アポロドロスでは、ガイアが「タルタロスに投げ込まれた者たちを味方にすれば勝つ」と予言し、ゼウスは牢番のカンペを殺して彼らを解放する。キュクロプスたちはゼウスに雷を、ハデスに兜を、ポセイドンに三叉の鉾を贈り、これで神々はティタンを打ち負かした。
アポロドーロス(偽アポロドーロス)『ビブリオテーケー(ギリシア神話)』 1〜2世紀頃
Τιτανομαχία出来事
1912年に沈んだ客船タイタニック号。元素のチタン。どちらの名前も、ギリシャ神話の古い神々「ティタン」から来ている。タイタンとも呼ばれるこの巨大な神々は、かつて世界を治めていた。そして、ある戦争に敗れて、地の底へ落とされた。
ゼウス率いる若い神々とティタンたちの戦い、ティタノマキアの火種は、神々の家族の中にあった。
世界のはじめに天空の神と大地の女神が交わり、子どもたちが生まれた。ティタンと呼ばれる12柱の神々、一つ目の巨人キュクロプスたち、そして百の腕と五十の頭を持つ3人の巨人である。ところが天空の神は、生まれた子どもたちを嫌い、大地の奥深くに押し込めて光のもとへ出さなかった。苦しんだ大地は、灰色の硬い石で大きな鎌を作り、子どもたちに父への仕返しを持ちかける。みなが黙り込む中、名乗り出たのが末の息子クロノスだった。クロノスは待ち伏せて父を鎌で傷つけ、王座を奪った。

ところが王になったクロノスも、父と同じことをした。兄弟の巨人たちを再び地の底に閉じ込め、さらに自分の子が自分を倒すという予言を恐れて、生まれた子を次々に呑み込んだ。母の機転で、末っ子のゼウスだけが助かる。成長したゼウスは、父に呑んだ子どもたちを吐き出させ、兄や姉とともに父の世代に戦いを挑んだ。

ティタンたちは別の山に、ゼウスの一族はオリュンポス山に陣取った。戦いは、まる10年続いても決着がつかなかった。
このとき、ゼウスは神々に約束している。自分とともにティタンと戦う者からは、これまでの役目を取り上げない。クロノスの下で役目を持てなかった者には、新しく与える。真っ先に駆けつけたのは、冥界の川の女神ステュクスで、子どもたちを連れてきた。その中には、勝利の女神ニケもいた。ゼウスはステュクスを神々が立てる最も重い誓いのよりどころとし、子どもたちはいつも自分のそばに置いた。
流れを変えたのは、大地の助言だった。地の底に縛られている百腕の巨人たちを味方にすれば勝てる。ゼウスたちは巨人たちを光のもとへ連れ戻し、神々の食べ物で力を取り戻させた。後の伝えでは、ゼウスは牢番の怪物を殺して、キュクロプスたちも解き放ったという。キュクロプスはお礼に、ゼウスに雷を、ハデスに姿を隠す兜を、ポセイドンに三叉の矛を贈った。
決戦の日、ゼウスはもはや力を抑えない。オリュンポスから雷と稲妻を次々に投げつけ、大地は燃え上がり、森はごうごうと焼け、海も煮えたぎった。熱は、世界のはじめの暗い空間にまで届いた。百腕の巨人たちは一度に300の岩を投げ、ティタンたちを覆い隠すように打ちのめすと、地の底へ押し込んで鎖につないだ。

ティタンたちが落とされたのは、タルタロスという深い淵だった。天から青銅の金床を落とせば9日9晩で地上に着き、そこからさらに9日9晩でたどり着く深さだ。海の神ポセイドンが青銅の門を据え、百腕の巨人たちが番をした。
地の底へ落とされなかったティタンもいる。巨神アトラスは、大地の果て、黄金の林檎を守る娘たちの住むあたりに立ち、頭と疲れを知らない腕で、広い天を支え続けることになった。その役目を割り当てたのはゼウスだ、と『神統記』は書いている。

