都はラモスのテレピュロスと呼ばれる。夜と昼の道が近く、眠らずに働ける者なら二重の賃金を得られると語られ、白夜を思わせる描写として注目される。
ホメロス『オデュッセイア』 前8世紀頃
Λαιστρυγόνες怪物
オデュッセウスの漂流5 / 14アイオロスへ戻るキルケへ進む
英雄オデュッセウスは、12隻の船を率いてトロイアを発った。そのうち11隻を一度に失ったのは、一つ目の巨人の島でも、渦の海峡でもない。人を食う巨人の民、ライストリュゴネス族の港だった。
では、この巨人の国で何が起きたのか、見ていこう。
風の神からもらった袋を仲間が開けてしまい、船団は追い風を失った。6日のあいだ昼も夜も漕ぎ続け、7日目、一行は巨人たちの都にたどり着く。
不思議な土地だった。夕方、羊を連れて帰ってくる羊飼いが声をかけると、朝の羊飼いが応えて群れを連れ出していく。夜の道と昼の道が近いので、眠らずに働ける者なら、牛飼いと羊飼いで二人分の賃金を稼げる、とオデュッセウスは語っている。
港は、両側を切り立った崖に囲まれ、入口の狭い入り江だった。波ひとつ立たない穏やかな水面。11隻の船はそろって入り江の中に入り、並んで錨を下ろした。オデュッセウスの船だけが、入り江の外の岩に綱を結んだ。
オデュッセウスは3人の仲間を偵察に出した。町の手前で、泉に水を汲みに来た大柄な娘に出会う。王の娘だった。案内されて王の館に入ると、山の頂ほども大きな王妃がいて、男たちは震え上がった。王妃は集会所から夫の王を呼んだ。王は仲間の一人をつかむと、その場で食事の支度をした。残る二人は、命からがら船へ逃げ帰った。
王が町じゅうに叫ぶと、数えきれない巨人たちが四方から集まってきた。人間というより、巨人族そのものだった。崖の上から、人の重さほどもある岩を投げ下ろす。入り江の中では、死んでいく男たちの叫びと、砕けていく船の音が響き渡った。巨人たちは男たちを魚のように銛で突き刺して、持ち帰っていった。

入り江の外にいたオデュッセウスは、剣を抜いて船の綱を断ち切り、仲間に全力で漕げと命じた。彼の船だけが、崖の下から沖へ逃れた。ほかの船は、一隻残らず失われた。
このあと、オデュッセウスは生き残った1隻で、魔女キルケの島へ向かうことになる。
この物語の出典: ホメロス『イリアス』、ホメロス『オデュッセイア』
都はラモスのテレピュロスと呼ばれる。夜と昼の道が近く、眠らずに働ける者なら二重の賃金を得られると語られ、白夜を思わせる描写として注目される。
ホメロス『オデュッセイア』 前8世紀頃
切り立った岩に囲まれ、波の立たぬ入り江。11隻はその中に入って係留し、オデュッセウスの船だけが外の岩に繋がれていた。この判断が生死を分ける。
ホメロス『オデュッセイア』 前8世紀頃
水汲みの娘に案内された偵察隊は王アンティパテスの館に入り、王妃を見て逃げるが、王は一人を掴んで食事に供した。叫びを聞いた民が四方から集まる。
ホメロス『オデュッセイア』 前8世紀頃