出典 · 古典期(悲劇・歴史)
祝勝歌集
ピンダロス · 前5世紀前半 · Odes
日本語訳: 内田次信訳、京都大学学術出版会、2001 · 原文・参考リンク ↗
この出典が語っていること
アドラストス
- ただ一人の生還: 将たちが倒れるなか、アドラストスだけが馬アレイオンに救われた。アポロドーロスは、この馬はデメテルがエリニュスの姿でいたときにポセイドンと交わって生まれたと説明する。ピンダロスは、七つの火葬の火が燃え尽きたあと、アドラストスがアンピアラオスを「わが軍の目」と呼んで嘆いたと歌う。 (3.6.8 /『イリアス』23.346-347 /『オリュンピア祝勝歌』6.12-17)
- 関係: sibling → eriphyle (『ネメア祝勝歌』9.16-17 タラオスの息子たちがエリピュレをアンピアラオスに嫁がせる / 『神話伝説集』73「自分の姉妹エリピュレ」)
- 関係: participated_in → seven-against-thebes (『ネメア祝勝歌』9.16-27 / 1134-1138, 1187-1188 / 3.6.1-8 / 『嘆願する女たち』)
- 関係: enemy → amphiaraus (『ネメア祝勝歌』9.13-15 内乱でアンピアラオスにアルゴスを追われる / 3.6.2)
アイアコス
- ピンダロスは、アイアコスを「地上の人間のうちで最も思慮深い者」と呼び、神々にさえ裁きをつけたとする。パウサニアスによれば、メガラの王位をめぐるスキロンとニソスの争いもアイアコスが裁き、王位をニソスに、戦の指揮権をスキロンに与えた。 (『イストミア祝勝歌』8.21-24、パウサニアス1.39.6)
- ピンダロスでは、ポセイドンとアポロンがトロイアの城壁を築くときアイアコスを協力者に呼んだ。完成した城壁に三匹の蛇が跳びかかり、二匹は落ちて死に、三匹目が叫び声をあげて跳びこんだ。アポロンは、ペルガモス(トロイアの城)はアイアコスの手の仕事から、その子孫によって、一代目と三代目に落ちると予言した。ポセイドンはアイアコスを金の馬の車でアイギナへ送り届けた。 (『オリュンピア祝勝歌』8.30-52)
- 関係: child → zeus (アポロドーロス3.12.6、『イストミア祝勝歌』8.21-23、ヒュギヌス52。母は河神アソポスの娘アイギナ)
- 関係: creator → troy (『オリュンピア祝勝歌』8.30-46 ポセイドンとアポロンに呼ばれ、城壁づくりを手伝う)
アイエテス
- ピンダロスでは、アイエテスが鋼の鋤を畑の真ん中に据え、火を吐く青銅の蹄の牛を一人でつないで畝を掘り、「船の主である王はこれを果たして羊毛を持っていけ」と言う。メデイアの薬に守られたイアソンがやり遂げると、アイエテスは声にならない痛みにうめき、羊毛が五十櫂船より大きな竜に守られた茂みにあると教える。 (『ピュティア祝勝歌』4.224-246)
- 関係: enemy → jason (アポロドーロス1.9.23、『アルゴナウティカ』3.401-421、『ピュティア祝勝歌』4.224-246)
アルクメネ
- 生まれたのはゼウスの子ヘラクレスと、一晩遅く宿ったアンピトリュオンの子イピクレス。生後8か月のとき、ヘラの送った2匹の大蛇をヘラクレスが両手で絞め殺した。 (アポロドーロス 2.4.8、ピンダロス『ネメア祝勝歌』1.33-40(生まれてすぐに双子の兄弟と、ヘラが蛇を送る))
アマゾン族
- 関係: enemy → bellerophon (『イリアス』6.186、ピンダロス『オリュンピア祝勝歌』13.87-90)
アンブロシアとネクタル
- ピンダロスは、タンタロスの罪を、自分を不死にしてくれた神々のネクタルとアンブロシアを盗んで飲み仲間に与えたこととする。 (『オリュンピア祝勝歌』1.55-64)
- 関係: stolen_by → tantalus (『オリュンピア祝勝歌』1.60-64)
アンピアラオス
- 予見と強いられた出陣: 彼は予言者として、アドラストス以外の将はみな死ぬと見抜いて出陣を拒んだ。かつてアドラストスと争って和解したとき、以後の争いは妻エリピュレに裁かせると誓っていたため、ポリュネイケスから首飾りを受け取ったエリピュレが出陣を決め、彼は逆らえなかった。出陣の前、子らに成長したら母を殺してテーバイを攻めよと命じる。ヒュギヌスでは、妻に知らせて隠れていたところを、首飾りと引き換えに妻に居場所を明かされる。 (3.6.2 /『ネメア祝勝歌』9.13-17 / 『神話伝説集』73)
- 最期: 敗走の途中、イスメノス川のほとりで、テーバイ方のペリクリュメノスの槍に背を突かれる寸前に、ゼウスが雷で大地を裂き、アンピアラオスは戦車と御者もろとも地中に消えた。ピンダロス(前5世紀前半)は、背を突かれて武名を汚す前に、とこの場面を歌う。アポロドーロスはさらに、ゼウスが彼を不死にしたと書き、御者の名をバトン、あるいはエラトンとする。 (『ネメア祝勝歌』9.24-27 / 3.6.8)
- ピンダロスは、七つの火葬の火が燃え尽きたあと、アドラストスがテーバイで「わが軍の目を失って寂しい、予言者としても槍の使い手としても優れた男を」と嘆いたと歌う。予言者と戦士の両方を兼ねた人物像は、アイスキュロスの「戦いに勇む予言者」と重なる。 (『オリュンピア祝勝歌』6.12-17 /『七将』568-569)
