出典 · ローマ期
神話集(ファブラエ)
ヒュギヌス · 1〜2世紀頃 · Fabulae
ラテン語の神話便覧。他では失われた諸説を多く伝える。
日本語訳: 松田治・青山照男訳『ギリシャ神話集』講談社学術文庫、2005(本邦初の全訳)
この出典が語っていること
アクリシオス
- 男の子を得る方法を神託に尋ねたアクリシオスは、娘が産む男の子に殺されると告げられ、地下に青銅の部屋を作ってダナエを閉じこめた。パウサニアスは、アルゴスにその青銅の部屋の上にあったという地下の建物が残り、僭主ペリラオスが取り壊したと記す。ヒュギヌスでは閉じこめた先は「石壁の牢」。 (アポロドーロス2.4.1、パウサニアス2.23.7、10.5.11、ヒュギヌス63)
- ヒュギヌスでは、アクリシオスはセリポスのポリュデクテスのもとへ娘と孫を取り戻しに行き、ペルセウスは祖父を決して殺さないと誓った。嵐で足止めされているあいだにポリュデクテスが死に、その葬送競技で、風がペルセウスの手から円盤を吹き飛ばしてアクリシオスの頭に当て、殺した。 (63(ToposText 所収のグラント英訳))
- アポロドーロスでは、アクリシオスの妻はラケダイモンの娘エウリュディケで、娘はダナエ一人。パウサニアスは、スパルタのアルゴスのヘラの神殿を、アクリシオスの妻エウリュディケが建てたと記す。ヒュギヌスはダナエの母をアガニッペとする。『イリアス』はダナエを「アクリシオスの娘」と呼ぶ。 (アポロドーロス2.2.2、パウサニアス3.13.8、ヒュギヌス63、『イリアス』14.319)
- 関係: parent → danae (『イリアス』14.319「アクリシオスの娘ダナエ」、アポロドーロス2.2.2(母はラケダイモンの娘エウリュディケ)、ヒュギヌス63(母はアガニッペ))
- 関係: killed_unintentionally_by → perseus (アポロドーロス2.4.4 ラリサの葬送競技で円盤が足に当たる。パウサニアス2.16.2 気づかずに円盤の進路へ入る。ヒュギヌス63 セリポスのポリュデクテスの葬送競技で風にあおられた円盤が頭に当たる)
アドラストス
- 猪と獅子の予言: アドラストスは「娘たちを猪と獅子に嫁がせよ」という予言(エウリピデスではアポロンの神託)を受けていた。ある夜、館の門前でポリュネイケスとテュデウスが寝床をめぐって取っ組み合っているのを見て、予言を思い出し、二人を婿にして故郷に戻すと誓った。何が「猪と獅子」だったのかは出典ごとに違う。 (3.6.1 盾の図柄 /『フェニキアの女たち』408-429 取っ組み合い / 『神話伝説集』69 身にまとった皮)
- 最期: パウサニアスによれば、メガラ人はアドラストスもメガラで祀り、彼は息子たちの世代がテーバイを落とした後に軍を連れ帰る途中、老いと息子アイギアレウスの死の悲しみからメガラで死んだと言っていた。エピゴノイの遠征で死んだのは、七将のうちただ一人生き残ったアドラストスの息子だった、という対の構図になっている。 (1.43.1 / 3.7.3 / 『神話伝説集』71)
- 関係: sibling → eriphyle (『ネメア祝勝歌』9.16-17 タラオスの息子たちがエリピュレをアンピアラオスに嫁がせる / 『神話伝説集』73「自分の姉妹エリピュレ」)
アイアコス
- アポロドーロスでは、ゼウスは河神アソポスの娘アイギナをさらい、当時オイノネと呼ばれた島へ連れていってアイアコスをもうけた。島はのちにアイギナと呼ばれる。ヒュギヌスでは、ヘラを恐れたゼウスがアイギナをデロス島へ連れていった、とする。 (アポロドーロス3.12.6、ヒュギヌス52)
- 島でひとりきりのアイアコスのため、ゼウスが蟻を人間に変えた(アポロドーロス、ヘシオドスの断片)。ヒュギヌスでは、ヘラが水に蛇を送って毒を入れたため民が死に、アイアコスの願いでゼウスが蟻を人に変えて、ギリシャ語で蟻を「ミュルメケス」ということからミュルミドネスと名づけた。オウィディウスでは疫病の原因はヘラ(ユノ)の怒り。パウサニアスは、アイアコスが民を求めるとゼウスが地から人々を生え出させた、というアイギナの伝えを記す。 (アポロドーロス3.12.6、『カタログ』断片(エヴリン=ホワイト53)、ヒュギヌス52、『変身物語』7.523-657、パウサニアス2.29.2)
- 関係: child → zeus (アポロドーロス3.12.6、『イストミア祝勝歌』8.21-23、ヒュギヌス52。母は河神アソポスの娘アイギナ)
アイエテス
- ヒュギヌスでは、アイエテスはプリクソスを喜んで迎えて娘カルキオペを与えたが、アイオロスの子孫の異邦人の手で死ぬと前兆で警告されていたため、プリクソスの子らに国を追われるのを恐れ、プリクソスを殺した。 (3(ToposText 所収のグラント英訳))
- ヒュギヌスによれば、アイエテスには「プリクソスが奉納した羊毛がアレスの社にあるかぎり王国を保つ」というお告げがあり、そのためイアソンに、火を吐く青銅の足の牡牛を鋼のくびきにつないで耕し、兜から竜の歯をまくという難題を課した。 (22)
- 関係: sibling → pasiphae (アポロドーロス1.9.1、ヒュギヌス序文)
- 関係: owner → golden-fleece (アポロドーロス1.9.1 プリクソスから贈られ、アレスの森の樫に打ちつける。ヒュギヌス22 羊毛がアレスの社にあるかぎり王国を保つというお告げ)
- 関係: parent_in_law → phrixus (アポロドーロス1.9.1、ヒュギヌス3 娘カルキオペを妻に与える)
- 関係: killed → phrixus (ヒュギヌス3 アイオロスの子孫の異邦人に殺されるというお告げを恐れて殺す(アポロドーロス・アポロニオスにはない))
アイゲウス
- アテナイ王パンディオン(二代目)の子。パンディオンは国を追われてメガラに逃れ、そこでアイゲウスが生まれた。 (アポロドーロス 3.15.5、ヒュギヌス 48「パンディオンの子アイゲウス」)
- ヒュギヌスでは、アイゲウスは海に身を投げ、そこからその海が Aegeum pelagus(アイゲウスの海)と呼ばれるようになった、とする。エーゲ海の名の由来話。 (43)
- 関係: parent → theseus (アポロドーロス 3.15.7, 3.16.1、ヒュギヌス 48。同じ夜にポセイドンもアイトラと交わったとされる)
