出典 · 古拙期(ヘシオドス・叙事詩圏)
神統記
ヘシオドス · 前700年頃 · Theogony
日本語訳: 廣川洋一訳、岩波文庫、1984 · 原文・参考リンク ↗
この出典が語っていること
アクタイオン
- アリスタイオスと、カドモスの娘アウトノエの子。つまりカドモスの孫で、ディオニュソスやペンテウスとはいとこにあたる。テーバイ王家の不幸の最初の一つとして語られる。 (3.4.4 /『神統記』977(アウトノエとアリスタイオス)/ Met. 3.138-142)
アイアイエ島
- 後代にはイタリア西岸のキルケーオ岬(モンテ・チルチェオ)と同一視されるようになるが、ホメロスは場所を特定していない。イタリアへの移し替えはすでに『神統記』末尾にきざしがあり(キルケがオデュッセウスに産んだ子らがテュルセノイ人を治める)、ストラボンの頃にはキルケーオに「キルケの神殿」とオデュッセウスの杯と称する品があった。誰が最初に同一視したかは辿れない。 (ストラボン『地理誌』5.3.6(アンティウムの先の島のような山キルケーオン。小さな町とキルケの神殿、アテナの祭壇があり、オデュッセウスのものという杯を見せる)を本文で確認。『神統記』1011-1016。初出の特定は不可能と判断し、その旨を本文に書いた)
アイエテス
- 『神統記』では、オケアノスの娘ペルセイスが太陽神ヘリオスにキルケと王アイエテスを産む。アイエテスはオケアノスの娘イデュイアを神々の意志で妻とし、メデイアが生まれる。 (956-962)
- 関係: child → helios (『神統記』956-957(母ペルセイス)、『オデュッセイア』10.138-139(母ペルセ)、アポロドーロス1.9.1)
- 関係: sibling → circe (『神統記』956-957、『オデュッセイア』10.137)
- 関係: parent → medea (『神統記』958-962(母はオケアノスの娘イデュイア)、アポロドーロス1.9.23)
アイギス
- 関係: owned_by → zeus (『イリアス』15.308-310、17.593。「アイギスを持つ」ゼウス(『神統記』11 など))
アイテル
- 『神統記』では、カオスから闇エレボスと黒い夜ニュクスが生まれ、そのニュクスがエレボスと交わってアイテル(上層の輝く大気)とヘメラ(昼)を産む。暗いものから明るいものが生まれる順になっている。 (123-125)
- 関係: child → nyx (『神統記』124-125)
- 関係: child → erebus (『神統記』124-125 ニュクスがエレボスと交わって産む)
- 関係: grandchild → chaos (『神統記』123-125 カオスからエレボスとニュクスが生まれ、その子がアイテルとヘメラ)
- 関係: sibling → hemera (『神統記』124)
アガウエ
- ヘシオドスでの姿: 『神統記』は、ハルモニアがカドモスに産んだ子として、イノ、セメレ、「頬の美しい」アガウエ、アウトノエ、ポリュドロスを挙げる。ホメロスにはカドモスの娘としてのアガウエは出てこない。同じ名の海のニンフ(ネレイス)は、ヘシオドスと『イリアス』の両方に名がある。 (『神統記』975-978, 247 /『イリアス』18.42)
- 関係: child → cadmus (『神統記』975-976 / 3.4.2 /『バッコスの信女』1216-1300)
- 関係: child → harmonia (『神統記』975-976 / 3.4.2)
- 関係: sibling → semele (『神統記』976 / 3.4.2)
- 関係: sibling → ino-leucothea (『神統記』976 / 3.4.2 /『バッコスの信女』1129-1130 ペンテウス殺しに加わる)
アルクメネ
- 関係: parent → herakles (『神統記』943-944、『オデュッセイア』11.266-268、『イリアス』19.98-99)
- 関係: lover → zeus (『神統記』943-944、『オデュッセイア』11.268、アポロドーロス 2.4.8)
アンブロシアとネクタル
- ヘシオドスによれば、ステュクスの水にかけて偽りの誓いをした神は、まる1年息もせずに横たわり、アンブロシアとネクタルに近づくこともできず、さらに9年間神々の集まりから締め出される。一方、ゼウスは戦いの前に百腕の巨人たちにネクタルとアンブロシアを与えて気力を取り戻させた。 (793-804、639-642)
アンピトリテ
- 『神統記』では、ネレウスとドリスの五十人の娘の一人。一覧の中でもう一度名が出て、足首の美しいアンピトリテは、姉妹のキュモドケ、キュマトレゲとともに霧の海の波と風を鎮める、とされる。 (240-254)
- 『神統記』では、アンピトリテと大地を揺るがすポセイドンのあいだに、力強いトリトンが生まれ、両親とともに海の底の黄金の館に住む。 (930-933)
- 関係: spouse → poseidon (『神統記』930-933、アポロドロス 1.4.5)
- 関係: parent → triton (『神統記』930-933、アポロドロス 1.4.5)
- 関係: child → nereus (『神統記』240-243 ネレウスとドリスの娘の一人)
- 関係: member_of → nereids (『神統記』243, 254 ネレイスの一人)
- 関係: sibling → thetis (『神統記』243-244 同じネレウスの娘として続けて名が挙がる)
アナンケ
- ヘシオドス『神統記』の神々の系譜にアナンケは出てこない。言葉としては「強い必然のもとで」アトラスが天を支える(517)、プロメテウスが縛られる(615)のように、逃れられない強制を表す普通の語として使われる。『イリアス』『オデュッセイア』でも同様。 (『神統記』517、615。ホメロスと『神統記』のギリシャ語本文で ἀνάγκη を検索し、系譜・神としての登場がないことを確認(2026年9月))
アプロディテ
- クロノスが切り落とした父ウラノスの性器が海に落ち、その周りに立った白い泡から生まれた。キュテラ島に近づき、キュプロス島に上陸した。ゼウスより古い世代の神になる。 (188-206)
- ヘシオドスは名を ἀφρός(泡)から説明する。語源辞典によれば、古代人はこの名を「泡」から説明したが、むしろフェニキア語など東方の言葉から来た名かもしれず、ビークスもキプロスのフェニキア語から入った可能性を挙げる。 (195-198。語源の学説については辞典での確認が必要)
- 『神統記』200 はアプロディテを φιλομμηδής「陰部を愛する者」と呼び、生まれ方に引っかけて説明する。ホメロスの定型句 φιλομμειδής「笑みを愛する者」との一字違いを利用した言葉遊び。 (『神統記』200。『イリアス』3.424, 4.10 などが φιλομμειδής)
- 関係: child → uranus (188-206。海に投げられた性器の泡から生まれた。ゼウスより一世代前の存在になる)
アポロン
- アポロンを太陽神とするのは後代の同一視で、ホメロス・ヘシオドスでは太陽はヘリオスという別の神である。確実にたどれる最古の同一視はエウリピデス『パエトン』の断片で、クリュメネーがヘリオスに「人が正しくもアポロンと呼ぶあなた」と呼びかける(名を「滅ぼす者」と解く語呂合わせ)。 (『オデュッセイア』12.260-402 の太陽神はヘリオス。『神統記』371-374 もヘリオスをヒュペリオンの子とする。エウリピデス『パエトン』断片781(Nauck²)。なお偽エラトステネス『星座誌』24 は、アイスキュロス(『バッサライ』)に拠りつつオルペウスがヘリオスをアポロンと呼んだと伝える)
- 関係: child → zeus (918-920)
- 関係: child → leto (『神統記』918-920。『アポロン讃歌』3.115-125 でデロス島に生まれる)
- 関係: sibling → artemis (918-920。双子とされる)
アレス
- ゼウスとヘラの子。ヘシオドスは正妻ヘラの子としてヘベ、アレス、エイレイテュイアを挙げる。 (921-923)
- アプロディテはアレスに、戦場で隊列を乱すポボス(恐慌)とデイモス(恐怖)、およびカドモスの妻となるハルモニアを産んだ。 (933-937)
- 関係: child → zeus (921-923)
- 関係: child → hera (921-923)
アリアドネ
- ヘシオドスでは、ディオニュソスがアリアドネを妻にし、ゼウスが彼女を不死不老にした。 (947-949)
- 関係: child → minos (『オデュッセイア』11.322、『神統記』948、アポロドーロス 3.1.2)
- 関係: spouse → dionysus (『神統記』947-949、アポロドーロス摘要 1.9、『変身物語』8.176-179)
アルテミス
- ゼウスとレトの娘で、アポロンの双子。アポロドーロスは、レトがデロスでまずアルテミスを産み、その助けを得てアポロンを産んだとする。『アポロン讃歌』は、アルテミスはオルテュギアで、アポロンはデロスで生まれたと歌う。 (『神統記』918-920。アポロドーロス 1.4.1(産んだ順と場所))
- 月の女神としてのアルテミスは後代の同一視で、ホメロス・ヘシオドスの月はセレネという別の神である。同一視をうかがわせる最も古い例はアイスキュロスの断片で、月を「レト(=アルテミスの母)の娘」と呼ぶ。兄ヘリオス=アポロンの同一視と対になって進んだ。 (『神統記』371-374 では月はセレネ。アイスキュロス断片170(Radt/Nauck/Sommerstein)が月を「レトの娘の星のごとき目」と呼ぶ件は Gantz 34-35頁の整理による。OCD『Selene』の項はアルテミスとの同一視を post-classical(古典期以後)とする)
- 関係: child → zeus (918-920)
- 関係: child → leto (918-920)
- 関係: sibling → apollo (918-920)
アテナ
- ゼウスが妻メティスを身ごもったまま呑み込んだため、後にゼウス自身の頭から生まれた。ヘシオドスは「父に等しい力と思慮を持つ」と書く。 (886-900(メティス)、924-926(頭からの誕生))
- ゼウスがメティスを呑み込んだのは、ガイアとウラノスの忠告による。メティスからはまず父に劣らぬ力と思慮をもつ娘が、次に神々と人間の王となる息子が生まれる定めだった。 (『神統記』888-900)
- 関係: child → zeus (924-926。ゼウスが自分の頭から産んだ。母はゼウスに呑まれたメティス(886-900))
アトランティス
- プラトンの王アトラスはポセイドンとクレイトの子で、ヘシオドスが語る、イアペトスの子で天を支える巨人アトラスとは別人である。大西洋(Atlantic)の名を、北アフリカのアトラス山にちなむ「アトラスの海」とする説明もある。 (『クリティアス』114a、『神統記』507-520、ヘロドトス1.202.4、etymonline「Atlantic」)
アトラス
- 『神統記』では、イアペトスがオケアノスの娘クリュメネを娶り、アトラス、メノイティオス、プロメテウス、エピメテウスの四兄弟が生まれる。 (507-514)
- アトラスは大地の果て、ヘスペリデスの前に立ち、頭と疲れを知らない腕で広い天を支える。夜の館の前、夜と昼がすれ違う敷居のそばにいるとも書かれる。 (517-520, 746-750)
- アトラスの娘たちは系譜の要所に顔を出す。プレイアデスの一人マイアはゼウスとのあいだにヘルメスを産み、同じくエレクトラはダルダノスを産んで、トロイア王家の祖となる。ヘシオドスも「アトラスの娘マイア」をヘルメスの母とする。 (アポロドロス 3.10.1-2, 3.12.1。『神統記』938)
- 関係: child → iapetus (507-509 母はオケアノスの娘クリュメネ)
- 関係: sibling → prometheus (509-511)
- 関係: sibling → epimetheus (511-514)
- 関係: enemy → zeus (517-520 天を支える役目は「思慮深いゼウスが割り当てた」運命とされる)
- 関係: companion → hesperides (517-518 声の澄んだヘスペリデスの前、大地の果てに立って天を支える)
- 関係: participated_in → titanomachy (天を支える罰はティタン戦争後の処分の文脈で語られるが、アトラスが戦ったことを『神統記』は明記しない)
ベレロポン
- 関係: owner → pegasus (『神統記』325、『オリュンピア祝勝歌』13.63-90、アポロドーロス 2.3.2)
- 関係: killed → chimera (『イリアス』6.179-183、『神統記』325、アポロドーロス 2.3.2(空の上から射落とす))
ボイオティア
- 『神統記』はヘリコンの女神ムーサたちから始まり、女神たちは聖なるヘリコンのふもとで羊を飼っていたヘシオドスに歌を教えた。女神たちは「わたしたちは本当らしい嘘を多く語れるが、望めば真実も語れる」と告げた。 (1-34(告げた言葉は 26-28))
- 関係: visited_by → muses (1-34 ヘリコンの女神たち)
ボレアス
- ヘシオドスでは、エオス(曙)がアストライオスとの間に産んだ風の一柱で、ゼピュロス(西風)、ノトス(南風)と兄弟。 (378-380)
- 関係: child → eos (378-380。父はアストライオス)
カドモス
- ホメロスではカドモスは「イノの父」として名前が出るだけ。ヘシオドス『神統記』は、アプロディテの娘ハルモニアがカドモスとの間にイノ、セメレ、アガウエ、アウトノエ、ポリュドロスを生んだと系譜を記す。竜退治やテーバイ建国の物語は、後代の資料でまとまって読める。 (『オデュッセイア』5.333-335 /『神統記』975-978)
- 関係: parent → ino-leucothea (『神統記』975-978 /『オデュッセイア』5.333「カドモスの娘イノ」/ 3.4.2)
- 関係: grandparent → actaeon (アポロドーロス 3.4.4、『神統記』977 娘アウトノエの子)
カリオペ
- 『神統記』は九柱の名を並べたあと、最後のカリオペを「すべての中で最も優れている」と言い、その理由として、敬うべき王たちに付き添うからだと続ける。ムーサが生まれたときに目をかけた王には、舌に甘い露が注がれ、口から穏やかな言葉が流れ、争いを巧みに鎮める。ここでのカリオペは、詩よりも王の弁舌と結びつけられている。 (75-93)
- 関係: member_of → muses (『神統記』75-79 九柱の一人)
- 関係: child → zeus (『神統記』53-62, 76-79, 915-917)
- 関係: child → mnemosyne (『神統記』53-62, 915-917)
カリュプソ
- ホメロスでは「悪意を抱くアトラスの娘」とされる。ヘシオドス『神統記』ではオケアノスの娘たちの一人として名が挙がっており、系譜が一致しない。 (『オデュッセイア』1.52、7.245。『神統記』359(オケアニスの一覧))
- 異伝: ホメロスは二人の間の子に触れないが、ヘシオドス『神統記』ではナウシトオスとナウシノオスを産んだとされ、アポロドーロスの摘要ではラティノスを産んだとされる。 (『神統記』1017-1018、アポロドーロス Epit. 7.24)
ケライノ
- ヘシオドスがハルピュイアの名として挙げるのはアエロとオキュペテの二人だけで、ケライノの名はない。ハルピュイアの一人としてのケライノは、ウェルギリウスとヒュギヌスに出てくる。 (『神統記』267。『アエネイス』3.211。ヒュギヌス序文)
ケパロス
- ヘシオドス『神統記』は、エオスがケパロスとの間に強いパエトンを産み、その子がまだ幼いうちにアプロディテがさらって自分の社の番人にした、と歌う。太陽神ヘリオスの子で天から落ちたパエトンとは同名の別人。 (986-991)
- 関係: lover → eos (『神統記』986-987 エオスはケパロスとの間にパエトンを産む。アポロドーロス 3.14.3)
ケルベロス
- ヘシオドスは名を挙げ、「50の頭をもち、青銅の声で吠える、生肉を食う」ハデスの犬とする。 (310-312)