- 関係: spouse → eriphyle (『オデュッセイア』11.326-327 / 『ネメア祝勝歌』9.16-17 / 3.6.2)
- 関係: enemy → adrastus (『ネメア祝勝歌』9.13-17 アドラストスをアルゴスから追い出したが、妹エリピュレを妻に迎えて和解 / 3.6.2 以後の争いはエリピュレが裁くと誓う)
- 関係: companion → adrastus (『オリュンピア祝勝歌』6.12-17 アドラストスが「わが軍の目」と悼む)
- 関係: companion → zeus (『オデュッセイア』15.245 ゼウスとアポロンに愛された / 『ネメア祝勝歌』9.24-27 ゼウスが大地を裂いて隠す / 3.6.8 ゼウスが不死にした)
アンタイオス
- ピンダロスは、アンタイオスが殺したよそ者たちのどくろでポセイドンの神殿の屋根を葺いていたと語り、それを止めるためにテバイから来たヘラクレスを「姿は小さいが、心はくじけぬ男」と呼ぶ。 (『イストミア祝勝歌』4.52-55)
- 父はポセイドンとするのがアポロドーロスとピンダロス、ヒュギヌスもネプトゥヌスの子の列に名を挙げる。一方ヒュギヌスの「ヘラクレスの副次的な手柄」の章では「大地の子アンタイオス」とされ、アポロドーロスも、大地に触れると強くなることから大地の子と言う者がいたと記す。 (アポロドーロス2.5.11、『イストミア祝勝歌』4.54、ヒュギヌス31、157)
- 関係: child → poseidon (アポロドーロス2.5.11、『イストミア祝勝歌』4.54(父ポセイドンの神殿)、ヒュギヌス157(ネプトゥヌスの子の列))
- 関係: killed_by → herakles (アポロドーロス2.5.11、『イストミア祝勝歌』4.52-55、ディオドロス4.17.4、ヒュギヌス31)
アンティロコス
- 死は『イリアス』の外にある。『アイティオピス』の要約ではメムノンに討たれ、アキレウスがその仇としてメムノンを殺す。父ネストルを庇って死んだとする形はピンダロスが詳しく語る。パリスの矢で馬を射られてネストルの車が動かなくなり、メムノンが槍を構えたとき、老父に呼ばれた息子が身代わりに立って死ぬ。 (『アイティオピス』要約(プロクロス)/ ピンダロス『ピュティア祝勝歌』6.28-43)
アルゴナウタイの遠征
- まとまった形で残る早い語りの一つがピンダロス『ピュティア祝勝歌』第4歌で、片方のサンダルの神託、ケイロンに育てられたイアソン、火を吐く牡牛、金羊毛、レムノスの女たちまでを歌う。 (『ピュティア祝勝歌』4.73-78, 4.102-119, 4.224-254)
- 関係: participant → golden-fleece (目的。アポロドーロス 1.9.16, 1.9.23)
アスクレピオス
- ピンダロスでは、アポロンの子を身ごもったコロニスがアルカディアから来た男イスキュスと通じ、アポロンは妹アルテミスを遣わして彼女を射殺させる。火葬の薪が燃え上がったとき、アポロンは「我が子まで死なせるのは耐えられない」と炎の中から赤子を取り出し、ケンタウロスのケイロンに預けて医術を学ばせた。 (ピュティア祝勝歌 3.8-46)
- アスクレピオスはついに死者を生き返らせたため、ゼウスに雷で打たれる。ピンダロスは「黄金の報酬に心を動かされて」死にかけた男を連れ戻したからだとし、アポロドロスは、人間が医術を身につけて互いに救い合うことをゼウスが恐れたからだとする。 (ピンダロス『ピュティア』3.54-58。アポロドロス 3.10.3-4)
- アポロドーロスでは、コロニスの不実を知らせたカラスをアポロンが呪い、白かった羽を黒くした。ピンダロスでは知らせの鳥は出ず、アポロンが万事を見通す心で知ったとされる。 (アポロドーロス 3.10.3、ピンダロス『ピュティア祝勝歌』3.27-30)
- ピンダロスは、自然にできた腫れもの、青銅や石の傷、暑さ寒さに冒された体を、呪文・薬の服用・手足に巻く薬・切開で治したと歌う。 (『ピュティア祝勝歌』3.47-53)
- 関係: child → apollo (『アスクレピオス讃歌』(16)1-4。ピンダロス『ピュティア祝勝歌』3.8-46。アポロドロス 3.10.3)
- 関係: student → chiron (『イリアス』4.219 ケイロンがアスクレピオスに薬を教えた。ピンダロス『ピュティア』3.1-7, 3.45-46。アポロドロス 3.10.3)
- 関係: killed_by → zeus (ピンダロス『ピュティア』3.55-58。アポロドロス 3.10.4)
アテナ
- ヘパイストスが青銅の斧でゼウスの頭を割り、アテナが鬨の声をあげて躍り出た、という有名な細部はヘシオドスには無く、ピンダロスに見える。 (『オリュンピア祝勝歌』7.35-38)
アウゲイアス
