出典 · ホメロス
オデュッセイア
ホメロス · 前8世紀頃 · Odyssey
巻・行の参照は標準の行番号による。
日本語訳: 松平千秋訳、岩波文庫、1994 · 原文・参考リンク ↗
この出典が語っていること
アカイメニデス
- アカイメニデスは洞窟で見たことを語る。キュクロプスが仲間二人を岩に打ちつけて食べるのを見た。オデュッセウスは酒で眠らせ、くじを引いた仲間とともに鋭い杭で一つ目を潰した。『オデュッセイア』9歌でオデュッセウス自身が語る場面を、ウェルギリウスはその場にいた別の部下の口からもう一度語らせている。 (『アエネイス』3.616-638。『オデュッセイア』9.287-398)
- ホメロスの『オデュッセイア』9歌では、オデュッセウスは羊の腹の下に隠れて洞窟を出ると、仲間を縄から解いて船へ連れ帰る。船の仲間は生きて戻った者たちを喜び、食われた者たちを嘆く。置き去りにした仲間の話は出てこない。 (9.461-467、9.565-566)
アケロン
- 『オデュッセイア』では、キルケが、オケアノスを渡ってペルセポネの森(ポプラと柳)の岸に船をつけ、ハデスの館へ行けと教える。そこではピュリプレゲトンと、ステュクスの水の分かれであるコキュトスがアケロンに流れこみ、二つの川の合流するところに岩がある。オデュッセウスはそこで穴を掘って死者を呼ぶ。『イリアス』にはアケロンの名は出てこない。 (『オデュッセイア』10.508-527、11.20-22。『イリアス』は英訳全文を Acheron で検索して該当なし(2026年9月))
- 関係: setting_of → nekyia (10.513-527 キルケが、アケロンに二つの川が流れこむ岩のそばで死者を呼べと教え、11.20-22 オデュッセウスはその場所へ着く)
- 関係: visited_by → odysseus (11.20-22)
アキレウス
- 関係: companion → antilochus (『イリアス』18.1-34 で死の報せを運ぶ。『オデュッセイア』24.76-79 でパトロクロスと並ぶ親友とされる)
- 関係: parent → neoptolemus (11.505-537。冥界でその消息を尋ねる)
アイアイエ島
- オデュッセウスが岩に登って見渡すと、果てしない海に囲まれた低い島で、茂みと森の向こうに煙だけが立っていた。島と分かるまで2日を費やしている。 (10.194-202)
- 12歌の冒頭では「そこは曙(エオス)の住まいと舞いの庭があり、太陽の昇るところ」と説明される。だが冥界は世界の西の果てにあり、地理的な整合は取れていない。 (12.3-4「アイアイエの島、そこは曙(エオス)の住まいと舞いの庭、日の昇るところ」。冥界は11.13-19(オケアノスの流れの果て、霧と雲に覆われたキンメリオイの地、日の光の届かぬ場所)。いずれも本文で確認)
- 仲間が人の姿に戻された後、一行は丸1年ここに留まる。漂流の10年のうち、カリュプソの7年に次ぐ長い停滞。 (10.467-474)
- 冥界から戻った一行は再びこの島に上陸し、エルペノルを葬ってキルケの最後の助言を受ける。旅の中で二度訪れる唯一の場所であり、折り返し点になっている。 (12.1-141)
- ラストリュゴネス人に船団を失った一行は、一隻でアイアイエに着き、神に導かれて港に入ったが、疲れと悲しみで2日2晩浜に伏せていた。3日目にオデュッセウスは岩に登って煙を見つけ、帰り道で水を飲みに降りてきた大角の鹿を仕留めて仲間にふるまった。 (10.133-184)
- キルケの館は谷間に建つ磨いた石の館で、まわりには山の狼と獅子がいた。キルケが悪い薬で手なずけていたため、獣たちは人に襲いかからず、主人にじゃれつく犬のように長い尾を振ってすり寄った。 (10.210-219)
- いちばん若い仲間エルペノルは、涼みたさに酔ってキルケの館の屋根で寝ていたが、出発の騒ぎで飛び起きて、はしごを降りることを忘れて屋根から落ち、首の骨を折って死んだ。 (10.552-560)
- 関係: ruled_by → circe (10.135-139 この島に館を構える)
アイエテス
- ホメロスでは物語に登場せず、『オデュッセイア』でキルケを「心の恐ろしいアイエテスの実の姉妹」と紹介し、両者をヘリオスとオケアノスの娘ペルセの子とする。また、さまよう岩を無事に抜けたただ一隻の船を「アイエテスのもとから帰る、誰もが知るアルゴ船」と呼ぶ。 (10.135-139、12.69-72)
- 関係: child → helios (『神統記』956-957(母ペルセイス)、『オデュッセイア』10.138-139(母ペルセ)、アポロドーロス1.9.1)
- 関係: sibling → circe (『神統記』956-957、『オデュッセイア』10.137)
アイギス
- 『オデュッセイア』の求婚者殺しの場面で、アテナが天井からアイギスを掲げると、求婚者たちは正気を失ってアブに追われる牛のように逃げまどう。 (22.297-301)
- 関係: owned_by → athena (『イリアス』2.446-449、5.738-742、『オデュッセイア』22.297、ヒュギヌス『天文譜』2.13.7 ゼウスがアテナに譲る)
アイオロス
- 住まいは海に浮かぶ島アイオリエ。島全体が砕けぬ青銅の壁に囲まれ、岩壁が切り立っていると描写される。 (10.1-4)
- 6人の息子と6人の娘がいて、娘たちを息子たちに娶わせ、家族だけで宴を続けていると語られる。ホメロスはこれを咎めもせず淡々と記す。 (10.5-12)
- 9歳の牛の革の袋にすべての逆風を詰め、銀の紐で船底に縛りつけて渡し、西風だけを吹かせて送り出す。9日間の順風でイタケの火が見えるところまで来る。 (10.19-30)
- オデュッセウスが眠り込んだ隙に、仲間たちが袋には金銀が入っていると疑って開けてしまい、風が一斉に飛び出して船はアイオリエまで吹き戻される。故郷が見えていながら失う、物語中もっとも惜しい失敗。 (10.28-55)
- 戻ってきた一行に「不死の神々に憎まれている者を送り出すことはできぬ、この島から失せろ」と言って追い返す。神の怒りを受けた者への態度が一転する場面。 (10.56-79(拒絶の言葉は10.72-75))
- ホメロスは彼を「不死の神々に愛されたヒッポタスの子」と呼ぶだけで、神とは書かない。後代に「風の神アイオロス」として神格化して扱われるが、『オデュッセイア』では風を託された人間である。 (10.2、10.21-22(ゼウスが風を司る役を与えたとある))
- 仲間たちは、同じ苦労をしたのにオデュッセウスだけがトロイアの戦利品とアイオロスからの金銀を持ち帰ると言い合って袋を開けた。目覚めたオデュッセウスは海に身を投げようかと迷ったが、耐えて船に横たわった。 (10.34-55)
- 関係: companion → odysseus (10.14-27 ひと月もてなし、風の袋を贈る。10.72-75 で二度目は追い返す)
アガメムノン
- 『オデュッセイア』では主犯はアイギストス。自邸の宴に招いて「牛を飼葉桶で殺すように」討ち、クリュタイムネストラは「呪わしい妻」として加担する。カッサンドラを斬ったのは彼女だとアガメムノンの亡霊が語る。 (11.404-434(共謀 11.409-411、カッサンドラ 11.421-423))
- 帰国したアガメムノンは大地を抱いて口づけし涙を流したが、アイギストスが黄金2タラントンで雇い1年見張らせていた男に見つかる。アイギストスは20人を伏せて宴に招き、彼を殺した。 (4.512-537)
- 亡霊は、死にゆく自分の目も口も、妻は閉じてくれずに背を向けた、と語る。 (11.424-426)
- 冥界で亡霊となったアガメムノンは、夫を待ち続けたペネロペイアの名声は歌となって残るとたたえ、夫を殺した自分の妻の歌は忌まわしいものになると対比する。 (24.192-202)
- 関係: spouse → clytemnestra (『イリアス』1.113-115、『オデュッセイア』11.410-411)
- 関係: parent → orestes (1.29-43, 3.306-310)
大アイアス
- アキレウスの死後、その武具をめぐってオデュッセウスと争い、敗れる。『オデュッセイア』の冥界では、オデュッセウスが話しかけても一言も答えずに闇の中へ去っていく。 (11.538-565(沈黙して去るのは 11.563-564))
- 関係: enemy → odysseus (『オデュッセイア』11.543-564、『小イリアス』要約。武具争いの相手)
小アイアス
- 『オデュッセイア』では、アテナに憎まれながらも岩にしがみついて助かりかけるが、「神々の意に反して逃れてみせた」と豪語したためにポセイドンが三叉の矛でギュライの岩を割り、海に沈められる。神殿での乱暴には一言も触れられず、死因はこの一言の傲慢である。 (4.499-511)
- 関係: enemy → athena (『オデュッセイア』4.502、『イリオスの陥落』要約)
- 関係: killed_by → poseidon (4.499-511。ギュライの岩を三叉の矛で砕かれて海に沈む)
アルキノオス
- ポセイドンとペリボイアの子ナウシトオスの孫。兄レクセノルが子を残さず死んだため、その娘アレテを妻に迎えた。叔父と姪の結婚という系譜がそのまま語られる。 (7.56-68)
- 名も素性も尋ねる前にもてなしと帰国の船を約束する。客の名を問うのは3日後の宴の席で、デモドコスの歌に涙する姿を見てからである。歓待の掟の理想型として描かれる。 (7.186-196(船の約束)、8.548-586(名を問う))
- 彼の館での宴が、9〜12歌の漂流譚全体の語りの枠になる。オデュッセウス自身の一人称の回想はこの宴の席で語られ、終わると13歌で船に乗せられる。 (8.548-586(名乗り)から13.1-92(出航)まで)
- オデュッセウスの人柄を気に入り、娘の婿となってここに留まってはどうかと申し出る。引き留めを試みる3人目の相手(キルケ、カリュプソに続く)だが、やはり強いてはいない。 (7.311-316)
- 父ナウシトオスから「いつかポセイドンが、人を送り届けた船を海上で石に変え、都を山で囲む」と聞かされていたと語る。実際に船は石に変えられ、パイエケス人は以後の送り届けをやめる。 (8.564-571(予言)、13.159-187(成就))
- 館の庭は四季を問わず梨・柘榴・林檎・無花果・オリーブが実り続け、葡萄が同時に花と実をつけると描写される。現実離れした豊かさが、パイエケス人を人間界と神々の世界の中間に置いている。 (7.112-132)
- アルキノオスによれば、パイエケス人の船には舵取りも舵もなく、船自身が人の考えを読み取り、あらゆる町と畑を知っていて、霧と雲に包まれて素早く海を渡る。 (8.555-563)
- デモドコスがトロイアの歌を歌うたび、オデュッセウスは紫の外套で顔を覆って泣いた。他の者は気づかなかったが、隣に座るアルキノオスだけが気づき、歌をやめさせて競技に移った。 (8.83-103)
- 船が石に変えられると、アルキノオスは父の予言が成就したと悟り、以後よそ者を送り届けるのをやめ、ポセイドンに選りすぐりの牡牛12頭を捧げて、町を山で囲まないよう祈らせた。 (13.170-187)
- 関係: spouse → arete (7.63-68 兄レクセノルの娘を妻とし、地上のどの女にもまさる敬意を払った)
- 関係: parent → nausicaa (6.17)
- 関係: companion → odysseus (7.132-13.92 もてなし、贈り物を与え、船で送り届ける)
- 関係: ruler → scheria (6.12、7.23 パイエケス人の国の王)
- 関係: enemy → poseidon (8.564-571、13.125-187 送り届けた船を石に変えられ、都を山で囲まれると予言されていた)
アルクマイオン
- ホメロスでは、『オデュッセイア』15歌の予言者の家系の中で、アンピアラオスの子として弟アンピロコスと並んで名が挙がるだけ。母殺しは語られない。ただし同じ歌は、父が「女の贈り物のために」テーバイで死んだと語っており、後の母殺しの動機はすでに出そろっている。 (15.244-248)
- 関係: child → amphiaraus (『オデュッセイア』15.248 / 3.6.2, 3.7.2)
アルクメネ
- ホメロスでは、テバイでヘラクレスを生んだ女性として名が出る。『オデュッセイア』の冥界の女性たちの列にも「アンピトリュオンの妻で、ゼウスの腕に抱かれてヘラクレスを生んだ」アルクメネが現れる。 (『イリアス』19.98-99、『オデュッセイア』11.266-268)
- 関係: parent → herakles (『神統記』943-944、『オデュッセイア』11.266-268、『イリアス』19.98-99)
- 関係: lover → zeus (『神統記』943-944、『オデュッセイア』11.268、アポロドーロス 2.4.8)
アルキュオネ
- 父親のアイオロスは、出典によって別人になる。アポロドーロスでは、ギリシャ人の名祖ヘレンの子アイオロスの娘。オウィディウスではアルキュオネ自身が「父ヒッポテスの子は、強い風を牢に閉じ込めている」と言い、『オデュッセイア』でオデュッセウスに風の袋を渡した風の番人アイオロスを父にしている。物語の最後に、娘夫婦の子育てのために父が風を封じるという結びは、この系譜があって成り立つ。 (アポロドーロス 1.7.3-4 / Met. 11.431-432、11.747-748 /『オデュッセイア』10.1-2(ヒッポテスの子アイオロス))
アンブロシアとネクタル
- 『オデュッセイア』では、カリュプソがヘルメスにアンブロシアとネクタルを供するが、オデュッセウスと食卓を囲むときは、彼には人間の食べ物を、自分には侍女がアンブロシアとネクタルを置く。 (5.85-94、5.194-199)
- ゼウスのもとへアンブロシアを運ぶ臆病な鳩たちでさえ、プランクタイ(ぶつかり合う岩)を通り抜けるときに一羽ずつさらわれ、父神がそのたびに一羽を補うという。 (12.59-65)
- メネラオスたちがアザラシの皮をかぶってプロテウスを待ち伏せしたとき、エイドテアはアザラシの悪臭を消すため、香り高いアンブロシアを各人の鼻の下に置いた。 (4.435-446)
- オデュッセウスの差し出したぶどう酒を飲んだキュクロプスは、これは「アンブロシアとネクタルの流れ」だと言ってお代わりを求める。 (9.353-360)
アンピアラオス
- ホメロスでの姿: 『オデュッセイア』15歌の予言者の家系の紹介で、メランプスの曾孫、オイクレスの子として出てくる。「民を奮い立たせる者、アイギスを持つゼウスとアポロンがあらゆる愛で愛した」が、老いの戸口に至らず、「女の贈り物のために」テーバイで死んだ、と語られる。息子はアルクマイオンとアンピロコス。11歌の冥界では「夫の命の代価に黄金を受け取った憎むべきエリピュレ」が挙げられ、名は出さずに同じ話を指している。 (15.241-248, 11.326-327)
- 関係: spouse → eriphyle (『オデュッセイア』11.326-327 / 『ネメア祝勝歌』9.16-17 / 3.6.2)
- 関係: parent → alcmaeon (『オデュッセイア』15.248 / 3.6.2, 3.7.2)
- 関係: companion → zeus (『オデュッセイア』15.245 ゼウスとアポロンに愛された / 『ネメア祝勝歌』9.24-27 ゼウスが大地を裂いて隠す / 3.6.8 ゼウスが不死にした)
- 関係: companion → apollo (15.244-246「アイギスを持つゼウスとアポロンがあらゆる愛で愛した」)
- 関係: participated_in → seven-against-thebes (『オデュッセイア』15.246-247 /『七将』568-625 / 1109-1112 / 3.6.2-8)
アンピトリテ
- 『オデュッセイア』では、アンピトリテは「海」の言い換えとして出てくる。「アンピトリテの波のあいだに」「名高いアンピトリテが育てる海の怪物」「青い目のアンピトリテの大波」のように使われ、ポセイドンの妻としては一度も描かれない。『イリアス』には名が出ない。 (『オデュッセイア』3.91, 5.421-422, 12.60, 12.97。『イリアス』はギリシャ語本文を全文検索して確認)
アナンケ
- ヘシオドス『神統記』の神々の系譜にアナンケは出てこない。言葉としては「強い必然のもとで」アトラスが天を支える(517)、プロメテウスが縛られる(615)のように、逃れられない強制を表す普通の語として使われる。『イリアス』『オデュッセイア』でも同様。 (『神統記』517、615。ホメロスと『神統記』のギリシャ語本文で ἀνάγκη を検索し、系譜・神としての登場がないことを確認(2026年9月))
アンティクレイア
- 冥界で息子に死因を問われ、病でもアルテミスの矢でもなく、あなたを思う嘆きと恋しさが命を奪ったのだと答える。 (11.170-203(問いは11.170-173、答えは11.197-203))
- オデュッセウスは三度母を抱こうとするが、そのたびに影か夢のように腕をすり抜ける。死者には筋も骨もなく魂は夢のように飛び去る、と母が説明する。 (11.204-222)
- 息子にイタケの様子を伝える役を担う。ペネロペイアはまだ待ち、テレマコスは所領を保ち、ラエルテスは田舎で嘆いていると語る。オデュッセウスが故郷の現状を知る唯一の場面。 (11.180-196)
- 父はパルナソスのアウトリュコス。盗みと偽りの誓いに長けた人物で、孫に「オデュッセウス(憎まれる者、怒りを買う者)」という名を与えたのも彼だとされる。 (19.394-412(アウトリュコスの人物像と命名))
- 関係: parent → odysseus (11.84-89 冥界で息子と対面する)
- 関係: spouse → laertes (11.187-196 夫の窮状を息子に語る)
- 関係: participated_in → nekyia (11.84-224 冥界訪問で最初に言葉を交わす近親者)
アンティゴネ
- ホメロスにもヘシオドスにもアンティゴネは登場しない。『オデュッセイア』のエピカステ(イオカステ)の話には子どもの名が出てこない。人物像が確立するのは前5世紀の悲劇から。 (『オデュッセイア』11.271-280。「登場しない」は現存本文の範囲での確認)
アンティロコス
- ホメロスはその死の場面を描かないが、『オデュッセイア』では二度、間接的に触れる。4.187-188 でペイシストラトスが兄を「輝かしい曙の子に殺された」と悼み、3.109-112 でネストルが「走るのも戦うのもとび抜けていた」息子を嘆く。 (3.109-112, 4.187-188)
- 『オデュッセイア』の二度目の冥界の場面では、アキレウス・パトロクロス・アンティロコスの三人が並べて挙げられ、アキレウスがパトロクロスの次に重んじた仲間とされる。骨も同じ塚に納められた。 (24.76-79)
- 関係: companion → achilles (『イリアス』18.1-34 / 『オデュッセイア』24.76-79)
- 関係: killed_by → memnon (『アイティオピス』要約 / 『オデュッセイア』4.187-188「輝かしい曙の子に殺された」)
アンティノオス
- 民会でペネロペイアの経帷子の計略を暴露し、引き延ばしの責任は彼女にあると主張する。読者が織物の計略を知るのはこの告発を通じてである。 (2.84-128)
- テレマコスがピュロス・スパルタへ旅立ったことを知り、帰路のイタケとサメの間の海峡で待ち伏せて殺す計画を立てる。計画は実行されるが失敗する。 (4.628-674(計画)、4.842-847(待ち伏せ)、16.342-408(失敗と再協議))
- 乞食姿のオデュッセウスに足台を投げつけて肩を打つ。他の求婚者ですら「神が乞食の姿で訪れることもある」と諌める場面で、彼の不敬さが際立つ。 (17.409-465(投擲は17.462-463、他の求婚者の諌めは17.483-487))
- 弓を張ったオデュッセウスが最初に狙う。二つの耳のある盃を取り上げ、まさに飲もうとして死を思ってもいなかったと語られ、喉を射抜かれる。 (22.8-21)
- 父エウペイテスはかつてタポス人と組んでイタケ人を襲い、民に殺されかけたところをオデュッセウスに救われた、とペネロペイアが語る。恩を仇で返す家として描かれる。 (16.424-432)
- 乞食イロスと乞食姿のオデュッセウスがけんかを始めると、アンティノオスは面白がって、勝ったほうに火のそばの山羊の腸詰めを選ばせ、以後宴に加えてやると言って殴り合わせる。 (18.35-50)
- 誰も弓を張れないと、アンティノオスは今日はアポロンの祭日だからと弓を置かせ、翌朝山羊を捧げてから試そうと提案する。 (21.256-268)
- 関係: killed_by → odysseus (22.8-21 盃に口をつけようとした喉を矢で射抜かれる)
- 関係: suitor → penelope (1.383-398、2.84-128 求婚者を代表して彼女の引き延ばしを責める)
- 関係: enemy → telemachus (4.628-674 帰路を待ち伏せて殺す計画を立てる)
- 関係: companion → eurymachus (求婚者の二枚看板として常に並んで登場する。4.628-629 ほか)
- 関係: participated_in → suitors-of-penelope (2.84-128 求婚者側の弁を担う)
アプロディテ
- アレスとの密通が太陽神ヘリオスに見つかり、夫ヘパイストスが作った見えない網に寝床ごと捕らえられて神々の笑いものになる。『オデュッセイア』の吟遊詩人デモドコスが歌う挿話。 (8.266-366)
- 網から放されたアプロディテは、キュプロスのパポスにある自分の聖域へ帰り、美の女神たち(カリテス)に湯浴みさせてもらう。見物に来たのは男神だけで、女神たちは恥じて家にとどまった。 (8.324(女神たちは来ない)、8.362-366(パポス))
- 関係: spouse → hephaestus (8.266-270。デモドコスが歌う「アレスとアプロディテ」の歌で夫とされる)
- 関係: lover → ares (8.266-366。ヘパイストスの見えない網に二人まとめて捕らえられる)
アポロン
- アポロンを太陽神とするのは後代の同一視で、ホメロス・ヘシオドスでは太陽はヘリオスという別の神である。確実にたどれる最古の同一視はエウリピデス『パエトン』の断片で、クリュメネーがヘリオスに「人が正しくもアポロンと呼ぶあなた」と呼びかける(名を「滅ぼす者」と解く語呂合わせ)。 (『オデュッセイア』12.260-402 の太陽神はヘリオス。『神統記』371-374 もヘリオスをヒュペリオンの子とする。エウリピデス『パエトン』断片781(Nauck²)。なお偽エラトステネス『星座誌』24 は、アイスキュロス(『バッサライ』)に拠りつつオルペウスがヘリオスをアポロンと呼んだと伝える)
アレス
- アプロディテとの密通をヘリオスに見つかり、ヘパイストスが仕掛けた細い見えない網に寝床ごと捕らえられる。神々が集まって笑い、アポロンとヘルメスが軽口を叩く喜劇的な挿話。 (8.266-366)
- 関係: lover → aphrodite (8.266-366)
- 関係: enemy → hephaestus (8.266-366。見えない網で寝床ごと捕らえられ、神々の笑いものになる)
アレテ
- 「地上で夫に治められている女のうち、これほど敬われた者はない」と語られ、民は彼女を見るとき神を見るようにし、男たちの争いごとをも彼女が裁くとされる。ホメロスの女性像としては例外的に強い。 (7.66-74)
- アテナとナウシカアはともに、王ではなくまず王妃の膝に取りすがれとオデュッセウスに助言する。実際、彼は館に入るとアルキノオスを素通りしてアレテの膝を抱く。 (6.303-315(ナウシカア)、7.75-77(アテナ)、7.139-152(実行))