- 『神統記』の冥界描写では、館の前の番犬は入る者には耳と尾を振ってすり寄るが、出ようとする者は捕らえて食う。冥界が「入れるが出られない」場所であることの象徴。 (769-773)
- 関係: child → typhon (306-312 テュポン(テュパオン)とエキドナの子)
- 関係: servant → hades (『神統記』311「ハデスの犬」、『イリアス』8.368)
- 関係: visited → underworld (767-774 冥界の館の前で番をする(ここでは名を出さない))
カオス
- 『神統記』は世界の始まりを「まず最初にカオスが生じた」と語る。次に大地ガイア、奥底のタルタロス、そしてエロスが現れる。カオスは何かから生まれたのではなく「生じた」とだけ書かれ、親はいない。 (116-122)
- カオスからはエレボス(闇)とニュクス(夜)が生まれ、ニュクスがエレボスと交わってアイテル(天上の輝く大気)とヘメラ(昼)を産む。光は闇の子として生まれる、という順序になっている。 (123-125)
- ヘシオドスのカオスは「空隙・深淵」で、後の場面でも場所として扱われる。ティタン戦争ではゼウスの雷の熱が「カオスをとらえ」(700)、敗れたティタンたちは「暗いカオスの向こう」に住む(814)。語源的にも「ぽっかり口を開けたもの」を意味する。 (『神統記』700, 814。語源は etymonline「chaos」)
- 関係: parent → erebus (123 カオスからエレボスと黒い夜が生まれた)
- 関係: parent → nyx (123)
カリス
- 『神統記』で、オケアノスの娘エウリュノメはゼウスに三人のカリスを産む。アグライア(輝き)、エウプロシュネ(喜び)、愛らしいタレイア(花盛り)で、そのまなざしからは手足をなえさせる愛が流れる。 (907-911)
- ヘパイストスの妻は伝えによって違う。『イリアス』ではテティスを迎えるのは「輝くヴェールのカリス」でヘパイストスの妻とされ、『神統記』では三人のうち末のアグライアが妻になる。『オデュッセイア』ではヘパイストスの妻はアプロディテである。 (『イリアス』18.382-383。『神統記』945-946。『オデュッセイア』8.266-270)
- 三人の名アグライア・エウプロシュネ・タレイアは、それぞれ「輝き」「喜び」「花盛り」を意味する。 (909(名の列挙)。語義は普通名詞 ἀγλαΐα・εὐφροσύνη・θάλεια による)
- 関係: child → zeus (907-911 母はオケアノスの娘エウリュノメ)
- 関係: spouse → hephaestus (『神統記』945-946 末娘アグライアがヘパイストスの妻。『イリアス』18.382-383 では名は「カリス」)
- 関係: companion → muses (64-65 ムーサたちの住まいのそばにカリスたちとヒメロス(欲望)が住む)
キマイラ
- ヘシオドスでは、ヒュドラの記述のすぐ後に「彼女がキマイラを生んだ」と続くため、母がエキドナかヒュドラか、文の上では決め切れない。頭は三つ(獅子・山羊・蛇)とはっきり書かれる。 (319-324)
- 関係: killed_by → bellerophon (『イリアス』6.179-183、『神統記』325、アポロドーロス 2.3.2)
- 関係: killed_by → pegasus (325 ペガソスとベレロポンが討ち取った)
クリュサオル
- ヘシオドス『神統記』では、ゴルゴン三姉妹のうちただ一人死すべき身のメドゥーサと、「黒髪の神」ポセイドンが春の花の咲く草原で交わる。ペルセウスがメドゥーサの首を斬ると、偉大なクリュサオルと馬のペガソスが飛び出した。ペガソスはオケアノスの泉(ペーガイ)のそばで生まれたから、クリュサオルは両手に黄金の剣(アオル)を握っていたから、その名がついたと説明される。 (274-283)
- クリュサオルはオケアノスの娘カリロエと結ばれ、三つの頭のゲリュオン(ゲリュオネウス)をもうける。ゲリュオンは人間のうちで最も強く、海に囲まれたエリュテイアで、牛のためにヘラクレスに殺された。ヘラクレスは牛番エウリュティオンと犬オルトスも殺して、牛をティリュンスへ追っていった。 (287-294、979-983)
- 漫画・アニメ『聖闘士星矢』の海闘士の一人に、海将軍「クリュサオルのクリシュナ」がいる。バンダイのフィギュア商品「聖闘士聖衣神話 クリュサオルクリシュナ」(2007年発売)の紹介文は、付属の「邪悪を刺し貫く黄金の槍」に触れる。神話のクリュサオルは、槍ではなく黄金の剣を握って生まれる。 (魂ウェブ「聖闘士聖衣神話 クリュサオルクリシュナ」(2026年9月閲覧)、『神統記』283)
- 関係: child → medusa (『神統記』280-281 首を斬られたメドゥーサから生まれる。アポロドーロス2.4.2、ヒュギヌス151)
- 関係: child → poseidon (『神統記』278-279(「黒髪の神」)、アポロドーロス2.4.2、ヒュギヌス151)
- 関係: sibling → pegasus (『神統記』280-283、アポロドーロス2.4.2、『変身物語』4.785-786(名は出さず「その兄弟」))
- 関係: child_in_law → oceanus (287-288、979-981 オケアノスの娘カリロエと結ばれる)
キルケ
- 異伝: ヘシオドス『神統記』では、キルケがオデュッセウスに産んだ子はアグリオスとラティノス、さらにテレゴノスとされ、テュレニア人(エトルリア人)を治めたと語られる。イタリアの民族の祖に結びつける系譜。 (1011-1016)
クレイオ
- 『神統記』で九柱の名が並ぶとき、最初に挙がるのがクレイオ。ヘシオドスは名を並べるだけで、それぞれの担当分野は語らない。 (75-79)
- 関係: member_of → muses (『神統記』77 九柱の一人)
- 関係: child → zeus (『神統記』76-77, 915-917)
- 関係: child → mnemosyne (『神統記』915-917)
クリュティエ
- 関係: child → oceanus (『神統記』346-352 オケアノスとテテュスの娘たちの列挙に「クリュティエ」の名がある。オウィディウスのクリュティエと同一かは書かれておらず、未確認)
コイオス
- 『神統記』では、ガイアとウラノスの子であるティタンの一柱。名の挙がる順ではオケアノスの次に来る。 (133-134)
- 姉妹のポイベと結ばれ、レトとアステリアの父になる。レトはゼウスとのあいだにアポロンとアルテミスを産み、アステリアはヘカテの母になる。ゼウスの子のうち二柱と、冥界に通じる女神ヘカテが、どちらもコイオスの孫にあたる。 (404-411, 918-920)
- 関係: child → gaia (『神統記』133-134)
- 関係: child → uranus (『神統記』133-134)
- 関係: spouse → phoebe (『神統記』404-405、アポロドロス 1.2.2)
- 関係: parent → leto (『神統記』404-408、アポロドロス 1.2.2)
- 関係: grandparent → apollo (『神統記』404-408, 918-920)
- 関係: grandparent → artemis (『神統記』404-408, 918-920)
- 関係: grandparent → hecate (『神統記』409-411 娘アステリアの子)
- 関係: sibling → kronos (『神統記』132-138)
- 関係: sibling → crius (『神統記』134 同じ行に名が並ぶ)
- 関係: sibling → hyperion (『神統記』134)
- 関係: sibling → iapetus (『神統記』134)
クレタ島
- ヘシオドスでは、子を呑み込むクロノスから末子ゼウスを守るため、レアはクレタのリュクトスへ送られ、ゼウスは大地(ガイア)に引き取られて島の洞窟に隠された。 (477-484)
- 関係: visited_by → zeus (477-484 レアが末子ゼウスを生むためクレタのリュクトスに送られ、ガイアが引き取って育て、アイガイオン山の洞窟に隠した)
クレイオス
- 『神統記』では、ガイアとウラノスの子であるティタンの一柱。 (133-134)
- 海の神ポントスの娘エウリュビエと結ばれ、大いなるアストライオス、パラス、知恵の抜きんでたペルセスの三柱をもうける。ほかのティタンの多くが兄弟姉妹どうしで結ばれるのに対し、クレイオスは海の系統から妻を迎えている。 (375-377(エウリュビエの親は 237-239))
- 孫の代がにぎやか。アストライオスと曙エオスからは西風ゼピュロス・北風ボレアス・南風ノトスと明けの明星と星々が、パラスとステュクスからは勝利の女神ニケ、競争心ゼロス、力クラトス、暴力ビアが、ペルセスとアステリアからは女神ヘカテが生まれる。 (378-385, 409-411)
- ヘカテは、父ペルセスの側ではクレイオスの孫、母アステリアの側ではコイオスとポイベの孫にあたる。ティタンの二つの家がヘカテで合流している。 (375-377, 404-411)
- 関係: child → gaia (『神統記』133-134)
- 関係: child → uranus (『神統記』133-134)
- 関係: child_in_law → pontus (妻エウリュビエはポントスとガイアの娘。『神統記』237-239, 375。アポロドロス 1.2.2 も「ポントスの娘エウリュビエ」と書く)
- 関係: parent_in_law → eos (『神統記』378-382 息子アストライオスの妻がエオスで、風と星々を産む)
- 関係: grandparent → nike (『神統記』383-384 息子パラスがステュクスとのあいだにニケをもうける)
- 関係: grandparent → hecate (『神統記』409-411 息子ペルセスがアステリアとのあいだにヘカテをもうける)
- 関係: parent_in_law → styx (『神統記』383 息子パラスの妻)
- 関係: sibling → kronos (『神統記』132-138)
- 関係: sibling → coeus (『神統記』134)
- 関係: sibling → hyperion (『神統記』134)
キュクロプス族
- ヘシオドスの『神統記』では、キュクロプスは大地ガイアと天ウラノスの子で、ブロンテス、ステロペス、アルゲスの三柱。ゼウスに雷を作って与えた鍛冶の神々で、額の真ん中に丸い目が一つだけある。 (139-146)
- 名前の意味は、ヘシオドス自身が説明している。丸い目が一つ額にあるので「キュクロプス(丸い目)」と呼ばれた。 (144-145)
- ゼウスは、父ウラノスが縛めていた兄弟たちを解き放ち、彼らは恩を忘れずゼウスに雷と稲妻を与えた。ゼウスはそれを頼みに神々と人間を治める。 (501-506)
- 関係: child → gaia (『神統記』139-146(ヘシオドスのキュクロプス))
- 関係: child → uranus (『神統記』139-146(ヘシオドスのキュクロプス))
- 関係: gave_gift → zeus (『神統記』141 雷と雷霆を作って与えた)
キュプロス島
- 泡から生まれた乙女は、まず聖なるキュテラのそばに来て、それから海に囲まれたキュプロスに上がった。泡から生まれたのでアプロディテ、キュテラに着いたのでキュテレイア、波に洗われるキュプロスで生まれたのでキュプロゲネスと呼ばれる、と『神統記』は名の由来を並べる。 (188-200)
- 関係: owned_by → aphrodite (『神統記』193-199、『オデュッセイア』8.362-363)
デメテル
- 関係: child → kronos (453-454)
- 関係: child → rhea (453-454)
- 関係: sibling → zeus (453-457)
- 関係: lover → zeus (912-914。ペルセポネの父はゼウス)
- 関係: parent → persephone (『神統記』912-914。『デメテル讃歌』全編)
- 関係: sibling → poseidon (453-456)
- 関係: sibling → hera (453-454)
- 関係: sibling → hestia (453-454)
ディオネ
- 『神統記』では、ディオネはオケアノスとテテュスの娘たちの名の列挙の中に一度だけ出てくる。同じ『神統記』でアプロディテはウラノスの切られた性器の泡から生まれるので、ディオネは母とされていない。 (353(アプロディテの誕生は 188-206))
- 関係: child → oceanus (353 オケアニスの一人)
ディオニュソス
- ヘシオドスは「人間の女が不死の子を産み、今はその女自身も不死となった」と、人間の母から生まれた神であることを特記する。 (940-942)
- ヘシオドスでは、ディオニュソスはミノスの娘アリアドネを妻とし、ゼウスが彼女を不死で不老の身にした。 (947-949)
- 関係: child → zeus (940-942。カドモスの娘セメレとの子)
エキドナ
- 『神統記』では、半分は目のきらめく頬の美しいニンフ、半分は大地の奥深くに棲むまだらの恐ろしい大蛇で、生肉を食らう。神々からも人間からも遠く離れた岩の下の洞窟に住み、アリマの地下に閉じ込められている。不死で年をとらないニンフだともいう。 (295-305)
- 『神統記』の「彼女はもう一つの怪物を産んだ」の「彼女」が誰かは、本文だけでは決まらない。この段落はポルキュスとケトの子らを語る流れの中にあり(最後に「これがケトとポルキュスの一族」と締めくくる)、その読み方ならエキドナはケトの娘で、グライアイやゴルゴンの姉妹になる。 (270-336(とくに 295, 333-336))
- 一方、この句の直前に出てくる女は、クリュサオルと交わってゲリュオンを産んだオケアノスの娘カッリロエ。文の上ではエキドナをカッリロエの娘と読むこともできる。 (287-297)
- 『神統記』では、テュポンと交わって、ゲリュオンの番犬オルトス、五十の頭を持つ冥界の番犬ケルベロス、レルネのヒュドラを産む。そのあとの「彼女」が火を吐くキマイラを、さらにオルトスと交わってスピンクスとネメアの獅子を産むが、この「彼女」がエキドナなのか、その子の怪物なのかも本文では読み分けにくい。 (306-332)
- 関係: spouse → typhon (『神統記』306-308、アポロドロス 2.3.1, 2.5.10-11, 3.5.8)
- 関係: parent → cerberus (『神統記』310-312)
- 関係: parent → hydra (『神統記』313-318)
- 関係: parent → chimera (アポロドロス 2.3.1「ヘシオドスの言うとおりテュポンがエキドナに産ませた」。『神統記』319 の「彼女」はエキドナともヒュドラとも読める)
エイレイテュイア
- 『神統記』では、ゼウスとヘラの子として、ヘベ、アレスとともに生まれる。 (921-923)
- 関係: child → zeus (『神統記』921-923、アポロドロス 1.3.1)
- 関係: child → hera (『神統記』921-923、『イリアス』11.270-271「ヘラの娘たち」、アポロドロス 1.3.1)
- 関係: sibling → hebe (『神統記』922)
- 関係: sibling → ares (『神統記』922)
エオス
- 『神統記』で、ヒュペリオンの妻テイアがヘリオス・セレネとともに「地上のすべてと天の神々を照らす」エオスを産む。 (371-374)
- エオスはティタンのアストライオスとのあいだに西風ゼピュロス、北風ボレアス、南風ノトスと、明けの明星、天に輝く星々を産む。ティトノスとのあいだにはエチオピア王メムノンとエマティオン、ケパロスとのあいだにはパエトンをもうける。 (378-382, 984-991)
- 関係: child → hyperion (『神統記』371-374。『ヘリオス讃歌』(31)4-7)
- 関係: sibling → helios (371-374)
- 関係: sibling → selene (371-374)
- 関係: parent → memnon (『神統記』984-985。『アイティオピス』(プロクロスの梗概))