- ピンダロスは、ヘラクレスが「強く乱暴な」アウゲイアスから、渋るのを承知で雑役の賃金を取り立てようと、ポセイドンの子クテアトスとエウリュトスをクレオナイで討ち、友を欺いたエペイオイの王の町を火と鉄で滅ぼした、と書く。そのあと戦利品をピサに集めて父ゼウスの聖域アルティスを定め、四年ごとの祭典と最初のオリュンピア競技を始めた。パウサニアスも、ヘラクレス以前にアウゲイアスがオリュンピアの競技を催したと記す。 (『オリュンピア祝勝歌』10.24-59、パウサニアス5.8.3)
- 関係: enemy → herakles (アポロドーロス2.5.5、2.7.2、『オリュンピア祝勝歌』10.24-42、パウサニアス5.1.10-5.3.1)
ベレロポン
- 『イリアス』は晩年について、神々に憎まれ、人を避けてアレイオンの野をひとりさまよったとだけ語る。ピンダロスは理由を補うように、ペガソスで天の神々の座へ昇ろうとして振り落とされたと歌う。 (『イリアス』6.200-202、『イストミア祝勝歌』7.44-47)
- ピンダロスによれば、ベレロポンは泉のほとりでペガソスを捕らえようとして苦労していたが、予言者の勧めでアテナの祭壇に眠ると、夢に女神が現れ黄金の手綱を授け、白い牡牛をポセイドンに捧げよと告げた。目覚めると手綱が傍らにあり、それで天馬を捕らえ、空からアマゾン、キマイラ、ソリュモイ人を討った。ペガソスはのちにオリュンポスのゼウスの厩に迎えられる。 (『オリュンピア祝勝歌』13.63-92)
- ピンダロスは、翼あるペガソスが、天の館へ行ってゼウスの集まりに加わろうとした主人ベレロポンを振り落とした、と歌う。 (『イストミア祝勝歌』7.44-47)
- 関係: owner → pegasus (『神統記』325、『オリュンピア祝勝歌』13.63-90、アポロドーロス 2.3.2)
- 関係: enemy → amazons (『イリアス』6.186、『オリュンピア』13.87-89、アポロドーロス 2.3.2)
- 関係: received_gift → athena (『オリュンピア祝勝歌』13.65-69 夢で黄金の手綱を授かる)
カストル
- 死因として広く伝わるのは、イダスとリュンケウスの兄弟との牛をめぐる争い。カストルはイダス(あるいはリュンケウス)に討たれ、ポリュデウケスだけが不死ゆえに残される。 (アポロドーロス 3.11.2 / ピンダロス『ネメア祝勝歌』10.55-90)
- 『オデュッセイア』は二人が「一日おきに生きては死ぬ」形でゼウスから栄誉を受け、神々と同じように敬われていると書く。ピンダロスはこれを、不死のポリュデウケスが兄のために自分の不死を半分譲ったという形で語る。分け合いの筋道は後代のほうが明確になっている。 (『オデュッセイア』11.301-304 / 『ネメア祝勝歌』10.75-90)
ケンタウロス族
- ピンダロスでは、神々に迎えられたイクシオンがヘラに欲情し、ゼウスが作ったヘラに似た雲と交わって、四本の輻の車輪に縛られる。雲は神にも人にも敬われない子ケンタウロスを産み、それがペリオン山のふもとでマグネシアの雌馬と交わって、下は母に、上は父に似た一族が生まれた。 (『ピュティア祝勝歌』2.21-48)
- 関係: descendant → ixion (『ピュティア祝勝歌』2.35-48 イクシオンと雲の子ケンタウロスが雌馬と交わって一族が生まれる)
ケイロン
- 後代の伝承では、アスクレピオス(医術)、イアソン、アクタイオン、そしてアキレウスなど、多くの英雄の養育者・教師として名前が挙がる。医術の起源を彼に結びつける伝承も多い。 (アポロドーロス 3.4.4, 3.13.6 / ピンダロス『ピュティア祝勝歌』4.102-103, 『ネメア祝勝歌』3.43-53)
キニュラス
- 前5世紀のピンダロスは、キュプロスの人々がしばしばキニュラスを歌うと言い、彼を「金髪のアポロンが心から愛した、アプロディテの神官」と呼ぶ。別の歌では、かつてキュプロスでキニュラスに富を積み上げた幸運を引き合いに出している。富と神々の寵愛に恵まれた王の典型として扱われている。 (『ピュティア祝勝歌』2.15-17 /『ネメア祝勝歌』8.18)
- 関係: servant → aphrodite (『ピュティア祝勝歌』2.17「アプロディテの神官」)
- 関係: companion → apollo (『ピュティア祝勝歌』2.15-16「金髪のアポロンが心から愛した」。寵愛の関係で、恋人かどうかは書かれていない)
ダナエ
- 父アクリシオスは地下に青銅の部屋を造ってダナエを閉じ込めたが、ゼウスが黄金の流れとなって屋根から膝に注ぎ込み、彼女は身ごもった。ピンダロスもペルセウスを「自ら流れる黄金から生まれた」と呼ぶ。 (アポロドーロス 2.4.1、ピンダロス『ピュティア祝勝歌』12.17-18)
- セリポス王ポリュデクテスがダナエに言い寄り、邪魔なペルセウスをゴルゴン退治に送り出した。戻ったペルセウスは、祭壇に逃れていた母を救うためメドゥサの首で王とその仲間を石に変えた。 (アポロドーロス 2.4.2-3、ピンダロス『ピュティア』12.14-15(母の隷属と強いられた婚姻))
デウカリオン
