出典 · 古拙期(ヘシオドス・叙事詩圏)
ホメロス風讃歌
作者不詳 · 前7〜6世紀頃 · Homeric Hymns
デメテル讃歌・アポロン讃歌・ヘルメス讃歌・アプロディテ讃歌など。讃歌ごとに成立年代が異なる。
日本語訳: 沓掛良彦訳、ちくま学芸文庫、2004 · 原文・参考リンク ↗
この出典が語っていること
アイネイアス
- 名の由来は「恐ろしい悲しみ(アイノン・アコス)」と説明される。ホメロス風讃歌でアプロディテが、人間と交わった自分の悲しみゆえにこの名を付けると語る。 (讃歌5(アプロディテ)196-199)
- 関係: child → aphrodite (『イリアス』2.819-821、ホメロス風讃歌5(アプロディテ讃歌)全体)
- 関係: participated_in → mount-ida (讃歌5でアプロディテがイダ山でアンキセスと交わり、この子を産む)
アンブロシアとネクタル
- 『デメテル讃歌』では、デメテルがエレウシス王の子デモポンを育て、昼はアンブロシアを塗り、夜は火の中に隠して不老不死にしようとしたが、母メタネイラがそれを見て叫んだため果たせなかった。 (『デメテル讃歌』231-262)
アンピトリテ
- 『アポロン讃歌』では、デロス島でアポロンを産もうとするレトのもとに、ディオネ、レア、テミス、「うめく海の」アンピトリテなど主だった女神たちが集まって付き添う。 (『アポロン讃歌』89-95)
- 関係: companion → leto (『アポロン讃歌』92-95 デロスでのレトのお産に付き添った女神の一人)
アンキセス
- ホメロス風讃歌第5番の主題。アプロディテがゼウスの仕組みで人間に恋させられ、人間の娘を装ってイダ山のアンキセスと交わる。神が人間に屈する話として語られる。 (讃歌5(アプロディテ)45-291)
- 正体を明かしたアプロディテは、この交わりを人前で誇れば必ずゼウスの雷に打たれると警告する。讃歌は警告までで終わり、罰は語られない。 (讃歌5(アプロディテ)286-290)
- アプロディテは嫁いでいない娘の背丈と姿でアンキセスの前に立ち、自分は神ではなく、フリュギアを治めるオトレウスの娘で、ヘルメスにさらわれて彼の妻となるよう連れてこられたと偽った。 (5.81-142)
- 夕方、アプロディテはアンキセスを眠らせ、本来の姿に戻って起こした。恐れるアンキセスに、息子アイネイアスが生まれてトロイアを治め子孫が続くこと、ニンフに育てさせること、交わりを誇ればゼウスの雷に打たれることを告げた。 (5.168-290)
- 関係: lover → aphrodite (讃歌5(アプロディテ)53-291)
- 関係: participated_in → mount-ida (讃歌5 53-80 牛の群れとともにイダ山にいるところをアプロディテが訪れる)
アプロディテ
- ゼウスによって人間アンキセスへの欲望を植え付けられ、イデ山で交わってアイネイアスを産む。讃歌では、女神が人間に恋させられる屈辱として語られる。 (『アプロディテ讃歌』5.45-52(ゼウスの意図)、5.191-201(アイネイアスの誕生予言))
- アテナ、アルテミス、ヘスティアの三女神にだけは力が及ばない、と『アプロディテ讃歌』は言う。 (『アプロディテ讃歌』5.7-32)
- アンキセスの前には、男を知らない乙女の姿で現れ、プリュギア王オトレウスの娘だと名乗る。事のあと正体を明かし、女神と交わったと人に言えばゼウスの雷に打たれる、と口止めする。 (『アプロディテ讃歌』5.81-83(乙女の姿)、5.111-112(オトレウスの娘)、5.172-180(正体)、5.286-290(口止め))
- 関係: lover → anchises (『アプロディテ讃歌』5.45-291)
- 関係: parent → aeneas (『アプロディテ讃歌』5.191-201(名の由来を含む予言)。『イリアス』5.311-317 では戦場で息子を救おうとする)
アポロン