- 客が着ている衣が自分と侍女たちの手仕事であることに気づき、「その衣はどこで手に入れたのか」と最初に問い詰める。夫より先に核心を突く。 (7.233-239)
- 冥界の物語が中断されたとき、真っ先に口を開いて「この客をあわてて送り出すな、贈り物を惜しむな」と貴族たちに促す。パイエケス人が持たせた宝はイタケの富を上回るとされる。 (11.335-341。贈り物の量は13.135-138)
- 出航のとき、衣と黄金と食糧を持たせ、侍女に酒と衣の櫃を運ばせる。彼女の言葉がオデュッセウスへの最後のもてなしとなる。 (13.56-69)
- アレテは、客の衣が自分と侍女たちの作ったものだと気づき、「あなたは誰で、どこから来たのか。その衣は誰にもらったのか」と尋ねた。オデュッセウスはカリュプソの島からの漂流とナウシカアに助けられた経緯を語った。 (7.233-297)
- 関係: spouse → alcinous (7.63-68)
- 関係: parent → nausicaa (6.304-315 娘が「まず母に嘆願せよ」と助言する)
- 関係: companion → odysseus (7.139-152 膝を抱いて嘆願された相手。11.335-341 で贈り物を促す)
- 関係: ruler → scheria (7.66-74 民から敬われ、争いを裁く)
アルゴ船
- 『オデュッセイア』でキルケは、打ち合う岩の間を通り抜けた船はただ一隻、アイエテスのもとから帰る「万人の関心の的のアルゴ」だけだった、ヘラが守ったからだ、とオデュッセウスに教える。 (12.69-72)
- 関係: owned_by → jason (アポロドーロス 1.9.16、『オデュッセイア』12.69-72)
アルゴナウタイの遠征
- ホメロスはこの遠征を、すでに誰もが知る話として扱う。キルケはオデュッセウスに、打ち合う岩をすり抜けられた船はアイエテスのもとから帰る「万人の関心の的のアルゴ」だけだった、と語る。 (12.69-72)
アルゴス(犬)
- かつて猟犬として名を馳せたが、主人の不在のあいだ誰にも顧みられず、門の前の騾馬と牛の糞の山に寝そべり、虱にたかられていた。 (17.290-300)
- 乞食姿のオデュッセウスをただ一匹で見分け、耳を伏せ尾を振るが、立ち上がって近づく力はなかった。オデュッセウスはエウマイオスに気づかれぬよう顔を背けて涙を拭う。 (17.301-305)
- 20年目にオデュッセウスを見たその瞬間、黒い死の運命が捉えた。『オデュッセイア』で最初に主人を見破るのはこの犬であり、人間による認知はいずれもその後に来る。 (17.326-327)
- ホメロスはこの犬の由来や血統を語らず、名前と最期だけを短く記す。エピソード全体が40行に満たない。 (17.290-327)
- 関係: owned_by → odysseus (17.290-294 オデュッセウス自らが育てた犬)
アリアドネ
- 『オデュッセイア』では、テセウスがクレタからアテナイへ連れて行こうとしたが果たせず、ディオニュソスの証言によって、アルテミスがディア島で彼女を殺した。ここでのディオニュソスは夫ではなく、むしろ告発者に見える。 (11.321-325)
- 関係: child → minos (『オデュッセイア』11.322、『神統記』948、アポロドーロス 3.1.2)
- 関係: lover → theseus (『オデュッセイア』11.321-325、アポロドーロス摘要 1.8-9、『変身物語』8.172-176)
アキレウスの武具
- アキレウスの死後、この武具をめぐってアイアスとオデュッセウスが争い、オデュッセウスが得る。『小イリアス』の要約は「アテナの企みによって」と書く。敗れたアイアスは狂って家畜を殺し、自害する。 (『小イリアス』要約 / 『オデュッセイア』11.538-565 / 摘要 5.6-5.7)
- 関係: owned_by → odysseus (『オデュッセイア』11.543-564、『小イリアス』要約。争いに勝って得る(二組目))
アルテミス
- ホメロスでは、女性が苦しまずに突然死ぬことを「アルテミスの柔らかい矢に射られた」と表現する。男性に対するアポロンの矢と対になる定型。 (11.172-173, 11.198-199, 15.409-411, 18.202)
- 曙の女神エオスが人間オリオンを恋人にしたことを神々が妬み、アルテミスがオルテュギアでやさしい矢で射殺した、とカリュプソが語る。 (5.121-124)
アタマス
- 父のアイオロスはヘレンの子で、テッサリアの王。『オデュッセイア』で風の袋を渡すアイオロスとは同名の別人として扱われる。同じアイオロスの息子たちの中に、コリントスのシシュポスやサルモネウスがいる。 (アポロドーロス 1.7.3。『オデュッセイア』10.2 の風のアイオロスは「ヒッポテスの子」)
アテナ
- 『オデュッセイア』ではオデュッセウスの保護者として最も頻繁に現れ、姿を変え、彼を老人に変装させ、最後に求婚者殺しの後の争いを止める。知恵の神が知恵の英雄を選ぶ関係が明示される。 (13.221-310(変装と対面)、13.429-438(老人への変装)、24.529-548(和解))
- イタケの浜で若い羊飼いの姿でオデュッセウスに会い、彼の作り話を聞いてほほえむ。女の姿に戻り、神々の中では自分が、人間の中では彼が知恵と策略に優れていると言う。 (13.221-225、13.287-302、13.330-332)
- 関係: companion → odysseus (13.287-310。「私はどんな神の集いでもお前の知恵ゆえにお前を知っている」と自ら明かす)
- 関係: companion → telemachus (1.96-324。メンテスの姿で現れ、テレマコスを旅立たせる)
- 関係: enemy → ajax-the-lesser (4.499-511。小アイアスの帰路の破滅。神殿での狼藉への報復とするのは後代の伝承)
アトラス
- 『オデュッセイア』のアトラスは天そのものではなく、「大地と天を隔てる高い柱」を保つ者で、あらゆる海の深みを知っているとされる。「破滅を企む(ὀλοόφρων)」という不穏な添え名が付き、その娘がオデュッセウスを島に引き留めるカリュプソである。 (1.52-54, 7.245)
- 関係: parent → calypso (1.52「破滅を企むアトラスの娘」、7.245)
オデュッセウスの弓
- オイカリア王エウリュトスの弓で、その子イピトスがメッセネでオデュッセウスと出会ったときに贈った。オデュッセウスは返礼に鋭い剣と槍を与えたが、二人は客としてともに食卓に着く前に、イピトスがヘラクレスに殺されてしまう。 (21.11-33)
- 黒い船で戦に向かうときには決して携えず、亡き友の形見として館に置かれていた。イタケでだけ用いたと明記される。求婚者たちがこの弓を知らないのはそのためである。 (21.38-41)
- ペネロペイアは、この弓を張り12本の斧の柄穴を一矢で射抜いた者に嫁ぐと宣言する。まずレイオデスが試み、ついで全員が獣脂で弓を温めるが、誰も弦を張れない。 (21.68-79(宣言)、21.144-185(失敗)、21.245-255(アンティノオスの言い訳))
- オデュッセウスは弓を手に取り、竪琴の名手が絃を掛けるように難なく弦を張り、指で弾くと燕の声のように鳴った。ゼウスが雷を鳴らして応える。 (21.404-415(竪琴の比喩は21.406-411))
- 座ったまま矢を放ち、12本の斧の柄穴をすべて貫く。斧をどう並べたのかは原文から一義に決まらず、古来解釈が分かれている。 (21.416-423(椅子に座ったまま矢を放ち、最初の斧の柄の端も外さず、青銅の重い矢が貫いて向こうへ抜けた)。斧は21.120-123 でテレマコスが一本の溝を掘り、糸を張ったように真っ直ぐ立てる。19.572-575 は「造船台のように十二本、列に立てた」とだけ言い、並べ方は確定しない。いずれも本文で確認)
- この弓は「オデュッセウスにしか扱えない」という身体的な徴として働く。傷跡(エウリュクレイア)、寝台(ペネロペイア)、木の数(ラエルテス)と並ぶ、作中の認知の手段の一つ。 (21.404-423。他の認知は19.467-475、23.173-230、24.331-344)
- ペネロペイアは倉から弓を取り出すと、ケースを膝に置いて声を上げて泣き、泣き尽くしてから広間の求婚者たちのもとへ運んだ。 (21.42-60)
- 関係: owned_by → odysseus (21.11-41 イピトスから贈られた)
- 関係: participated_in → suitors-of-penelope (21.68-79 弓の試技が求婚者選びの条件として持ち出され、22歌の殺戮の道具になる)
カドモス
- ホメロスではカドモスは「イノの父」として名前が出るだけ。ヘシオドス『神統記』は、アプロディテの娘ハルモニアがカドモスとの間にイノ、セメレ、アガウエ、アウトノエ、ポリュドロスを生んだと系譜を記す。竜退治やテーバイ建国の物語は、後代の資料でまとまって読める。 (『オデュッセイア』5.333-335 /『神統記』975-978)
- 関係: parent → ino-leucothea (『神統記』975-978 /『オデュッセイア』5.333「カドモスの娘イノ」/ 3.4.2)
カドゥケウス
- ホメロスでは、ヘルメスの杖は望む者の目を眠らせ、眠る者を目覚めさせる杖として、同じ言い回しで繰り返し描かれる。 (『イリアス』24.343-344、『オデュッセイア』5.47-48、24.2-4)
- 『オデュッセイア』最終巻の冒頭で、ヘルメスは黄金の杖で求婚者たちの魂を呼び起こし、洞窟のコウモリのように鳴く魂たちを冥界の水仙の野へ導く。 (24.1-14)
- 関係: owned_by → hermes (『ヘルメス讃歌』529-532、『イリアス』24.343、『オデュッセイア』5.47、24.2-5)
- 関係: participated_in → suitors-of-penelope (24.1-10 求婚者たちの魂を冥界へ導く)
カリオペ
- ホメロスの二つの叙事詩には、カリオペを含め九柱の個々の名は一つも出てこない。叙事詩の冒頭で呼びかけられるのは、名のない「ムーサ」「女神」。 (『イリアス』1.1、『オデュッセイア』1.1。九柱の名はギリシャ語本文を全文検索して確認)
カリスト
- ホメロスは、大熊座(「車」とも呼ばれる)が同じ所を回り続け、「ただひとつオケアノスの水浴びにあずからない」、つまり水平線の下に沈まない星座だと歌う。ただしカリストの名も、熊になった娘の話も出てこない。 (『イリアス』18.487-489 /『オデュッセイア』5.272-275)
カリュプソ
- オデュッセウスがオギュギア島に留め置かれた期間は7年。本人がアルキノオスの前でそう語る。漂流10年のうち最も長い停滞で、物語の開始時点も彼がここにいる場面から始まる。 (7.259。島の名は7.244)
- オデュッセウスを不死で不老にすると申し出る。彼は「ペネロペイアはあなたに比べれば姿も背丈も劣る、彼女は人間であなたは不死の身だ」と認めたうえで、それでも故郷に帰りたいと答える。 (5.135-136(申し出)、5.203-224(やり取り))
- ヘルメスに解放を命じられると、女神が人間の男を伴侶にすると神々は妬むが、男神が人間の女を娶るのは咎めないと抗議する。神々の側の不公平を女神自身が指摘する珍しい場面。 (5.118-144)
- 引き留めをやめた後は、斧と手斧を与え木を教え、布を与えて筏作りを助ける。筏は4日で完成し、18日目にパイエケス人の陸が見える。 (5.233-261(筏作り)、5.278-281(18日目))
- ホメロスでは「悪意を抱くアトラスの娘」とされる。ヘシオドス『神統記』ではオケアノスの娘たちの一人として名が挙がっており、系譜が一致しない。 (『オデュッセイア』1.52、7.245。『神統記』359(オケアニスの一覧))
- ヘルメスが訪れたカリュプソの洞窟では、杉とネズの薪が香り、女神は歌いながら黄金の杼で機を織っていた。周りにはハンノキ・ポプラ・糸杉の森、フクロウやハヤブサの巣、葡萄の蔓、並んで流れる4つの泉、スミレとパセリの草地があり、不死の者でも見とれるほどだった。 (5.55-75)
- オデュッセウスは夜は洞窟でしかたなく女神の横に眠ったが、昼は浜の岩に座り、涙を流して海を眺めていた。 (5.151-158)
- 筏で帰れと言われたオデュッセウスは企みを疑い、災いを企まないと大いなる誓いを立ててくれと求める。カリュプソは微笑んで彼をなで、大地と天とステュクスの水にかけて誓った。 (5.171-191)
- 関係: lover → odysseus (5.226-227。7年間(7.259))
- 関係: ruler → ogygia (1.50-54 「海のへそ」にある島の洞に住む)
カッサンドラ
- アガメムノンの戦利品としてミュケナイへ渡り、クリュタイムネストラに殺される。『オデュッセイア』では死に際の声が語られ、アイスキュロスでは自分の死を予言しながら舞台に入っていく。 (『オデュッセイア』11.421-423、『アガメムノン』1035-1330 のカッサンドラの場)
- 関係: abducted_by → agamemnon (『アガメムノン』でミュケナイへ連れ帰られる。『オデュッセイア』11.421-423 でアガメムノンと共に殺される)
- 関係: killed_by → clytemnestra (『オデュッセイア』11.421-423、『アガメムノン』1440-1447)
カストル
- 兄弟とともに、一日おきに生きては死ぬという形でゼウスから栄誉を与えられ、神々と同じように敬われている。 (11.301-304)
- 『オデュッセイア』は二人が「一日おきに生きては死ぬ」形でゼウスから栄誉を受け、神々と同じように敬われていると書く。ピンダロスはこれを、不死のポリュデウケスが兄のために自分の不死を半分譲ったという形で語る。分け合いの筋道は後代のほうが明確になっている。 (『オデュッセイア』11.301-304 / 『ネメア祝勝歌』10.75-90)
- 関係: sibling → polydeuces (『イリアス』3.237、『オデュッセイア』11.300)
- 関係: child → leda (11.298-300)
- 関係: child → tyndareus (『オデュッセイア』11.298-300、アポロドーロス 3.10.7)
ヘリオスの牛
- この事件は『オデュッセイア』の冒頭6〜9行で先取りされる。仲間たちは「自らの無思慮によって」太陽神の牛を食らい、帰郷の日を奪われたと語られ、物語全体の主題が最初に提示される。 (1.6-9)
- テイレシアスとキルケの両方から警告される。牛は7つの群れ50頭ずつ、羊も7つの群れ50頭ずつで、生まれも死にもせず、ヘリオスとネアイラの娘パエトゥサとランペティエが番をしている。 (11.104-115(テイレシアス)、12.127-141(キルケ))
- オデュッセウスは島に上陸しないよう主張するが、エウリュロコスが疲れた仲間を代弁して上陸を押し通す。牛に手を出さぬと全員に誓わせて上陸したが、逆風で1か月足止めされ、食糧が尽きる。 (12.271-303(誓いは12.298-302)、12.325-334(1か月の逆風))
- オデュッセウスが祈りに出て眠らされた隙に、エウリュロコスが「飢え死によりは牛を食って死ぬほうがよい」と説き、牛が屠られる。大麦も葡萄酒もないため、樫の葉と水で代用した犠牲となる。 (12.339-365)
- 神々は6日間にわたって不吉な徴を見せる。剥いだ皮が這い、串に刺した肉が生でも焼けても牛の声で鳴いたと語られる。 (12.394-398)
- ヘリオスがゼウスに罰を求め、応じなければ冥界に降りて死者を照らすと脅す。ゼウスは出航後の船に雷を落とし、オデュッセウス一人を残して全員が海に沈む。 (12.374-390(訴え)、12.403-425(落雷と難破))
- 舞台のトリナキエ島は、後代にシチリア島と同一視されるようになるが、ホメロスは場所を特定していない。トゥキュディデスはシチリアの古名をトリナクリアとし、ストラボンは「シチリアは三角形なので初めトリナクリアと呼ばれ、のちに響きのよいトリナキスに変わった」と書く。つまり実在の地名の方が先にあり、ホメロスの島の名がそれに引き寄せられた可能性が高い。 (『オデュッセイア』12.127、12.135(キルケがトリナキエ島とヘリオスの牛の群れを告げる)を本文で確認。ストラボン 6.2.1 を本文で確認。トゥキュディデス 6.2.2 はシチリアの古名をトリナクリアとする。誰が最初にホメロスの島をシチリアと同定したかは辿れない)
- エウリュロコスは上陸を求めて「あなたは鉄でできているのか」とオデュッセウスをなじる。牛を屠るときには、飢え死にはどの死よりみじめだ、牛を捧げて故郷に帰ったらヘリオスに神殿を建てよう、それでも神が怒るなら海で一気に死ぬほうがよい、と説いた。 (12.278-293、12.340-351)
- 7日目に出航し陸が見えなくなると、ゼウスは黒雲をかけ西風の嵐と雷を送り、仲間たちは海に落ちてカモメのように波間に漂い、帰郷の日を奪われた。 (12.399-419)
- 関係: participant → odysseus (12.260-402。彼自身は牛を食べず、眠っている間に起きた)
- 関係: participant → eurylochus (12.339-365 牛を屠ろうと仲間を説き伏せる)
- 関係: participant → helios (12.374-390 ゼウスに訴え、罰がなければ冥界で死者を照らすと脅す)
ケライノ
- ケライノは自分のことを「フリアエ(復讐の女神たち)の中で最も偉大な者」と名乗る。ハルピュイアと復讐の女神を重ねる言い方で、ホメロスにもハルピュイアがさらった娘たちを復讐の女神エリニュスたちに渡す話がある。 (『アエネイス』3.252。『オデュッセイア』20.77-78)
ケンタウロス族
- 『オデュッセイア』では、ケンタウロスのエウリュティオンがペイリトオスの館で酒に酔って乱暴し、英雄たちに耳と鼻を削がれて追い出された。そこから「ケンタウロスと人間の争い」が生まれたとされる。語るのは求婚者の頭目アンティノオスで、乞食姿のオデュッセウスへの脅しとして持ち出す。 (21.288-304)
ケルベロス
- ホメロスは「ハデスの犬」「犬」とだけ呼び、ケルベロスという名も頭の数も出さない。ヘラクレスがそれを連れ出したことは知っている。 (『イリアス』8.366-368、『オデュッセイア』11.623-625)
- 関係: abducted_by → herakles (『オデュッセイア』11.623-625、『イリアス』8.366-368、アポロドーロス 2.5.12)
カリス
- ヘパイストスの妻は伝えによって違う。『イリアス』ではテティスを迎えるのは「輝くヴェールのカリス」でヘパイストスの妻とされ、『神統記』では三人のうち末のアグライアが妻になる。『オデュッセイア』ではヘパイストスの妻はアプロディテである。 (『イリアス』18.382-383。『神統記』945-946。『オデュッセイア』8.266-270)
- カリスたちはアプロディテの身支度に仕える。アプロディテの神々しい衣はカリスたちが織ったもので、アレスとの密通が露見したあとには、パポスで彼女を湯浴みさせ香油を塗る。 (『イリアス』5.338。『オデュッセイア』8.364-366)
- 関係: companion → aphrodite (8.364-366 パポスでアプロディテを湯浴みさせ、神々の香油を塗る)
カロン
- ホメロスの冥界にはカロンも渡し舟も出てこない。『オデュッセイア』のオデュッセウスは冥界の入口で死者の霊を呼び出すだけで、川を渡らない。カロンの名が確認できる最古の例は、散逸した叙事詩『ミニュアス』の断片で、パウサニアスが引用して伝えている。 (『オデュッセイア』11.1-50 / パウサニアス 10.28.2(『ミニュアス』断片))
カリュブディス
- 低い岩の下、大きな無花果の木の下にあり、一日に三度黒い水を呑み、三度吐き出す。呑み込む時に近づけば、ポセイドンでさえ救えないとキルケは警告する。 (12.101-110)
- キルケは「カリュブディスよりスキュラの側を通れ。6人を失うほうが、船ごと全員を失うよりよい」と指示する。二つの悪のうち小さい方を選ぶ判断として語られる。 (12.108-110)
- 難破後の二度目の通過では船の残骸ごと呑み込まれかけ、渦の上の無花果の木に蝙蝠のようにぶら下がって、竜骨が吐き出されるのを待つ。時刻を「裁判の席から人が夕食に立つ頃」と比喩で表す。 (12.430-446(比喩は12.439-441))
- 「スキュラとカリュブディスの間」は、二つの危険のどちらを避けても他方に近づく状況を表す言い回しとして現代語に残る。ホメロス自身はこの表現を使わないが、キルケが「船ごと全員を失うより六人を取られる方がましだ」と助言する場面がもとになっている。ラテン語の成句としてはエラスムス『格言集』に収められて広まった。語源の節も参照。 (『オデュッセイア』12.108-110(スキュラの岩に寄せて漕ぎ抜けよ、仲間全員を失うより六人を嘆く方がずっとよい)、12.234-243(実際に通過する場面)を本文で確認。語源ファイル scylla-and-charybdis も参照。成句としての英語初出年は未確認)
- 一度目の通過で、カリュブディスは吐き出すとき大釜のように煮えたぎってしぶきが両崖の頂に降り、吸い込むときは渦の底の黒い砂まで見えた。仲間が渦に気を取られているあいだに、スキュラが6人をさらった。 (12.234-259)
- 関係: enemy → odysseus (12.430-446 難破後に渦の上の無花果の木にぶら下がってやり過ごす)
キコネス族
- オデュッセウスは町イスマロスを攻め落とし、男たちを殺して女と財宝を分けた。すぐ逃げろと命じたが、仲間は浜で酒盛りを続けた。 (9.39-46)
- その間に、内陸に住むもっと数が多く戦車戦に長けたキコネス族が呼び集められ、翌朝「季節の木の葉や花のように」押し寄せた。夕方には押し負け、船ごとに6人ずつ仲間を失って海へ逃げた。 (9.47-61)
- このイスマロスで、アポロンの祭司マロンは家族を守ってもらった礼に、とびきり強い甘い葡萄酒をオデュッセウスに贈っていた。この酒が、次の次の寄港地でキュクロプスのポリュペモスを酔わせることになる。 (9.196-211(水20杯で割って飲むほど濃い酒))
- キコネス族に敗れて逃げるとき、オデュッセウスは野で倒れた仲間の名を一人ずつ三度呼んでから船を出した。そこへゼウスが北風の嵐を送った。 (9.62-69)
- 関係: enemy → odysseus (9.39-61 イスマロスを略奪され、内陸の仲間を呼んで反撃する)
キルケ
- 太陽神ヘリオスとオケアノスの娘ペルセの子で、コルキス王アイエテス(メデイアの父)の姉妹とされる。魔女の血筋がアルゴ船神話と繋がる。 (10.135-139)
- チーズ・大麦・蜜を混ぜたぶどう酒に薬を混ぜて飲ませ、杖で打って豚に変える。頭も声も毛も姿も豚になるが「心はもとのまま」だと明記される。 (10.229-243(心はもとのままは10.240))
- ヘルメスが与えたモーリュの草によってオデュッセウスには薬が効かない。剣を抜かれたキルケは彼を予言されていた者と悟り、害を為さぬ誓いを立てる。 (10.275-347(草は10.302-306、誓いは10.343-347))
- 仲間を人に戻したのち、オデュッセウス一行は島に丸1年留まる。出発を促したのは本人ではなく、仲間たちの訴えだった。 (10.467-474)
- 帰路を教える前に、まず冥界へ下ってテイレシアスの霊に問えと命じる。冥界行きの儀式の手順(黒い雌羊、蜜と乳と酒の献酒、穴の掘り方)も彼女が指示する。 (10.487-540)