- 石から生まれた人々を「ラオイ(民)」と呼ぶのは、石(ラース)にかけた語呂合わせだと古代から言われていた。ピンダロスがすでにこの語呂合わせを使い、ヘシオドス断片も、ゼウスが大地から拾った石をデウカリオンに民として与えたと歌う。ヒュギヌスも同じ説明を繰り返す。 (ピンダロス『オリュンピア祝勝歌』9.43-46、ヘシオドス断片 M-W fr. 234 / Evelyn-White fr. 82(ロクロスとレレゲス人)、ヒュギヌス 153)
- ホメロスにはデウカリオンの洪水が出てこない。『イリアス』に出るデウカリオン(13.449-450)はミノスの子で、クレタの王イドメネウスの父という別人。ピュラの夫のデウカリオンが文献に現れるのはヘシオドスの名で伝わる系譜詩の断片と、前5世紀のピンダロスから。 (『イリアス』13.449-450(ゼウス→ミノス→デウカリオン→イドメネウスの系譜)。ヘシオドス断片 Evelyn-White fr. 1、ピンダロス『オリュンピア祝勝歌』9.41-53)
- アポロドーロスはデウカリオンをプティア周辺の王とする。ピンダロスでは、パルナッソスから下りた二人が最初に住んだのはロクリスのオプスの町(プロトゲネイアの町)とされる。 (アポロドーロス 1.7.2、ピンダロス『オリュンピア祝勝歌』9.41-46)
- 関係: participated_in → deucalions-flood (アポロドーロス 1.7.2、『変身物語』1.253-415、ピンダロス『オリュンピア祝勝歌』9.41-53)
デウカリオンの洪水
- 現存する作品で洪水をはっきり語る最古の一つは、前5世紀のピンダロス。ゼウスの意志で水が黒い大地を覆い、やがて引いたこと、ピュラとデウカリオンがパルナッソスから下りて石から民を作ったことを、勝利者の故郷オプスの由来として歌う。 (『オリュンピア祝勝歌』9.41-53)
- 箱舟が着いたのはパルナッソス山。アポロドーロス、オウィディウス、ピンダロスがそろってこの山を挙げる。 (アポロドーロス 1.7.2、『変身物語』1.316-319(頂が二つある山)、ピンダロス『オリュンピア祝勝歌』9.43)
- 関係: participant → deucalion (アポロドーロス 1.7.2、『変身物語』1.253-415、ピンダロス『オリュンピア祝勝歌』9.41-53)
- 関係: participant → pyrrha (同上)
- 関係: participant → zeus (洪水を起こした神。アポロドーロス 1.7.2、『変身物語』1.253-261、ピンダロス『オリュンピア祝勝歌』9.50-53)
エリュシオン
- ヘシオドスは、英雄の種族の一部が、大地の果て、渦巻くオケアノスのほとりの「至福者の島」で悲しみを知らずに暮らし、大地が年に三度実りを与える、と歌う。ピンダロスは、そこでラダマンテュスの裁きのもとにペレウス、カドモス、そして母テティスがゼウスを説き伏せて連れて行ったアキレウスが暮らすとする。 (『仕事と日』170-173 /『オリュンピア祝勝歌』2.68-80)
- アキレウスの死後の居場所は出典で食い違う。『オデュッセイア』では冥界にいて、「死者の王であるより、地上で貧しい男の雇われ人でいたい」とオデュッセウスに語る。ピンダロスやプラトン『饗宴』では、至福者の島に送られたとされる。 (『オデュッセイア』11.467-540(489-491)/『オリュンピア祝勝歌』2.79-80 /『饗宴』179e)
- 関係: visited_by → cadmus (『オリュンピア祝勝歌』2.78(至福者の島)/ 3.5.4(エリュシオンの野))
- 関係: visited_by → peleus (『オリュンピア祝勝歌』2.78 至福者の島に数えられる)
- 関係: visited_by → achilles (『オリュンピア祝勝歌』2.79-80 母テティスの願いで至福者の島へ /『饗宴』179e。『オデュッセイア』11.467-540 ではアキレウスは冥界にいる)
エリピュレ
- なぜ妻が決めたのか: アポロドーロスによれば、アンピアラオスはかつてアドラストスと争い、和解の際に「以後アドラストスとの争いはエリピュレに裁かせる」と誓っていた。ピンダロスも、内乱のあとタラオスの息子たちがエリピュレを「誓いの証」としてアンピアラオスに嫁がせたと歌う。出兵をめぐって夫と兄が対立したとき、裁定はエリピュレに委ねられ、首飾りを受け取った彼女は出兵を選んだ。 (3.6.2 /『ネメア祝勝歌』9.13-17)
- 関係: spouse → amphiaraus (『オデュッセイア』11.326-327 /『ネメア祝勝歌』9.16-17 / 3.6.2)
- 関係: sibling → adrastus (『ネメア祝勝歌』9.16-17 / 『神話伝説集』73)
ギガース
- 関係: participated_in → gigantomachy (アポロドロス 1.6.1-2。ピンダロス『ネメア祝勝歌』1.67-69)
- 関係: enemy → herakles (アポロドロス 1.6.1-2、ピンダロス『ネメア祝勝歌』1.67-69、エウリピデス『ヘラクレス』1190-1194)
ギガントマキア