- 身重のレトはどの土地にも受け入れを拒まれ、岩だらけの小島デロスだけが「神殿を建てる」という誓いと引き換えに受け入れた。レトは九日九夜苦しんだ末に棕櫚の木に寄りかかって産んだ。 (『アポロン讃歌』3.30-114(土地探し)、3.115-125(出産))
- デルポイの泉で暴れていた大蛇(讃歌では雌)を矢で射殺した。その死骸が太陽に「腐った(πύθειν)」ことから土地はピュトーと呼ばれ、神もピュティオスと呼ばれる、と讃歌自身が説明する。 (『アポロン讃歌』3.300-374。地名の由来説明は 3.363-374)
- 関係: child → leto (『神統記』918-920。『アポロン讃歌』3.115-125 でデロス島に生まれる)
- 関係: sibling → hermes (『ヘルメス讃歌』第4歌。牛を盗まれ、竪琴と引き換えに和解する)
- 関係: suitor → hestia (『アプロディテ讃歌』5.22-28。ポセイドンと共に求婚したが断られた)
アルテミス
- ゼウスとレトの娘で、アポロンの双子。アポロドーロスは、レトがデロスでまずアルテミスを産み、その助けを得てアポロンを産んだとする。『アポロン讃歌』は、アルテミスはオルテュギアで、アポロンはデロスで生まれたと歌う。 (『神統記』918-920。アポロドーロス 1.4.1(産んだ順と場所))
- アプロディテの力が及ばない三女神(アテナ、アルテミス、ヘスティア)の一人。弓と山での狩りを愛し、結婚を望まないと讃歌は言う。 (『アプロディテ讃歌』5.7-20)
- 『ホメロス風讃歌』第27歌では、山々で狩りを終えたアルテミスが弓をゆるめてデルポイのアポロンの館へ行き、弓矢を掛けてムーサたちとカリスたちの踊りを率いる。一同はレトが産んだ子らをたたえて歌う。 (第27歌『アルテミス讃歌』1-20)
- 関係: enemy → aphrodite (『アプロディテ讃歌』5.16-20。アプロディテが心を動かせない三女神の一人)
アスクレピオス
- 『ホメロス風讃歌』の短い「アスクレピオス讃歌」は、彼を病を癒やすアポロンの子とし、ドティオンの野でプレギュアス王の娘コロニスが産んだとする。 (16(アスクレピオス讃歌)1-4)
- 関係: child → apollo (『アスクレピオス讃歌』(16)1-4。ピンダロス『ピュティア祝勝歌』3.8-46。アポロドロス 3.10.3)
カドゥケウス
- 『ヘルメス讃歌』では、ヘルメスが竪琴をアポロンに与えて和解し、アポロンは友情の誓いとともに「富と豊かさの、黄金の、三つ枝の見事な杖」をヘルメスに贈る。この杖は持ち主を害から守り、言葉と行いの務めを果たさせる。讃歌の杖に蛇の描写はない。 (『ヘルメス讃歌』490-510、526-532)
- 関係: owned_by → hermes (『ヘルメス讃歌』529-532、『イリアス』24.343、『オデュッセイア』5.47、24.2-5)
カリオペ
- 『ホメロス風讃歌』のヘリオス讃歌は「ゼウスの娘ムーサよ、カリオペよ、輝くヘリオスを讃えることから始めよ」と、名を挙げて一柱のムーサに呼びかける。ホメロスの名のない「ムーサ」とは違い、九柱の中の特定の一人に語りを頼んでいる。 (31番(ヘリオス讃歌)1-2)
カストル
- ふたご座の二つの明るい星のうち、α星がカストル、β星がポルックス(ポリュデウケス)と呼ばれる。航海の守護は古く、『ホメロス讃歌』33 は嵐の海で船乗りが二人を呼ぶと、翼で翔け下りて風と波を鎮めると歌う。プリニウスは帆桁に灯る火を二つ見えれば吉、一つなら凶とし、二つのそれを「カストルとポルックス」と呼ぶと記す。のちの聖エルモの火にあたる。 (『ホメロス讃歌』33.6-17 / プリニウス『博物誌』2.101 / etymonline の Castor・Pollux の項(α星・β星の名))
デロス島
- 「アポロン讃歌」は、レトがアルテミスをオルテュギアで、アポロンを岩がちのデロスで産んだと歌い始める。 (14-18)
