- 関係: ancestor → admetus (1.7.3(アイオロスの子クレテウス)、1.9.14(クレテウスの子ペレス、その子アドメトス))
- 関係: ancestor → phrixus (1.7.3、1.9.1。アイオロス→アタマス→プリクソス)
ヘレスポントス
- アポロドーロスによれば、ネペレから与えられた金の毛の雄羊に乗って逃げたプリクソスとヘレのうち、ヘレはシゲイオンとケルソネソスのあいだの海ですべり落ちて溺れ、その海はヘレにちなんでヘレスポントスと呼ばれた。 (1.9.1)
- 関係: visited_by → helle (1.9.1 ここで溺れ、海の名になった)
- 関係: visited_by → phrixus (1.9.1)
ヘパイストス
- ゼウスの頭を斧で打ち割ってアテナを生まれさせたのは、プロメテウスとも、ヘパイストスとも言われる、とアポロドーロスは両説を並べる。 (1.3.6)
- ヘラクレスは、ヘルメスから剣、アポロンから弓矢、アテナから長衣を贈られ、ヘパイストスからは黄金の胸当てを贈られた。 (2.4.11)
- 関係: companion → athena (3.14.6。アテナを追い、大地に落ちた精からエリクトニオスが生まれる)
ヘラクレス
- ゼウスが「今日生まれる自分の血筋の者が周囲を治める」と宣言すると、ヘラはアルクメネの出産を止め、ペルセウスの孫エウリュステウスを七か月で先に生ませた。このためヘラクレスは、母のいとこにあたるこの男に仕えることになる。 (『イリアス』19.95-124、アポロドーロス 2.4.5)
- 名はギリシャ語で「ヘラの栄光」と解される(ヘラ+kleos「名声」)。自分を憎んだ女神の名を背負っている。アポロドーロスは、もとはアルケイデスと呼ばれ、デルポイの巫女が初めてヘラクレスと呼んだとする。 (etymonline「Hercules」、アポロドーロス 2.4.12)
- ヘラの送った狂気でメガラとの子らを火に投げ込み、その償いとしてデルポイの神託に従いエウリュステウスに12年仕える。狂気が難業の「原因」になる順序。 (2.4.12)
- 毒の衣に焼かれたヘラクレスはオイテ山に薪を積ませたが、誰も火を点けようとしない。通りかかったポイアスが点火し、礼に弓を与えられた。 (2.7.7)
- 死後は神々の列に加わり、ゼウスとヘラの娘ヘベを妻にする。『オデュッセイア』でオデュッセウスが冥界で見るのは「幻影(エイドロン)」で、本人は神々のもとにいると断っている。 (『神統記』950-955、『オデュッセイア』11.601-604、アポロドーロス 2.7.7)
- 生後8か月のとき、ヘラが寝床に二匹の大蛇を送ったが、ヘラクレスは両手で絞め殺した。ペレキュデスの説では、蛇を入れたのはどちらが自分の子か見分けようとしたアンピトリュオンだという。 (2.4.8)
- 竪琴の師リノスに打たれて逆上し、竪琴で打ち殺した。ラダマンテュスの法を引いて無罪となったが、アンピトリュオンは彼を牧場へ送った。 (2.4.9)
- デルポイの巫女が命じたのは「10の難業」だったが、エウリュステウスはヒュドラ退治(イオラオスの助けを借りた)とアウゲイアスの家畜小屋(報酬を取った)を認めず、黄金の林檎とケルベロスを追加した。 (2.4.12、2.5.11)
- イピトスを狂気のうちに殺して病にかかり、デルポイで鼎を奪おうとしてアポロンと争い、ゼウスの雷で分けられる。神託に従ってヘルメスに売られ、リュディアの女王オンパレに3年仕えた。 (2.6.2-3)
- ネッソスは死にぎわに、自分の血を惚れ薬としてデイアネイラに渡させた。イオレのことを知った彼女がそれを衣に塗って送ると、ヒュドラの毒が肌を焼き、剥がすと肉ごと剥がれた。デイアネイラは首をくくった。 (2.7.6-7)
- 関係: received_gift → hermes (2.4.11 ヘルメスから剣を贈られる)
- 関係: received_gift → apollo (2.4.11 アポロンから弓と矢を贈られる(のちピロクテテスに渡る弓))
- 関係: spouse → deianira (アポロドーロス 2.7.5 河神アケロオスと組み合って勝ち、妻に迎える)
- 関係: participated_in → twelve-labors (2.4.12-2.5.12)
- 関係: killed → nemean-lion (『神統記』332、アポロドーロス 2.5.1 腕で首を締めて殺す)
- 関係: killed → hydra (『神統記』316-318 イオラオスとともに、アポロドーロス 2.5.2)
- 関係: abducted → cerberus (『オデュッセイア』11.623-625、『イリアス』8.366-368、アポロドーロス 2.5.12(エウリュステウスに見せたあと冥界に返す))
- 関係: visited → hesperides (アポロドーロス 2.5.11 黄金の林檎を取りに行く、エウリピデス『ヘラクレス』394-399)
- 関係: visited → atlas (2.5.11 アトラスに林檎を取らせ、天空を担ぐ役を策略で返す)
- 関係: advisee → prometheus (アポロドーロス 2.5.11 アトラスを出し抜く策はプロメテウスの助言。『神統記』526-531 ではヘラクレスが鷲を殺してプロメテウスを苦しみから解く)
- 関係: enemy → amazons (2.5.9 女王ヒッポリュテの帯を取りに行き、ヘラの扇動で戦いになる)
- 関係: killed → laomedon (2.6.4 トロイアを攻略してラオメドンとその子らを射殺す(ポダルケス=プリアモスだけ残す))
- 関係: visited → troy (『イリアス』5.638-642 ラオメドンの馬のために6隻で来てイリオスを攻め落とした、14.250-251。アポロドーロス 2.5.9, 2.6.4)
- 関係: killed_unintentionally → chiron (2.5.4 ケンタウロスを射た矢が誤ってケイロンの膝に当たる。不死ゆえ死ねず苦しみ、プロメテウスが不死を引き受けて死ぬ)
- 関係: participated_in → argonauts (アポロニオス 1.122-131 に参加、1.1207-1320 ヒュラスを探すうちに置き去りにされる。アポロドーロス 1.9.16, 1.9.19)
- 関係: companion → theseus (2.5.12 冥界で椅子に縛られたテセウスを引き起こして連れ帰る。摘要 1.16 アマゾン遠征に同行)
ヘルメス
- ゼウスの命でイオを盗み出そうとし、見張りのアルゴスを石で殺したため「アルゲイポンテス」と呼ばれた、とアポロドーロスは説明する。オウィディウスでは笛と話でアルゴスを眠らせてから首をはねる。 (アポロドーロス2.1.3、オウィディウス『変身物語』1.668-721)
- 関係: foster_parent → dionysus (3.4.3。ゼウスの腿から生まれた赤子をニュサのニュンペたちに預けた)
ヘスペリデス
- アポロドーロスでは、林檎はゼウスとヘラの結婚の際に大地が贈ったもので、テュポンとエキドナの子である百の頭をもつ不死の竜が番をする。ヘスペリデスはアイグレ、エリュテイア、ヘスペリア、アレトゥサの4人。 (2.5.11)
- 園の場所は一定しない。アポロドーロスは「ある人々の言うようにリビュア(北アフリカ)ではなく、極北人(ヒュペルボレオイ)の地のアトラスにある」とわざわざ否定しており、リビュア説が当時広まっていたことが分かる。 (2.5.11)
- ヘラクレスはプロメテウスの助言で、自分が天を支えるあいだにアトラスに林檎を取らせた。アトラスが林檎を自分で届けると言い出すと、「頭に当て物をするまで少し持っていてくれ」と頼んで天空を返し、林檎を持ち去った。自分で竜を殺して摘んだという別伝もアポロドーロスは併記する。 (2.5.11)
- 持ち帰った林檎はエウリュステウスがヘラクレスに与え、アテナがもとの園へ戻した。「どこかに置いておくことが許されない」林檎だったためという。 (2.5.11)
- パリスの審判のきっかけになった「不和の林檎」は、アポロドーロスでは争いの女神(エリス)が投げた林檎と書かれるだけで、ヘスペリデスの林檎とは結びつけられていない。どちらも「林檎」だが、別の話である。 (摘要 3.2)
- 関係: companion → atlas (『神統記』517-518 アトラスはヘスペリデスの前で天を支える。アポロドーロス 2.5.11 アトラスがヘスペリデスから林檎を3つ受け取る)
- 関係: visited_by → herakles (アポロドーロス 2.5.11、エウリピデス『ヘラクレス』394-399「歌う乙女たちの夕べの庭」)
- 関係: participated_in → twelve-labors (2.5.11 第十一の功業)
ヒッポリュテ
- アポロドーロスでは、ヘラクレスの九番目の功業が「ヒッポリュテの帯」。ヒッポリュテはテルモドン川のほとりのアマゾンの女王で、ほかのアマゾンに優る証しとしてアレスの帯を持っていた。エウリュステウスの娘アドメテがその帯を欲しがったため、ヘラクレスが遣わされた。 (2.5.9)
- テミスキュラの港に着いたヘラクレスをヒッポリュテが訪ね、帯を渡すと約束する。しかしヘラがアマゾンの姿で「よそ者が女王をさらう」と言いふらし、アマゾンたちが武装して船に押し寄せた。裏切りを疑ったヘラクレスはヒッポリュテを殺して帯を奪う。 (2.5.9)
- アポロドーロスは、ヘラクレスのアマゾン遠征に加わったテセウスが連れ帰ったアマゾンをアンティオペ(一説にメラニッペ)とし、詩人シモニデスはヒッポリュテと呼ぶ、と記す。この女性からヒッポリュトスが生まれた。プルタルコスも、クレイデモスがテセウスの妻のアマゾンをアンティオペではなくヒッポリュテと呼ぶことを紹介する。 (アポロドーロス 摘要1.16。プルタルコス『テセウス伝』27.4)
- テセウスがパイドラと結婚したとき、以前の妻のアマゾンが仲間を連れて武装して現れ、客を殺すと脅したため、人々は扉を閉ざして彼女を殺した。テセウスが戦いで討ったとする説もある、とアポロドーロスは書く。 (摘要1.17)
- 関係: ruler → amazons (アポロドーロス2.5.9 アマゾンの女王。『アルゴナウティカ』2.998-999 三つの部族のうちの一つを治める)
- 関係: killed_by → herakles (2.5.9 ヘラの流言で戦いになり、ヘラクレスが女王を殺して帯を奪う。『アルゴナウティカ』2.966-969 では殺されず、身代金として帯を渡す)
- 関係: participated_in → twelve-labors (2.5.9 九番目の功業「ヒッポリュテの帯」)
- 関係: spouse → theseus (摘要1.16 テセウスの妻のアマゾンを、シモニデスはヒッポリュテと呼ぶ(多くはアンティオペ)。プルタルコス『テセウス伝』27.4 クレイデモスも同様)
- 関係: parent → hippolytus (摘要1.16 テセウスがアマゾンとのあいだにヒッポリュトスをもうける。母をヒッポリュテと呼ぶのはシモニデスの呼び名に従った場合)
ヒッポリュトス
- トロイゼンを去る海沿いの道で、大波の中から牡牛が現れ、驚いた馬が戦車を岩にぶつけた。手綱に絡まったヒッポリュトスは引きずられて致命傷を負う。 (『ヒッポリュトス』1198-1242(牡牛は 1214-1215)、アポロドーロス 摘要 1.19)
- 母のアマゾンの名は一定しない。アポロドーロスはアンティオペ、メラニッペ、そしてシモニデスの言うヒッポリュテを並べる。 (摘要 1.16)
- アスクレピオスが死者を生き返らせた例として、アポロドーロスはヒッポリュトスを挙げ、その典拠を失われた叙事詩『ナウパクティカ』の作者とする。 (3.10.3)
- 関係: child → theseus (『ヒッポリュトス』10-11、アポロドーロス 摘要 1.16, 1.18。父の呪い(887-890)で死ぬ)
- 関係: child → amazons (摘要 1.16, 1.18。母はテセウスがさらったアマゾン(アンティオペ、メラニッペ、ヒッポリュテと名は諸説))
- 関係: courted_by → phaedra (継母に恋される。摘要 1.18、『ヒッポリュトス』27-28)
- 関係: killed_by → poseidon (テセウスの願いでポセイドンが海から牡牛を送る。『ヒッポリュトス』1214-1215、摘要 1.19、『変身物語』15.497-529)
ヒッポメネス
- 勝者の名は出典で違う。オウィディウスとヒュギヌスではヒッポメネス。アポロドーロスはメラニオンを本筋とし、黄金の林檎もメラニオンがアプロディテから持ってきたとしたうえで、「エウリピデスは夫をヒッポメネスとする」と書き添える。 (Met. 10.560-680 / 185 / 3.9.2)
- 関係: spouse → atalanta (Met. 10.680 / 『神話伝説集』185 / 3.9.2(エウリピデスは夫をヒッポメネスとする、と伝える))
ホーラ
- アポロドロスもゼウスとテミスの娘として、エイレネ(平和)、エウノミア(秩序)、ディケ(正義)の三柱を挙げる。 (1.3.1)
- 関係: child → zeus (『神統記』901-903、アポロドロス 1.3.1)
- 関係: child → themis (『神統記』901-903、アポロドロス 1.3.1)
ヒュアキントス
- アポロドーロスの一つ目の系譜: ムーサのクレイオが、アドニスへの恋をからかった罰でアプロディテに恋心を吹き込まれ、マグネスの子ピエロスとのあいだにヒュアキントスを生んだ。詩人タミュリスが彼に恋し、「男を愛した最初の者」となった。そのあとでアポロンが彼を愛した。 (1.3.3)
- アポロドーロスの二つ目の系譜とパウサニアス: スパルタ王家のアミュクラス(ラケダイモンの子)の子。パウサニアスは、アミュクラスの息子たちのうち最年少で最も美しく、父より先に死んだとする。同じ本の中で、母がムーサとも人間の王妃とも書かれていることになる。 (アポロドーロス 3.10.3(母はラピトスの娘ディオメデ)/ パウサニアス 3.1.3)
- 関係: lover → apollo (Met. 10.162-219 / 1.3.3, 3.10.3 / 『ヘレネ』1469-1475)
- 関係: killed_unintentionally_by → apollo (1.3.3「円盤を投げて意図せず殺した」/ Met. 10.178-185 / 『ヘレネ』1471-1473)
- 関係: child → clio (1.3.3 ムーサのクレイオとピエロスの子とする説。3.10.3 ではアミュクラスとディオメデの子)
ヒュドラ
- アポロドーロスでは首は9つで、8つは死ぬが真ん中の1つは不死。1つ潰すと2つ生えるので、イオラオスが切り口を松明で焼いて再生を止め、最後に不死の首を切って道端の大岩の下に埋めた。 (2.5.2)
- 戦いの最中に大蟹がヒュドラを助けてヘラクレスの足を噛んだが、踏み殺された。 (2.5.2)
- エウリュステウスは、イオラオスの手を借りたという理由でこの功業を数に入れなかった。これが「十の功業」が12に増える理由の一つになる。 (2.5.2, 2.5.11)
- ヘラクレスはヒュドラの胆汁に矢を浸した。この毒矢でケンタウロスのネッソスが射られ、その血を「媚薬」と信じたデイアネイラの贈った衣が、ヘラクレスを焼き殺す。ヒュドラは死んだあとも最後の敵であり続ける。 (アポロドーロス 2.5.2, 2.7.6-7、ソポクレス『トラキスの女たち』572-577(「レルネのヒュドラが矢を染めた」血))
- ヒュドラはレルネの沼で育ち、平野に出ては家畜と土地を荒らした。ヘラクレスはイオラオスに戦車を御させ、アミュモネの泉のそばの丘の巣穴に火矢を射込んで追い出した。切り落とした不死の首は、レルネからエライオスへ向かう道のそばに埋め、重い岩を載せた。 (2.5.2)
- 関係: killed_by → herakles (『神統記』316-318、アポロドーロス 2.5.2)
- 関係: participated_in → twelve-labors (2.5.2 第二の功業)
イアペトス
- アポロドロスでは妻はオケアノスの娘アシアで、メノイティオスはティタン戦争でゼウスに雷で打たれてタルタロスへ落とされたとされる。 (1.2.3)
- 関係: parent → atlas (『神統記』507-509(母クリュメネ)。アポロドロス 1.2.3(母アシア))
- 関係: parent → prometheus (『神統記』507-511。アポロドロス 1.2.3)
- 関係: parent → epimetheus (『神統記』507-514。アポロドロス 1.2.3)
イカロス
- アポロドーロスによれば、母はミノスの女奴隷ナウクラテ。 (摘要 1.12)
- 父は「高く飛ぶと太陽で膠が溶け、海に近すぎると湿気で羽がはがれる」と、上下両方を戒めていた。イカロスは聞かずにどんどん高く昇り、膠が溶けて、のちに彼の名で呼ばれるイカリア海に落ちて死んだ。 (摘要 1.12-13)
- サモス島沖のイカリア島とその周りのイカリア海は、イカロスにちなむ名と説明されてきた。アポロドーロス、オウィディウス、パウサニアスがそろって地名の由来として語っている。 (アポロドーロス摘要 1.13、『変身物語』8.229-230, 8.235、パウサニアス 9.11.5)
- 関係: child → daedalus (アポロドーロス摘要 1.12、『変身物語』8.195)
- 関係: enemy → minos (摘要 1.12 父とともに迷宮に閉じ込められる)
- 関係: visited → labyrinth (摘要 1.12 父とともに迷宮に閉じ込められる)
イドメネウス
- 関係: suitor → helen (3.10.8。ヘレネの求婚者の一人として数えられる)
イノ・レウコテア
- アポロドーロスでは、ディオニュソスを女の子として育てたイノとアタマスをヘラが狂わせ、アタマスは長男レアルコスを鹿として狩り殺し、イノは次男メリケルテスを煮えたぎる大釜に投げ込んで、その亡骸を抱いて海へ飛び込んだ。イノはレウコテア、子はパライモンと呼ばれ、嵐にあう船乗りを助ける。 (3.4.3)
イオ
- 父親は出典で割れる。アポロドーロスは、イアソスの娘とする説、年代記作者カストルや多くの悲劇詩人が言うアルゴスの河神イナコスの娘とする説、ヘシオドスとアクシラオスが言うペイレンの娘とする説を並べている。オウィディウスは河神イナコスの娘とし、牝牛になった娘を父イナコスが嘆く場面を置く。 (2.1.3 / Met. 1.639-667)
- アポロドーロスによれば、ヘラに見つかったゼウスはイオに触れて白い牝牛に変え、「この娘とは交わっていない」と誓った。ヘシオドスはこの話を根拠に「恋のために立てた誓いは神々の怒りを招かない」と言ったという。 (2.1.3(ヘシオドスの原文は断片としてアポロドーロス経由で伝わる))
- ヘラは牝牛をもらい受け、全身に目をもつ番人アルゴスに見張らせた。ゼウスに命じられたヘルメスは、アポロドーロスでは石を投げてアルゴスを殺し、そこから「アルゴス殺し(アルゲイポンテス)」の呼び名を得たとされる。オウィディウスでは、ヘルメスが葦笛シュリンクスの由来話を語って百の目をすべて眠らせてから首をはねる。 (2.1.3 / Met. 1.668-721(シュリンクスの話 1.689-712))
- アブに追われたイオの放浪は、地名の由来譚になっている。アポロドーロスは、最初に着いた湾がイオにちなんでイオニア湾と呼ばれ、トラキアの海峡が「牛(ブース)の渡り(ポロス)」でボスポロスと呼ばれるようになったとする。ところがアイスキュロス『縛られたプロメテウス』でイオの名を負う「ボスポロス」は、イスタンブールの海峡ではなく、黒海北岸のキンメリアのボスポロス(現在のケルチ海峡)である。 (2.1.3 / 『縛られたプロメテウス』729-735。Smyth 訳の注は「牛の渡り」を民間語源とする説を紹介している)
- 放浪の果てにエジプトのナイル河畔で元の姿に戻り、ゼウスの子エパポスを生む。アポロドーロスは、エジプト人がイオをイシスと呼んだと書き、オウィディウスも、亜麻の衣の信者たちに崇められる女神になった、とイシスと重ねる。エパポスの子孫からは、ダナオスとその50人の娘たち、そしてエウロペやカドモスの一族が出る。 (2.1.3(エジプト、エパポス、イシス)、2.1.4(エパポス→リビュエ→ベロスとアゲノル→ダナオス、アイギュプトス)/ Met. 1.738-749)
- 関係: lover → zeus (アポロドーロス 2.1.3 / Met. 1.588-600 / 『縛られたプロメテウス』561-886)
- 関係: enemy → hera (2.1.3 ヘラの女神官だった。ヘラは牝牛をもらい受けてアルゴスに見張らせ、アブを送る / Met. 1.601-624, 1.724-727)
- 関係: ancestor → danaids (2.1.4 イオ→エパポス→リビュエ→ベロス→ダナオス)
イスメネ
- 関係: child → oedipus (3.5.8 /『オイディプス王』1462-1475)
- 関係: child → jocasta (3.5.8(エウリュガネイアの子とする異伝も)/『アンティゴネ』1「同じ母から生まれた妹」)
- 関係: sibling → polynices (3.5.8)
- 関係: sibling → eteocles (3.5.8)
イクシオン
- アポロドーロスでは、イクシオンがヘラに言い寄り、ヘラがそれをゼウスに告げると、ゼウスは真偽を確かめるためにヘラそっくりの雲を作って彼のそばに置いた。イクシオンがヘラと寝たと自慢すると、ゼウスは彼を車輪に縛り、風で空中を回らせた。雲は身ごもってケンタウロスを産んだ。 (摘要1.20)
イアソン
- ペリアスは「片方のサンダルの男に用心せよ」という神託を受けていた。川を渡るときにサンダルを片方なくしたイアソンが現れ、ペリアスが「自分を殺す者がいると神託を受けたらどうするか」と問うと、イアソンは「金羊毛を取りに行かせる」と答えてしまい、自らその役を負った。 (ピンダロス『ピュティア』4.73-78、アポロニオス 1.5-7、アポロドーロス 1.9.16)
- コルキス王アイエテスは、火を吐く青銅の蹄の牡牛を軛につなぎ、竜の歯を蒔くことを条件にした。メデイアから一日だけ火にも鉄にも傷つかなくなる薬を授かり、蒔いた歯から生えた戦士たちには石を投げ込んで同士討ちさせた。 (1.9.23)
- 帰国後、メデイアの策でペリアスを殺させたためイオルコスを追われ、コリントスで10年暮らした。やがてコリントス王クレオンの娘グラウケと結婚してメデイアを離縁し、それがメデイアの復讐を招く。 (アポロドーロス 1.9.27-28)
- アルゴ号の旅: 男のいないレムノス島への寄港、盲目の予言者ピネウスをハルピュイアから救い、教えどおり鳩を飛ばして打ち合う岩を抜けた(鳩は尾の先、船は船尾の飾りを失った)。 (1.9.17、1.9.21-22)
- アイエテスは牡牛を繋いでも羊毛を渡さず船を焼こうとしたため、メデイアが夜に竜を薬で眠らせて羊毛を奪い、弟アプシュルトスを連れて船出した。追う父の前で弟を切り刻んで海にまき、追跡を遅らせた。 (1.9.23-24)
- ゼウスの嵐、船の言葉、キルケによる清め、セイレーン、スキュラとカリュブディス、パイアケス人の島での結婚、クレタの青銅の巨人タロスを経て、一行は4か月でイオルコスに戻った。 (1.9.24-26)
- ペリアスはイアソンの父アイソンを死に追いやっていた。メデイアは羊を切り刻んで煮て子羊に変えて見せ、ペリアスの娘たちに父を切り刻ませて煮させた。 (1.9.27)