- 関係: ruler → athens (アポロドーロス 3.15.6、ヒュギヌス 48)
アガウエ
- その後: 『バッコスの信女』の結末で、ディオニュソスはカドモス一家に追放を言い渡し、カドモスとハルモニアは蛇に変わって異国の民を率いると予言する。ヒュギヌスでは、正気に戻ったアガウエはテーバイを逃れてイリュリアのリュコテルセス王のもとに身を寄せる。別の箇所では、アガウエがそのリュコテルセスを殺して王国を父カドモスに与えたとされ、「夫を殺した女たち」の一覧にも名が挙がる。 (『バッコスの信女』1330-1370 / 『神話伝説集』184, 240, 254)
- 関係: parent → pentheus (『バッコスの信女』507 / 3.5.2 / Met. 3.725 / 『神話伝説集』184。夫はスパルトイ(竜の歯から生まれた戦士)の一人エキオン(『バッコスの信女』538-541, 1274 / Met. 3.126))
- 関係: killed → pentheus (『バッコスの信女』1114-1147 / 3.5.2 / Met. 3.710-731 / 184)
アゲノル
- アポロドーロスでは、イオの子エパポスの娘リビュエ(リビュアの地名の由来)が、ポセイドンとのあいだに双子のアゲノルとベロスを産む。アゲノルはフェニキアへ行って王となり、大きな一族の祖となった。ベロスはエジプトに残って王となり、アイギュプトスとダナオスの父となる。ヒュギヌスも、ポセイドンの子としてリビュエから生まれたアゲノルとベロスを挙げる。 (アポロドーロス2.1.4、3.1.1、ヒュギヌス157)
- アポロドーロスでは、アゲノルはフェニキアでテレパッサを妻とし、娘エウロペと、カドモス、ポイニクス、キリクスの三人の息子をもうける。ヒュギヌスでは、エウロペはシドンの人アゲノルとアルギオペの娘で、ゼウスは牡牛に化けて彼女をシドンからクレタへ運ぶ。 (アポロドーロス3.1.1、ヒュギヌス178)
- 探しあぐねた息子たちは帰郷をあきらめて各地に住みつく。アポロドーロスでは、ポイニクスはフェニキアに、キリクスはフェニキア近くのピュラモス川のほとりに住んでその地をキリキアと名づけ、カドモスとテレパッサはトラキアに、タソスはトラキア沖の島にタソスの町を建てた。ヘロドトスも、キリキア人はもとヒュパカイオイと呼ばれ、フェニキア人でアゲノルの子キリクスから名を取ったと書く。ヒュギヌスでは、ポイニクスはアフリカへ渡ってとどまり、そのためアフリカの人々がポエニ(フェニキア人)と呼ばれるという。 (アポロドーロス3.1.1、ヘロドトス7.91、ヒュギヌス178)
- アゲノルという名の人物は神話に何人もいる。よく知られるのは、『イリアス』でアキレウスに立ち向かい、アポロンに霧に包まれて救われるトロイア方の戦士アゲノル(アンテノルの子)。ほかにもアポロドーロスには、アルゴスの王家やアイトリアの王家のアゲノル、予言者ピネウスの父とする説のアゲノルなどが出てくる。 (『イリアス』21.544-598、アポロドーロス1.7.7、1.9.21、2.1.2、ヒュギヌス19(ピネウスはアゲノルの子))
- 関係: parent → europa (アポロドーロス3.1.1(母はテレパッサ)、ヒュギヌス178(母はアルギオペ)、『変身物語』2.858「アゲノルの娘」)
- 関係: parent → cadmus (アポロドーロス3.1.1、ヘロドトス4.147、『変身物語』3.8「アゲノルの子」、ヒュギヌス6)
- 関係: child → poseidon (アポロドーロス2.1.4、3.1.1、ヒュギヌス157。母はエパポスの娘リビュエ)
アルクマイオン
- 母殺し: 父アンピアラオスは出陣の前、息子たちに、成長したら母を殺しテーバイを攻めよと命じていた。アポロドーロスでは、アルクマイオンはテーバイ攻略の後、母が自分の出陣のためにも(ポリュネイケスの子テルサンドロスから衣を受け取って)買収されていたと知って怒りを募らせ、アポロンの神託に従って母を殺す。弟アンピロコスと共に殺したとも、一人で殺したともいう。 (3.6.2, 3.7.2, 3.7.5 / 『神話伝説集』73)
- 関係: child → eriphyle (3.7.2 / 『神話伝説集』71, 73)
- 関係: killed → eriphyle (3.7.5 アポロンの神託に従って母を殺す(弟アンピロコスと共に、とも)/ 73)
- 関係: participated_in → epigoni (3.7.2-3 総大将としてエテオクレスの子ラオダマスを討つ / 10.10.4 / 71)
アルタイア
- 関係: spouse → oeneus (1.8.1 テスティオスの娘アルタイアを妻とする / 『神話伝説集』129, 174)
- 関係: parent → deianira (1.8.1 ディオニュソスとの子とも言われる / 129)
- 関係: lover → dionysus (129 オイネウスの客となったディオニュソスがアルタイアを愛し、デイアネイラが生まれる / 1.8.1「デイアネイラはディオニュソスがアルタイアに生ませたと言われる」)
アンピアラオス
- 予見と強いられた出陣: 彼は予言者として、アドラストス以外の将はみな死ぬと見抜いて出陣を拒んだ。かつてアドラストスと争って和解したとき、以後の争いは妻エリピュレに裁かせると誓っていたため、ポリュネイケスから首飾りを受け取ったエリピュレが出陣を決め、彼は逆らえなかった。出陣の前、子らに成長したら母を殺してテーバイを攻めよと命じる。ヒュギヌスでは、妻に知らせて隠れていたところを、首飾りと引き換えに妻に居場所を明かされる。 (3.6.2 /『ネメア祝勝歌』9.13-17 / 『神話伝説集』73)
アンキセス
- 実際に口を滑らせて雷に打たれ、足が不自由になった(あるいは盲目になった)という続きは、後代の出典で語られる。落城時に自力で歩けない理由づけにもなっている。 (ヒュギヌス 94)
アンタイオス
