ギリシャ神話の地図
ケクロプス最初の王アテナ勝った女神ポセイドン敗れた神ディオニュソス訪れた神デメテル訪れた女神アテナイ中心の町

アッティカ

Ἀττική場所

ぶどう酒のつくり方を初めて人々に広めようとした男は、魔法をかけたと思われて殺された。神話集を書いたアポロドーロスが伝える、アッティカの話である。

アッティカは、ギリシャ中部の南東に突き出た半島の土地。アテネの町を中心とする地方である。

アポロドーロスによれば、この地の最初の王は、上半身が人で下半身が蛇の、大地から生まれた王ケクロプスだった。王はそれまで別の名で呼ばれていた土地を、自分の名からケクロピアと名づけた。旅行家パウサニアスが聞いた別の話では、のちの王の娘アッティスの名から、アッティカと呼ばれるようになったという。

ケクロプスの時代に、神々はそれぞれ自分が祀られる町を持とうと決めた。最初に来た海の神ポセイドンは、三叉の矛で丘の真ん中を打って海の水を湧かせた。続いて女神アテナが来て、王に見届けさせてオリーブの木を植えた。争いを裁いたのは十二の神々で、先に木を植えたのはアテナだと王が証言し、土地はアテナのものと決まった。怒ったポセイドンは、近くの平野を海の水で覆い、アッティカを海の下に沈めたという。

土地をめぐって争う女神アテナと海の神ポセイドン。17世紀の絵。
土地をめぐって争う女神アテナと海の神ポセイドン。17世紀の絵。『アテナイの名をめぐるミネルウァとネプトゥヌスの争い』 ルネ=アントワーヌ・ウアス 1689年Public domain

のちの別の王の時代には、二柱の神がアッティカへやって来た。穀物の女神デメテルと、酒の神ディオニュソスである。デメテルはエレウシスの町で迎えられ、ディオニュソスはある男にもてなされた。神はお礼にぶどうの枝を与え、ぶどう酒のつくり方を教えた。

男は、神の恵みを人々にも分けようと、羊飼いたちに酒を飲ませた。水で割らずに、うまさにまかせて飲み干した羊飼いたちは、自分たちが魔法をかけられたと思いこみ、男を殺してしまう。夜が明けて何が起きたのかを悟った彼らは、その亡骸を葬った。

父を探していた娘を、亡骸のありかへ導いたのは、父にいつも付き従っていた飼い犬だった。娘は父のために泣き、みずから首を吊った。酒の神の恵みがこの地に根づくまでには、そんな悲しい始まりがあった。

この物語の出典: アポロドーロス(偽アポロドーロス)『ビブリオテーケー(ギリシア神話)』、パウサニアス『ギリシア案内記』

この物語の人々

こういう風にも語られている

大地から生まれ、人と蛇の混じった体を持つケクロプスがアッティカ最初の王で、それまでアクテと呼ばれた土地を自分の名からケクロピアと名づけた。

アポロドーロス(偽アポロドーロス)『ビブリオテーケー(ギリシア神話)』 1〜2世紀頃

パウサニアスが聞いた話では、アクタイオスが最初の王で、その後継ケクロプスのあとに王となったクラナオスの娘アッティスの名から、それまでアクタイアと呼ばれた土地がアッティカと呼ばれるようになった。

パウサニアス『ギリシア案内記』 2世紀

ローマ以後の語り

ケクロプスの時代、ポセイドンはアクロポリスの真ん中を三叉の矛で打って海(エレクテイスと呼ばれる)を湧かせ、アテナはケクロプスに見届けさせてオリーブを植えた。ゼウスが立てた十二の神々の裁きで、先にオリーブを植えたと証言されたアテナのものとなり、怒ったポセイドンはトリアの平野を水浸しにし、アッティカを海の下に沈めた。

アポロドーロス(偽アポロドーロス)『ビブリオテーケー(ギリシア神話)』 1〜2世紀頃

パンディオン王の時代にデメテルとディオニュソスがアッティカに来た。デメテルはエレウシスでケレオスに迎えられ、ディオニュソスはイカリオスにもてなされて、ぶどうの枝と酒づくりを教えた。イカリオスが羊飼いたちに酒を振る舞うと、水で割らずに飲んだ彼らは魔法をかけられたと思って彼を殺し、翌朝事情を悟って葬った。

アポロドーロス(偽アポロドーロス)『ビブリオテーケー(ギリシア神話)』 1〜2世紀頃

父を探す娘エリゴネに、イカリオスに付き従っていた飼い犬マイラが亡骸のありかを示し、エリゴネは父を嘆いて首を吊った。

アポロドーロス(偽アポロドーロス)『ビブリオテーケー(ギリシア神話)』 1〜2世紀頃

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このページの出典(2件)
  1. 1〜2世紀頃アポロドーロス(偽アポロドーロス)『ビブリオテーケー(ギリシア神話)』
  2. 2世紀パウサニアス『ギリシア案内記』