エピメテウス
- 『神統記』ではエピメテウスは「うかつな」者で、ゼウスが作った乙女(のちのパンドラ)を最初に受け入れたために、初めから人間にとって災いのもとになった、とだけ語られる。 (511-514)
- 関係: child → iapetus (『神統記』507-514。アポロドロス 1.2.3)
- 関係: sibling → prometheus (510-511)
- 関係: sibling → atlas (509-511)
エラト
- 『神統記』では九柱の六番目に名が挙がる。同じ詩の中で、ネレウスの娘たち(ネレイス)の一覧にも同名のエラトが出てくる。 (78(ムーサ)、246(ネレイス))
- 関係: member_of → muses (『神統記』78 九柱の一人)
- 関係: child → zeus (『神統記』76-78, 915-917)
- 関係: child → mnemosyne (『神統記』915-917)
エレボス
- 『神統記』で、最初に生じたカオスから「エレボスと黒い夜」が生まれる。エレボスには親としてカオス以外の存在はない。 (123)
- 夜がエレボスと交わって、アイテル(上空の澄んだ輝き)とヘメラ(昼)が生まれる。闇と夜から光と昼が生まれるという逆説的な系譜。 (124-125)
- ヘシオドスでも、ゼウスが雷で打ったメノイティオスを「エレボスへ」送り、百手の巨人たちを「エレボスから」光のもとへ連れ戻すなど、地下の暗い領域の名として使われている。人格神としての側面は系譜の箇所にほぼ限られる。 (514-516, 669)
- 関係: child → chaos (123)
- 関係: spouse → nyx (124-125)
- 関係: sibling → nyx (123)
エリニュス
- 『神統記』では、クロノスが父ウラノスを鎌で傷つけたとき、飛び散った血の滴を大地が受け、年が巡って力強いエリニュスたちと、輝く鎧の巨人ギガース、トネリコのニンフが生まれる。父に対する罪から生まれた女神たちという位置づけ。 (176-187)
- 関係: child → gaia (『神統記』183-185 ウラノスの血の滴を受けた大地から生まれる)
- 関係: child → uranus (『神統記』183-185、アポロドロス 1.1.4)
- 関係: sibling → giants (『神統記』185 同じ血の滴から生まれる)
エリス
- 『神統記』では夜(ニュクス)の娘とされ、労苦、忘却、飢え、苦痛、闘い、殺戮、偽りの言葉、無秩序、破滅(アテ)、誓い(ホルコス)を産む。抽象名詞の系図として書かれている。 (225-232)
エロス
- 『神統記』では、カオス、ガイア、タルタロスに続いて「不死の神々のなかで最も美しい」エロスが生じる。エロスは神々と人間の手足をなえさせ、心と思慮を打ち負かす力として描かれ、親は書かれていない。 (120-122)
- 同じ『神統記』で、海の泡から生まれたアプロディテが神々の集まりに向かうとき、エロスと欲望(ヒメロス)が付き従う。ヘシオドスではエロスはアプロディテより古く、息子ではなく従者である。 (201-202)
- 関係: companion → aphrodite (201-202 生まれたばかりのアプロディテに付き従う。ここでは息子ではない)
エウテルペ
- 『神統記』では九柱の二番目に名が挙がる。ヘシオドスは担当分野を語らない。 (77)
- 関係: member_of → muses (『神統記』77 九柱の一人)
- 関係: child → zeus (『神統記』76-77, 915-917)
- 関係: child → mnemosyne (『神統記』915-917)
ガイア
- まずカオスが生じ、次に「広い胸の」ガイアが生まれた。不死なる者たちの揺るぎない座として、タルタロスとエロスと並ぶ最初の存在の一つとされる。 (116-122。ガイアはカオスから生まれたとは書かれず、「次に」生まれたとだけ言われる点に注意)
- 伴侶なしに、自分と等しい大きさの星をちりばめた天ウラノスを産み、自分を覆わせた。次いで山々とポントス(海)を産む。 (126-132)
- ウラノスが生まれた子を次々と大地の内に押し隠したため、ガイアは苦しんで灰色の燧石から大鎌を作り、子らに父への復讐を持ちかけた。応じたのは末子クロノスだけだった。 (154-175。鎌を作る場面は 161-166)
- 切り落とされたウラノスの血を受けて、復讐の女神エリニュエス、ギガンテス(巨人族)、トネリコの精メリアイを産んだ。 (183-187)
- 子を呑み込むクロノスに苦しむレアに助言し、末子ゼウスをクレタに隠させ、クロノスには石を呑ませた。さらにクロノスに子らを吐き出させる知恵も授ける。 (468-491(ウラノスと共に助言)、492-500(吐き出させる))
- ティタン神族が敗れた後、タルタロスとの間に最後の子テュポエウスを産んだ。ゼウスの支配に対する最後の反乱となる。 (『神統記』820-822。アポロドーロス 1.6.3 ではキリキアで産んだとする)
- ティタン神族との戦いで、ゼウスらはガイアの助言に従い、ウラノスに地下へ閉じ込められていた百手の巨人たちを光の下に連れ戻す。 (617-628)
- ゼウスがメティスを呑み込んだのは、ガイアとウラノスの忠告による。 (888-893)
- 切り落とされたウラノスの体は海に落ち、そこから広がった泡の中からアプロディテが生まれた。 (188-200)
- 関係: parent → uranus (126-128。伴侶なしに自分と等しい大きさの天を産んだ)
- 関係: spouse → uranus (132-138。産んだ天と交わってティタン神族を産む)
- 関係: parent → kronos (137-138「末子のクロノス、たくらみ深い者」)
- 関係: parent → rhea (134-136。ティタン十二神の一人として列挙される)
- 関係: parent → nereus (233-236。ポントス(海)との間に長子ネレウスを産む)
ガラテイア
- ホメロスとヘシオドスのガラテイアは、ネレウスの娘たちの名前の列の一人にすぎない。『イリアス』では、パトロクロスの死を嘆くアキレウスのもとに母テティスとともに姉妹たちが集まる場面で「名高いガラテイア」と呼ばれ、『神統記』のネレイデスの一覧では「姿の美しいガラテイア」とされる。ポリュペモスとの話はどちらにもない。 (『イリアス』18.37-49(ガラテイアは 18.45)/『神統記』240-264(ガラテイアは 250))
- 関係: child → nereus (『神統記』250 ネレウスの娘たちの列挙に「姿の美しいガラテイア」/ Met. 13.742「父はネレウス、母は青い海のドリス」)
- 関係: member_of → nereids (『イリアス』18.45「名高いガラテイア」(テティスの嘆きに集まるネレウスの娘たち)/『神統記』250)
ギガース
- 『神統記』では、クロノスが父ウラノスを傷つけたとき、飛び散った血の滴を大地ガイアが受け、年が巡ってエリニュスたち、トネリコのニンフたちとともに、輝く鎧をまとい長い槍を手にした大いなるギガースたちが生まれる。ヘシオドスには、彼らが神々と戦う話は出てこない。 (183-187)
- 関係: child → gaia (『神統記』183-186。アポロドロス 1.6.1 はティタンのことで怒ったガイアがウラノスとのあいだに産んだと書く)
- 関係: child → uranus (『神統記』183-186(ウラノスの血から)、アポロドロス 1.6.1)
- 関係: sibling → erinyes (『神統記』185 同じ血の滴から生まれる)
- 関係: sibling → nymphs (『神統記』187 同じ血の滴からトネリコのニンフ(メリアイ)も生まれる)
ギガントマキア
- ヘシオドスの『神統記』にギガースは生まれる場面しかなく、神々との戦いは語られない。ホメロスでもギガースは「滅びた傲慢な一族」として名が出るだけ。神々とギガースの戦いの話は、ここで確かめた範囲ではピンダロス以降の作品に出てくる。 (『神統記』183-187。『オデュッセイア』7.58-60)
金羊毛
- アイエテスは太陽神の子で、キルケとパシパエ(ミノスの妃)のきょうだいでもある。つまりメデイアは、オデュッセウスを引き留めたキルケの姪であり、ミノタウロスの母パシパエの姪、アリアドネの従姉妹にあたる。金羊毛をめぐる家系は、クレタの迷宮の家系と一本につながっている。 (アポロドーロス 1.9.1, 3.1.2、『神統記』956-962)
グライアイ
- 『神統記』では、ケトがポルキュスとのあいだに、生まれつき白髪の頬の美しい娘たちを産み、神々も人間も「グライアイ(老婆たち)」と呼ぶ。名はペンプレド(よい衣の)とエニュオ(サフラン色の衣の)の二人だけ。一つ目の話も歯の話も出てこない。 (270-273)
- グライアイとゴルゴンは同じ両親から生まれた姉妹。ヘシオドスでは、グライアイの名を挙げたすぐ後に、オケアノスの向こうの夜の果てに住むゴルゴンたち、ステンノ、エウリュアレ、そして不死でないメドゥーサが続く。 (270-277)
- 関係: grandchild → pontus (『神統記』237-238, 270 父ポルキュスと母ケトはどちらもポントスとガイアの子)
- 関係: sibling → medusa (『神統記』270-276、アポロドロス 2.4.2「ゴルゴンたちの姉妹」)
- 関係: nephew_niece → nereus (『神統記』233-238 父ポルキュスはネレウスの弟)
ハデス
- クロノスは王座を子に奪われるという予言を恐れ、レアが産んだヘスティア、デメテル、ヘラ、ハデス、ポセイドンを次々に呑み込んだ。末子ゼウスだけが隠されて助かる。 (453-491)
- ハデスとペルセポネの館の前には恐ろしい番犬がいて、入る者には尾と耳を振ってじゃれつくが、出ようとする者は捕らえて食らう。同じ犬は『神統記』311-312 でケルベロスの名で出る。 (767-774、311-312)
- 関係: child → kronos (455)
- 関係: child → rhea (455)
- 関係: sibling → hera (453-455)
- 関係: sibling → demeter (453-455)
- 関係: sibling → hestia (453-455)
- 関係: spouse → persephone (『神統記』913-914。『オデュッセイア』10.491 では「畏るべきペルセポネイア」が冥界の女王として並び立つ)
ハルモニア
- ヘシオドスの形: 『神統記』では、アプロディテがアレスとの間に、戦場で隊列を乱す恐ろしい神ポボス(恐慌)とデイモス(恐怖)、そして「心高いカドモスが妻としたハルモニア」を産む。戦の神の子として「恐怖」と「調和」が兄弟姉妹になっている。ホメロスにはハルモニアは出てこない。 (933-937, 975-978)
- 名前は普通名詞と同じ: ハルモニアはギリシャ語で「つなぎ合わせる手段、一致、音の調和」を意味する普通名詞でもあり、英語 harmony(ハーモニー)の語源。女神の名から普通名詞が生まれたのではなく、同じ一語が抽象概念としても女神の名としても使われた。 (etymonline の harmony の項 /『神統記』937。語源記事 etymologies/harmony も参照)
- 関係: child → ares (『神統記』933-937 / 3.4.2 /『バッコスの信女』1332, 1357-1358「アレスの娘ハルモニア」)
- 関係: child → aphrodite (『神統記』933-937, 975 / 3.4.2)
- 関係: spouse → cadmus (『神統記』937, 975 / 3.4.2 /『バッコスの信女』1330-1339)
- 関係: parent → semele (『神統記』975-976 / 3.4.2)
- 関係: parent → agave (『神統記』975-976 / 3.4.2)
- 関係: parent → ino-leucothea (『神統記』975-976 / 3.4.2)
- 関係: grandparent → dionysus (娘セメレの子。『神統記』940-942, 975-976 / 3.4.2-3)
- 関係: grandparent → actaeon (娘アウトノエの子。『神統記』977 / 3.4.2-4)
ハルピュイア
- ヘシオドスでは、ハルピュイアはタウマスとエレクトラの娘で、虹の女神イリスの姉妹。名はアエロとオキュペテ。「美しい髪」を持ち、速い翼で風の息吹や鳥とともに飛ぶ、と書かれるだけで、醜い怪物とはされていない。 (265-269)
- 関係: sibling → iris (ヘシオドス『神統記』265-269 タウマスとオケアノスの娘エレクトラから、イリスとハルピュイアたちが生まれる。アポロドロス 1.2.6)
ヘベ
- 『神統記』では、ゼウスが最後に正妻にしたヘラとのあいだに、ヘベ、アレス、エイレイテュイアが生まれる。 (921-923)
- ヘラクレスは死後、神々のあいだに迎えられてヘベを妻にする。『神統記』は、苦しい功業をやり遂げたヘラクレスが雪のオリュンポスでヘベを妻にし、老いも苦しみもなく暮らすと歌う。生前ヘラクレスを苦しめ続けたヘラの娘と結ばれるという結末。 (『神統記』950-955。アポロドロス 2.7.7 は「ヘラと和解してその娘ヘベを娶り、アレクシアレスとアニケトスをもうけた」と書く)
- 関係: child → zeus (『神統記』921-923、『オデュッセイア』11.604、アポロドロス 1.3.1)
- 関係: child → hera (『神統記』921-923、『オデュッセイア』11.604、アポロドロス 1.3.1)
- 関係: sibling → ares (『神統記』922)
- 関係: sibling → eileithyia (『神統記』922)
- 関係: spouse → herakles (『神統記』950-955、『オデュッセイア』11.601-604、ピンダロス『ネメア祝勝歌』1.69-72、アポロドロス 2.7.7)
ヘカテ
- 『神統記』で、コイオスとポイベの娘アステリアがペルセスに嫁いでヘカテを産む。ゼウスはヘカテを誰よりも重んじ、大地と海と星空の天に分け前を与えた。戦の勝利、競技、騎兵、漁、家畜の増減まで、望む者には惜しみなく授ける女神として、約40行にわたって讃えられる。 (409-452)
- ヘシオドスは、ヘカテは母のただ一人の子だが、それでかえって少なからぬ誉れを受けている、と繰り返し、ゼウスが彼女を「若者の養い手」にしたと結ぶ。 (448-452)
- 関係: companion → zeus (411-415, 423-428 ゼウスは彼女を誰よりも重んじ、ティタンの時代からの取り分を奪わなかった)
ヘカトンケイル
- 『神統記』では、ガイアとウラノスからキュクロプスに続いて生まれた三人の強大な子、コットス、ブリアレオス、ギュエス。それぞれの肩から近寄りがたい百本の腕が伸び、五十の頭が生えていた。 (147-153)
- 父ウラノスは彼らの力と姿を妬んで地下に縛りつけた。ゼウスたちはガイアの助言で三人を地上に連れ戻し、神々の食べ物を与えて味方にする。三人は戦いの先頭に立ち、三百の岩を次々に投げてティタンを覆い、地下深くタルタロスへ追い落として縛った。 (617-628, 639-663, 713-720)
- 戦いのあと、ポセイドンが青銅の門を据えたタルタロスのそばにギュエス、コットス、ブリアレオスが住み、ゼウスの忠実な番人となる。ブリアレオスはポセイドンの娘キュモポレイアを妻に迎え、ポセイドンの婿になる。 (729-735, 815-819)
- ヘシオドスとホメロスでは、百手の巨人はゼウスを助ける側。ティタンとの戦いを決着させ(ヘシオドス)、神々の反乱からゼウスを救う(ホメロス)。ローマの詩で「ユピテルに逆らった者」とされるのとは正反対。 (『神統記』713-735。『イリアス』1.396-406)
- ゼウスたちとティタンの戦いは10年続いても決着がつかなかった。ゼウスは百手の三兄弟に神々の食べ物を与え、縛めから光のもとへ戻れた恩を忘れず力を示してほしいと求め、コットスは、あなたの知恵のおかげで戻れた、ティタンとの戦いであなたの力を助けようと答えた。 (629-663)
