民会で二羽の鷲の予兆を解く老占い師ハリテルセスを「鳥はいくらでも飛ぶ」と嘲り、オデュッセウスはもう帰らないと断言する。この嘲笑が22歌で覆される。
ホメロス『オデュッセイア』 前8世紀頃

Εὐρύμαχος人間
オデュッセウスが求婚者たちに復讐する場面。クリストファー・ヴィルヘルム・エッカースベアの作。 『ペネロペイアの求婚者たちへのオデュッセウスの復讐』 クリストファー・ヴィルヘルム・エッカースベア 1814年Public domain
「すべてはこの男のせいだ。」
仲間の死体を指さして、エウリュマコスはそう言った。求婚者の頭目アンティノオスが喉を射抜かれて倒れた直後のことである。
英雄オデュッセウスの留守の館に居座った108人の求婚者のうち、アンティノオスと並ぶもう一人の頭目がエウリュマコスだった。口がうまく、贈り物でもほかの求婚者を上回り、ペネロペイアの夫にいちばん近いと見られていた男。その言葉が最後にどこまで通じたのか、『オデュッセイア』に沿って追ってみよう。
エウリュマコスの口のうまさは、最初から目立っていた。イタケの民会で、二羽の鷲が飛び交う予兆を老いた占い師が読み解き、オデュッセウスの帰還は近いと告げたとき、エウリュマコスは鼻で笑った。日の光の下を飛び回る鳥はいくらでもいる。そのすべてが何かのしるしになるわけではない。オデュッセウスは遠い地で死んだのだ、お前もあいつと一緒に死ねばよかったのに、と。
ペネロペイアの前では、エウリュマコスは優しい言葉をかけた。安心なさい、奥方。テレマコスに手を出す者など、今もこれからも、私が生きているかぎり出てこない。私はオデュッセウスの膝に抱かれて、肉やぶどう酒をもらったことがあるのだから、と。けれども『オデュッセイア』は、はっきり書き添えている。そうやって励ましながら、彼自身がテレマコスの破滅をたくらんでいた、と。
乞食に身をやつして帰ってきたオデュッセウスを、エウリュマコスはさんざんからかった。この男が館に来たのも神の計らいだろう。頭にまったく毛がないから、まるでたいまつのように光って見える、と。乞食に言い返されると、怒って足台を投げつける。足台は乞食をそれて、酒を注いでいた少年に当たった。
弓の試技の日、エウリュマコスは弓を火であぶって柔らかくしようとしたが、それでも弦を張れなかった。彼は深くうめき、こう嘆く。結婚を逃すのが悔しいのではない。イタケにもよその町にも、娘はいくらでもいる。オデュッセウスにこれほど力で劣ると、のちの世まで語られるのが恥ずかしいのだ、と。
その弓を、乞食がやすやすと引いた。アンティノオスが喉を射抜かれ、乞食がオデュッセウスだと名乗ると、エウリュマコスはすぐに口を開いた。本当にイタケのオデュッセウスなら、おっしゃることはもっともだ。だが、すべての元凶はそこに倒れているアンティノオスだ。彼は結婚が望みだったのではない。イタケの王になり、あなたの息子を殺そうとしたのだ。残りの者は、食い潰した分を償おう。一人につき牛20頭分の青銅と黄金を差し出す、と。
オデュッセウスは、横目でにらんで退けた。たとえ父祖の財産をすべて差し出されても、求婚者が罪をすべて償うまで、この手は止めない。
エウリュマコスは鋭い剣を抜き、雄叫びを上げて躍りかかった。その瞬間、オデュッセウスの矢が胸を射抜く。剣は手から落ち、彼は食卓の料理と杯をひっくり返しながら倒れ、額で床を打ってもがき、息絶えた。
この物語の出典: ホメロス『オデュッセイア』
民会で二羽の鷲の予兆を解く老占い師ハリテルセスを「鳥はいくらでも飛ぶ」と嘲り、オデュッセウスはもう帰らないと断言する。この嘲笑が22歌で覆される。
ホメロス『オデュッセイア』 前8世紀頃
ペネロペイアには丁重な言葉をかけながら、裏ではテレマコス暗殺に加担している。表向きの礼儀と実態の乖離が繰り返し示される。
ホメロス『オデュッセイア』 前8世紀頃
乞食姿のオデュッセウスを禿頭を揶揄して嘲り、足台を投げつける。足台は給仕の少年に当たった。アンティノオスの足台投げと対になる場面。
ホメロス『オデュッセイア』 前8世紀頃
アンティノオスが射殺された後、すべての責任は死んだアンティノオスにあると主張し、飲み食いした分を償い各自が牛20頭と金銀を差し出すと申し出るが、オデュッセウスは退ける。
ホメロス『オデュッセイア』 前8世紀頃
剣を抜いて突進した瞬間、乳房の脇を矢で射抜かれ、机の上の食卓を倒して床でもがきながら死ぬ。
ホメロス『オデュッセイア』 前8世紀頃
エウリュマコスは乞食姿のオデュッセウスを、この男は神の計らいで館に来たのだろう、頭に毛がまったくないからたいまつの光がそこから出ているように見える、とからかう。
ホメロス『オデュッセイア』 前8世紀頃
弓の試技で、エウリュマコスは弓を火であぶっても弦を張れず、結婚を逃すのは惜しくない、娘はイタケにもほかの町にも多くいる、だがオデュッセウスにこれほど力で劣ると後世に知られるのが恥だ、と嘆く。
ホメロス『オデュッセイア』 前8世紀頃
エウリュマコスはペネロペイアに、自分が生きているかぎりテレマコスに手を出す者はいない、自分は幼いころオデュッセウスの膝で肉とぶどう酒をもらった、と言って安心させるが、詩は、そう励ましながら彼自身がテレマコスの破滅をたくらんでいたと書き添える。
ホメロス『オデュッセイア』 前8世紀頃