聖闘士星矢の元ネタのギリシャ神話
女神アテナを護る少年たちが、星座の名を背負って戦う。『聖闘士星矢』のどこが、ギリシャ神話のどの話につながっているのか。
どんな作品か
『聖闘士星矢』は車田正美の漫画で、『週刊少年ジャンプ』に1986年から1990年まで連載された。ギリシャ神話をもとに、女神アテナを守る少年たちが、地上を征服しようとする悪と戦う話である。テレビアニメは1986年10月から1989年4月まで放映された。
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アテナを護る戦士たち
物語の鍵を握るのは、闘いの女神アテナ。この女神を護る戦士たちが「聖闘士(セイント)」と呼ばれる。映画の公式ページに出てくる少女・城戸沙織は、公式の商品名では「女神アテナ(城戸沙織)」とされている。
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星座の名を背負う少年たち
主な少年たちの名は、ペガサス星矢、ドラゴン紫龍、キグナス氷河、アンドロメダ瞬、フェニックス一輝。名前の前半は星座にちなむ。星矢がまとう聖衣(クロス)は、公式の商品名で「天馬星座の聖衣 ペガサスクロス」と呼ばれている。このうちペガサスとアンドロメダはギリシャ神話に出てくる名で、フェニックスも、ギリシャの古い書物に出てくる。
近現代東映アニメーション 作品ラインナップ「聖闘士星矢 Legend of Sanctuary」近現代魂ウェブ「聖闘士聖衣神話 クリュサオルクリシュナ」
フェニックスは、ギリシャの歴史家ヘロドトスがエジプトで聞いた霊鳥の話にさかのぼる。ヘロドトスの話には火は出てこない。炎に焼かれて灰からよみがえる姿は、ずっと後の時代に出来上がったものだ。
古典期歴史
海の闘士クリュサオル
作品には、海の闘士たちも出てくる。その一人が、海将軍クリュサオルクリシュナ。神話のクリュサオルは、ペルセウスがメドゥサの首を斬ったとき、ペガソスと一緒に飛び出した者で、黄金の剣を握っていたからこの名がついた。作品の公式のフィギュアにも、黄金の槍が付いている。
この話の項目
- アテナゼウスの頭から武装して生まれた知恵と戦術の女神。トロイア戦争ではギリシャ側、とりわけディオメデスとオデュッセウスの後ろ盾となる。荒ぶる戦のアレスに対し、計略と工芸を司る戦の神として対置される。
- ペガソスメドゥサの首が斬られたとき、その体から飛び出した翼のある馬。英雄ベレロポンを乗せて怪物キマイラを倒し、のちにゼウスのもとで雷を運ぶ役を担った。蹄で岩を打って泉を湧かせたともいう。
- アンドロメダエチオピア王ケペウスとカシオペイアの娘。母が海のニンフより美しいと誇ったため、海の怪物への生贄として岩に縛られ、通りかかったペルセウスに救われて妻となった。一家そろって星座になっている。
- フェニックス500年に一度エジプトの太陽の町に現れるという霊鳥。ヘロドトスでは父の亡骸を没薬の卵に納めて運ぶ鳥で、火は出てこない。父の体から次の鳥が生まれる話(オウィディウス)、骨から虫がわく話(プリニウス)を経て、みずから炎に焼かれて灰からよみがえる姿がはっきり描かれるのは4世紀末のクラウディアヌスから。
- クリュサオルペルセウスがメドゥーサの首を斬ったとき、天馬ペガソスとともに首から飛び出した者。父は海の神ポセイドン。ヘシオドスによれば、両手に黄金の剣を握っていたのでこの名がついた。オケアノスの娘カリロエと結ばれ、ヘラクレスに討たれる三つの頭の怪物ゲリュオンの父となる。『聖闘士星矢』の海将軍「クリュサオルのクリシュナ」の名にも使われている。
- メドゥサ三姉妹の怪物ゴルゴンのうち、ただ一人死すべき者。見た者を石に変える首をペルセウスに斬られ、その首から天馬ペガソスが生まれた。首はアテナの盾に付けられた。
ほかの作品の話
- トロイトロイア戦争を描いた2004年の映画『トロイ』。ホメロスの『イリアス』と並べると、どこが同じで、どこが変えられているのか。
- オデュッセイア(ノーラン監督)2026年7月に公開された、クリストファー・ノーラン監督の映画『オデュッセイア』。ホメロスの叙事詩と並べると、何を変え、どこをふくらませたのか。
- ヘラクレス(ディズニー)ディズニーのアニメ映画『ヘラクレス』。神話の英雄の話と並べると、母も、敵も、師匠も、メガラの役回りも、ずいぶん入れ替わっている。
- パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々ギリシャの神々が今もいて、神と人間のあいだに生まれた子どもたちが怪物と戦う。『パーシー・ジャクソン』のどこが、神話のどの話につながっているのか。
- ゴッド・オブ・ウォースパルタの戦士クレイトスが、オリュンポスの神々に挑むゲーム『ゴッド・オブ・ウォー』。主人公の名前からして、ギリシャ神話に出てくる神の名前だった。
- ワンダーウーマンアマゾン族の王女ダイアナが、人間の世界で戦う『ワンダーウーマン』。その故郷の島の名前も、一族の名前も、ギリシャ神話にさかのぼる。
- ハデス(ゲーム)冥界の王子になって、死者の国からの脱出を何度も試みるゲーム『ハデス』。神話で、冥界から出ていこうとした者たちはどうなったのか。
- タイタンの戦い英雄ペルセウスが、メドゥサの首で海の怪物クラーケンに立ち向かう映画『タイタンの戦い』。神話のペルセウスの話と、どこが重なり、どこが違うのか。
- Fate/Grand Order歴史や伝説の人物が「サーヴァント」として戦う『Fate/Grand Order』。ギリシャ神話から来たメドゥーサ、ヘラクレス、アタランテは、神話ではどんな人物だったのか。
- 海のトリトン(手塚治虫)少年トリトンが、海の支配者ポセイドンの一族と戦う手塚治虫の『海のトリトン』。ところが神話では、トリトンはポセイドンの息子だった。