- 前5世紀のピンダロスは、予言者テイレシアスの口を借りて、神々がプレグラの野でギガースと戦うとき、ヘラクレスの矢の雨の下で巨人たちの輝く髪が土にまみれる、と歌う。戦いの後、ヘラクレスは永遠の安らぎを得て若さの女神ヘベを妻にするという。 (『ネメア祝勝歌』1.67-72)
- 巨人の王ポルピュリオンを倒したのは誰か。ピンダロスでは、ギガースの王はアポロンの矢で倒される。アポロドロスでは、ヘラに襲いかかったポルピュリオンをゼウスが雷で撃ち、ヘラクレスが矢でとどめを刺す。 (ピンダロス『ピュティア祝勝歌』8.12-18。アポロドロス 1.6.2)
- 関係: participant → giants (アポロドロス 1.6.1-2、ピンダロス『ネメア祝勝歌』1.67-69)
- 関係: participant → herakles (アポロドロス 1.6.1-2、『ネメア祝勝歌』1.67-69、エウリピデス『ヘラクレス』1190-1194)
- 関係: participant → apollo (アポロドロス 1.6.2 エピアルテスの左目を射る。ピンダロス『ピュティア祝勝歌』8.12-18 では巨人の王をアポロンの矢が倒す)
金羊毛
- ピンダロスでは、イアソン自身が「策によって」目の青い、背のまだらな蛇を殺して金羊毛を得る。 (『ピュティア祝勝歌』4.249-250)
- 関係: owned_by → jason (アポロドーロス 1.9.23, 1.9.27、『ピュティア』4.230-250)
ヘベ
- 関係: spouse → herakles (『神統記』950-955、『オデュッセイア』11.601-604、ピンダロス『ネメア祝勝歌』1.69-72、アポロドロス 2.7.7)
イクシオン
- ピンダロスは罪を二つ挙げる。一つは、策略をもって身内の血を流した最初の人間であること。もう一つは、神々のもとで恵まれた暮らしを与えられながら、ゼウスの妻ヘラに言い寄ったこと。この詩でイクシオンは、翼のある車輪の上で回りながら「恩人には繰り返し報いよ」と人間に告げる教訓の像として描かれる。 (『ピュティア祝勝歌』2.21-34(前470年または468年、シュラクサイのヒエロンのための歌))
- ゼウスはヘラそっくりの雲を作って罠にし、イクシオンは気づかずに雲と交わる。雲が生んだ異形の子がケンタウロスで、ペリオン山のふもとでマグネシアの雌馬と交わり、上半身は父に、下半身は母に似た一族が生まれたという。 (『ピュティア祝勝歌』2.36-48)
- 関係: suitor → hera (『ピュティア祝勝歌』2.25-34 ヘラに欲望を抱き、ゼウスの寝所で言い寄る)
- 関係: enemy → zeus (『ピュティア祝勝歌』2.36-41 ゼウスがヘラの姿の雲を罠として仕掛け、四本の輻(や)の車輪に縛る)
イアソン
- ペリアスは「片方のサンダルの男に用心せよ」という神託を受けていた。川を渡るときにサンダルを片方なくしたイアソンが現れ、ペリアスが「自分を殺す者がいると神託を受けたらどうするか」と問うと、イアソンは「金羊毛を取りに行かせる」と答えてしまい、自らその役を負った。 (ピンダロス『ピュティア』4.73-78、アポロニオス 1.5-7、アポロドーロス 1.9.16)
- ピンダロスでは、イアソンはケンタウロスのケイロンの洞窟で育ち、「神のような獣(ケイロン)が私をイアソンと呼んだ」と自ら名乗る。英雄の名付け親が半人半馬の教師だったことになる。 (『ピュティア祝勝歌』4.102-104, 4.119)
- 関係: student → chiron (ピンダロス『ピュティア祝勝歌』4.102-103, 4.119 ケイロンの洞窟で20年育ち、「イアソン」と名づけたのもケイロン。アポロニオス 1.32-34 ケイロンの勧めでオルペウスを仲間に迎える)
- 関係: participated_in → argonauts (指揮者。アポロドーロス 1.9.16-17、『ピュティア』4.169-254)
- 関係: owner → golden-fleece (アポロドーロス 1.9.23 メデイアに導かれて持ち出し、1.9.27 ペリアスに渡す。『ピュティア』4.230-250)
メドゥサ
- ピンダロスは、メドゥサが殺されたときゴルゴンたちが上げた嘆きの声をアテナが笛(アウロス)の調べに写し取った、と歌う。 (『ピュティア祝勝歌』12.6-12, 12.18-21)
オリュンピア
- ピンダロスでは、ヘラクレスが報酬を払わなかったエペイオイの王アウゲイアスとその味方を討ち、戦利品をピサに集めて父ゼウスのために聖域アルティスを区切り、名のなかった丘をクロノスの丘と名づけ、アルペイオス川と十二の神々をたたえて、4年ごとの祭りと最初の競技を創設した。 (『オリュンピア祝勝歌』10.24-59)
- ピンダロスは最初の競技の勝者を列挙する。徒競走はリキュムニオスの子オイオノス、レスリングはテゲアのエケモス、拳闘はティリュンスのドリュクロス、四頭立て戦車はマンティネイアのサモス、槍投げはプラストル、石投げはニケウス。 (『オリュンピア祝勝歌』10.60-73)
- ピンダロスによれば、勝者に与えるオリーブの冠は、ヘラクレスが金の角の鹿を追って訪れたヒュペルボレオイ(北風の彼方の民)の国から、説き伏せて持ち帰った木に由来する。木のない炎天の競技場に木陰をつくるためだった。 (『オリュンピア祝勝歌』3.11-34)