- 父はポセイドンとするのがアポロドーロスとピンダロス、ヒュギヌスもネプトゥヌスの子の列に名を挙げる。一方ヒュギヌスの「ヘラクレスの副次的な手柄」の章では「大地の子アンタイオス」とされ、アポロドーロスも、大地に触れると強くなることから大地の子と言う者がいたと記す。 (アポロドーロス2.5.11、『イストミア祝勝歌』4.54、ヒュギヌス31、157)
- 関係: child → poseidon (アポロドーロス2.5.11、『イストミア祝勝歌』4.54(父ポセイドンの神殿)、ヒュギヌス157(ネプトゥヌスの子の列))
- 関係: child → gaia (アポロドーロス2.5.11 大地に触れると強くなるので大地の子と言う者もいた。ヒュギヌス31「大地の子アンタイオス」)
- 関係: killed_by → herakles (アポロドーロス2.5.11、『イストミア祝勝歌』4.52-55、ディオドロス4.17.4、ヒュギヌス31)
アタランテ
- 徒競走: 求婚者はアタランテと走り、負ければ殺される。オウィディウスでは、アプロディテがキュプロス島タマソスの畑の木から摘んだ3つの黄金の林檎をヒッポメネスに渡し、彼はそれを走りながら投げてアタランテが拾う間に勝つ。アポロドーロスでは林檎を持って来るのはメラニオン。ヒュギヌスでは、求婚者が武器を持たずに先に走り、アタランテが武器を持って追う、という形になっている。 (Met. 10.560-680(林檎 10.644-651)/ 3.9.2 / 185)
- 結末は獅子への変身。アポロドーロスでは、狩りの途中でゼウスの神域に入り、そこで交わったため獅子に変えられた。オウィディウスでは、恩を忘れたヒッポメネスに怒ったアプロディテが、キュベレの神殿の洞で二人に欲情を起こさせ、神殿を汚された女神キュベレが二人を獅子にして自分の車を引かせた。ヒュギヌスでは、パルナッソス山で勝利のゼウスに犠牲を捧げる途中、アプロディテの怒りで神域の中で交わり、ゼウスが二人を獅子と雌獅子に変えた。 (3.9.2 / Met. 10.681-704 / 185)
- 息子パルテノパイオスは、テーバイを攻めた七将のひとり。ソポクレス『コロノスのオイディプス』では「昔の処女(パルテノス)にちなんで名付けられた、アタランテの忠実な子」と紹介され、名前そのものが母の処女性を思い出させる。父はアポロドーロスではメラニオンかアレス、ヒュギヌスではメレアグロスとされる。 (『コロノスのオイディプス』1320-1322 / 3.9.2 / 『神話伝説集』70 /『フェニキアの女たち』1104-1109, 1153-1162)
- 関係: participated_in → calydonian-boar-hunt (1.8.2 / Met. 8.317-328, 8.380-387 / 『神話伝説集』173-174 / 8.45.6 テゲアの破風)
- 関係: spouse → hippomenes (Met. 10.560-680 / 185 / 3.9.2(エウリピデスは夫をヒッポメネスとする、と))
- 関係: courted_by → hippomenes (Met. 10.575-680 徒競走 / 185)
- 関係: enemy → aphrodite (Met. 10.681-704 礼を欠いたヒッポメネスと共に、アプロディテの怒りで獅子に変えられる / 185)
アタマス
- 関係: parent → phrixus (アポロドーロス 1.9.1、ヒュギヌス 2-3)
- 関係: parent → helle (アポロドーロス 1.9.1、ヒュギヌス 2-3)
アテナイ
- 関係: ruled_by → cecrops (アポロドーロス 3.14.1、ヒュギヌス 48)
- 関係: ruled_by → erichthonius (アポロドーロス 3.14.6、ヒュギヌス 48)
- 関係: ruled_by → aegeus (アポロドーロス 3.15.5-6、ヒュギヌス 48)
- 関係: ruled_by → theseus (48 アテナイ王の名簿)
カリュドンの猪狩り
- ヒュギヌスの名簿: 医神アスクレピオス、ミノスの子デウカリオン、ヘルメスの子エウリュトスという、他の名簿に無い名を含む。オデュッセウスの父ラエルテスはオウィディウスと共通。続けて、援軍を送った国々としてイオルコス、スパルタ、メッセネ、プティア、サラミス、イタケ、テゲア、クレタ、アテナイなどを挙げる。一方、アンピアラオスはこの名簿に入っていない。 (『神話伝説集』173、173A。写本に欠損があり、一部の名は読めない)
- アポロドーロス、オウィディウス、ヒュギヌス、テゲアの神殿破風(パウサニアスの記録)の4つを突き合わせると、すべてに名があるのはメレアグロス、アタランテ、カストルとポリュデウケス、テセウス、ペレウス、テラモン、アンカイオスの8人と、テスティオスの息子たち(アルタイアの兄弟)。ネストルはオウィディウスだけ、アスクレピオスはヒュギヌスだけに出てくる。後代の作家ほど、別の物語で有名な英雄を名簿に加えていったことがうかがえる。 (1.8.2 / Met. 8.299-317 / 173 / 8.45.6-7 を照合した本サイトの集計。イリアス 9.543-546 とバッキュリデス 5 には名簿自体が無い)
- 関係: participant → castor (1.8.2 / Met. 8.301-302 / 『神話伝説集』173 / 8.45.7 テゲアの破風)
- 関係: participant → polydeuces (1.8.2 / Met. 8.301-302 / 173 / 8.45.6 テゲアの破風)
- 関係: participant → theseus (1.8.2 / Met. 8.268-271, 8.303, 8.403-410 / 173 / 8.45.6)
- 関係: participant → peleus (1.8.2 投げ槍でエウリュティオンを誤って殺す / Met. 8.309「偉大なアキレウスの父」 / 173 / 8.45.6)
- 関係: participant → jason (1.8.2 / Met. 8.302, 8.411-413 投げた槍が外れて犬に当たる / 173。テゲアの破風(パウサニアス 8.45.6-7)には名が無い)
- 関係: participant → laertes (Met. 8.315「ペネロペの舅」/ 173。オデュッセウスの父。アポロドーロスの名簿には無い)