- イアソンがコリントス王クレオンの娘グラウケと結婚しメデイアを離縁すると、メデイアは毒の衣で花嫁と助けに来た王を焼き殺し、二人の子も殺して太陽神の竜の車でアテナイへ逃れた。子らはコリントス人に殺されたという別伝も併記される。 (アポロドーロス 1.9.28)
- 関係: spouse → medea (『神統記』992-1002、アポロドーロス 1.9.23-25, 1.9.28、エウリピデス『メデイア』)
- 関係: participated_in → argonauts (指揮者。アポロドーロス 1.9.16-17、『ピュティア』4.169-254)
- 関係: owner → golden-fleece (アポロドーロス 1.9.23 メデイアに導かれて持ち出し、1.9.27 ペリアスに渡す。『ピュティア』4.230-250)
- 関係: owner → argo (アポロドーロス 1.9.16、『オデュッセイア』12.69-72)
- 関係: advisee → hera (『オデュッセイア』12.72「イアソンが愛しかったので」ヘラが船を通した。アポロドーロス 1.9.16 金羊毛を口にしたのはヘラの差し金だったとも)
- 関係: visited → circe (アポロドーロス 1.9.24 アプシュルトス殺しの穢れをアイアイエで清めてもらう。アポロニオス 4.659-752)
- 関係: companion → peleus (アポロニオス 1.90-94、アポロドーロス 1.9.16)
- 関係: companion → polydeuces (1.9.16 乗組員名簿「ゼウスの子カストルとポリュデウケス」)
- 関係: companion → castor (1.9.16)
- 関係: visited → alcinous (1.9.25 パイアケス人の島でアレテの計らいによりメデイアと結婚する)
イオカステ
- ホメロスでの名はエピカステ。冥界でオデュッセウスが見る女たちの一人として、「知らずに大それたことをした」オイディポデスの母として語られる。イオカステの名は悲劇から。アポロドーロスは両方の名を併記している。 (『オデュッセイア』11.271-280 / 3.5.7)
- ホメロスとソポクレスでは、真相が明らかになるとすぐ首を吊って死ぬ。ホメロスは「悲しみに打ち負かされ、高い梁から縄をかけた」とだけ言い、ソポクレスは寝室に駆け込んでライオスの名を呼び、閉ざした戸の向こうで縄にかかっていた姿を使者に語らせる。 (『オデュッセイア』11.277-278 / OT 1241-1264 / 3.5.9)
- 父はメノイケウスで、兄弟にクレオンがいる。アポロドーロスでは、ライオスが殺された後に王位を継いだのがクレオンで、スフィンクスの謎を解いた者に王位とライオスの妻を与えると布告した。イオカステとの結婚は、謎解きの褒美として差し出されたものだった。 (3.5.7-8 /『フェニキアの女たち』10-11, 45-49)
- 関係: spouse → laius (OT 711-714 / 3.5.7 / 『フェニキアの女たち』10-13)
- 関係: parent → antigone (『フェニキアの女たち』55-58(アンティゴネは自分が名付けたと語る)/ 3.5.8。異説ではエウリュガネイアの子)
パリスの審判
- 三つの贈り物を「アジアの王権」「戦いの勝利」「最も美しい女」と整理して語るのはアポロドーロス。この形が後世の定型になった。 (摘要 3.2)
- アポロドーロスによれば、ヘカベは二人目の子を産む前に、燃えるたいまつを産んでその火が町中を焼く夢を見た。夢解きのアイサコスがこの子は祖国の破滅のもとだと告げ、生まれた子はイデ山に捨てられた。5日間雌熊に乳を与えられた赤子を、捨てに行った召使いアゲラオスが拾って自分の子として育て、パリスと名づけた。 (3.12.5)
- 関係: participant → paris (『イリアス』24.25-30、アポロドーロス摘要 3.2)
- 関係: participant → hera (摘要 3.2 王権を約束する)
- 関係: participant → athena (摘要 3.2 戦いの勝利を約束する)
- 関係: participant → aphrodite (摘要 3.2 ヘレネを約束して選ばれる)
- 関係: participant → hermes (ゼウスの命で三女神をイダ山へ導く)
- 関係: located_at → mount-ida (摘要 3.2 審判の場所)
- 関係: participant → helen (摘要 3.2 アプロディテが約束した報酬として)
クノッソス
- アポロドーロスによれば、ダイダロスはパシパエのために木の牝牛を作り、迷宮を造った。アテネ人は毎年七人の若者と七人の娘をミノタウロスの餌として迷宮へ送った。 (3.1.4、3.15.8。アポロドーロスは迷宮の場所をクノッソスと明記していない)
クロノス
- 大鎌で父ウラノスの性器を切り落とし、世界の支配権を奪った。 (『神統記』176-182。アポロドーロス 1.1.4 では切り取った性器を海に投げる)
- 後にクロノスは呑み込んだものを吐き出す。まず石が出て、ゼウスはそれをピュトー(デルポイ)の地に据え、人々のしるしとした。 (『神統記』492-500。アポロドーロス 1.2.1 では、メティスがクロノスに吐かせる薬を与えたとする(吐かせ方の説が分かれる))
ラビュリントス
- アポロドーロスは、迷宮を「入り組んだ曲がり角で外への道を惑わせる部屋」と説明し、入った者は出口を見つけられなかったとする。 (3.1.4, 3.15.8)
- 関係: created_by → daedalus (アポロドーロス 3.1.4, 3.15.8、『変身物語』8.159-168)
- 関係: owned_by → minos (3.1.4、『変身物語』8.157-158)
- 関係: visited_by → minotaur (閉じ込められた。3.1.4、『変身物語』8.169-170)
- 関係: visited_by → theseus (摘要 1.9)
- 関係: visited → crete (クレタのクノッソス近くにあったとされる(3.1.4)。「visited」は所在の意で用いる)
ラエルテス
- ホメロスの外の経歴: アポロドーロスのアルゴ船遠征隊の一覧に「アルケイシオスの子ラエルテス」の名が挙がる。『オデュッセイア』にこの経歴の記述はない。 (1.9.16。同じアポロドーロスのカリュドンの猪狩りの一覧(1.8.2)には名が無い)
ライオス
- カドモスの子ポリュドロス、その子ラブダコス、その子がライオス。父ラブダコスが死んだときライオスは1歳で、王権はニュクテウスの兄弟リュコスに奪われた。その後、町に城壁を築いたゼトスとアンピオンによってテーバイを追われる。 (3.5.5 /『フェニキアの女たち』5-9)
- アポロドーロスによれば、追放されたライオスはペロポネソスでペロプスの客となり、その子クリュシッポスに戦車の御し方を教えるうちに恋をして、彼をさらった。この誘拐をライオスの罪とし、一族の呪いの出発点とみる伝えがある。 (3.5.5。これを呪いの起点とする解釈の典拠(エウリピデスの散逸劇『クリュシッポス』など)は未確認)
- ソポクレスでは、神託は「生まれた子に殺される」という予告の形。イオカステの語るところでは、ライオスは生後3日にもならない赤子のくるぶしを留め、人の手で人跡まれな山に捨てさせた。エウリピデスとアポロドーロスは、神託に逆らって子をもうけたのは酒に酔ったためだったとする。 (OT 711-719 /『フェニキアの女たち』17-26 / 3.5.7)
- ライオスが殺されたのは、ポキス地方でデルポイからの道とダウリアからの道が合わさる「三叉路」。ソポクレスではオイディプスが、道から押しのけられて御者を打ち、老人に二又の突き棒で頭を打たれたので、杖で打ち返して一行を殺したと自ら語る。アポロドーロスでは狭い道で、伝令ポリュポンテスが馬の一頭を殺したことが発端とされる。 (OT 716, 733-734, 800-813 / 3.5.7)
- アポロドーロスによれば、殺されたライオスを葬ったのはプラタイアの王ダマシストラトスで、テーバイの王位は妻イオカステの兄弟クレオンが引き継いだ。 (3.5.8)
- 関係: spouse → jocasta (OT 711-714 / 3.5.7 / 『フェニキアの女たち』10-13)
- 関係: parent → oedipus (OT 711-722 / 3.5.7)
- 関係: ruler → thebes (3.5.7 アンピオンの死後に王位を継ぐ / OT 103 以下)
- 関係: visited → pelops (3.5.5 テーバイを追われてペロポネソスでペロプスの客となる)
ラミア
- ラミアの名は、ホメロスの『イリアス』『オデュッセイア』、ヘシオドス『神統記』、アポロドーロス『ビブリオテーケー』、オウィディウス『変身物語』、ヒュギヌス『神話集』には出てこない。まとまった話は、歴史家ディオドロスや辞典『スーダ』、著述家たちのたとえ話のなかに残る。 (手元の英訳全文(『イリアス』『オデュッセイア』『神統記』『ビブリオテーケー』『変身物語』『神話集』)と、『イリアス』『オデュッセイア』『神統記』のギリシャ語本文で Lamia / Λάμια を検索して該当なし(2026年9月))
ラオコオン
- アポロドーロスではさらに異なる。ラオコオンは「予言者」と呼ばれ、蛇に食われるのは二人の息子で、ラオコオン自身が死んだとは書かれていない。 (摘要 5.17-18)
- どの神が関わるかも一定しない。『アエネイス』ではその日くじで選ばれたネプトゥヌス(ポセイドン)の祭司とされ、アポロドーロスでは単に「予言者」と呼ばれる。ヒュギヌスでは蛇を送るのはアポロンで、二人の息子にアンティファンテス、テュンブライオスという名まで付いている。 (『アエネイス』2.201「ネプトゥヌスの祭司」、アポロドーロス摘要 5.17、ヒュギヌス 135)
ラオメドン
- 神々の怒りで海獣が現れ、娘ヘシオネを生贄に差し出すことになる。通りかかったヘラクレスが、ゼウスがガニュメデスの代償に与えた名馬と引き換えに娘を救うが、ラオメドンはまたも約束を破った。 (アポロドーロス 2.5.9、ヒュギヌス 89)
- 怒ったヘラクレスは軍を率いて戻り、トロイアを陥落させてラオメドンと息子たちを殺した。『イリアス』でもトレポレモスが父ヘラクレスの手柄として語る。トロイア戦争より前にトロイアは一度落ちている。 (『イリアス』5.638-651、アポロドーロス 2.6.4)
- この時に唯一生き残った末子ポダルケスを、姉ヘシオネがヴェールと引き換えに買い戻した。そのため「買われた者」を意味するプリアモスと呼ばれるようになったとされる。 (2.6.4)
- ラオメドンに報酬を踏み倒されたアポロンは疫病を、ポセイドンは海の怪物を送った。神託に従ってラオメドンは娘ヘシオネを海辺の岩に縛りつけ、ヘラクレスが名馬と引き換えに救った。 (2.5.9)
- ヘラクレスは18隻の船でトロイアを攻め、テラモンが最初に城壁を破って入った。ヘラクレスはラオメドンと息子たちを射殺し、ヘシオネをテラモンに与えた。 (2.6.4)
レダ
- アイトリアの王テスティオスの娘で、スパルタ王テュンダレオスに嫁いだ。 (3.10.5)
- 白鳥の姿のゼウスと交わり、同じ夜にテュンダレオスとも交わった。ゼウスからヘレネとポリュデウケスを、テュンダレオスからカストルとクリュタイムネストラを産んだ。 (3.10.7)
- アポロドーロスの割り振りでは、ゼウスからヘレネとポリュデウケス、テュンダレオスからカストルとクリュタイムネストラを産んだ。同じ夜の二人の相手から、不死の側と死ぬ側の子が二人ずつ生まれるという分け方になっている。 (3.10.7)
- 卵の数え方は伝承で割れる。ヒュギヌスは、白鳥のゼウスからポリュデウケスとヘレネが、テュンダレオスとの間にカストルとクリュタイムネストラが生まれたとするが、卵には触れない。アポロドーロスも同じ組み分けをしたうえで、ネメシスの産んだ卵を羊飼いがレダに渡し、そこからヘレネが孵ったとする異伝を並べる。ホメロスはカストルとポリュデウケスを二人ともテュンダレオスの子とする。 (ヒュギヌス 77 / アポロドーロス 3.10.7(ネメシスの卵の異伝を含む)/ 『オデュッセイア』11.298-300)
- 『キュプリア』の伝えるもう一つの形では、卵を産んだのは女神ネメシスで、レダはそれを預かって育てただけになる。この場合レダはヘレネの生みの母ではない。 (『キュプリア』断片(アテナイオス 8.334b-d)、アポロドーロス 3.10.7「一説には」)
- 関係: parent → castor (『オデュッセイア』11.298-300)
- 関係: parent → polydeuces (『オデュッセイア』11.298-300)
- 関係: parent → helen (『イリアス』3.238 でヘレネはカストルとポリュデウケスを「同じ母から生まれた」と言う。母がレダだと明記されるのはアポロドーロス 3.10.7)
- 関係: parent → clytemnestra (3.10.7。テュンダレオスとの間の娘とされる)
- 関係: lover → zeus (3.10.7。白鳥の姿のゼウスと交わる)
レムノス島
- レムノスの女たちがアプロディテを敬わなかったため、女神は彼女たちに悪臭を与え、夫たちは隣のトラキアから女をさらってきて共に寝た。辱められた女たちは父と夫を殺したが、トアスの娘ヒュプシピュレだけは父を隠して救った。アルゴナウタイが来たとき島は女王ヒュプシピュレが治めていて、一行は女たちと交わり、ヒュプシピュレはイアソンとのあいだにエウネオスとネブロポノスを産んだ。 (1.9.17)
- 関係: visited_by → jason (1.9.17)
- 関係: visited_by → argonauts (1.9.17)
レト
- ヘラが大蛇ピュトンを差し向けてレトを追わせたとする話は讃歌には無く、アポロドーロスなど後代の伝承に見える。 (1.4.1)
マイア
- アポロドーロスでは、アトラスとプレイオネの七人の娘プレイアデス(アルキュオネ、メロペ、ケライノ、エレクトラ、ステロペ、タユゲテ、マイア)はアルカディアのキュレネで生まれ、マイアが長女。ゼウスとのあいだにキュレネの洞窟でヘルメスを産んだ。 (3.10.1-2)
- ゼウスに愛されて熊に変えられたカリストが死ぬと、ゼウスは赤ん坊を取り上げてアルカスと名づけ、アルカディアで育てるようマイアに預けた。 (3.8.2)
- 関係: child → atlas (『神統記』938、アポロドーロス3.10.1、『祭暦』5.83-84(母はプレイオネ))
- 関係: member_of → pleiades (アポロドーロス3.10.1-2(長女)、アラトス262-263)
- 関係: parent → hermes (『神統記』938-939、「ヘルメス讃歌」1-19、『オデュッセイア』14.435、アポロドーロス3.10.2)
マルシュアス
- アポロドーロスの形: オリュンポスの子マルシュアスは、アテナが「顔がゆがむ」と言って捨てた笛を見つけ、アポロンに音楽の勝負を挑んだ。勝った者が負けた者を好きにしてよいという約束だった。勝負でアポロンは竪琴を逆さにして弾き、マルシュアスにも同じことをせよと言ったが、笛では逆さにして吹けないので負けとされ、高い松の木に吊るされて皮を剥がれた。 (1.4.2)
- 関係: killed_by → apollo (アポロドーロス 1.4.2 高い松の木に吊るして皮を剥ぐ / ヘロドトス 7.26.3 / Met. 6.382-391)
- 関係: enemy → apollo (アポロドーロス 1.4.2 音楽の勝負を挑む /『祭暦』6.707「ポイボスに挑み、負けて吊るされた」)
メデイア
- 追ってくる父を引き止めるため、連れてきた弟アプシュルトスを殺して切り刻み、海にまいた。父が拾い集めているあいだに逃げ切った。アポロドーロスは、父が亡骸を葬った地をトミと名づけたとする。この殺しの穢れを清めたのが、叔母のキルケだった。 (1.9.24)
- イオルコスに戻ると、メデイアは雄羊を切って煮て子羊に若返らせてみせ、ペリアスの娘たちに「父を若返らせる」と信じ込ませて、父を切り刻んで煮させた。 (1.9.27)
- エウリピデスの悲劇(前431年)では、イアソンに捨てられたメデイアは、毒を塗った衣で新妻と王を焼き殺したうえ、自分の二人の子を自ら殺し、祖父ヘリオスから与えられた車で去る。 (エウリピデス『メデイア』1270-1292, 1317-1322、アポロドーロス 1.9.28 も同じ筋を主説とする)
- 一方、アポロドーロスは「別の伝え」として、メデイアは逃げる際に幼い子らをヘラの祭壇に嘆願者として残したが、コリントス人が引き離して殺した、とも記す。パウサニアスも、子らは贈り物のせいでコリントス人に石打ちで殺され、その祟りを鎮めるための年ごとの供犠が定められたと伝える。 (アポロドーロス 1.9.28、パウサニアス 2.3.6-7)
- コリントスを去ったメデイアはアテナイで王アイゲウスの妻となり、やって来たテセウスを毒殺しようとして追放された。オウィディウスでは、その毒はヘラクレスが冥界から引き出したケルベロスの泡から生えたアコニトンだった。 (アポロドーロス 1.9.28、摘要 1.5-6、『変身物語』7.404-424)
- メデイアは父に隠れてイアソンに、妻としてギリシャへ連れ帰ると誓うなら助けると持ちかけ、誓いを得ると、盾・槍・体に塗れば一日のあいだ火にも鉄にも傷つかない薬を与えた。竜の歯から生える兵士の群れに石を投げ込めば同士討ちになることも教えた。 (1.9.23)
- クレタの青銅の番人タロスは一日3回島を回って見張り、アルゴ号に石を投げた。メデイアは薬で狂わせたとも、不死にすると約束して踵の釘を抜き、血(イコル)をすべて流れ出させたともいう。ポイアスが踵を射たとする説もある。 (1.9.26)
- 一家はコリントスで10年幸せに暮らしたが、王クレオンが娘グラウケをイアソンに嫁がせ、イアソンはメデイアを離縁した。メデイアは毒をしみ込ませた衣を花嫁に贈り、グラウケと、助けようとした父クレオンが焼け死んだ。 (アポロドーロス1.9.28、エウリピデス『メデイア』1136-1230)
- アテナイを追われたのち、メデイアは人知れずコルキスに戻り、兄弟ペルセスに王位を奪われていた父アイエテスのために、ペルセスを殺して王国を取り戻させた。 (1.9.28)
- 関係: spouse → jason (『神統記』992-1002、アポロドーロス 1.9.23-28)
- 関係: owner → golden-fleece (アポロドーロス 1.9.23 薬で竜を眠らせて金羊毛を手に入れる、アポロニオス 4.156-161)
- 関係: participated_in → argonauts (1.9.23-26)
- 関係: enemy → theseus (アポロドーロス摘要 1.5-6、『変身物語』7.404-424(ケルベロスの泡から生じたアコニトンの毒))
- 関係: visited → crete (アポロニオス 4.1638-1688、アポロドーロス 1.9.26 クレタの青銅の番人タロスを魔術で倒す)
- 関係: nephew_niece → circe (『神統記』956-962、アポロドーロス 1.9.1 父アイエテスとキルケはヘリオスの子)
- 関係: cousin → ariadne (1.9.1, 3.1.2 アイエテスとパシパエはきょうだい)
メドゥサ
- アポロドーロスの描くゴルゴンは、竜の鱗が巻きついた頭、猪のような大きな牙、青銅の手、黄金の翼をもち、見た者を石に変える。 (2.4.2)
- アポロドーロスは、メドゥサが美しさでアテナと張り合おうとしたため、アテナのために首を斬られたという説を「ある人々の言うところ」として付け加える。 (2.4.3)
- ヘラクレスが冥界に下ったとき、ほかの亡霊は逃げたがメドゥサの亡霊だけは残った。ヘラクレスは生きた相手のつもりで剣を抜き、ヘルメスに「ただの影だ」と教えられる。 (2.5.12)
- 島の王ポリュデクテスはペルセウスの母に言い寄るため、彼を遠ざけようとゴルゴンの首を持ってくるよう命じる。ペルセウスはヘルメスとアテナに導かれ、グライアイ(ポルキスの娘たち)から一つの目と一つの歯を奪ってニンフの居所を聞き出し、翼のサンダル・袋・ハデスの兜を得る。ヘルメスからは鋼の鎌を受け取った。 (2.4.2)
- ペルセウスは眠るゴルゴンたちの上に立ち、アテナに手を導かれ、青銅の盾に映る姿を見ながら顔をそむけてメドゥサの首を斬った。 (2.4.2)
- 首はアンドロメダの元婚約者ピネウスら、セリポス島のポリュデクテスとその仲間を石に変えたのち、アテナに贈られ、女神はそれを盾の中央に据えた。 (2.4.3)
- 関係: killed_by → perseus (『神統記』280、アポロドーロス 2.4.2)
- 関係: lover → poseidon (『神統記』278-279「黒髪の神が柔らかな草地で傍らに臥した」、アポロドーロス 2.4.2、オウィディウス『変身物語』4.798(ミネルウァの神殿で))
- 関係: parent → pegasus (『神統記』280-281 首を斬られたとき飛び出した。アポロドーロス 2.4.2、オウィディウス 4.785-786)
- 関係: enemy → athena (アポロドーロス 2.4.3 美しさでアテナと張り合ったとする説。オウィディウス 4.798-801 神殿を汚された女神が髪を蛇に変えた)
メガラ
- アポロドーロスでは、ミニュアイ人との戦いで武勲を立てたヘラクレスに、クレオンが長女メガラを褒美として与え、テリマコス、クレオンティアデス、デイコオンの3人の息子が生まれた。 (2.4.11)
- アポロドーロスでは、ミニュアイ人との戦いのあと、ヘラの嫉妬で狂ったヘラクレスが、メガラとの子どもたちとイピクレスの子2人を火に投げこんだ。メガラは殺されず、ヘラクレスは難業を終えたのちテバイに行ってメガラをイオラオスに与えた。狂気はここでは難業の前で、贖罪のためにエウリュステウスに仕えることになる。 (2.4.12、2.6.1)
- 関係: spouse → herakles (『オデュッセイア』11.269-270、アポロドーロス2.4.11、『ヘラクレス』9-14)
- 関係: child → creon (『オデュッセイア』11.269、アポロドーロス2.4.11、『ヘラクレス』8-10(メノイケウスの子クレオン))
メレアグロス
- 死に方(2)燃えさしの薪: 生まれて7日目に運命の女神たちが現れ、炉で燃えている薪が燃え尽きるとき子も死ぬと告げた。母は薪を取り出して箱にしまったが、息子が兄弟を殺したと知って薪を火に投じ、メレアグロスは遠く離れた場所で体の内から焼かれるように死んだ。現存する詩ではバッキュリデス(前476年)が早い例。パウサニアスによれば、劇に初めて仕立てたのはプリュニコスの『プレウロンの女たち』だが、彼は自分で考えた話としてではなく、ギリシャ中で知られた話として軽く触れているという。 (バッキュリデス 5.136-154 / 10.31.4 / 1.8.2-3 / Met. 8.451-525)
- 死に方(3)アポロンに討たれる: パウサニアスによれば、ヘシオドスに帰される『エーホイアイ』と叙事詩『ミニュアス』は、アポロンがクレテス人に加勢してアイトリア人と戦い、メレアグロスを殺したとする。アポロドーロスも「クレテス人との戦いの中で戦死した」という別伝を書き添えている。 (10.31.3(『エーホイアイ』と『ミニュアス』の断片そのものは未確認) / 1.8.3)