- ピンダロスでは、ピサの王オイノマオスは13人の求婚者を殺していた。ペロプスは夜の海辺でポセイドンに祈り、黄金の戦車と疲れを知らない翼のある馬を授かって王に勝ち、ヒッポダメイアを妻にした。いまペロプスはアルペイオスの渡り場のそば、多くの人が訪れる祭壇の傍らに墓を持つ。 (『オリュンピア祝勝歌』1.67-93)
- 関係: owned_by → zeus (『オリュンピア祝勝歌』10.43-45 ヘラクレスが父のために聖域を測る。パウサニアス5.10-11 ゼウスの神殿と像)
- 関係: created_by → herakles (『オリュンピア祝勝歌』10.43-59、3.11-34)
- 関係: owned_by → kronos (パウサニアス5.7.6 黄金の種族がクロノスの神殿を建てた。『オリュンピア祝勝歌』10.49-50 クロノスの丘)
- 関係: visited_by → pelops (『オリュンピア祝勝歌』1.90-93 アルペイオスの渡り場のそばの墓。パウサニアス5.8.2 競技を盛大に催す、5.13.1-2 ペロピオン)
- 関係: visited_by → castor (『オリュンピア祝勝歌』3.34-38、パウサニアス5.8.4)
- 関係: visited_by → polydeuces (『オリュンピア祝勝歌』3.34-38、パウサニアス5.8.4)
オリオン
- 関係: suitor → pleiades (『仕事と日』619-620 プレイアデスがオリオンの力から逃れて海に沈む /ピンダロス『ネメア祝勝歌』2.10-12。「恋して追った」という動機は後代(ヒュギヌス『天文譜』2.21 とされる、未確認))
オルペウス
- ホメロスとヘシオドスにはオルペウスは登場しない。名前が現れる最古の例は前6世紀の抒情詩人イビュコスの断片「名高きオルペウス」の2語とされる。古典期のピンダロスはアルゴ船の乗組員の一人として歌う。 (イビュコス断片(PMG 306)は本サイト未登録の出典。ピンダロス『ピュティア祝勝歌』4.176-177)
ペガソス
- ピンダロスでは、ベレロポンは泉のほとりでペガソスを捕まえようとして苦労していたが、夢にアテナが現れて黄金の手綱を授け、目覚めると本当に手綱があった。 (『オリュンピア祝勝歌』13.63-69, 13.84-86)
- 天の神々の集いに加わろうとしたベレロポンを、ペガソスは振り落とした。ペガソス自身はゼウスの古い厩に迎えられる。 (『イストミア祝勝歌』7.44-47、『オリュンピア』13.91-92)
- ベレロポンは黄金の手綱でペガソスを捕らえると青銅の鎧で乗り、空からアマゾン、キマイラ、ソリュモイ人を攻めた。ピンダロスはベレロポンの死については黙すると言い、ペガソスはゼウスの古い厩にいるとだけ歌う。 (『オリュンピア祝勝歌』13.84-92)
- 関係: owned_by → bellerophon (『神統記』325、ピンダロス『オリュンピア』13.63-90、アポロドーロス 2.3.2)
ペレウス
- テティスは「父より優れた子を産む」と予言されていたため、神々が人間に嫁がせたとされる。アポロドーロスはゼウスとポセイドンが彼女を争ったが、テミスの予言を聞いて手を引いたとする。ピンダロスでは、テミスが神々の前で「雷霆や三叉戟に勝る武器を持つ子が生まれる」と告げ、人間の寝所を与えてペレウスに嫁がせよと勧める。 (アポロドーロス 3.13.5 / ピンダロス『イストミア祝勝歌』8.27-47)
ペリアス
- ピンダロスでは、神託は大地のへそ(デルポイ)から下り、山の住まいから来る一足履きの男を、よそ者でも町の者でも警戒せよと告げる。ペリアスはイアソンの両親から王権を力ずくで奪っており、両親は赤子のイアソンを死んだことにして隠した。王位を求めるイアソンに、ペリアスは、自分は年老いたが、プリクソスが夢に現れて自分の魂と羊毛を連れ帰るよう求めている、それを果たせば王位を譲ると誓う。 (『ピュティア祝勝歌』4.71-78、4.109-116、4.156-167)
- 関係: enemy → jason (アポロドーロス1.9.16、『ピュティア祝勝歌』4.71-167、『神統記』992-999)
ペロプス
- ピンダロスは『オリュンピア祝勝歌』1 でこの話を正面から退ける。「神々が人を食うなどと言うのは、隣人のねたみが作った作り話だ」として、実際はポセイドンが美しい少年に恋してさらったのだと語り直す。神話が語り手によって作り替えられる様子が、紀元前5世紀の詩の中で直接見られる珍しい例。 (『オリュンピア祝勝歌』1.24-53(作り話とする宣言は 1.28-36, 1.52))
- ピンダロスの祝勝歌では、ペロプスの墓はオリュンピアの競技場のそばにあり、オリュンピア祭の起源と結び付けられている。戦車競走の神話が競技祭の由来として語られている。 (『オリュンピア祝勝歌』1.90-96)
- 関係: child → tantalus (『オリュンピア祝勝歌』1.36-38、摘要 2.3)
- 関係: lover → poseidon (『オリュンピア祝勝歌』1.25-27, 1.71-78。ポセイドンが彼を見初めてさらったとする)