- レトは子を産む場所を求めて多くの土地を訪ねたが、どこも生まれる神を恐れて受け入れなかった。デロスは、自分は岩ばかりの痩せた土地なので、生まれた神が嫌って海へ蹴り落とすのではないかと恐れ、まずここに神殿を建てるという誓いを求めた。レトは大地・天・ステュクスの水にかけて誓った。 (30-88)
- お産は九日九夜に及んだ。出産の女神エイレイテュイアがヘラに引き止められていたためで、女神たちがイリスを使いに出して呼び寄せ、エイレイテュイアが島に着くと、レトはヤシの木に腕を回してアポロンを産んだ。 (89-126)
- ゼウスとレトの子を見て、デロスは喜びのあまり全島が金に覆われ、山の頂が森の花で咲くように輝いた。 (133-139)
- アポロンは多くの神殿を持つが、最もデロスで心を楽しませる。長い衣のイオニア人が子や妻を連れて集まり、拳闘・踊り・歌で神をたたえた。デロスの娘たちは昔の男女の物語を歌って人々を魅了した。 (146-164)
- 讃歌の語り手は、自分を「岩がちのキオスに住む盲目の男」と呼び、デロスの娘たちに自分の名を伝えるよう頼む。 (165-173)
- 関係: owned_by → apollo (「アポロン讃歌」14-18、51-88、146-164)
- 関係: visited_by → leto (30-126)
- 関係: visited_by → eileithyia (97-116)
デルポイ
- 『アポロン讃歌』では、アポロンが雪をいただくパルナッソスのふもと、崖の下の谷を選び、人間のための神託所を開くと宣言する。神が土台を敷き、トロポニオスとアガメデスの兄弟が石の床を据え、人々が神殿を築いた。 (『アポロン讃歌』281-299)
- 同じ讃歌で、アポロンは泉のそばの雌の大蛇を射殺し、骸が太陽の力で腐ったことから、土地はピュト、神はピュティオスと呼ばれるようになったと説明される。讃歌の大蛇には名がない。 (『アポロン讃歌』300-374)
- アポロンはイルカの姿でクレタの商船に乗り移り、船をデルポイの港クリサへ導いて、乗組員を神殿の仕え手にした。イルカの姿にちなんで「デルピニオスのアポロン」として祈るよう命じる。 (『アポロン讃歌』388-501、526-544)
- 関係: owned_by → apollo (『アポロン讃歌』285-299 アポロンがここに神殿を建てると決め、土台を敷く)
デメテル
- ペルセポネが野で水仙を摘もうとしたとき大地が裂け、ハデスが黄金の車で攫った。仕掛けたのはゼウスとガイアで、デメテルには知らされていない。 (『デメテル讃歌』2.1-32。ゼウスの同意は 2.2-3, 2.77-79)
- 娘を返さないゼウスへの抗議として大地に種を実らせず、「人類が飢えて滅び、神々が供物を失う」ところまで追い込んだ。神を動かしたのは力ではなく、供犠の途絶という脅し。 (『デメテル讃歌』2.305-313)
- エレウシスで乳母となり、王子デモポオンを夜ごと火に浸して不死の者にしようとしたが、母に見られて中断した。人間が不死になり損ねた話として語られる。 (『デメテル讃歌』2.231-274)
- 和解の後、エレウシスの王たちに秘儀を教えた。讃歌は「見た者は幸いであり、見ない者は死後に同じ運びを得ない」と述べ、内容そのものは明かさない。 (『デメテル讃歌』2.470-483。幸福の宣言は 2.480-482)
- 娘の悲鳴を聞いたデメテルは、9日間松明を持って地上をさまよい、飲み食いも沐浴もしなかった。10日目にヘカテが来て、二人でヘリオスのもとへ行く。 (『デメテル讃歌』2.38-63)
- エレウシスの王ケレオスの館で、悲しみから口をきかず笑わなかったデメテルを、侍女イアンベが冗談で笑わせた。デメテルは赤い葡萄酒を断り、大麦と水とミントの飲み物を求めた。 (『デメテル讃歌』2.184-211)
- ハデスはペルセポネを帰す前にザクロの種をこっそり食べさせた。そのため娘は毎年季節の三分の一を冥界で、三分の二を母と神々のもとで過ごす。讃歌は「三分の一」とする。 (『デメテル讃歌』2.370-374、2.393-403、2.411-413、2.445-447、2.463-465)
