作品の元になった神話

手塚治虫『海のトリトン』の元ネタのギリシャ神話

少年トリトンが、海の支配者ポセイドンの一族と戦う手塚治虫の『海のトリトン』。ところが神話では、トリトンはポセイドンの息子だった。

どんな作品か

『海のトリトン』は手塚治虫の漫画で、1969年から1971年まで新聞に連載された。連載のときの題は「青いトリトン」で、テレビアニメになったときに今の題に改められた。トリトン族のただ一人の生き残りの少年トリトンが、海の支配者ポセイドンの一族と戦う話である。

近現代手塚治虫 TEZUKA OSAMU OFFICIAL「海のトリトン」

神話のトリトンはポセイドンの子

作品では、トリトンとポセイドンは敵どうし。ポセイドンの一族が、トリトン族を皆殺しにしたことになっている。

近現代手塚治虫 TEZUKA OSAMU OFFICIAL「海のトリトン」

神話では、二人は親子である。ヘシオドスの『神統記』によれば、海の女神アンピトリテが、大地を揺らす神ポセイドンとのあいだにトリトンを産んだ。トリトンは海の深みを治め、父と母とともに海の底の黄金の館に住んでいるという。

古拙期神統記

ほら貝を吹く海の神

ローマの詩人オウィディウスの語る大洪水の場面では、海の神が水を引かせるとき、トリトンを呼んでほら貝を吹かせる。その音を聞いて、陸を覆っていた海も川も、もとの岸へ引き返していった。

ローマ期変身物語

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