- 関係: participant → asclepius (173「アポロンの子アエスクラピウス」。ヒュギヌスの名簿にだけ出てくる)
- 関係: participant → admetus (1.8.2 ペライから / Met. 8.310「ペレスの子」/ 173)
カパネウス
- 家系: アポロドーロスはヒッポノオスの子とする。パウサニアスはデルポイのアルゴス人の奉納像の説明で、カパネウスとエテオクロスを「プロイトスの子孫」と呼ぶ。ヒュギヌスは母をアドラストスの姉妹アステュノメとし、カパネウスをアドラストスの甥にあたる人物とする。 (3.6.3 / 10.10.3 / 『神話伝説集』70)
- 関係: nephew_niece → adrastus (『神話伝説集』70 母アステュノメはアドラストスの姉妹)
カシオペイア
- ヒュギヌスの『神話集』では、カシオペは娘アンドロメダの美しさがネレイスたちに勝ると言った。そのためネプトゥヌス(ポセイドン)がアンドロメダを海の怪物に差し出すよう求めた。 (64)
- 関係: parent → andromeda (アポロドーロス2.4.3、『変身物語』4.738、ヒュギヌス64)
ケクロプス
- 関係: child → gaia (アポロドーロス 3.14.1「大地から生まれ、人と蛇の混じった体をもつ」。ヒュギヌス 48「大地(テラ)の子ケクロプス」)
- 関係: ruler → athens (アポロドーロス 3.14.1 アッティカ最初の王。ヒュギヌス 48 アテナイ王の名簿の最初)
ケライノ
- ヘシオドスがハルピュイアの名として挙げるのはアエロとオキュペテの二人だけで、ケライノの名はない。ハルピュイアの一人としてのケライノは、ウェルギリウスとヒュギヌスに出てくる。 (『神統記』267。『アエネイス』3.211。ヒュギヌス序文)
- ケライノという名は、アトラスとプレイオネの娘(プレイアデス)の一人の名でもある。ヒュギヌスは同じ序文の中で、アトラスとプレイオネの子の一覧と、タウマスとエレクトラの子(ハルピュイア)の一覧の両方にケライノを挙げている。 (序文(アトラスとプレイオネの子の一覧、タウマスとエレクトラの子の一覧))
- 関係: member_of → harpies (『アエネイス』3.211-212。ヒュギヌス序文はタウマスとエレクトラの子として、イリス、ハルピュイア、ケライノ、オキュペテ、ポダルケを挙げる)
ケパロス
- 関係: ruler → athens (48 アテナイ王の名簿に「デイオンの子ケパロス」が入っている)
クリュサオル
- ヒュギヌスの神話集も、メドゥーサとネプトゥヌス(ポセイドン)からクリュサオルと馬のペガソスが生まれ、クリュサオルとカリロエから三つの体のゲリュオンが生まれたとする。 (序文、151(Grant 英訳、ToposText))
- 関係: child → medusa (『神統記』280-281 首を斬られたメドゥーサから生まれる。アポロドーロス2.4.2、ヒュギヌス151)
- 関係: child → poseidon (『神統記』278-279(「黒髪の神」)、アポロドーロス2.4.2、ヒュギヌス151)
クレオン
- 二度の王: 最初はライオスが殺された後。スピンクスがテーバイ人を襲い、謎を解けずに多くが食われ、最後にクレオン自身の息子ハイモンまで犠牲になったとき、クレオンは謎を解いた者に王位とライオスの妃を与えると布告した。こうしてオイディプスが王となる。二度目は、オイディプスの息子たちが相討ちで死んだ後。 (3.5.8, 3.7.1 / 『神話伝説集』67)
- 息子ハイモンの死に方は出典で違う。アポロドーロスでは、スピンクスに食われた最後の犠牲者。ソポクレスでは、アンティゴネの死を知って父に剣を向けたあと自害する。ヒュギヌスでは、アンティゴネをかくまって子までもうけたことが露見し、ヘラクレスのとりなしも実らず、アンティゴネを殺して自らも死ぬ。 (3.5.8 /『アンティゴネ』1192-1243 / 『神話伝説集』72)
- 関係: sibling → jocasta (共にメノイケウスの子。『オイディプス王』69-70 / 3.5.7-8 / 『神話伝説集』70「イオカステの兄弟クレオン」)
- 関係: enemy → antigone (埋葬の禁を破った彼女を岩屋に閉じ込める。『アンティゴネ』441-525, 773-780 / 3.7.1 / 72)
- 関係: ruler → thebes (3.5.8(ライオスの死後)、3.7.1(兄弟の死後)/『アンティゴネ』162-210 / 67)
- 関係: parent_in_law → herakles (『オデュッセイア』11.269-270「心高いクレオンの娘メガラ」をヘラクレスが妻とする / 2.4.11 / 72)
ダプネ
- 関係: advisee → gaia (203 追われたダプネの祈りを大地の女神が聞き入れ、月桂樹に変える)
デウカリオン
- 石から生まれた人々を「ラオイ(民)」と呼ぶのは、石(ラース)にかけた語呂合わせだと古代から言われていた。ピンダロスがすでにこの語呂合わせを使い、ヘシオドス断片も、ゼウスが大地から拾った石をデウカリオンに民として与えたと歌う。ヒュギヌスも同じ説明を繰り返す。 (ピンダロス『オリュンピア祝勝歌』9.43-46、ヘシオドス断片 M-W fr. 234 / Evelyn-White fr. 82(ロクロスとレレゲス人)、ヒュギヌス 153)
デウカリオンの洪水
- ヒュギヌスだけは、デウカリオンとピュラが逃れたのはシチリアの最高峰エトナ山だったとする。 (153)
- 生き残りが二人だけかどうかは出典で違う。オウィディウスとヒュギヌスは二人だけとするが、アポロドーロスは近くの高い山に逃げたわずかな者も生き延びたと書く。 (『変身物語』1.325-326、ヒュギヌス 153、アポロドーロス 1.7.2)
エピゴノイのテーバイ攻め
- ヒュギヌスの名簿: 「七人のエピゴノイ」として、アドラストスの子アイギアレウス、ポリュネイケスの子テルサンドロス、ヒッポメドンの子ポリュドロス、アンピアラオスの子アルクマイオン、パルテノパイオスの子トレシメネスを挙げ、別の版としてステネロス、ディオメデス、パルテノパイオスの子ビアンテスを含む名簿も並べる。パルテノパイオスの子の名がプロマコス、トレシメネス、ビアンテスと三通りに割れる。 (『神話伝説集』71 / 3.7.2)