- 殺した母の兄弟の名も出典で違う。バッキュリデスではイピクロスとアパレス(クレテス人との戦闘中に、狙ったのではなく乱戦で)。オウィディウスではプレクシッポスとトクセウスで、アタランテから皮を奪ったことに怒って刺す。ヒュギヌスはイデウス、プレクシッポス、リュンケウスの名を挙げる。アタランテをめぐる争いに変わるのは後代の形で、ホメロスとバッキュリデスには恋の要素が無い。 (バッキュリデス 5.125-135 / Met. 8.425-444 / 『神話伝説集』174 / 1.8.2-3)
- 嘆く姉妹は鳥になった。オウィディウスでは、ゴルゲとデイアネイラを除く姉妹をアルテミスが鳥に変える。ヒュギヌスはその鳥を「メレアグリデス(ホロホロチョウ)」と呼ぶ。大プリニウスは、ボイオティアにいるメレアグリデスはアフリカ産の雌鶏の一種で、メレアグロスの墓がこの鳥を有名にしたと書き、ソポクレスが琥珀を「メレアグロスを悼む鳥の涙からできる」と詠んだことを、あり得ない話として批判している。 (Met. 8.533-546 / 『神話伝説集』174 / 『博物誌』10.74, 37.40 / 1.8.3(嘆いた女たちが鳥に)。語源記事 etymologies/meleagris も参照)
- アルゴナウタイにも名がある。アポロニオスの『アルゴナウティカ』では、まだ少年で、父オイネウスが異母兄弟ラオコオン(トロイアの神官とは別人)を目付役に付けて送り出し、母方の叔父イピクロスも同行した。あと一年アイトリアで育っていれば、ヘラクレスを除いて誰にも負けなかっただろうと語られる。 (『アルゴナウティカ』1.190-201 / 1.9.16)
- カリュドン王オイネウスが収穫の初物を神々に捧げたとき、アルテミスにだけ捧げなかったため、怒った女神が白い牙の猪を送り、果樹園を荒らさせた。メレアグロスは多くの町から狩人と犬を集めて猪を倒した。 (『イリアス』9.533-546、アポロドーロス 1.8.2)
- アポロドーロスでは、女と狩りをするのを嫌がる者たちをメレアグロスが従わせた。妻クレオパトラがいながらアタランテとの子を望んでいたからである。アタランテが最初に矢を当て、アンピアラオスが目を射て、メレアグロスが脇腹を刺して仕留め、皮をアタランテに与えた。テスティオスの息子たちが皮を取り上げたため、メレアグロスは彼らを殺した。 (1.8.2-3)
- 関係: child → oeneus (『イリアス』9.543「オイネウスの子メレアグロス」/ 1.8.2 / バッキュリデス 5.97)
- 関係: child → althaea (『イリアス』9.555 / 1.8.2 / Met. 8.451-459)
- 関係: child → ares (1.8.2「アレスの子だとも言われる」という異伝。オイネウスの子とするのが普通)
- 関係: killed_by → althaea (運命の薪を燃やされる。バッキュリデス 5.136-154 / 1.8.3 / Met. 8.511-525。『イリアス』9.565-572 では呪いのみ)
- 関係: sibling → deianira (バッキュリデス 5.170-175 冥界でヘラクレスに妹デイアネイラを勧める / 1.8.1(デイアネイラはディオニュソスの子という説も))
- 関係: sibling → tydeus (1.8.4-5 異母弟。テュデウスはオイネウスと後妻ペリボイアの子)
- 関係: lover → atalanta (1.8.2 妻クレオパトラがいながらアタランテとの子を望んだ / Met. 8.324-328 一目で恋に落ちる)
- 関係: participated_in → calydonian-boar-hunt (『イリアス』9.543-546 / バッキュリデス 5.93-135 / 1.8.2 / Met. 8.299-444)
- 関係: participated_in → argonauts (『アルゴナウティカ』1.190-201 まだ少年で、叔父イピクロスが付き添う / 1.9.16)
メルポメネ
- アポロドロスによれば、メルポメネは河神アケロオスとのあいだにセイレンたちを産んだ。歌で船乗りを破滅させるセイレンが、歌のムーサの娘という系譜になっている。 (1.3.4)
- 関係: parent → sirens (1.3.4 河神アケロオスとのあいだにセイレンたちを産む)
メネラオス
- パリスはメネラオスのもとで9日間もてなされたが、10日目にメネラオスが母方の祖父カトレウスの葬儀のためクレタへ出かけると、ヘレネを説き伏せて財宝を積み、夜に船出した。ヘレネは9歳の娘ヘルミオネを残していった。 (摘要3.3)
- 関係: courted_by → tyndareus (3.10.9。求婚者の中からテュンダレオスに選ばれた)
メティス
- アポロドロスでは、成長したゼウスがメティスを味方につけ、メティスがクロノスに薬を飲ませて、呑み込んでいた子らを吐き出させる。ヘシオドスでは吐き出させたのはガイアの策とされ、メティスの名は出ない。 (アポロドロス 1.2.1。『神統記』494-496)
- アポロドロスは、メティスがゼウスに言い寄られたとき、逃れようとしてさまざまな姿に変わったと伝える。 (1.3.6)
- 関係: enemy → kronos (1.2.1 ゼウスに協力してクロノスに薬を飲ませ、呑み込んだ子らを吐き出させる)
- 関係: participated_in → titanomachy (1.2.1 吐き出された兄姉たちとともにゼウスがティタン戦争を戦う直前の出来事)
ミノス
- 王位を争ったとき、ミノスは「神々から王国を授かった証拠に、祈ったことは何でもかなう」と言い、ポセイドンに海から牡牛を送るよう祈った。牡牛は現れて王位を得たが、その見事さに惜しくなり別の牛を捧げた。これがミノタウロス誕生の発端になる。 (3.1.3-4)
- ダイダロスを追ったミノスは、巻貝に糸を通せる者を探すという謎かけで居場所を突き止め、シチリアのカミコスの王コカロスに引き渡しを求めた。しかし入浴の後、コカロスの娘たちに殺された(熱湯を浴びせられたとも)。ヘロドトスも、ミノスがダイダロスを探しにシカニア(シチリア)へ行き、非業の死を遂げたと伝える。 (アポロドーロス摘要 1.14-15、ヘロドトス 7.170.1)
- アポロドーロスでは、ミノス、サルペドン、ラダマンテュスはエウロペの三兄弟で、美少年ミレトスをめぐって争い、サルペドンはリュキアへ去った。ただしアポロドーロス自身が「ホメロスによればサルペドンはゼウスとベレロポンの娘ラオダメイアの子」と注記しており、『イリアス』のサルペドンとは系譜が合わない。 (アポロドーロス 3.1.1-2、『イリアス』6.198-199)
- ミノスの息子アンドロゲオスはアテナイの競技会で全員に勝ったが、アイゲウスにマラトンの牡牛退治へ送られて死んだ(嫉妬した競技者に殺されたとの説もある)。パロス島でカリテスに犠牲を捧げていたミノスは知らせを聞いて花冠を捨て笛を止めさせたが、犠牲はやり遂げた。これがパロスで笛も花冠もなしにカリテスへ犠牲を捧げる由来とされる。 (3.15.7)
- アテナイ攻めの途中、ミノスはメガラを攻め落とす。メガラ王ニソスは頭の中央に一本の紫の髪を持ち、抜かれれば死ぬと神託にあったが、ミノスに恋した娘スキュラがそれを抜いた。ミノスは町を得ると、スキュラの足を船尾に縛って溺れさせた。 (3.15.8)
- アテナイを落とせないミノスがゼウスに祈ると、アテナイは飢饉と疫病に見舞われ、神託に従ってミノスの望む償いを申し出た。ミノスは若者7人と娘7人を武器なしで送り、ミノタウロスの餌とするよう命じた。 (3.15.8)
- 関係: child → zeus (『イリアス』13.449-450, 14.321-322、『オデュッセイア』11.568、アポロドーロス 3.1.1)
- 関係: child → europa (アポロドーロス 3.1.1。『イリアス』14.321-322 は母を「ポイニクスの娘」とだけ呼ぶ)
- 関係: ruler → crete (『オデュッセイア』19.178-179 クノッソスで9年ごとに王であった、『イリアス』13.450「クレタの守り手」、アポロドーロス 3.1.3)
- 関係: parent → ariadne (『オデュッセイア』11.322、『神統記』948、アポロドーロス 3.1.2)
- 関係: enemy → poseidon (3.1.3-4 海から送られた牡牛を捧げると約束して惜しみ、ポセイドンの怒りを買う)
- 関係: master → daedalus (3.15.8 アテナイから逃れたダイダロスを迎える。摘要 1.12 テセウスの脱出後に迷宮に閉じ込め、1.14-15 シチリアまで追う)
- 関係: enemy → theseus (3.15.8、摘要 1.7-12)
- 関係: ruler → minotaur (3.1.4 神託に従って迷宮に閉じ込め、見張らせた)
- 関係: owner → labyrinth (3.1.4、『変身物語』8.157-158 ミノスが恥を隠すため迷宮に閉じ込めることを決める)
ミノタウロス
- ポセイドンから贈られた見事な牡牛を、ミノスは約束に反して生贄にせず自分の群れに入れた。怒ったポセイドンはパシパエにその牡牛への恋を吹き込み、ダイダロスが造った木の雌牛の中に入った彼女が牡牛と交わって、牛の顔と人の体をもつ子を生んだ。 (3.1.3-4)
- 息子アンドロゲオスをアテナイで失ったミノスはアテナイを攻め、神託に従ったアテナイは毎年(オウィディウスでは9年ごとに)7人の若者と7人の乙女を武器を持たせずに差し出した。これが迷宮の怪物の餌になった。 (アポロドーロス 3.15.7-8、オウィディウス 8.170-171)
- アポロドーロスは、この子の名はアステリオスで、ミノタウロスは呼び名だったとする。クレタでエウロペの夫となった王の名もアステリオスである。 (3.1.2, 3.1.4)
- テセウスは3度目の貢ぎ物として(自ら志願したともいう)クレタへ行き、アリアドネが結婚を条件に、ダイダロスに教わった糸玉を渡す。テセウスは糸を入口に結んで入り、迷宮の最奥でミノタウロスを拳で打ち殺し、糸をたどって出た。 (摘要 1.7-9)
- 関係: killed_by → theseus (アポロドーロス摘要 1.9、『変身物語』8.169-173)
- 関係: ruled_by → minos (3.1.4 妃パシパエの子(実の父は牡牛)。ミノスは神託に従って迷宮に閉じ込めて見張らせた)
- 関係: visited → labyrinth (3.1.4, 3.15.8、『変身物語』8.155-170 迷宮に閉じ込められる)
- 関係: sibling → ariadne (3.1.2, 3.1.4 どちらもパシパエの子で、異父のきょうだい)
モイラ
- アポロドロスは後者を採り、ゼウスとテミスの娘として、ホーライと並べてクロト、ラケシス、アトロポスを挙げる。 (1.3.1)
- アポロドロスでは、運命の女神たちは戦う女神でもある。ギガースとの戦いでは青銅の棍棒を振るってアグリオスとトアスを倒し、テュポンとの戦いでは逃げる怪物に「はかない果実」を食べさせて弱らせる。 (1.6.2-3)
- 関係: child → zeus (『神統記』901-906、アポロドロス 1.3.1)
- 関係: child → themis (『神統記』901-906、アポロドロス 1.3.1)
- 関係: sibling → horae (『神統記』901-906 同じくゼウスとテミスの娘。アポロドロス 1.3.1)
- 関係: participated_in → gigantomachy (1.6.2 青銅の棍棒でギガースのアグリオスとトアスを殺す)
- 関係: enemy → typhon (1.6.3 逃げるテュポンを「力がつく」とだまして、はかない果実を食べさせる)
- 関係: advisor → meleager (1.8.2 生まれて七日目のメレアグロスのもとに現れ、炉の薪が燃え尽きるとき死ぬと告げる)
イダ山
- パリスの審判が行われた場所。ヘルメスに導かれた三女神が、羊を飼うパリスの前に現れる。 (摘要 3.2)
- 捨てられたパリスが羊飼いとして育った山でもある。ニンフのオイノネと暮らしたのもここで、後に死にかけて運ばれてくるのもこの山である。 (3.12.5(養育)、3.12.6(オイノネとパリスの最期))
- 同名のイダ山がクレタ島にもあり、幼いゼウスが隠されて育った山とされる。ただしクレタでの養育地がイダかディクテかは古代でも割れており、アポロドーロスはディクテの洞窟とし、カリマコスやオウィディウスはイダとする。ギリシャ神話で「イダ山」と言うとき、トロイアのイダかクレタのイダかで話が全く違うので注意がいる。 (OCD「Ida」の項。アポロドーロス 1.1.6(レアはクレタのディクテの洞窟でゼウスを生み、乳母の一人の名がイダ)。フレイザー註が、イダ説はカリマコス『ゼウス讃歌』51、オウィディウス『祭暦』4.207、ディクテ説はウェルギリウス『農耕詩』4.153 等と整理する)
- ガニュメデスが連れ去られたのもイダ山とされる。トロイア王家と神々が接触する場所が一貫してこの山に集まっている。 (3.12.2。2026-09-25 確認: アポロドーロス3.12.2の本文には「ゼウスが鷲でさらった」とあるだけでイダ山の名は無い。イダ山とする典拠は未確認。2026-09-25 確認: アポロドーロス3.12.2の本文には「ゼウスが鷲でさらった」とあるだけでイダ山の名は無い。イダ山とする典拠は未確認)
- 関係: setting_of → judgment-of-paris (摘要 3.2 ヘルメスが三女神をイダ山のパリスのもとへ導く)
パルナッソス山
- アポロドーロスでは、デウカリオンはプロメテウスの助言で箱を作り、9日9夜海を漂ってパルナッソスに着き、雨がやむと逃避の守り手ゼウスに犠牲を捧げた。 (1.7.2)
- 関係: visited_by → deucalion (『変身物語』1.316-321、アポロドーロス1.7.2)
- 関係: setting_of → deucalions-flood (水の上に残った山、箱舟の漂着地)
ムーサ
- ムーサたちは有名な楽人や怪物の母でもある。アポロドロスは、カリオペの子にオルペウスとリノス、メルポメネの子にセイレンたち、エウテルペ(一説にカリオペ)の子にトロイアで死ぬトラキア王レソスを挙げる。 (1.3.2-4)
- 関係: parent → orpheus (1.3.2 ムーサの一人カリオペがオイアグロスとのあいだに(名目上はアポロンとの子として)オルペウスを産む)
- 関係: parent → sirens (1.3.4 ムーサの一人メルポメネが河神アケロオスとのあいだにセイレンたちを産む)
- 関係: teacher → sphinx (3.5.8 スピンクスはムーサたちから謎を教わって、テバイの人々に出した)
ミュケナイ
- 関係: ruled_by → atreus (摘要 2.11-2.12)
- 関係: ruled_by → orestes (アポロドーロス摘要 6.28(ミュケナイに戻り、ヘルミオネを娶ってティサメノスをもうける)、パウサニアス 2.18.5-6(父の王国に加えアルゴスも治め、ラケダイモン人も王に迎えたとする)。『オデュッセイア』3.304-312 はアイギストスが7年ミュケナイを治めオレステスが討ったと言うだけで、彼の統治には触れない)
ミュルミドン人
- アポロドーロスは、アイアコスが島でひとりだったので、ゼウスが蟻を人間に変えた、と一文で記す。 (3.12.6)
- 関係: created_by → zeus (『カタログ』断片(エヴリン=ホワイト53)、『変身物語』7.614-654、アポロドーロス3.12.6 蟻を人間に変える)
ミュラ
- アポロドーロスが引く前5世紀の叙事詩人パニュアシスの形では、娘の名はスミュルナ、父はアッシリア王テイアス。アプロディテを敬わなかった罰で父に恋し、乳母の手引きで12夜をともにした。剣を持った父に追いつかれかけて「見えなくして」と祈り、神々があわれんでスミュルナ(没薬)の木に変えた。10か月後に木が裂けてアドニスが生まれた。 (3.14.4)
- 関係: parent → adonis (Met. 10.503-518 木が裂けて生まれる / 3.14.4(パニュアシス説、スミュルナの名で))
ネメアの獅子
- アポロドーロスはテュポンの子とする。 (2.5.1)
- 矢が通じないと知ったヘラクレスは棍棒で追い、二つの出口がある洞窟の一方を塞いで入り、首を抱えて絞め殺した。道中泊めてくれた日雇い人モロルコスには「30日たって戻らなければ英雄として祀れ」と言い残していた。 (2.5.1)
- 獅子の死骸を見て怯えたエウリュステウスは、ヘラクレスを城内に入れず門の前で成果を見せるよう命じ、自分は地中に青銅の甕を作って隠れたという。 (2.5.1)
- ヘラクレスが頭からかぶる獅子の皮はネメアの獅子のもの、とするのがエウリピデスの合唱歌。ケルベロスを捕らえる場面でも獅子の皮を身にまとっている。 (エウリピデス『ヘラクレス』359-363(ゼウスの森=ネメアの獅子の皮をかぶる)、アポロドーロス 2.5.12)
- 一方アポロドーロスは、功業より前、18歳のヘラクレスがキタイロン山の獅子を倒したとき「その皮をまとい、頭の皮を兜にした」と書く。皮の出どころが二つある。 (2.4.9-10)
- 関係: killed_by → herakles (『神統記』332「ヘラクレスの力が倒した」、アポロドーロス 2.5.1)
- 関係: child → typhon (2.5.1 「テュポンが生んだ不死身の獣」)
- 関係: participated_in → twelve-labors (2.5.1 第一の功業)
ネメシス
- アポロドロスは「ある人々は」として、ネメシスが鵞鳥に化けて逃げ、ゼウスが白鳥になって交わり、生まれた卵を羊飼いが見つけてレダに渡し、レダが孵ったヘレネを自分の子として育てた、という形を伝える。レダと白鳥の話と、ネメシスの話が卵を介してつながっている。 (3.10.7)
- 関係: lover → zeus (『キュプリア』断片(アテナイオス 8.334b 所引)。アポロドロス 3.10.7 では鵞鳥に化けたネメシスに白鳥に化けたゼウスが交わる)
- 関係: parent → helen (『キュプリア』断片(アテナイオス 8.334b 所引)。アポロドロス 3.10.7「ある人々は」。パウサニアス 1.33.7 ではレダは乳母として育てただけとする)
ネレイス
- アポロドロスもネレウスとドリスの娘たちの名を並べるが、その中にはカリュプソやディオネなど、ヘシオドスでは別の系譜(オケアノスの娘)に入っている名も含まれる。どの名がどの一族に属するかは、出典によって揺れている。 (アポロドロス 1.2.7。『神統記』353, 359(オケアニスとしてのディオネとカリュプソ))
- アポロニオス『アルゴナウティカ』では、ヘラの頼みでテティスが姉妹のネレイスたちを呼び集め、アルゴー船をさまよう岩のあいだから無事に通す。 (アポロニオス 4.842-963。アポロドロス 1.9.25)
- アポロドーロスによれば、エチオピア王ケペウスの妻カッシエペイアが、自分はネレイスたちの誰よりも美しいと誇ったため、ネレイスたちが怒り、ポセイドンもその怒りに加わって洪水と怪物を送った。アンドロメダが怪物に差し出されることになる。 (2.4.3)
- 関係: child → nereus (『神統記』240-264、アポロドロス 1.2.7)
- 関係: participated_in → argonauts (アポロニオス 4.930-963 テティスと姉妹たちがアルゴー船をさまよう岩のあいだで導く。アポロドロス 1.9.25)
- 関係: enemy → andromeda (2.4.3 母カッシオペイアが美しさでネレイスに勝ると誇ったため、ネレイスが怒り、ポセイドンが怪物を送る。アンドロメダはその生贄にされる)
ネレウス
- 後代の伝承では、姿を次々と変えて逃げるところをヘラクレスに掴まえられ、ヘスペリデスの黄金の林檎のありかを白状させられる。変身して逃げる海の老神という型は『オデュッセイア』のプロテウス(4.383-570)と共通する。 (アポロドーロス 2.5.11。プロテウスは『オデュッセイア』4.383-570)
- ヘラクレスはゼウスとテミスの娘であるニンフたちにネレウスの居場所を教えられ、眠っているところを捕まえた。ネレウスはあらゆる姿に変わったが、ヘラクレスは縛って放さず、ヘスペリデスと黄金の林檎の居場所を聞き出した。 (2.5.11)
ニケ
- 『神統記』で、オケアノスの娘ステュクスはティタンのパラスと交わり、ゼロス(競争心)と「美しいくるぶしの」ニケ、クラトス(力)とビア(暴力)を産む。勝利は、力や暴力と同じ家の兄弟姉妹として生まれる。 (『神統記』383-385。アポロドロス 1.2.4)
- 関係: child → styx (『神統記』383-385(父はティタンのパラス)。アポロドロス 1.2.4)
ニオベ
- 子の数は出典で大きく違う。ホメロスは息子6人・娘6人、アポロドーロスは7人ずつ、ヘシオドスは10人ずつ、ヘロドロスは息子2人・娘3人とする、とアポロドーロスがまとめている。 (3.5.6 /『イリアス』24.603-604)
- 生き残りがいたとする伝えもある。アポロドーロスによれば、息子のアンピオンと長女クロリスが助かり、クロリスは後にネレウスの妻になった。女流詩人テレシラの説では、アミュクラスとメリボイアが助かり、父アンピオンも射殺されたという。 (3.5.6)
- 関係: child → tantalus (Met. 6.172-173 / 3.5.6 / 『アンティゴネ』824)
- 関係: enemy → leto (『イリアス』24.607-609 / Met. 6.170-203 / 3.5.6 自分をレトと比べて誇った)
- 関係: enemy → apollo (『イリアス』24.605-606 息子たちを射殺す / Met. 6.218-266 / 3.5.6)
- 関係: enemy → artemis (『イリアス』24.606 娘たちを射殺す / 3.5.6(オウィディウスは娘たちを射る者の名を出さない))
ギリシャ勢の帰国(ノストイ)
- アポロドロスでは、テノス沖の嵐でアテナが小アイアスの船に雷を投げつけ、岩に逃れたアイアスが「アテナの意に反して助かった」と言うと、ポセイドンが岩を割った。遺体は流れ着いてテティスがミュコノスに葬ったという。叙事詩環『ノストイ』の要約は、カペレウスの岩での嵐とアイアスの最期を語ったとだけ伝える。 (アポロドロス『摘要』6.5-6。『ノストイ』プロクロス要約)
- アポロドロスは、嵐の夜にエウボイアのカペレウス山で偽りの灯を焚き、港と思って近づいた船団を岩に乗り上げさせたのはナウプリオスだとする。オデュッセウスの謀略で息子パラメデスを殺された復讐で、それ以前にもギリシャの将たちの妻をそそのかして浮気させていた。クリュタイムネストラとアイギストスもその一組に数えられる。 (『摘要』6.7-11)
- 陸路でコロポンに着いた予言者カルカスは、自分より優れた予言者に会えば死ぬと告げられていた。アポロンの子の予言者モプソスと、イチジクの実の数や身ごもった豚の子の数を当て合って負け、失意のうちに死んだ。 (『摘要』6.2-4)
- 関係: participant → ajax-the-lesser (『オデュッセイア』4.499-511 ギュライの岩で死ぬ。『ノストイ』プロクロス要約(カペレウスの岩での嵐)。アポロドロス『摘要』6.6)
- 関係: participant → neoptolemus (『ノストイ』プロクロス要約 陸路でトラキアを通る。『オデュッセイア』3.188-189 ミュルミドン勢は無事に帰った。アポロドロス『摘要』6.12-13)