- 冥界から戻った一行に、セイレーン・スキュラとカリュブディス・ヘリオスの牛という残りの難所を一つずつ説明する。12歌の航海はこの説明の通りに進む。 (12.37-141)
- 館のまわりの山の狼や獅子はキルケが薬で魔法をかけたもので、人に襲いかからず犬のように尾を振ってじゃれついた。館の中でキルケは大きな機を織りながら歌っていた。 (10.210-223)
- 薬が効かないのを見たキルケは、これに耐えた者はいない、あなたはヘルメスが来ると言っていたオデュッセウスに違いない、と悟る。 (10.325-335)
- 豚にされた仲間は、別の薬を塗られて人に戻ると、以前より若く、背が高く、美しくなっていた。泣いて喜ぶ仲間の姿に女神も心を動かされた。 (10.388-399)
- 関係: lover → odysseus (10.333-347 害を為さぬ誓いを取り付けてから床を共にする)
- 関係: child → helios (10.138 「ヘリオスとオケアノスの娘ペルセの子」)
- 関係: ruler → aeaea (10.135-139 アイアイエ島の館に住む)
- 関係: enemy → eurylochus (10.229-243 偵察隊を豚に変える(エウリュロコスだけは館に入らず難を逃れる))
- 関係: companion → elpenor (10.552-560 館に滞在した仲間の一人。屋根で眠り、落ちて死ぬ)
クレイオ
- ホメロスの二つの叙事詩にクレイオの名は出てこない。 (ギリシャ語本文を全文検索して確認)
クリュタイムネストラ
- 『オデュッセイア』では殺害の主体はアイギストスで、彼女は「呪わしい妻」として加担する立場。ただしカッサンドラを斬ったのは彼女だと名指しされる。 (11.409-411, 11.421-423)
- オレステスによる母殺しを、ホメロスは明言しない。『オデュッセイア』3.306-310 はオレステスがアイギストスを討ったと語り、続けて「母と臆病なアイギストスの葬礼をアルゴス人に振る舞った」とだけ言う。母殺しを正面から劇にするのはアイスキュロス『供養する女たち』である。 (『オデュッセイア』3.306-310 / 『供養する女たち』889-930)
- アガメムノンは出征の際、歌い手に妻の見張りを命じた。クリュタイムネストラははじめアイギストスの誘いを拒んだが、神々の定めで屈したとき、アイギストスは歌い手を無人島に置き去りにして鳥の餌にし、彼女を自分の館へ連れていった。 (3.262-272)
- 『オデュッセイア』で、アガメムノンの亡霊は、死にゆく自分の目も口も妻が閉じてくれなかったと語る。 (11.424-427)
- 関係: spouse → agamemnon (11.410-411)
- 関係: parent → orestes (『オデュッセイア』1.29-43、『供養する女たち』)
- 関係: killed → cassandra (11.421-423。アガメムノンの亡霊が「クリュタイムネストラが私のすぐそばでカッサンドラを殺した」と語る)
コイオス
- ホメロスの二つの叙事詩にコイオスの名は出てこない。 (ギリシャ語本文を全文検索して確認)
クレオン
- ホメロスでは、『オデュッセイア』11歌の冥界で、ヘラクレスの妻メガラが「心高いクレオンの娘」として出てくるだけで、クレオンがイオカステの兄弟であることも、アンティゴネとの対立も語られない。アポロドーロスでは、ヘラクレスがオルコメノスのミニュアス人を破った褒美として、テーバイ王クレオンが長女メガラを彼に与える。 (『オデュッセイア』11.269-270 / 2.4.11)
- 関係: parent_in_law → herakles (『オデュッセイア』11.269-270「心高いクレオンの娘メガラ」をヘラクレスが妻とする / 2.4.11 / 72)
クレタ島
- 『イリアス』の船の目録ではクレタは「百の都市をもつ」島。『オデュッセイア』では「葡萄酒色の海の真ん中に九十の都市」とされ、アカイア人、エテオクレタ人(生粋のクレタ人)、キュドネス人、ドーリス人、ペラスゴイ人と、言葉の違う人々が入り混じっていると描かれる。 (『イリアス』2.649、『オデュッセイア』19.172-177)
- 関係: ruled_by → minos (『オデュッセイア』19.178-179、アポロドーロス 3.1.3)
クレイオス
- ホメロスの二つの叙事詩にクレイオスの名は出てこない。 (ギリシャ語本文を全文検索して確認)
キュクロプス族
- 『オデュッセイア』のキュクロプス族は、神々まかせで種もまかず畑も耕さず、集会も掟も持たない。山の洞窟に家族ごとに住み、互いのことを気にかけない牧人の一族として描かれる。雷を作る神々の面影はない。 (9.105-115)
- パイエケス人はもともとキュクロプス族の隣に住んでいて、略奪に耐えかねて島へ移った。オデュッセウスを最後に助ける民は、かつて同じ相手に苦しめられていた。 (6.4-10)
- オデュッセウスが洞窟で出会ったポリュペモスは、この一族の一人で、ポセイドンの子。 (1.68-73、9.526-536)
- 関係: enemy → odysseus (9.105-566 ポリュペモスの洞窟)
キュプロス島
- 『オデュッセイア』で、ヘパイストスの網から解かれたアプロディテはキュプロスのパポスへ行った。そこには女神の聖域と香り高い祭壇があり、カリスたちが女神を湯あみさせ、神々の不死の香油を塗って美しい衣を着せた。 (8.360-366)
- 関係: owned_by → aphrodite (『神統記』193-199、『オデュッセイア』8.362-363)
デイポボス
- 『オデュッセイア』では、落城の夜にオデュッセウスとメネラオスがデイポボスの家へ向かい、そこで最も恐ろしい戦いがあったと語られるだけである。 (8.517-520)
- 関係: spouse → helen (『小イリアス』要約でパリスの死後にヘレネを娶る。『オデュッセイア』4.276 で木馬を巡るヘレネに付き添う)
- 関係: participated_in → sack-of-troy (8.517-520 落城の夜、彼の家で最も激しい戦いが起きる)
デロス島
- 『オデュッセイア』でオデュッセウスは、ナウシカアの姿を、かつてデロスのアポロンの祭壇のそばで見て驚いた、若いヤシの若木にたとえる。 (6.160-169)
- 関係: visited_by → odysseus (6.162-165 デロスへ行ったことがあると語る)
デルポイ
- ホメロスには「デルポイ」という名は出てこない。『イリアス』『オデュッセイア』では古名の「ピュト」だけが使われ、「岩がちのピュト」「聖なるピュト」と呼ばれる。 (『イリアス』2.519、9.405、『オデュッセイア』8.80、11.581(ギリシャ語本文を検索して確認))
- 『オデュッセイア』では、アガメムノンがピュトで石の敷居を越えて神託を求め、最もすぐれたアカイア人たちが言い争うことになると告げられていた。アガメムノンはその言葉が実現したと喜んだ。 (8.72-82。楽人デモドコスの歌の中で語られる)
- 関係: visited_by → agamemnon (8.77-82)
デメテル
- カリュプソが「女神が人間の男を愛すると神々は許さない」と抗議する際、デメテルがイアシオンと三度耕した畑で交わり、ゼウスに雷で撃たれたことを挙げる。ホメロスに残る数少ないデメテルの逸話。 (5.125-128)
デモドコス
- ムーサはこの詩人を誰よりも愛し、良いものと悪いものを両方与えた。目を奪い、甘い歌を授けたのである。伝令が竪琴を手の届く釘に掛け、手探りで取れるように導いてやる。 (8.62-70)
- 最初の歌は、神々の宴でオデュッセウスとアキレウスが激しく言い争った話。自分の話を歌われたオデュッセウスは、衣で顔を隠して泣く。 (8.72-82(歌)、8.83-92(涙))
- 二つめの歌は、アレスとアプロディテがヘパイストスの留守に密会し、見えない網にかかって神々の笑いものになる話。 (8.266-366)
- 最後に、オデュッセウスは自分から「木馬の話を歌ってくれ」と頼む。デモドコスが歌い終えると、オデュッセウスはまた泣き、それに気づいたアルキノオスが名を尋ね、9歌からの長い回想が始まる。 (8.492-520(頼みと歌)、8.521-586、9.1-38)
- オデュッセウスは猪の背肉を切り分けてデモドコスに贈らせ、楽人はムーサに歌の道を教えられて地上のどこでも敬われると言い、まるでその場にいたかのようにアカイア勢の運命を歌うと称えたうえで、木馬の歌を頼んだ。 (8.474-498)
- 木馬の歌を聞いたオデュッセウスは、倒れた夫にすがって泣き、敵に槍で打たれて連れ去られる女のように涙を流した。 (8.521-531)
- 関係: tells_of → odysseus (8.72-82 オデュッセウスとアキレウスの口論、8.499-520 木馬)
- 関係: tells_of → trojan-horse (8.499-520 オデュッセウス自身の頼みで歌う)
- 関係: tells_of → ares (8.266-366 アレスとアプロディテの密会)
- 関係: tells_of → aphrodite (8.266-366)
- 関係: tells_of → hephaestus (8.266-366 見えない網で二人を捕らえる)
- 関係: student → muses (8.62-64 ムーサに愛され歌を授けられた)
ディオメデス
- 『オデュッセイア』3.180-182 によれば、無事に帰国した数少ない将のひとり。帰国後にイタリアへ渡ったという話は後代のもので、ウェルギリウス『アエネイス』11.243-295 ではイタリアに王国を築き、トロイア勢との再戦を断る。 (『オデュッセイア』3.180-182 / 『アエネイス』11.243-295)
ディオニュソス
- 『オデュッセイア』でも登場は断片的で、アリアドネの死に関わったこと、アキレウスの遺骨を納めた黄金の壺を贈ったことが語られるだけ。 (11.321-325(アリアドネ)、24.73-75(黄金の壺))
エイレイテュイア
- 生まれた場所の伝えは土地で分かれる。パウサニアスによれば、エイレイテュイアは北方のヒュペルボレオイの地からデロスへ来てレトのお産を助けたと言われ、ほかの人々はデロスの人々からその名を学んだという。一方、クレタの人々は、クノッソス領のアムニソスで生まれたヘラの娘だと考える。『オデュッセイア』にもアムニソスの「エイレイテュイアの洞窟」が出てくる。 (パウサニアス 1.18.5。『オデュッセイア』19.188)
エレクトラ
- アガメムノンは帰国した日に、妻クリュタイムネストラと愛人アイギストスに館の中で殺された。 (『オデュッセイア』11.405-434、『アガメムノン』1372-1398)
エルペノル
- 仲間のうち最も若く、戦でも思慮でも人並み以下だったと紹介される。涼を求めてキルケの館の屋根で眠り、騒ぎに起きて梯子を忘れ、まっすぐ落ちて首の骨を折った。 (10.551-560)
- 冥界でオデュッセウスに最初に近づく霊。まだ葬られていなかったため、テイレシアスよりも先に現れる。生者と死者の境界に取り残された存在として置かれている。 (11.51-58)
- 「わたしを葬らずに去らないでくれ、神々の怒りの種になる」と頼み、武具とともに焼き、海辺に塚を築き、その上に生前漕いだ櫂を立ててくれと願う。 (11.66-78)
- 冥界から戻った一行は、まずアイアイエ島に引き返して遺体を焼き、塚を築き、その上に櫂を立てる。願いが文字どおり果たされる。 (12.8-15)
- 彼の死と埋葬は、冥界訪問を前後から挟む枠になっている。10歌の末尾で死に、11歌の冒頭で霊として現れ、12歌の冒頭で葬られることで、物語が冥界へ入り出てくる節目が示される。 (10.551-560、11.51-83、12.8-15)
- エルペノルは冥界で、自分の死因を「神の悪い定めと、はかり知れぬ酒」と語る。 (11.61)
- 関係: companion → odysseus (10.551-560、11.51-80)
- 関係: companion → circe (10.552-560 彼女の館に滞在中、その屋根で死ぬ)
- 関係: participated_in → nekyia (11.51-83 冥界で最初に現れる霊)
エリュシオン
- ホメロスで「エリュシオンの野」が出てくるのは一度だけ。海の老人プロテウスがメネラオスに、あなたはアルゴスで死ぬ定めではなく、神々によって大地の果てのエリュシオンの野に送られる、と予言する。そこには金髪のラダマンテュスが住み、雪も嵐も雨もなく、オケアノスが西風を送って人を涼ませる。理由は、メネラオスがヘレネの夫で、神々から見てゼウスの婿だから。つまり死者の国ではなく、死なずに行く特別な場所だった。 (4.561-569)
- アキレウスの死後の居場所は出典で食い違う。『オデュッセイア』では冥界にいて、「死者の王であるより、地上で貧しい男の雇われ人でいたい」とオデュッセウスに語る。ピンダロスやプラトン『饗宴』では、至福者の島に送られたとされる。 (『オデュッセイア』11.467-540(489-491)/『オリュンピア祝勝歌』2.79-80 /『饗宴』179e)
- 関係: visited_by → menelaus (4.561-569 プロテウスの予言: メネラオスは死なずにエリュシオンの野へ送られる)
エオス
- ホメロスでは夜明けの場面の多くが「早く生まれ、薔薇色の指をもつエオスが現れると」という定型句で始まる。曙そのものが女神として毎朝登場する書き方。 (『イリアス』1.477 など3例。『オデュッセイア』2.1 など20例以上(ギリシャ語本文を全文検索))
- 『オデュッセイア』では、エオスがオリオンを選んだが神々が妬み、アルテミスが矢でオリオンを殺した、とカリュプソが神々の身勝手さの例として語る。エオスが美しさゆえにクレイトスをさらって神々の仲間にした話も出てくる。 (5.121-124, 15.250-251)
エラト
- ホメロスの二つの叙事詩にエラトの名は出てこない。 (ギリシャ語本文を全文検索して確認)
エレボス
- ホメロスではエレボスは神ではなく場所として使われる。オデュッセウスが冥界の入口で供犠をするとき羊の頭を「エレボスの方へ」向け、死者の魂は「エレボスから」群がり出てくる。『イリアス』では、ヘラクレスがハデスの犬を「エレボスから」連れ出す遠征に触れる。 (『オデュッセイア』10.528, 11.37, 11.564。『イリアス』8.368)
エリピュレ
- ホメロスでの姿: 『オデュッセイア』11歌の冥界の女たちの列に「夫の命の代価に高価な黄金を受け取った、憎むべきエリピュレ」として出てくる。15歌ではアンピアラオスが「女の贈り物のために」テーバイで死んだとされる。首飾りの持ち主がポリュネイケスだったこと、それがハルモニアの首飾りだったことは語られない。 (11.326-327, 15.246-247)
- 関係: spouse → amphiaraus (『オデュッセイア』11.326-327 /『ネメア祝勝歌』9.16-17 / 3.6.2)
- 関係: participated_in → seven-against-thebes (3.6.2 /『オデュッセイア』15.247)
エウマイオス
- 見知らぬ乞食に「客人はみなゼウスから来る」と言って自分の豚を屠ってもてなす。求婚者たちの無礼な饗宴と対比される、作中の理想的な歓待の場面。 (14.29-110(14.56-58 にゼウスの名を挙げた歓待の言葉))
- 自らの身の上を語る。シュリエ島の王クテシオスの子として生まれたが、フェニキア人の女奴隷に連れ出されて商人に売られ、ラエルテスに買われた。『オデュッセイア』で奴隷が自分の過去を長く語る唯一の場面。 (15.390-484)
- 地の文で「エウマイオスよ、おまえは答えて言った(τὸν δ᾽ ἀπαμειβόμενος προσέφης, Εὔμαιε συβῶτα)」と、語り手が登場人物に直接呼びかける形が繰り返し使われる。『オデュッセイア』でこの呼格の語りを向けられるのはエウマイオスだけで、『イリアス』ではパトロクロスやメネラオスに同じ形が使われる。 (14.55、14.165、14.360、14.507 ほか。第14〜17歌を中心に繰り返される。ギリシャ語本文で確認)
- 求婚者殺しの直前、牛飼いピロイティオスとともに傷跡を見せられて主人と知り、武器を取る。忠実な下僕が報われる場面として、不忠な侍女たちの処刑(22.457-473)と対になっている。 (21.188-244)
- エウマイオスは、シュリエ島の王の子だった。館にいたフェニキア人の女奴隷(乳母)が、故郷へ帰してもらう約束で商人たちと通じ、杯と幼い彼を連れて船に乗った。7日目に女はアルテミスの矢に打たれて死に、少年はイタケでラエルテスに買われた。 (15.403-484)
- 関係: companion → odysseus (14.1-533 乞食姿の主人をそれと知らず手厚くもてなす)
- 関係: companion → telemachus (16.1-89 小屋で主従が再会する場)
- 関係: participated_in → suitors-of-penelope (22.157-202、22.265-291 求婚者殺しで武器を取り主人側につく)
エウリュクレイア
- ラエルテスが若い頃に牛20頭の値で買い、妻と同じだけ大切に扱ったが、妻の怒りを恐れて床は共にしなかった、と紹介される。『オデュッセイア』で奴隷の値段が具体的に示される数少ない箇所。 (1.429-433)
- 乞食姿の客の足を洗っていて、膝の上の猪の牙の傷跡に触れて主人と気づき、盥を取り落とす。物語はここで数十行にわたり、パルナソスでの猪狩りの回想へ遡る。 (19.386-475(傷跡に気づくのは19.467-475、猪狩りの回想は19.392-466))
- 気づいた彼女をオデュッセウスは喉を掴んで黙らせ、誰にも言うなと命じる。同じ部屋にいたペネロペイアはアテナによって注意を逸らされていて気づかない。 (19.476-490(注意を逸らす件は19.478-479))
- この傷跡の回想は、物語を途中で止めて過去に遡り、また現在に戻る叙述として古来注目されてきた。傷を負った猪狩りと、祖父アウトリュコスによる命名の由来が同じ回想の中で語られる。 (19.392-466)
- 求婚者の死骸の中で喜びの声を上げようとした彼女を、オデュッセウスは「死者に対して誇るのは不敬だ」と制する。 (22.407-418)
- オデュッセウスが生まれたとき、エウリュクレイアは赤子を祖父アウトリュコスの膝に置き、名を付けてほしいと頼んだ。 (19.399-404)
- テレマコスが旅立とうとすると、エウリュクレイアは泣いて止めたが、母には11日か12日たつまで黙っていてくれと頼まれて神々にかけて誓い、旅の葡萄酒と大麦粉を用意した。 (2.361-380)
- 求婚者殺しのあと、エウリュクレイアは館の50人の女奴隷のうち12人が恥知らずなふるまいをしたと主人に告げた。 (22.419-425)
- エウリュクレイアは笑いながら小走りに寝室へ上がり、ペネロペイアを起こして夫の帰還を告げたが、「神々がおまえを狂わせた」と信じてもらえなかった。 (23.1-24)
- 関係: foster_parent → odysseus (19.482-483 「おまえを育てたのはこの乳房だ」と語る)
- 関係: foster_parent → telemachus (2.345-380 蔵の鍵を預かり、旅立ちの秘密を守る)
- 関係: owned_by → laertes (1.429-433 ラエルテスが牛20頭の値で買い取った)
- 関係: companion → penelope (23.1-84 求婚者殺しの後、真っ先に女主人に知らせに走る)
エウリュロコス
- くじ引きで選ばれ、22人を率いてキルケの館へ偵察に行く。彼だけが罠を疑って外に残り、仲間が豚に変えられるのを見て戻って報告した。 (10.203-260(外に残るのは10.232))
- キルケの館へ戻ろうとするオデュッセウスを「キュクロプスのときのように、あなたの無謀で仲間が死んだ」と非難して止める。オデュッセウスは剣を抜いて首を落としかけるが、仲間に止められる。 (10.429-448(縁者と明かされるのは10.441))
- トリナキエ島を素通りしようとするオデュッセウスに正面から反対し、疲れた仲間を代弁して上陸を押し通す。牛に手を出さぬ誓いを条件に上陸が認められた。 (12.278-302)
- 食糧が尽きたとき「どんな死に方も嫌だが、飢え死には最も惨めだ。牛を屠ってヘリオスに祈り、帰ったら神殿を建てよう。怒って船を沈められるなら、一息に溺れるほうがましだ」と説いて牛を屠らせる。 (12.339-365)
- ゼウスの雷で船が砕けたとき、他の仲間とともに海に沈む。作中で彼の最期に特別な言及はなく、牛を食べた者は誰一人帰らなかったという結末に含まれる。 (12.403-419)
- 冥界の入口で、オデュッセウスが穴を掘って供え物を注ぐあいだ、ペリメデスとエウリュロコスが生贄の羊を押さえていた。 (11.20-25)
- 関係: companion → odysseus (10.203-209 偵察隊の長。10.441 では縁者(義兄弟)と呼ばれる)
- 関係: enemy → circe (10.229-260 部下を豚に変えられる。10.429-448 では再訪に反対する)
- 関係: participated_in → cattle-of-helios (12.339-365 牛を屠ろうと仲間を説き伏せる)
エウリュマコス
- 民会で二羽の鷲の予兆を解く老占い師ハリテルセスを「鳥はいくらでも飛ぶ」と嘲り、オデュッセウスはもう帰らないと断言する。この嘲笑が22歌で覆される。 (2.177-207)
- ペネロペイアには丁重な言葉をかけながら、裏ではテレマコス暗殺に加担している。表向きの礼儀と実態の乖離が繰り返し示される。 (16.434-448(表)、16.345-406(暗殺の再協議))
- 乞食姿のオデュッセウスを禿頭を揶揄して嘲り、足台を投げつける。足台は給仕の少年に当たった。アンティノオスの足台投げと対になる場面。 (18.349-398(投擲は18.394-398))
- アンティノオスが射殺された後、すべての責任は死んだアンティノオスにあると主張し、飲み食いした分を償い各自が牛20頭と金銀を差し出すと申し出るが、オデュッセウスは退ける。 (22.44-67(申し出)、22.61-67(拒絶))
- 剣を抜いて突進した瞬間、乳房の脇を矢で射抜かれ、机の上の食卓を倒して床でもがきながら死ぬ。 (22.79-88)
- エウリュマコスは乞食姿のオデュッセウスを、この男は神の計らいで館に来たのだろう、頭に毛がまったくないからたいまつの光がそこから出ているように見える、とからかう。 (18.349-355)
- 弓の試技で、エウリュマコスは弓を火であぶっても弦を張れず、結婚を逃すのは惜しくない、娘はイタケにもほかの町にも多くいる、だがオデュッセウスにこれほど力で劣ると後世に知られるのが恥だ、と嘆く。 (21.245-255)
- エウリュマコスはペネロペイアに、自分が生きているかぎりテレマコスに手を出す者はいない、自分は幼いころオデュッセウスの膝で肉とぶどう酒をもらった、と言って安心させるが、詩は、そう励ましながら彼自身がテレマコスの破滅をたくらんでいたと書き添える。 (16.434-448)
- 関係: killed_by → odysseus (22.79-88 乳房の脇を矢で射抜かれ、机に倒れ込んで死ぬ)
- 関係: suitor → penelope (15.16-18 贈り物で他の求婚者を凌ぎ、最有力と見られていた)
- 関係: companion → antinous (求婚者の二枚看板として並んで登場する)
- 関係: participated_in → suitors-of-penelope (2.177-207 予兆を説く占い師を嘲笑する)
エウリュステウス