- 関係: child → gaia (『神統記』147-153、アポロドロス 1.1.1)
- 関係: child → uranus (『神統記』147-153、アポロドロス 1.1.1)
- 関係: sibling → cyclopes (『神統記』139-153)
- 関係: sibling → kronos (『神統記』132-153 同じ両親の子)
- 関係: companion → zeus (『神統記』617-735 ゼウスに解放されて味方として戦い、のちに「ゼウスの忠実な番人」となる。アポロドロス 1.2.1)
- 関係: participated_in → titanomachy (『神統記』713-720 三百の岩を投げてティタンを地下へ追い落とす)
- 関係: child_in_law → poseidon (『神統記』817-819 ポセイドンが娘キュモポレイアをブリアレオスに嫁がせる)
ヘリオス
- ティタン族ヒュペリオンとテイアの子で、月のセレネと曙のエオスの兄弟。ホメロスは太陽神自身を「ヒュペリオン」と呼ぶこともあり、父子で名が重なる。 (『神統記』371-374。『オデュッセイア』1.8 は「ヒュペリオンの牛」)
ヘメラ
- 『神統記』では、夜ニュクスが闇エレボスと交わって、上層の大気アイテルと昼ヘメラを産む。夜が昼の母という順序になっている。 (124-125)
- 世界の果て、アトラスが天を支えて立つ場所に夜の館があり、ニュクスとヘメラはその青銅の敷居で近づいて言葉を交わし、すれ違う。一方が館に入るともう一方が外へ出て大地をめぐり、二人が同時に館の中にいることはない。ヘメラは人々に光を、ニュクスは死の兄弟である眠りを手に携えている。 (744-757)
- 関係: child → nyx (『神統記』124-125)
- 関係: child → erebus (『神統記』124-125)
- 関係: grandchild → chaos (『神統記』123-125)
- 関係: sibling → aether (『神統記』124)
ヘパイストス
- ゼウスが頭からアテナを産んだことへの対抗として、ヘラが交わりなしに独力で産んだ、とヘシオドスは語る。 (927-929)
- 関係: child → hera (『神統記』927-929 ではヘラが単独で産んだ。『イリアス』1.571-579 ではヘラを母と呼ぶ)
ヘラ
- クロノスとレアの娘で、ゼウスの姉。ヘシオドスは「黄金の履のヘラ」と呼ぶ。 (454)
- 『神統記』でゼウスの妻の列挙の最後に置かれ、ヘベ、アレス、エイレイテュイアを産む。ゼウスの遍歴の終着点として正妻の地位が与えられている。 (921-923)
- ゼウスが自分の頭からアテナを産んだことに対抗し、交わりなしに独力でヘパイストスを産んだ、とヘシオドスは語る。 (927-929。直前の 924-926 でアテナの誕生が語られ、対になっている)
- 関係: child → kronos (454)
- 関係: child → rhea (454)
- 関係: spouse → zeus (921-923。ゼウスの最後の妻として正妻の座に置かれる)
- 関係: sibling → zeus (453-457。夫は同時に弟)
- 関係: sibling → poseidon (453-456)
- 関係: sibling → hades (453-455)
- 関係: sibling → demeter (453-454)
- 関係: sibling → hestia (453-454)
- 関係: parent → ares (921-923)
- 関係: parent → hephaestus (927-929。ゼウスと交わらずに単独で産んだとされる)
ヘラクレス
- 死後は神々の列に加わり、ゼウスとヘラの娘ヘベを妻にする。『オデュッセイア』でオデュッセウスが冥界で見るのは「幻影(エイドロン)」で、本人は神々のもとにいると断っている。 (『神統記』950-955、『オデュッセイア』11.601-604、アポロドーロス 2.7.7)
- 関係: child → zeus (『神統記』943-944、『オデュッセイア』11.620 冥界の像が「クロノスの子ゼウスの子であった」と名乗る)
- 関係: child → alcmene (『神統記』526, 943、『オデュッセイア』11.266-268)
- 関係: advisee → athena (『イリアス』8.362-365 アテナが難業のたびに助けた、『神統記』318 ヒュドラ退治は「アテナの計らいで」、『オデュッセイア』11.626 ケルベロスを連れ出す際にヘルメスとアテナが導いた)
- 関係: killed → nemean-lion (『神統記』332、アポロドーロス 2.5.1 腕で首を締めて殺す)
- 関係: killed → hydra (『神統記』316-318 イオラオスとともに、アポロドーロス 2.5.2)
- 関係: advisee → prometheus (アポロドーロス 2.5.11 アトラスを出し抜く策はプロメテウスの助言。『神統記』526-531 ではヘラクレスが鷲を殺してプロメテウスを苦しみから解く)
ヘルメス
- 関係: child → zeus (『神統記』938-939。『ヘルメス讃歌』4.1-9 でアトラスの娘マイアとの子)
ヘスペリデス
- ヘシオドスでは夜(ニュクス)の娘で、「名高いオケアノスの向こう」で美しい黄金の林檎と実のなる木々の世話をする。ゴルゴンたちの住む場所の近く、アトラスが天を支える地の果てにいる。 (215-216, 274-275, 517-518)
- 関係: child → nyx (211-216 夜(ニュクス)が誰とも交わらずに生んだ子らの中に挙げられる)
- 関係: companion → atlas (『神統記』517-518 アトラスはヘスペリデスの前で天を支える。アポロドーロス 2.5.11 アトラスがヘスペリデスから林檎を3つ受け取る)
ヘスティア
- ヘシオドスはレアの子を「ヘスティア、デメテル、黄金の履のヘラ、ハデス、大地を揺るがす者、賢いゼウス」の順で挙げ、ヘスティアを最初に置く。 (453-458)
- 「最も年長であり最も年少でもある」という言い方は『アプロディテ讃歌』の冒頭にある。ヘシオドスは吐き出される順序を書いていないが、讃歌は「クロノスが最初に生み、またゼウスの計らいによって最も年少にも生んだヘスティア」と呼ぶ。最初に呑み込まれ最後に吐き出されたという説明は、この一行を筋立てたものとして読める。 (『アプロディテ讃歌』第5歌 22-23「Ἱστίῃ, ἣν πρώτην τέκετο Κρόνος ἀγκυλομήτης, αὖτις δ᾽ ὁπλοτάτην, βουλῇ Διὸς αἰγιόχοιο」。『神統記』492-500 では石が最初に出たとだけ書かれ、子らの順序は示されない)
- 関係: child → kronos (453-454。レアの子の列挙で最初に挙げられる)
- 関係: child → rhea (453-454)
- 関係: sibling → zeus (453-457)
- 関係: sibling → hera (453-454)
- 関係: sibling → demeter (453-454)
- 関係: sibling → poseidon (453-456)
- 関係: sibling → hades (453-455)
ホーラ
- 『神統記』では、ゼウスが二番目の妻テミス(掟)とのあいだにもうけた三柱で、エウノミア(秩序)、ディケ(正義)、花咲くエイレネ(平和)と名づけられる。「人間の営みを見守る」女神とされ、季節というより社会の秩序の女神として描かれる。 (901-903)
- 関係: child → zeus (『神統記』901-903、アポロドロス 1.3.1)
- 関係: child → themis (『神統記』901-903、アポロドロス 1.3.1)
- 関係: sibling → moirai (『神統記』901-906 同じ両親から生まれる)
ヒュドラ
- ヘシオドスでは、ヘラクレスがイオラオスとともに、アテナの計らいで倒した。首の数は書かれていない。 (313-318)
- 関係: killed_by → herakles (『神統記』316-318、アポロドーロス 2.5.2)
- 関係: foster_child → hera (314-315 ヘラクレスを憎むヘラが育てた)
- 関係: child → typhon (306-313 テュポン(テュパオン)とエキドナの子。オルトス、ケルベロスに次ぐ三番目)
- 関係: sibling → cerberus (309-313 同じ両親から生まれる)
ヒュペリオン
- 『神統記』でヒュペリオンはウラノスとガイアの子、コイオス・クレイオスと並ぶティタンの一人として名が挙がる。 (134)
- ヒュペリオンの妻テイアは、偉大なヘリオス(太陽)、輝くセレネ(月)、地上のすべてを照らすエオス(曙)を産む。光の神々の父という位置づけ。 (371-374)
- 関係: child → uranus (132-134)
- 関係: child → gaia (132-134)
- 関係: parent → helios (『神統記』371-374。『ヘリオス讃歌』(31)1-7)
- 関係: parent → selene (『神統記』371-374。『ヘリオス讃歌』(31)1-7)
- 関係: parent → eos (『神統記』371-374。『ヘリオス讃歌』(31)1-7)
- 関係: sibling → oceanus (133-134)
- 関係: sibling → kronos (134-137)
- 関係: sibling → iapetus (134)
ヒュプノス
- 『神統記』で夜は死(タナトス)と眠り(ヒュプノス)と夢の一族を産む。二人は夜の館のそばに住み、太陽の光が届かない。眠りは大地と海を静かに巡って人間に優しいが、死は鉄の心を持つ、と対比される。 (211-212, 758-766)
- 関係: child → nyx (211-212, 758-759)
- 関係: sibling → thanatos (『イリアス』14.231「死の兄弟である眠り」、16.672「双子の眠りと死」。『神統記』756, 759)
イアペトス
- 『神統記』でイアペトスはウラノスとガイアの子、ティタンの一人として、コイオス・クレイオス・ヒュペリオンと並んで挙がる。 (134)
- イアペトスはオケアノスの娘クリュメネを妻とし、剛胆なアトラス、傲慢さゆえにゼウスに雷で打たれて冥界の闇へ落とされたメノイティオス、策に富むプロメテウス、うかつなエピメテウスが生まれる。アトラス・メノイティオス・プロメテウスの三人はゼウスから罰を受け、エピメテウスは「初めから人間に災いをもたらした者」とされる。 (507-516)
- ヘシオドスでは、ゼウスがプロメテウスに呼びかけるとき「イアペトスの子よ」と言う。父イアペトス本人より、プロメテウスを指す父称として名前が残っている。 (『神統記』543-544, 559-560, 614。『仕事と日』54)
- 関係: child → uranus (132-134)
- 関係: child → gaia (132-134)
- 関係: parent → atlas (『神統記』507-509(母クリュメネ)。アポロドロス 1.2.3(母アシア))
- 関係: parent → prometheus (『神統記』507-511。アポロドロス 1.2.3)
- 関係: parent → epimetheus (『神統記』507-514。アポロドロス 1.2.3)
- 関係: sibling → kronos (134-137)
- 関係: sibling → oceanus (133-134)
- 関係: sibling → hyperion (134)
イリス
- タウマスとオケアノスの娘エレクトラの子で、ハルピュイア(奪い去る者たち)と姉妹。風のように速い者同士が同じ血筋にまとめられている。 (265-269)
- 神々が互いに誓いを立てるとき、ゼウスの命でイリスが遠いステュクスの水を黄金の瓶に汲んでくる、とヘシオドスは書く。偽りの誓いを立てた神は一年間息も声も失う。 (780-787(水汲み)、793-804(偽誓の罰))
イアソン
- ヘシオドスは、アイソンの子が傲慢なペリアスの課した多くの難業を果たし、アイエテスの娘を船で連れ帰って妻にし、その子メデイオスをケイロンが山で育てた、と簡潔に語る。 (992-1002)
- 関係: spouse → medea (『神統記』992-1002、アポロドーロス 1.9.23-25, 1.9.28、エウリピデス『メデイア』)
クロノス
- ガイアとウラノスの末子。「たくらみ深い者」と呼ばれ、子らの中でただ一人、母の復讐の計略に応じた。 (137-138, 167-175)
- 大鎌で父ウラノスの性器を切り落とし、世界の支配権を奪った。 (『神統記』176-182。アポロドーロス 1.1.4 では切り取った性器を海に投げる)
- ガイアとウラノスから「自分の子に支配権を奪われる」と告げられていたため、レアが産む子を生まれるそばから呑み込んだ。 (459-467。予言は 463-465)
- 末子ゼウスのときだけ、レアが産着に包んだ大石を差し出し、クロノスはそれを呑み込んだ。ゼウスはクレタ島で密かに育てられる。 (468-491)
- 後にクロノスは呑み込んだものを吐き出す。まず石が出て、ゼウスはそれをピュトー(デルポイ)の地に据え、人々のしるしとした。 (『神統記』492-500。アポロドーロス 1.2.1 では、メティスがクロノスに吐かせる薬を与えたとする(吐かせ方の説が分かれる))
- ウラノスは生まれてくる子を憎み、生まれるたびに大地の奥へ隠して光のもとへ出さなかった。苦しんだガイアは灰色の硬い石(アダマス)を生み出して大鎌を作り、子らに復讐を持ちかけた。皆が恐れて黙るなか、クロノスだけが引き受けた。 (154-172)
- 切り落とされた性器から飛び散った血を大地が受けて復讐の女神エリニュスたちと巨人族が生まれ、海に投げられた肉のまわりに広がった泡からアプロディテが生まれた。 (178-200)
- 関係: child → gaia (137-138)
- 関係: child → uranus (137-138)
- 関係: enemy → uranus (176-182。父を鎌で去勢した)
- 関係: spouse → rhea (453-454)
- 関係: sibling → rhea (134-138。ともにガイアとウラノスの子)
- 関係: parent → hestia (453-454。呑み込まれた子の一人)
- 関係: parent → demeter (453-454)
- 関係: parent → hera (453-454)
- 関係: parent → hades (455)
- 関係: parent → poseidon (456「大地を揺るがす者」として言及される)
- 関係: parent → zeus (457。末子)
- 関係: enemy → zeus (617-720 ティタノマキア。ゼウスに敗れタルタロスに落とされる)
ラミア
- ラミアの名は、ホメロスの『イリアス』『オデュッセイア』、ヘシオドス『神統記』、アポロドーロス『ビブリオテーケー』、オウィディウス『変身物語』、ヒュギヌス『神話集』には出てこない。まとまった話は、歴史家ディオドロスや辞典『スーダ』、著述家たちのたとえ話のなかに残る。 (手元の英訳全文(『イリアス』『オデュッセイア』『神統記』『ビブリオテーケー』『変身物語』『神話集』)と、『イリアス』『オデュッセイア』『神統記』のギリシャ語本文で Lamia / Λάμια を検索して該当なし(2026年9月))
ラティヌス
- ヘシオドス『神統記』の終わり近くには、キルケがオデュッセウスとの間にアグリオスとラティノスを産み、二人が遠い聖なる島々でテュルセノイ人を治めたと書かれている。トロイア人アイネイアスの義父になるはずの王が、ギリシャの古い詩ではトロイアを滅ぼした側のオデュッセウスの息子になっている。 (1011-1016)
- 関係: child → odysseus (1011-1016 キルケがオデュッセウスとの間にアグリオスとラティノスを産み、遠くの聖なる島々でテュルセノイ人を治めた。ウェルギリウスとは別の系譜)
- 関係: child → circe (1011-1013)