- 関係: participant → idomeneus (『オデュッセイア』3.191-192 仲間を一人も失わずクレタに帰る。アポロドロス『摘要』6.9-10 では留守中に王位を奪われていて追い出される)
- 関係: participant → philoctetes (『オデュッセイア』3.190 無事に帰った。アポロドロス『摘要』6.15、6.15b ではイタリアのカンパニアに流れ着く)
- 関係: participant → calchas (『ノストイ』プロクロス要約 陸路でコロポンへ。アポロドロス『摘要』6.2-4 予言者モプソスとの予言比べに負けて死ぬ)
- 関係: participant → thetis (『ノストイ』プロクロス要約 ネオプトレモスに警告し、陸路を取らせる。アポロドロス『摘要』6.5、6.12)
- 関係: participant → athena (『オデュッセイア』3.135-136 アテナの怒りがアトレウスの二人の子を争わせる。『ノストイ』プロクロス要約。アポロドロス『摘要』6.5-6)
- 関係: participant → poseidon (『オデュッセイア』4.505-511 三叉の矛で岩を割り、小アイアスを海に落とす。アポロドロス『摘要』6.6)
- 関係: participant → clytemnestra (『オデュッセイア』11.409-411。『ノストイ』プロクロス要約。アポロドロス『摘要』6.23)
ニンフ
- アルゴナウタイの航海の途中、ヘラクレスの寵愛を受けたテイオダマスの子ヒュラスは水を汲みに遣わされ、その美しさのためにニンフたちにさらわれた。叫び声を聞いたポリュペモス(キュクロプスとは別人)が盗賊の仕業と思って剣を抜いて追い、ヘラクレスとともに探すうちに船は出航した。 (1.9.19)
オケアニス
- 関係: child → oceanus (『神統記』346-366、アポロドロス 1.2.2)
- 関係: child → tethys (『神統記』346-366、アポロドロス 1.2.2)
- 関係: companion → metis (『神統記』358、アポロドロス 1.2.1-2)
- 関係: companion → amphitrite (アポロドロス 1.2.2 ではオケアノスの娘の一人に数えられる(ヘシオドスではネレウスの娘))
オデュッセウス
- ヘレネの求婚者の一人。テュンダレオスに「求婚者全員に誓わせる」策を授けた。 (3.10.8-9)
- 叙事詩環『テレゴニア』の要約では、キルケとの子テレゴノスがイタケと知らずに略奪に来て、父と知らずにオデュッセウスを殺す。アポロドーロス摘要7.36は、その槍の穂先がエイの棘だったとする。 (プロクロス要約。アポロドーロス Epit. 7.36)
- 木馬そのものを作ったのはエペイオスだが、アポロドーロス摘要5.14によれば、木馬を考え出してエペイオスに持ちかけ、選りすぐりの兵を中に入らせたのはオデュッセウスだった。『オデュッセイア』でも、デモドコスの歌で、オデュッセウスが兵を詰めた木馬を城内へ導き入れたと歌われる。 (8.492-495, 11.523-532)
- 関係: suitor → helen (3.10.8 の求婚者一覧に名がある)
- 関係: parent → telegonus (キルケとの子。Epit. 7.16)
オイディプス
- 子(エテオクレス、ポリュネイケス、アンティゴネ、イスメネ)の母が誰かも割れる。ソポクレスやアポロドーロスはイオカステとするが、アポロドーロスは「エウリュガネイアの子とする者もいる」と添える。パウサニアスは、ホメロスが「神々はすぐに知らせた」と言う以上、母との間に4人も子はいなかったはずだと論じ、叙事詩『オイディポデイア』を根拠に母はエウリュガネイアだとする。 (3.5.8 / 9.5.10-11 /『オデュッセイア』11.274)
- 最期の場所も出典で違う。『イリアス』には「倒れたオイディポデス」の葬礼の競技がテーバイで行われたとあり、テーバイで死んだ王として扱われている。ソポクレス『コロノスのオイディプス』では、盲目となって娘アンティゴネに手を引かれて放浪し、アテナイ近郊のコロノスでテセウスに迎えられて世を去る。ヘシオドスも、「オイディプスの羊の群れ」をめぐって七つの門のテーバイで戦いがあったと記し、財産を残して死んだ王として語る。 (『イリアス』23.679-680 /『コロノスのオイディプス』/『仕事と日』161-163 / 3.5.9)
- 名前は「腫れた足」と解された。生まれて3日目に、ライオスが赤子のくるぶしを留め金で貫いて山に捨てさせたため、とソポクレスもアポロドーロスも説明する。コリントス王ポリュボスの妃がこの子を引き取り、足の腫れからオイディプスと名付けた。 (OT 717-719, 1032-1036 / 3.5.7 / etymonline の Oedipus の項(oidan「腫れる」+ pous「足」))
- スフィンクスの謎は「一つの声を持ち、四つ足にも二本足にも三本足にもなるものは何か」。オイディプスは、赤子は四つ足で這い、大人は二本足、老人は杖をついて三本足になる人間だと答えた。スフィンクスは城から身を投げた。 (3.5.8)
- コリントスを避けて旅に出たオイディプスは、ポキスの狭い道でライオスの車に行き合い、道をあけろと命じた先触れポリュポンテスが馬を一頭殺したことに怒って、先触れとライオスを殺した。 (3.5.7)
- 関係: child → laius (OT 711-722 / 3.5.7 /『オデュッセイア』11.271-274)
- 関係: killed → laius (『オデュッセイア』11.273 / OT 800-813 / 3.5.7 ポキスの狭い道で)
- 関係: child → jocasta (『オデュッセイア』11.271(エピカステ)/ OT / 3.5.7)
- 関係: spouse → jocasta (『オデュッセイア』11.271-274 / OT / 3.5.8)
- 関係: parent → antigone (OT 1462-1475 / 3.5.8 / 『フェニキアの女たち』55-58)
- 関係: enemy → sphinx (OT 391-398 鳥占いではなく知恵で謎を解いた / 3.5.8)
- 関係: ruler → thebes (『オデュッセイア』11.275-276 / OT / 3.5.8)
- 関係: visited → theseus (『コロノスのオイディプス』/ 3.5.9 コロノスでテセウスに迎えられる)
オイネウス
- 葡萄酒の王: アポロドーロスは、オイネウスがディオニュソスから最初に葡萄の木を授かったとする。ヒュギヌスはさらに踏み込み、客として来たディオニュソスがアルタイアに恋したことに気づいたオイネウスが、祭儀を口実に自ら町を離れ、その礼として神は葡萄の木を贈り、その実を主人の名にちなんで oinos(葡萄酒)と呼ぶよう定めた、と語る。このときの子がデイアネイラだという。 (1.8.1 / 『神話伝説集』129。名と oinos の関係はヒュギヌスの説明で、言語学的な語源の確認ではない)
- テュデウスの母は出典で割れる。アポロドーロスが並べるのは、(1)叙事詩『テーバイス』の作者: オイネウスがオレノスを攻め落とした戦利品としてペリボイアを得た、(2)ヘシオドス: ペリボイアはヒッポストラトスに誘惑され、父が遠方のオイネウスのもとへ殺させるために送った、(3)ある者たち: オイネウス自身がペリボイアを誘惑した、(4)ペイサンドロス: ゼウスの意志でオイネウスが実の娘ゴルゲに恋し、テュデウスはゴルゲの子。 (1.8.4-5)
- 晩年: 弟アグリオスの息子たちに王位を奪われて幽閉されたが、孫ディオメデスがアルクマイオンと共にひそかに来て彼らを討った。ディオメデスは老いたオイネウスを連れてペロポネソスへ向かうが、逃げ延びたアグリオスの息子たちがアルカディアで待ち伏せて殺した。ディオメデスは遺体をアルゴスに葬り、その地は彼の名からオイノエと呼ばれるようになったという。 (1.8.6)
- アポロドーロスの伝える一つの形では、メレアグロスが生後7日のとき、運命の女神たちが炉の薪が燃え尽きたら死ぬと告げ、アルタイアは薪を箱にしまった。猪の毛皮の争いでメレアグロスが母の兄弟を殺すと、アルタイアは薪を燃やし、メレアグロスは即座に死んだ。 (1.8.2-3)
- 関係: ruler → calydon (『イリアス』9.533-540, 14.115-117 / 1.8.1)
- 関係: spouse → althaea (1.8.1 / 『神話伝説集』129)
- 関係: parent → meleager (『イリアス』9.543 / 1.8.2(アレスの子とする異伝も))
- 関係: parent → tydeus (『イリアス』5.813「オイネウスの子テュデウス」、14.115-118 / 1.8.5(母はペリボイア))
- 関係: parent → deianira (1.8.1(ディオニュソスの子とする説も)/ バッキュリデス 5.165-175「オイネウスの館の娘」)
- 関係: grandparent → diomedes (『イリアス』14.115-118「オイネウスは私の父の父」/ 1.8.5-6)
- 関係: enemy → artemis (『イリアス』9.533-540 / バッキュリデス 5.97-104 / 1.8.2 / Met. 8.273-283)
- 関係: received_gift → dionysus (1.8.1 ディオニュソスから最初に葡萄の木を授かる / 129)
- 関係: visited_by → alcmaeon (3.7.5 母殺しの後、放浪するアルクマイオンをカリュドンでもてなす)
- 関係: participated_in → calydonian-boar-hunt (1.8.2 全ギリシャから英雄を呼び集め、9日間もてなす / 172-173A)
オイノネ
- ホメロスには登場しない。パリスがイダ山で羊飼いとして育ったという設定に付随して語られる人物で、アポロドーロスは川神ケブレンの娘とする。 (3.12.6)
- 予言の力と医術を持ち、パリスがヘレネを連れて帰れば傷を負うことになる、そのときは自分だけが癒やせると告げていた、とアポロドーロスは伝える。 (3.12.6)
- ピロクテテスの矢に倒れたパリスがイダ山へ運ばれて助けを乞うが拒む。パリスの死を知って悔い、自ら命を絶つ(火葬の薪に身を投げる)。 (アポロドーロス 3.12.6、クイントゥス『ホメロス後日譚』10.259-489)
- 関係: lover → paris (アポロドーロス 3.12.6、『名婦の書簡』5(オイノネからパリスへ))
- 関係: participated_in → mount-ida (3.12.6 イダ山のニンフ)
オレステス
- アガメムノンが殺されたのち、エレクトラが弟オレステスをひそかに連れ出してポキスのストロピオスに預け、オレステスはその子ピュラデスとともに育った。成長してデルポイで仇討ちの可否を問い、許しを得て、ピュラデスとともにひそかにミュケナイへ戻り、母とアイギストスを殺した。 (摘要6.24-25)
- タウリケから戻ったオレステスは、エレクトラをピュラデスに嫁がせ、自らはヘルミオネ(一説にエリゴネ)を娶ってティサメノスをもうけ、アルカディアのオレステイオンで蛇に噛まれて死んだ。 (摘要6.28)
- アポロドーロスでは、クリュタイムネストラは袖も襟もない衣をアガメムノンに渡し、彼がそれを着ようとしているところを斬り殺させた。 (摘要6.23)
- 関係: ruler → mycenae (アポロドーロス摘要 6.28(ミュケナイに戻り、ヘルミオネを娶ってティサメノスをもうける)、パウサニアス 2.18.5-6(父の王国に加えアルゴスも治め、ラケダイモン人も王に迎えたとする)。『オデュッセイア』3.304-312 はアイギストスが7年ミュケナイを治めオレステスが討ったと言うだけで、彼の統治には触れない)
オリオン
- アポロドーロスの形: 大地から生まれた巨人とも、ペレキュデスの説ではポセイドンとエウリュアレの子ともいう。最初の妻シデはヘラと美しさを競って冥界に落とされた。キオス島でオイノピオンの娘メロペに求婚したが、オイノピオンに酔わされて目をえぐられ、浜に捨てられる。ヘパイストスの鍛冶場で少年をさらって肩に乗せ、日の出の方へ案内させて、太陽の光で視力を取り戻した。 (1.4.3-4)
- 死に方(2)アポロドーロス: アルテミスに円盤投げの勝負を挑んだために殺されたという説と、ヒュペルボレオイの国から来た乙女オピスに乱暴しようとしてアルテミスに射られたという説を並べる。場所はデロス島。 (1.4.3、1.4.5)
- 関係: abducted_by → eos (『オデュッセイア』5.121「薔薇色の指の曙がオリオンを選んだ」/ アポロドーロス 1.4.4 デロス島へさらう)
- 関係: killed_by → artemis (『オデュッセイア』5.123-124 オルテュギアで矢により / アポロドーロス 1.4.3, 1.4.5)
- 関係: child → poseidon (1.4.3 ペレキュデスの説としてポセイドンとエウリュアレの子。ポセイドンから海の上を歩く力を授かる)
- 関係: child → gaia (1.4.3「大地から生まれた巨人だという」)
- 関係: visited → hephaestus (1.4.3 盲目にされたあと鍛冶場へ行き、少年を肩に乗せて日の出の方角へ案内させる)
- 関係: visited → helios (1.4.3 日の出の地で太陽の光に当たり、視力を取り戻す)
オレイテュイア
- イリソス川のほとりで遊んで(踊って)いたところを、ボレアスにさらわれた。アポロニオスでは、ケクロピア(アテナイ)からトラキアのサルペドンの岩まで運ばれ、黒い雲に包まれて妻にされる。 (アポロドーロス 3.15.2、アポロニオス 1.211-218)
- ボレアスとの間に、娘クレオパトラとキオネ、翼のある息子ゼテスとカライスが生まれた。二人の息子はイアソンとともにアルゴ船で航海した。 (アポロドーロス 3.15.2、『変身物語』6.711-721)
- 関係: child → erechtheus (アポロドーロス 3.15.1、ヘロドトス 7.189、アポロニオス 1.211-213)
- 関係: abducted_by → boreas (アポロドーロス 3.15.2、『変身物語』6.705-707、アポロニオス 1.211-218、『パイドロス』229b-c)
- 関係: sibling → procris (アポロドーロス 3.15.1、『変身物語』6.681-682)
オルペウス
- ウェルギリウスとオウィディウスの形: 冥界の王と妃は歌に動かされ、「地上に出るまで振り返らない」という条件で妻を返す。出口の手前でオルペウスは振り返り、エウリュディケは再び冥界へ引き戻される。この結末がまとまった物語として読める現存の文学作品は、この二人のローマの詩人のものが最初期とされる。 (『農耕詩』4.485-503(振り返るのは 4.490-491)/ Met. 10.50-63 / アポロドーロス 1.3.2 も同じ条件と失敗を記す)
- 最期は、女を寄せつけなくなったオルペウスに怒ったトラキア(キコネス人)の女たちに八つ裂きにされる。首と竪琴はヘブロス川を流れながらなお嘆きの声を上げ、海を渡ってレスボス島に着いた。オウィディウスでは、亡霊となったオルペウスは冥界の「敬虔な者たちの野」でエウリュディケと再会し、今度は安心して振り返る。 (『農耕詩』4.516-527 / Met. 11.1-66(首と竪琴 11.50-55、再会 11.61-66)/ 1.3.2(マイナデスに引き裂かれピエリアに葬られる))
- 関係: spouse → eurydice (『農耕詩』4.465、4.486 / Met. 10.1-10 / 1.3.2)
- 関係: child → muses (母はムーサのカリオペ。アポロドーロス 1.3.2、アポロニオス 1.23-25)
- 関係: child → apollo (1.3.2。父はトラキア王オイアグロスだが「名目上はアポロンの子」(κατ᾽ ἐπίκλησιν Ἀπόλλωνος)とも書かれる)
- 関係: visited → hades (『農耕詩』4.467-470 / Met. 10.11-48 / 1.3.2(プルトンを説き伏せる))
パラディオン
- アポロドロスによれば、アテナは生まれたあとトリトンに育てられ、その娘パラスと武芸を競って遊んでいた。ある時ゼウスがアイギスをかざして割って入り、驚いて見上げたパラスがアテナの一撃で死んでしまう。悲しんだアテナはパラスに似せた木像を作ってゼウスの傍らに立てた。のちにこの像はイリオンの地に落とされ、町を築いたイロスが祀った。 (3.12.3)
- イロスが「しるしを見せてほしい」とゼウスに祈ると、天から落ちてきた像が天幕の前に横たわっていた。高さは3キュビットで、両足をそろえ、右手に槍を掲げ、もう一方の手に糸巻き棒と紡錘を持っていたという。 (3.12.3)
- ヘレノスが明かした「トロイアを落とす条件」の一つがパラディオンを盗むことだった。オデュッセウスは身をやつして物乞いとして城内に入り、ヘレネに気づかれながらも協力を得て像を盗み出し、ディオメデスとともに船へ運んだ。『小イリアス』の要約では、この盗みのすぐあとに木馬が作られる。 (アポロドロス『摘要』5.10、5.13。『小イリアス』プロクロス要約)
- 関係: created_by → athena (3.12.3 アテナが、誤って死なせた遊び友達パラス(トリトンの娘)に似せて作った像)
- 関係: owned_by → troy (アポロドロス 3.12.3 イロスが神殿を建てて祀る。『アエネイス』2.166 城砦の神殿に置かれていた)
- 関係: stolen_by → odysseus (盗み出された。『小イリアス』プロクロス要約、アポロドロス『摘要』5.13、『アエネイス』2.163-168)
- 関係: stolen_by → diomedes (オデュッセウスと二人で盗み出す。『アエネイス』2.164「テュデウスの子」)
- 関係: told_by → helenus (『摘要』5.10 捕らえられたヘレノスが、トロイアを落とす三つの条件の一つとしてパラディオンを盗むことを明かす)
パン
- アポロドロスは、アポロンが予言の術を学んだ相手を「ゼウスとヒュブリスの子パン」とする。同じ名で呼ばれる別のパンがいたと考える古代の注釈もある。 (1.4.1)
- 関係: child → zeus (1.4.1 ゼウスとヒュブリスの子とする別伝)
- 関係: teacher → apollo (1.4.1 アポロンはパンから予言の術を学んだ)
パンドラ
- 後代の伝承では、エピメテウスとの間にピュラを産み、ピュラはデウカリオンの妻となって大洪水後の人類の祖となる。パンドラは人類の破滅と再生の両方に繋がる。 (1.7.2)
パリス
- 審判の詳細(三女神がそれぞれ権力・武勇・最も美しい女を約束し、パリスがアプロディテを選ぶ)は『イリアス』の外で語られる。『キュプリア』要約、エウリピデス、アポロドーロス、オウィディウスと繰り返し語り直された。 (『キュプリア』要約(プロクロス)、エウリピデス『トロイアの女』924-937、アポロドーロス摘要 3.2、『名婦の書簡』16(パリスからヘレネへ))
- ヘカベが「燃える松明を産む」夢を見たため、生まれてすぐイダ山に捨てられたが、羊飼いに拾われて育ち、のちに競技会で実の兄弟に勝って素性が知れる。『イリアス』にこの出生譚は無い。 (アポロドーロス 3.12.5、ヒュギヌス 91)
- アキレウスを射殺す。『イリアス』の外の伝承で、多くはアポロンが矢を導いたとされる。踵に当たったという形は後代に定着した。 (『アイティオピス』要約、アポロドーロス摘要 5.3(踝を射る)、『変身物語』12.597-611)
- ピロクテテスの矢で傷を負い、かつて捨てた妻オイノネに治療を乞うが拒まれて死ぬ。悔いたオイノネは後を追う。 (アポロドーロス 3.12.6、クイントゥス『ホメロス後日譚』10)
- 捨てられた赤子は5日間熊に乳を与えられて生き延び、召使いアゲラオスが連れ帰ってパリスと名付けて育てた。盗賊を退けて群れを守ったことからアレクサンドロスとも呼ばれた。 (3.12.5)
- オイノネはレアから予言の術を学んでおり、ヘレネを迎えに行くなと止め、傷を負ったら自分のところへ来るよう、自分だけが治せると告げていた。 (3.12.6)
- 関係: child → hecuba (3.12.5)
- 関係: lover → oenone (3.12.6 イダ山の羊飼いだった頃の妻とされるニンフ)
- 関係: killed → achilles (『アイティオピス』要約、アポロドーロス摘要 5.3、『変身物語』12.597-611。いずれもアポロンの助けを伴う)
- 関係: killed_by → philoctetes (『小イリアス』要約、アポロドーロス摘要 5.8。ヘラクレスの弓で射られる)
- 関係: participated_in → judgment-of-paris (摘要 3.2)
- 関係: participated_in → mount-ida (3.12.5 捨てられて羊飼いとして育つ)
パシパエ
- ホメロスの『イリアス』『オデュッセイア』にパシパエの名は出てこない。『オデュッセイア』の冥界の場面にはミノスの娘アリアドネやパイドラが登場するが、母の名は無い。王妃と牡牛の話が詳しく残るのは、ディオドロスやアポロドーロスなど後代の書き物。 (『オデュッセイア』11.321-325(パイドラ、アリアドネ)。英訳全文を検索して名が無いことを確認)
- アポロドーロスとヒュギヌスでは、父は太陽神ヘリオス、母はペルセイス(ヒュギヌスではペルサ)。キルケ、アイエテス、ペルセスと兄弟姉妹になる。 (アポロドーロス1.9.1、3.1.2。ヒュギヌス『神話集』序文)
- アポロドーロスは、ミノスの妻をパシパエとしたうえで、アスクレピアデスは妻をアステリオスの娘クレテとしている、と別説を添える。 (3.1.2)
- アポロドーロスによれば、ミノスとの子は息子カトレウス、デウカリオン、グラウコス、アンドロゲオス、娘アカレ、クセノディケ、アリアドネ、パイドラ。ディオドロスはデウカリオン、カトレウス、アンドロゲオス、アリアドネを挙げる。 (アポロドーロス3.1.2、ディオドロス4.60.4。このデウカリオンは洪水のデウカリオンとは別人)
- ミノスは王位の証しに、海から牡牛が現れたら犠牲にするとポセイドンに祈った。牡牛は現れ、ミノスは王になったが、その牛を群れに入れて別の牛を犠牲にした。怒ったポセイドンは牛を荒々しくし、パシパエがその牛に恋するように仕向けた。 (3.1.3-4)
- ダイダロスは車輪のついた木の雌牛を作って中をくりぬき、はいだ牛の皮で包んで牡牛の牧場に置いた。パシパエが中に入ると、牡牛は本物の雌牛と思って交わった。 (アポロドーロス3.1.4、3.15.8。ディオドロス4.77.1(「牛に似せた仕掛け」))
- 生まれた子の姿は、アポロドーロスでは顔が牛で体の残りは人間。本名はアステリオスで、ミノタウロスと呼ばれた。ディオドロスでは肩から上が牛で、残りが人間。 (アポロドーロス3.1.4、ディオドロス4.77.3)
- ミノスが多くの女性と関係したため、パシパエは夫に魔法をかけ、ほかの女と寝ると体から獣が出て相手を死なせるようにした。アテナイから逃れてきたプロクリスは、先にキルケの薬草を飲ませて害を免れたが、ミノスの妻を恐れてアテナイへ戻った。 (3.15.1)