- 『オデュッセイア』の冥界で、ヘラクレスの幻影は「ゼウスの子でありながら、はるかに劣る男に従わされ、つらい難業を課された」と嘆く。名は出さないが、エウリュステウスのことである。 (11.620-622)
- 関係: master → herakles (『イリアス』8.362-363, 19.132-133、『オデュッセイア』11.620-622、アポロドーロス 2.4.12-2.5.12)
エウテルペ
- ホメロスの二つの叙事詩にエウテルペの名は出てこない。 (ギリシャ語本文を全文検索して確認)
ガイア
- ホメロスの叙事詩ではガイアは物語の登場人物としてはほとんど現れず、誓いの証人として天・太陽・川と並べて呼ばれる存在にとどまる。創世の物語はホメロスには無い。 (『イリアス』3.276-280(アガメムノンの誓い)、『オデュッセイア』5.184-186(カリュプソの誓い))
ガラテイア
- オウィディウスは、予言者テレモスがポリュペモスに「お前の一つ目はウリクセス(オデュッセウス)に奪われる」と告げ、ポリュペモスが「もう別の女に奪われている」と笑い飛ばす場面を置いている。この予言は『オデュッセイア』第9巻にあるもので、恋の話を、よく知られたオデュッセウスとの出会いの前日譚につないでいる。 (Met. 13.770-775 /『オデュッセイア』9.507-512(テレモスの予言をポリュペモス自身が思い出す))
ギガース
- ホメロスでは、ギガースは神々と戦う敵ではなく、滅んだ一族として出てくる。パイエケス人の王家の祖先エウリュメドンは「傲慢なギガースたちの王」で、自分の無法な民を滅ぼし、自分も滅びた。人食いのライストリュゴネス人は「人間ではなくギガースのよう」とたとえられる。 (7.56-63, 7.205-206, 10.119-120)
- 『オデュッセイア』のパイエケス人の王家は、じつはギガースの血を引く。ギガースの王エウリュメドンの末娘ペリボイアがポセイドンと交わってナウシトオスを産み、その子がアルキノオス王と、王妃アレテの父レクセノル。アルキノオス王は、自分たちはキュクロプスやギガースの荒々しい一族と同じく神々に近い、とも語る。 (7.54-66, 7.201-206)
- 関係: ancestor → alcinous (7.56-63 ギガースの王エウリュメドンの末娘ペリボイアがポセイドンとのあいだにナウシトオスを産み、その子がアルキノオス)
ギガントマキア
- ヘシオドスの『神統記』にギガースは生まれる場面しかなく、神々との戦いは語られない。ホメロスでもギガースは「滅びた傲慢な一族」として名が出るだけ。神々とギガースの戦いの話は、ここで確かめた範囲ではピンダロス以降の作品に出てくる。 (『神統記』183-187。『オデュッセイア』7.58-60)
グラウコス(海の神)
- ホメロスに海の神グラウコスは出てこない。『イリアス』のグラウコスは、トロイア側で戦うリュキアの将で、まったくの別人。 (『イリアス』6.119-236 などのグラウコスはリュキア人。海の神としての用例はギリシャ語本文を全文検索して確認)
グライアイ
- ホメロスの二つの叙事詩にグライアイは出てこない。『イリアス』に出る「グライア」はボイオティアの地名で、別物。 (『イリアス』2.498(地名グライア)。ギリシャ語本文を全文検索して確認)
ハデス
- ホメロスでの「ハデス」は常に神の名であり、冥界そのものは「ハデスの館(Ἀΐδαο δόμος)」と所有格で表される。場所の名として Hades を使うのは後代の用法。 (10.491-495, 11.150-152 など。所有格での表現が一貫している)
- 関係: spouse → persephone (『神統記』913-914。『オデュッセイア』10.491 では「畏るべきペルセポネイア」が冥界の女王として並び立つ)
- 関係: participant → nekyia (11.1-640。オデュッセウスが訪れる死者の国はハデスの領分であり、11.47 では「ハデスとペルセポネ」への祈りが捧げられる)
ハルピュイア
- ホメロスでは、ハルピュイアは人をさらって消してしまう風のような存在として出てくる。行方の知れないオデュッセウスについて、テレマコスは「ハルピュイアにさらわれた」と言い、ペネロペイアは、パンダレオスの娘たちがハルピュイアにさらわれ、復讐の女神エリニュスたちに召し使いとして渡された話をする。アキレウスの神馬クサントスとバリオスを西風ゼピュロスとの間に産んだのも、ハルピュイアのポダルゲとされる。 (『オデュッセイア』1.241-242、20.61-78。『イリアス』16.149-151)
ヘベ
- 『オデュッセイア』の冥界の場面では、オデュッセウスが見たのはヘラクレスの「幻」で、本人は不死の神々のもとで宴を楽しみ、ゼウスとヘラの娘である足首の美しいヘベを妻にしている、と語られる。冥界にいるヘラクレスと天にいるヘラクレスが二重に語られるこの数行は、古くから後の挿入ではないかと疑われてきた。 (11.601-604。挿入説は注釈書で扱われる議論(該当ページは未確認))
- 関係: child → zeus (『神統記』921-923、『オデュッセイア』11.604、アポロドロス 1.3.1)
- 関係: child → hera (『神統記』921-923、『オデュッセイア』11.604、アポロドロス 1.3.1)
- 関係: spouse → herakles (『神統記』950-955、『オデュッセイア』11.601-604、ピンダロス『ネメア祝勝歌』1.69-72、アポロドロス 2.7.7)
ヘレネ
- 乞食に化けてトロイアへ忍び込んだオデュッセウスに気づいたのはヘレネだけで、彼女は正体を明かさないと誓った。ヘレネはこのとき心がすでに帰郷に向き、アプロディテに惑わされたことを悔いていた、と回想する。 (『オデュッセイア』4.240-264、『小イリアス』要約)
- スパルタに戻ったヘレネは、宴の酒に、エジプトの女からもらった薬を入れる。飲めばその日一日は、親や兄弟が目の前で殺されても涙を流さない、苦しみを忘れさせる薬だった。 (4.219-232)
- 関係: spouse → deiphobus (パリスの死後に再婚。『小イリアス』要約、『オデュッセイア』4.276)
ヘリオス
- トリナキエ島に、生まれも死にもしない七群五十頭ずつの牛と羊を飼っている。テイレシアスもキルケも「この牛に手を出せば全員が滅びる」と警告した。 (11.104-115(テイレシアスの警告)、12.127-141(キルケの警告))
- 牛を屠られたヘリオスは、罰を与えなければ「冥界へ降りて死者たちの間で輝こう」とゼウスを脅す。ゼウスは雷で船を砕き、オデュッセウスだけが生き残る。 (12.374-390(脅し)、12.403-425(難破))
- アレスとアプロディテの密通を見つけ、夫ヘパイストスに知らせた。すべてを見る者は密告者でもある。 (8.270-271)
- ティタン族ヒュペリオンとテイアの子で、月のセレネと曙のエオスの兄弟。ホメロスは太陽神自身を「ヒュペリオン」と呼ぶこともあり、父子で名が重なる。 (『神統記』371-374。『オデュッセイア』1.8 は「ヒュペリオンの牛」)
- ホメロス・ヘシオドスでは太陽神はヘリオスであり、アポロンとは別の神である。両者の同一視は前5世紀から現れ、確実にたどれる最古の例はエウリピデス『パエトン』の断片で、クリュメネーが息子を焼き殺したヘリオスに「人が正しくもアポロンと呼ぶあなた」と呼びかける。同一視はヘレニズム期以後、哲学とオルペウス教の文献で常套となる。 (『オデュッセイア』12.260-402 の太陽神はヘリオス。エウリピデス『パエトン』断片781(Nauck²=Collard/Cropp)。クリュメネーが息子を焼いたヘリオスを責め、「人は正しくもアポロンと呼ぶ」と言う。アポロン=「滅ぼす者(アポッリュミ)」と解く語呂合わせを含む)
- 魔女キルケとコルキス王アイエテスは、ヘリオスとオケアノスの娘ペルセの子で、兄弟姉妹である。 (10.135-139)
- 仲間たちがヘリオスの牛を屠ると、神々は前兆を示した。剥いだ皮が這い、串の肉は焼けたものも生のものも牛の声で鳴いた。それでも仲間たちは6日間牛を食べ続けた。 (12.394-398)
- 関係: enemy → odysseus (12.374-388。牛を食われたことを訴え、償わなければ冥界で輝くと脅してゼウスに罰を要求する)
- 関係: owner → cattle-of-helios (12.127-141, 12.260-402。トリナキエ島の七群の牛と七群の羊)
- 関係: enemy → aphrodite (8.270-271。アレスとの密通を見つけてヘパイストスに告げ口する)
- 関係: companion → hephaestus (8.270-271)
ヘレスポントス
- 『オデュッセイア』でアガメムノンの霊は、アキレウスの骨がパトロクロスの骨とともに黄金の壺に納められ、ギリシャの兵が広いヘレスポントスに突き出た岬の上に、今の人にも後の世の人にも海から遠く見えるよう大きな塚を築いたと語る。 (24.72-84)
- 関係: visited_by → achilles (24.80-84 塚)
ヘメラ
- ホメロスでは ἦμαρ・ἡμέρη は「日、昼」を表す普通の語で、女神ヘメラは登場しない。夜明けを告げる女神としての役割は、ホメロスでは曙の女神エオスが担う。 (ギリシャ語本文を全文検索し、固有名詞としての Ἡμέρη がないことを確認)
ヘパイストス
- ホメロスではゼウスを父と呼ぶ場面があり、ゼウスとヘラの子として扱われている。単独出産の話はホメロスには無い。 (8.312)
- アレスとアプロディテを捕らえるため、蜘蛛の糸より細く神々にも見えない網を鍛え、寝台の脚の周りに仕掛けた。 (8.272-299)
- 網に捕らえられたアレスとアプロディテを見て、アポロンが「あのように縛られてもアプロディテと寝たいか」とヘルメスに尋ねると、ヘルメスは「縛めが三倍でも、神々と女神がみな見ていても構わない」と答え、神々はまた笑った。 (8.334-343)
- 関係: child → zeus (8.312 でゼウスを「父」と呼ぶ。ヘシオドスの単独出産説と食い違う)
- 関係: spouse → aphrodite (8.266-270)
- 関係: enemy → ares (8.266-366)
ヘラ
- 一方ホメロスでは、ヘパイストスはゼウスを「父」と呼び、ゼウスとヘラの子として扱われている。単独出産の話はホメロスには無い。 (『オデュッセイア』8.312。『イリアス』1.571-579 ではヘラを「母」と呼ぶ)
ヘラクレス
- ホメロスはすでに、ヘラクレスがゼウスとアルクメネの子であること、エウリュステウスの課す「難業」に苦しんだこと、冥界の番犬を連れ出したこと、6隻でトロイアを落としたことを知っている。ただし難業の数や一覧、火葬の薪の上での最期は語られず、『イリアス』は「ヘラクレスでさえ死を免れなかった」とする。 (『イリアス』19.95-133, 8.362-369, 5.638-642, 18.117-119、『オデュッセイア』11.601-626)
- 死後は神々の列に加わり、ゼウスとヘラの娘ヘベを妻にする。『オデュッセイア』でオデュッセウスが冥界で見るのは「幻影(エイドロン)」で、本人は神々のもとにいると断っている。 (『神統記』950-955、『オデュッセイア』11.601-604、アポロドーロス 2.7.7)
- 関係: child → zeus (『神統記』943-944、『オデュッセイア』11.620 冥界の像が「クロノスの子ゼウスの子であった」と名乗る)
- 関係: child → alcmene (『神統記』526, 943、『オデュッセイア』11.266-268)
- 関係: servant → eurystheus (『イリアス』8.362-363, 19.132-133 エウリュステウスの課す難業(ἄεθλοι)、『オデュッセイア』11.620-622 「はるかに劣る男に従わされ」)
- 関係: advisee → athena (『イリアス』8.362-365 アテナが難業のたびに助けた、『神統記』318 ヒュドラ退治は「アテナの計らいで」、『オデュッセイア』11.626 ケルベロスを連れ出す際にヘルメスとアテナが導いた)
- 関係: abducted → cerberus (『オデュッセイア』11.623-625、『イリアス』8.366-368、アポロドーロス 2.5.12(エウリュステウスに見せたあと冥界に返す))
ヘルメス
- 『オデュッセイア』最終巻の冒頭で、黄金の杖を手に殺された求婚者たちの魂を呼び集め、コウモリのように鳴く魂の群れを冥界へ導く。 (24.1-14)
- オデュッセウスにキルケの薬を無効にする草モーリュを与える。「神々はこれをモーリュと呼ぶ。人間には掘り取るのが難しい」とホメロスは書き、神の言葉と人間の言葉を区別する珍しい箇所でもある。 (10.275-306。神々の呼び名の言及は 10.305)
- 関係: companion → odysseus (10.275-306。キルケの魔法を防ぐ薬草モーリュを与え、使い方を教える)
- 関係: enemy → calypso (5.28-148。オデュッセウスを解放せよというゼウスの命令を伝えに行く)
ヘスティア
- 『イリアス』『オデュッセイア』に神としてのヘスティアは登場しない。『イリアス』にはこの語自体が一度も出ず、『オデュッセイア』では「オデュッセウスの炉にかけて」という誓いの定型句に4回出るだけで、いずれも神ではなく家の炉を指す。オリュンポス十二神の一柱とされながら、ホメロスの物語世界には場所を持たない。 (『オデュッセイア』14.158-159, 17.155-156, 19.303-304, 20.230-231「ἴστω νῦν Ζεὺς πρῶτα θεῶν ... ἱστίη τ᾽ Ὀδυσῆος ἀμύμονος」。ギリシャ語本文を通覧すると『イリアス』に ἱστίη(炉)の用例は無く、ἱστία は別語の「帆」、Ἱστίαια(2.537)は地名)
ホーラ
- ホメロスでは ὧραι は普通名詞としても使われ、「季節がめぐって四年目が来た」のような言い回しで年の移り変わりを表す。女神ホーライの名と「季節」という語は同じもの。 (2.107, 10.469, 19.152)
ヒュアキントス
- ホメロスには少年ヒュアキントスは出てこない。ὑάκινθος は花の名としてだけ現れ、ゼウスとヘラの寝床に咲く花の一つ(『イリアス』)や、アテナが整えたオデュッセウスの巻き毛のたとえ(『オデュッセイア』)に使われる。 (『イリアス』14.348 /『オデュッセイア』6.231 = 23.158)
ヒュギエイア
- ヒュギエイアはホメロスにもヘシオドスにも登場しない。英雄譚の登場人物ではなく、医術の信仰の中で父アスクレピオスと組になって現れる女神である。 (ギリシャ語本文を全文検索して ὑγίεια の用例がないことを確認)
ヒュペリオン
- ホメロスでは「ヒュペリオン」は太陽そのものの呼び名としても使われる。『オデュッセイア』冒頭の「ヒュペリオン・エエリオス(太陽)の牛」がその例で、別の箇所では「ヒュペリオンの子」という父称でヘリオスを呼ぶ。ヒュペリオンを独立した父神として語るのはヘシオドスからである。 (1.8, 1.24, 12.133, 12.176(Ὑπεριονίδης「ヒュペリオンの子」)。『イリアス』8.480, 19.398 も同様)
イドメネウス
- ホメロスでは無事に帰国する。『オデュッセイア』3.191-192 でネストルが「クレタ人はイドメネウスに率いられて、戦で生き残った者は一人も海で失わずに帰った」と語る。 (3.191-192)
- 帰郷したオデュッセウスは作り話の中で、イドメネウスの足の速い息子オルシロコスを殺してクレタから逃げてきたと名乗り(13巻)、またペネロペイアには、デウカリオンの子でイドメネウスの弟アイトンだと名乗る(19巻)。 (13.259-270、19.180-184)
イノ・レウコテア
- ホメロスは「もとは人間の言葉を話す者だったが、今は海の深みで神々の分け前にあずかっている」と紹介する。人間から神になった例として『オデュッセイア』で明示される数少ない存在。 (5.333-335)
- 筏を捨て、衣を脱ぎ、この不死の頭巾を胸の下に巻けと教える。陸に着いたら振り返らずに海へ投げ返せという条件が付く。オデュッセウスは神の言葉をすぐには信じず、筏が砕けるまで従わない。 (5.339-353(疑いは5.356-364、返却は5.459-462))
- 授けられた品は κρήδεμνον(クレデムノン)、既婚女性が頭にかぶる被り物である。武具でも霊薬でもなく女性の装身具が救命具になる点が独特。 (5.346、5.351)
- 頭巾を巻いて2日2晩漂い、3日目にスケリエの川の河口にたどり着く。パイエケス人の地への到着はこの救いによる。 (5.388-450)
- ホメロスでは、レウコテアはオデュッセウスを哀れんで、海鳥(アイテュイア)に似た姿で海から舞い上がって筏にとまり、頭巾を授けると、また海鳥の姿で波の下へ消えた。 (5.336-338、5.352-353)
- 関係: companion → odysseus (5.333-353 頭巾を授けて溺死から救う)
イリス
- 『オデュッセイア』にイリスは現れない。使者の役目はすべてヘルメスが果たす。同じ作者に帰せられる二篇の間で、神々の分業が違っている。 (5.28-148、24.1-14 など使者の場面はいずれもヘルメス。イリスの不在は本文全体にわたる)
イタケ
- オデュッセウス自身が「陽の沈む方に最も寄った低い島。岩がちで馬を走らせる土地はないが、若者を育てるよき乳母だ。自分の国にまさるものは見たことがない」と語る。 (9.21-28)
- 近隣の島としてドゥリキオン、サメ、ザキュントスが挙げられる。求婚者もこの4島から集まっており、イタケは小島の連合の中心として描かれる。 (9.23-24、16.245-253)
- 帰着の場所はポルキュスの入り江。奥にオリーブの木があり、ニンフ(ナイアス)たちの洞があって、石の織機と甕、蜜蜂の巣があると詳細に描写される。パイエケス人は眠る彼をここに降ろした。 (13.96-112、13.113-125)
- 20年ぶりに降り立ったオデュッセウスは、アテナが霧をかけていたため故郷と分からず絶望する。霧が晴れて土地を確かめ、大地に口づけする。 (13.187-354(口づけは13.353-354))
- オデュッセウスが出征して以来20年、一度も民会が開かれていなかったと語られる。王の不在が政治の空白として具体的に示される。 (2.26-27)
- アテナはイタケを、岩がちで馬を駆る土地はなく狭いが貧しくはなく、麦と葡萄がよく実り、雨と露に恵まれ、山羊と牛の牧に適し、木々が茂り、涸れない水場がある島と説明する。 (13.236-249)
- 関係: ruled_by → odysseus (9.19-28 本人が「イタケに住むラエルテスの子」と名乗る)
- 関係: ruled_by → laertes (24.205-360 先代の王。老いて田舎の農園に退いている)
- 関係: ruled_by → telemachus (1.386-398 アンティノオスが「ゼウスがおまえをイタケの王にしませんように」と言い、王位の継承が争点になる)
イアソン
- ホメロスはアルゴ船の遠征を「万人の知る」話として前提にしている。『オデュッセイア』では、アイエテスのもとから帰るアルゴ船だけが打ち合う岩をすり抜けられた、ヘラがイアソンを愛していたからだ、と語られる。『イリアス』にはイアソンがレムノスの女王ヒュプシピュレに生ませた子エウネオスが登場し、ギリシャ軍に葡萄酒を売っている。 (『オデュッセイア』12.69-72、『イリアス』7.467-469)
- 関係: owner → argo (アポロドーロス 1.9.16、『オデュッセイア』12.69-72)
- 関係: advisee → hera (『オデュッセイア』12.72「イアソンが愛しかったので」ヘラが船を通した。アポロドーロス 1.9.16 金羊毛を口にしたのはヘラの差し金だったとも)
イオカステ
- ホメロスでの名はエピカステ。冥界でオデュッセウスが見る女たちの一人として、「知らずに大それたことをした」オイディポデスの母として語られる。イオカステの名は悲劇から。アポロドーロスは両方の名を併記している。 (『オデュッセイア』11.271-280 / 3.5.7)
- ホメロスとソポクレスでは、真相が明らかになるとすぐ首を吊って死ぬ。ホメロスは「悲しみに打ち負かされ、高い梁から縄をかけた」とだけ言い、ソポクレスは寝室に駆け込んでライオスの名を呼び、閉ざした戸の向こうで縄にかかっていた姿を使者に語らせる。 (『オデュッセイア』11.277-278 / OT 1241-1264 / 3.5.9)
- 関係: parent → oedipus (『オデュッセイア』11.271 / OT)
- 関係: spouse → oedipus (『オデュッセイア』11.271-274 / OT)
クノッソス
- 『オデュッセイア』でクレタ生まれを名乗るオデュッセウスは、クレタには九十の町があり言葉が入り混じると語り、その中の大きな町クノッソスで、大いなるゼウスと語り合ったミノスが王であったと言う。 (19.172-180(ミノスを形容する語は「九年ごとに」とも「九歳で」とも訳される))
- 関係: ruled_by → minos (19.178-180)
- 関係: member_of → crete (19.172-180 クレタの町の一つ)
ラエルテス
- 息子を嘆いて町に下りず、田舎の農園で下男たちと暮らし、冬は灰の上で眠ると語られる。オデュッセウス不在のイタケの荒廃を体現する人物。 (1.189-193、11.187-196(アンティクレイアの亡霊の証言))
- 最後の再会の場面で、オデュッセウスは猪の牙の傷跡に加えて「幼い頃あなたが庭でくれた木」を梨13本・林檎10本・無花果40本と数え上げて父に証明する。 (24.331-344(傷跡は24.331-335、木の列挙は24.336-344))
- アテナに力を吹き込まれ、アンティノオスの父エウペイテスを槍で討つ。『オデュッセイア』で最後に人を殺すのはこの老人である。 (24.516-525)
- ペネロペイアが織り続けたと称した経帷子は、このラエルテスのためのものだった。「いつか死ぬ日のために」という口実が3年引き延ばしを可能にした。 (2.96-102、19.141-147)
- ぶどう畑で苗木の根もとを掘るラエルテスは、継ぎはぎの汚れた上着に、ひっかき傷よけの牛革の脛当て、とげよけの手袋、山羊皮の帽子という姿だった。オデュッセウスは梨の木の下で涙を流し、すぐに名乗るか先に試すか迷って、試すことにした。 (24.226-240)
- 息子の消息を尋ねた作り話を聞いて、ラエルテスは黒い土を両手ですくって白髪頭にかけて呻き、それを見たオデュッセウスは抱きついて名乗った。 (24.315-326)
- テレマコスがピュロスへ船出してから、ラエルテスは食べることも飲むことも畑の見回りもやめ、座って泣き、骨から肉が落ちていったとエウマイオスが語る。 (16.137-145)
- 関係: spouse → anticleia (11.85 「アウトリュコスの娘アンティクレイア」としてオデュッセウスの母が示される)
- 関係: owner → eurycleia (1.429-433 牛20頭の値で買い取り、妻と同等に遇したが床は共にしなかった)
- 関係: participated_in → suitors-of-penelope (24.463-548 求婚者の縁者との戦いに加わる)
ライストリュゴネス族
- 都はラモスのテレピュロスと呼ばれる。夜と昼の道が近く、眠らずに働ける者なら二重の賃金を得られると語られ、白夜を思わせる描写として注目される。 (10.81-86)
- 切り立った岩に囲まれ、波の立たぬ入り江。11隻はその中に入って係留し、オデュッセウスの船だけが外の岩に繋がれていた。この判断が生死を分ける。 (10.87-96)