- 関係: parent → persephone (『神統記』912-914。『デメテル讃歌』全編)
- 関係: enemy → hades (『デメテル讃歌』2.1-89。娘を奪われた相手)
- 関係: companion → helios (『デメテル讃歌』2.62-89。すべてを見るヘリオスだけが誘拐の真相を教える)
- 関係: companion → iris (『デメテル讃歌』2.314-324。ゼウスがまずイリスを遣わすが、デメテルは応じない)
- 関係: companion → hermes (『デメテル讃歌』2.334-385)
ディオニュソス
- 海賊に攫われた美しい若者が船上で葡萄の蔓と葡萄酒を溢れさせ、獅子に変じ、海賊たちはイルカに変えられる。『ディオニュソス讃歌』(第7歌)の全編がこの話。 (『ディオニュソス讃歌』7.1-59)
エイレイテュイア
- 『アポロン讃歌』では、レトは九日九夜陣痛に苦しむが、エイレイテュイアだけがそれを知らなかった。ヘラが嫉妬からオリュンポスの金の雲の下に引き留めていたから。女神たちは首飾りを約束してイリスを使いに出し、エイレイテュイアがデロスに足を踏み入れたとたん、レトは椰子の木にすがってアポロンを産んだ。 (『アポロン讃歌』89-119)
- 関係: visited → leto (『アポロン讃歌』97-119 ヘラに引き留められていたが、イリスに呼ばれてデロスへ行き、到着と同時にアポロンが生まれる)
エレウシス
- デメテルはエレウシスの王ケレオスの館に迎えられ、侍女の冗談でようやく笑った。王妃の子の乳母となり、夜ごと火に置いて不死にしようとしたが、見つかって中断され、正体を明かした。アポロドーロスでは、女たちがテスモポリアの祭りで冗談を言い合うのはこのためとされる。 (「デメテル讃歌」184-274、アポロドーロス1.5.1)
- 正体を明かしたデメテルは、民に大きな神殿と祭壇を建てるよう命じ、自分の儀式をみずから教えると告げた。神殿が建つと女神はそこにこもって娘を思い嘆き、種を地中に隠したので、その年は何も実らず人間は飢えに苦しんだ。 (270-274、292-313)
- 娘と再会したデメテルは、エレウシスの王たちに儀式の執り行い方を示して秘儀を教えた。讃歌は「これを見た地上の人は幸いである。秘儀にあずからない者は、死んだあと同じ幸いを受けない」と述べ、中身は明かさない。 (470-482)
- 関係: owned_by → demeter (讃歌270-274 神殿、473-482 秘儀)
- 関係: visited_by → persephone (讃歌)
エオス
- エオスはトロイアの王子ティトノスをさらい、ゼウスに頼んで不死にしてもらったが、若さを願い忘れた。ティトノスは老いて動けなくなり、エオスは彼を部屋に閉じ込め、声だけがいつまでも続いた。『アプロディテ讃歌』でアプロディテが、アンキセスを不死にしない理由として語る。 (5(アプロディテ讃歌)218-238)
- 関係: child → hyperion (『神統記』371-374。『ヘリオス讃歌』(31)4-7)
- 関係: spouse → tithonus (『イリアス』11.1-2「高貴なティトノスの傍らの床から」。『アプロディテ讃歌』(5)218-238)
- 関係: abducted → tithonus (『アプロディテ讃歌』(5)218「黄金の玉座のエオスがティトノスをさらった」)
ガニュメデス
- ゼウスは代償として、父トロスに不死の名馬を与えた。この馬がトロイア王家の名馬の由来とされ、後にラオメドンがヘラクレスに約束して惜しむ馬にもつながる。 (『イリアス』5.265-273、ホメロス風讃歌5(アプロディテ)202-217)
- 『アプロディテ讃歌』では、父トロスは息子を神の旋風がどこへさらったのか分からず嘆き続けたが、ゼウスが哀れんで代償に不死の神々を運ぶ馬を贈り、ヘルメスに、息子は不死で不老になったと伝えさせる。父はもう嘆かず、喜んでその馬を駆った。 (5.202-217)
