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ムーサ姉妹たちエラト姉妹ゼウス父ムネモシュネ母ウラニア姉妹
ムーサのテルプシコレ。ジョゼフ・ファニャーニの作。

テルプシコレ

Τερψιχόρη神

ムーサのテルプシコレ。ジョゼフ・ファニャーニの作。 『テルプシコレ』 ジョゼフ・ファニャーニ 1869年 メトロポリタン美術館Public Domain (The Met Open Access, CC0)

テルプシコレ。この女神の名は、そのまま「踊りを楽しむ者」という意味になる。ところが古代の終わりには、踊りではなく竪琴の女神として描かれたこともあった。

では、歌の女神ムーサの一人テルプシコレが、どのように語られてきたのか、見ていこう。

『神統記』によれば、テルプシコレはゼウスと記憶の女神のあいだに生まれた九人のムーサの一人で、五番目に名が挙がる。すぐ後に続くのが、恋の詩と結びつけられるエラトである。『神統記』は九人それぞれの受け持ちを語らないが、この女神だけは、名前そのものが踊りを指している。ホメロスの二つの叙事詩には、その名は出てこない。

名前どおり踊りと結びつけたのが、哲学者プラトンだった。『パイドロス』には、夏の蝉にまつわる話がある。昔、ムーサたちが生まれて歌というものがこの世に現れたとき、一部の人間は歌の喜びに夢中になり、食べることも飲むことも忘れて、気づかないうちに死んでしまった。その人々から生まれたのが蝉で、ムーサたちから、食べ物も飲み物もなしに死ぬまで歌い続けられる力を授かった。

蝉は死ぬとムーサたちのもとへ行き、地上で誰がどのムーサを敬っていたかを知らせる。テルプシコレには、合唱の踊りで彼女を敬った人々のことを報告し、その人々が女神にいっそう愛されるようにするのだという。

ところが、後の時代の説明は一つにまとまらない。歴史家ディオドロスは、テルプシコレの名を、教養から生まれる良いもので聞く人を「喜ばせる」ことから来たと説明し、踊りには触れていない。古代の終わりのラテン語の詩では、テルプシコレは竪琴で人の心を動かし、導き、高める女神として描かれている。

九人のムーサの受け持ちは、時代と書き手によってこれほど違っていた。今日よく知られる「踊りのムーサ」という姿は、名前の意味と、プラトンの蝉の話に近いものである。

この物語の出典: ヘシオドス『神統記』、プラトン『パイドロス』、ディオドロス(シケリアの)『歴史叢書』、作者不詳(アウソニウス作と伝わる)『ムーサたちの名(ラテン詞華集664)』、ダグラス・ハーパー『オンライン語源辞典』

この物語の人々

こういう風にも語られている

プラトン『パイドロス』の蝉の話では、蝉はテルプシコレに、合唱舞踊(コロス)で彼女を敬った人のことを知らせ、その人たちを女神にいっそう愛されるようにする。前4世紀の段階で、名前の意味どおり踊りと結びつけられている。

プラトン『パイドロス』 前4世紀前半

古代末期のラテン語の詩「ムーサたちの名」では、「テルプシコレは竪琴で心を動かし、導き、高める」とされる。今日よく知られる「舞踊のムーサ」ではなく、竪琴のムーサとして描かれている。

作者不詳(アウソニウス作と伝わる)『ムーサたちの名(ラテン詞華集664)』 古代末期(成立年未確定)

ローマ以後の語り

英語 terpsichorean は1869年から「舞踊の」という意味で使われ、文字どおりには「テルプシコレの」。名前は terpein「喜ばせる」と khoros「踊り、合唱」からなる。名詞として「踊り子」の意味でも1889年から使われる。

ダグラス・ハーパー『オンライン語源辞典』 2001年〜(2026年9月閲覧)

もっと詳しく

『神統記』では九柱の五番目に名が挙がる。ヘシオドスは担当分野を語らないが、名前そのものが「踊りを楽しむ者」という意味をもつ。

ヘシオドス『神統記』 前700年頃

ホメロスの二つの叙事詩にテルプシコレの名は出てこない。

ホメロス『イリアス』 前8世紀頃、ホメロス『オデュッセイア』 前8世紀頃

ディオドロスは、テルプシコレの名を、教養から生まれる良いもので聞き手を「喜ばせる(テルペイン)」ことから来ると説明し、踊りには触れない。エウテルペの説明とほとんど同じになっている。

ディオドロス(シケリアの)『歴史叢書』 前1世紀後半

『パイドロス』によれば、ムーサたちが生まれて歌が現れたとき、歌の喜びに夢中で飲食を忘れて死んだ人々から蝉が生まれ、ムーサたちから飲食なしに歌い続ける力を授かった。蝉は死後ムーサたちに報告し、テルプシコレには合唱舞踊で彼女を敬った人々のことを知らせる。

プラトン『パイドロス』 前4世紀前半

今の言葉に残る

舞踊の / terpsichorean英語の形容詞 terpsichorean は1869年から「舞踊の、踊りに関する」という意味で使われ、文字どおりには「テルプシコレの」。ムーサの名 Terpsikhorē は terpein「喜ばせる」と khoros「踊り、合唱」からなる。名詞として「(女性の)踊り子」の意味では1889年から見られる。

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このページの出典(7件)
  1. 前8世紀頃ホメロス『イリアス』
  2. 前8世紀頃ホメロス『オデュッセイア』
  3. 前700年頃ヘシオドス『神統記』
  4. 前4世紀前半プラトン『パイドロス』
  5. 前1世紀後半ディオドロス(シケリアの)『歴史叢書』
  6. 古代末期(成立年未確定)作者不詳(アウソニウス作と伝わる)『ムーサたちの名(ラテン詞華集664)』
  7. 2001年〜(2026年9月閲覧)ダグラス・ハーパー『オンライン語源辞典』