レテ
- ヘシオドス『神統記』では、レテは場所ではなく擬人化された「忘却」で、争いの女神エリスが生んだ子の一つ。同じ兄弟には労苦、飢え、苦しみ、戦い、殺人、偽りの言葉などが並ぶ。 (226-232)
- 関係: child → eris (226-227 エリス(争い)が「忘却(レテ)」を生む。擬人化されたレテ)
レト
- ティタン族コイオスとポイベの娘。ヘシオドスは「濃紺の衣の、常に優しいレト、神々の中で最も穏やかな者」と讃える。 (404-408。讃辞は 406-408)
- ゼウスとの間にアポロンとアルテミスを産んだ。ヘシオドスはヘラの前の妻として列挙する。 (918-920)
- 関係: lover → zeus (918-920。ヘラより前の妻として列挙される)
- 関係: parent → apollo (『神統記』918-920。『アポロン讃歌』3.115-125)
- 関係: parent → artemis (918-920)
マイア
- 『神統記』は、アトラスの娘マイアがゼウスの聖なる床に上り、神々の使者ヘルメスを産んだと一文で記す。 (938-939)
- 関係: child → atlas (『神統記』938、アポロドーロス3.10.1、『祭暦』5.83-84(母はプレイオネ))
- 関係: lover → zeus (『神統記』938-939、「ヘルメス讃歌」3-9)
- 関係: parent → hermes (『神統記』938-939、「ヘルメス讃歌」1-19、『オデュッセイア』14.435、アポロドーロス3.10.2)
メデイア
- ヘシオドスでは、太陽神ヘリオスの子アイエテスが大洋の娘イデュイアと結ばれて生まれたのがメデイア。アイソンの子(イアソン)がペリアスの課した難業を果たして彼女を連れ帰り、妻にしたことまでが語られる。子殺しの話は無い。 (956-962, 992-1002)
- 関係: spouse → jason (『神統記』992-1002、アポロドーロス 1.9.23-28)
- 関係: companion → circe (叔母と姪。『神統記』956-957 キルケとアイエテスはヘリオスの子、『オデュッセイア』10.137 キルケは「アイエテスの実の姉妹」。アポロニオス 4.683-684, 4.726-732 キルケが同じ血筋の目の輝きでメデイアを見分ける)
- 関係: nephew_niece → circe (『神統記』956-962、アポロドーロス 1.9.1 父アイエテスとキルケはヘリオスの子)
メドゥサ
- ヘシオドスでは、ゴルゴンはステンノ、エウリュアレ、メドゥサの三姉妹で、オケアノスの向こうの夜の果てに住む。二人は不老不死だがメドゥサだけが死すべき身で、ポセイドンと交わったのち、ペルセウスに首を斬られた。そこからクリュサオルと天馬ペガソスが飛び出す。 (274-281)
- 関係: killed_by → perseus (『神統記』280、アポロドーロス 2.4.2)
- 関係: lover → poseidon (『神統記』278-279「黒髪の神が柔らかな草地で傍らに臥した」、アポロドーロス 2.4.2、オウィディウス『変身物語』4.798(ミネルウァの神殿で))
- 関係: parent → pegasus (『神統記』280-281 首を斬られたとき飛び出した。アポロドーロス 2.4.2、オウィディウス 4.785-786)
メルポメネ
- 『神統記』では九柱の四番目に名が挙がる。ヘシオドスは担当分野を語らない。 (77)
- 関係: member_of → muses (『神統記』77 九柱の一人)
- 関係: child → zeus (『神統記』76-77, 915-917)
- 関係: child → mnemosyne (『神統記』915-917)
メムノン
- ヘシオドス『神統記』では、エオスがティトノスとの間にエチオピア人の王メムノンを産んだと記される。トロイア王家の血を引く外国の王という位置づけになる。 (984-985)
- 関係: child → tithonus (984-985 エオスがティトノスとの間に産んだ子)
- 関係: nephew_niece → priam (『神統記』984-985 ティトノスの子、『イリアス』20.237 ティトノスとプリアモスは兄弟)
メティス
- 『神統記』でメティスはオケアノスとテテュスの娘たち(オケアニス)の一人として名が挙がる。 (358)
- ゼウスは最初にメティスを妻とした。「神々と人間のうちで最も多くを知る」女神だったが、アテナを産もうとしたとき、ゼウスは甘い言葉で欺いて自分の腹に収めた。ガイアとウラノスの助言によるもので、メティスはまず父に劣らぬ知恵と力の娘を産み、次に神々と人間の王となる息子を産む定めだったからである。 (886-900)
- ゼウスがメティスを腹に収めたのは「善悪を自分に知らせてくれるように」でもあった、と『神統記』は付け加える。知恵そのものを体内に取り込んで王権を固める、という読み方がされる箇所。 (899-900)
- アポロドロスでは、成長したゼウスがメティスを味方につけ、メティスがクロノスに薬を飲ませて、呑み込んでいた子らを吐き出させる。ヘシオドスでは吐き出させたのはガイアの策とされ、メティスの名は出ない。 (アポロドロス 1.2.1。『神統記』494-496)
- 関係: child → oceanus (358)
- 関係: child → tethys (358)
- 関係: spouse → zeus (886-900 最初の妻)
- 関係: parent → athena (886-900, 924-929)
ミノス
- 関係: parent → ariadne (『オデュッセイア』11.322、『神統記』948、アポロドーロス 3.1.2)
ムネモシュネ
- 『神統記』でムネモシュネはウラノスとガイアの娘、ティタンの女神の一柱としてテミスと並んで名が挙がる。 (135)
- ゼウスはピエリアでムネモシュネと九夜を共にし、一年後に彼女は九人の娘ムーサたちを産む。数の九が夜の数と重ねられている。 (53-62, 915-917)
- ヘシオドスは、記憶の女神が産んだムーサたちを「災いを忘れさせ、悲しみを休ませるもの」と呼ぶ。記憶の娘が人に忘却をもたらす、という逆説がここにある。 (55)
- ホメロスの詩人は、戦に来た者たちの名を列挙する前にムーサたちに呼びかけ、「あなたがたはすべてを知っているが、我々は噂を聞くだけだ」と歌う。記憶の娘たちに頼って過去を語る、という叙事詩の構えがよく表れた箇所。ここにムネモシュネの名は出ないが、ヘシオドスの系譜と組み合わせると意味がつながる。 (『イリアス』2.484-492。系譜は『神統記』53-62)
- 関係: child → uranus (132-135)
- 関係: child → gaia (132-135)
- 関係: lover → zeus (53-62, 915-917)
- 関係: parent → muses (53-62, 915-917)
- 関係: sibling → themis (135)
- 関係: sibling → oceanus (133-135)
モイラ
- 『神統記』では、夜ニュクスが誰とも交わらずに、死の神タナトスや眠りヒュプノスとともにモイラたちを産む。名はクロト、ラケシス、アトロポス。生まれた人間に善と悪を割り当て、人と神の違反を追及し、罪ある者に罰を下すまで怒りをやめない。 (211-222)
- 同じ『神統記』の後半では、ゼウスがテミスを二番目の妻にして、ホーライ(季節の女神)とモイラたちが生まれる。ゼウスは彼女たちに最大の名誉を与え、名前も役目も前半と同じように書かれる。一つの詩の中で親が二通りに語られている。 (901-906)
- 関係: child → nyx (『神統記』211-222 ニュクスが誰とも交わらずに産む)
- 関係: child → zeus (『神統記』901-906、アポロドロス 1.3.1)
- 関係: child → themis (『神統記』901-906、アポロドロス 1.3.1)
- 関係: sibling → horae (『神統記』901-906 同じくゼウスとテミスの娘。アポロドロス 1.3.1)
- 関係: sibling → thanatos (『神統記』211-217 ニュクスの子として並ぶ)
オリュンポス山
- ティタン神族との十年戦争では、オリュンポスに拠るゼウス側と、オトリュス山に拠るティタン側が対峙した。神々の世代交代は二つの山の対決として語られる。 (631-638)
ムーサ
- 『神統記』では、ゼウスがピエリアで記憶の女神ムネモシュネと九夜を共にし、九人のムーサが生まれる。名前はクレイオ、エウテルペ、タレイア、メルポメネ、テルプシコレ、エラト、ポリュムニア、ウラニア、そして最も優れたカリオペ。 (53-62, 75-79, 915-917)
- ヘシオドスは、ヘリコン山で羊を飼っていたとき、ムーサたちが現れて「我々は本当らしい嘘をたくさん語れるし、望めば真実も語れる」と告げ、月桂樹の杖と神の声を吹き込んで詩人にした、と自分の召命を語る。 (22-34)
- 関係: child → zeus (53-62, 915-917)
- 関係: child → mnemosyne (53-62, 915-917)
- 関係: companion → apollo (94-95 歌い手や竪琴弾きが地上にいるのは、ムーサたちと遠矢のアポロンのおかげ)
ネメアの獅子
- ヘシオドスでは、オルトス(ゲリュオンの番犬)と交わった「彼女」が生む。この「彼女」がエキドナかキマイラか、文の上では決め切れない。育てたのはヘラ。 (326-329)
- 関係: killed_by → herakles (『神統記』332「ヘラクレスの力が倒した」、アポロドーロス 2.5.1)
- 関係: foster_child → hera (328-329 ヘラが育ててネメアの丘に住まわせ、人々の災いとした)
ネメシス
- 『神統記』で夜は、運命の女神たちに続いて「死すべき人間を苦しめるために」ネメシスを産み、そのあとに欺き、愛欲、老い、争い(エリス)が続く。 (223-225)
- 関係: child → nyx (223)
ネレイス
- 『神統記』では、ネレウスとオケアノスの娘ドリスのあいだに五十人の娘が生まれ、プロト、エウクランテ、サオ、アンピトリテ、テティス、ガラテイア、エラトなど全員の名が挙げられる。最後の一人ネメルテス(「誤りのない者」)は父ネレウスの心を受け継ぐとされる。 (240-264)
- アポロドロスもネレウスとドリスの娘たちの名を並べるが、その中にはカリュプソやディオネなど、ヘシオドスでは別の系譜(オケアノスの娘)に入っている名も含まれる。どの名がどの一族に属するかは、出典によって揺れている。 (アポロドロス 1.2.7。『神統記』353, 359(オケアニスとしてのディオネとカリュプソ))
- ネレイスの名には、ほかの女神と同じものが混じる。ヘシオドスの一覧にはムーサと同名のエラトが、『イリアス』の一覧にはムーサ(のちにはカリスとも)と同名のタレイアがいる。同じ名が別の一族にも出てくるので、名前だけで同一人物と決めることはできない。 (『神統記』246(ネレイスのエラト)、77-78(ムーサのエラト)、909(カリスのタレイア)。『イリアス』18.39(ネレイスのタレイア))
- 関係: child → nereus (『神統記』240-264、アポロドロス 1.2.7)
- 関係: grandchild → pontus (『神統記』233, 240)
- 関係: grandchild → oceanus (『神統記』240-242 母ドリスはオケアノスの娘)
- 関係: companion → thetis (テティスは姉妹の一人。『神統記』244、『イリアス』18.35-51。関係の種類は仮に「仲間」とした(「一員」を表す種類がない))
- 関係: companion → amphitrite (アンピトリテは姉妹の一人。『神統記』243, 254)
- 関係: companion → galatea (ガラテイアも姉妹の一人。『神統記』250、『イリアス』18.45)
- 関係: cousin → oceanids (母ドリスがオケアノスの娘なので、オケアニスたちは母方のおば・いとこの世代にあたる(『神統記』240-242, 346-366))
ネレウス
- ポントスが最初に儲けた子。「偽りを言わず真実を語る者。掟を忘れず、正しく穏やかな考えを知っているので人は彼を老人と呼ぶ」とヘシオドスは書く。 (233-236)
- オケアノスの娘ドリスとの間に五十人の娘(ネレイデス)をもうけた。ヘシオドスは全員の名を列挙する。テティスはその一人。 (240-264。テティスは 244)
- パトロクロスの死を嘆くテティスのもとに集まるネレイデスの名を、『イリアス』も一覧として掲げる。ヘシオドスの一覧と重なる名もあれば異なる名もある。 (『イリアス』18.37-49。『神統記』240-264 と比較すると顔ぶれが一致しない)
- ヘシオドスの娘たちの一覧の最後に挙がるネメルテスは「不死の父の性質を持つ」とされる。 (262)
- 関係: child → gaia (233-236。ポントスとガイアの長子)
- 関係: parent → thetis (244。五十人の娘の列挙に含まれる)
ニケ
- 『神統記』で、オケアノスの娘ステュクスはティタンのパラスと交わり、ゼロス(競争心)と「美しいくるぶしの」ニケ、クラトス(力)とビア(暴力)を産む。勝利は、力や暴力と同じ家の兄弟姉妹として生まれる。 (『神統記』383-385。アポロドロス 1.2.4)
- ゼウスがティタンと戦う前に、味方する神には地位を保証すると呼びかけると、ステュクスが父オケアノスの計らいで子らを連れて最初にオリュンポスへ来た。ゼウスはステュクスを神々の誓いの証とし、その子らをいつも自分のそばに住まわせた。以来、勝利はゼウスの側を離れない。 (386-403)
- 関係: child → styx (『神統記』383-385(父はティタンのパラス)。アポロドロス 1.2.4)
- 関係: companion → zeus (386-388 ゼウスのほかに住まいを持たず、いつもゼウスと共にいる)
- 関係: participated_in → titanomachy (389-403 ゼウスがティタンと戦う味方を募ったとき、ステュクスが子らを連れて最初に駆けつけた)
ニンフ
- ヘシオドスでは、クロノスがウラノスを傷つけたとき、飛び散った血の滴を大地ガイアが受け、時が経ってエリニュスたちと巨人ギガース、そして「メリアイ」と呼ばれるトネリコのニンフたちを産む。ホメロスの「ゼウスの娘」とは違う出自。 (176-187)
- 関係: child → gaia (『神統記』183-187 ウラノスの血の滴を受けたガイアが、エリニュス、ギガースとともにトネリコのニンフ(メリアイ)を産む)
- 関係: child → uranus (『神統記』183-187 メリアイはウラノスの血から生まれる)
ニュクス
- 『神統記』では、最初に生じたカオスからエレボス(闇)と夜が生まれ、夜はエレボスと交わってアイテル(輝く上空の大気)と昼を産む。 (123-125)
- 夜は「誰とも床を共にせずに」、定め(モロス)、死の運命(ケール)、死(タナトス)、眠り(ヒュプノス)、夢の一族、非難、苦悩、ヘスペリデス、運命の女神たち、ネメシス、欺き、愛欲、老い、争い(エリス)を産んだ。人間を縛る暗い力の多くが夜の系統にまとめられている。 (211-225)
- 夜の館は大地の果て、アトラスが天を支えるそばにあり、夜と昼はその青銅の敷居ですれ違って挨拶を交わす。二人が同時に家にいることはない。夜はヒュプノス(死の兄弟)を腕に抱いている。 (744-757)
- 争いの女神エリスも夜の子で、エリスはさらに労苦・忘却・飢え・争闘・殺戮・偽りの言葉・誓い(偽誓を罰する神)などを産む。パリスの審判の発端になるエリスの、ヘシオドスでの系譜。 (225-232)
- 関係: child → chaos (123)
- 関係: spouse → erebus (124-125 エレボスと交わってアイテルとヘメラ(昼)を産む)
- 関係: sibling → erebus (123 ともにカオスから生まれる)
- 関係: parent → hypnos (211-212, 758-759)
- 関係: parent → thanatos (211-212, 758-759)