- 水汲みの娘に案内された偵察隊は王アンティパテスの館に入り、王妃を見て逃げるが、王は一人を掴んで食事に供した。叫びを聞いた民が四方から集まる。 (10.103-118)
- 「人ではなく巨人(ギガンテス)のようだ」と形容され、人が持てぬほどの岩を岸壁から投げ落とし、魚のように人を串に刺して運び去った。 (10.119-124)
- ここでオデュッセウスは船団のほとんどを一度に失う。以後の旅は1隻と生き残りの仲間だけで続き、最後にはその1隻も落雷で砕けて彼一人になる。 (10.125-132。船団12隻は『イリアス』2.637 による)
- アイオロスの島を追われたあと、船団は6日間昼夜漕ぎ続け、7日目にライストリュゴネス族の都テレピュロスに着いた。 (10.76-81)
- 関係: enemy → odysseus (10.80-132 船団11隻を壊滅させる)
ラミア
- ラミアの名は、ホメロスの『イリアス』『オデュッセイア』、ヘシオドス『神統記』、アポロドーロス『ビブリオテーケー』、オウィディウス『変身物語』、ヒュギヌス『神話集』には出てこない。まとまった話は、歴史家ディオドロスや辞典『スーダ』、著述家たちのたとえ話のなかに残る。 (手元の英訳全文(『イリアス』『オデュッセイア』『神統記』『ビブリオテーケー』『変身物語』『神話集』)と、『イリアス』『オデュッセイア』『神統記』のギリシャ語本文で Lamia / Λάμια を検索して該当なし(2026年9月))
レダ
- 『オデュッセイア』の冥界の場面では、テュンダレオスの妻レダがカストルとポリュデウケスを産んだことだけが語られる。白鳥の逸話も、ヘレネの母であることも、ホメロスには明記されない。 (11.298-304)
- 卵の数え方は伝承で割れる。ヒュギヌスは、白鳥のゼウスからポリュデウケスとヘレネが、テュンダレオスとの間にカストルとクリュタイムネストラが生まれたとするが、卵には触れない。アポロドーロスも同じ組み分けをしたうえで、ネメシスの産んだ卵を羊飼いがレダに渡し、そこからヘレネが孵ったとする異伝を並べる。ホメロスはカストルとポリュデウケスを二人ともテュンダレオスの子とする。 (ヒュギヌス 77 / アポロドーロス 3.10.7(ネメシスの卵の異伝を含む)/ 『オデュッセイア』11.298-300)
- 関係: spouse → tyndareus (11.298-299)
- 関係: parent → castor (『オデュッセイア』11.298-300)
- 関係: parent → polydeuces (『オデュッセイア』11.298-300)
- 関係: participated_in → sparta (11.298-299。スパルタ王テュンダレオスの妻として)
レムノス島
- 『オデュッセイア』でヘパイストスは寝台に網を仕掛けたあと、神にとってあらゆる土地の中で最も愛しい、よく築かれた城のあるレムノスへ行くふりをした。 (8.283-284)
- 関係: owned_by → hephaestus (8.283-284 いちばん愛しい土地)
ロートパゴイ(蓮を食う人々)
- キュテラ沖で9日間北風に流された先にある土地。旅の最初の「人ならざる世界」への入口として位置づけられる。 (9.80-84)
- 彼らは偵察の3人を害さず、ロートスを分け与えただけである。『オデュッセイア』の敵の中で、暴力をまったく振るわない唯一の相手。 (9.88-97)
- 蜜のように甘い実を食べた者は、帰ることも報告することも忘れ、ロートパゴイの中に留まって実を摘んでいたいと願うだけになる。 (9.94-97)
- オデュッセウスは泣く彼らを力ずくで船まで引きずり、漕ぎ座の下に縛りつけ、他の者に急いで乗り込むよう命じた。指揮官が仲間の意志に反して助ける、作中で数少ない場面。 (9.98-104)
- ロートスが具体的にどの植物かはホメロスには書かれておらず、原文は「花の食べ物(ἄνθινον εἶδαρ)」「蜜のように甘い実」とだけ記す。実在の植物として描いたのはヘロドトスが早く、リビュアのロートパゴイの食べる実をナツメヤシの実のように甘く、酒も造ると説明する。ポリュビオスはさらに詳しく木と実の姿を述べ、メニンクス島(ジェルバ島)に彼らを置く。現代の植物学でナツメ属 Ziziphus lotus に当てるのは後世の同定である。 (『オデュッセイア』9.84「ロートパゴイの地、花の食べ物を常食とする人々」、9.94「蜜のように甘いロートスの実」を本文で確認。ヘロドトス 4.177(ロートスの実はマスティックの実ほどの大きさで、ナツメヤシの実のように甘く、酒も造る)。ポリュビオス 12.2 は未確認。古代の著者はいずれも近代の学名を与えてはいない)
- マレア岬を回るところで波と潮と北風に押し戻され、9日間漂流し、10日目にロートパゴイの地に着いた。オデュッセウスは二人を選び、伝令を一人つけて偵察に送った。 (9.80-90)
- 縛りつけたあと、オデュッセウスは他の仲間にロートスを食べて帰郷を忘れる者が出ないよう急いで乗船させ、仲間は並んで座り灰色の海を櫂で打った。 (9.101-104)
- 関係: visited_by → odysseus (9.82-104 偵察の3人にロートスを与えた。暴力は振るっておらず、危険なのは実そのもの)
マイア
- ホメロスではマイアは物語に登場せず、『オデュッセイア』で豚飼いが供物を分ける場面の「ニンフたちとマイアの子ヘルメスのために」という呼び名に名が出るだけ。『イリアス』に名は無い。 (『オデュッセイア』14.435-436。『イリアス』は英訳全文を検索して名が無いことを確認)
- 関係: parent → hermes (『神統記』938-939、「ヘルメス讃歌」1-19、『オデュッセイア』14.435、アポロドーロス3.10.2)
メデイア
- 関係: companion → circe (叔母と姪。『神統記』956-957 キルケとアイエテスはヘリオスの子、『オデュッセイア』10.137 キルケは「アイエテスの実の姉妹」。アポロニオス 4.683-684, 4.726-732 キルケが同じ血筋の目の輝きでメデイアを見分ける)
メドゥサ
- ホメロスには「ゴルゴンの首」が何度も出てくる。アテナのアイギスに付いた恐ろしい首、アガメムノンの盾に描かれた睨む顔、ヘクトルの「ゴルゴンの目」、冥界でペルセポネが送ってくるかもしれない首。しかしメドゥサという名も、ペルセウスの物語も出てこない。 (『イリアス』5.741-742, 8.348-349, 11.36-37、『オデュッセイア』11.633-635)
メガラ
- 『オデュッセイア』の冥界の場面で、オデュッセウスは「心の気高いクレオンの娘メガラ、アンピトリュオンの子(ヘラクレス)の妻」を見る。 (11.269-270)
- 関係: spouse → herakles (『オデュッセイア』11.269-270、アポロドーロス2.4.11、『ヘラクレス』9-14)
- 関係: child → creon (『オデュッセイア』11.269、アポロドーロス2.4.11、『ヘラクレス』8-10(メノイケウスの子クレオン))
メルポメネ
- ホメロスの二つの叙事詩に、ムーサとしてのメルポメネの名は出てこない。 (ギリシャ語本文を全文検索して確認(『イリアス』16.182 の μελπομένῃσιν は「歌い踊る」の意の普通の動詞))
メムノン
- ホメロスには戦場の場面は無く、名前だけが二度出る。『オデュッセイア』ではアンティロコスを殺した者として、また冥界の場面では「見た中で最も美しい男」として言及される。 (4.187-189(アンティロコスを殺す)、11.522(最も美しい男))
- 関係: killed → antilochus (『オデュッセイア』4.187-189、『アイティオピス』要約)
メネラオス
- 帰路、エジプト沖のパロス島で足止めされ、海の老人プロテウスを待ち伏せして捕らえる。姿を次々に変えるのを離さずに押さえ込み、帰り方と仲間たちの消息を聞き出す。この場面でアガメムノンの死も語られる。 (4.351-570)
- プロテウスは、メネラオスはアルゴスで死ぬのではなく、生きたままエリュシオンの野へ送られると告げる。理由は本人の徳ではなく「ヘレネを妻としており、ゼウスの婿だから」である。最も人間くさい英雄が、婚姻によって不死に最も近い運命を得る。 (4.561-570)
- 『オデュッセイア』4巻の彼とヘレネは、スパルタで穏やかに暮らしている。二人は客の前でトロイアの思い出を語り合い、ヘレネは悲しみを忘れさせる薬を酒に入れる。復讐も断罪もなく、夫婦がただ続いている。 (4.1-305(薬は 4.219-234))
- 帰路、スニオン岬で舵取りを失い、マレア岬沖の嵐で船団を分けられ、5隻でエジプトに流された。キプロス、フェニキア、エジプト、リビアなどをさまよって財を集め、8年目に帰国した。その間にアガメムノンはアイギストスに殺されていた。 (3.276-312、4.81-92)
- パロス島で20日間風が止まって足止めされたとき、プロテウスの娘エイドテアが助け、アザラシの皮4枚を用意してメネラオスと部下3人を浜に伏せさせた。臭いに苦しむ彼らの鼻の下にアンブロシアを置いた。プロテウスは獅子、蛇、豹、猪、水、木と姿を変えたが、放さなかった。 (4.360-460)
- 関係: spouse → helen (『イリアス』3.429、『オデュッセイア』4.121-305)
メントル
- オデュッセウスが船出するとき、家のすべてを託し、老ラエルテスに従って万事を守るよう命じた相手として紹介される。 (2.225-227)
- 実際にテレマコスを導き船と漕ぎ手を整えるのは、メントルの姿を借りたアテナである。生身のメントル本人は民会で求婚者を叱る場面(2.224-241)にしか目立った出番がない。 (2.267-268(姿を借りる)、2.399-406、3.12-28、4.653-656)
- 求婚者殺しの最中にもメントルの姿で現れて加勢を求められる。求婚者アゲラオスが「メントル」を脅すと、アテナはオデュッセウスを叱咤してから燕の姿になって梁に飛び上がる。 (22.205-240(燕になるのは22.239-240))
- 物語の最後、求婚者の縁者との戦いを止める場面でも、アテナはメントルの姿と声で誓いを結ばせる。『オデュッセイア』はこの姿で幕を閉じる。 (24.502-503、24.545-548)
- 現代語の「メンター(助言者・指導者)」はこの人物名に由来する。英語の名詞としての初出は1750年で、語源辞典によれば、ホメロスよりメントルに大きな役を与えた後代の物語を通じて広まったとみられる。ホメロスでは、作中で助言するのは多くの場合メントルの姿を借りたアテナである。詳細は語源の節を参照。 (etymonline「mentor」の項(英語初出1750年、「ホメロスより大きな役を与えた後代の物語を通じて」)。フェヌロンの名は語源辞典に無いので書かない(2026-09-30 照らし直し))
- 民会でメントルは、オデュッセウスは父のように穏やかな王だったのに誰も覚えていないと言い、求婚者よりも黙っている民衆に腹を立てる。求婚者レオクリトスに「たわけ者」と言い返される。 (2.229-256)
- 関係: companion → odysseus (2.225-227 出征に際して家政を託された友)
- 関係: teacher → telemachus (2.267-295 その姿を借りたアテナがテレマコスに旅立ちを促す)
- 関係: impersonated_by → athena (2.267-268、22.205-210、24.502-503 アテナが繰り返しこの人物の姿と声を借りる)
メティス
- ホメロスでゼウスはしばしば「メーティエタ(知恵に富む)」と呼ばれる。この添え名はメティス(知恵)と同じ語根で、『イリアス』だけで16回使われている。女神メティスそのものはホメロスには登場しない。 (『イリアス』1.175, 1.508, 2.197 など16例、『オデュッセイア』3例(ギリシャ語本文を全文検索))
ミノス
- ホメロスのミノスは、ゼウスの子でクレタの守り手、デウカリオンの父、イドメネウスの祖父。『オデュッセイア』では「9年ごとに(あるいは9歳で)王となった、大いなるゼウスの語らい相手」と呼ばれ、冥界では黄金の笏を持って死者を裁いている。ミノタウロスや迷宮の話は無い。 (『イリアス』13.449-453、『オデュッセイア』19.178-179, 11.568-571)
- 『オデュッセイア』でアリアドネを紹介する行では、ミノスに「悪意ある心の(オロオプロン)」という不穏な添え名が付いている。 (11.322(κούρην Μίνωος ὀλοόφρονος))
- 関係: child → zeus (『イリアス』13.449-450, 14.321-322、『オデュッセイア』11.568、アポロドーロス 3.1.1)
- 関係: ruler → crete (『オデュッセイア』19.178-179 クノッソスで9年ごとに王であった、『イリアス』13.450「クレタの守り手」、アポロドーロス 3.1.3)
- 関係: parent → ariadne (『オデュッセイア』11.322、『神統記』948、アポロドーロス 3.1.2)
ミノタウロス
- ホメロスにミノタウロスは出てこない。『イリアス』はクノッソスでダイダロスがアリアドネのために踊り場を造ったこと、『オデュッセイア』はテセウスがアリアドネを連れ出したことに触れるが、怪物も迷宮も語られない。 (『イリアス』18.590-592、『オデュッセイア』11.321-325)
モイラ
- 『オデュッセイア』では、アルキノオス王が、オデュッセウスは故郷に着いたあと、生まれたときに運命と「重き紡ぎ手たち(クローテス)」が糸に紡いだことを身に受けるだろう、と語る。運命を「紡ぐ糸」とみる考えはホメロスの時代にすでにある。 (7.196-198)
モーリュ
- 根は黒く、花は乳のように白い。神々はこれをモーリュと呼び、死すべき人間には掘り取るのが難しいが、神々には何でもできる、と記される。 (10.302-306)
- ヘルメスはこれを持てばキルケの薬が効かないと説明し、彼女が杖で打とうとしたら剣を抜いて飛びかかれと具体的な手順まで教える。薬草単独ではなく、行動とセットの対策として与えられる。 (10.286-301)
- ホメロスの現存作品でモーリュが登場するのはこの一箇所だけ。名前と外見と効能が短く記されるのみで、由来も産地も語られない。 (10.302-306)
- 古代から現代まで、実在の植物に当てはめる試みが繰り返されてきた。テオプラストスはすでにモーリュをアルカディアの実在の草とし、根は玉葱状、葉はスキラに似るとしたうえで、ホメロスの言うほど掘り出しにくくはないと注記する。現代ではマツユキソウ(Galanthus nivalis)とし、その成分ガランタミンがナス科植物の中毒を解くと論じた1983年の説がよく引かれる。原典は植物名を与えていないため、いずれも推定にとどまる。 (テオプラストス『植物誌』9.15.7。A. Plaitakis & R. C. Duvoisin, Clinical Neuropharmacology 6(1), 1983, pp.1-5。『オデュッセイア』10.302-306 は根が黒く花が乳白色とだけ言い、名は「神々がモーリュと呼ぶ」とする)
- 関係: owned_by → odysseus (10.302-306 ヘルメスが地から抜いて手渡す)
- 関係: owned_by → hermes (10.275-306 ヘルメスが自ら地から抜き取り、その性質を説明して手渡す)
オリュンポス山
- 「神々の揺るぎない座。風に揺られず、雨に濡れず、雪も降らない。雲一つない澄んだ大気が広がり、白い輝きが満ちている」と『オデュッセイア』は描く。 (6.42-46)
- 『オデュッセイア』でオリュンポスの描写が出てくるのは、アテナがナウシカアの夢に現れたあと、神々の住まいへ帰っていく場面である。 (6.41-47)
パルナッソス山
- 『オデュッセイア』で乳母エウリュクレイアがオデュッセウスを見破る膝の傷は、若いころパルナッソス山で母方の祖父アウトリュコスの息子たちと猪狩りをして負ったもの。詩はここで、傷の由来と名付けの話を長く挿入する。 (19.386-475(猪狩りは428-458))
- アウトリュコスは盗みと誓いのごまかしに長けた男で、その技はヘルメスから授かった。生まれたオデュッセウスに、自分が大勢に腹を立てられてきたことにちなむ名を付け、成人してパルナッソスの屋敷に来たら財産を与えると約束した。 (19.394-412)
- 関係: visited_by → odysseus (19.393-466 母方の祖父アウトリュコスを訪ね、猪狩りで傷を負う)
ムーサ
- ホメロスの詩はムーサへの呼びかけで始まる。『イリアス』の軍勢の一覧では「あなたがたは神で、その場にいてすべてを知っているが、我々は噂を聞くだけで何も知らない」と、過去を語る力を女神に委ねる。ただしホメロスではムーサの数や名前はほとんど語られない。 (『イリアス』1.1, 2.484-492。『オデュッセイア』1.1)
- ホメロスでムーサが「九人」とはっきり言われるのは『オデュッセイア』の最終巻、アキレウスの葬儀で九人のムーサが代わる代わる挽歌を歌う場面の一箇所だけ。 (24.60-62(ギリシャ語本文を全文検索して確認))
- ムーサは歌を与えもし奪いもする。『イリアス』では、ムーサより上手に歌えると豪語した楽人タミュリスが、怒ったムーサに目を潰され歌を奪われる。『オデュッセイア』の盲目の楽人デモドコスは、ムーサに視力を奪われた代わりに甘美な歌を授かったとされる。 (『イリアス』2.594-600。『オデュッセイア』8.62-64)
ミュケナイ
- 関係: ruled_by → orestes (アポロドーロス摘要 6.28(ミュケナイに戻り、ヘルミオネを娶ってティサメノスをもうける)、パウサニアス 2.18.5-6(父の王国に加えアルゴスも治め、ラケダイモン人も王に迎えたとする)。『オデュッセイア』3.304-312 はアイギストスが7年ミュケナイを治めオレステスが討ったと言うだけで、彼の統治には触れない)
ミュルミドン人
- 『オデュッセイア』では、戦後ミュルミドン人はアキレウスの息子に率いられて無事に帰国したとネストルが語り、メネラオスは娘ヘルミオネをミュルミドン人の町の王(アキレウスの息子)に嫁がせる。冥界のアキレウスは、ミュルミドン人の中で父ペレウスがまだ敬われているかを尋ねる。 (3.188-189、4.5-9、11.494-496)
- 関係: ruled_by → peleus (『イリアス』24.535-536、『オデュッセイア』11.494-496)
- 関係: ruled_by → neoptolemus (3.188-189 アキレウスの息子に率いられて無事帰国。4.9 ネオプトレモスが王であるミュルミドン人の町)
ナウシカア
- アテナが友人の娘の姿で夢に現れ、嫁入りが近いのだから衣を洗いに行けと促す。これが海岸での出会いの段取りになる。 (6.13-47)
- 侍女たちと衣を洗い、食事をし、鞠遊びをする。逸れた鞠に上げた叫び声でオデュッセウスが目を覚ます。侍女たちが逃げる中、彼女だけがその場に踏みとどまる。 (6.85-141(踏みとどまるのは6.139-141))
- 裸で塩にまみれた男に膝を抱かれず言葉だけで嘆願される。オデュッセウスは彼女を女神かアルテミスかと呼び、「夫と家と心を同じくすること以上の幸いはない」と祝福して心を動かす。 (6.141-185(結婚の祝福は6.180-185))
- 侍女たちに向かって「このような人がわたしの夫と呼ばれ、ここに留まってくれたらよいのに」と漏らす。作中でこの願いが叶うことはない。 (6.239-245)
- 町での噂を避けるため、自分とは別に都へ入り、館では父ではなくまず母アレテの膝に嘆願せよと助言する。パイエケス人の宮廷で王妃の力が強いことを示す場面。 (6.255-315(アレテへの指示は6.303-315))
- 別れの場面では柱のそばに立ち「異国の方、故郷に帰ったらわたしを思い出してください。命を救ったのはわたしなのですから」とだけ言う。二人が言葉を交わす最後の場面。 (8.457-468)
- 裸で塩にまみれたオデュッセウスが、雨風に打たれた山の獅子のように近づくと侍女たちは逃げたが、アテナが胸に勇気を置いたので、ナウシカアだけが踏みとどまった。 (6.127-141)
- 父アルキノオスは、オデュッセウスのような人が娘をめとって婿としてとどまってくれたらと言いつつ、望まないなら誰も引き止めないと言う。 (7.311-316)
- 関係: companion → odysseus (6.110-315 難破した彼を助け、衣と食と道案内を与える)
- 関係: child → alcinous (6.17 「アルキノオスの娘」)
- 関係: child → arete (6.304-315 母に先に嘆願せよと助言する)
冥界訪問(ネキュイア)
- オデュッセウスは冥界に「降りる」のではない。オケアノスの流れを越えたキンメリオイ人の地で穴を掘り、犠牲を捧げて霊を呼び出す。死者の方が地の底から上がってくる。 (11.13-50)
- 一肘四方の穴を掘り、蜜と乳、甘い酒、水の順に献じ、白い大麦を撒き、黒い雄羊と雌羊を屠って血を流す。剣を抜いて霊を近づけず、テイレシアスが血を飲むまで待つ。 (11.23-50。手順はキルケの指示(10.516-540)どおり)
- 中盤では英雄たちの母や妻の霊が次々に現れる(ティュロ、アンティオペ、アルクメネ、エピカステ、レダ、パイドラ、アリアドネなど)。この「女たちのカタログ」が語りを一度中断させ、アルキノオスの館の場面に戻る。 (11.225-332(中断は11.333-384))
- アキレウスは「死者すべてを治めるより、地を持たぬ貧しい男に雇われて生きるほうがよい」と答える。『イリアス』で不滅の名誉を選んだ英雄が、それを否定する言葉として繰り返し引かれる。 (11.488-491)
- アキレウスの武具をめぐる裁定でオデュッセウスに敗れたアイアスの霊は、呼びかけにも一言も答えず、黙って闇の中へ去る。ホメロスにおける沈黙の力の代表例として知られる。 (11.541-567)
- 第24歌の冒頭(24.1-204)にも死者の場面があり、「第二のネキュイア」と呼ばれる。求婚者たちの霊がヘルメスに導かれ、アキレウスやアガメムノンと語る。古代の校訂者アリストパネスとアリスタルコスは23.296 を『オデュッセイア』の「終わり」としており、それ以降の真作性は古代から議論されてきた。 (24.1-204。『オデュッセイア』23.296 への古註(MV写本「アリストパネスとアリスタルコスはここを『オデュッセイア』の終わり(πέρας)とする」、HMQ写本も同趣旨)。近代の整理は Heubeck, A Commentary on Homer's Odyssey vol. III(Oxford, 1992)の第23-24歌の部。古註本文は二次引用でしか確認できていない)
- 最初に現れたエルペノルは、キルケの館で眠ったあと梯子を忘れて屋根から落ち、首を折って死んでいた。彼は、鎧とともに焼き、浜に塚を築いて生前に漕いだ櫂を立ててくれと頼んだ。 (11.51-83)
- テイレシアスは、求婚者を討ったあと櫂を担いで海を知らない人々の国へ行き、櫂を「箕」と呼ぶ旅人に出会ったらそこに櫂を立ててポセイドンに生贄を捧げよ、と告げ、穏やかな老いの果ての死を予言した。 (11.119-137)
- 最後に無数の死者が叫びながら押し寄せ、ペルセポネがゴルゴンの首を送ってくるのではと恐れたオデュッセウスは、船に戻ってオケアノスの流れを下った。 (11.628-640)
- 関係: participant → odysseus (11.1-640 全体の語り手)
- 関係: participant → tiresias (11.90-151 訪問の目的である予言者)
- 関係: participant → anticleia (11.84-224 母との再会)