- 父の戦いの鏡写し: 父の代でただ一人生き残ったのはアドラストスだったが、子の代でただ一人死んだのはアドラストスの子アイギアレウスだった。アポロドーロスでは、アイギアレウスはエテオクレスの子ラオダマスに討たれ、そのラオダマスはアルクマイオンに討たれる。ヒュギヌスも、父が生き残った代わりにアイギアレウスが身代わりに命を落としたと説明する。 (3.7.3 / 『神話伝説集』71 / 1.43.1)
- 関係: participant → alcmaeon (3.7.2-3 総大将、ラオダマスを討つ / 10.10.4 / 『神話伝説集』71)
エレクテウス
- ヒュギヌスでは、犠牲にされる娘はクトニアと名指され、エレクテウスはユピテルの雷に打たれて死ぬ。 (46)
- 関係: ruler → athens (『イリアス』2.546-547、アポロドーロス 3.15.1、ヒュギヌス 48)
- 関係: killed_by → zeus (46。ヒュギヌスではユピテルの雷に打たれて死ぬ(諸説。claim 参照))
エリクトニオス
- 関係: child → hephaestus (アポロドーロス 3.14.6、ヒュギヌス 48「ウルカヌスの子エリクトニオス」)
- 関係: ruler → athens (アポロドーロス 3.14.6(アンピクテュオンを追って王になる)、ヒュギヌス 48)
エリピュレ
- 二度の買収: 1回目はポリュネイケスからハルモニアの首飾りを受け取って夫を出陣させ、2回目は10年後、ポリュネイケスの子テルサンドロスからハルモニアの衣を受け取って息子たちを出陣させた。どちらもカドモスがハルモニアとの婚礼で贈った品で、テーバイ王家に伝わっていたものだった。ヒュギヌスでは、首飾りを作って贈ったのは兄アドラストスとされ、隠れていた夫の居場所を明かした代価になっている。 (3.4.2, 3.6.1-2, 3.7.2 / 『神話伝説集』73)
- 関係: sibling → adrastus (『ネメア祝勝歌』9.16-17 / 『神話伝説集』73)
- 関係: parent → alcmaeon (3.7.2 / 73 / 5.17.7 キュプセロスの箱の浮き彫り)
- 関係: killed_by → alcmaeon (3.7.5 / 73)
エリス
- 「最も美しい者へ」という林檎の銘や「招かれなかったから怒った」という筋は、アポロドーロスの本文には無く、更に後代のヒュギヌスやルキアノスに現れる。ヒュギヌスでは、ユピテルがペレウスとテティスの婚礼に神々を招いた際エリス(ディスコルディア)だけを外し、遅れて来て宴に入れてもらえなかった彼女が戸口から林檎を投げ入れ、最も美しい者が取るようにと言う、という筋になる。 (ヒュギヌス『神話集』92。招かれなかったこと・投げ入れたこと・「最も美しい者が取れ(formosissima)」の三つがここで揃う。ルキアノス『神々の対話』20 も同じ筋を伝える。フレイザー版アポロドーロス摘要 3.2 の註も、銘文を伝えるのはこれら後代の作家だとする)
黄金の林檎
- ヒュギヌスでは、婚礼に呼ばれなかったエリス(ラテン名ディスコルディア)が戸口から林檎を投げ入れ、「最も美しい者が取るように」と声に出して言う。つまりここでも銘は刻まれていない。 (92)
- 「最も美しい女神へ」という銘が林檎に刻まれていた、という形は古い出典には無い。確認できるかぎり最も古く銘を明記するのは2世紀のルキアノスで、『海神たちの対話』5 では、エリスが宴に投げ込んだ黄金の林檎に「美しい者が私を取れ」と書かれており、ヘルメスがそれを読み上げる。 (ルキアノス『海神たちの対話』5(パノペとガレネ)。ヒュギヌス92 は銘ではなく「最も美しい者が取るように」という声の形(本文確認済み)。OCD「Judgement of Paris」「Eris」の項)
- アポロドーロスでは、ヘラはすべての人間を治める王権、アテナは戦の勝利、アプロディテはヘレネとの結婚を約束した。ヒュギヌスでは、ヘラは全土の支配と富、ミネルウァは人間で最も勇敢で万事に長じること、ウェヌスはヘレネを約束し、敗れたユノとミネルウァはトロイアに敵意を抱いた。 (アポロドーロス 摘要 3.2、ヒュギヌス 92(ToposText 掲載の Grant 英訳で確認))
- 関係: owned_by → eris (アポロドーロス摘要 3.2、ヒュギヌス 92。エリスが投げ入れる)
- 関係: participated_in → wedding-of-peleus-and-thetis (92 婚礼の席に投げ込まれる)
ハイモン
- 死に方(3)ヒュギヌス: クレオンはアンティゴネを処刑させるため許嫁ハイモンに引き渡したが、ハイモンは羊飼いに彼女を預けて殺したと偽った。生まれた息子が成人してテーバイの競技に来たとき、竜の子孫の家系にある体の印でクレオンに見抜かれる。ヘラクレスのとりなしも実らず、ハイモンはアンティゴネを殺して自らも死んだ。 (『神話伝説集』72)
- 関係: child → creon (『アンティゴネ』626-765 / 3.5.8 / 『神話伝説集』72)
- 関係: lover → antigone (許嫁。『アンティゴネ』568-575, 626-630 /『フェニキアの女たち』757-760, 1635-1675 / 72)
ハルピュイア
- 関係: sibling → celaeno (『アエネイス』3.211-212「恐ろしいケライノと、ほかのハルピュイアたち」。ヒュギヌス序文もケライノをハルピュイアの名に挙げる(集団と個人を結ぶ関係の種類がないため sibling を使う))
ヘカベ
- パリスを身ごもったとき、燃える松明を産み落として街が焼ける夢を見た。予言者の助言でパリスはイダ山に捨てられる。『イリアス』にこの夢は無い。 (アポロドーロス 3.12.5、ヒュギヌス 91)
ヘレ
- 雄羊に乗ってシゲイオンとケルソネソスの間の海の上に来たとき、ヘレは海に滑り落ちて溺れた。その海は彼女にちなんでヘレスポントスと呼ばれるようになった。 (アポロドーロス 1.9.1、ヒュギヌス 3)