ハデス
- ゼウスの同意を得て、水仙を摘むペルセポネを大地の裂け目から現れた黄金の車で攫った。讃歌では終始「アイドネウス」「地下に多くを受け入れる者」と呼ばれる。 (『デメテル讃歌』2.1-32, 2.16-20)
- 返還を命じられた際、ペルセポネにひそかに甘いザクロの種を食べさせた。これによって彼女は一年の一部を必ず冥界で過ごすことになる。 (『デメテル讃歌』2.370-374)
- ゼウスの命でヘルメスが迎えに来ると、ハデスは眉だけで笑って逆らわず、ペルセポネに、自分はゼウスの兄弟でふさわしくない夫ではない、ここでは生きるものすべてを治め最大の誉れを得る、と告げて送り出す。そのうえでザクロの種を食べさせる。ヘリオスも先にデメテルへ、ハデスは恥ずかしくない婿だと語っている。 (『デメテル讃歌』2.82-87(ヘリオス)、2.334-369(ヘルメスとハデスの言葉))
- 関係: abducted → persephone (『デメテル讃歌』2.1-32。ゼウスの同意のもとで攫った)
- 関係: enemy → demeter (『デメテル讃歌』2.1-89)
ヘカテ
- 『デメテル讃歌』では、ペルセポネが連れ去られるときの叫びを洞窟の中で聞いたのは、ペルセスの娘ヘカテとヘリオスだけだった。十日目の朝、ヘカテは松明を手にデメテルに会い、声は聞いたが姿は見なかったと告げ、ともにヘリオスのもとへ行く。 (2(デメテル讃歌)24-25, 52-63)
- ペルセポネが冥界から戻ると、ヘカテは彼女を何度も抱きしめ、それ以来ペルセポネの従者であり伴侶となった。冥界と行き来する女神としてのヘカテの原型がここにある。 (2(デメテル讃歌)438-440)
- 関係: companion → persephone (2(デメテル讃歌)438-440 ペルセポネが戻ってからは、その従者であり伴侶となる)
- 関係: companion → demeter (2(デメテル讃歌)52-63 松明を持ってデメテルに会い、ともにヘリオスのもとへ行く)
ヘリオス
- ペルセポネの行方を九日探し回ったデメテルに、「攫ったのはゼウスの兄弟アイドネウスで、ゼウスが許したことだ」と教える。神々の中で唯一の目撃者。 (『デメテル讃歌』2.62-89)
- 関係: companion → demeter (『デメテル讃歌』2.62-89。誘拐の一部始終を見ていた唯一の神として真相を明かす)
- 関係: companion → persephone (『デメテル讃歌』2.24-27。悲鳴を聞いたのはヘカテとヘリオスだけだった)
ヘラ
- 関係: enemy → leto (『アポロン讃歌』3.97-114。出産の女神エイレイテュイアを引き止めてレトの出産を妨げた)
ヘルメス
- アルカディアのキュレネ山の洞窟でマイアが産んだ。讃歌は「夜明けに生まれ、昼には竪琴を弾き、夕にはアポロンの牛を盗んだ」と一日の出来事にまとめる。 (『ヘルメス讃歌』4.1-20)
- 洞窟の入口で出会った亀を捕らえ、甲羅に葦と牛の皮と羊の腸を張って竪琴(リュラ)を作った。最初の弦楽器の発明とされる。 (『ヘルメス讃歌』4.20-61)
- アポロンの牛五十頭を盗み、蹄の跡が逆向きになるように歩かせ、自分は枝で編んだ履物を履いて足跡を消した。赤子でありながら周到な盗人として描かれる。 (『ヘルメス讃歌』4.68-95)
- ゼウスの前での裁きを経て、アポロンに竪琴を譲り渡し、その代わりに牛の群れと牧杖を得た。竪琴がアポロンの楽器になるのはこの交換による。 (『ヘルメス讃歌』4.320-395(裁き)、4.415-510(交換))
- 讃歌の末尾で、ゼウスはヘルメスを不死の神々のうちハデスへの唯一の使者と定める。冥界へ行き来できる神という役目がここで確立する。 (『ヘルメス讃歌』4.515-573)