ティタンの血を引きながら、ゼウスの側についた者もいる。アテネの悲劇作家アイスキュロスの劇では、火を盗んだ神プロメテウスがこう語る。自分はティタンたちに、力ではなく知恵で勝てと説いたが、聞き入れられなかった。だから母とともにゼウスの側についた、と。
戦いが終わると、ゼウスは王となり、神々に役目を割り振った。『イリアス』やアポロドーロスの伝えでは、ゼウスと兄のポセイドン、ハデスがくじを引き、天と海と冥界を分けたという。
この物語の出典: ホメロス『イリアス』、ヘシオドス『神統記』、アイスキュロス(伝)『縛られたプロメテウス』、アポロドーロス(偽アポロドーロス)『ビブリオテーケー(ギリシア神話)』、ダグラス・ハーパー『オンライン語源辞典』
アポロドロスでは、ガイアが「タルタロスに投げ込まれた者たちを味方にすれば勝つ」と予言し、ゼウスは牢番のカンペを殺して彼らを解放する。キュクロプスたちはゼウスに雷を、ハデスに兜を、ポセイドンに三叉の鉾を贈り、これで神々はティタンを打ち負かした。
アポロドーロス(偽アポロドーロス)『ビブリオテーケー(ギリシア神話)』 1〜2世紀頃
「ティタン(Titan)」の名は現代語に広く残っている。元素チタン(titanium)は1795年にドイツの化学者クラプロートが「大地の息子たち」としてのティタンにちなんで名づけたもので、形容詞 titanic(巨大な)は1709年から英語に見え、1912年に沈んだ客船タイタニック号の名にもなった。
ダグラス・ハーパー『オンライン語源辞典』 2001年〜(2026年9月閲覧)
『神統記』では、オトリュス山に陣取るティタンたちと、オリュンポスに拠るクロノスの子ら(ゼウスたち)が、まる十年戦い続けて決着がつかなかった。
ヘシオドス『神統記』 前700年頃
ガイアの助言で、ゼウスたちは父ウラノスが地下に縛りつけていた百手の巨人コットス、ブリアレオス、ギュゲスを光のもとへ連れ戻し、神々の食べ物ネクタルとアンブロシアで力を回復させて味方につけた。
ヘシオドス『神統記』 前700年頃
ついにゼウスは力のすべてを見せ、オリュンポスから雷と稲妻を次々に投げつける。大地は燃え、オケアノスの流れも海も煮えたぎり、熱は「カオス」にまで達した。百手の巨人たちは三百の岩を投げてティタンたちを覆い、地下深くに縛りつけた。
ヘシオドス『神統記』 前700年頃
ティタンたちは、天から落とした青銅の金床が九日九夜かかって地上に着き、さらに九日九夜かかって届くほど深いタルタロスに閉じ込められる。ポセイドンが青銅の門を据え、百手の巨人たちが番をする。『イリアス』でもティタンたちは「タルタロスの下にいる者たち」と呼ばれる。
ホメロス『イリアス』 前8世紀頃、ヘシオドス『神統記』 前700年頃
戦いのあと世界がどう分けられたかは伝えによって違う。『神統記』では神々がガイアの勧めでゼウスに王になるよう求め、ゼウスが神々に役目を割り振る。『イリアス』のポセイドンとアポロドロスでは、ゼウス・ポセイドン・ハデスの三兄弟がくじを引き、天・海・冥界を分けたとされ、大地とオリュンポスは共有とされる。
ホメロス『イリアス』 前8世紀頃、ヘシオドス『神統記』 前700年頃、アポロドーロス(偽アポロドーロス)『ビブリオテーケー(ギリシア神話)』 1〜2世紀頃
アイスキュロス『縛られたプロメテウス』では、プロメテウスはティタンたちに「力ではなく策略で勝て」と説いたが聞き入れられず、母テミスとともにゼウスの側について勝利に貢献した、と自ら語る。ヘシオドスにはこの経緯はない。
アイスキュロス(伝)『縛られたプロメテウス』 前5世紀
ウラノスは生まれた子ら(とくに百腕の巨人)を嫌って大地の奥に押し込め、苦しんだガイアは鉄の鎌を作って子らに復讐を促した。名乗り出たのはクロノスで、待ち伏せて父を傷つけた。これが神々の代替わりの最初の反逆になる。
ヘシオドス『神統記』 前700年頃、アポロドーロス(偽アポロドーロス)『ビブリオテーケー(ギリシア神話)』 1〜2世紀頃
ゼウスはティタンとの戦いの前に、味方する神からは役目を奪わず、クロノスの下で役目のなかった者には与えると約束した。最初に駆けつけたのはステュクスとその子ら(ニケ、クラトス、ビア、ゼロス)で、ゼウスはステュクスを神々の大いなる誓いとし、子らを常にそばに置いた。
ヘシオドス『神統記』 前700年頃
2.13.7 神託に従い、山羊の皮とゴルゴンの首で身を守ってティタンと戦う
天を支える罰はティタン戦争後の処分の文脈で語られるが、アトラスが戦ったことを『神統記』は明記しない
8.478-481 クロノスとともにタルタロスの底にいる。ティタン戦争で敗れた側という理解は『神統記』の筋と合わせたもので、ホメロスは理由を書かない
1.2.1 吐き出された兄姉たちとともにゼウスがティタン戦争を戦う直前の出来事
1.2.1 キュクロプスから兜を贈られる
209-218 力ではなく策略で勝つ者が支配すると予言した
『神統記』617-735、アポロドーロス1.2.1
1.2.1 この武器を得た神々がティタンを破る
タイタニック / titanic形容詞 titanic「巨大な、ティタンのような」は1709年から英語に見える。1912年4月15日に沈んだ英国客船タイタニック号の名はこの語で、以来「沈まないはずのものの破滅」の象徴にもなった。
チタン / titanium元素チタン(titanium)は、1795年にドイツの化学者クラプロートが、ラテン語 Titan(ティタン)から名づけた。ティタンを「大地の息子たち」とみなす発想による命名で、クラプロートはその前にウラン(uranium)も命名している。純粋な金属として取り出されたのは1887年。