- ディオドロスは、ヘラクレスが功業として生け捕りにしたクレタの牡牛を「パシパエが恋したと言われる牛」とする。アポロドーロスは、その牛をエウロペを運んだ牛とする説と、ポセイドンが海から送った牛とする説を併記する。ヒュギヌスも、ヘラクレスが「パシパエが交わった牡牛」をクレタから生け捕りにしてミュケナイへ連れてきたと記す。 (ディオドロス4.13.4、アポロドーロス2.5.7、ヒュギヌス30)
- 関係: child → helios (アポロドーロス1.9.1・3.1.2(母はペルセイス)、ヒュギヌス序文(ソルとペルサの子)、ディオドロス4.60.4(母はクレテ))
- 関係: spouse → minos (3.1.2)
- 関係: sibling → circe (アポロドーロス1.9.1、ヒュギヌス序文)
- 関係: parent → ariadne (アポロドーロス3.1.2、ディオドロス4.60.4)
- 関係: parent → phaedra (3.1.2)
- 関係: parent → minotaur (アポロドーロス3.1.4、ディオドロス4.77.3、『変身物語』8.155-156)
- 関係: punished_by → poseidon (アポロドーロス3.1.4、ディオドロス4.77.2。怒りの対象はミノスで、罰として王妃に牡牛への恋を吹き込む)
ペガソス
- ヘシオドスでは、ペルセウスがメドゥサの首を斬ると、そこからクリュサオルとペガソスが飛び出した。ポセイドンの子としては、アポロドーロスが「メドゥサとポセイドンの子」とはっきり書く。 (『神統記』278-281、アポロドーロス 2.3.2, 2.4.2)
- 関係: child → medusa (『神統記』280-281、アポロドーロス 2.4.2)
- 関係: child → poseidon (2.3.2「メドゥサとポセイドンの子」、2.4.2)
- 関係: owned_by → bellerophon (『神統記』325、ピンダロス『オリュンピア』13.63-90、アポロドーロス 2.3.2)
ペレウス
- テティスとの結婚は求婚ではなく力ずくだったという伝承がある。姿を変えて逃げようとするテティスを掴んで離さず、ついに屈服させたというもの。ホメロスはこの経緯を語らない。 (3.13.5)
- テティスは「父より優れた子を産む」と予言されていたため、神々が人間に嫁がせたとされる。アポロドーロスはゼウスとポセイドンが彼女を争ったが、テミスの予言を聞いて手を引いたとする。ピンダロスでは、テミスが神々の前で「雷霆や三叉戟に勝る武器を持つ子が生まれる」と告げ、人間の寝所を与えてペレウスに嫁がせよと勧める。 (アポロドーロス 3.13.5 / ピンダロス『イストミア祝勝歌』8.27-47)
- ペレウスとテラモンは、競技に秀でた異母弟ポコスをねたみ、くじに当たったテラモンが円盤を投げて殺し、ペレウスが死体を森に隠すのを手伝った。露見して二人はアイアコスにアイギナを追われた。 (3.12.6)
- ペレウスはプティアのエウリュティオンに清められて娘と国の三分の一を得たが、カリュドンの猪狩りで槍が誤ってエウリュティオンに当たり、イオルコスのアカストスのもとへ逃れた。 (3.13.1-2)
- アカストスの妻アステュダメイアは言い寄って拒まれるとペレウスを讒言した。アカストスはペリオン山の狩りでペレウスを眠らせたまま置き去りにし、剣を牛糞に隠した。ケンタウロスたちに殺されかけたペレウスをケイロンが救い、剣も返した。 (3.13.3)
- テティスは夜ごと赤子を火にかざして死すべき部分を焼き、昼はアンブロシアを塗っていたが、それを見たペレウスが叫んだため、赤子を残してネレイデスのもとへ去った。 (3.13.6)
ペリアス
- アポロドーロスでは、テュロはひそかに産んだ双子を捨て、通りかかった馬飼いの雌馬が一人の顔を蹴って黒ずんだあざ(ペリオン)を残した。馬飼いは二人を育て、あざのある子をペリアス、もう一人をネレウスと名づけた。 (1.9.8)
- 成長した双子は母を見つけ、母を虐げていた継母シデロを襲った。シデロはヘラの聖域に逃げこんだが、ペリアスは祭壇の上で斬り殺し、以後もヘラを侮り続けた。 (1.9.8)
- アポロドーロスでは、ペリアスは王国について神託を伺い、片方だけサンダルの男に気をつけよと告げられる。海辺でのポセイドンへの犠牲に招かれたイアソンは、アナウロス川を渡るときにサンダルを片方失う。ペリアスが「町の者に殺されるという神託を受けたらどうするか」と尋ねると、イアソンは「金の羊毛を取ってこいと命じる」と答えた。偶然か、ペリアスを憎むヘラが、メデイアを彼への災いにするため言わせたのだという。 (1.9.16)
- アルゴ船の帰還をあきらめたペリアスはイアソンの父アイソンを殺そうとし、アイソンは自ら死ぬことを願って牛の血を飲んで死んだ。イアソンの母はペリアスを呪って首をつり、ペリアスは彼女の残した幼子プロマコスまで殺した。 (1.9.27)
- アポロドーロスでは、帰ったイアソンは羊毛をペリアスに渡し、のちにメデイアに復讐の策を頼む。メデイアは雄羊を切り刻んで煮て子羊に変えてみせ、若返らせると約束して、娘たちに父を切り刻んで煮させた。息子アカストスは父を葬り、イアソンとメデイアをイオルコスから追放した。 (1.9.27)
- アポロドーロスでは、ペリアスはビアスの娘アナクシビア(一説にアンピオンの娘ピュロマケ)を妻とし、息子アカストスと、娘ペイシディケ、ペロペイア、ヒッポトエ、アルケスティスをもうけた。『イリアス』はアルケスティスを「ペリアスの娘たちの中で最も美しい」と呼ぶ。 (アポロドーロス1.9.10、『イリアス』2.714-715)
- 関係: child → poseidon (『オデュッセイア』11.241-257、アポロドーロス1.9.8 母はテュロ)
- 関係: enemy → jason (アポロドーロス1.9.16、『ピュティア祝勝歌』4.71-167、『神統記』992-999)
- 関係: advisor → argonauts (アポロドーロス1.9.16 イアソンに羊毛を取ってくるよう命じる。『アルゴナウティカ』1.1-17 ペリアスの命で船出する)
- 関係: killed_by → medea (アポロドーロス1.9.27、『変身物語』7.297-349(娘たちに刺させ、最後はメデイアが喉を切る)、パウサニアス8.11.2-3)
- 関係: enemy → hera (1.9.8 継母シデロをヘラの祭壇で殺し、以後ヘラを軽んじる。1.9.16 ヘラはメデイアをペリアスへの災いにしようとする)
- 関係: parent → alcestis (『イリアス』2.715、アポロドーロス1.9.10)
- 関係: parent_in_law → admetus (1.9.15)
- 関係: uncle_aunt → nestor (1.9.8-9 ネレウスはペリアスの双子の兄弟で、ネストルはその子)
ペロプス
- 父タンタロスが神々を試すために息子を切り刻んで煮て食卓に出し、娘を探していたデメテルだけが気づかず肩を食べてしまった。神々が彼を釜から蘇らせ、欠けた肩を象牙で作り直した——という話が広く伝わる。 (摘要 2.3)
- アポロドーロスでは、オイノマオスは求婚者に娘を乗せてコリントスの地峡まで逃げさせ、アレスから授かった武具と馬で追って殺し、首を館に釘で打ちつけた(12人とも)。ヒッポダメイアがペロプスに恋し、彼女に恋していた御者ミュルティロス(ヘルメスの子)を説き伏せ、ミュルティロスは車輪に留め具を差さなかった。オイノマオスは手綱に絡まって引きずられて死に(ペロプスが殺したとも)、死に際にミュルティロスを呪った。 (摘要 2.4-2.7)
- 勝利の後、約束を果たさずにミュルティロスを海へ投げ落とす。落ちながらミュルティロスはペロプスの一族を呪った。アトレウス家の呪いの起点をここに置く伝承と、タンタロスの罪に置く伝承がある。 (摘要 2.8)
- 旅の途中、ペロプスが渇いた妻のために水を汲みに行ったすきにミュルティロスが彼女を襲おうとし、ペロプスは彼をゲライストス岬で海に投げ込んだ(ミュルトオン海の名の由来)。のちにペロプスはヘパイストスに清められてピサの王位を継ぎ、支配した地をペロポネソスと呼んだ。 (摘要 2.8-2.9)
- 蘇ったペロプスは前よりも美しく、ポセイドンの寵愛を受けて、海を走っても車軸が濡れない翼のある戦車を贈られた。 (摘要 2.3)
- 関係: child → tantalus (『オリュンピア祝勝歌』1.36-38、摘要 2.3)
ペネロペイア
- 父はイカリオス。イカリオスとヘレネの父テュンダレオスは兄弟とされるので、ペネロペイアとヘレネは従姉妹にあたる。貞節な妻と出奔した妻という対比は『オデュッセイア』でも意識されている。 (アポロドーロス 3.10.6(イカリオスとテュンダレオスが兄弟)、『オデュッセイア』1.329(イカリオスの娘)。ヘレネとの対比は 24.191-202)
- 異伝: アンティノオスに誘惑されたため父イカリオスのもとへ送り返され、アルカディアのマンティネイアでヘルメスとの間に牧神パンを産んだとする説。別の説では、アンピノモスとの件でオデュッセウス自身に殺されたとする。 (Epit. 7.38-39)
ペンテシレイア
- 戦場で奮戦するがアキレウスに討たれる。トロイア勢は遺体を丁重に葬ったと要約は伝える。 (『アイティオピス』要約、アポロドーロス摘要 5.1)
- アポロドーロスでは、ペンテシレイアは誤ってヒッポリュテを殺し、プリアモスに清められた。戦場ではマカオンをはじめ多くを倒した。クイントゥスでも、姉妹殺しの穢れを清めるためにトロイアへ来たとされ、12人のアマゾンが従う。 (アポロドーロス摘要5.1。クイントゥス第1巻冒頭(Way訳で22-72行、ギリシャ語本文の行番号は未確認))
ペンテウス
- 母には何に見えたか: エウリピデスでは、アガウエは息子の首を「若い獅子」の首と思い込み、テュルソスの先に刺してキタイロン山から持ち帰る。オウィディウスでは、アガウエは姉妹に「われらの畑をうろつくあの大猪を打て」と叫んで襲いかかる。アポロドーロスは、単に獣と思ったとする。 (『バッコスの信女』1139-1142, 1173-1175 / Met. 3.713-715 / 3.5.2)
- いとこ同士の悲劇: ペンテウスとディオニュソスは、共にカドモスの孫で、母同士(アガウエとセメレ)が姉妹のいとこにあたる。同じくカドモスの孫でアウトノエの子のアクタイオンも、キタイロン山で自分の猟犬に引き裂かれて死んでおり、『バッコスの信女』のカドモスは、その死を引き合いに出してペンテウスを諫める。 (3.4.2-4, 3.5.2 /『バッコスの信女』337-340)
- 関係: child → agave (『バッコスの信女』507, 1118-1119 / 3.5.2 / Met. 3.725 / 『神話伝説集』184)
- 関係: killed_by → agave (『バッコスの信女』1114-1147 / 3.5.2 / Met. 3.710-731 / 184)
- 関係: grandchild → cadmus (『バッコスの信女』213-214 カドモスが国を譲った孫 / 3.5.2)
- 関係: enemy → dionysus (『バッコスの信女』215-262, 434-518 / 3.5.2 / Met. 3.513-733 /『エウメニデス』24-26)
- 関係: cousin → dionysus (母アガウエとディオニュソスの母セメレは姉妹。3.4.2-3)
- 関係: ruler → thebes (『バッコスの信女』43-44, 213-214 / 3.5.2)
ペルセポネ
- アプロディテが赤子のアドニスを箱に隠してペルセポネに預けたが、ペルセポネは返さなかった。ゼウスの裁きで一年を三分し、アドニスは一つをペルセポネ、一つをアプロディテ、残りを自分のために過ごすことになった。 (3.14.4)
ペルセウス
- アポロドーロスでは、ポリュデクテスへの献上品として「ゴルゴンの首でも惜しまない」と口走ったのが発端。ヘルメスとアテナの導きで、目と歯を一つずつ共有する老婆グライアイからニンフの居場所を聞き出し、翼のサンダル、袋(キビシス)、姿を消すハデスの帽子を得た。 (2.4.2)
- 眠っているゴルゴンのうち不死でないメドゥサだけを狙い、顔をそむけて青銅の盾に映る姿を見ながら、アテナに手を導かれて首を斬った。 (2.4.2)
- 「娘の子に殺される」という神託を恐れた祖父アクリシオスは逃げたが、ラリッサの競技会でペルセウスが投げた円盤が足に当たって死んだ。神託は当たった。ペルセウスはアルゴスを継ぐことを恥じてティリュンスと交換し、ミデアとミュケナイを城壁で固めた。 (2.4.4)
- ヘロドトスは、ペルセウスとアンドロメダの子ペルセスがケペウスのもとに残され、ペルシア人の名はこのペルセスに由来すると伝える。アポロドーロスも同じ話を「言われている」として載せる。 (ヘロドトス 7.61.3、アポロドーロス 2.4.5)
- ペルセウスとアンドロメダの子エレクトリュオンの娘がアルクメネ、ステネロスの子がエウリュステウス。ヘラクレスを苦しめたエウリュステウスも、ヘラクレス自身も、ペルセウスの子孫である。 (アポロドーロス 2.4.5、『イリアス』19.116, 19.123「ペルセウスの子ステネロス」)
- アポロドーロスとオウィディウスのペルセウスは、翼のサンダルで空を飛ぶ。ペガソスはメドゥサの首から生まれるが、ペルセウスはそれに乗らない。 (アポロドーロス 2.4.2、オウィディウス『変身物語』4.614-620(翼で砂漠の上を飛ぶ), 4.785-786)
- 娘の子に殺されるという神託を受けたアルゴス王アクリシオスは、娘ダナエを地下の青銅の部屋に閉じ込めた。ゼウスが屋根から黄金の流れとなって膝に注ぎ込み、ペルセウスが生まれた(プロイトスに誘惑されたという説も併記)。王はゼウスの子だと信じず、母子を箱に入れて海に流し、箱はセリポス島に着いてディクテュスに拾われた。 (2.4.1)
- エチオピア王ケペウスの妃カッシエペイアがネレイスたちより美しいと誇ったため、ポセイドンが洪水と怪物を送った。アンモンの神託に従い王女アンドロメダが岩に縛られた。ペルセウスは救えば妻にもらう約束をして怪物を倒し、婚約者だった王の弟ピネウスの一味をゴルゴンの首で石にした。 (2.4.3)
- セリポスに戻ったペルセウスは、祭壇に逃れていた母とディクテュスを見つけ、ポリュデクテスの館で首を見せて一同をその姿勢のまま石にした。ディクテュスを王にし、サンダル・袋・帽子はヘルメスに、首はアテナに渡した。アテナは首を盾の中央に付けた。 (2.4.3)
- 関係: child → zeus (『イリアス』14.319-320 ゼウス自身が「ダナエがペルセウスを生んだ」と語る。アポロドーロス 2.4.1)
- 関係: child → danae (『イリアス』14.319-320、ピンダロス『ピュティア』12.17、アポロドーロス 2.4.1)
- 関係: killed → medusa (『神統記』280、『ピュティア』12.16、アポロドーロス 2.4.2)
- 関係: spouse → andromeda (アポロドーロス 2.4.3、ヘロドトス 7.61.3、オウィディウス『変身物語』4.735-739)
- 関係: gave_gift → athena (2.4.2 アテナに導かれて首を斬り、2.4.3 ゴルゴンの首をアテナに捧げる。アテナはそれを盾(アイギス)の中央に付けた)
- 関係: received_gift → hermes (2.4.2 ヘルメスから金剛の鎌を受け取る。2.4.3 サンダル・袋・帽子はヘルメスに返し、ヘルメスがニンフに戻した)
- 関係: enemy → poseidon (2.4.3 アンドロメダを狙った海の怪物は、ネレイスたちの怒りに与したポセイドンが送ったもの)
- 関係: grandparent → alcmene (2.4.5 子エレクトリュオンの娘)
- 関係: grandparent → eurystheus (アポロドーロス 2.4.5、『イリアス』19.116, 19.123「ペルセウスの子ステネロス」の子)
- 関係: ancestor → herakles (2.4.5 アルクメネを介した曾孫)
パイドラ
- アポロドーロスでは順序が逆で、パイドラは寝室の戸を壊し衣を裂いて、ヒッポリュトスに襲われたと生きたまま夫に訴える。ヒッポリュトスが死に、偽りが明るみに出たあとで首を吊る。 (摘要 1.18-19)
- テセウスとの間にアカマスとデモポンを産んだ。この二人は後代の伝承でトロイア戦争にも加わる。 (摘要 1.18(二人の誕生)。トロイア戦争への参加は摘要 5.22 など)
- アポロドーロスによれば、パイドラをテセウスに嫁がせたのは兄のデウカリオン。ミノスの子のこのデウカリオンは、洪水を生き延びたプロメテウスの子デウカリオンとは同名の別人。 (摘要 1.16(デウカリオンからパイドラを妻にもらう)、3.1.2(ミノスの子デウカリオン))
- 関係: child → minos (アポロドーロス 3.1.2(ミノスとパシパエの娘)、摘要 1.16。『オデュッセイア』11.321-322 ではパイドラ、プロクリス、「ミノスの娘」アリアドネが並んで出る)
- 関係: sibling → ariadne (3.1.2 ミノスとパシパエの娘として、アリアドネとパイドラが並ぶ)
- 関係: spouse → theseus (摘要 1.16-18。アカマスとデモポンを産む)
- 関係: suitor → hippolytus (継子への一方的な恋。摘要 1.18、『ヒッポリュトス』27-28)
- 関係: stepparent → hippolytus (摘要 1.18、『ヒッポリュトス』27-28 テセウスの妻で、前妻の子ヒッポリュトスの継母)
パエトン
- ヘシオドス『神統記』のパエトンは別人で、曙の女神エオスとケパロスの子。幼いうちにアプロディテにさらわれ、神殿を夜に守る神霊にされた、と書かれるだけで、太陽の車の話はない。アポロドーロスにも、ティトノスの子パエトンという、さらに別の系譜が出てくる。「輝く者」という名はありふれていた。 (『神統記』986-991 / 3.14.3)
ピロクテテス
- ヘラクレスの弓矢を持つ。ヘラクレスの火葬の薪に火をつけた礼に譲り受けたとされる。ホメロスは弓の名手だとは言うが、その弓がヘラクレスのものだとは書かない。 (『ピロクテテス』801-803, 1406-1440 / アポロドーロス 2.7.7)
- 蛇に噛まれた場所は伝承で分かれる。ホメロスは「レムノスに残された」とだけ書き、どこで噛まれたかを言わない。アポロドーロスの摘要はテネドス上陸後、アポロンに犠牲を捧げている最中に祭壇から出た水蛇に噛まれたとし、ソポクレスはクリュセの屋根の無い聖所を守る蛇に噛まれたとする。 (『イリアス』2.716-725 / 摘要 3.26-27(テネドスでの犠牲の場)/ 『ピロクテテス』1326-1328(クリュセの聖所の番蛇))
- アポロドーロスでは、ヘラクレスの火葬の薪に火をつけたのはピロクテテスの父ポイアスで、その礼に弓を与えられた。ソポクレスではピロクテテス自身が火をつけたとされる。 (アポロドーロス2.7.7、『ピロクテテス』801-803)
- レムノス島に置き去りにされたピロクテテスは、ヘラクレスの弓で鳥を射て生き延びた。 (摘要3.27)
- 戦争10年目、カルカスが「ヘラクレスの弓矢がなければトロイアは落ちない」と予言し、オデュッセウスとディオメデスがレムノスへ向かい、計略で弓を手に入れて彼を説き伏せた。ポダレイリオスに癒やされ、アレクサンドロス(パリス)を射殺した。 (摘要5.8)
ピロメラ
- アポロドーロスでは、テレウスは妻プロクネが死んだと偽ってピロメラを妻にし、口止めのために舌を切った。ピロメラは衣に文字を織り込んで、姉に事実を知らせた。 (3.14.8)
- ギリシャ語で残る伝えでは、舌のないピロメラはツバメになる。アポロドーロスが代表例。 (3.14.8)
- 関係: sibling → procne (アポロドーロス 3.14.8、『変身物語』6.412-674)
- 関係: sibling → erechtheus (3.14.8)
- 関係: grandchild → erichthonius (3.14.6, 3.14.8)
- 関係: abducted_by → tereus (アポロドーロス 3.14.8(プロクネは死んだと偽って関係をもち、舌を切る)、『変身物語』6.447-570(アテナイから連れ出し、森の小屋に閉じ込める))
ポイベ
- アポロドロスもティタンの娘たちの一人に挙げ、コイオスとのあいだにアステリアとレトが生まれたと書く。 (1.1.3, 1.2.2)
- 「ポイベ」という名は、このティタンだけのものではない。アポロドロスには、ディオスクロイの一人ポリュデウケスの妻になったレウキッポスの娘ポイベも出てくる。同じ名の別人なので、系図をたどるときは区別が必要。 (3.11.2)
- 関係: spouse → coeus (『神統記』404-405、アポロドロス 1.2.2)
- 関係: parent → leto (『神統記』404-408、アポロドロス 1.2.2)
プリクソス
- 父アタマスが民に迫られてプリクソスを祭壇に立たせたとき、母ネペレが二人の子をさらい、ヘルメスから授かった金の毛の雄羊を与えた。子どもたちは雄羊に運ばれて空を越え、陸と海を渡った。 (1.9.1)
- コルキスに着いたプリクソスを、太陽神ヘリオスの子である王アイエテスが迎え、娘カルキオペを妻に与えた。プリクソスは雄羊を「逃亡者の守り手」ゼウス・ピュクシオスに捧げ、毛皮をアイエテスに贈った。アイエテスはそれをアレスの森の樫の木に打ちつけた。 (1.9.1)
- カルキオペとの間に、アルゴス、メラス、プロンティス、キュティソロスの4人の息子が生まれた。 (1.9.1。アポロニオス『アルゴナウティカ』2巻で、難破したこの兄弟がアルゴ船に拾われる)
- 毛皮はアイエテスに贈られ、アレスの森の樫の木に打ちつけられた。 (1.9.1)
- 関係: child → athamas (アポロドーロス 1.9.1、ヒュギヌス 3)
- 関係: sibling → helle (アポロドーロス 1.9.1、ヒュギヌス 3)
- 関係: enemy → ino-leucothea (継母。アポロドーロス 1.9.1、ヒュギヌス 2、ピンダロス『ピュティア祝勝歌』4.161-162「継母の不敬な刃」)
- 関係: owner → golden-fleece (アポロドーロス 1.9.1 雄羊をゼウス・ピュクシオスに捧げ、毛皮をアイエテスに贈る。ヒュギヌス 3 はマルスの神殿に納めたとする)
- 関係: received_gift → hermes (1.9.1。金の毛の雄羊はヘルメスが母ネペレに与えたもの)
- 関係: descendant → hellen (1.7.3, 1.9.1。ヘレン→アイオロス→アタマス→プリクソス)
プレイアデス
- 7人の名はアルキュオネ、メロペ、ケライノ、エレクトラ、ステロペ(アステロペ)、タユゲテ、マイア。アポロドーロスとアラトスで同じ7人が挙がる。マイアはヘルメスの母、エレクトラはトロイア王家の祖ダルダノスの母、メロペはシシュポスの妻になる。アルキュオネは、カワセミに変わったケユクスの妻アルキュオネとは別人。 (アポロドーロス 3.10.1-2、3.12.1 / アラトス『星辰譜』262-263)
- 関係: child → atlas (アポロドーロス 3.10.1(アトラスとプレイオネの7人の娘、アルカディアのキュレネで生まれる)/『仕事と日』383 /『祭暦』5.83-84)
- 関係: grandchild → oceanus (3.10.1 母プレイオネはオケアノスの娘)
