映画『タイタンの戦い』の元ネタのギリシャ神話
英雄ペルセウスが、メドゥサの首で海の怪物クラーケンに立ち向かう映画『タイタンの戦い』。神話のペルセウスの話と、どこが重なり、どこが違うのか。
どんな作品か
『タイタンの戦い』は、1981年6月12日に公開された映画。特撮のレイ・ハリーハウゼンが、製作と特撮を手がけた最後の長編である。
メドゥサの首
ここは神話とよく重なる。アポロドーロスによれば、ペルセウスは青銅の盾に映る姿を見ながらメドゥサの首を斬り、ニンフたちから借りた袋に入れた。袋のほかに、翼のあるサンダルと、姿を消す帽子も借りていた。
ローマ期ビブリオテーケー(ギリシア神話)
海の怪物クラーケン
神話にも、海の怪物は出てくる。エチオピアの王妃が海の女神たちより美しいと誇ったため、ポセイドンが怪物を送り込み、王女アンドロメダが生贄として岩に縛られた。ただし神話の怪物に名前はない。クラーケンは、ノルウェーの沖に現れるという海の怪物の呼び名で、英語に入ったのは1755年である。
ローマ期ビブリオテーケー(ギリシア神話)近現代オンライン語源辞典
女神テティスの役
映画には、女神テティスが、人間の息子カリボスの母として出てくる。
アテナのフクロウ
映画では、アテナがペルセウスのために、機械仕掛けのフクロウを作る。
神話でも、ペルセウスを導いたのはアテナとヘルメスだった。ヘルメスは首を斬るための鎌を与え、首を斬ったあとの翼のサンダルや袋や帽子はヘルメスに返され、メドゥサの首はアテナに贈られて、女神の盾を飾った。
ローマ期ビブリオテーケー(ギリシア神話)
この話の項目
- ペルセウスゼウスとダナエの子。見た者を石に変えるゴルゴンのメドゥサの首を取り、帰り道で海の怪物からアンドロメダを救った。ヘラクレスの曾祖父にあたり、ペルシア人の名の由来とする伝えもある。
- メドゥサ三姉妹の怪物ゴルゴンのうち、ただ一人死すべき者。見た者を石に変える首をペルセウスに斬られ、その首から天馬ペガソスが生まれた。首はアテナの盾に付けられた。
- アンドロメダエチオピア王ケペウスとカシオペイアの娘。母が海のニンフより美しいと誇ったため、海の怪物への生贄として岩に縛られ、通りかかったペルセウスに救われて妻となった。一家そろって星座になっている。
- カシオペイアエチオピア王ケペウスの妃で、アンドロメダの母。海のニンフ(ネレイス)たちより美しいと誇ったため、ポセイドンが洪水と海の怪物を送り、娘が生贄として岩に縛られた。一家とともに星座になり、北の空でW字に並ぶカシオペヤ座がその姿とされる。アラトスとヒュギヌスは、罰として彼女が天の回転につれて頭から逆さまに沈むと書く。
- テティスネレウスの娘である海の女神で、アキレウスの母。ゼウスさえ恐れた予言のために人間ペレウスに嫁がされた。『イリアス』では息子のためにゼウスに嘆願し、武具を作らせ、その死を予め嘆く。神々の恩人でありながら不幸を背負う存在として描かれる。
- アテナゼウスの頭から武装して生まれた知恵と戦術の女神。トロイア戦争ではギリシャ側、とりわけディオメデスとオデュッセウスの後ろ盾となる。荒ぶる戦のアレスに対し、計略と工芸を司る戦の神として対置される。
- ヘルメス神々の伝令であり、境界と旅人と盗人と商人の神。生まれたその日に竪琴を発明し、アポロンの牛を盗んだ。魂を冥界へ導く役目も担い、生と死、神と人の境を行き来する神として描かれる。
- ポセイドン海を支配する神で、ゼウス・ハデスの兄弟。地震と馬をも司る。『イリアス』ではギリシャ側に立つが、『オデュッセイア』では息子ポリュペモスを潰されたことを恨んでオデュッセウスの帰還を十年阻み続ける、物語の主たる敵対者。
ほかの作品の話
- 聖闘士星矢女神アテナを護る少年たちが、星座の名を背負って戦う。『聖闘士星矢』のどこが、ギリシャ神話のどの話につながっているのか。
- トロイトロイア戦争を描いた2004年の映画『トロイ』。ホメロスの『イリアス』と並べると、どこが同じで、どこが変えられているのか。
- オデュッセイア(ノーラン監督)2026年7月に公開された、クリストファー・ノーラン監督の映画『オデュッセイア』。ホメロスの叙事詩と並べると、何を変え、どこをふくらませたのか。
- ヘラクレス(ディズニー)ディズニーのアニメ映画『ヘラクレス』。神話の英雄の話と並べると、母も、敵も、師匠も、メガラの役回りも、ずいぶん入れ替わっている。
- パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々ギリシャの神々が今もいて、神と人間のあいだに生まれた子どもたちが怪物と戦う。『パーシー・ジャクソン』のどこが、神話のどの話につながっているのか。
- ゴッド・オブ・ウォースパルタの戦士クレイトスが、オリュンポスの神々に挑むゲーム『ゴッド・オブ・ウォー』。主人公の名前からして、ギリシャ神話に出てくる神の名前だった。
- ワンダーウーマンアマゾン族の王女ダイアナが、人間の世界で戦う『ワンダーウーマン』。その故郷の島の名前も、一族の名前も、ギリシャ神話にさかのぼる。
- ハデス(ゲーム)冥界の王子になって、死者の国からの脱出を何度も試みるゲーム『ハデス』。神話で、冥界から出ていこうとした者たちはどうなったのか。
- Fate/Grand Order歴史や伝説の人物が「サーヴァント」として戦う『Fate/Grand Order』。ギリシャ神話から来たメドゥーサ、ヘラクレス、アタランテは、神話ではどんな人物だったのか。
- 海のトリトン(手塚治虫)少年トリトンが、海の支配者ポセイドンの一族と戦う手塚治虫の『海のトリトン』。ところが神話では、トリトンはポセイドンの息子だった。