もう一つの人物像: エウリピデス『嘆願する女たち』では、遺体を取り戻したあとアドラストスが死者を一人ずつ讃え、カパネウスについて、豊かでありながら財を誇らず、貧しい隣人を見下さず、節度を重んじ、約束を必ず守る男だったと語る。悲劇『七将』の傲慢な姿とは正反対の描き方で、同じ作家の『フェニキアの女たち』とも食い違う。
アイスキュロス『テーバイ攻めの七将』 前467年上演、エウリピデス『嘆願する女たち』 前420年代後半上演、エウリピデス『フェニキアの女たち』 前410年頃上演

Καπανεύς英雄
炎の雨の中に横たわる、神を侮ったカパネウス。ブレイクがダンテのために描いた絵。 『カパネウス(ダンテ『神曲』地獄篇の挿絵)』 ウィリアム・ブレイク 1824〜1827年Public domain
神々の王ゼウスの雷でさえ、おれは止められない。城壁の下でそう叫び、梯子を登りつめたところで、その雷に打たれた男がいる。テーバイを攻めた七人の将の一人、カパネウスである。
では、神に逆らった傲慢な男の典型として語られてきたカパネウスが、どんなふうに描かれてきたのか見ていこう。
カパネウスは、オイディプスの息子の一人が王位を取り戻すために起こした、テーバイ攻めの七将の一人だった。
アイスキュロスの悲劇『テーバイ攻めの七将』では、町の七つの門の一つに立つ、とてつもない大男として描かれる。神が望もうと望むまいと、この町を滅ぼしてやる。ゼウスの雷など、真昼の日差しほどにしか思わない。彼の楯には、松明を掲げた裸の男と、「町を焼き払ってやる」という金の文字が描かれていた。それを聞いた守る側の王は言い返す。その雷こそ、あの男の上に正しく落ちるだろう。
その予言のとおりになった。エウリピデスの悲劇『フェニキアの女たち』では、カパネウスは長い梯子を担いで城壁に取りつき、ゼウスの聖なる火でさえこの町が落ちるのは止められない、と叫んだ。飛んでくる石を楯で防ぎながら、一段ずつ登っていく。胸壁を越えようとした、まさにその瞬間、ゼウスの雷が落ちた。手足は四方に飛び散り、燃える体が地に落ちた。
ところが、同じエウリピデスが、別の劇ではまるで違うカパネウスを描いている。『嘆願する女たち』では、戦死した将たちの遺体を取り戻したあと、攻める側の総大将だったアルゴスの王が、一人ひとりの死者を讃える。カパネウスについて、王はこう語った。豊かだったが、財産を誇ることはなかった。貧しい隣人を見下さず、節度を重んじ、交わした約束は必ず守る男だった、と。
この劇には、妻の最期も描かれている。ゼウスの雷に打たれた者として、カパネウスはほかの死者とは別に火葬された。妻は、その火を見下ろす岩の上に現れた。父が必死に止めるのも聞かず、夫と同じ墓に入るために、燃える火の中へ身を投げた。
『イリアス』では、カパネウスは、トロイアで英雄ディオメデスと肩を並べて戦った息子の父として、名前が出てくるだけである。その息子は言い放った。父たちは、自分たちの愚かさゆえに滅んだのだ。
この物語の出典: ホメロス『イリアス』、アイスキュロス『テーバイ攻めの七将』、エウリピデス『嘆願する女たち』、エウリピデス『フェニキアの女たち』、アポロドーロス(偽アポロドーロス)『ビブリオテーケー(ギリシア神話)』、パウサニアス『ギリシア案内記』
もう一つの人物像: エウリピデス『嘆願する女たち』では、遺体を取り戻したあとアドラストスが死者を一人ずつ讃え、カパネウスについて、豊かでありながら財を誇らず、貧しい隣人を見下さず、節度を重んじ、約束を必ず守る男だったと語る。悲劇『七将』の傲慢な姿とは正反対の描き方で、同じ作家の『フェニキアの女たち』とも食い違う。
アイスキュロス『テーバイ攻めの七将』 前467年上演、エウリピデス『嘆願する女たち』 前420年代後半上演、エウリピデス『フェニキアの女たち』 前410年頃上演
家系: アポロドーロスはヒッポノオスの子とする。パウサニアスはデルポイのアルゴス人の奉納像の説明で、カパネウスとエテオクロスを「プロイトスの子孫」と呼ぶ。ヒュギヌスは母をアドラストスの姉妹アステュノメとし、カパネウスをアドラストスの甥にあたる人物とする。
アポロドーロス(偽アポロドーロス)『ビブリオテーケー(ギリシア神話)』 1〜2世紀頃、ヒュギヌス『神話集(ファブラエ)』 1〜2世紀頃、パウサニアス『ギリシア案内記』 2世紀
蘇りの異伝: アポロドーロスは医神アスクレピオスが死者を蘇らせた例を集め、ステシコロス(前6世紀)の詩『エリピュレ』によれば、その中にカパネウスとリュクルゴスがいたと記す。
アポロドーロス(偽アポロドーロス)『ビブリオテーケー(ギリシア神話)』 1〜2世紀頃
ホメロスでの姿: 『イリアス』でカパネウスは、ディオメデスの戦友ステネロスの父「名高いカパネウス」として名が出るだけで、雷の話は語られない。そのステネロスが「父たちは自らの愚かさで滅んだ」と言い放ち、父の世代の敗北を語る。
ホメロス『イリアス』 前8世紀頃
アイスキュロスの形(前467年): エレクトラの門に立つ巨漢。神が望もうと望むまいと町を滅ぼすと言い、ゼウスの雷も真昼の日差しほどにしか思わない。盾には松明を持つ裸の男と「町を焼く」の金文字。エテオクレスは、その雷こそ正しく彼に落ちるだろうと応じ、守将ポリュポンテスを当てる。
アイスキュロス『テーバイ攻めの七将』 前467年上演
雷に打たれる場面: エウリピデス『フェニキアの女たち』では、長い梯子を担いで「ゼウスの聖なる火さえ町の破壊を止められない」と叫びながら、盾で石を防いで一段ずつ登り、胸壁を越えようとした瞬間に雷に打たれる。手足は四方へ飛び散り、燃える体が地に落ちた。パウサニアスによれば、テーバイ人は彼が打たれたのをプラタイアからの入口にあたるエレクトラの門だとしていた。
エウリピデス『フェニキアの女たち』 前410年頃上演、アポロドーロス(偽アポロドーロス)『ビブリオテーケー(ギリシア神話)』 1〜2世紀頃、パウサニアス『ギリシア案内記』 2世紀
妻エウアドネ: ゼウスに打たれた者として、カパネウスは他の死者とは別に葬られる。妻エウアドネ(イピスの娘)は、夫の火葬の火を見下ろす岩に現れ、父イピスが止めるのも聞かず、夫と同じ墓に入るため火の中へ身を投げる。アポロドーロスも同じ結末を伝える。
エウリピデス『嘆願する女たち』 前420年代後半上演、アポロドーロス(偽アポロドーロス)『ビブリオテーケー(ギリシア神話)』 1〜2世紀頃