- 関係: participant → elpenor (11.51-83 最初に現れる霊)
- 関係: participant → circe (10.487-540 冥界行きを命じ、儀式の手順を教える)
- 関係: participant → agamemnon (11.385-466 妻クリュタイムネストラに殺された経緯を語る)
- 関係: participant → achilles (11.467-540)
- 関係: participant → ajax-the-great (11.541-567 武具の裁定を恨んで一言も答えずに去る)
ネオプトレモス
- 『オデュッセイア』のネオプトレモスには残虐なところが一つも無い。オデュッセウス自身がアキレウスの亡霊に語るところでは、議論ではネストルと自分に次いで三番目に優れ、戦では常に先頭に出て多くを討ち、木馬の中で他の将が泣いたり震えたりする中で彼だけは平然として「出させてくれ」とせがんだ。そして傷ひとつ負わずに船で帰った。 (11.505-537)
- 父の死後、オデュッセウスがスキュロス島から呼び寄せた。『小イリアス』要約では、オデュッセウスが連れてきて父の武具を与え、アキレウスの亡霊が彼の前に現れる。 (『オデュッセイア』11.508-509 / 『小イリアス』要約(プロクロス))
- オデュッセウスから息子の活躍を聞いたアキレウスの亡霊は、喜んで大股にアスポデロスの野を去っていく。 (11.538-540)
- 関係: child → achilles (11.505-537)
- 関係: companion → odysseus (『オデュッセイア』11.508-509(スキュロスから連れてくる)、ソポクレス『ピロクテテス』全体)
- 関係: participated_in → trojan-war (11.505-537)
ネレイス
- 『オデュッセイア』の冥界の場面では、アキレウスの死を知ったテティスが海の女神たちを連れて現れ、「海の老人の娘たち」が遺体を囲んで嘆き、不死の衣を着せる。続いて九人のムーサが挽歌を歌う。 (24.47-62)
- 関係: companion → achilles (『イリアス』18.35-69 テティスとともに嘆く。『オデュッセイア』24.47-59 アキレウスの葬儀に海から現れて弔う)
ネレウス
- 後代の伝承では、姿を次々と変えて逃げるところをヘラクレスに掴まえられ、ヘスペリデスの黄金の林檎のありかを白状させられる。変身して逃げる海の老神という型は『オデュッセイア』のプロテウス(4.383-570)と共通する。 (アポロドーロス 2.5.11。プロテウスは『オデュッセイア』4.383-570)
ネストル
- 『オデュッセイア』ではトロイアで失った息子アンティロコスを「走るのも戦うのもとび抜けていた」と悼む。ホメロスはその死の場面そのものは描かず、父の嘆きの側から見せる。 (3.109-112)
- 帰路の無事な数少ない将のひとりで、ピュロスに戻って穏やかに暮らしている。『オデュッセイア』3巻では、父を探すテレマコスを迎えて延々と昔話を聞かせる。 (3.1-403)
- 関係: companion → telemachus (3.1-403。ピュロスを訪れたテレマコスをもてなす)
ギリシャ勢の帰国(ノストイ)
- 『オデュッセイア』3歌で、ネストルはテレマコスに帰国の様子を語る。アテナの怒りでアガメムノンとメネラオスが争い、全軍が夜の集会で割れた。半分はアガメムノンのもとに残り、半分は先に出航する。オデュッセウスはいったん出たテネドスからアガメムノンのもとへ引き返した。ネストルとディオメデスは急いで海を渡り、無事に帰り着いた。ミュルミドン勢、ピロクテテス、イドメネウスも無事だったと聞いている、とネストルは言う。 (3.130-192)
- メネラオスはアテナイの岬スニオンで舵取りをアポロンの矢に失い、葬るために遅れた。そのあとマレア岬で嵐にあい、船の多くはクレタで砕け、5隻だけがエジプトに流される。キプロス、フェニキア、エジプト、エチオピア人、シドン人、エレンボイ人、リビュアを8年かけてさまよい、財宝を積んで帰った。帰り着いたのは、オレステスが父の仇を討った当日だった。 (3.276-312、4.81-85)
- エジプト沖の島パロスで風が止まり、20日間足止めされたメネラオスは、海の老人プロテウスをつかまえて帰り道を聞き出す。プロテウスは、帰る途中で死んだ将は二人だけ(小アイアスとアガメムノン)で、もう一人(オデュッセウス)はまだ生きて海の上に囚われていると教える。 (4.351-570(二人と一人は 4.496-498))
- 小アイアスは、ポセイドンにギュライの大岩へ打ち上げられて一度は助かった。ところが「神々の意に逆らっても海から逃れてやった」と大言したため、ポセイドンが三叉の矛で岩を割り、その破片ごと海に沈められた。 (4.499-511)
- 帰国の物語は『オデュッセイア』の中でも歌の題材になっている。イタケの館で歌人ペミオスが「パラス・アテナがトロイアから課したアカイア人の痛ましい帰国」を歌うと、夫を待つペネロペイアは耐えられずに歌をやめさせようとする。冒頭でも、戦争と海を逃れた者はみな家にいるのに、オデュッセウスだけが帰れずにいる、と歌われる。 (1.325-344(ペミオスの歌)、1.11-15(冒頭))
- 関係: participant → agamemnon (『オデュッセイア』3.141-156(出航を遅らせる)、4.512-537(帰国の日に殺される)、11.405-411。『ノストイ』プロクロス要約)
- 関係: participant → menelaus (『オデュッセイア』3.276-312、4.81-85、4.351-570 8年さまよってエジプトから帰る)
- 関係: participant → nestor (『オデュッセイア』3.165-184 語り手。4日目にピュロスへ無事に着く)
- 関係: participant → diomedes (『オデュッセイア』3.167、3.180-182 無事にアルゴスへ。『アエネイス』11.243-270 ではイタリアのアルギュリパに住む)
- 関係: participant → ajax-the-lesser (『オデュッセイア』4.499-511 ギュライの岩で死ぬ。『ノストイ』プロクロス要約(カペレウスの岩での嵐)。アポロドロス『摘要』6.6)
- 関係: participant → neoptolemus (『ノストイ』プロクロス要約 陸路でトラキアを通る。『オデュッセイア』3.188-189 ミュルミドン勢は無事に帰った。アポロドロス『摘要』6.12-13)
- 関係: participant → idomeneus (『オデュッセイア』3.191-192 仲間を一人も失わずクレタに帰る。アポロドロス『摘要』6.9-10 では留守中に王位を奪われていて追い出される)
- 関係: participant → philoctetes (『オデュッセイア』3.190 無事に帰った。アポロドロス『摘要』6.15、6.15b ではイタリアのカンパニアに流れ着く)
- 関係: participant → odysseus (『オデュッセイア』3.162-164 いったんテネドスまで出てからアガメムノンのもとへ引き返す。4.555-560 プロテウスがカリュプソの島に囚われていると告げる。『ノストイ』プロクロス要約 マロネイアでネオプトレモスと会う)
- 関係: participant → athena (『オデュッセイア』3.135-136 アテナの怒りがアトレウスの二人の子を争わせる。『ノストイ』プロクロス要約。アポロドロス『摘要』6.5-6)
- 関係: participant → poseidon (『オデュッセイア』4.505-511 三叉の矛で岩を割り、小アイアスを海に落とす。アポロドロス『摘要』6.6)
- 関係: participant → proteus (4.384-570 エジプト沖のパロス島で捕まえられ、メネラオスに帰り方と他の将たちの運命を教える)
- 関係: participant → clytemnestra (『オデュッセイア』11.409-411。『ノストイ』プロクロス要約。アポロドロス『摘要』6.23)
- 関係: participant → orestes (『オデュッセイア』3.303-310 8年目にアテナイから戻りアイギストスを討つ。『ノストイ』プロクロス要約)
- 関係: participant → helen (4.561-569 ヘレネの夫でゼウスの婿だから、メネラオスは死なずにエリュシオンの野へ送られる)
ニンフ
- ホメロスではニンフたちは「アイギスを持つゼウスの娘たち」と呼ばれる。山のニンフたちは、アキレウスに殺されたエエティオンの墓のまわりに楡の木を植え、ナイアスたちはイタケの洞窟で石の機を織る。 (『イリアス』6.416-420。『オデュッセイア』13.102-112)
- オデュッセウスが眠ったままイタケに降ろされた港の奥には、ナイアスと呼ばれるニンフたちの聖なる洞窟がある。中には石の甕と機があり、北の入口は人間用、南の入口は神々専用。オデュッセウスはかつてここで何度も供え物をしていた。 (13.96-112, 13.345-360)
- ニンフが英雄や怪物の母になる例もある。『オデュッセイア』では、一つ目の巨人ポリュペモスの母トオサは海の神ポルキュスの娘であるニンフで、ポセイドンと交わって彼を産んだ。 (1.68-73)
- イタケに帰り着いたオデュッセウスは、ニンフの洞窟にパイエケス人からの贈り物を隠し、ニンフたちに祈った。 (13.345-371)
- 関係: child → zeus (『イリアス』6.420、『オデュッセイア』6.105, 13.356, 17.240 で「ゼウスの娘たち」と呼ばれる)
- 関係: companion → calypso (『オデュッセイア』1.14, 5.57 などでカリュプソは「ニンフ」と呼ばれる。関係の種類は仮に「仲間」とした)
- 関係: companion → artemis (6.102-108 アルテミスとともに野で遊ぶ山のニンフたち)
オケアノス
- オケアノスは大地の縁を巡る川として描かれる。アキレウスの盾の縁には「オケアノスの大いなる流れ」が彫られ、オデュッセウスは冥界の入口を求めてオケアノスの果て、キンメリオイ人の国へ船を進める。 (『オデュッセイア』11.13-22, 11.639。盾は『イリアス』18.607)
オデュッセウス
- 『オデュッセイア』の一行目は、名を出さずに「多くの方途をもつ男(ポリュトロポス)」と呼ぶところから始まる。名が出るのは1.21。 (1.1-21)
- 漂流の物語は、パイエケス人の宴での本人の回想として9〜12歌で語られる。順は、キコネス族(9.39-61)、ロートパゴイ(9.82-104)、キュクロプス(9.105-566)、アイオロス(10.1-79)、ライストリュゴネス族(10.80-132)、キルケ(10.133-574)、冥界(11歌)、セイレーン(12.165-200)、スキュラとカリュブディス(12.201-259)、ヘリオスの牛(12.260-402)、カリュプソ(12.447-450)。 (9.1-12.453。時系列では回想の後にパイエケス人の島(5〜8歌)が来る入れ子構造)
- キュクロプスに名を問われ「わたしの名はウーティス(誰でもない)」と答える。目を潰されたポリュペモスが「ウーティスがわたしを殺す」と叫んだため、他のキュクロプスたちは「誰にも殺されていない」と解して助けに来なかった。 (9.364-414(名乗りは9.366、他のキュクロプスの誤解は9.403-414))
- 脱出後、船から本名を名乗ってしまう。これによりポリュペモスは「誰が自分を盲目にしたか」を父ポセイドンに告げることができた。 (9.500-505)
- ポリュペモスがポセイドンに「故郷に帰すな、帰すとしても遅く、仲間を失い、他人の船で、家では災いが待つように」と祈る。この祈りが『オデュッセイア』の筋立てそのものになる。ポセイドンの怒りの理由は1.68-75でゼウスの口からも説明される。 (9.526-536、1.68-75)
- トロイアでの10年に漂流の10年が重なり、帰還は出発から20年目。カリュプソのもとだけで7年を費やした。 (7.259(7年)、17.327(20年目))
- ペネロペは寝台を寝室の外に運び出すよう命じて夫を試す。寝台はオリーブの生木を刻んで作られ動かせないはずだと怒って反論したことで、二人だけが知る徴が証明された。 (23.173-230(試しは23.177-180、寝台の由来の説明は23.183-204))
- 乞食の姿のまま弓の試技に加わり、誰も張れなかった弓を張って斧の穴を射抜く。続いて敷居に立ち、まずアンティノオスを射殺して求婚者殺しが始まる。 (21.404-423、22.1-21)
- テイレシアスの予言では、死は「海から(エクス・ハロス)」穏やかに訪れ、豊かな老年のうちに倒れるとされる。この ἐξ ἁλὸς は「海から」とも「海を離れて」とも訳せ、古代から解釈が割れている。 (11.134-137。マレー英訳は far from the sea と訳す)
- 木馬そのものを作ったのはエペイオスだが、アポロドーロス摘要5.14によれば、木馬を考え出してエペイオスに持ちかけ、選りすぐりの兵を中に入らせたのはオデュッセウスだった。『オデュッセイア』でも、デモドコスの歌で、オデュッセウスが兵を詰めた木馬を城内へ導き入れたと歌われる。 (8.492-495, 11.523-532)
- 関係: child → anticleia (11.84-89 冥界で母アンティクレイアの亡霊に会う)
- 関係: spouse → penelope (23.173-230 寝台の秘密によって再会する)
- 関係: parent → telemachus (16.186-189 エウマイオスの小屋で息子に名乗る)
- 関係: lover → circe (10.333-347 誓いを立てさせてから床を共にし、10.467-468 まで1年留まる)
- 関係: lover → calypso (5.226-227、オギュギア島で7年(7.259))
- 関係: enemy → polyphemus (9.105-566 目を潰して脱出する)
- 関係: enemy → poseidon (1.68-75 ポリュペモスを盲目にしたためポセイドンに憎まれる)
- 関係: killed → antinous (22.8-21 盃を取ろうとした喉を矢で射抜く)
- 関係: killed → eurymachus (22.79-88)
- 関係: companion → eurylochus (10.203-209 偵察隊の長として選ばれる)
- 関係: companion → elpenor (10.551-560)
- 関係: ruler → ithaca (9.21-27 自らイタケの王と名乗る)
- 関係: owner → bow-of-odysseus (21.11-41 イピトスから贈られ、トロイアには持って行かず館に残した)
- 関係: participated_in → nekyia (11歌全体)
- 関係: participated_in → cattle-of-helios (12.260-402。オデュッセウス自身は牛を食べていない)
- 関係: participated_in → suitors-of-penelope (22歌の求婚者殺し)
オイディプス
- ホメロスの形: 冥界のオデュッセウスは「オイディポデスの母、美しいエピカステ」を見る。彼女は知らずに息子と結婚し、息子は父を殺して彼女を娶ったが、神々はすぐにこれを人々に知らせた。エピカステは高い梁に縄をかけて死んだが、オイディプスは神々の定めで苦しみながらも、そのままテーバイでカドモスの民を治め続けた。自ら目を突く話も、国を追われる話も出てこない。 (11.271-280)
- 子(エテオクレス、ポリュネイケス、アンティゴネ、イスメネ)の母が誰かも割れる。ソポクレスやアポロドーロスはイオカステとするが、アポロドーロスは「エウリュガネイアの子とする者もいる」と添える。パウサニアスは、ホメロスが「神々はすぐに知らせた」と言う以上、母との間に4人も子はいなかったはずだと論じ、叙事詩『オイディポデイア』を根拠に母はエウリュガネイアだとする。 (3.5.8 / 9.5.10-11 /『オデュッセイア』11.274)
- 関係: child → laius (OT 711-722 / 3.5.7 /『オデュッセイア』11.271-274)
- 関係: killed → laius (『オデュッセイア』11.273 / OT 800-813 / 3.5.7 ポキスの狭い道で)
- 関係: child → jocasta (『オデュッセイア』11.271(エピカステ)/ OT / 3.5.7)
- 関係: spouse → jocasta (『オデュッセイア』11.271-274 / OT / 3.5.8)
- 関係: ruler → thebes (『オデュッセイア』11.275-276 / OT / 3.5.8)
オギュギア島
- 「海のへそ(オンパロス・タラッセス)」にある島と呼ばれる。木の茂った島で、その中に女神が住むと紹介される。世界の中心でありながら最も孤絶した場所という逆説的な位置づけ。 (1.50-54)
- 洞の周りにはハンノキ・ポプラ・糸杉が茂り、梟や鷹や海烏が巣をかけ、葡萄が蔓を張り、四つの泉が並んで流れ、菫とパセリの草地が広がる。ヘルメスでさえ立ち止まって見入ったと語られる。 (5.55-75)
- 物語の現在時制はこの島から始まる。1歌で神々がオデュッセウスの解放を決め、5歌でヘルメスが派遣される。9〜12歌の冒険はすべてこれ以前の回想である。 (1.13-15、5.1-148)
- ヘリオスの牛の一件で船を失った後、9日間漂流して10日目の夜にこの島に流れ着いた。到着の経緯は9〜12歌の回想の最後に短く語られるだけで、7年間の中身は描かれない。 (12.447-450、7.253-266)
- 船も漕ぎ手もなく、人の住まいから遠く離れているため脱出できないと説明される。カリュプソが閉じ込めるというより、地理そのものが牢になっている。 (5.100-102、5.140-144)
- 筏は4日で仕上がり、5日目にカリュプソはオデュッセウスを島から送り出した。 (5.262-263)
- 関係: ruled_by → calypso (1.50-54 この島の洞に住む)
オレステス
- 『オデュッセイア』ではオレステスは「見習うべき息子」の見本として何度も引き合いに出される。テレマコスに対し「オレステスがどれほど名声を得たか聞いているだろう」と説教の材料に使われる。 (1.29-43, 1.298-300, 3.193-200)
- ホメロスは母殺しを正面から書かない。オレステスが討ったのはアイギストスであり、母については「母と臆病なアイギストスの葬礼をアルゴス人に振る舞った」と結果だけが述べられる。罪の意識も復讐女神も出てこない。 (3.306-310)
- 関係: child → agamemnon (1.29-43)
- 関係: ruler → mycenae (アポロドーロス摘要 6.28(ミュケナイに戻り、ヘルミオネを娶ってティサメノスをもうける)、パウサニアス 2.18.5-6(父の王国に加えアルゴスも治め、ラケダイモン人も王に迎えたとする)。『オデュッセイア』3.304-312 はアイギストスが7年ミュケナイを治めオレステスが討ったと言うだけで、彼の統治には触れない)
オリオン
- ホメロスのオリオンは三つの顔を持つ。空の星座(アキレウスの盾に「プレイアデス、ヒュアデス、力強いオリオン」が刻まれ、熊座が「オリオンをうかがう」)、「オリオンの犬」と呼ばれる星(シリウス)の持ち主、そして物語の人物。『オデュッセイア』では、曙の女神が彼を選んだのを神々が妬み、アルテミスがオルテュギアで矢を射て殺した。冥界では、かつて山で倒した獣を青銅の棍棒で追い続けている。背が高く美しい巨人のアロアダイ兄弟も「名高いオリオンに次いで」美しいと言われる。 (『イリアス』18.486-489、22.29 /『オデュッセイア』5.121-124、5.274、11.309-310、11.572-575)
- 死に方(1)『オデュッセイア』: 曙の女神エオスが人間の彼を恋人に選んだのを神々が妬み、アルテミスがオルテュギアで「やさしい矢」で射殺した。女神が人間の男を愛することを神々が許さない例として、カリュプソが語る。 (5.118-124)
- 関係: abducted_by → eos (『オデュッセイア』5.121「薔薇色の指の曙がオリオンを選んだ」/ アポロドーロス 1.4.4 デロス島へさらう)
- 関係: killed_by → artemis (『オデュッセイア』5.123-124 オルテュギアで矢により / アポロドーロス 1.4.3, 1.4.5)
- 関係: participated_in → nekyia (11.572-575 オデュッセウスが冥界で、青銅の棍棒を持ち獣を追うオリオンを見る)
パン
- パンはホメロスの二つの叙事詩にも、ヘシオドス『神統記』にも登場しない。まとまった姿が現れるのはホメロス風讃歌とヘロドトスから。 (ギリシャ語本文(ホメロス)と英訳(『神統記』)を全文検索して確認)
パシパエ
- ホメロスの『イリアス』『オデュッセイア』にパシパエの名は出てこない。『オデュッセイア』の冥界の場面にはミノスの娘アリアドネやパイドラが登場するが、母の名は無い。王妃と牡牛の話が詳しく残るのは、ディオドロスやアポロドーロスなど後代の書き物。 (『オデュッセイア』11.321-325(パイドラ、アリアドネ)。英訳全文を検索して名が無いことを確認)
ペリアス
- 『オデュッセイア』では、川の神エニペウスに恋したテュロに、ポセイドンが川の姿で交わり、ペリアスとネレウスが生まれる。二人はゼウスの力強い仕え手となり、ペリアスは羊の多いイオルコスに、ネレウスは砂のピュロスに住んだ。 (11.235-257)
- 関係: child → poseidon (『オデュッセイア』11.241-257、アポロドーロス1.9.8 母はテュロ)
ペネロペイア
- 舅ラエルテスの経帷子を織り上げるまで待ってほしいと求婚者に告げ、昼に織った分を夜にほどいて3年引き延ばした。侍女の密告で4年目に露見する。同じ話が作中で3度語られる。 (2.93-110(アンティノオスの口から)、19.137-156(本人の口から)、24.128-146(亡霊となった求婚者の口から))
- 夫の弓を持ち出し、12本の斧の柄穴を射抜けた者に嫁ぐと宣言する。この提案が求婚者殺しの引き金になる。誰も弓を張ることすらできなかった。 (21.1-79。試技の失敗は21.245-268)
- 名乗り出た夫をすぐには信じず、乳母に「寝台を寝室の外に運び出せ」と命じて試す。オリーブの生木を根ごと刻んで作った動かせない寝台であることを夫が怒って明かしたため、本人と認めた。 (23.173-230)
- 父はイカリオス。イカリオスとヘレネの父テュンダレオスは兄弟とされるので、ペネロペイアとヘレネは従姉妹にあたる。貞節な妻と出奔した妻という対比は『オデュッセイア』でも意識されている。 (アポロドーロス 3.10.6(イカリオスとテュンダレオスが兄弟)、『オデュッセイア』1.329(イカリオスの娘)。ヘレネとの対比は 24.191-202)
- ホメロスでは一貫して貞節な妻として描かれ、求婚者には決して応じない。ただし18歌では求婚者から贈り物を引き出す場面もあり、その真意は作中で説明されない。 (18.158-303)
- 楽人ペミオスがアカイア勢の苦難の帰還を歌うと、ペネロペイアは泣いて歌をやめるよう頼むが、テレマコスに「歌をとがめるのは筋違い、部屋で機を織れ、家の采配は私がとる」とたしなめられ、驚いて部屋へ戻る。 (1.325-364)
- 乞食姿の夫に、20羽の鵞鳥を鷲が殺し、その鷲が夫を名乗る夢を語る。乞食が夢の成就を請け合うと、夢には角の門(真)と象牙の門(偽)があると言い、翌日弓の試合を開くと告げる。 (19.535-581)
