『パーシー・ジャクソン』の元ネタのギリシャ神話
ギリシャの神々が今もいて、神と人間のあいだに生まれた子どもたちが怪物と戦う。『パーシー・ジャクソン』のどこが、神話のどの話につながっているのか。
どんな作品か
『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』は、リック・リオーダンの小説のシリーズ。日本語訳は2006年に1巻目『盗まれた雷撃』が出た。12歳の夏休み、少年パーシーは、自分がギリシャ神話の神と人間の母親とのあいだに生まれた「ハーフ」だと告げられ、ミノタウロスなどの怪物に襲われる。
ポセイドンの息子
パーシーの父は、海の神ポセイドン。作者の公式サイトも、彼を「ポセイドンの息子」と紹介している。
ハーフ、つまり半神
盗まれた雷
1巻目でパーシーは、神々の戦争をとめるため、盗まれたゼウスの武器を探す旅に出る。作者の公式サイトによれば、盗まれたのはゼウスの雷「マスターボルト」で、パーシーはサテュロスとアテナの娘に助けられながら、その泥棒を捕まえるためにアメリカを横断する。
近現代『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 盗まれた雷撃』(ほるぷ出版・静山社の書籍紹介)近現代リック・リオーダン公式サイト「Percy Jackson and the Olympians」
神話でゼウスに雷と稲妻を作って贈ったのは、一つ目の巨人キュクロプスの三兄弟だった。父の世代の神々との戦いで、ゼウスはこの雷を振るって勝った。
古拙期神統記
ティタンとの戦争
この話の項目
- ポセイドン海を支配する神で、ゼウス・ハデスの兄弟。地震と馬をも司る。『イリアス』ではギリシャ側に立つが、『オデュッセイア』では息子ポリュペモスを潰されたことを恨んでオデュッセウスの帰還を十年阻み続ける、物語の主たる敵対者。
- ゼウスオリュンポスの神々の王。クロノスとレアの末子で、父を倒して天を得た。多くの女神・人間の女性との間に子をもうけ、神々と英雄の多くの父になった。トロイア戦争では人間の側に肩入れしつつ、最後は運命の側に立つ。
- クロノスティタン神族の末子で、父ウラノスを倒して世界を支配した神。自分も子に倒されると知って生まれる子を呑み込み続けたが、末子ゼウスに同じ運命をたどらされる。一方で彼が治めた時代は「黄金の種族」の時代として理想化される。
- ティタン族天空の神ウラノスと大地の女神ガイアから生まれた12柱の神々。末子クロノスが父の王座を奪って世界を治めたが、クロノスの子ゼウスとの10年の戦いに敗れてタルタロスに閉じ込められた。太陽・月・曙、川と海の娘たち、アトラスやプロメテウス、そしてオリュンポスの神々は、みなティタンの子孫にあたる。
- ティタノマキアクロノス率いるティタン神族と、ゼウス率いるオリュンポスの神々が世界の支配権を争った十年に及ぶ戦い。ゼウスは地下に閉じ込められていた百手の巨人たちを解き放って味方につけ、雷を武器に勝利し、敗れたティタンたちをタルタロスに閉じ込めた。ギリシャ神話で「今の神々の時代」が始まる転換点にあたる。
- ミノタウロスクレタ王ミノスの妃パシパエが牡牛と交わって生んだ、牛の頭と人の体をもつ怪物。ダイダロスの造った迷宮ラビュリントスに閉じ込められ、アテナイから送られる若者たちを食らったが、テセウスに倒された。
- ポリュペモスポセイドンの子である一つ目の巨人。洞窟に閉じ込めたオデュッセウスの仲間を食らうが、酒に酔わされて目を焼かれる。彼の祈りがポセイドンの怒りを呼び、オデュッセウスの漂流を長引かせた。
- テセウスアテナイの王で、アテナイ人にとっての国民的英雄。クレタの迷宮でミノタウロスを倒し、王女アリアドネの糸で脱出した。ヘラクレスとともにアマゾンと戦い、少女ヘレネをさらい、冥界から戻れなくなってヘラクレスに救われるなど、他の英雄譚と何度も交差する。
- キュクロプス族一つ目の巨人たち。ところが、ヘシオドスとホメロスで中身がまるで違う。ヘシオドスではゼウスに雷を作った三柱の鍛冶の神、ホメロスでは法も畑も持たずに洞窟で暮らす乱暴な牧人の一族として描かれる。
ほかの作品の話
- 聖闘士星矢女神アテナを護る少年たちが、星座の名を背負って戦う。『聖闘士星矢』のどこが、ギリシャ神話のどの話につながっているのか。
- トロイトロイア戦争を描いた2004年の映画『トロイ』。ホメロスの『イリアス』と並べると、どこが同じで、どこが変えられているのか。
- オデュッセイア(ノーラン監督)2026年7月に公開された、クリストファー・ノーラン監督の映画『オデュッセイア』。ホメロスの叙事詩と並べると、何を変え、どこをふくらませたのか。
- ヘラクレス(ディズニー)ディズニーのアニメ映画『ヘラクレス』。神話の英雄の話と並べると、母も、敵も、師匠も、メガラの役回りも、ずいぶん入れ替わっている。
- ゴッド・オブ・ウォースパルタの戦士クレイトスが、オリュンポスの神々に挑むゲーム『ゴッド・オブ・ウォー』。主人公の名前からして、ギリシャ神話に出てくる神の名前だった。
- ワンダーウーマンアマゾン族の王女ダイアナが、人間の世界で戦う『ワンダーウーマン』。その故郷の島の名前も、一族の名前も、ギリシャ神話にさかのぼる。
- ハデス(ゲーム)冥界の王子になって、死者の国からの脱出を何度も試みるゲーム『ハデス』。神話で、冥界から出ていこうとした者たちはどうなったのか。
- タイタンの戦い英雄ペルセウスが、メドゥサの首で海の怪物クラーケンに立ち向かう映画『タイタンの戦い』。神話のペルセウスの話と、どこが重なり、どこが違うのか。
- Fate/Grand Order歴史や伝説の人物が「サーヴァント」として戦う『Fate/Grand Order』。ギリシャ神話から来たメドゥーサ、ヘラクレス、アタランテは、神話ではどんな人物だったのか。
- 海のトリトン(手塚治虫)少年トリトンが、海の支配者ポセイドンの一族と戦う手塚治虫の『海のトリトン』。ところが神話では、トリトンはポセイドンの息子だった。