- 関係: parent → nemesis (223)
- 関係: parent → eris (225 「憎むべき争い」)
- 関係: parent → hesperides (215-216 オケアノスの彼方で金の林檎を守る娘たちも夜の子とされる)
オケアニス
- 『神統記』では、テテュスがオケアノスとのあいだに渦巻く河々と「聖なる娘たちの一族」を産む。四十人余りの名が挙げられたあと、「これは年長の娘たちで、ほかにも大勢いる。足首のほっそりしたオケアノスの娘は三千人いて、大地と湖の深みのあちこちにいる」と続く。 (337-370)
- オケアノスの娘たちは、アポロンと河の神々とともに、地上で若者を一人前に育てる役をゼウスから授かっている。海の女神というより、泉と川と成長に関わる女神たち。 (346-348)
- 名の並びには、のちの物語で重要になる女神が多い。ステュクス(冥界の川で、神々の誓いの証人)、メティス(ゼウスの最初の妻でアテナの母)、エウリュノメ(カリスたちの母)、ドリス(ネレイスたちの母)、エレクトラ(虹のイリスの母)、ディオネ、カリュプソなど。 (349-361。エウリュノメの子は 907-909、ドリスの子は 240-242、エレクトラの子は 265-266、ステュクスの誓いは 397-401)
- オケアニスの一覧には、ムーサと同じ名のウラニアが入っている。『神統記』はムーサのウラニアとオケアノスの娘ウラニアを別々に数えている。 (78(ムーサ)、350(オケアニス))
- 関係: child → oceanus (『神統記』346-366、アポロドロス 1.2.2)
- 関係: child → tethys (『神統記』346-366、アポロドロス 1.2.2)
- 関係: companion → styx (『神統記』361 姉妹のうち最も優れた者としてステュクスの名が最後に挙がる。関係の種類は仮に「仲間」とした)
- 関係: companion → metis (『神統記』358、アポロドロス 1.2.1-2)
- 関係: companion → dione (『神統記』353 姉妹の一人として名が挙がる)
- 関係: companion → calypso (『神統記』359 姉妹の一人として名が挙がる。ホメロスのカリュプソ(アトラスの娘)と同一かは不明)
- 関係: companion → apollo (『神統記』346-348 アポロンや河神たちとともに若者を育てる役目をゼウスから与えられている)
- 関係: cousin → nereids (ネレイスの母ドリスはオケアニスの一人(『神統記』240-242, 350))
オケアノス
- 『神統記』でガイアがウラノスと交わって産んだ子らの筆頭に「深く渦巻くオケアノス」が挙がり、コイオス、クレイオス、ヒュペリオン、イアペトス、テイア、レア、テミス、ムネモシュネ、ポイベ、テテュス、最後にクロノスと続く。 (132-138)
- オケアノスとテテュスからはナイル、アルペイオス、スカマンドロスなどの川と、ステュクス、メティス、ディオネ、カリュプソなど三千人のオケアニスが生まれる。のちに重要な役割を担う女神の多くが「オケアノスの娘」としてここに並んでいる。 (337-370)
- ゼウスがティタンとの戦いに加わる神に権利を保障すると呼びかけたとき、オケアノスの娘ステュクスが「父の知恵によって」子らを連れて真っ先にオリュンポスへ来た。ゼウスは彼女を重んじ、神々の大いなる誓いの証とした。 (383-403)
- 関係: child → uranus (132-133 ティタンの筆頭に名が挙がる)
- 関係: child → gaia (132-133)
- 関係: spouse → tethys (『神統記』337-370。『イリアス』14.201, 14.302)
- 関係: sibling → kronos (133-138)
- 関係: sibling → rhea (133-135)
- 関係: sibling → iapetus (134)
- 関係: sibling → hyperion (134)
- 関係: sibling → themis (135)
- 関係: sibling → mnemosyne (135)
- 関係: parent → styx (361「オケアノスの娘たちのうち最も優れた者」、776「逆流するオケアノスの長女」)
- 関係: parent → metis (358)
- 関係: parent → dione (353 オケアニスの一人として名が挙がる。アポロドロスはディオネをティタンとする)
- 関係: parent → calypso (359 オケアニスの一人。ホメロスはカリュプソをアトラスの娘とする)
パン
- パンはホメロスの二つの叙事詩にも、ヘシオドス『神統記』にも登場しない。まとまった姿が現れるのはホメロス風讃歌とヘロドトスから。 (ギリシャ語本文(ホメロス)と英訳(『神統記』)を全文検索して確認)
パンドラ
- 同じヘシオドスの『神統記』にも最初の女が造られる話があるが、そこでは名前が与えられず、「女という種族」の起源として語られるだけで、壺も出てこない。パンドラという名と壺は『仕事と日』にしかない。 (『神統記』570-593。『仕事と日』60-105 と読み比べると差が見える)
ペガソス
- ヘシオドスでは、ペルセウスがメドゥサの首を斬ると、そこからクリュサオルとペガソスが飛び出した。ポセイドンの子としては、アポロドーロスが「メドゥサとポセイドンの子」とはっきり書く。 (『神統記』278-281、アポロドーロス 2.3.2, 2.4.2)
- ヘシオドス自身が名の由来を述べていて、「オケアノスの泉(pēgai)のほとりで生まれたからその名がある」とする。etymonline はこの説明を民間語源の可能性があるとし、語尾はギリシャ語らしくないと指摘する。 (『神統記』282-283、etymonline「Pegasus」)
- 『イリアス』のベレロポンの話にペガソスは出てこない。キマイラを倒したのは「神々のしるしに従って」とだけ語られる。ペガソスとベレロポンを組にするのはヘシオドスから。 (『イリアス』6.179-183、『神統記』325)
- 関係: child → medusa (『神統記』280-281、アポロドーロス 2.4.2)
- 関係: owned_by → bellerophon (『神統記』325、ピンダロス『オリュンピア』13.63-90、アポロドーロス 2.3.2)
- 関係: killed → chimera (325「ペガソスと優れたベレロポンがこれを討ち取った」)
- 関係: servant → zeus (284-286 地を離れて神々のもとへ行き、ゼウスの館に住んで雷鳴と稲妻を運ぶ)
ペリアス
- 『神統記』は、イアソンが「大いなる王、傲慢なペリアス、乱暴で思い上がった暴力の徒」に課された多くのつらい仕事をやり遂げ、メデイアを連れてイオルコスへ帰ったと記す。 (992-999)
- 関係: enemy → jason (アポロドーロス1.9.16、『ピュティア祝勝歌』4.71-167、『神統記』992-999)
ペンテウス
- ホメロスとヘシオドスにはペンテウスの名が無い。ヘシオドス『神統記』はカドモスとハルモニアの娘としてアガウエの名を挙げるが、その子には触れない。現存する作品で筋が確かめられる最古のものは、エウリピデスの『バッコスの信女』(前405年上演)。それより前にアイスキュロスが、デルポイの巫女の口を借りて「バッコスの女たちを率いた神が、ペンテウスに兎のような死を縫い上げた」と、すでに知られた話として触れている。 (『神統記』975-978 /『バッコスの信女』/『エウメニデス』24-26。「名が無い」は現存本文の範囲での確認)
ペルセポネ
- 『神統記』はこの一連の物語を三行で片づける。ゼウスがデメテルとの間に儲けた娘をアイドネウスが母のもとから攫い、ゼウスがそれを許した、とだけ書く。 (912-914)
- 関係: child → demeter (『神統記』912-914)
- 関係: child → zeus (912-914。娘をハデスに与えたのも父ゼウス)
- 関係: spouse → hades (913-914)
ペルセウス
- メドゥサの首を斬ったことはヘシオドスが語り、ピンダロスは首を持ち帰ってセリポス島の王ポリュデクテスへの復讐に使ったことまで歌う。ピンダロスはペルセウスを「自ら流れる黄金から生まれた」とも呼ぶ。 (『神統記』280-281、『ピュティア祝勝歌』12.9-17)
- 関係: killed → medusa (『神統記』280、『ピュティア』12.16、アポロドーロス 2.4.2)
パエトン
- ヘシオドス『神統記』のパエトンは別人で、曙の女神エオスとケパロスの子。幼いうちにアプロディテにさらわれ、神殿を夜に守る神霊にされた、と書かれるだけで、太陽の車の話はない。アポロドーロスにも、ティトノスの子パエトンという、さらに別の系譜が出てくる。「輝く者」という名はありふれていた。 (『神統記』986-991 / 3.14.3)
ポボスとデイモス
- 『神統記』では、キュテレイア(アプロディテ)が盾を貫くアレスに「ポボス(敗走)」と「デイモス(恐怖)」を産む。二人は、町を荒らすアレスとともに、冷たい戦場で男たちの密集した隊列を乱して追い散らす恐ろしい神々。同じ両親から、カドモスの妻となるハルモニアも生まれる。 (933-937)
- 関係: child → ares (『神統記』933-937、『イリアス』13.299「その愛する息子ポボス」)
- 関係: child → aphrodite (933-937)
- 関係: sibling → harmonia (933-937)
ポイベ
- 『神統記』では、ガイアとウラノスの子であるティタンの一柱。「黄金の冠の」という添え名で呼ばれる。 (133-136)
- 兄弟のコイオスと結ばれ、いつも穏やかで人にも神にも優しいレトと、名高いアステリアを産む。アステリアはペルセスの妻になってヘカテを産むので、ポイベはヘカテの祖母でもある。 (404-411)
- 関係: child → gaia (『神統記』133-136)
- 関係: child → uranus (『神統記』133-136)
- 関係: spouse → coeus (『神統記』404-405、アポロドロス 1.2.2)
- 関係: parent → leto (『神統記』404-408、アポロドロス 1.2.2)
- 関係: grandparent → apollo (『神統記』406, 918-920(レトがゼウスとのあいだにアポロンとアルテミスを産む)。アイスキュロス『慈しみの女神たち』7-8 で神託所を孫に贈る)
- 関係: grandparent → artemis (『神統記』406, 918-920)
- 関係: grandparent → hecate (『神統記』409-411 娘アステリアがペルセスとのあいだにヘカテを産む)
- 関係: sibling → themis (『神統記』135-136。『慈しみの女神たち』2-8 ではテミスからデルポイの座を継ぐ)
- 関係: sibling → theia (『神統記』135-136)
- 関係: sibling → kronos (『神統記』132-138)
プレイアデス
- 関係: parent → hermes (長姉マイアがゼウスとのあいだにキュレネの洞窟でヘルメスを生む。アポロドーロス 3.10.2 /『神統記』938「アトラスの娘マイア」)
プルトス
- ヘシオドス『神統記』では、デメテルがクレタの豊かな土地の三度鋤いた休閑地で英雄イアシオンと交わり、プルトスを産む。プルトスは陸と海の広い背をくまなく行き、彼に出会い、その手に彼が渡った者を豊かにし、大きな富を授ける。ホメロスの『オデュッセイア』もデメテルとイアシオンの恋に触れるが、プルトスの名は出さない。 (『神統記』969-974、『オデュッセイア』5.125-128)
- 関係: child → demeter (969-974 デメテルがクレタで英雄イアシオンと交わって産む)
ポリュムニア
- 『神統記』では九柱の七番目に「ポリュムニア」の綴りで名が挙がる。ヘシオドスは担当分野を語らない。 (78)
- アポロドロスは九柱を「まずカリオペ、次にクレイオ、メルポメネ、エウテルペ、エラト、テルプシコレ、ウラニア、タレイア、ポリュムニア」の順に並べる。ヘシオドスでは七番目だったポリュムニアが最後に来るなど、順番は出典によって違う。 (アポロドロス 1.3.1。『神統記』77-79)
- 関係: member_of → muses (『神統記』78 九柱の一人)
- 関係: child → zeus (『神統記』76-78, 915-917)
- 関係: child → mnemosyne (『神統記』915-917)
ポントス
- 『神統記』では、ガイアはまず天ウラノスと山々を産み、続いて「愛の交わりなしに」波立つ不毛の海ポントスを産む。そのあとでウラノスと交わってティタンたちを産む。海はティタンより古い。 (126-137)
- のちに母ガイアと交わり、嘘をつかない誠実な長子ネレウス、大いなるタウマス、勇ましいポルキュス、頬の美しいケト、鉄の心をもつエウリュビエをもうける。 (233-239)
- ポントスの子らから海の怪異と精霊の系譜が広がる。ネレウスからは五十人のネレイス、タウマスからは虹のイリスと怪鳥ハルピュイア、ポルキュスとケトからはグライアイとゴルゴン(メドゥーサを含む)が生まれる。 (240-276)
- ホメロスでは πόντος は「海」を表すごく普通の語で、系譜を持つ神としてのポントスは出てこない。海を人格化した神としての姿は、ヘシオドスの系譜で初めてはっきりする。 (ホメロスの本文を全文検索し、固有の神として扱う用例がないことを確認。『神統記』131-132, 233)
- 関係: child → gaia (『神統記』131-132 ガイアが「愛の交わりなしに」産む)
- 関係: spouse → gaia (『神統記』233-239 ガイアと交わってタウマス、ポルキュス、ケト、エウリュビエをもうける。アポロドロス 1.2.6)
- 関係: sibling → uranus (『神統記』126-132 どちらもガイアが単独で産んだ子)
- 関係: parent → nereus (『神統記』233-236 最年長の子。アポロドロス 1.2.6)
- 関係: grandparent → nereids (『神統記』240-264 息子ネレウスの五十人の娘)
- 関係: grandparent → iris (『神統記』265-266 息子タウマスとエレクトラの娘)
- 関係: grandparent → graeae (『神統記』270-273 息子ポルキュスと娘ケトの子)
- 関係: grandparent → medusa (『神統記』270, 274-276 ポルキュスとケトの子ゴルゴンの一人)
- 関係: parent_in_law → crius (『神統記』239, 375 娘エウリュビエがティタンのクレイオスの妻になる)
ポセイドン
- ヘシオドスではメドゥサと「柔らかな草原で」交わり、その首が斬られたときに天馬ペガソスと黄金の剣のクリュサオルが飛び出したとされる。ポセイドンと馬の結びつきの一つ。 (278-286)
- 関係: child → kronos (456)
- 関係: child → rhea (456)
- 関係: sibling → hera (453-456)
- 関係: sibling → demeter (453-456)
- 関係: sibling → hestia (453-456)
プリアポス
- ストラボンは、プリアポスが神とされたのは後の時代の人々によってで、ヘシオドスでさえ彼を知らない、と書く。ホメロスの『イリアス』『オデュッセイア』、ヘシオドス『神統記』にも名は出てこない。 (ストラボン13.1.12。ホメロスと『神統記』は英訳全文を Priapus で検索して該当なし(2026年9月))
プロメテウス
- ティタン族イアペトスとオケアノスの娘クリュメネの子。兄弟にアトラス、メノイティオス、エピメテウスがいる。 (507-511)
- メコネで神々と人間が分け前を決めたとき、牛を二つに分け、脂身で覆った骨と、胃袋に包んだ肉を並べてゼウスに選ばせ、骨を取らせた。これ以後、人間は神への供犠で骨を焼く。 (535-560。ヘシオドスは「ゼウスは欺きを見抜いていた」とも書いており(550-552)、話に捩れがある)