- 関係: parent → hermes (長姉マイアがゼウスとのあいだにキュレネの洞窟でヘルメスを生む。アポロドーロス 3.10.2 /『神統記』938「アトラスの娘マイア」)
- 関係: lover → zeus (マイア、エレクトラ、タユゲテ。アポロドーロス 3.10.1「ゼウスはほかの娘たちとも交わった」/『祭暦』4.174)
- 関係: lover → poseidon (ケライノとアルキュオネ。アポロドーロス 3.10.1 /『祭暦』4.173)
- 関係: spouse → sisyphus (メロペがシシュポスの妻。アポロドーロス 3.10.1、1.9.3 /『祭暦』4.175)
ポリュデウケス
- レダが白鳥の姿のゼウスとの間に産んだ子。カストルはテュンダレオスの子とされ、双子で父が異なる。 (3.10.7)
- 兄カストルが討たれたとき、ゼウスから不死のまま独りで神々のもとに来るか、兄と半分ずつ分け合うかを問われ、後者を選ぶ。一日交代で天と冥界を行き来する形になった。 (『ネメア祝勝歌』10.75-90 / アポロドーロス 3.11.2)
- 関係: sibling → clytemnestra (3.10.7)
- 関係: child → zeus (3.10.7(諸説のうちゼウスの子とする側))
- 関係: participated_in → sparta (3.10.5-3.10.7)
ポリュムニア
- アポロドロスは九柱を「まずカリオペ、次にクレイオ、メルポメネ、エウテルペ、エラト、テルプシコレ、ウラニア、タレイア、ポリュムニア」の順に並べる。ヘシオドスでは七番目だったポリュムニアが最後に来るなど、順番は出典によって違う。 (アポロドロス 1.3.1。『神統記』77-79)
ポリュネイケス
- 兄か弟か: ソポクレス『コロノスのオイディプス』では、ポリュネイケスが兄で、弟エテオクレスに王座から追われたと本人が語る。エウリピデス『フェニキアの女たち』では逆に、ポリュネイケスが弟で、年ごとに交代する約束で先に国を出たが、兄エテオクレスが王座を明け渡さなかったとイオカステが語る。アポロドーロスは、先に王になったのがどちらかについても両方の説を並べる。 (『コロノスのオイディプス』374-376, 1292-1296 /『フェニキアの女たち』69-76 / 3.6.1)
- アルゴスでの結婚: 追放されたポリュネイケスは、ハルモニアの首飾りと衣を持ってアルゴスに来た。夜、アドラストスの館の門前でカリュドンから亡命してきたテュデウスと争っていると、アドラストスは「娘たちを猪と獅子に嫁がせよ」という予言を思い出し、二人を婿にした。アポロドーロスでは盾の猪と獅子の前半身、エウリピデスでは取っ組み合う様子、ヒュギヌスでは身にまとった獅子と猪の皮が、予言の猪と獅子にあたる。 (3.6.1 /『フェニキアの女たち』408-423 / 『神話伝説集』69)
- 七将の軍勢はネメアで幼子オペルテスの死を弔う競技会を開き、ポリュネイケスはレスリングで勝った。 (3.6.4)
- 関係: child → oedipus (3.5.8 /『コロノスのオイディプス』1254-1396 /『フェニキアの女たち』55-58)
- 関係: child → jocasta (3.5.8(エウリュガネイアの子とする異伝も)/『フェニキアの女たち』55-58)
- 関係: sibling → eteocles (『七将』631-676 /『コロノスのオイディプス』1292-1296 / 69-76 / 3.5.8)
- 関係: killed → eteocles (相討ち。『七将』804-819 /『フェニキアの女たち』1404-1424 / 3.6.8)
- 関係: killed_by → eteocles (相討ち。『七将』804-819 /『フェニキアの女たち』1404-1424 / 3.6.8)
- 関係: sibling → antigone (『アンティゴネ』1-99 / 3.5.8)
- 関係: sibling → ismene (3.5.8)
- 関係: child_in_law → adrastus (3.6.1 アドラストスの娘アルゲイアと結婚 /『フェニキアの女たち』408-429 /『コロノスのオイディプス』1301-1302)
- 関係: companion → tydeus (『イリアス』4.376-377 二人でミュケナイへ援軍を求めに行く / 3.6.1 夜の門前で取っ組み合ったのが出会い /『フェニキアの女たち』417-423)
- 関係: gave_gift → eriphyle (3.6.2 ハルモニアの首飾りを贈り、夫アンピアラオスを出陣させるよう頼む)
- 関係: participated_in → seven-against-thebes (『イリアス』4.376-381 /『七将』631-652 / 1123-1127 / 3.6.1-8)
- 関係: nephew_niece → creon (クレオンは母イオカステの兄弟。3.5.7-8。死後、クレオンに埋葬を禁じられる(『アンティゴネ』26-36 / 3.7.1))
ポリュクセネ
- 落城後、アキレウスの亡霊が自分の取り分を求めて風を止めたため、その墓前でネオプトレモスの手で殺される。犠牲獣ではなく人間を屠るという点で、悲劇では繰り返し問題にされる。 (『ヘカベ』107-125(軍議)、518-581(死の報告)、アポロドーロス摘要 5.23、『イリオスの陥落』要約)
- 関係: sibling → cassandra (3.12.5 プリアモスの娘たち)
- 関係: killed_by → neoptolemus (『ヘカベ』518-581(伝令の報告)、アポロドーロス摘要 5.23)
ポントス
- アポロドロスも、ポントスと大地からポルコス、タウマス、ネレウス、エウリュビエ、ケトが生まれたと書き、ヘシオドスの系譜を引き継ぐ。 (1.2.6)
- 関係: spouse → gaia (『神統記』233-239 ガイアと交わってタウマス、ポルキュス、ケト、エウリュビエをもうける。アポロドロス 1.2.6)
- 関係: parent → nereus (『神統記』233-236 最年長の子。アポロドロス 1.2.6)
ポセイドン
- アテナイの守護神の座をアテナと争い、アクロポリスに塩水の泉を湧かせたが、オリーブの木を生やしたアテナに敗れた。ホメロスやヘシオドスには見えない話である。 (アポロドーロス 3.14.1。パウサニアス 1.24.5, 1.26.5 はエレクテイオンに残る泉とオリーブに言及)
- 関係: enemy → athena (3.14.1。アテナイの守護神の座を争って敗れた)
プリアモス
- 落城の夜、目の前で息子ポリテスを殺されたうえ、ゼウス・ヘルケイオスの祭壇でアキレウスの子ネオプトレモスに斬られる。『イリアス』にはこの場面は無い。 (『アエネイス』2.506-558、アポロドーロス摘要 5.21、『イリオスの陥落』要約)
- もとの名はポダルケス。ラオメドンの約束破りに怒ったヘラクレスがトロイアを攻めたとき、姉ヘシオネがヴェールと引き換えに彼を買い戻したため、「買われた者」を意味するプリアモスと呼ばれるようになったという語源説がある。 (2.6.4。ギリシャ語 πρίασθαι(買う)からの民間語源とされる)
- ヘカベが松明を産み火が町に広がる夢を見ると、夢解きの息子アイサコスが、生まれる子は国を滅ぼすと告げ、プリアモスは赤子を召使いにイダ山へ捨てさせた。赤子は熊に5日間育てられ、召使いに拾われてパリスと名づけられた。 (3.12.5)
- 関係: killed_by → neoptolemus (『アエネイス』2.506-558、アポロドーロス摘要 5.21、『イリオスの陥落』要約。『イリアス』には死は描かれない)
プロクネ
- アテナイ王パンディオンは、境界をめぐるテーバイ王ラブダコスとの戦いに、アレスの子であるトラキアのテレウスを援軍に呼んだ。勝ったあと、娘プロクネをテレウスに嫁がせ、二人の間に息子イテュスが生まれた。 (3.14.8)
- 妹ピロメラが衣に織り込んだ文字で夫の罪を知ったプロクネは、息子イテュスを殺して煮込み、何も知らないテレウスに食べさせた。そして妹とともに逃げた。 (アポロドーロス 3.14.8、『変身物語』6.576-660(織り込んだ知らせ 6.576-586))
- アポロドーロスでは、プロクネはナイチンゲール、ピロメラはツバメ、テレウスはヤツガシラになる。息子を失って嘆き続ける鳥がナイチンゲール、という組み合わせ。アリストパネス『鳥』でも、ヤツガシラ(テレウス)の連れ合いのナイチンゲールが「イテュスの運命を嘆いて」歌う。 (アポロドーロス 3.14.8、『鳥』209-222)
- 関係: spouse → tereus (アポロドーロス 3.14.8、『変身物語』6.427-438、トゥキュディデス 2.29.3)
- 関係: sibling → philomela (アポロドーロス 3.14.8、『変身物語』6.412-674)
- 関係: sibling → erechtheus (3.14.8 パンディオンの子プロクネ、ピロメラ、エレクテウス、ブテス)
- 関係: grandchild → erichthonius (3.14.6, 3.14.8)
- 関係: enemy → tereus (息子を夫に食べさせて復讐し、夫に追われる。アポロドーロス 3.14.8、『変身物語』6.647-674)
プロクリス
- アポロドーロスでは、プロクリスはプテレオンから金の冠を受け取って身を任せ、夫ケパロスに知られてミノスのもとへ逃げた。ミノスはパシパエに呪いをかけられていて、交わる女は体から獣が出て死ぬ身だったが、プロクリスはキルケの薬草を飲ませて害を防ぎ、代わりに犬と投げ槍を得た。のちパシパエを恐れてアテナイに戻り、夫と和解した。 (3.15.1)
- 獲物を逃さない犬と、まっすぐ飛ぶ投げ槍は、クレタ王ミノスからの贈り物。 (3.15.1。アポロドーロス 2.4.7 でも「プロクリスがミノスからもらいクレタから連れてきた犬」)
- アポロドーロスでは、夫と和解したプロクリスが狩りに同行し、茂みで獲物を追っていたところを、夫が知らずに投げた槍に当たって死ぬ。嫉妬の話はなく、事故として語られる。 (3.15.1)
- 関係: child → erechtheus (アポロドーロス 3.15.1、『変身物語』6.681-682)
- 関係: spouse → cephalus (アポロドーロス 3.15.1、『変身物語』6.681-682, 7.690-862)
- 関係: killed_unintentionally_by → cephalus (アポロドーロス 3.15.1、『変身物語』7.835-862)
- 関係: sibling → orithyia (3.15.1 エレクテウスの娘たち(プロクリス、クレウサ、クトニア、オレイテュイア))
- 関係: lover → minos (3.15.1。夫のもとを逃れてクレタへ行き、ミノスと関係をもつ)
- 関係: received_gift → minos (3.15.1。俊足の犬とまっすぐ飛ぶ投げ槍をミノスからもらう)
プロメテウス
- 人間そのものをプロメテウスが土と水から造ったという話は、ヘシオドスには無い。アポロドーロスやオウィディウスなど後代の伝承で語られる。 (アポロドーロス 1.7.1。オウィディウス『変身物語』1.76-88 では「イアペトスの子」が土に雨水を混ぜて人を形づくる)
- アポロドーロスでは、ヘパイストスがゼウスの命でプロメテウスをスキュティアのカウカソス山に釘付けにし、鷲(エキドナとテュポンの子)が毎日肝臓を食べた。ヘラクレスが鷲を射て解放し、ヘラクレスの矢で不治の傷を負った不死のケイロンが、代わりに死ぬことを受け入れた。 (1.7.1、2.5.4、2.5.11)
- 解放されたプロメテウスは、ヘスペリデスの黄金のリンゴを自分で取りに行かず、アトラスに行かせるようヘラクレスに助言した。 (2.5.11)
- プロメテウスの子デウカリオンは、エピメテウスとパンドラの娘ピュラを妻とし、ゼウスが青銅の種族を洪水で滅ぼしたとき、父の助言で箱を作って生き延びた。 (1.7.2)
プロテウス
- 関係: child → poseidon (2.5.9 トロネでヘラクレスに殺されたポリュゴノスとテレゴノスを「ポセイドンの子プロテウスの子」と書く)
- 関係: visited_by → dionysus (3.5.1 狂気でさまようディオニュソスを、エジプト王プロテウスが最初に迎え入れる)
ピュグマリオン
- アポロドーロスではピュグマリオンは「キュプロス人の王」で、その娘メタルメがパポスを建てたキニュラスに嫁ぎ、アドニスらを生んだとされる。彫像の話は出てこない。 (3.14.3)
ピュラ
- 父はエピメテウス、母は神々が最初の女として造ったパンドラ。「箱(壺)を開けた」パンドラの娘が、洪水のあとの人類の母になる。 (1.7.2)
- 水が引いたあと、夫とともに頭越しに石を投げ、ピュラの投げた石は女になった。 (アポロドーロス 1.7.2、『変身物語』1.398-413)
- 関係: child → epimetheus (アポロドーロス 1.7.2、『変身物語』1.390(Epimethis))
- 関係: child → pandora (1.7.2「エピメテウスと、神々が最初の女として造ったパンドラの娘」)
- 関係: spouse → deucalion (アポロドーロス 1.7.2、『変身物語』1.318-329)
- 関係: parent → hellen (アポロドーロス 1.7.2、ヘシオドス断片 Evelyn-White fr. 1)
- 関係: nephew_niece → prometheus (1.7.2。父エピメテウスの兄弟プロメテウスは、夫デウカリオンの父でもある)
- 関係: participated_in → deucalions-flood (アポロドーロス 1.7.2、『変身物語』1.253-415、ピンダロス『オリュンピア祝勝歌』9.41-53)
ピュトン
- アポロドーロスでは、アポロンがデルポイに来たとき神託を告げていたのはテミスで、ピュトンは神託の番をしており、アポロンが裂け目に近づくのを妨げたため殺された。 (1.4.1)
- 関係: killed_by → apollo (『アポロン讃歌』357-374、『変身物語』1.441-444、『神話集』140、アポロドーロス1.4.1)
- 関係: protector → delphi (アポロドーロス1.4.1 神託の番をする蛇。パウサニアス10.6.6 大地が神託の番に置いた竜)
ラダマンテュス
- アポロドーロスでは、エウロペがゼウスとの間にクレタでミノス、サルペドン、ラダマンテュスを産み、クレタ王アステリオスが育てた。ラダマンテュスは島の人々に法を定めたが、のちにボイオティアへ逃れてアルクメネと結婚し、世を去ってからはミノスとともにハデスの国で裁判官を務める。 (3.1.1-2)
- アポロドーロスの別の箇所では、ゼウスの子ラダマンテュスは、アンピトリュオンの戦死後にアルクメネと結婚し、ボイオティアのオカレアイに亡命者として住んだ。 (2.4.11)
- ヘラクレスは竪琴の師リノスに打たれて逆上し、竪琴で打ち殺した。殺人の罪で裁かれたとき、「不当に攻撃してきた者から身を守った者は罪に問われない」というラダマンテュスの法を引いて無罪となった。 (2.4.9)
- 関係: child → zeus (『イリアス』14.321-322、アポロドーロス3.1.1)
- 関係: child → europa (『イリアス』14.321-322(ポイニクスの娘)、アポロドーロス3.1.1)
- 関係: sibling → minos (『イリアス』14.322、アポロドーロス3.1.1-2)
- 関係: spouse → alcmene (2.4.11 アンピトリュオンの死後に結婚し、ボイオティアのオカレアイに亡命して住む。3.1.2)
- 関係: stepparent → herakles (2.4.11 母アルクメネの再婚相手)
- 関係: judge → underworld (アポロドーロス3.1.2 死後ミノスとともにハデスの国で裁判官を務める。『ゴルギアス』523e-526c アジアから来た死者を裁く)
レア
- アポロドーロスではクレタのディクテ洞窟で産み、クレテス(クーレテス)が武具を打ち鳴らして赤子の泣き声を消したとする。ヘシオドスにはこの細部は無い。 (1.1.6-1.1.7)
- アポロドーロスでは、クレテスが武装して洞窟の赤子を守り、槍を盾に打ち鳴らしてクロノスに泣き声を聞かせなかった。レアは石を産着にくるんで、生まれた子のように見せかけてクロノスに呑ませた。 (1.1.7)
トロイア落城
- 祭壇に逃れた老王プリアモスが、目の前で息子を殺されたうえで斬られる場面は、落城の残虐さを象徴する図像として古代から繰り返し描かれた。 (『アエネイス』2.506-558、アポロドーロス摘要 5.21)
- 落城は勝者にとっても破滅の始まりになる。小アイアスがアテナの神像にすがるカッサンドラを引き剥がしたことで女神が怒り、ギリシャ勢の帰路(ノストイ)は難破と殺害の連続になる。 (『イリオスの陥落』要約、アポロドーロス摘要 5.22-6.6、『ノストイ』要約)
- ギリシャ勢は町を焼いて戦利品を分け、アステュアナクスを城壁から投げ落とし、ポリュクセネをアキレウスの墓で生贄にした。カッサンドラはアガメムノン、アンドロマケはネオプトレモス、ヘカベはオデュッセウスに与えられた。 (摘要 5.23)
- 関係: participant → priam (『アエネイス』2.506-558、アポロドーロス摘要 5.21 祭壇で殺される)
- 関係: participant → neoptolemus (プリアモスを討つ。摘要 5.21)
- 関係: participant → cassandra (摘要 5.22 アテナの神像から引き剥がされる)
- 関係: participant → ajax-the-lesser (摘要 5.22 神域を犯す)
サルペドン
- 同名のサルペドンがもう一人いる。エウロペとゼウスの子でミノスの兄弟とされるクレタのサルペドンである。アポロドーロスは、ゼウスが三世代分の寿命を与えたとして両者を結びつけている。 (3.1.1-2)
スキュラ
- ホメロスでは母をクラタイイスとするのみで父に触れない。後代の資料では親の組み合わせが一定しない。アポロニオスは「夜をさまようヘカテ、人がクラタイイスと呼ぶ者」がポルキュスに産んだとし、アポロドーロスはクラタイイスあるいはトリエノスとポルコスの娘とする。ヒュギヌスはテュポンとエキドナの子の一人に数える。 (『オデュッセイア』12.124-125(クラタイイスを呼べ、それがスキュラの母だ)を本文で確認。アポロニオス『アルゴナウティカ』4.825-829、アポロドーロス摘要7.20、ヒュギヌス151(テュポンとエキドナの子の列挙にスキュラ)。アポロニオスの箇所は theoi.com の引用で確認)
セレネ
- アポロドロスでは、月(セレネ)が美青年エンデュミオンに恋し、ゼウスが彼に望みをかなえると言うと、エンデュミオンは不死で年を取らないまま永遠に眠り続けることを選ぶ。パウサニアスは、月がエンデュミオンとのあいだに五十人の娘を産んだという伝えも記録しているが、彼自身はエンデュミオンが人間の妻を娶ったという説のほうを「もっともらしい」とする。 (アポロドロス 1.7.5。パウサニアス 5.1.3-4)
セメレ
- 雷に焼かれる死: アポロドーロスでは、ゼウスは何でも願いを聞くと約束しており、ヘラに欺かれたセメレは「ヘラに求婚したときの姿で来て」と頼む。断れないゼウスは雷光と雷鳴と共に戦車で現れ、セメレは恐怖で息絶えた。ゼウスは火の中から6か月の胎児を取り出して自分の腿に縫い込み、月が満ちてからディオニュソスを産んだ。 (3.4.3 /『バッコスの信女』88-100)
- 姉妹の中傷: エウリピデス『バッコスの信女』冒頭で、ディオニュソスは、母の姉妹たちが「セメレは人間の男の子を宿しておきながらゼウスのせいにした、それはカドモスの企みで、だからゼウスに打たれたのだ」と言いふらしたと怒り、その罰として彼女たちを狂わせて山へ追いやったと語る。アポロドーロスにも同じ中傷が出てくる。これがペンテウスの悲劇の発端になる。 (『バッコスの信女』26-42 / 3.4.3)
- 神になった母: ピンダロス(前5世紀前半)は、雷鳴の中で死んだセメレが今はオリュンポスの神々の間に住み、パラス(アテナ)と父ゼウスと、蔦の冠の息子に愛されていると歌う。アポロドーロスは、ディオニュソスが母を冥界から連れ戻してテュオネと名付け、共に天に昇ったと伝える。 (『オリュンピア祝勝歌』2.25-27 / 3.5.3 /『神統記』942)
- 甥アクタイオンの異伝: アポロドーロスによれば、アクシラオスは、セメレの甥アクタイオンが猟犬に食い殺されたのは、セメレに求婚してゼウスの怒りを買ったからだと語った。一般には、アルテミスの水浴を見たからとされる。 (3.4.4)
- 関係: child → cadmus (『神統記』940, 975-976 / 3.4.2 /『バッコスの信女』1-2)
- 関係: child → harmonia (『神統記』975-976 / 3.4.2)
- 関係: lover → zeus (『イリアス』14.323-325 /『神統記』940-942 / 3.4.3 / Met. 3.260-261)
- 関係: parent → dionysus (『イリアス』14.325 /『神統記』940-942 /『バッコスの信女』1-3 / 3.4.3)
- 関係: killed_unintentionally_by → zeus (約束に縛られたゼウスが雷光と共に現れ、その火に焼かれる。3.4.3 / Met. 3.293-309 /『バッコスの信女』6-9, 88-93)
- 関係: enemy → hera (3.4.3 ヘラに欺かれる / Met. 3.259-295 ヘラが乳母ベロエに化けてそそのかす)
- 関係: sibling → agave (『神統記』976 / 3.4.2 /『バッコスの信女』26-31)
- 関係: sibling → ino-leucothea (『神統記』976 / 3.4.2-3 イノが赤子ディオニュソスを育てる)
- 関係: uncle_aunt → pentheus (姉妹アガウエの子。3.4.2, 3.5.2)
- 関係: uncle_aunt → actaeon (姉妹アウトノエの子。3.4.2, 3.4.4)
- 関係: courted_by → actaeon (3.4.4 アクシラオスによれば、アクタイオンはセメレに求婚したためゼウスの怒りを買って死んだ)
テーバイ攻めの七将
- アポロドーロス(1〜2世紀)の顔ぶれ: アドラストス、アンピアラオス、カパネウス、ヒッポメドン、ポリュネイケス、テュデウス、パルテノパイオス。そのうえで「テュデウスとポリュネイケスを数えず、イピスの子エテオクロスとメキステウスを入れる者もいる」と書き添える。門の割り当ては、アドラストス(ホモロイス)、カパネウス(オギュゲス)、アンピアラオス(プロイトス)、ヒッポメドン(オンカ)、ポリュネイケス(ヒュプシスタイ)、パルテノパイオス(エレクトラ)、テュデウス(クレナイ)で、悲劇のどちらとも一致しない。 (3.6.3(名簿)、3.6.6(門))
- ネメア競技祭の起源: アポロドーロスによれば、七将は進軍の途中ネメアで水を求め、乳母ヒュプシピュレが泉へ案内するあいだに、預けられていた赤子オペルテスが蛇に殺された。アンピアラオスはこれを未来の凶兆と読み、赤子をアルケモロス(「破滅の始まり」)と呼んで、将たちは彼のためにネメア競技を始めた。競走ではアドラストスが馬、テュデウスが拳闘、ポリュネイケスがレスリング、パルテノパイオスが弓で勝った。 (3.6.4 / 『神話伝説集』74。「アルケモロス」の語義は名の構成(archē「始まり」+ moros「破滅」)による説明)