- 再会の夜、アテナは夜を長く引き延ばし、曙の女神をオケアノスのほとりに引き止めて馬をつながせなかった。 (23.241-246)
- 関係: spouse → odysseus (23.173-230 寝台の秘密によって再会する)
- 関係: parent → telemachus (1.214-216 テレマコスが自分を「ペネロペの子」と語る)
- 関係: child → laertes (24.205-360 舅。嫁として館で仕える様子は15.353-360)
- 関係: courted_by → antinous (1.383-398、2.84-128 求婚者の筆頭として彼女を責める)
- 関係: courted_by → eurymachus (15.16-18 贈り物で群を抜くと語られる)
- 関係: participated_in → suitors-of-penelope (2.84-128、21歌の弓の試技を課すのも彼女)
- 関係: master → eurycleia (23.1-84 乳母エウリュクレイアが夫の帰還を真っ先に告げに来る。家内での主従関係)
ペルセポネ
- ホメロスのペルセポネは、誘拐された娘ではなく、最初から「畏るべき冥界の女王」である。オデュッセウスの冥界訪問では、彼女が霊を送り出し、また追い散らす。デメテルとの母娘の物語はホメロスには無い。 (10.491-495, 11.213-226, 11.385-386)
- 『オデュッセイア』では、死者の中でテイレシアスにだけ知恵を残したのはペルセポネだとされる。 (10.491-495)
- 冥界の入口で死者の群れが押し寄せると、オデュッセウスはペルセポネがゴルゴンの首を送ってくるのを恐れて船に戻る。 (11.633-635)
- 関係: companion → odysseus (11.213-226, 11.385-386。死者の霊を送り出し、また追い散らす者としてオデュッセウスの冥界訪問を枠づける)
パイエケス人
- もとはヒュペレイアという土地で、乱暴なキュクロプス族の隣に住み、たびたび略奪されていた。王ナウシトオスが民を連れてスケリエへ移り、町を囲む壁と家と神殿を建てた。 (6.4-10)
- パイエケス人の船には舵取りも舵もいらない。船そのものが乗る人の考えを分かっていて、世界中の町と畑を知り、霧に隠れて一番速く海を渡る、とアルキノオスは自慢する。 (8.555-563)
- オデュッセウスを送り届けて戻る船は、港の目の前でポセイドンに石に変えられた。アルキノオスは、客を送り続けるとポセイドンの怒りを買うという父の予言が当たったと気づき、これからは誰も送らないと決める。 (13.155-187(父の予言は 8.564-569 でも語られる))
- 9〜12歌の冒険談は、すべてこの人々の宴で語られたもの。キュクロプスもセイレーンも、聞き手はパイエケス人である。 (9.1-38、12.447-453)
- アルキノオスの果樹園では、ナシ、ザクロ、リンゴ、イチジク、オリーブの実が冬も夏も絶えず、西風がある実を芽吹かせ、ある実を熟させる。 (7.112-121)
- パイエケス人の船は、死に似た深い眠りに落ちたオデュッセウスを乗せ、鷹も追いつけない速さで走り、夜明けにイタケに着く。船乗りたちは眠ったままの彼を浜に下ろし、贈り物を添えて去る。 (13.70-125)
- 関係: ruled_by → alcinous (6.12-13 父ナウシトオスの後を継いだ王)
- 関係: participated_in → scheria (6.4-10 ナウシトオスが民を率いて移り住んだ島)
- 関係: enemy → cyclopes (6.4-6 かつて隣に住み、略奪され続けた)
- 関係: enemy → poseidon (13.155-187 オデュッセウスを送った船を石に変えられる)
- 関係: visited_by → odysseus (6〜8歌、13.1-187)
パイドラ
- ホメロスでは、オデュッセウスが冥界で見た女たちの一人として、プロクリス、アリアドネと並んで名が出るだけ。ヒッポリュトスとの話は語られない。 (11.321-322)
- 関係: child → minos (アポロドーロス 3.1.2(ミノスとパシパエの娘)、摘要 1.16。『オデュッセイア』11.321-322 ではパイドラ、プロクリス、「ミノスの娘」アリアドネが並んで出る)
ポイベ
- ホメロスの二つの叙事詩に、女神ポイベの名は出てこない。孫のアポロンは「ポイボス・アポロン」と何度も呼ばれるが、祖母との関係は語られない。 (ギリシャ語本文を全文検索して確認)
プレイアデス
- ホメロスとヘシオドスでは、プレイアデスは物語の人物ではなく星として現れる。アキレウスの盾には「プレイアデス、ヒュアデス、力強いオリオン」が刻まれ、筏で海を渡るオデュッセウスはプレイアデスを見て進路をとる。ヘシオドス『仕事と日』では「アトラスから生まれたプレイアデス」が昇るころに刈り入れを、沈むころに耕作を始めよと言い、40日間は姿を隠すとも言う。 (『イリアス』18.486 /『オデュッセイア』5.272 /『仕事と日』383-387、615-617)
プルトス
- ヘシオドス『神統記』では、デメテルがクレタの豊かな土地の三度鋤いた休閑地で英雄イアシオンと交わり、プルトスを産む。プルトスは陸と海の広い背をくまなく行き、彼に出会い、その手に彼が渡った者を豊かにし、大きな富を授ける。ホメロスの『オデュッセイア』もデメテルとイアシオンの恋に触れるが、プルトスの名は出さない。 (『神統記』969-974、『オデュッセイア』5.125-128)
ポリュデウケス
- レダがテュンダレオスとの間に産んだ子。 (11.298-300)
- 『オデュッセイア』はこの取り決めを「一日おきに生きては死ぬ」と短く書くだけで、どちらが譲ったのかも、誰が殺されたのかも語らない。経緯を物語として埋めるのはピンダロス以降である。 (11.301-304)
- 関係: sibling → castor (『イリアス』3.237、『オデュッセイア』11.300)
- 関係: child → leda (11.298-300)
ポリュムニア
- ホメロスの二つの叙事詩にポリュムニアの名は出てこない。 (ギリシャ語本文を全文検索して確認)
ポリュペモス
- キュクロプス族は種を蒔かず耕さず、集会も掟も持たず、それぞれが洞窟で妻子を治めて隣人を顧みない者たちとして紹介される。歓待の掟を知らない存在として、文明の外側に置かれている。 (9.105-115、9.125-130)
- 洞窟に閉じ込めた一行のうち、二人ずつを掴んで地面に叩きつけ食らう。合計6人が食われる。 (9.287-298、9.311-312、9.344)
- 名を問うてオデュッセウスから「ウーティス(誰でもない)」と答えられ、贈り物として「ウーティスを最後に食う」と応じる。目を焼かれて叫んだとき「ウーティスがわたしを殺す」と言ったため、仲間のキュクロプスたちは「誰も害していない」と解して去った。 (9.364-414)
- オリーブの木の丸太の先を火で焼き固め、四人がかりで捻じ込んで一つきりの目を潰される。マラス由来の強い葡萄酒を水で割らずに飲まされ眠り込んだところを襲われた。 (9.345-374(酒)、9.375-397(焼き潰し))
- 脱出は羊の腹の下に縛りついて行われる。最後に出ていく雄羊に「おまえまで遅れるのは、主人の目を思ってのことか」と語りかける場面は、怪物に情を持たせた箇所として古来注目される。 (9.425-463(羊への語りかけは9.447-460))
- 父ポセイドンに「帰らせるな。帰すとしても遅く、仲間をみな失い、他人の船で、家では災いを見るように」と祈る。この祈りが『オデュッセイア』の筋立てそのものを決める。 (9.526-536)
- ポリュペモスは洞窟の戸口に、四輪の荷車22台でも地面から動かせない大岩をはめ込んだ。 (9.240-243)
- オデュッセウスに名乗られたポリュペモスは、昔キュクロプスの予言者テレモスから、オデュッセウスに目を奪われると告げられていたと明かす。大きく強い男が来ると思っていたのに、ちっぽけな弱い男にやられた、と嘆く。 (9.507-516)
- 関係: enemy → odysseus (9.105-566 目を焼かれ、ポセイドンに復讐を祈る)
- 関係: child → poseidon (1.70-73 ポセイドンとポルキュスの娘トオサの子)
ポリュクセネ
- 『イリアス』にも『オデュッセイア』にもポリュクセネの名は一度も出てこない。プリアモスが息子たちを数える場面にも、トロイア落城後の女たちの運命にも現れない。ポリュクセネは叙事詩環以降の伝承で形を得た人物である。 (両叙事詩の全文にこの名が現れないことを確認。最初期の言及は『イリオスの陥落』のプロクロス要約(ギリシャ勢がアキレウスの墓でポリュクセネを犠牲に捧げる)。ホメロス本文での不在についての整理はガンツのポリュクセネの項)
ポントス
- ホメロスでは πόντος は「海」を表すごく普通の語で、系譜を持つ神としてのポントスは出てこない。海を人格化した神としての姿は、ヘシオドスの系譜で初めてはっきりする。 (ホメロスの本文を全文検索し、固有の神として扱う用例がないことを確認。『神統記』131-132, 233)
ポセイドン
- 『オデュッセイア』では物語冒頭から、ポセイドンだけがオデュッセウスの帰郷に反対している存在として提示される。理由は息子ポリュペモスの失明。 (1.19-21, 1.68-79, 9.526-536(ポリュペモスの呪い))
- オデュッセウスを送り届けたパイエケス人の船を石に変える。古い予言どおりの報復で、これが『オデュッセイア』でのポセイドン最後の行動。 (13.125-164)
- エチオピア人のもとから戻る途中、筏で海を渡るオデュッセウスを見つけ、三叉の矛で海をかき回して嵐を起こし、筏を砕く。 (5.282-381)
- 関係: enemy → odysseus (1.68-79。息子ポリュペモスの目を潰されたことを恨み、帰路を阻み続ける)
- 関係: parent → polyphemus (1.70-73。ニュンペ・トオサとの子)
プリアポス
- ストラボンは、プリアポスが神とされたのは後の時代の人々によってで、ヘシオドスでさえ彼を知らない、と書く。ホメロスの『イリアス』『オデュッセイア』、ヘシオドス『神統記』にも名は出てこない。 (ストラボン13.1.12。ホメロスと『神統記』は英訳全文を Priapus で検索して該当なし(2026年9月))
プロクネ
- 『オデュッセイア』でペネロペが自分をなぞらえるナイチンゲールは、パンダレオスの娘で、誤って殺した息子イテュロスを嘆いて歌う。名前も家系も違うが、「息子を殺した母が鳥になって嘆く」という骨組みはすでにここにある。 (19.515-524)
プロクリス
- ホメロスでは、オデュッセウスが冥界で見た女たちの一人として、パイドラ、アリアドネと並んで名が出るだけ。 (11.321)
プロテウス
- 『オデュッセイア』では、エジプト沖のファロス島で足止めされたメネラオスが語る。「海の老人」プロテウスは不死のエジプトの神で、海の深みをすべて知り、ポセイドンに仕える。娘エイドテアの助言で、メネラオスは仲間とアザラシの皮をかぶって待ち伏せし、昼寝に来た老人に組みついた。 (4.351-453)
- つかまったプロテウスは、ひげの獅子、蛇、豹、大きな猪、流れる水、高い木へと次々に姿を変えるが、メネラオスたちが放さずにいると、ついに元の姿に戻って問いに答える。 (4.454-463)
- プロテウスは、神々に生贄を捧げなかったことが足止めの原因だと明かし、小アイアスの溺死、アガメムノンの殺害、カリュプソの島に囚われたオデュッセウスの様子を語る。そして、ヘレネの夫でゼウスの婿であるメネラオスは、アルゴスで死なずに世界の果てのエリュシオンの野へ送られる、と予言する。 (4.472-569)
- 関係: servant → poseidon (4.385-386 「ポセイドンに仕える者」)
- 関係: advisor → menelaus (4.351-570 取り押さえられ、帰国の方法と仲間の運命、メネラオス自身の行く末を告げる)
- 関係: enemy → menelaus (4.454-461 アザラシの皮に隠れていたメネラオスたちに組みつかれ、姿を変えて抵抗する)
- 関係: tells_of → ajax-the-lesser (4.499-511 ギュライの岩での小アイアスの死を語る)
- 関係: tells_of → agamemnon (4.512-537 帰国したアガメムノンがアイギストスに殺されたことを語る)
- 関係: tells_of → odysseus (4.555-560 オデュッセウスがカリュプソの島に引き留められていることを語る)
ラダマンテュス
- 『オデュッセイア』では、エリュシオンの野に「金髪のラダマンテュス」が住むとされる。またパイエケス人の王アルキノオスは、自国の船の速さの証しに、金髪のラダマンテュスを大地の子ティテュオスに会わせるため最も遠い地エウボイアへ運び、その日のうちに帰ってきたことを挙げる。 (4.561-569、7.321-326)
トロイア落城
- 関係: participant → menelaus (ヘレネを取り戻す。『オデュッセイア』8.517-520 でデイポボスの家へ向かう)
- 関係: participant → odysseus (木馬の指揮者として。『イリオスの陥落』要約ではアステュアナクスを殺す)
サルマキス
- 少年に言い寄るサルマキスの言葉は、「神なのか、人間なのか。人間なら親は幸せ、兄弟も幸せ、そして誰より幸せなのは妻となる者」という形をとる。これは『オデュッセイア』でオデュッセウスがナウシカアに呼びかける言葉(「女神か人間か。人間なら父母は三たび幸い、兄弟も三たび幸い、最も幸いなのは嫁に迎える男」)と同じ型で、ホメロスでは男が乙女に言う台詞を、オウィディウスはニンフが少年に言う台詞に入れ替えている。 (Met. 4.320-328 /『オデュッセイア』6.149-159)
スケリエ(パイエケス人の国)
- パイエケス人はもとヒュペレイアに住んでいたが、キュクロプス族に荒らされたため、王ナウシトオスが人里離れたスケリエへ移した、と語られる。オデュッセウスを救う民が、彼が苦しめられた種族から逃げてきた民である。 (6.4-10)
- 彼らは「神々に近い者たち(アンキテオイ)」とされ、神々が姿を隠さず宴に同席すると王自身が語る。人間界と神々の世界の境目に置かれた民。 (5.35、7.201-206)
- 彼らの船には舵取りも舵もなく、人の心を解して目指す土地へひとりでに走り、霧に包まれて速く渡ると説明される。この船がオデュッセウスを眠ったままイタケへ届ける。 (8.555-563、13.70-92)
- オデュッセウスを送り届けた船は、帰路にポセイドンによって都の目前で石に変えられる。パイエケス人は以後、漂流者を送り届けることをやめる。歓待の国が閉じる場面。 (13.125-187(予言は8.564-571))
- スケリエの町は高い城壁に囲まれ、両側に良い港があって入口は狭く、広場には船具が並ぶ。パイエケス人は弓や矢筒より帆柱と櫂と船を好む、とナウシカアは説明する。 (6.262-272)
- 関係: ruled_by → alcinous (6.12、7.23)
- 関係: ruled_by → arete (7.66-74 民から神のように敬われ、争いを裁く)
スキュラ
- 12本の足はどれも不格好で、6本の長い首の先にそれぞれ恐ろしい頭が付き、各々の口に三列の歯が隙間なく並ぶ。声は生まれたての子犬のようだが、神々でさえ見て喜ばぬ災いだとされる。 (12.85-100)
- キルケは「彼女は死すべきものではなく不死の災いだ、戦うのではなく逃げよ」と忠告する。武器で倒せる相手ではないと明言される点が、ギリシャ神話の怪物退治譚と決定的に異なる。 (12.116-126(母クラタイイスの名は12.124-125))
- 実際に通過するとき、カリュブディスを見ているあいだに6人がさらわれる。オデュッセウスは「漂流のあいだに見たもっとも哀れな光景だった」と語る。 (12.244-259(最も哀れとの言葉は12.258-259))
- キルケは「犠牲は6人で済む。全員を失うよりよい」と告げるが、オデュッセウスはこのことを仲間に伝えなかった。指揮官として仲間に隠した唯一の情報として読まれる。 (12.108-110、12.223-225(隠したことの告白))
- ホメロスでは母をクラタイイスとするのみで父に触れない。後代の資料では親の組み合わせが一定しない。アポロニオスは「夜をさまようヘカテ、人がクラタイイスと呼ぶ者」がポルキュスに産んだとし、アポロドーロスはクラタイイスあるいはトリエノスとポルコスの娘とする。ヒュギヌスはテュポンとエキドナの子の一人に数える。 (『オデュッセイア』12.124-125(クラタイイスを呼べ、それがスキュラの母だ)を本文で確認。アポロニオス『アルゴナウティカ』4.825-829、アポロドーロス摘要7.20、ヒュギヌス151(テュポンとエキドナの子の列挙にスキュラ)。アポロニオスの箇所は theoi.com の引用で確認)
- スキュラの洞穴は、弓で射ても届かない高い崖の中腹にあり、雲に覆われた頂は夏も冬も晴れることがない。 (12.73-84)
- オデュッセウスは仲間がおびえて漕ぐのをやめることを恐れてスキュラのことを告げず、キルケの忠告を忘れて鎧をまとい、二本の槍を手に船首に立った。 (12.223-233)
- 関係: enemy → odysseus (12.245-259 彼の仲間6人をさらう)
テーバイ攻めの七将
- ホメロスでの扱い: 七人の名簿は無い。『イリアス』では、テュデウスがポリュネイケスとミュケナイへ援軍を求めに来たが、ゼウスの悪い前兆で断られた話や、テュデウスがテーバイに葬られていることが語られる。ディオメデスの仲間ステネロスは「父たちは自らの愚かさで滅んだが、我々は七門のテーバイを落とした」と言い、父の世代の敗北と子の世代の勝利を対比する。『オデュッセイア』は、アンピアラオスが「女の贈り物のために」テーバイで死んだとだけ触れる。 (『イリアス』4.376-381, 4.403-410, 6.222-223, 14.114 /『オデュッセイア』15.244-247)
- 関係: has_episode → eriphyle (首飾りを受け取り、夫アンピアラオスを出陣させる。3.6.2 /『オデュッセイア』11.326-327)
セイレーン
- キルケの警告では、セイレーンは澄んだ歌で人を惑わし、近づいた者は妻子の待つ家に帰れず、その周りには朽ちた人の骨が積まれ皮が縮んでいる、と語られる。姿かたちについての記述はまったくない。 (12.39-54)
- オデュッセウスは仲間の耳を蜜蝋で塞ぎ、自分だけは帆柱に縛らせて歌を聞く。合図したらいっそう固く縛れと命じてあり、実際に縄を増やされる。 (12.165-200(蝋と縛りは12.173-179、合図は12.192-196))
- 歌の中身は美声そのものではなく「知識」である。トロイアでアルゴス人とトロイア人が神々の意志で耐えたことを我らは知り、豊かな大地に起こるすべてを知っていると誘う。 (12.184-191)
- ホメロスの原文はセイレーンを双数形(Σειρήνοιιν)で受けており、2人と読める。3人とする数は後代の伝承による。 (12.52。同じ双数の用法が12.167 にも現れる)
- 関係: enemy → odysseus (12.165-200 帆柱に縛られた彼にだけ歌が聞かれた)
シシュポス
- 同名に注意: シシュポスの父アイオロスは、ヘレンの子でテッサリアを治め、アイオリス人の名の元になった人物(アポロドーロス)。『オデュッセイア』で袋に風を詰めてオデュッセウスに渡す風の王アイオロスは「ヒッポテスの子」と呼ばれ、系譜が異なる。 (アポロドーロス 1.7.3(アイオロスの7人の息子の一人にシシュポス)/『オデュッセイア』10.1-2)
- 『オデュッセイア』の冥界の場面で、オデュッセウスは巨大な岩を両手両足で丘の上へ押し上げるシシュポスを見る。頂上を越えそうになるたびに重みで押し戻され、岩は平地まで転がり落ちる。汗が流れ、頭から土ぼこりが立つ。ホメロスはタンタロスの場合と同じく、何の罰かを書かない。 (11.593-600。この一節を含む 11.568-627 には古代から後代の挿入説がある(nekyia を参照))
- 関係: participated_in → nekyia (11.593-600 オデュッセウスが冥界で岩を押すシシュポスを見る)
- 関係: visited → underworld (罰を受ける場所。『オデュッセイア』11.593-600。テオグニス 702-712 では一度冥界から地上に戻っている)
スパルタ
- 『オデュッセイア』4巻でテレマコスが訪ねると、メネラオスとヘレネはスパルタで普通に夫婦をやっている。ヘレネが客に薬入りの酒をふるまい、自分がトロイアで何をしたかを含む昔話を平然と披露する。戦争の原因になった二人の戦後が、拍子抜けするほど穏やかに描かれている。 (4.1-305(ヘレネの薬は 4.219-234))
- テレマコスが着いたとき、メネラオスの館では、娘ヘルミオネをアキレウスの息子ネオプトレモスに嫁がせ、息子メガペンテスに妻を迎える二重の婚礼の宴が開かれていた。 (4.1-14)
- 関係: ruled_by → tyndareus (『オデュッセイア』11.298-299、アポロドーロス 3.10.5)
- 関係: participated_in → helen (4.121-305。戦後もここで暮らしている)
ステュクス
- ホメロスでも、神々が最も重く誓うときは「ステュクスの流れ落ちる水」を証人に呼ぶ。ヘラがゼウスに、カリュプソがオデュッセウスに、同じ定型の句で誓う。眠りの神ヒュプノスも、ヘラの約束を確かなものにするためステュクスの水にかけて誓わせる。 (『イリアス』15.36-38, 14.271。『オデュッセイア』5.184-186)
- ホメロスでは、テッサリアのティタレシオス川は「恐ろしい誓いの水ステュクスの支流」とされ、冥界のコキュトス川も「ステュクスの水から分かれた流れ」とされる。地上と冥界の川がステュクスでつながっている。 (『イリアス』2.751-755。『オデュッセイア』10.513-514)
ペネロペイアの求婚者たち
- 総勢108人。内訳はドゥリキオンから52人、サメから24人、ザキュントスから20人、イタケから12人で、ほかに伝令メドン、歌い手、給仕が2人いたとテレマコスが数え上げる。 (16.245-253)
- 毎日のように館で家畜を屠って宴を開き、酒を飲み、侍女たちに手を出した。主人不在の家の財を客が食い潰すという、歓待の掟の裏返しとして描かれる。 (1.106-112、1.245-251、22.35-41(オデュッセウスの告発))
- ペネロペイアは舅の経帷子を織り終えるまで返事を待てと告げ、昼に織って夜にほどくことで3年引き延ばした。侍女の密告で露見し、4年目に織り上げを強いられる。 (2.93-110、19.137-156、24.128-146)
- アンティノオスの発案で、旅から戻るテレマコスをイタケとサメの間の海峡で待ち伏せて殺す計画が立てられ、実行されるが失敗する。求婚が殺意に変わる転換点。 (4.628-674、4.842-847、16.342-408)
- 第22歌で、オデュッセウス、テレマコス、エウマイオス、牛飼いピロイティオスの4人が広間の入口を押さえて全員を討つ。命を助けられたのは歌い手ペミオスと伝令メドンの2人だけ。 (22.1-389(助命は22.310-380))
- 求婚者と通じた侍女12人は、死体を運び広間を掃除させられた後、テレマコスの手で縛り首にされる。ホメロスは彼女らの最期を鳥が罠にかかる比喩で短く描く。 (22.417-473(比喩は22.468-473))