- 怒ったゼウスが人間から火を隠すと、プロメテウスは茴香(ういきょう)の茎の中に火種を隠して盗み出した。 (『神統記』565-569、『仕事と日』50-52)
- ゼウスは彼を解けない鎖で柱に縛り、翼の長い鷲を送って肝臓を啄ませた。肝臓は夜ごとに再生し、罰は終わらない。後にヘラクレスが鷲を射殺して解放する。 (521-534(鎖と鷲)、526-534(ヘラクレスによる解放))
- 火の代償としてゼウスは人間に「災いと引き換えの良きもの」すなわち最初の女を送った。プロメテウスの人間擁護がそのまま人間の不幸の起点になる構図。 (『神統記』570-593、『仕事と日』53-105)
- ヘラクレスが鷲を射殺してプロメテウスを救ったのは、ゼウスの意思に反してではなく、テーバイ生まれのヘラクレスの名声をいっそう高めるためにゼウスが許したことだった。 (526-534)
- 関係: punished_by → zeus (521-525, 545-569。二度ゼウスを欺き、鎖と鷲の罰を受ける)
レア
- ガイアとウラノスの娘で、ティタン十二神の一人。 (134-136)
- クロノスとの間にヘスティア、デメテル、ヘラ、ハデス、ポセイドン、ゼウスを産んだ。オリュンポスの第一世代がここで揃う。 (453-458。ヘシオドスの列挙順は女神三柱が先)
- 産まれた子は生まれるそばからクロノスに呑み込まれ、レアは「尽きせぬ悲しみ」に捕らえられた。 (459-462)
- ゼウスを身ごもったとき、両親ガイアとウラノスに助けを求め、クレタ島のリュクトスへ行って夜のうちに産み、ガイアに託した。クロノスには産着に包んだ大石を渡した。 (468-491。クレタのリュクトスは 476-484)
- ゼウスの身代わりにクロノスが呑んだ石は、吐き出されたのちゼウスによってピュト(デルポイ)に据えられ、人間への目印とされた。パウサニアスは、デルポイでネオプトレモスの墓の上手にある小さな石に毎日オリーブ油が注がれ、祭りには羊毛がかけられていて、クロノスが吐き出した石だという見方がある、と記す。 (『神統記』497-500、パウサニアス 10.24.6)
- 関係: child → gaia (134-136)
- 関係: child → uranus (134-136)
- 関係: spouse → kronos (453-454)
- 関係: sibling → kronos (134-138)
- 関係: parent → hestia (453-454。列挙の最初に置かれる)
- 関係: parent → demeter (453-454)
- 関係: parent → hera (454「黄金の履のヘラ」)
- 関係: parent → hades (455)
- 関係: parent → poseidon (456)
- 関係: parent → zeus (457)
セレネ
- 『神統記』では、ヒュペリオンの妻テイアが偉大なヘリオス、輝くセレネ、エオスを産む。『ヘリオス讃歌』では母の名がエウリュパエッサになるが、三きょうだいの顔ぶれは同じ。 (『神統記』371-374。『ヘリオス讃歌』(31)1-7)
- 関係: child → hyperion (『神統記』371-374。『ヘリオス讃歌』(31)4-7)
- 関係: sibling → helios (『神統記』371-374。『ヘリオス讃歌』(31)4-7)
- 関係: sibling → eos (『神統記』371-374。『ヘリオス讃歌』(31)4-7)
セメレ
- ホメロスとヘシオドス: 『イリアス』14歌で、ゼウスはヘラへの思いの強さを語るために過去の恋を並べ、「テーバイのセメレ、人間の喜びとなるディオニュソスを産んだ女」の名を挙げる。死に方は語られない。ヘシオドス『神統記』は、カドモスの娘セメレが「死すべき身で不死の子を産み、いまは二人とも神である」と記す。ヘシオドスの時点で、すでにセメレ自身も神とされていた。 (『イリアス』14.323-325 /『神統記』940-942)
- 神になった母: ピンダロス(前5世紀前半)は、雷鳴の中で死んだセメレが今はオリュンポスの神々の間に住み、パラス(アテナ)と父ゼウスと、蔦の冠の息子に愛されていると歌う。アポロドーロスは、ディオニュソスが母を冥界から連れ戻してテュオネと名付け、共に天に昇ったと伝える。 (『オリュンピア祝勝歌』2.25-27 / 3.5.3 /『神統記』942)
- 関係: child → cadmus (『神統記』940, 975-976 / 3.4.2 /『バッコスの信女』1-2)
- 関係: child → harmonia (『神統記』975-976 / 3.4.2)
- 関係: lover → zeus (『イリアス』14.323-325 /『神統記』940-942 / 3.4.3 / Met. 3.260-261)
- 関係: parent → dionysus (『イリアス』14.325 /『神統記』940-942 /『バッコスの信女』1-3 / 3.4.3)
- 関係: sibling → agave (『神統記』976 / 3.4.2 /『バッコスの信女』26-31)
- 関係: sibling → ino-leucothea (『神統記』976 / 3.4.2-3 イノが赤子ディオニュソスを育てる)
スフィンクス
- ヘシオドス『神統記』では、ボイオティア方言形の「ピクス」の名で、エキドナがオルトス(ゲリュオンの番犬)との間に生んだ「カドモスの民を滅ぼす者」とされる。ネメアの獅子はその兄弟。謎かけの話はここにはない。 (326-327)
- 関係: sibling → nemean-lion (『神統記』326-327 エキドナがオルトスとの間にピクス(スフィンクス)とネメアの獅子を生んだ)
- 関係: enemy → thebes (『神統記』326「カドモスの民を滅ぼした」/ 3.5.8 / OT 35-36, 130-131)
ステュクス
- 『神統記』はステュクスを、オケアノスの娘たちのうち「最も優れた者」「逆流するオケアノスの長女」と呼ぶ。 (361, 776)
- ゼウスがティタンと戦う味方を募り、味方すれば地位を保つと約束すると、ステュクスは父オケアノスの勧めで子ら——ゼロス(競争心)、ニケ(勝利)、クラトス(力)、ビア(暴力)——を連れて真っ先にオリュンポスへ来た。ゼウスは彼女を神々の大いなる誓いとし、子らを常に自分のそばに住まわせた。 (383-403)
- ステュクスは岩屋の館に住み、オケアノスの流れの十分の一を分け与えられて高い岩から冷たい水を流す。オリュンポスの神がこの水を注いで偽りの誓いをすれば、丸一年息もできず声も出せずに横たわり、アンブロシアもネクタルも口にできない。その後さらに九年間、神々の会議や宴から締め出される。 (775-806)
- ティタンとの戦いを前に、ゼウスは神々をオリュンポスに集め、自分の側で戦う者からは名誉を奪わず元の地位を保たせ、クロノスのもとで名誉のなかった者には新たな名誉を与えると約束した。その呼びかけに真っ先に応じたのがステュクスである。 (390-397)
- 関係: child → oceanus (361, 776)
- 関係: child → tethys (361)
- 関係: parent → nike (『神統記』383-385(父はティタンのパラス)。アポロドロス 1.2.4)
- 関係: companion → zeus (389-403 ティタン戦争で最初に味方し、誓いの神とされる)
- 関係: participated_in → titanomachy (『神統記』389-403。アポロドロス 1.2.5)
- 関係: visited_by → iris (780-784 神々に争いや偽りがあると、ゼウスはイリスを遣わし、黄金の水差しでステュクスの水を汲んでこさせる)
タルタロス
- ヘシオドスは深さを具体的に示す。青銅の金床を天から落とすと9日9夜かかって10日目に地に着き、地から落とすとさらに9日9夜で10日目にタルタロスに着く。周りは青銅の垣で囲まれ、夜が首飾りのように三重に取り巻き、その上に大地と海の根がある。ティタンたちはここに閉じ込められ、百の手をもつ巨人たちが見張る。 (720-735)
- ヘシオドスでは、タルタロスは場所であると同時に、カオス、ガイア、エロスと並んで最初に生じた存在の一つでもある。のちにガイアはタルタロスと交わって怪物テュポエウス(テュポン)を生む。 (116-122、820-822)
- 関係: visited_by → kronos (『イリアス』8.478-481 イアペトスとクロノスがタルタロスの底にいる /『神統記』851 など)
- 関係: lover → gaia (820-822 ガイアがタルタロスと交わってテュポエウスを生む。原初の神としてのタルタロス)
- 関係: parent → typhon (820-822)
テレゴノス
- ヘシオドス『神統記』では、キルケがオデュッセウスに産んだ子としてアグリオス、ラティノス、テレゴノスが挙げられ、テュレニア人を治めたとされる。 (1011-1016)
テルプシコレ
- 『神統記』では九柱の五番目に名が挙がる。ヘシオドスは担当分野を語らないが、名前そのものが「踊りを楽しむ者」という意味をもつ。 (78)
- 関係: member_of → muses (『神統記』78 九柱の一人)
- 関係: child → zeus (『神統記』76-78, 915-917)
- 関係: child → mnemosyne (『神統記』915-917)
- 関係: sibling → erato (『神統記』78 同じ行に名が続けて並ぶ)
テテュス
- 『神統記』でウラノスとガイアの子らの最後のほうに「愛らしいテテュス」が挙がる。ティタンの女神(ティタニス)の一柱。 (136)
- テテュスはオケアノスに、ナイルやスカマンドロスなどの川と、ステュクス、メティスなど三千人の娘(オケアニス)を産む。 (337-370)
- テテュス(Τηθύς)とテティス(Θέτις)は別の女神。テティスはネレウスとドリスの娘で、ドリスはオケアノスとテテュスの娘なので、テテュスはテティスの祖母にあたる。日本語のカナでは一文字違いになり、取り違えが起きやすい。 (240-244(ネレウスとドリスの娘たち、244 にテティス)、350(オケアニスの一人ドリス))
- オケアノスとテテュスの間には、川の神々と、3000人の細い足首のオケアニスたちが生まれた。 (337-370(3000人は 364))
- 関係: child → uranus (132-136)
- 関係: child → gaia (132-136)
- 関係: spouse → oceanus (337-370)
- 関係: sibling → rhea (135-136)
- 関係: sibling → themis (135-136)
- 関係: sibling → mnemosyne (135-136)
- 関係: parent → styx (361, 776)
- 関係: parent → metis (358)
- 関係: grandparent → thetis (240-244, 350 娘ドリスの子がテティス)
タレイア
- 『神統記』では九柱の三番目に名が挙がる。ヘシオドスは担当分野を語らない。 (77)
- 同じ名が三つの別の女神の一族に出てくる。ヘシオドスは、ゼウスがオケアノスの娘エウリュノメとのあいだにもうけた三柱のカリスの一人を「愛らしいタレイア」と呼び、『イリアス』でテティスのもとに集まるネレイスの最初のほうにもタレイアがいる。アポロドロスは一つの文の中で、カリスのタレイアとムーサのタレイアを続けて挙げている。 (『神統記』77(ムーサ)、907-909(カリス)。『イリアス』18.39(ネレイス)。アポロドロス 1.3.1)
- 関係: member_of → muses (『神統記』77 九柱の一人)
- 関係: child → zeus (『神統記』76-77, 915-917)
- 関係: child → mnemosyne (『神統記』915-917)
タナトス
- 『神統記』で夜は、定め・死の運命(ケール)に続いて死(タナトス)を産み、眠りと夢の一族を産む。父の名は書かれない。 (211-212)
- 死と眠りの兄弟は夜の館のそばに住む。眠りは人間に穏やかだが、死は鉄の心と青銅のように無慈悲な胸を持ち、一度つかんだ人間を放さず、不死の神々からさえ憎まれる。 (758-766)
- 関係: child → nyx (211-212, 758-759)
- 関係: sibling → hypnos (『イリアス』14.231, 16.672「双子の眠りと死」。『神統記』756-759)
テーバイ
- 住民は古くから「カドモスの民(カドメイオイ)」と呼ばれた。ヘシオドスはスフィンクスを「カドモスの民を滅ぼした者」と呼び、ホメロスもオイディプスが「カドモスの民」を治めたと語る。 (『神統記』326 /『オデュッセイア』11.276)
テイア
- 『神統記』では、ガイアが天ウラノスと交わって産んだ子の一人。オケアノス、コイオス、クレイオス、ヒュペリオン、イアペトス、レア、テミス、ムネモシュネ、ポイベ、テテュスと並び、末子がクロノス。 (133-137)
- ヒュペリオンとのあいだに、大いなる太陽ヘリオス、輝く月セレネ、地上と神々を照らす曙エオスを産む。天の光はすべて彼女の子という配置になっている。 (371-374)
- 関係: child → gaia (『神統記』133-136 ウラノスと交わったガイアの子の一人)
- 関係: child → uranus (『神統記』133-136)
- 関係: spouse → hyperion (『神統記』371-374 ヒュペリオンと交わって三柱を産む。兄弟どうしの結婚)
- 関係: parent → helios (『神統記』371-374、アポロドロス 1.2.2)
- 関係: parent → selene (『神統記』371-374、アポロドロス 1.2.2)
- 関係: parent → eos (『神統記』371-374、アポロドロス 1.2.2)
- 関係: sibling → kronos (『神統記』132-138 同じくガイアとウラノスの子)
- 関係: sibling → rhea (『神統記』135 同じ行に名が並ぶ)
- 関係: sibling → phoebe (『神統記』135-136)
- 関係: sibling → coeus (『神統記』134-135)
- 関係: sibling → crius (『神統記』134-135)
テミス
- 『神統記』でテミスはウラノスとガイアの娘、ティタンの女神の一柱として、ムネモシュネと並んで名が挙がる。 (135)
- ゼウスはメティスの次にテミスを妻とし、季節の女神ホライ——エウノミア(秩序)、ディケ(正義)、エイレネ(平和)——と、運命の女神モイライ(クロト、ラケシス、アトロポス)が生まれる。ただし同じ『神統記』は、運命の女神たちを夜(ニュクス)の娘としても挙げている。 (901-906(夜の娘としてのモイライは 217-219))
- 関係: child → uranus (132-135)
- 関係: child → gaia (132-135)
- 関係: spouse → zeus (901-906 メティスに次ぐ二番目の妻)
- 関係: sibling → oceanus (133-135)
- 関係: sibling → mnemosyne (135)
テティス
- 海の老人ネレウスの五十人の娘(ネレイデス)の一人。『イリアス』18巻では姉妹たちが名を連ねて嘆きに加わる。 (『神統記』244(名の列挙)、『イリアス』18.37-49(姉妹の一覧))
- 関係: child → nereus (『神統記』244。『イリアス』1.358, 18.35-36 では父は名を挙げられず「海の老人」と呼ばれる)
ティタノマキア
- 『神統記』では、オトリュス山に陣取るティタンたちと、オリュンポスに拠るクロノスの子ら(ゼウスたち)が、まる十年戦い続けて決着がつかなかった。 (629-638)
- ガイアの助言で、ゼウスたちは父ウラノスが地下に縛りつけていた百手の巨人コットス、ブリアレオス、ギュゲスを光のもとへ連れ戻し、神々の食べ物ネクタルとアンブロシアで力を回復させて味方につけた。 (617-663)