ペルセウス
- メドゥサの首を斬ったことはヘシオドスが語り、ピンダロスは首を持ち帰ってセリポス島の王ポリュデクテスへの復讐に使ったことまで歌う。ピンダロスはペルセウスを「自ら流れる黄金から生まれた」とも呼ぶ。 (『神統記』280-281、『ピュティア祝勝歌』12.9-17)
- 関係: child → danae (『イリアス』14.319-320、ピンダロス『ピュティア』12.17、アポロドーロス 2.4.1)
- 関係: killed → medusa (『神統記』280、『ピュティア』12.16、アポロドーロス 2.4.2)
プリクソス
- ピンダロスでは、ペリアスがイアソンに遠征を命じる口実として「プリクソスの魂が、アイエテスの館へ行って自分の魂を連れ帰り、海と継母の刃から自分を救った雄羊の毛皮を取り戻せと夢で求めている」と語る。金羊毛の探索は、もとはプリクソスの霊を故郷に帰す務めとして語られていた。 (『ピュティア祝勝歌』4.159-164)
- 関係: enemy → ino-leucothea (継母。アポロドーロス 1.9.1、ヒュギヌス 2、ピンダロス『ピュティア祝勝歌』4.161-162「継母の不敬な刃」)
プレイアデス
- ヘシオドスは、プレイアデスが「オリオンの力強さから逃れて」霧の海に沈むころは航海をやめよと言い、ピンダロスも「山の鳩たち(ペレイアデス)から遠くないところをオリオンが行くのがふさわしい」と歌う。星どうしを、追う者と逃げる者に見立てた言い方になっている。オリオンが彼女たち(あるいは母プレイオネ)に恋して追い続けた、という恋物語の形は後代の星座誌に出てくる。 (『仕事と日』619-620 /『ネメア祝勝歌』2.10-12。恋物語の形はヒュギヌス『天文譜』2.21 とされる(未確認))
ポリュデウケス
- 兄カストルが討たれたとき、ゼウスから不死のまま独りで神々のもとに来るか、兄と半分ずつ分け合うかを問われ、後者を選ぶ。一日交代で天と冥界を行き来する形になった。 (『ネメア祝勝歌』10.75-90 / アポロドーロス 3.11.2)
- ピンダロスでは、リュンケウスが樫のうろに隠れた双子を見つけ、イダスがカストルを槍で刺す。ポリュデウケスはリュンケウスを槍で倒し、イダスはゼウスの雷に焼かれる。瀕死のカストルのもとで死を願うポリュデウケスに、ゼウスは「お前は私の子、カストルは母の夫の子」と告げたうえで選ばせ、ポリュデウケスは迷わず兄弟と分け合う方を選ぶ。するとカストルの目が開き、声が戻った。 (『ネメア祝勝歌』10.60-90)
ポセイドン
- 関係: suitor → thetis (『イストミア祝勝歌』8.26-47。ゼウスと共に求婚したが予言を聞いて退いた)
プロメテウス
- 『縛られたプロメテウス』では、彼はゼウスを王座から落とす子を産む女神の名を知っており、それを明かさないことでゼウスと対峙する。この秘密の女神がテティスであり、彼女が人間ペレウスに嫁がされた理由になる。 (『縛られたプロメテウス』907-927(名は伏せられる)。ピンダロス『イストミア祝勝歌』8.26-47 ではテミスが同じ予言を告げ、ゼウスとポセイドンが求婚を退く)
ピュラ
- 関係: participated_in → deucalions-flood (アポロドーロス 1.7.2、『変身物語』1.253-415、ピンダロス『オリュンピア祝勝歌』9.41-53)
ラダマンテュス
- ピンダロスでは、三度生まれ変わって魂を不正から守り通した者が行く「幸いな者たちの島」で、ラダマンテュスの正しい采配のもと、ペレウス、カドモス、母に連れてこられたアキレウスらが暮らす。レアの夫である大いなる父が、彼をそばに置く補佐役としている。 (『オリュンピア祝勝歌』2.68-80)
セメレ
- 神になった母: ピンダロス(前5世紀前半)は、雷鳴の中で死んだセメレが今はオリュンポスの神々の間に住み、パラス(アテナ)と父ゼウスと、蔦の冠の息子に愛されていると歌う。アポロドーロスは、ディオニュソスが母を冥界から連れ戻してテュオネと名付け、共に天に昇ったと伝える。 (『オリュンピア祝勝歌』2.25-27 / 3.5.3 /『神統記』942)
テーバイ攻めの七将
- 結末: 予言者テイレシアスの言葉に従いクレオンの子メノイケウスが自らを犠牲にし、テーバイは持ちこたえる。カパネウスは雷に打たれ、エテオクレスとポリュネイケスは一騎打ちで相討ち、他の将も倒れて、アドラストスだけが神馬アレイオンに乗って逃げ延びた。ピンダロスは、七つの火葬の薪が若者たちの遺体を焼いたと歌う。『イリアス』でもアレイオンは「アドラストスの足の速い、神々の血を引く馬」として名が出る。 (3.6.7-8 /『フェニキアの女たち』911-1018, 1090-1092 /『ネメア祝勝歌』9.22-24、『オリュンピア祝勝歌』6.15 /『イリアス』23.346-347)
- 関係: has_episode → amphiaraus (敗走中、ゼウスの雷が裂いた大地に戦車ごと呑まれる。『ネメア祝勝歌』9.24-27 / 3.6.8)