- 殺された者の縁者がエウペイテスを先頭に復讐に立ち上がるが、ラエルテスがエウペイテスを討ったところでアテナが戦いを止め、双方に誓いを結ばせる。『オデュッセイア』はこの和解で終わる。 (24.413-548)
- オデュッセウスは殺害の理由として、神々を恐れず家の財を食い潰し、侍女を辱め、主人の妻に求婚したことを挙げる。私的な復讐ではなく掟の回復として語られている。 (22.35-41)
- オデュッセウスの復讐の前日、アテナは求婚者たちに消えない笑いを起こさせ、心を惑わせた。彼らは他人の顎で笑うように笑い、血にまみれた肉を食べ、目に涙があふれた。予言者テオクリュメノスが、お前たちの頭は夜に包まれ、壁は血にまみれ、戸口と庭は冥界へ向かう亡霊で満ちていると叫ぶと、求婚者たちは大笑いした。 (20.345-358)
- 乞食姿のオデュッセウスは、求婚者の中で分別のあるアンピノモスに、主人はもうすぐ帰る、その前に家へ帰れと忠告する。アンピノモスは胸騒ぎを覚えつつ館を去らず、のちにテレマコスの槍で討たれる。 (18.119-157、22.89-94)
- 関係: participant → penelope (2.84-128 求婚の対象)
- 関係: participant → odysseus (22.1-389 全員を討つ)
- 関係: participant → antinous (求婚者の筆頭。最初に討たれる(22.8-21))
- 関係: participant → eurymachus (もう一人の筆頭。二番目に討たれる(22.79-88))
- 関係: participant → telemachus (22.90-115 父とともに戦う)
- 関係: participant → eumaeus (22.157-202 蔵の扉を固め、武器を取る)
タンタロス
- 『オデュッセイア』の冥界の場面では、顎まで水に浸かりながら身をかがめると水が引いて飲めず、頭上の梨・柘榴・林檎・無花果・オリーブに手を伸ばすと風が枝を吹き上げてしまう。ホメロスは罰だけを描き、何をしてこうなったのかは一言も書かない。 (11.582-592)
- タンタロス→ペロプス→アトレウス→アガメムノン→オレステスという血筋が「呪われた家」として語られる。ただしホメロスはタンタロスの罰とアガメムノンの死を別々に語るだけで、両者を因果でつなげていない。因果の鎖として組み上げるのは悲劇とアポロドーロスの仕事である。 (『オデュッセイア』11.582-592 と 11.404-434 / 摘要 2.1-2.16 / 『アガメムノン』1468-1512)
テレゴノス
- テイレシアスが「死は海から(エクス・ハロス)穏やかに来る」と告げた予言(『オデュッセイア』11.134-137)は、海の生き物であるエイの棘によって成就した、と読むことができる。ホメロスの予言と『テレゴニア』を繋ぐ古来の解釈。 (『オデュッセイア』11.134-137 と『テレゴニア』要約の対比)
テレマコス
- 父について問われ「母はわたしを彼の子だと言うが、自分では分からない。自分の親を確かに知る者などいない」と答える。父の不在が主題であることを冒頭で示す台詞。 (1.214-216)
- 1〜4歌は「テレマキア(テレマコスの物語)」と呼ばれ、イタケの集会招集(2歌)、ピュロスのネストル訪問(3歌)、スパルタのメネラオス訪問(4歌)と続く。主人公オデュッセウスは5歌まで登場しない。 (1.1-4.847)
- オデュッセウス出征以来20年ぶりにイタケの民会を招集し、求婚者の狼藉を公に訴える。父の不在のあいだ一度も集会が開かれていなかったことが語られる。 (2.1-259(2.26-27 に前回以来開かれていないとある))
- エウマイオスの小屋で父と再会する。アテナの手で姿を戻したオデュッセウスを、テレマコスは最初は神だと思って恐れる。 (16.172-219)
- 弓の試技で自らも弦を張ろうとし、三度失敗して四度目で張れそうになるが、父の合図で手を止める。 (21.101-139)
- アテナはタポス人の長メンテスの姿で館を訪れ、テレマコスに父の消息を尋ねる旅と、求婚者を討つ算段をするよう勧める。子どもじみたことをする年ではないと言い、父の仇を討ったオレステスを引き合いに出す。 (1.105-118、1.293-302)
- スパルタで、ヘレネは名乗る前のテレマコスを、オデュッセウスにあまりに似ているのでその息子に違いないと見抜き、メネラオスも足・手・目つき・髪がそっくりだと同意する。 (4.138-150)
- 父と子は抱き合って、雛を奪われた海鷲や禿鷹よりも激しく泣いた。 (16.213-220)
- 求婚者の身内との戦いの前、ラエルテスは息子と孫が勇ましさを競い合うのを見て、なんという日かと喜ぶ。 (24.505-515)
- 関係: child → odysseus (16.186-189 父の名乗りを受ける)
- 関係: child → penelope (1.214-216)
- 関係: child → laertes (16.117-120 アルケシオス→ラエルテス→オデュッセウス→テレマコスと一人息子が続く家系)
- 関係: student → mentor (2.225-227 父が家を託した友。2.267-268 以降アテナがその姿を借りて導く)
- 関係: foster_child → eurycleia (2.345-380 蔵の鍵を預かる乳母として彼を育てた)
- 関係: companion → eumaeus (16.1-89 帰国後まずエウマイオスの小屋を訪ねる)
- 関係: enemy → antinous (4.628-674 テレマコスを待ち伏せて殺す計画を立てる)
- 関係: participated_in → suitors-of-penelope (22.90-115 求婚者殺しに加わる)
- 関係: companion → menelaus (4.1-624 スパルタでメネラオスとヘレネに迎えられ、父の消息を聞く)
テルプシコレ
- ホメロスの二つの叙事詩にテルプシコレの名は出てこない。 (ギリシャ語本文を全文検索して確認)
タレイア
- ホメロスに出てくる「タレイア」はネレイスの一人だけで、ムーサとしてのタレイアの名は出てこない。 (『イリアス』18.39。ムーサとしての用例がないことはギリシャ語本文を全文検索して確認)
テーバイ
- 建国の話は二つある。『オデュッセイア』では、ゼウスとアンティオペの子アンピオンとゼトスが、七門のテーバイを初めて築いて城壁で囲んだとされ、カドモスの名は出てこない。アポロドーロスは、アンピオンの竪琴の音に石がついて来て城壁ができたと伝え、町の名はゼトスの妻テーベに由来するとする。 (『オデュッセイア』11.260-265 / 3.5.5-6)
- 住民は古くから「カドモスの民(カドメイオイ)」と呼ばれた。ヘシオドスはスフィンクスを「カドモスの民を滅ぼした者」と呼び、ホメロスもオイディプスが「カドモスの民」を治めたと語る。 (『神統記』326 /『オデュッセイア』11.276)
テイア
- ホメロスの二つの叙事詩にテイアの名は出てこない。ヘリオス、セレネ、エオスは登場するが、その母は語られない。 (ギリシャ語本文を全文検索して、女神テイアを指す用例がないことを確認)
テミス
- ホメロスのテミスは神々の集会を取り仕切る女神で、『イリアス』ではゼウスの命で神々を集会に呼び集め、『オデュッセイア』ではテレマコスが「集会を解きもし開きもするテミス」の名にかけて民に訴える。 (『イリアス』15.87-95, 20.4-6。『オデュッセイア』2.68-69)
テセウス
- ホメロスでのテセウスはごくわずか。『イリアス』でネストルが昔の英雄の一人に名を挙げ、『オデュッセイア』ではアリアドネをクレタから連れ出したこと、冥界で会いたかった英雄としてペイリトオスと並んで名が出る程度。ミノタウロス退治は語られない。 (『イリアス』1.265、『オデュッセイア』11.321-325, 11.631)
- 関係: lover → ariadne (『オデュッセイア』11.321-325、アポロドーロス摘要 1.8-9)
トラキア
- 『イリアス』は、アレスが息子の潰走(ポボス)を連れてトラキアから武装して出陣するさまを、メリオネスとイドメネウスの出陣のたとえに使う。『オデュッセイア』では、ヘパイストスの網から放たれたアレスはトラキアへ去った。 (『イリアス』13.298-303、『オデュッセイア』8.360-361)
- 関係: visited_by → ares (『イリアス』13.301、『オデュッセイア』8.361)
トリナキエ島
- キルケの説明では、島には牛の群れが7つ、羊の群れが7つあり、それぞれ50頭。子を産むことも死ぬこともなく、数が変わらない。 (12.127-131)
- 牛に手を出すなという警告は二度出る。冥界でテイレシアスが、次にキルケが同じことを告げる。オデュッセウスは島に寄ること自体を避けようとしたが、仲間に押し切られて上陸した。 (11.104-115(テイレシアス)、12.127-141(キルケ)、12.260-402)
- 仲間たちは大麦がないので樫の柔らかい葉を代わりにまいて牛を捧げた。神々はしるしを見せ、皮が這い、串の肉は焼けたものも生のものも牛の声で鳴いた。それでも仲間は6日間食べ続けた。ヘリオスは償いがなければ冥界に降りて死者を照らすとゼウスに迫った。南風と東風は1か月吹き続けていた。 (12.325-326、12.356-358、12.377-383、12.394-398)
- 関係: visited_by → odysseus (12.260-402 嵐で一か月足止めされる)
- 関係: setting_of → cattle-of-helios (12.260-419 この島で起きた出来事)
- 関係: ruled_by → helios (12.127-136 島の牛と羊はヘリオスのもの)
テイレシアス
- キルケは「彼は死んでいても心を保っている。ペルセポネが彼にだけ知性を与え、他の者は影のように漂うばかりだ」と語る。冥界行きの理由がこの一点にある。 (10.490-495)
- 予言の内容は、ポセイドンの怒り、トリナキエ島のヘリオスの牛に手を出すなという警告、仲間を失い他人の船で遅れて帰ること、館で求婚者を討つこと、の四点。 (11.100-120)
- 帰還後、櫂を担いで内陸へ歩き、海を知らぬ人々が「肩に担いでいるのは箕(み)か」と言う土地でその櫂を地に立て、ポセイドンに犠牲を捧げよと命じる。『オデュッセイア』の外にある「その後」を指す唯一の具体的な指示。 (11.121-134)
- 「死は海から(エクス・ハロス)おまえ自身に、まことに穏やかに訪れ、豊かな老いに包まれて倒れるだろう。民は周りで栄えている」と結ぶ。ἐξ ἁλὸς は「海から」とも「海を離れて」とも訳せ、解釈が割れている。 (11.134-137)
- オデュッセウスは母の霊が寄ってきても、まずテイレシアスに血を飲ませるまで剣で近寄らせない。死者は犠牲の血を飲んで初めて生者と語れるという設定が明示される。 (11.84-99、11.147-149)
- 関係: advisor → odysseus (11.90-151 冥界で帰路と死の予言を授ける)
- 関係: participated_in → nekyia (11.90-151 冥界訪問の目的そのものが彼に問うことだった)
ティトノス
- ホメロスの定型句「曙(エオス)はティトノスの臥所から起き上がり」は『イリアス』と『オデュッセイア』の双方に現れ、毎朝の夜明けそのものがこの夫婦の情景として語られている。 (『イリアス』11.1-2、『オデュッセイア』5.1-2)
三叉の槍(トライデント)
- 『オデュッセイア』では、神々に逆らって助かったと豪語した小アイアスを、ポセイドンが三叉の槍でギュライの岩を割って海に沈める。 (4.499-511)
- ポセイドンは筏のオデュッセウスを見つけると、雲を集め、三叉の槍で海をかき乱してあらゆる風を起こす。 (5.291-296)
- 関係: owned_by → poseidon (『イリアス』12.27、『オデュッセイア』4.506、5.292、アポロドーロス1.2.1)
トリトン
- ホメロスの二つの叙事詩にトリトンは出てこない。アテナの添え名「トリトゲネイア」は出てくるが、この名とトリトン(神やトリトン川・湖)との関係ははっきりしない。 (ギリシャ語本文を全文検索して、神トリトンの用例がないことを確認。「トリトゲネイア」は『イリアス』4.515, 8.39, 22.183、『オデュッセイア』3.378、『神統記』895, 924)
トロイアの木馬
- 『オデュッセイア』には三度現れる。メネラオスがヘレネの振る舞いを語る場面、デモドコスが宮廷で歌う場面、冥界でオデュッセウスがアキレウスにネオプトレモスの勇敢さを伝える場面である。いずれも短い回想で、全体像は語られない。 (4.271-289、8.492-520、11.523-532)
- 『オデュッセイア』の逸話が印象的である。ヘレネは木馬の周りを三度回り、中の男たち一人ひとりの妻の声を真似て名を呼んだ。危うく答えそうになった者をオデュッセウスが押さえつけたという。 (4.271-289(三度回るのは 4.277-279))
- 造ったのはエペイオスという職人で、アテナ(ミネルウァ)の助言によるとされる。考案したのはオデュッセウスである、と役割を分けて書くのはアポロドーロス。ヒュギヌスは馬に「ギリシャ人がミネルウァに捧げる」という奉納の銘が刻まれていたと伝える。 (『オデュッセイア』8.493、アポロドーロス摘要 5.14、ヒュギヌス 108)
- 関係: created_by → odysseus (アポロドーロス摘要 5.14「オデュッセウスが考案し、エペイオスが造った」。『オデュッセイア』11.523-532 では馬の中の指揮官)
- 関係: created_by → athena (8.493 エペイオスがアテナの助けで造ったとされる)
- 関係: participated_in → trojan-war (戦争を終わらせた計略)
- 関係: enemy → helen (4.271-289 馬の周りを回り、中の男たちの妻の声を真似て呼びかける)
トロイア
- 木馬を城山に引き上げたトロイア人は、割るか、崖から落とすか、神への捧げ物として残すかで議論し、最後の案を選んだ。街が木馬を迎え入れたときに滅びるのが定めだった、とデモドコスは歌う。 (8.499-515)
ヘラクレスの十二の功業
- ホメロスは「エウリュステウスの難業」という言い方をし、冥界の犬を連れ出したことにだけ具体的に触れる。数は示さず、12という枠はまだ見えない。 (『イリアス』8.362-369, 19.133、『オデュッセイア』11.620-626)
テュンダレオス
- スパルタの王。 (『オデュッセイア』11.298-299、アポロドーロス 3.10.5)
- 関係: parent → castor (『オデュッセイア』11.298-300、アポロドーロス 3.10.7)
- 関係: parent → polydeuces (11.298-300。アポロドーロス 3.10.7 ではポリュデウケスはゼウスの子(諸説))
- 関係: ruler → sparta (『オデュッセイア』11.298-299、アポロドーロス 3.10.5)
冥界
- 『オデュッセイア』の冥界は地下ではなく、世界を取り巻くオケアノスの流れを越えた所にある。キルケの指示では、ペルセポネの森(背の高いポプラと実を落とす柳)がある岸に船を着け、ピュリプレゲトンとコキュトス(ステュクスの支流)がアケロンに流れ込む岩の所で穴を掘って死者を呼べ、とされる。 (10.508-540)
- 『オデュッセイア』最終巻では、ヘルメスが杖で求婚者たちの魂を呼び集め、オケアノスの流れ、白い岩、太陽の門、夢の国を過ぎて、死者の霊が住む「アスポデロスの野」へ導く。死者を導く神ヘルメスの姿がはっきり描かれる場面。 (24.1-14)
- ウェルギリウス『アエネイス』第6巻で、冥界の「地図」はもっとも詳しくなる。入口の擬人化された悲しみや病、アケロンの岸と渡し守カロン、ケルベロス、幼くして死んだ者や自害した者の場所、そして分かれ道の左がタルタロス(罪人の罰の場)、右がエリュシオン(善人の野)で、その奥にレテの川が流れる。ホメロスの「オケアノスの彼方の館」から、ここまで細かい構造が書き足された。 (『アエネイス』6.268-751 /『オデュッセイア』10.508-515 と比較)
- 求婚者たちの魂は、ヘルメスの杖に導かれ、こうもりのようにきいきい鳴きながらついて行った。 (24.5-10)
- 関係: ruled_by → persephone (『オデュッセイア』10.491, 10.509 など /『神統記』768, 774)
- 関係: visited_by → odysseus (10.508-540、11 全体(nekyia))
- 関係: visited_by → hermes (24.1-14 死者の魂を導く者(プシュコポンポス)として、殺された求婚者たちの魂を冥界へ連れて行く)
- 関係: visited_by → herakles (『オデュッセイア』11.623-626 ハデスの犬を連れ出しに下った /『アエネイス』6.392-395)
ウラニア
- ホメロスの二つの叙事詩に女神ウラニアの名は出てこない。 (ギリシャ語本文を全文検索して確認(οὐρανίωνες「天の神々」などの語はある))
アイネイアスの漂流
- 寄港地の大半は、カルタゴの女王ディドの宴で、アイネイアスが頼まれて語る回想になっている。落城の夜(2巻)と航海(3巻)を語り終えると、3巻の最後でアンキセスの死を告げて口を閉じる。オデュッセウスがパイエケス人の宴で漂流を語る『オデュッセイア』9〜12歌と同じ入れ子の形。 (『アエネイス』1.753-756(ディドの頼み)、3.716-718(語り終える)。『オデュッセイア』9.1-38、12.447-453)
- オデュッセウスの漂流と同じ場所をいくつも通る。スキュラとカリュブディスの海峡(警告を受けて迂回)、キュクロプスの浜(ポリュペモス本人を見る)、セイレンの岩、キルケの岸。ただしどれも上陸や対決はせず、先にオデュッセウスが通った場所を後から避けて通る形になっている。キュクロプスの浜では、オデュッセウスが置き去りにした部下アカイメニデスを拾い上げる。 (『アエネイス』3.420-432、3.554-569、3.588-691、5.864-866、7.10-24。『オデュッセイア』9.105-566、10.133-574、12.165-259)
オデュッセウスの漂流
- 寄港地の大半は、物語の中で「いま起きていること」としては描かれない。パイエケス人の王アルキノオスの宴で、オデュッセウスが名乗ったうえで過去を語る、という入れ子の形になっている。カリュプソの島から先(5〜8歌)だけが、語り手ホメロスによって直接語られる。 (9.1-38 で名乗り、9.39 から回想。12.447-453 で回想を閉じる)
- トロイアを出て最初に着いたのはキコネス族の町イスマロス。略奪は成功したが、引き上げろという命令を仲間が聞かずに酒盛りを続け、翌朝の反撃で船ごとに6人ずつ失った。 (9.39-61)
- 漂流が長引いた直接の理由は、ポリュペモスの父ポセイドンの怒り。目を潰されたポリュペモスが「帰すな、帰すとしても遅く、仲間を失い、他人の船で」と祈り、その通りの帰り方になる。 (9.526-536、1.68-75)
- 船団は途中で一隻ずつ削られていく。ライストリュゴネス族のところで自分の船以外を失い、トリナキエ島を出たあと最後の船も雷で沈んで、オデュッセウスはひとりになる。イタケに着くときは、パイエケス人の船に乗せられ眠ったまま。 (10.80-132、12.403-419、13.1-187)
- トロイアの10年に帰り道の10年が重なり、イタケに戻るのは出発から20年目。そのうち7年はカリュプソの島に引き留められていた。 (7.259(7年)、17.327(20年目))
- ロートスを食べて帰郷を忘れた仲間を、オデュッセウスは泣くのもかまわず船へ引き戻し、漕ぎ座の下に縛りつけた。 (9.82-104)
- アイオロスは9歳の牛の皮の袋に荒い風を閉じ込めて銀の紐で船に縛り、西風だけを送った。10日目に故郷の烽火が見えたところで、オデュッセウスが眠ったすきに仲間が金銀が入っていると思って袋を開け、船団はアイオロスの島へ吹き戻された。 (10.19-55)
- セイレーンの島では、仲間の耳を蜜蝋でふさぎ、自分は帆柱に縛られて歌を聞いた。ほどけと合図すると、仲間はかえって縄を増やして締めた。 (12.173-200)
- 関係: participant → odysseus (9.39 から本人の語りで始まる)
- 関係: participant → eurylochus (仲間の筆頭格。ヘリオスの牛を食べようと言い出す(12歌))
- 関係: has_episode → cicones (9.39-61 イスマロスを攻め、反撃で各船6人ずつ失う)
- 関係: has_episode → lotus-eaters (9.82-104 ロートスを食べた仲間が帰る気を失う)
- 関係: has_episode → polyphemus (9.105-566 キュクロプスの島。「誰でもない」の計略)
- 関係: has_episode → aeolus (10.1-79 風の袋をもらうが、仲間が開けて吹き戻される)
- 関係: has_episode → laestrygonians (10.80-132 船団が壊滅し、オデュッセウスの船だけが残る)
- 関係: has_episode → circe (10.133-574 アイアイエ島。仲間が豚に変えられる)
- 関係: has_episode → nekyia (11歌 冥界でテイレシアスに帰路を聞く。12.1-152 でキルケの島に戻りエルペノルを葬る)
- 関係: has_episode → sirens (12.165-200 帆柱に縛られて歌を聞く)
- 関係: has_episode → scylla (12.201-259 仲間6人をさらわれる)
- 関係: has_episode → charybdis (12.201-259 で避けて通り、難破後の 12.426-446 でもう一度この渦に戻される)
- 関係: has_episode → cattle-of-helios (12.260-419 トリナキエ島。牛を食べた仲間は船ごと雷に打たれる)
- 関係: has_episode → calypso (12.447-450、5歌 オギュギア島に7年(7.259))
- 関係: has_episode → ino-leucothea (5.333-353 筏が嵐で壊れ、頭巾を授かって泳ぎ着く)
- 関係: has_episode → phaeacians (6〜8歌、13.1-187 スケリエ島。ここで9〜12歌の回想を語り、船で送り届けられる)
- 関係: has_episode → ithaca (13歌 眠ったまま故郷の浜に降ろされる)
ゼピュロス
- ホメロスの西風は荒い風としても描かれる。『イリアス』では西風に追われた波が岸で砕ける比喩に、『オデュッセイア』では南風と並び、神々の意に反してでも最も多く船を砕く風として出てくる。 (『イリアス』4.422-426、『オデュッセイア』12.286-290)
- 一方で穏やかな恵みの風でもある。エリュシオンの野では雪も嵐も雨もなく、オケアノスが西風を送って人を涼ませる。アルキノオスの果樹園では西風が絶えず吹いて、ある実を芽吹かせ、ある実を熟させる。アイオロスがオデュッセウスを送り出すとき、袋に閉じこめずに残したのも西風だった。 (4.563-568、7.117-121、10.19-26)
- 関係: ruled_by → aeolus (10.21-26 ゼウスが風の管理をアイオロスに任せ、アイオロスが西風を送る)
ゼウス
- 関係: parent → hephaestus (8.312 でヘパイストスはゼウスを「父」と呼ぶ。『神統記』927-929 ではヘラが単独で産んだとされ、食い違う)