ゲーム『ハデス』の元ネタのギリシャ神話
冥界の王子になって、死者の国からの脱出を何度も試みるゲーム『ハデス』。神話で、冥界から出ていこうとした者たちはどうなったのか。
どんな作品か
冥界の王ハデス
出ていく者を逃がさない門
冥界から戻ろうとした者たち
それでも、生きたまま冥界へ下って戻ろうとした者たちがいる。英雄ヘラクレスは、十二の難業の最後に、その番犬を地上へ引きずり出した。
ローマ期ビブリオテーケー(ギリシア神話)
アテナイの英雄テセウスは、冥界の女王を奪おうとして下り、「忘却の椅子」に張りつけられて動けなくなった。のちにヘラクレスに引き起こされて、ようやく地上へ帰っている。
ローマ期ビブリオテーケー(ギリシア神話)
この話の項目
- ハデス冥界を支配する神で、ゼウス・ポセイドンの兄弟。オリュンポスには住まず、十二神に数えられないのが通例。ペルセポネを攫って妻とし、その和解から季節の循環が生まれる。
- 冥界死者の魂が行く地下(あるいは世界の西の果て)の国。王はハデスと妃ペルセポネ。ホメロスでは「ハデスの館」と呼ばれ、オケアノスの流れの向こうにある。アケロン、ピュリプレゲトン、コキュトス、ステュクスなどの川、渡し守カロン、番犬ケルベロス、罪人のためのタルタロス、善人のためのエリュシオン、といった「地図」は時代を追って書き足されていった。
- ケルベロス冥界の入口を守る番犬。入ってくる者には尾を振るが、出ようとする者は食う。ヘラクレスの最後の功業で地上に引き出された。頭の数は、ヘシオドスの50から、のちの3つへと変わっている。
- オルペウス竪琴と歌で獣や木や岩まで動かしたトラキアの詩人。亡くした妻エウリュディケを連れ戻しに冥界へ下るが、地上の手前で振り返って再び失う。この「振り返る」結末がまとまった物語として読めるのはウェルギリウスとオウィディウスからで、オペラ・映画でもっとも多く翻案されたギリシャ神話の一つ。
- テセウスアテナイの王で、アテナイ人にとっての国民的英雄。クレタの迷宮でミノタウロスを倒し、王女アリアドネの糸で脱出した。ヘラクレスとともにアマゾンと戦い、少女ヘレネをさらい、冥界から戻れなくなってヘラクレスに救われるなど、他の英雄譚と何度も交差する。
- ヘラクレスゼウスとアルクメネの子の英雄。ヘラに憎まれ、母のいとこにあたるエウリュステウスに仕えて数々の難業をこなした。トロイアをトロイア戦争の一世代前に一度攻め落とし、その弓はのちにピロクテテスに渡ってトロイア陥落の鍵になる。
- ペルセポネデメテルとゼウスの娘で、ハデスに攫われて冥界の女王となった。ザクロの種を口にしたため一年の一部を地下で過ごすことになり、その往復が季節の循環と結びつけられる。ホメロスでは誘拐譚を欠いたまま、すでに厳然たる冥界の女王として現れる。
ほかの作品の話
- 聖闘士星矢女神アテナを護る少年たちが、星座の名を背負って戦う。『聖闘士星矢』のどこが、ギリシャ神話のどの話につながっているのか。
- トロイトロイア戦争を描いた2004年の映画『トロイ』。ホメロスの『イリアス』と並べると、どこが同じで、どこが変えられているのか。
- オデュッセイア(ノーラン監督)2026年7月に公開された、クリストファー・ノーラン監督の映画『オデュッセイア』。ホメロスの叙事詩と並べると、何を変え、どこをふくらませたのか。
- ヘラクレス(ディズニー)ディズニーのアニメ映画『ヘラクレス』。神話の英雄の話と並べると、母も、敵も、師匠も、メガラの役回りも、ずいぶん入れ替わっている。
- パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々ギリシャの神々が今もいて、神と人間のあいだに生まれた子どもたちが怪物と戦う。『パーシー・ジャクソン』のどこが、神話のどの話につながっているのか。
- ゴッド・オブ・ウォースパルタの戦士クレイトスが、オリュンポスの神々に挑むゲーム『ゴッド・オブ・ウォー』。主人公の名前からして、ギリシャ神話に出てくる神の名前だった。
- ワンダーウーマンアマゾン族の王女ダイアナが、人間の世界で戦う『ワンダーウーマン』。その故郷の島の名前も、一族の名前も、ギリシャ神話にさかのぼる。
- タイタンの戦い英雄ペルセウスが、メドゥサの首で海の怪物クラーケンに立ち向かう映画『タイタンの戦い』。神話のペルセウスの話と、どこが重なり、どこが違うのか。
- Fate/Grand Order歴史や伝説の人物が「サーヴァント」として戦う『Fate/Grand Order』。ギリシャ神話から来たメドゥーサ、ヘラクレス、アタランテは、神話ではどんな人物だったのか。
- 海のトリトン(手塚治虫)少年トリトンが、海の支配者ポセイドンの一族と戦う手塚治虫の『海のトリトン』。ところが神話では、トリトンはポセイドンの息子だった。