- アポロンに牛泥棒を責められると、赤子のヘルメスは「昨日生まれたばかりで、足はやわらかく地面は固い」と言い逃れる。ゼウスはこの否認を見て声をあげて笑う。 (『ヘルメス讃歌』260-275、389-390)
- 盗んだ牛のうち2頭を屠って肉を12に分けて供え、夜明け前に鍵穴を霧のようにすり抜けてゆりかごに戻る。 (『ヘルメス讃歌』115-150)
- 竪琴と引き換えに、アポロンから牛の番人の役目と、三つ叉の黄金の杖を与えられる。 (『ヘルメス讃歌』496-500、529-530)
- 関係: child → zeus (『神統記』938-939。『ヘルメス讃歌』4.1-9 でアトラスの娘マイアとの子)
- 関係: sibling → apollo (『ヘルメス讃歌』4.68-95(牛を盗む)、4.415-510(竪琴と引き換えに和解))
- 関係: companion → persephone (『デメテル讃歌』2.334-385。ゼウスの命でハデスのもとへ迎えに行く)
ヘスティア
- 「最も年長であり最も年少でもある」という言い方は『アプロディテ讃歌』の冒頭にある。ヘシオドスは吐き出される順序を書いていないが、讃歌は「クロノスが最初に生み、またゼウスの計らいによって最も年少にも生んだヘスティア」と呼ぶ。最初に呑み込まれ最後に吐き出されたという説明は、この一行を筋立てたものとして読める。 (『アプロディテ讃歌』第5歌 22-23「Ἱστίῃ, ἣν πρώτην τέκετο Κρόνος ἀγκυλομήτης, αὖτις δ᾽ ὁπλοτάτην, βουλῇ Διὸς αἰγιόχοιο」。『神統記』492-500 では石が最初に出たとだけ書かれ、子らの順序は示されない)
- ポセイドンとアポロンに求婚されたが断り、ゼウスの頭に手を触れて永遠に処女であると誓った。その代償にゼウスは、結婚の代わりに家の中央の座と、人間からの最上の供物を与えた。 (『アプロディテ讃歌』5.21-32)
- 「あなたなしに人間は宴を開かず、そこでは最初と最後に、ヘスティアに甘い葡萄酒を注ぐ」と讃歌(第29歌)は言う。あらゆる祭祀はヘスティアに始まりヘスティアに終わる。 (『ヘスティア讃歌』第29歌 1-6。第24歌も短い讃歌)
- 関係: courted_by → poseidon (『アプロディテ讃歌』5.22-28。求婚を断り、ゼウスの頭に触れて永遠の処女を誓った)
- 関係: courted_by → apollo (『アプロディテ讃歌』5.22-28)
- 関係: enemy → aphrodite (『アプロディテ讃歌』5.21-32。アプロディテの力が及ばない三女神の一人)
ホーラ
- 『ホメロス風讃歌』6番では、西風がアプロディテを柔らかな泡に包んで波の上をキュプロスへ運んでくると、金の髪飾りのホーライが迎えて神々しい衣を着せ、金の冠や首飾りで飾り立ててから、神々のもとへ送り出す。 (6番(アプロディテ讃歌)5-18)
- 関係: gave_gift → aphrodite (『ホメロス風讃歌』6番 5-13 海から上がったアプロディテに神々しい衣と金の飾りを着せる)
ヒュペリオン
- 『ホメロス風讃歌』の「ヘリオス讃歌」では、ヒュペリオンが自分の姉妹エウリュパエッサ(「広く輝く者」)を娶ってエオス・セレネ・ヘリオスをもうけたとされ、母の名がヘシオドスと違う。 (31(ヘリオス讃歌)1-7)
- 『デメテル讃歌』でも、ペルセポネの叫びを聞いたのは「ヒュペリオンの輝く子」ヘリオスだったとされ、父の名でヘリオスを指す呼び方が続いている。 (2(デメテル讃歌)24-26)
- 関係: parent → helios (『神統記』371-374。『ヘリオス讃歌』(31)1-7)
- 関係: parent → selene (『神統記』371-374。『ヘリオス讃歌』(31)1-7)
- 関係: parent → eos (『神統記』371-374。『ヘリオス讃歌』(31)1-7)
イリス
- 関係: companion → demeter (『デメテル讃歌』2.314-324。ゼウスが最初に遣わすが、デメテルは動かない)