- 結末: 予言者テイレシアスの言葉に従いクレオンの子メノイケウスが自らを犠牲にし、テーバイは持ちこたえる。カパネウスは雷に打たれ、エテオクレスとポリュネイケスは一騎打ちで相討ち、他の将も倒れて、アドラストスだけが神馬アレイオンに乗って逃げ延びた。ピンダロスは、七つの火葬の薪が若者たちの遺体を焼いたと歌う。『イリアス』でもアレイオンは「アドラストスの足の速い、神々の血を引く馬」として名が出る。 (3.6.7-8 /『フェニキアの女たち』911-1018, 1090-1092 /『ネメア祝勝歌』9.22-24、『オリュンピア祝勝歌』6.15 /『イリアス』23.346-347)
- アルゴス王アドラストスの館で、亡命してきたポリュネイケスとテュデウスが夜に争いになる。アドラストスは、娘たちを猪と獅子に嫁がせよという予言者の言葉を思い出し、二人の盾に猪と獅子の前半身が描かれていたので、両者を娘婿にして帰国を約束した。 (3.6.1)
- アンピアラオスは、以前アドラストスと争った際、今後の争いの裁きを妻エリピュレに任せると誓っていた。ポリュネイケスは、夫から贈り物を受け取るなと言われていたエリピュレに首飾りを贈り、彼女は夫に出陣を命じた。アンピアラオスは出陣前、成長したら母を殺しテーバイを攻めよと息子たちに命じた。 (3.6.2)
- 腹を突かれたテュデウスのために、アテナはゼウスに願って不死の薬を持ってきたが、テュデウスを恨むアンピアラオスが、彼を刺したメラニッポスの首を切って渡すと、テュデウスは頭を割って脳をすすり、それを見たアテナは嫌悪して薬を与えなかった。 (3.6.8)
- テイレシアスは、クレオンの子メノイケウスが自らアレスへの犠牲になればテーバイは勝つと告げ、メノイケウスは門の前で自害した。 (3.6.7)
- 関係: has_episode → adrastus (発端。亡命してきたポリュネイケスとテュデウスを婿にし、帰国を約束する。3.6.1 /『フェニキアの女たち』408-429)
- 関係: has_episode → eriphyle (首飾りを受け取り、夫アンピアラオスを出陣させる。3.6.2 /『オデュッセイア』11.326-327)
- 関係: has_episode → tydeus (使者としてテーバイに入り、帰り道の伏兵50人を1人を残して倒す。『イリアス』4.382-398 / 3.6.5)
- 関係: has_episode → capaneus (梯子で城壁を登り、ゼウスの雷に打たれる。『フェニキアの女たち』1172-1186 / 3.6.7)
- 関係: has_episode → eteocles (第七の門でポリュネイケスと一騎打ちし、相討ち。『七将』804-819 /『フェニキアの女たち』1356-1424 / 3.6.8)
- 関係: has_episode → amphiaraus (敗走中、ゼウスの雷が裂いた大地に戦車ごと呑まれる。『ネメア祝勝歌』9.24-27 / 3.6.8)
- 関係: has_episode → creon (戦後、アルゴス勢の埋葬を禁じる。3.7.1 /『アンティゴネ』)
- 関係: has_episode → theseus (アドラストスの嘆願を受けてテーバイから遺体を取り戻す。『嘆願する女たち』/ 3.7.1)
- 関係: participant → polynices (『イリアス』4.376-378 / 『七将』631-652 / 1123-1127 / 3.6.1-3)
- 関係: participant → antigone (戦後、兄ポリュネイケスを葬る。3.7.1)
- 関係: participant → tiresias (クレオンの子メノイケウスを犠牲にせよと告げる。『フェニキアの女たち』834-1018 / 3.6.7)
- 関係: participant → zeus (カパネウスを雷で打ち、アンピアラオスの前で大地を裂く。1180-1186 /『ネメア祝勝歌』9.24-27 / 3.6.7-8)
- 関係: followed_by → epigoni (3.7.2 倒れた七将の息子たち(エピゴノイ)が父の仇を討つためにテーバイを攻める)
シノン
- シノンの本当の役目は、夜になって合図の火を上げることだった。叙事詩環の『イリオスの陥落』要約では「先に偽って城内に入っていた」シノンが火の合図を上げ、アポロドロスはそれをアキレウスの墓の上でとする。ウェルギリウスでは、シノンが木馬の閂を外して中の兵を出す役も担う。 (『イリオスの陥落』プロクロス要約。アポロドロス『摘要』5.19。『アエネイス』2.256-259)
- 関係: participated_in → trojan-horse (『アエネイス』2.57-198(嘘の演説)、2.257-259(夜に木馬の閂を外す)。アポロドロス『摘要』5.15、5.19)
- 関係: participated_in → sack-of-troy (『イリオスの陥落』プロクロス要約「先に偽って城内に入っていたシノンが火の合図を上げる」。『小イリアス』断片(リュコプロン注解 344)。アポロドロス『摘要』5.19 はアキレウスの墓で合図の火を焚いたとする)
セイレーン
- 異伝: アポロドーロスの摘要では、ピシノエ・アグラオペ・テルクシエピアという3人とされ、アケロオス川とムーサのメルポメネの娘たちだとされる。一人が竪琴、一人が歌、一人が笛を担当したという。 (Epit. 7.18)
- 鳥の体という姿はホメロスにはない。アポロドーロスの摘要は、セイレンをアケロオスとムーサのメルポメネの娘三人とし、「腿から下は鳥の姿をしていた」と記す。人魚として描かれるのは中世以降の西欧の伝統で、原典から離れた変形である。 (摘要 7.18-19(ピシノエ、アグラオペ、テルクシエピア。一人は竪琴、一人は歌、一人は笛。腿から下は鳥の姿)を本文で確認。なお「顔と胸は女」はアポロドーロスでは直後 7.20 のスキュラの描写で、セイレンについては書かれていないため本文から外した。壺絵に人面鳥身のセイレンが現れる年代は未確認)
- アポロドーロスの摘要では、船が一隻でも通り過ぎればセイレーンたち自身が死ぬと予言されており、オデュッセウスが通ったあとその通りに死んだ。 (摘要 7.19)
シシュポス
- 同名に注意: シシュポスの父アイオロスは、ヘレンの子でテッサリアを治め、アイオリス人の名の元になった人物(アポロドーロス)。『オデュッセイア』で袋に風を詰めてオデュッセウスに渡す風の王アイオロスは「ヒッポテスの子」と呼ばれ、系譜が異なる。 (アポロドーロス 1.7.3(アイオロスの7人の息子の一人にシシュポス)/『オデュッセイア』10.1-2)
- 罪の説明の一つ: ゼウスが河神アソポスの娘アイギナをひそかにさらったとき、娘を探すアソポスに犯人を教えた。その報いとして冥界で岩を転がす罰を受けた。 (1.9.3)
- シシュポスはエピュラ(のちのコリントス)を建て、アトラスの娘メロペを妻とした。子グラウコスの子が、火を吐くキマイラを倒したベレロポンテスである。 (1.9.3)
- 関係: enemy → zeus (1.9.3 ゼウスがアイギナをさらったことを父の河神アソポスに告げ口した)
スパルタ
- ヘレネの求婚者がギリシャ中から集まり、テュンダレオスが「選ばれた夫を皆で守る」という誓いを立てさせたのもこの地。トロイア遠征の参加義務の根拠がここで生まれる。 (3.10.8-9)
- トロイアの王子パリスはスパルタでメネラオスに9日間もてなされ、10日目、メネラオスが母方の祖父カトレウスの葬儀でクレタへ出かけたすきにヘレネを連れて夜に船出した。ヘレネは9歳の娘ヘルミオネを残していった。 (摘要 3.3)
- 関係: ruled_by → tyndareus (『オデュッセイア』11.298-299、アポロドーロス 3.10.5)
スフィンクス
- アポロドーロスの形: 母エキドナ、父テュポン。ヘラがテーバイに送り込み、女の顔、獅子の胸と脚と尾、鳥の翼をもつ。ムーサたちから教わった謎を携えてピキオン山に陣取り、解けないテーバイ人を一人ずつさらって食った。クレオンの息子ハイモンまで犠牲になったため、クレオンは謎を解いた者に王位とライオスの妻を与えると布告した。 (3.5.8)
- 謎は「一つの声を持ちながら、四つ足にも二つ足にも三つ足にもなるものは何か」。オイディプスは「人間」と答えた。赤子のうちは四肢で這い、大人になって二本の足で立ち、老いては杖を三本目の足にするから。謎を解かれたスフィンクスは城砦から身を投げた。よく知られる「朝は四本足、昼は二本足、夕は三本足」という言い回しは、アポロドーロスの本文にはない。 (3.5.8。「朝・昼・夕」形の初出は未確認)
- 関係: child → typhon (3.5.8 母エキドナ、父テュポン)
- 関係: servant → hera (3.5.8 ヘラがテーバイに送り込んだ)
- 関係: student → muses (3.5.8 謎はムーサたちから教わったもの)
- 関係: enemy → thebes (『神統記』326「カドモスの民を滅ぼした」/ 3.5.8 / OT 35-36, 130-131)
- 関係: enemy → oedipus (3.5.8 / OT 391-398)
ステュンパロスの鳥
- アポロドーロスでは六番目の功業。アルカディアのステュンパロスの町の、深い森に抱かれた湖に、オオカミに食われるのを恐れた無数の鳥が逃げこんでいた。追い出し方に困ったヘラクレスに、アテナがヘパイストスから受け取った青銅のカスタネット(クロタラ)を与え、湖を見下ろす山で打ち鳴らすと、鳥は音に耐えられず飛び立ち、ヘラクレスはそれを射落とした。 (2.5.6)
- 関係: killed_by → herakles (アポロドーロス2.5.6 鳴り物で飛び立たせて射落とす。ヒュギヌス30 アレスの島で射殺す。パウサニアス8.22.4 ペイサンドロスは殺さず追い払っただけとする。ディオドロス4.13.2 も追い払う)
- 関係: participated_in → twelve-labors (2.5.6 六番目の功業)
ステュクス
- 関係: parent → nike (『神統記』383-385(父はティタンのパラス)。アポロドロス 1.2.4)
- 関係: participated_in → titanomachy (『神統記』389-403。アポロドロス 1.2.5)
- 関係: lover → zeus (1.3.1「ステュクスによってペルセポネをもうけた」とする珍しい伝え)
- 関係: parent → persephone (1.3.1 普通はデメテルが母とされる)
タンタロス
- まったく別の形の罰も伝わる。頭上に巨大な岩が吊るされ、いつ落ちるか分からないまま怯え続けるというもの。ピンダロスとアポロドーロスはこちらを採る。 (『オリュンピア祝勝歌』1.55-58、摘要 2.1)
- 罪の内容も出典で割れる。アポロドーロスは「神々の秘密を人間に漏らした」あるいは「神々のネクタルとアンブロシアを仲間に分け与えた」とする。 (摘要 2.1)
- 息子ペロプスを切り刻んで煮て神々に供したという罪も伝わる。ただしピンダロスはこの話自体を「隣人のねたみが作った作り話」として退け、罪はネクタルとアンブロシアを盗んで仲間に配ったことだとする。 (摘要 2.3 / 『オリュンピア祝勝歌』1.28-36, 1.60-64)
- タンタロス→ペロプス→アトレウス→アガメムノン→オレステスという血筋が「呪われた家」として語られる。ただしホメロスはタンタロスの罰とアガメムノンの死を別々に語るだけで、両者を因果でつなげていない。因果の鎖として組み上げるのは悲劇とアポロドーロスの仕事である。 (『オデュッセイア』11.582-592 と 11.404-434 / 摘要 2.1-2.16 / 『アガメムノン』1468-1512)
- 関係: parent → pelops (『オリュンピア祝勝歌』1.36-38、摘要 2.3)
テレゴノス
- 父を探してイタケに渡り、その島と知らずに家畜を奪う。防ごうとしたオデュッセウスを、エイの棘を穂先に付けた槍で突き、父と知らぬまま殺す。 (アポロドーロス Epit. 7.36)
- 『テレゴニア』の要約では、この後テレゴノスはペネロペイアを、テレマコスはキルケを娶り、キルケは二人を祝福の島へ送ったとされる。父の妻と子、母と義理の子が入れ替わる後日談。 (Epit. 7.37。アポロドーロスはテレゴノスとペネロペイアの結婚までを記す)
- 父と知ったテレゴノスは激しく嘆き、遺骸とペネロペイアをキルケのもとへ運んでペネロペイアを妻とし、キルケは二人を幸いなる者の島へ送った。 (摘要7.37)
- 関係: child → odysseus (Epit. 7.16 キルケが産んだオデュッセウスの子)
- 関係: child → circe (Epit. 7.16)
- 関係: spouse → penelope (Epit. 7.37 父の遺骸とペネロペイアをキルケのもとへ運び、そこで彼女を妻とする)
テレウス
- アテナイ王パンディオンが、境界をめぐってテーバイ王ラブダコスと戦ったとき、トラキアからアレスの子テレウスを援軍に呼んだ。勝利のあと、パンディオンは娘プロクネを彼に嫁がせた。 (3.14.8)
- 姉妹を追うテレウスは、頭に冠羽のあるヤツガシラになった。アポロドーロスもオウィディウスもヤツガシラとする。 (アポロドーロス 3.14.8、『変身物語』6.671-674)
- 関係: spouse → procne (アポロドーロス 3.14.8、『変身物語』6.427-438、トゥキュディデス 2.29.3)
- 関係: abducted → philomela (アポロドーロス 3.14.8、『変身物語』6.447-570)
- 関係: child → ares (3.14.8「アレスの子テレウス」)
- 関係: enemy → procne (息子を食べさせられ、姉妹を追う。アポロドーロス 3.14.8、『変身物語』6.647-674)
タレイア
- 同じ名が三つの別の女神の一族に出てくる。ヘシオドスは、ゼウスがオケアノスの娘エウリュノメとのあいだにもうけた三柱のカリスの一人を「愛らしいタレイア」と呼び、『イリアス』でテティスのもとに集まるネレイスの最初のほうにもタレイアがいる。アポロドロスは一つの文の中で、カリスのタレイアとムーサのタレイアを続けて挙げている。 (『神統記』77(ムーサ)、907-909(カリス)。『イリアス』18.39(ネレイス)。アポロドロス 1.3.1)
- アポロドロスによれば、タレイアはアポロンとのあいだにコリュバンテスを産んだ。 (1.3.4)
- 関係: lover → apollo (1.3.4 アポロンとのあいだにコリュバンテスを産む)
テーバイ
- 建国の話は二つある。『オデュッセイア』では、ゼウスとアンティオペの子アンピオンとゼトスが、七門のテーバイを初めて築いて城壁で囲んだとされ、カドモスの名は出てこない。アポロドーロスは、アンピオンの竪琴の音に石がついて来て城壁ができたと伝え、町の名はゼトスの妻テーベに由来するとする。 (『オデュッセイア』11.260-265 / 3.5.5-6)
- もう一つはカドモスの建国譚。神託に従って牝牛の後を追い、牛が伏した場所に町を建て、アレスの竜を倒してその歯から生まれた戦士(スパルトイ)の子孫が町の名家になった。アポロドーロスはカドモスの城砦(カドメイア)と、後のアンピオンとゼトスの城壁を、時代の違う出来事として並べている。 (3.4.1-2、3.5.5 / Met. 3.1-130)
- カドモス→ポリュドロス→ラブダコス→ライオス→オイディプス→エテオクレスとポリュネイケス、と続く王家(ラブダコス家)は、代々不幸に見舞われる。カドモスの孫たちの世代でもアクタイオン、ペンテウス、セメレ、イノが悲劇的な最期を遂げ、オウィディウスはこれらをテーバイの物語として一続きに語る。 (3.4.2-3.5.9 / Met. 3.1-4.603)
- アポロドーロスによれば、アンピオンとゼトスはリュコスを殺して王位を継ぎ、町を城壁で固めた。そのとき石はアンピオンの竪琴についてきたという。ゼトスはテーベを妻とし、町の名はこの女性にちなむ。 (3.5.5-6)
- 竜を殺した償いにカドモスはアレスに「永遠の一年」(今の8年)仕えた。そのあとアテナが王国を与え、ゼウスはアプロディテとアレスの娘ハルモニアを妻として与えた。神々はみな天を離れてカドメイアで婚礼を祝い、歌を歌った。 (3.4.2)
テイア
- アポロドロスもティタンの娘たちの一人に数え、ヒュペリオンとのあいだに曙・太陽・月が生まれたと書く。ヘシオドスの系譜がローマ期までそのまま受け継がれている。 (1.1.3, 1.2.2)
- 関係: parent → helios (『神統記』371-374、アポロドロス 1.2.2)
- 関係: parent → selene (『神統記』371-374、アポロドロス 1.2.2)
- 関係: parent → eos (『神統記』371-374、アポロドロス 1.2.2)
テミス
- アイスキュロス『慈しみの女神たち』の冒頭で、デルポイの巫女は神託所の持ち主の順を、最初の予言者ガイア、その娘テミス、ポイベ、そして誕生祝いに譲られたポイボス(アポロン)と語る。アポロンより前にテミスが神託を預かっていたという伝え。 (『慈しみの女神たち』1-8。アポロドロス 1.4.1)
- 関係: companion → apollo (『慈しみの女神たち』1-8 ではガイア→テミス→ポイベ→アポロン(ポイボス)の順にデルポイの神託所が受け継がれる。アポロドロス 1.4.1 でもアポロンが来たときにはテミスが神託を下していた)
テセウス
- アテナイ王アイゲウスはトロイゼンで王女アイトラと交わり、岩の下に剣とサンダルを隠して去った。同じ夜にポセイドンもアイトラと交わったとされ、テセウスには「人間の父」と「神の父」の二人がいる。成長したテセウスは岩を動かして剣とサンダルを取り、陸路でアテナイへ向かった。 (3.15.7, 3.16.1)
- ミノタウロスへの三度目の貢ぎの一人として(自ら志願したとも)クレタへ渡り、恋したアリアドネが渡した糸玉を入口に結んでたどりながら迷宮に入った。最奥でミノタウロスを拳で打ち殺し、糸をたどって戻った。 (摘要 1.7-9)
- 帰路、アリアドネを失った悲しみで、無事なら白い帆に替えるという父との約束を忘れた。黒い帆を見たアイゲウスは息子が死んだと思い、アクロポリスから身を投げた。 (摘要 1.7, 1.10)
- アポロドーロスのアルゴ船乗組員名簿には「アイゲウスの子テセウス」が入っている。 (1.9.16)
- トロイゼンからアテネへの陸路で、棍棒の男ペリペテス(棍棒を奪って持ち歩く)、松曲げのシニス、クロミュオンの雌豚、旅人に足を洗わせて海へ蹴り落とし亀に食わせるスキロン、レスリングで殺すケルキュオン、二つの寝台で旅人の体を伸ばしたり切ったりするダマステス(ポリュペモンとも)を倒した。 (3.16.1-2、摘要1.1-4)
- アテネに着くと、アイゲウスの妻メデイアが彼を裏切り者として警戒させ、アイゲウスは息子と知らずにマラトンの牡牛退治に送る。戻ると毒の杯を渡されるが、飲む前に剣を見せ、アイゲウスは杯を払い落とした。テセウスはメデイアを追放した。 (摘要1.5-6)
- アリアドネと子どもたちを連れて夜のうちにナクソスに着くと、ディオニュソスがアリアドネに恋をして連れ去った。 (摘要1.9)
- アマゾンの女王(アンティオペ、メラニッペ、ヒッポリュテと名は諸説)との間に息子ヒッポリュトスをもうけ、のちにミノスの娘パイドラを妻とする。パイドラは継子ヒッポリュトスに恋をして拒まれ、襲われたと偽って訴えた。テセウスの祈りを聞いたポセイドンが海から牡牛を送り、ヒッポリュトスは戦車ごと引きずられて死ぬ。 (摘要1.16-19)
- テセウスが冥界にいるあいだに、ディオスクロイがアテナイを攻めてヘレネを取り戻し、テセウスの母アイトラも捕虜として連れ去った。『イリアス』でトロイアのヘレネに付き従う侍女に「ピッテウスの娘アイトラ」の名がある。 (アポロドーロス摘要1.23、『イリアス』3.143-144)
- 冥界でハデスは歓待を装ってテセウスとペイリトオスを「忘却の椅子」に座らせ、二人は椅子に張りつき蛇に巻かれて動けなくなった。ヘラクレスがテセウスだけを連れ戻す。アテネに戻ったテセウスはメネステウスに追われ、身を寄せたリュコメデスに崖から突き落とされて死んだ。 (摘要1.24)
- 関係: child → poseidon (3.15.7 アイゲウスが母アイトラと交わった同じ夜にポセイドンも交わった。3.16.1 ではアイゲウスの子)
- 関係: killed → minotaur (アポロドーロス摘要 1.9 迷宮の奥で拳で打ち殺す、プルタルコス『テセウス伝』19.1、オウィディウス『変身物語』8.169-173)
- 関係: lover → ariadne (『オデュッセイア』11.321-325、アポロドーロス摘要 1.8-9)
- 関係: enemy → minos (3.15.8 ミノスがアテナイに若者の貢ぎを課す。摘要 1.7-9)
- 関係: visited → labyrinth (摘要 1.9、『変身物語』8.172-173)
- 関係: visited → crete (摘要 1.8)
- 関係: enemy → medea (摘要 1.5-6 父アイゲウスの妻になっていたメデイアに毒殺されかけ、剣で父に正体を知られて助かる。オウィディウス 7.404-424)
- 関係: abducted → helen (摘要 1.23 ペイリトオスの助けで12歳のヘレネをスパルタからさらう。プルタルコス『テセウス伝』31)
- 関係: enemy → castor (摘要 1.23 ディオスクロイがアテナイを攻めてヘレネを取り戻す)
- 関係: enemy → polydeuces (摘要 1.23)
- 関係: companion → herakles (2.5.12 冥界で縛られていたところを引き起こされる。摘要 1.16 アマゾン遠征に同行)
- 関係: enemy → amazons (摘要 1.16-17、プルタルコス『テセウス伝』26-27)
- 関係: visited → underworld (摘要 1.24 ペイリトオスのためにペルセポネを妻にしようと冥界に下り、忘却の椅子に縛られる。アポロニオス 1.101-104)
- 関係: participated_in → argonauts (アポロドーロス 1.9.16 の名簿には入るが、アポロニオス 1.101-104 は冥界に囚われていて参加しなかったとする(claim 参照))
テッサリア
- アポロドーロスによれば、プロメテウスの子デウカリオンはプティアのあたりを治め、パンドラとエピメテウスの娘ピュラを妻とした。 (1.7.2)
- イアソンはイオルコスに住み、王ペリアスは片方のサンダルの男に気をつけよとの神託を受けていた。アルゴ船の一行には、ペライのアドメトス、ラリサのペイリトオス、プティアのペレウスなど、テッサリアの英雄が多く加わった。 (1.9.16)
- 関係: ruled_by → peleus (1.9.16 プティアのペレウス)
- 関係: ruled_by → pelias (1.9.16 イオルコス)
- 関係: ruled_by → deucalion (1.7.2 プティアのあたり)
- 関係: ruled_by → admetus (1.9.16 ペライ)
テティス