- 関係: participant → zeus (カパネウスを雷で打ち、アンピアラオスの前で大地を裂く。1180-1186 /『ネメア祝勝歌』9.24-27 / 3.6.7-8)
タンタロス
- まったく別の形の罰も伝わる。頭上に巨大な岩が吊るされ、いつ落ちるか分からないまま怯え続けるというもの。ピンダロスとアポロドーロスはこちらを採る。 (『オリュンピア祝勝歌』1.55-58、摘要 2.1)
- 息子ペロプスを切り刻んで煮て神々に供したという罪も伝わる。ただしピンダロスはこの話自体を「隣人のねたみが作った作り話」として退け、罪はネクタルとアンブロシアを盗んで仲間に配ったことだとする。 (摘要 2.3 / 『オリュンピア祝勝歌』1.28-36, 1.60-64)
- ピンダロスによれば、タンタロスはシピュロスの館に神々を招いて返礼の宴を開き、その席でポセイドンがペロプスに恋して黄金の馬で天へさらった。姿を消したペロプスについて、ねたみ深い隣人が「切り刻まれて煮られ、食べられた」とささやいたのだという。 (『オリュンピア祝勝歌』1.36-52)
- 関係: parent → pelops (『オリュンピア祝勝歌』1.36-38、摘要 2.3)
テイア
- ピンダロスはテイアを「太陽の母、多くの名を持つテイア」と呼びかけ、人が黄金を何より尊ぶのも、競走の船や馬が称えられるのも、この女神のおかげだと歌う。光り輝くものの価値の源として扱われている。 (『イストミア祝勝歌』5.1-6)
- ピンダロスは、人が黄金を何より力あるものと尊ぶのも、海で競う船や戦車の馬が速い競走の中で称えられるのも、テイアの与える誉れのおかげだと歌う。 (『イストミア祝勝歌』5.1-6)
テミス
- ピンダロスでは、ゼウスとポセイドンがテティスを争ったとき、テミスが「テティスは父より強い子を産む定め」と告げ、二神はテティスを人間ペレウスに嫁がせる。この子がアキレウスになる。 (イストミア祝勝歌 8.26-48)
- 関係: advisor → thetis (イストミア祝勝歌 8.30-45 テティスの子は父より強くなる定めだと神々に告げ、ゼウスとポセイドンの求婚をやめさせる)
テティス
- ゼウスとポセイドンが争って求婚したが、テミスが「彼女は父に勝る子を産む」と告げたため二神とも退き、人間ペレウスに嫁がされた。神々の秩序を守るために一人の女神が人間に与えられる。 (『イストミア祝勝歌』8.26-47)
- 関係: courted_by → zeus (『イストミア祝勝歌』8.26-47。ゼウスとポセイドンが争って求婚したが、予言を聞いて手を引いた)
- 関係: courted_by → poseidon (『イストミア祝勝歌』8.26-47)
ティタン族
- ピンダロスでは、三度の生を正しく生き抜いた魂がたどる「ゼウスの道」の先、幸いな者たちの島にクロノスの塔があり、ラダマンテュスがレアの夫(クロノス)の傍らで裁きを助けている。 (『オリュンピア祝勝歌』2.68-77)
オリュンポス十二神
- ピンダロスは、ヘラクレスがオリュンピアに聖域を区切ったとき、アルペイオス川とともに「支配する十二の神々」をたたえたと書く。 (『オリュンピア祝勝歌』10.43-49)
テュケ
- ピンダロスは『オリュンピア祝勝歌』12番(前466年、ヒメラのエルゴテレスのため)を「自由をもたらすゼウスの子、救い主テュケ」への祈りで始め、海の船、陸の戦い、評議の場を導くのは彼女だと述べる。 (『オリュンピア祝勝歌』12.1-6)
- 関係: child → zeus (『オリュンピア祝勝歌』12.1-2「自由をもたらすゼウスの子」)
テュポン
- ピンダロスは、かつてキリキアの洞窟で育った百頭のテュポンが、いまはシチリアのエトナ山と海岸の崖に押さえつけられ、そこから火の流れを噴き上げていると歌う。アイスキュロス『縛られたプロメテウス』でも、エトナの下に押しつぶされたテュポンがいつか火の川を噴き出すと予言される。 (ピンダロス『ピュティア祝勝歌』1.15-28。『縛られたプロメテウス』351-372)
ペレウスとテティスの婚礼
- 女神が人間と結婚する理由も語られている。テティスの産む子は父より強くなるという予言があったため、ゼウス(とポセイドン)は自ら娶ることを避け、人間のペレウスに嫁がせた。 (ピンダロス『イストミア祝勝歌』8.27-40(ゼウスとポセイドンがテティスをめぐって争ったが、テミスが「海の女神は父より強い子を産む定めだ」と告げて二人とも退いた)、アポロドーロス 3.13.5(同じくテミスの予言)。いずれも本文で確認)
- テティスは望んで嫁いだのではなく、次々に姿を変えて逃げるところをペレウスが掴んで離さず、組み伏せて得た妻とされる。神と人間の結婚が力ずくで成立している点が、後の不和の伏線にもなる。 (アポロドーロス 3.13.5(ケイロンの助言でペレウスが待ち伏せ、火・水・獣と姿を変えるテティスを元の姿に戻るまで離さなかった)、ピンダロス『ネメア祝勝歌』4.62-65(火と獅子の爪と牙を斥けてネレウスの娘を娶った)。いずれも本文で確認)
ゼウス
- 関係: suitor → thetis (『イストミア祝勝歌』8.26-47。ポセイドンと共に求婚したが、「父に勝る子を産む」という予言を聞いて退いた)