- ヘレスポントスという地名そのものは『イリアス』にすでに出るが、ホメロスはその名をヘレと結びつけていない。海峡の名を少女ヘレの墜落で説明する話は、現存する文献ではアポロドーロスやヒュギヌスで確かめられる。 (『イリアス』2.844(トラキア勢の土地を「流れの強いヘレスポントス」が囲む)。アポロドーロス 1.9.1、ヒュギヌス 3)
- 関係: child → athamas (アポロドーロス 1.9.1、ヒュギヌス 3)
- 関係: sibling → phrixus (アポロドーロス 1.9.1、ヒュギヌス 3)
- 関係: enemy → ino-leucothea (継母。アポロドーロス 1.9.1、ヒュギヌス 2)
ヒッポリュテ
- ヒュギヌスの『神話集』では、ヘラクレスの功業の章に「マルス(アレス)と女王オトレレの娘ヒッポリュテを殺し、アマゾンの女王の帯を奪った。捕虜のアンティオペはテセウスに与えた」とある。父をアレスとする系譜はここに見える。 (30(ToposText 所収のグラント英訳)。アマゾンの名の一覧(163)にもヒッポリュテが入る)
- 関係: child → ares (30 「マルスと女王オトレレの娘ヒッポリュテ」)
ヒッポメネス
- 勝者の名は出典で違う。オウィディウスとヒュギヌスではヒッポメネス。アポロドーロスはメラニオンを本筋とし、黄金の林檎もメラニオンがアプロディテから持ってきたとしたうえで、「エウリピデスは夫をヒッポメネスとする」と書き添える。 (Met. 10.560-680 / 185 / 3.9.2)
- 勝った後、ヒッポメネスはアプロディテに礼も香も捧げなかった。オウィディウスでは、怒った女神がキュベレの神殿のそばで彼に欲情を起こさせ、神殿を汚された女神キュベレが二人を獅子に変えて車を引かせる。ヒュギヌスでは、パルナッソス山でゼウスに犠牲を捧げる途中のことで、二人を獅子に変えたのはゼウス。 (Met. 10.681-704 / 185)
- オウィディウスでは、ボイオティアのオンケストスのメガレウスの子で、ポセイドン(ネプトゥヌス)の曾孫だと自ら名乗る。ヒュギヌスは母をメロペとする。 (Met. 10.605-606 / 185)
- 関係: spouse → atalanta (Met. 10.680 / 『神話伝説集』185 / 3.9.2(エウリピデスは夫をヒッポメネスとする、と伝える))
- 関係: suitor → atalanta (Met. 10.575-680 / 185)
- 関係: received_gift → aphrodite (Met. 10.644-651 キュプロス島タマソスの木の黄金の林檎3つ / 185)
- 関係: enemy → aphrodite (Met. 10.681-704 感謝も香も捧げなかったため女神の怒りを買う / 185)
ラミア
- ラミアの名は、ホメロスの『イリアス』『オデュッセイア』、ヘシオドス『神統記』、アポロドーロス『ビブリオテーケー』、オウィディウス『変身物語』、ヒュギヌス『神話集』には出てこない。まとまった話は、歴史家ディオドロスや辞典『スーダ』、著述家たちのたとえ話のなかに残る。 (手元の英訳全文(『イリアス』『オデュッセイア』『神統記』『ビブリオテーケー』『変身物語』『神話集』)と、『イリアス』『オデュッセイア』『神統記』のギリシャ語本文で Lamia / Λάμια を検索して該当なし(2026年9月))
ラオコオン
- どの神が関わるかも一定しない。『アエネイス』ではその日くじで選ばれたネプトゥヌス(ポセイドン)の祭司とされ、アポロドーロスでは単に「予言者」と呼ばれる。ヒュギヌスでは蛇を送るのはアポロンで、二人の息子にアンティファンテス、テュンブライオスという名まで付いている。 (『アエネイス』2.201「ネプトゥヌスの祭司」、アポロドーロス摘要 5.17、ヒュギヌス 135)
ラオメドン
- 神々の怒りで海獣が現れ、娘ヘシオネを生贄に差し出すことになる。通りかかったヘラクレスが、ゼウスがガニュメデスの代償に与えた名馬と引き換えに娘を救うが、ラオメドンはまたも約束を破った。 (アポロドーロス 2.5.9、ヒュギヌス 89)
レダ
- 卵の数え方は伝承で割れる。ヒュギヌスは、白鳥のゼウスからポリュデウケスとヘレネが、テュンダレオスとの間にカストルとクリュタイムネストラが生まれたとするが、卵には触れない。アポロドーロスも同じ組み分けをしたうえで、ネメシスの産んだ卵を羊飼いがレダに渡し、そこからヘレネが孵ったとする異伝を並べる。ホメロスはカストルとポリュデウケスを二人ともテュンダレオスの子とする。 (ヒュギヌス 77 / アポロドーロス 3.10.7(ネメシスの卵の異伝を含む)/ 『オデュッセイア』11.298-300)
メガラ
- ヒュギヌスでは、ヘラクレスが冥界の犬を取りに行っているあいだにリュコスがメガラと息子テリマコス、オピテスを殺して国を奪おうとし、帰ったヘラクレスがリュコスを殺す。のちにユノの送った狂気でヘラクレスはメガラと息子たちを殺した。 (32(ToposText 所収のグラント英訳))
- 関係: killed_by → herakles (『ヘラクレス』999-1000 一本の矢で妻と子を射倒す。ヒュギヌス32。アポロドーロス2.4.12・2.6.1 では殺されず、のちにイオラオスに嫁ぐ)
メレアグロス
- 殺した母の兄弟の名も出典で違う。バッキュリデスではイピクロスとアパレス(クレテス人との戦闘中に、狙ったのではなく乱戦で)。オウィディウスではプレクシッポスとトクセウスで、アタランテから皮を奪ったことに怒って刺す。ヒュギヌスはイデウス、プレクシッポス、リュンケウスの名を挙げる。アタランテをめぐる争いに変わるのは後代の形で、ホメロスとバッキュリデスには恋の要素が無い。 (バッキュリデス 5.125-135 / Met. 8.425-444 / 『神話伝説集』174 / 1.8.2-3)
- 嘆く姉妹は鳥になった。オウィディウスでは、ゴルゲとデイアネイラを除く姉妹をアルテミスが鳥に変える。ヒュギヌスはその鳥を「メレアグリデス(ホロホロチョウ)」と呼ぶ。大プリニウスは、ボイオティアにいるメレアグリデスはアフリカ産の雌鶏の一種で、メレアグロスの墓がこの鳥を有名にしたと書き、ソポクレスが琥珀を「メレアグロスを悼む鳥の涙からできる」と詠んだことを、あり得ない話として批判している。 (Met. 8.533-546 / 『神話伝説集』174 / 『博物誌』10.74, 37.40 / 1.8.3(嘆いた女たちが鳥に)。語源記事 etymologies/meleagris も参照)
