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オデュッセウスが求婚者たちに復讐する場面。クリストファー・ヴィルヘルム・エッカースベアの作。

アンティノオス

Ἀντίνοος人間

オデュッセウスが求婚者たちに復讐する場面。クリストファー・ヴィルヘルム・エッカースベアの作。 『ペネロペイアの求婚者たちへのオデュッセウスの復讐』 クリストファー・ヴィルヘルム・エッカースベア 1814年Public domain

2026年のクリストファー・ノーラン監督の映画『オデュッセイア』で、ロバート・パティンソンが演じたのが、アンティノオスだ。英雄オデュッセウスの留守宅に押しかけた100人を超える求婚者たちの中で、いちばん横暴で、いちばん口の立つ男である。

では、原典の『オデュッセイア』で、この男が何をしたのか見ていこう。

オデュッセウスがトロイアから帰らないまま20年がたつころ、イタケの館には、妻ペネロペイアを妻にしようとする若者たちが居座っていた。その先頭に立つのがアンティノオスだった。父は島の有力者で、かつて島の人々に殺されかけたところを、オデュッセウスに救われたことがある。恩人の家を、息子は食い荒らしていた。

息子テレマコスが島の民会を開き、求婚者たちの狼藉を皆の前で訴えたとき、真っ先に言い返したのがアンティノオスだった。悪いのは自分たちではない、あの女だ。義父の死に装束を織り上げたら再婚すると言いながら、昼に織った布を夜にほどいて、3年も自分たちをだましてきた。そう暴露して、責任をペネロペイアに押しつけた。

テレマコスが父の消息を探しに船出したと知ると、アンティノオスは腹を立て、帰り道の海峡で待ち伏せて殺す計画を立てた。船は実際に出たが、女神アテナの導きで、テレマコスは網にかからずに島へ戻った。

やがて、乞食の姿をした老人が館にやって来る。帰ってきたオデュッセウス本人である。老人が求婚者たちに一人ずつ食べ物を乞うて回ると、アンティノオスだけが罵り、足台をつかんで投げつけ、老人の右の肩を打った。ほかの求婚者たちでさえ眉をひそめた。もし天から来た神だったらどうする。神々はよそ者の姿で町を巡って、人の驕りと正しさを見ているのだぞ、と。

別の日には、館に出入りする乞食と老人を殴り合わせて、勝ったほうに焼いた腸詰めを褒美に出そう、と言い出して面白がった。

そして、弓の試合の日。ペネロペイアが持ち出した夫の弓に、求婚者たちは誰一人弦を張ることができない。アンティノオスは、今日は神の祭りの日だから弓は置いておこう、明日の朝、弓の名手アポロンに生贄を捧げてから試そうと言って、その場を取りつくろった。乞食の老人が自分にも弓を引かせてくれと言うと、酒に酔ったのかとあざ笑った。

弓は、結局その老人の手に渡った。老人はやすやすと弦を張り、並べた斧の穴を一本の矢で射抜くと、ぼろを脱ぎ捨てて敷居の上に立った。次の標的はアンティノオスだった。ちょうど黄金の両手付きの盃を持ち上げて、ぶどう酒を飲もうとしていたところだった。死のことなど考えてもいなかった。矢は喉を貫き、盃が手から落ち、足が食卓を蹴り倒して、パンと肉が床に散らばった。

のちに、息子の仇を討とうと押し寄せた父親は、オデュッセウスの年老いた父の投げた槍に倒れた。

この物語の出典: ホメロス『オデュッセイア』、クリストファー・ノーラン監督『映画『オデュッセイア』』

この物語の人々

ローマ以後の語り

現代解釈: クリストファー・ノーラン監督の映画『オデュッセイア』(2026年)でロバート・パティンソンが演じる。

クリストファー・ノーラン監督『映画『オデュッセイア』』 2026年7月17日公開

もっと詳しく

民会でペネロペイアの経帷子の計略を暴露し、引き延ばしの責任は彼女にあると主張する。読者が織物の計略を知るのはこの告発を通じてである。

ホメロス『オデュッセイア』 前8世紀頃

テレマコスがピュロス・スパルタへ旅立ったことを知り、帰路のイタケとサメの間の海峡で待ち伏せて殺す計画を立てる。計画は実行されるが失敗する。

ホメロス『オデュッセイア』 前8世紀頃

乞食姿のオデュッセウスに足台を投げつけて肩を打つ。他の求婚者ですら「神が乞食の姿で訪れることもある」と諌める場面で、彼の不敬さが際立つ。

ホメロス『オデュッセイア』 前8世紀頃

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弓を張ったオデュッセウスが最初に狙う。二つの耳のある盃を取り上げ、まさに飲もうとして死を思ってもいなかったと語られ、喉を射抜かれる。

ホメロス『オデュッセイア』 前8世紀頃

父エウペイテスはかつてタポス人と組んでイタケ人を襲い、民に殺されかけたところをオデュッセウスに救われた、とペネロペイアが語る。恩を仇で返す家として描かれる。

ホメロス『オデュッセイア』 前8世紀頃

乞食イロスと乞食姿のオデュッセウスがけんかを始めると、アンティノオスは面白がって、勝ったほうに火のそばの山羊の腸詰めを選ばせ、以後宴に加えてやると言って殴り合わせる。

ホメロス『オデュッセイア』 前8世紀頃

誰も弓を張れないと、アンティノオスは今日はアポロンの祭日だからと弓を置かせ、翌朝山羊を捧げてから試そうと提案する。

ホメロス『オデュッセイア』 前8世紀頃

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このページの出典(2件)
  1. 前8世紀頃ホメロス『オデュッセイア』
  2. 2026年7月17日公開クリストファー・ノーラン監督『映画『オデュッセイア』』