- アキレウスを不死にしようとして火にかざした(あるいは冥界の川に浸した)という話は、ホメロスには無い。ホメロスのアキレウスは普通に傷つき、踵の弱点も語られない。 (アポロドーロス 3.13.6 は夜ごと火にかざす話を伝える。『イリアス』21.166-167 ではアキレウスは実際に負傷する)
- アポロドーロスによれば、トロイアへ行けば息子が死ぬ運命と知っていたテティスは、アキレウスに女の服を着せ、娘としてリュコメデスの宮廷に預けた。オデュッセウスがラッパの音で正体を見破り、アキレウスはトロイアへ向かった。 (3.13.8)
- アポロドーロスでは、テティスは赤子を夜ごと火にかざして父から受けた死すべき部分を焼き、昼はアンブロシアを塗った。火の中でもがく子を見たペレウスが叫ぶと、テティスは子を置いてネレイスたちのもとへ去った。 (3.13.6)
トラキア
- ヘラクレスの八番目の難業は、トラキアのディオメデスの牝馬をミュケナイへ連れてくることだった。ディオメデスはアレスとキュレネの子で、好戦的なトラキアの民ビストネス人の王であり、人を食う牝馬を持っていた。 (2.5.8)
- 関係: visited_by → herakles (2.5.8)
テイレシアス
- 盲目になった経緯には複数の説がある。アポロドーロスは、アテナの水浴を見たため母カリクロの嘆願で予言の力を代わりに得た説と、交尾する蛇を打って女になり7年後に男に戻り、ゼウスとヘラの論争の裁定でヘラに盲目にされた説とを並べて記す。 (3.6.7)
- ペレキュデスの説(アポロドーロス所引)では、アテナは目を戻せない代わりに耳を清めて鳥の声をすべて聞き分けられるようにし、目の見える人のように歩ける杖を与えた。 (3.6.7)
- ヘシオドスの説(アポロドーロス所引)では、蛇を傷つけて女になり、再び同じ蛇を見て男に戻った。ゼウスとヘラが、愛の喜びを男と女のどちらが強く感じるかで争ったとき、テイレシアスは「十のうち男が一、女が九」と答え、ヘラに盲目にされ、ゼウスに予言の力を与えられた。 (3.6.7)
ティリュンス
- アバスの双子の子アクリシオスとプロイトスは胎内から争い、成長すると王位をめぐって戦い、その戦いで初めて盾が考え出された。敗れたプロイトスはリュキアのイオバテス(一説にアンピアナクス)のもとへ行ってその娘を妻にし、義父がつけたリュキアの軍勢とともに戻って、キュクロプスたちが城壁を築いたティリュンスを占めた。兄弟はアルゴスの地を分け、アクリシオスがアルゴスを、プロイトスがティリュンスを治めた。 (2.2.1)
- プロイトスの娘たちは年ごろになると狂った。ヘシオドスによればディオニュソスの祭儀を受け入れなかったため、アクシラオスによればヘラの木像をけなしたためで、アルゴスの地をさまよい、アルカディアやペロポネソスを越えて荒れ野を駆けた。 (2.2.2)
- ヘラに狂わされてわが子を殺したヘラクレスがデルポイで住む所を尋ねると、巫女はティリュンスに住んでエウリュステウスに十二年仕え、課される十の難業を果たせば不死になると告げた。 (2.4.12)
- 関係: created_by → cyclopes (アポロドーロス2.2.1、パウサニアス2.25.8 城壁)
- 関係: visited_by → herakles (2.4.12)
- 関係: visited_by → argos (2.2.1 国を二つに分けた相手の町)
ティタノマキア
- アポロドロスでは、ガイアが「タルタロスに投げ込まれた者たちを味方にすれば勝つ」と予言し、ゼウスは牢番のカンペを殺して彼らを解放する。キュクロプスたちはゼウスに雷を、ハデスに兜を、ポセイドンに三叉の鉾を贈り、これで神々はティタンを打ち負かした。 (1.2.1)
- 戦いのあと世界がどう分けられたかは伝えによって違う。『神統記』では神々がガイアの勧めでゼウスに王になるよう求め、ゼウスが神々に役目を割り振る。『イリアス』のポセイドンとアポロドロスでは、ゼウス・ポセイドン・ハデスの三兄弟がくじを引き、天・海・冥界を分けたとされ、大地とオリュンポスは共有とされる。 (『神統記』881-885。『イリアス』15.187-193。アポロドロス 1.2.1)
- ウラノスは生まれた子ら(とくに百腕の巨人)を嫌って大地の奥に押し込め、苦しんだガイアは鉄の鎌を作って子らに復讐を促した。名乗り出たのはクロノスで、待ち伏せて父を傷つけた。これが神々の代替わりの最初の反逆になる。 (『神統記』154-182、アポロドーロス1.1.4)
- 関係: participant → zeus (『神統記』617-735, 687-712(雷を投げる)。アポロドロス 1.2.1)
- 関係: participant → kronos (『神統記』630-634, 851。アポロドロス 1.2.1。『縛られたプロメテウス』221-223)
- 関係: participant → gaia (『神統記』626-628 百手の巨人を味方にすれば勝てると神々に教える。アポロドロス 1.2.1)
- 関係: participant → poseidon (『神統記』732-733 タルタロスに青銅の門を据える。アポロドロス 1.2.1 キュクロプスから三叉の鉾を贈られる)
- 関係: participant → hades (1.2.1 キュクロプスから兜を贈られる)
ティタン族
- アポロドーロスは男6柱(オケアノス、コイオス、ヒュペリオン、クレイオス、イアペトス、クロノス)に、女のティタン(ティタニデス)としてテテュス、レア、テミス、ムネモシュネ、ポイベ、ディオネ、テイアの7柱を挙げ、ディオネを加えている。 (1.1.3)
- アポロドーロスでは、タルタロスに投げ込まれた子らを嘆いたガイアがティタンたちを父に立ち向かわせ、オケアノスを除く全員が攻めかかった。 (1.1.4)
- ティタン同士の子から、世界の多くの神々が出る。ヒュペリオンとテイアから太陽ヘリオス・月セレネ・曙エオス、オケアノスとテテュスから川の神々と3000人のオケアニデス、コイオスとポイベからレト、イアペトスからアトラス・プロメテウス・エピメテウス・メノイティオス、クロノスとレアからゼウスたちオリュンポスの神々。 (『神統記』337-374、404-410、453-458、507-520、アポロドーロス1.2.2-3)
- 関係: child → uranus (『神統記』132-138、アポロドーロス1.1.3)
- 関係: child → gaia (『神統記』132-138、アポロドーロス1.1.3)
- 関係: has_member → dione (1.1.3 ティタニデスの一人に数える(ヘシオドスの12人には入らない))
- 関係: participated_in → titanomachy (『神統記』617-735、アポロドーロス1.2.1)
三叉の槍(トライデント)
- アポロドーロスでは、ティタンとの戦いの10年目、ゼウスがタルタロスの番人カンペを殺してキュクロプスたちを解き放つと、彼らはゼウスに雷と稲妻、プルトン(ハデス)に兜、ポセイドンに三叉の槍を与えた。勝ったあと三兄弟はくじで支配を分け、ポセイドンは海を得た。 (1.2.1)
- アポロドーロスでは、ポセイドンはアクロポリスの真ん中を三叉の槍で打って「エレクテイスの海」を湧かせたが、ケクロプスの証言によりオリーブを植えたアテナに土地が与えられ、怒ってトリアシオン平野を水浸しにした。パウサニアスは、エレクテイオンの中に南風で波音を立てる海水の水槽があり、岩に三叉の槍の跡があると記す。ヘロドトスも、アテナとポセイドンの争いのしるしとしてオリーブの木と塩水の池を挙げる。 (アポロドーロス3.14.1、パウサニアス1.26.5、ヘロドトス8.55)
- ヒュギヌスでは、水を探しに出たダナオスの娘アミュモネがサテュロスに襲われ、ネプトゥヌスに救われる。神が投げた三叉の槍が岩に刺さり、アミュモネが引き抜くと三筋の水が湧いて、アミュモネの泉(レルネの泉)となった。アポロドーロスは、ポセイドンがアミュモネにレルネの泉を教えたとだけ書く。 (ヒュギヌス『神話集』169、169A、アポロドーロス2.1.4)
- 関係: owned_by → poseidon (『イリアス』12.27、『オデュッセイア』4.506、5.292、アポロドーロス1.2.1)
- 関係: created_by → cyclopes (1.2.1 キュクロプスがポセイドンに贈る(作ったとは明記されない))
- 関係: participated_in → titanomachy (1.2.1 この武器を得た神々がティタンを破る)
- 関係: participated_in → athens (アポロドーロス3.14.1、パウサニアス1.26.5 アクロポリスを打って海水を湧かせる)
トリトン
- アポロドロスが伝えるパラディオン(アテナの木像)の由来では、生まれたアテナはトリトンに育てられ、トリトンの娘パラスと一緒に武芸を練習していた。あるとき争いになり、アテナは誤ってパラスを死なせ、悲しんでその姿の像を作ったという。 (3.12.3)
- 関係: child → poseidon (『神統記』930-933、アポロドロス 1.4.5)
- 関係: child → amphitrite (『神統記』930-933、アポロドロス 1.4.5)
- 関係: foster_parent → athena (3.12.3 生まれたアテナを育て、娘パラスと一緒に武芸を習わせる)
トロイアの木馬
- 造ったのはエペイオスという職人で、アテナ(ミネルウァ)の助言によるとされる。考案したのはオデュッセウスである、と役割を分けて書くのはアポロドーロス。ヒュギヌスは馬に「ギリシャ人がミネルウァに捧げる」という奉納の銘が刻まれていたと伝える。 (『オデュッセイア』8.493、アポロドーロス摘要 5.14、ヒュギヌス 108)
- 中に入った人数は出典によってまちまちで、アポロドーロスは50人とし、注釈は『小イリアス』が3000人、クイントゥスが30人の名を挙げ、ツェツェスは23人としていると伝える。『イリオスの陥落』の要約は「最も優れた者たち」と言うだけで数を挙げない。 (アポロドーロス摘要 5.14(50人。フレイザーの注に他説の一覧がある)、『イリオスの陥落』要約)
- 関係: created_by → odysseus (アポロドーロス摘要 5.14「オデュッセウスが考案し、エペイオスが造った」。『オデュッセイア』11.523-532 では馬の中の指揮官)
トロイア戦争
- ギリシャの諸将が参戦したのは、ヘレネの求婚の際にテュンダレオスが立てさせた誓いによる。「誰が選ばれても、その夫が妻を奪われたら皆で助ける」という約束が、10年の戦争の法的な根拠になっている。オデュッセウスの入れ知恵だったとされる。 (3.10.9)
トロイア
- トロイアが落ちるのは一度ではない。ラオメドンの約束破りに怒ったヘラクレスが先に一度落としており、その時の生き残りがプリアモスである。 (『イリアス』5.638-651、アポロドーロス 2.6.4)
- アポロドーロスによれば、王トロスが国をトロイアと名づけ、その子イロスが神託に従ってまだらの牝牛のあとを追い、牛が伏した「プリュギアのアテの丘」に街を築いてイリオンと名づけた。そのとき天からパラディオンが落ちてきた。 (3.12.2-3)
- 神々に賃金を払わなかったラオメドンの国に、アポロンは疫病を、ポセイドンは海の怪物を送った。王女ヘシオネが怪物に差し出され、ヘラクレスが馬を報酬に救うが、ラオメドンはまた約束を破った。 (2.5.9)
ヘラクレスの十二の功業
- アポロドーロスでは、神託が命じたのは「十の難業」だった。ところがエウリュステウスは、ヒュドラ退治はイオラオスの助けを借りたから、アウゲイアスの家畜小屋の掃除は報酬を取ったから、と2つを数えず、林檎とケルベロスを追加させた。こうして12になる。 (2.4.12, 2.5.2, 2.5.5, 2.5.11)
- アポロドーロスの順序は、①ネメアの獅子 ②ヒュドラ ③ケリュネイアの鹿 ④エリュマントスの猪 ⑤アウゲイアスの家畜小屋 ⑥ステュンパロスの鳥 ⑦クレタの牡牛 ⑧ディオメデスの馬 ⑨ヒッポリュテの帯 ⑩ゲリュオンの牛 ⑪ヘスペリデスの林檎 ⑫ケルベロス。今日「十二の功業」として紹介される一覧は、ほぼこれにあたる。 (2.5.1-2.5.12)
- アポロドーロスは、最初の10の功業に8年と1か月かかったとする。 (2.5.11)
- 第七の功業のクレタの牡牛は、ミノスがポセイドンに捧げると約束しながら惜しんだ牡牛だとする説がある。ヘラクレスが捕らえて見せたあと放すと、牡牛はマラトンに流れ着いて人々を苦しめ、のちにテセウスに退治される。ミノタウロスの父とされる牡牛と、テセウスのマラトンの牡牛が一本の線でつながる。 (2.5.7(アクシラオスはエウロペを運んだ牡牛とする別説も併記)、3.1.3-4、摘要 1.5-6)
- アポロドーロスによれば、ネメアの獅子を担いで帰ったヘラクレスの力に驚いたエウリュステウスは、以後町に入ることを禁じ、手柄は城門の前で見せるよう命じた。自分は地下に青銅の甕を作らせてそこに隠れ、命令は伝令コプレウスに伝えさせたという。 (2.5.1)
- ヘラの嫉妬で狂ったヘラクレスは、メガラとの子らとイピクレスの子二人を火に投げ込んだ。自ら追放の身となってデルポイに尋ねると、巫女は初めて彼をヘラクレスと呼び、ティリュンスに住んで12年エウリュステウスに仕え、課される十の難業を果たせば不死になると告げた。 (2.4.12)
- ゲリュオンの牛を取りに行く途中、ヘラクレスはヨーロッパとリビュエの境に旅のしるしとして二本の柱を向かい合わせに立てた。太陽に熱せられて弓を向けると、ヘリオスはその大胆さに感心して黄金の杯を与え、ヘラクレスはそれで大洋を渡った。 (2.5.10)
- 関係: participant → herakles (2.5.1-12)
- 関係: participant → eurystheus (課した側。『イリアス』19.133、アポロドーロス 2.5.1 使者コプレウスを通じて命じる)
- 関係: participant → nemean-lion (2.5.1 第一の功業)
- 関係: participant → hydra (2.5.2 第二の功業)
- 関係: participant → amazons (2.5.9 第九の功業(ヒッポリュテの帯))
- 関係: participant → hesperides (2.5.11 第十一の功業(黄金の林檎))
- 関係: participant → cerberus (アポロドーロス 2.5.12 第十二の功業。エウリピデス『ヘラクレス』22-25 でも「最後の難業」)
- 関係: located_at → crete (2.5.7 第七の功業はクレタの牡牛。アクシラオスはエウロペを運んだ牡牛、別説ではポセイドンがミノスのために送った牡牛とする)
オリュンポス十二神
- アポロドーロスによれば、アテナとポセイドンがアッティカを争ったとき、ゼウスは二人を分け、ケクロプスやクラナオスではなく十二の神々を裁き手に任じた。十二の神々はアテナに土地を与えた。 (3.14.1)
- 関係: judge → athens (3.14.1 アテナとポセイドンの争いを裁き、アテナのものとした)
テュデウス
- 故郷を追われた理由は出典で割れる。アポロドーロスが並べるのは、(1)オイネウスの兄弟アルカトオスを殺した、(2)叙事詩『アルクマイオニス』の作者によれば、オイネウスに陰謀を企てたメラスの息子たち8人を殺した、(3)ペレキュデスによれば、自分の兄弟オレニアスを殺した。ヒュギヌスは、狩りの最中に兄弟メナリッポスを殺したとする。いずれにしてもアグリオスに訴えられてアルゴスへ逃げた。 (1.8.5 / 『神話伝説集』69)
- 猪と獅子: アドラストスは「娘たちを猪と獅子に嫁がせよ」という予言を受けていた。アポロドーロスでは、テュデウスの盾に猪の前半身が描かれていたため、ヒュギヌスでは、テュデウスが「カリュドンの猪を思い出させるため」に猪の皮をまとっていたため、彼が「猪」にあたった。カリュドンの猪狩りとテーバイ攻めが、この一頭の猪でつながる。 (3.6.1 / 『神話伝説集』69)
- 死の逸話: テーバイ方のメラニッポスに腹を刺されたテュデウスのもとに、アテナがゼウスから得た薬を持って来て彼を不死にしようとした。ところが出兵を強いられてテュデウスを憎んでいたアンピアラオスが、メラニッポスの首を切って渡し、テュデウスはそれを割って脳をすすった。女神は嫌悪して恩恵を取りやめた。ホメロスには無い話で、アポロドーロスが伝える。 (3.6.8。これより古い典拠(『イリアス』古註が引くペレキュデスなど)は未確認)
- ポリュネイケスが夜にアルゴス王アドラストスの館を訪れると、カリュドンから逃れてきていたテュデウスと取っ組み合いになった。騒ぎに出てきたアドラストスは、二人の盾に猪と獅子の前半身が描かれているのを見て、娘たちを猪と獅子に嫁がせよという予言を思い出し、二人を婿に迎えて故郷に帰すと約束した。 (3.6.1)
- 関係: child → oeneus (『イリアス』5.813, 14.115-118 / 1.8.5)
- 関係: parent → diomedes (『イリアス』4.365-370, 14.113-114 / 1.8.5 アドラストスの娘デイピュレとの子)
- 関係: child_in_law → adrastus (『イリアス』14.121「アドラストスの娘の一人を娶った」/ 1.8.5, 3.6.1 デイピュレ /『フェニキアの女たち』423)
- 関係: sibling → meleager (1.8.2, 1.8.5 異母兄。テュデウスの母はペリボイア)
- 関係: sibling → deianira (1.8.1, 1.8.5 異母姉(デイアネイラはディオニュソスの子とする説も))
- 関係: companion → polynices (『イリアス』4.376-381 / 3.6.1)
- 関係: visited → eteocles (『イリアス』4.384-390 使者としてエテオクレスの館へ / 3.6.5)
- 関係: enemy → amphiaraus (『七将』570-575 アンピアラオスがテュデウスを「人殺し、禍の教師」と罵る / 3.6.8 自分に逆らって出兵させたテュデウスを憎む)
- 関係: participated_in → seven-against-thebes (『イリアス』4.376-398, 14.114 /『七将』377-394 / 1119-1122 / 3.6.3-8)
テュンダレオス
- スパルタの王。 (『オデュッセイア』11.298-299、アポロドーロス 3.10.5)
- ヘレネに多くの求婚者が集まったため、争いを恐れ、オデュッセウスの助言で「誰が選ばれても、その夫を皆で助ける」と求婚者全員に誓わせた。 (3.10.9)
- 求婚者に誓わせたこの取り決めが、のちにギリシャ中の王が10年の遠征に参加する根拠になる。トロイア戦争の法的な仕掛けを作ったのは彼である。 (3.10.9)
- 誓いの案を出したのはオデュッセウスで、見返りにテュンダレオスの姪ペネロペを妻に得る口添えを頼んだとされる。結果として、自分を戦争に縛り付ける仕掛けを自分で考えたことになる。 (3.10.9)
- 兄弟ヒッポコオンとその息子たちにラケダイモンを追われ、テスティオスのもとに逃れてその娘レダを妻とした。ヘラクレスがヒッポコオンとその子らを殺したあと戻って王位についた。 (3.10.5)
- ディオスクロイ(カストルとポリュデウケス)が神々のもとへ移されたあと、テュンダレオスはメネラオスをスパルタに呼び寄せて王国を譲った。 (3.11.2)
- 関係: parent → castor (『オデュッセイア』11.298-300、アポロドーロス 3.10.7)
- 関係: parent → clytemnestra (3.10.7)
- 関係: foster_parent → helen (3.10.7。ヘレネはゼウスの子とされるが、彼が父として育て、嫁がせた)
- 関係: companion → menelaus (3.10.9。求婚者の中からメネラオスを娘の夫に選ぶ)
- 関係: ruler → sparta (『オデュッセイア』11.298-299、アポロドーロス 3.10.5)
テュポン
- アポロドロスでは、テュポンの頭は星に届き、両腕は東西の果てまで伸び、腿から下は大蛇のとぐろ。神々はエジプトへ逃げて動物に姿を変えた。ゼウスは組み合って逆に手足の腱を切り取られ、コリュキオンの洞窟に閉じ込められるが、ヘルメスとアイギパンが腱を盗み返す。最後はシチリア沖でエトナ山を投げつけられて下敷きになる。 (1.6.3)
- テュポンはエキドナと交わって、ゲリュオネスの犬オルトス、冥界の番犬ケルベロス、レルナのヒュドラを生む。アポロドロスはさらに、キマイラ、ネメアの獅子、ヘスペリデスの林檎を守る竜、プロメテウスの肝臓をついばむ鷲、テバイのスピンクスもテュポンの子とする。ヘラクレスが戦う怪物の多くがこの一家の出身である。 (『神統記』306-318。アポロドロス 2.3.1, 2.5.1, 2.5.10, 2.5.11, 3.5.8)
- 関係: child → gaia (『神統記』820-822。アポロドロス 1.6.3)
- 関係: child → tartarus (『神統記』821-822。アポロドロス 1.6.3)
- 関係: enemy → zeus (『神統記』836-868。アポロドロス 1.6.3)
- 関係: parent → chimera (2.3.1「ヘシオドスが言うように、テュポンがエキドナに産ませた」。『神統記』319 は主語があいまいで、母をヒュドラとも読める)
- 関係: parent → sphinx (3.5.8 母エキドナ、父テュポン)
- 関係: parent → nemean-lion (2.5.1「テュポンの子」とする。『神統記』326-327 ではエキドナとオルトスの子)
- 関係: enemy → hermes (1.6.3 テュポンが切り取ってコリュキオンの洞窟に隠したゼウスの腱を、ヘルメスとアイギパンが盗み出す)
ペレウスとテティスの婚礼
- 女神が人間と結婚する理由も語られている。テティスの産む子は父より強くなるという予言があったため、ゼウス(とポセイドン)は自ら娶ることを避け、人間のペレウスに嫁がせた。 (ピンダロス『イストミア祝勝歌』8.27-40(ゼウスとポセイドンがテティスをめぐって争ったが、テミスが「海の女神は父より強い子を産む定めだ」と告げて二人とも退いた)、アポロドーロス 3.13.5(同じくテミスの予言)。いずれも本文で確認)
- テティスは望んで嫁いだのではなく、次々に姿を変えて逃げるところをペレウスが掴んで離さず、組み伏せて得た妻とされる。神と人間の結婚が力ずくで成立している点が、後の不和の伏線にもなる。 (アポロドーロス 3.13.5(ケイロンの助言でペレウスが待ち伏せ、火・水・獣と姿を変えるテティスを元の姿に戻るまで離さなかった)、ピンダロス『ネメア祝勝歌』4.62-65(火と獅子の爪と牙を斥けてネレウスの娘を娶った)。いずれも本文で確認)
- ペレウスはペリオン山でテティスと結婚し、神々は宴と歌で祝った。ケイロンはトネリコの槍を、ポセイドンは不死の馬バリオスとクサントスを贈った。 (3.13.5)
ゼウス
- 白鳥に姿を変えてレダと交わった。レダはゼウスとの間にヘレネとポリュデウケスを産んだ。 (3.10.7)
- 関係: lover → leda (白鳥に姿を変えてレダと交わった(3.10.7)。ホメロスには白鳥の逸話はない)
- 関係: parent → helen (『イリアス』3.199 でヘレネは「ゼウスの娘」と呼ばれる)
- 関係: parent → polydeuces (3.10.7。『オデュッセイア』11.298-300 ではテュンダレオスの子として語られる(諸説))