- ついにゼウスは力のすべてを見せ、オリュンポスから雷と稲妻を次々に投げつける。大地は燃え、オケアノスの流れも海も煮えたぎり、熱は「カオス」にまで達した。百手の巨人たちは三百の岩を投げてティタンたちを覆い、地下深くに縛りつけた。 (687-720)
- ティタンたちは、天から落とした青銅の金床が九日九夜かかって地上に着き、さらに九日九夜かかって届くほど深いタルタロスに閉じ込められる。ポセイドンが青銅の門を据え、百手の巨人たちが番をする。『イリアス』でもティタンたちは「タルタロスの下にいる者たち」と呼ばれる。 (『神統記』713-735。『イリアス』14.279, 8.478-481)
- 戦いのあと世界がどう分けられたかは伝えによって違う。『神統記』では神々がガイアの勧めでゼウスに王になるよう求め、ゼウスが神々に役目を割り振る。『イリアス』のポセイドンとアポロドロスでは、ゼウス・ポセイドン・ハデスの三兄弟がくじを引き、天・海・冥界を分けたとされ、大地とオリュンポスは共有とされる。 (『神統記』881-885。『イリアス』15.187-193。アポロドロス 1.2.1)
- ウラノスは生まれた子ら(とくに百腕の巨人)を嫌って大地の奥に押し込め、苦しんだガイアは鉄の鎌を作って子らに復讐を促した。名乗り出たのはクロノスで、待ち伏せて父を傷つけた。これが神々の代替わりの最初の反逆になる。 (『神統記』154-182、アポロドーロス1.1.4)
- ゼウスはティタンとの戦いの前に、味方する神からは役目を奪わず、クロノスの下で役目のなかった者には与えると約束した。最初に駆けつけたのはステュクスとその子ら(ニケ、クラトス、ビア、ゼロス)で、ゼウスはステュクスを神々の大いなる誓いとし、子らを常にそばに置いた。 (383-403)
- 関係: participant → zeus (『神統記』617-735, 687-712(雷を投げる)。アポロドロス 1.2.1)
- 関係: participant → kronos (『神統記』630-634, 851。アポロドロス 1.2.1。『縛られたプロメテウス』221-223)
- 関係: participant → gaia (『神統記』626-628 百手の巨人を味方にすれば勝てると神々に教える。アポロドロス 1.2.1)
- 関係: participant → poseidon (『神統記』732-733 タルタロスに青銅の門を据える。アポロドロス 1.2.1 キュクロプスから三叉の鉾を贈られる)
- 関係: participant → styx (389-403)
- 関係: participant → nike (389-403 母ステュクスに連れられてゼウスの側へ)
ティタン族
- 『神統記』では、ガイアがウラノスと交わって、オケアノス、コイオス、クレイオス、ヒュペリオン、イアペトス、テイア、レア、テミス、ムネモシュネ、ポイベ、テテュス、末子クロノスの12柱を産む。 (132-138)
- ヘシオドスは「ティタン」の名を、ウラノスが子らを非難して付けた呼び名とし、「手を伸ばして(張りつめて)大それたことをした者たち、その報いはいずれ来る」という意味の語呂合わせで説明する。 (207-210)
- ティタン同士の子から、世界の多くの神々が出る。ヒュペリオンとテイアから太陽ヘリオス・月セレネ・曙エオス、オケアノスとテテュスから川の神々と3000人のオケアニデス、コイオスとポイベからレト、イアペトスからアトラス・プロメテウス・エピメテウス・メノイティオス、クロノスとレアからゼウスたちオリュンポスの神々。 (『神統記』337-374、404-410、453-458、507-520、アポロドーロス1.2.2-3)
- 敗れたティタンたちはタルタロスに閉じ込められた。天から落とした青銅の金床が9日9夜で地に着き、さらに9日9夜で届く深さで、ポセイドンが青銅の門を据え、百腕の巨人たちが番をする。 (717-735)
- すべてのティタンが敵だったわけではない。ステュクスは父オケアノスの知恵で真っ先にゼウスの側につき、テミスとムネモシュネは戦後ゼウスの妻となってホライ・モイライとムーサたちを産んだ。 (397-403、901-906、915-917)
- 関係: child → uranus (『神統記』132-138、アポロドーロス1.1.3)
- 関係: child → gaia (『神統記』132-138、アポロドーロス1.1.3)
- 関係: has_member → kronos (137)
- 関係: has_member → oceanus (133)
- 関係: has_member → coeus (134)
- 関係: has_member → crius (134)
- 関係: has_member → hyperion (134)
- 関係: has_member → iapetus (134)
- 関係: has_member → theia (135)
- 関係: has_member → rhea (135)
- 関係: has_member → themis (135)
- 関係: has_member → mnemosyne (135)
- 関係: has_member → phoebe (136)
- 関係: has_member → tethys (136)
- 関係: participated_in → titanomachy (『神統記』617-735、アポロドーロス1.2.1)
- 関係: enemy → zeus (617-735)
- 関係: enemy → hecatoncheires (713-735 ティタンを打ち負かし、タルタロスの番をする)
ティトノス
- エオスとの間にエチオピアの王メムノンをもうけた。トロイアの最後の援軍メムノンは、こうしてプリアモスの甥にあたる。 (984-985)
- 関係: parent → memnon (984-985)
トリトン
- 『神統記』では、アンピトリテと大地を揺るがすポセイドンのあいだに生まれた、力強く大いなる恐ろしい神。母と王である父とともに、海の底の黄金の館に住む。 (930-933)
- ホメロスの二つの叙事詩にトリトンは出てこない。アテナの添え名「トリトゲネイア」は出てくるが、この名とトリトン(神やトリトン川・湖)との関係ははっきりしない。 (ギリシャ語本文を全文検索して、神トリトンの用例がないことを確認。「トリトゲネイア」は『イリアス』4.515, 8.39, 22.183、『オデュッセイア』3.378、『神統記』895, 924)
- 関係: child → poseidon (『神統記』930-933、アポロドロス 1.4.5)
- 関係: child → amphitrite (『神統記』930-933、アポロドロス 1.4.5)
ヘラクレスの十二の功業
- ヘシオドス『神統記』は怪物の系譜の中で、ゲリュオン・ヒュドラ・ネメアの獅子をヘラクレスが倒したと個別に語るだけで、一続きの「功業」としてはまとめていない。 (287-294(ゲリュオン), 313-318(ヒュドラ), 327-332(ネメアの獅子))
オリュンポス十二神
- ホメロスとヘシオドスには「十二の神々」という名簿は出てこない。『イリアス』の神々はオリュンポスのゼウスの館に集まるが、その数は決まっていない。 (『イリアス』1.493-533、8.1-27 など)
テュケ
- ヘシオドス『神統記』では、テュケはオケアノスとテテュスの娘たちの長い名簿の中に名が挙がるだけで、何の話も付かない。 (360(名簿は346-366))
- 関係: child → oceanus (346-366 オケアノスとテテュスの娘たちの列に「テュケ」(360))
- 関係: child → tethys (346-366)
- 関係: member_of → oceanids (『神統記』360、「デメテル讃歌」420、パウサニアス4.30.4(オケアノスの娘として))
テュポン
- 『神統記』では、ゼウスがティタンたちを天から追い払ったあと、大地ガイアがタルタロスと交わって末子テュポエウスを産む。肩からは百の蛇の頭が生え、目から火を放ち、神々に通じる言葉から牡牛・獅子・子犬の声、山にこだまする蛇の音まで、あらゆる声を出した。 (820-835)
- ゼウスは雷鳴をとどろかせてオリュンポスから飛びかかり、テュポエウスのすべての頭を焼いた。倒れた怪物から出た炎で大地の大部分が錫のように溶け、ゼウスは彼を広いタルタロスに投げ込む。もしゼウスが素早く気づかなければ、テュポエウスが神々と人間の王になっていた、と詩人は言う。 (836-868)
- テュポエウスからは、南風・北風・西風以外の、湿った荒々しい風が生まれる。これらは季節ごとに吹き荒れて船を散らし船乗りを殺し、陸では畑を砂嵐で台なしにする。 (869-880)
- テュポンはエキドナと交わって、ゲリュオネスの犬オルトス、冥界の番犬ケルベロス、レルナのヒュドラを生む。アポロドロスはさらに、キマイラ、ネメアの獅子、ヘスペリデスの林檎を守る竜、プロメテウスの肝臓をついばむ鷲、テバイのスピンクスもテュポンの子とする。ヘラクレスが戦う怪物の多くがこの一家の出身である。 (『神統記』306-318。アポロドロス 2.3.1, 2.5.1, 2.5.10, 2.5.11, 3.5.8)
- 関係: child → gaia (『神統記』820-822。アポロドロス 1.6.3)
- 関係: child → tartarus (『神統記』821-822。アポロドロス 1.6.3)
- 関係: enemy → zeus (『神統記』836-868。アポロドロス 1.6.3)
- 関係: parent → cerberus (306-312 エキドナとのあいだに)
- 関係: parent → hydra (313-318)
冥界
- ヘシオドスは、ハデスとペルセポネの館の前に恐ろしい番犬がいて、入る者には尾と耳を振って迎えるが、出て行こうとする者は捕まえて食らう、と描く。冥界は「入れるが出られない」場所だった。 (767-774)
- 関係: ruled_by → hades (『イリアス』15.187-193 くじでハデスが「暗い闇」を得る /『神統記』767-774)
- 関係: ruled_by → persephone (『オデュッセイア』10.491, 10.509 など /『神統記』768, 774)
ウラニア
- 『神統記』では九柱の八番目、最後のカリオペの直前に名が挙がる。同じ詩のオケアノスの娘たちの一覧にも「神々しいウラニア」がいて、別の女神として数えられている。 (78(ムーサ)、350(オケアニス))
- 関係: member_of → muses (『神統記』78 九柱の一人)
- 関係: child → zeus (『神統記』76-78, 915-917)
- 関係: child → mnemosyne (『神統記』915-917)
ウラノス
- ガイアが伴侶なしに産んだ。自分と等しい大きさで、あらゆる方向からガイアを覆う「星をちりばめた天」。 (126-128)
- ガイアとの間にオケアノス、コイオス、クリオス、ヒュペリオン、イアペトス、テイア、レア、テミス、ムネモシュネ、ポイベ、テテュス、そして末子クロノスの十二柱(ティタン神族)をもうけた。 (132-138)
- 生まれた子を光のもとに出さず、大地の内なる隠れ場所に押し込めては、それを悪事として楽しんだ。ガイアは内側から圧迫されて呻いた。 (154-160)
- 待ち伏せしていたクロノスが左手で父を掴み、右手の大鎌で性器を切り落として背後の海へ投げた。これによって天と地が分かれ、ウラノスの支配は終わる。 (176-182)
- 飛び散った血からエリニュエス・ギガンテス・メリアイが生まれ、海に落ちた性器の周りに立った白い泡からアプロディテが生まれた。ウラノスの敗北そのものが新しい神々を生む。 (183-187(血)、188-206(泡とアプロディテ))
- 子らを「ティタン(Τιτῆνες)」と名づけたのはウラノスで、「手を伸ばして(τιταίνοντας)大それたことをした者たち」という呼び名であり、その報いが来ると予言した、と語られる。 (207-210。ヘシオドスが示すティタン名の民間語源)
- 関係: child → gaia (126-128。ガイアが伴侶なしに産んだ)
- 関係: spouse → gaia (132-138)
- 関係: parent → kronos (137-138)
- 関係: parent → rhea (134-136)
- 関係: enemy → kronos (176-182。末子クロノスに鎌で去勢される)
- 関係: parent → aphrodite (188-206。海に落ちた性器の周りの泡からアプロディテが生じる。『イリアス』5.370-371 ではアプロディテはゼウスとディオネの娘で、系譜がまったく異なる)
ゼピュロス
- ヘシオドスでは、エオス(曙)がアストライオスとのあいだに産んだ風の一柱で、「晴れやかな」ゼピュロス、ボレアス、ノトスが兄弟。この三つの風は神々から出た種族で人間への大きな恵みであり、それ以外の湿った荒い風はテュポエウスから生まれるとされる。 (378-380、869-871)
- 関係: child → eos (378-380 エオスとアストライオスの子)
- 関係: sibling → boreas (『神統記』378-380、『祭暦』5.203 「兄弟ボレアス」)
ゼウス
- クロノスとレアの子。父クロノスは子が生まれるたびに呑み込んだが、末子のゼウスだけは母レアの計らいで難を逃れた。 (453-491行)
- 最初の妻メティス(知恵)を、彼女が産む子が自分を超えると聞いて身ごもったまま呑み込み、後に自分の頭からアテナを産んだ。「父を超える子」の予言はゼウス自身にも向けられていた。 (886-900(メティスを呑む)、924-926(頭からアテナ))
- 『神統記』はゼウスの妻をメティス、テミス、エウリュノメ、デメテル、ムネモシュネ、レトの順に挙げ、ヘラを最後の正妻として置く。 (886-923)
- ティタン神族との十年戦争に勝ち、キュクロプスから雷霆を得て彼らをタルタロスに落とした。さらにガイアの末子テュポエウスを倒して支配を確定させる。 (617-720(ティタノマキア)、820-868(テュポエウス))
- クロノスは大地の計略で呑んだ子を吐き出し、最初に出てきたのは最後に呑んだ石だった。ゼウスはこの石をパルナッソス山麓のピュトに据え、人間への目印とした。 (『神統記』492-500)
- 父が縛っていた天の子ら(キュクロプス)を解放し、その礼として雷と稲妻を贈られた。以後これによって神々と人間を治める。 (『神統記』501-506)
- レアは両親(大地と天)の助言でクレタのリュクトスへ行って末子ゼウスを産み、大地が赤子をアイガイオン山の洞窟に隠した。クロノスには産着にくるんだ石が渡された。 (『神統記』468-491)
- ティタン族との戦いが10年決着しなかったとき、大地の助言で、地の底に縛られていた百腕の巨人(コットス、ブリアレオス、ギュゲス)を解放し、ネクタルとアンブロシアを与えて味方にした。彼らが300の岩を投げてティタン族をタルタロスへ押し込んだ。 (『神統記』617-720)
- 関係: child → kronos (457。末子として生まれ、石とすり替えられて助かる)
- 関係: child → rhea (457)
- 関係: spouse → hera (『神統記』921-923。『イリアス』1.536-611, 14.153-353 では夫婦喧嘩が繰り返し描かれる)
- 関係: sibling → demeter (453-454)
- 関係: sibling → hestia (453-454)
- 関係: parent → athena (924-926。自分の頭から産んだ)
- 関係: parent → apollo (918-920。レトとの子)
- 関係: parent → artemis (918-920)
- 関係: parent → ares (921-923。ヘラとの子)
- 関係: parent → hermes (『神統記』938-939。『ヘルメス讃歌』4.1-9 ではマイアとの子)
- 関係: parent → dionysus (940-942。カドモスの娘セメレとの子)
- 関係: parent → persephone (912-914。デメテルとの娘で、ハデスに与えたのもゼウス)
- 関係: lover → leto (918-920)
- 関係: enemy → prometheus (521-534, 545-569)