ミダス
- ヒュギヌスでは、アポロンと笛で競ったのはマルシュアス(あるいはパン)で、トモロスがアポロンの勝ちとしたのに、ミダスはマルシュアスに勝たせるべきだったと言い、アポロンに「判定の心に見合った耳を持て」とロバの耳にされる。黄金の願いの話も同じ章に続く。 (191(ToposText 掲載の Grant 英訳で確認))
パルナッソス山
- 関係: visited_by → python (140 アポロン以前にパルナッソスで神託を告げ、レトを追いあぐねてここへ戻る)
オイネウス
- 葡萄酒の王: アポロドーロスは、オイネウスがディオニュソスから最初に葡萄の木を授かったとする。ヒュギヌスはさらに踏み込み、客として来たディオニュソスがアルタイアに恋したことに気づいたオイネウスが、祭儀を口実に自ら町を離れ、その礼として神は葡萄の木を贈り、その実を主人の名にちなんで oinos(葡萄酒)と呼ぶよう定めた、と語る。このときの子がデイアネイラだという。 (1.8.1 / 『神話伝説集』129。名と oinos の関係はヒュギヌスの説明で、言語学的な語源の確認ではない)
- 関係: spouse → althaea (1.8.1 / 『神話伝説集』129)
- 関係: received_gift → dionysus (1.8.1 ディオニュソスから最初に葡萄の木を授かる / 129)
- 関係: participated_in → calydonian-boar-hunt (1.8.2 全ギリシャから英雄を呼び集め、9日間もてなす / 172-173A)
パリス
- ヘカベが「燃える松明を産む」夢を見たため、生まれてすぐイダ山に捨てられたが、羊飼いに拾われて育ち、のちに競技会で実の兄弟に勝って素性が知れる。『イリアス』にこの出生譚は無い。 (アポロドーロス 3.12.5、ヒュギヌス 91)
パシパエ
- アポロドーロスとヒュギヌスでは、父は太陽神ヘリオス、母はペルセイス(ヒュギヌスではペルサ)。キルケ、アイエテス、ペルセスと兄弟姉妹になる。 (アポロドーロス1.9.1、3.1.2。ヒュギヌス『神話集』序文)
- ディオドロスは、ヘラクレスが功業として生け捕りにしたクレタの牡牛を「パシパエが恋したと言われる牛」とする。アポロドーロスは、その牛をエウロペを運んだ牛とする説と、ポセイドンが海から送った牛とする説を併記する。ヒュギヌスも、ヘラクレスが「パシパエが交わった牡牛」をクレタから生け捕りにしてミュケナイへ連れてきたと記す。 (ディオドロス4.13.4、アポロドーロス2.5.7、ヒュギヌス30)
- 関係: child → helios (アポロドーロス1.9.1・3.1.2(母はペルセイス)、ヒュギヌス序文(ソルとペルサの子)、ディオドロス4.60.4(母はクレテ))
- 関係: sibling → circe (アポロドーロス1.9.1、ヒュギヌス序文)
ペンテウス
- 関係: child → agave (『バッコスの信女』507, 1118-1119 / 3.5.2 / Met. 3.725 / 『神話伝説集』184)
- 関係: killed_by → agave (『バッコスの信女』1114-1147 / 3.5.2 / Met. 3.710-731 / 184)
パイドラ
- ヒュギヌスも、拒まれたパイドラが夫に偽りを訴えて首を吊り、テセウスがネプトゥヌスに息子の死を願う、という形で要約する。 (47)
ピロメラ
- ラテン語の伝えでは、ピロメラがナイチンゲールになる。ヒュギヌスは、ピロメラはナイチンゲール、プロクネはツバメ、テレウスはタカになったとする。英語の詩語 Philomel(1570年代〜)がナイチンゲールを指すのも、この組み合わせと一致する。 (ヒュギヌス 45。etymonline「philomel」)
プリクソス
- ヒュギヌスの『神話集』では、プリクソスが自分で毛皮をマルス(アレス)の神殿に納めた。『天文譜』では、雄羊が自分で金の毛皮を脱いで記念にプリクソスに与えた、という説まで伝える。 (『神話集』3、『天文譜』2.20(Aries))
- 関係: child → athamas (アポロドーロス 1.9.1、ヒュギヌス 3)
- 関係: sibling → helle (アポロドーロス 1.9.1、ヒュギヌス 3)
- 関係: enemy → ino-leucothea (継母。アポロドーロス 1.9.1、ヒュギヌス 2、ピンダロス『ピュティア祝勝歌』4.161-162「継母の不敬な刃」)
- 関係: owner → golden-fleece (アポロドーロス 1.9.1 雄羊をゼウス・ピュクシオスに捧げ、毛皮をアイエテスに贈る。ヒュギヌス 3 はマルスの神殿に納めたとする)
ポリュネイケス
- アルゴスでの結婚: 追放されたポリュネイケスは、ハルモニアの首飾りと衣を持ってアルゴスに来た。夜、アドラストスの館の門前でカリュドンから亡命してきたテュデウスと争っていると、アドラストスは「娘たちを猪と獅子に嫁がせよ」という予言を思い出し、二人を婿にした。アポロドーロスでは盾の猪と獅子の前半身、エウリピデスでは取っ組み合う様子、ヒュギヌスでは身にまとった獅子と猪の皮が、予言の猪と獅子にあたる。 (3.6.1 /『フェニキアの女たち』408-423 / 『神話伝説集』69)
プロクネ
- ラテン語の伝えでは逆になる。ヒュギヌスは、プロクネはツバメ、ピロメラはナイチンゲール、テレウスはタカに変わったとする。英語の詩語「フィロメル」がナイチンゲールを指すのも、この組み合わせと一致する。 (ヒュギヌス 45。etymonline「philomel」(1570年代〜、詩語でナイチンゲール))
プロテシラオス
- 残された妻ラオダメイアの話が後代に膨らむ。ヒュギヌスでは、神々に願って夫を三時間だけ冥界から返してもらい、夫が去るときに後を追って死ぬ。夫の蝋像を作って抱いていたという話も伝わる。 (103-104)
- 名前は「最初に(プロートス)」と「民(ラオス)」の組み合わせと読め、その運命とぴったり合う。ヒュギヌスは、もとの名はイオラオスで、最初に船から跳び降りて最初に死んだためにプロテシラオスと呼ばれるようになったと明言する。名前が物語から作られた可能性を、古代の資料の側が示している例。 (ヒュギヌス 103)
ピュトン
- ヒュギヌスでは、アポロンはピュトンの骨を大釜(コルティナ)に納めて神殿に置き、弔いの競技を開いた。これがピュティア祭だという。 (140)
- ヒュギヌスでは、ピュトンは大地の子の巨大な竜で、アポロン以前にパルナッソスで神託を告げていた。レトの子に殺される運命を知って身ごもったレトを追うが、北風がレトをネプトゥヌス(ポセイドン)のもとへ運び、ネプトゥヌスはオルテュギア島を波で覆って隠した。島はのちに浮かび上がってデロス島となり、レトはオリーブの木にすがってアポロンとディアナ(アルテミス)を産む。アポロンは生まれて4日目にピュトンを射殺した。 (140)
- 関係: killed_by → apollo (『アポロン讃歌』357-374、『変身物語』1.441-444、『神話集』140、アポロドーロス1.4.1)
- 関係: child → gaia (ヒュギヌス序文・140「大地の子」、『変身物語』1.434-440 大地が産む)
- 関係: enemy → leto (140 身ごもったレトを殺そうと追う)
スキュラ
- ホメロスでは母をクラタイイスとするのみで父に触れない。後代の資料では親の組み合わせが一定しない。アポロニオスは「夜をさまようヘカテ、人がクラタイイスと呼ぶ者」がポルキュスに産んだとし、アポロドーロスはクラタイイスあるいはトリエノスとポルコスの娘とする。ヒュギヌスはテュポンとエキドナの子の一人に数える。 (『オデュッセイア』12.124-125(クラタイイスを呼べ、それがスキュラの母だ)を本文で確認。アポロニオス『アルゴナウティカ』4.825-829、アポロドーロス摘要7.20、ヒュギヌス151(テュポンとエキドナの子の列挙にスキュラ)。アポロニオスの箇所は theoi.com の引用で確認)
テーバイ攻めの七将
- ネメア競技祭の起源: アポロドーロスによれば、七将は進軍の途中ネメアで水を求め、乳母ヒュプシピュレが泉へ案内するあいだに、預けられていた赤子オペルテスが蛇に殺された。アンピアラオスはこれを未来の凶兆と読み、赤子をアルケモロス(「破滅の始まり」)と呼んで、将たちは彼のためにネメア競技を始めた。競走ではアドラストスが馬、テュデウスが拳闘、ポリュネイケスがレスリング、パルテノパイオスが弓で勝った。 (3.6.4 / 『神話伝説集』74。「アルケモロス」の語義は名の構成(archē「始まり」+ moros「破滅」)による説明)
ステュンパロスの鳥
- ヒュギヌスでは、アルゴ船の一行がディアの島で、羽根を矢のように放つ鳥に襲われ、ピネウスの助言に従って盾と槍の音で追い払う。この章の題が「ステュンパリデス(ステュンパロスの鳥)」。ヘラクレスの功業の章でも、彼はアレスの島で、羽根を矢として放つステュンパロスの鳥を射殺したとされる。 (20、30(ToposText 所収のグラント英訳))
- 関係: killed_by → herakles (アポロドーロス2.5.6 鳴り物で飛び立たせて射落とす。ヒュギヌス30 アレスの島で射殺す。パウサニアス8.22.4 ペイサンドロスは殺さず追い払っただけとする。ディオドロス4.13.2 も追い払う)
- 関係: enemy → argonauts (『アルゴナウティカ』2.1030-1089(アレスの島の鳥)、ヒュギヌス20「ステュンパリデス」)
タンタロス
- 関係: child → zeus (ヒュギヌス 82「ユピテルとプルトの子タンタロス」、同 155(ユピテルの子の一覧)。アポロドーロス摘要 2.1 はタンタロスの罰だけを述べ、親には触れない)
テレウス
- ヒュギヌスでは、テレウスはタカ(accipiter)になる。追う者が猛禽になるという組み合わせ。 (45)
三叉の槍(トライデント)
- ヒュギヌスでは、水を探しに出たダナオスの娘アミュモネがサテュロスに襲われ、ネプトゥヌスに救われる。神が投げた三叉の槍が岩に刺さり、アミュモネが引き抜くと三筋の水が湧いて、アミュモネの泉(レルネの泉)となった。アポロドーロスは、ポセイドンがアミュモネにレルネの泉を教えたとだけ書く。 (ヒュギヌス『神話集』169、169A、アポロドーロス2.1.4)
トロイアの木馬
- 造ったのはエペイオスという職人で、アテナ(ミネルウァ)の助言によるとされる。考案したのはオデュッセウスである、と役割を分けて書くのはアポロドーロス。ヒュギヌスは馬に「ギリシャ人がミネルウァに捧げる」という奉納の銘が刻まれていたと伝える。 (『オデュッセイア』8.493、アポロドーロス摘要 5.14、ヒュギヌス 108)
テュデウス
- 故郷を追われた理由は出典で割れる。アポロドーロスが並べるのは、(1)オイネウスの兄弟アルカトオスを殺した、(2)叙事詩『アルクマイオニス』の作者によれば、オイネウスに陰謀を企てたメラスの息子たち8人を殺した、(3)ペレキュデスによれば、自分の兄弟オレニアスを殺した。ヒュギヌスは、狩りの最中に兄弟メナリッポスを殺したとする。いずれにしてもアグリオスに訴えられてアルゴスへ逃げた。 (1.8.5 / 『神話伝説集』69)
- 猪と獅子: アドラストスは「娘たちを猪と獅子に嫁がせよ」という予言を受けていた。アポロドーロスでは、テュデウスの盾に猪の前半身が描かれていたため、ヒュギヌスでは、テュデウスが「カリュドンの猪を思い出させるため」に猪の皮をまとっていたため、彼が「猪」にあたった。カリュドンの猪狩りとテーバイ攻めが、この一頭の猪でつながる。 (3.6.1 / 『神話伝説集』69)
ペレウスとテティスの婚礼
- エリスだけが招かれなかった、という筋はヒュギヌスで明確になる。閉め出されたエリスが戸口から林檎を投げ入れ、最も美しい者が取るようにと言い放つ。 (92)
- 関係: participant → eris (『キュプリア』要約、ヒュギヌス 92。招かれずに争いを起こす)
- 関係: participated_in → judgment-of-paris (92 この婚礼での争いが審判に繋がる)