レト
- 出産の場所を求めて多くの土地を訪ねたが、生まれる神の恐ろしさを恐れてどこにも断られた。岩だらけで痩せたデロス島だけが、「必ずここに神殿を建てる」という誓いと引き換えに受け入れた。 (『アポロン讃歌』3.30-88(土地の列挙とデロスとの交渉)、3.83-88(誓い))
- 九日九夜苦しんだ。出産の女神エイレイテュイアがヘラに引き止められて来られなかったためで、イリスが使いに出て虹の女神の説得で事態が動く。棕櫚の木に寄りかかって産んだ。 (『アポロン讃歌』3.89-114(エイレイテュイア)、3.115-125(出産))
- デロス島は、生まれる神が傲慢で、痩せた岩の島など足で海へ蹴り落とすのではないかと恐れ、最初の神殿をここに建てるという大いなる誓いをレトに求めた。レトは大地・天・ステュクスの水にかけて誓った。 (『アポロン讃歌』62-88)
- 讃歌の冒頭で、弓を引いてゼウスの館に入るアポロンに神々が皆震えて立ち上がる中、レトだけがゼウスのそばに残り、息子の弓の弦をゆるめ矢筒を閉じて金の釘に掛けてやる。 (『アポロン讃歌』1-13)
- 関係: parent → apollo (『神統記』918-920。『アポロン讃歌』3.115-125)
- 関係: enemy → hera (『アポロン讃歌』3.97-114。出産の女神エイレイテュイアをオリュンポスに引き止めて出産を長引かせた)
マイア
- 「ヘルメス讃歌」では、マイアは神々の集まりを避ける内気なニンフで、深く陰った洞窟に住む。ゼウスは白い腕のヘラが眠っている夜更けに、神々にも人間にも知られずにそこへ通った。10か月目にヘルメスが生まれる。 (「ヘルメス讃歌」(第4歌)1-12)
- ヘルメスは明け方に生まれ、昼に竪琴を弾き、夕方にアポロンの牛を盗んだ。マイアが彼を産んだのは月の4日だった、と讃歌は記す。 (「ヘルメス讃歌」17-19)
- 鍵穴から霧のように戻った息子に、マイアは「恥知らず、夜中にどこから帰ってきた。アポロンに縛り上げられるだろう。父はあなたを神々と人間の厄介者にこしらえた」と叱る。ヘルメスは、暗い洞窟で供物もなく暮らすのはごめんだ、父がくれないなら盗人の王になってでもアポロンと同じ名誉を得る、と言い返す。 (「ヘルメス讃歌」145-181)
- 牛を探して洞窟に入ったアポロンは、山のニンフとその子に気づき、住まいを探し回って三つの物置を開ける。中にはネクタルとアンブロシア、金銀、ニンフの紫や銀白の衣が、神々の館のように蓄えられていた。 (「ヘルメス讃歌」233-251)
- 関係: lover → zeus (『神統記』938-939、「ヘルメス讃歌」3-9)
- 関係: parent → hermes (『神統記』938-939、「ヘルメス讃歌」1-19、『オデュッセイア』14.435、アポロドーロス3.10.2)
- 関係: visited_by → apollo (「ヘルメス讃歌」233-251 牛を探しにキュレネの洞窟へ来る)
ムネモシュネ
- 『ヘルメス讃歌』では、生まれたばかりのヘルメスがアポロンの前で竪琴を弾き、神々の生まれを歌うとき、まず「ムーサたちの母」ムネモシュネを讃える。 (4(ヘルメス讃歌)429-430)
- 関係: companion → hermes (4(ヘルメス讃歌)429-430 竪琴を弾くヘルメスが神々の中でまずムネモシュネを讃える。ヘルメスは「その一党に属していた」とされる)
イダ山
- アプロディテがアンキセスと交わり、アイネイアスが生まれた場所。ホメロス風讃歌第5番では、牛の群れと山中の小屋が具体的に描かれる。 (讃歌5(アプロディテ)53-80、『イリアス』2.819-821)
オリュンポス山
- 関係: ruled_by → hestia (『ヘスティア讃歌』29.1-6。神々の館の中心にある炉の座を与えられている)
パルナッソス山
- 関係: companion → delphi (『アポロン讃歌』282-285 雪をいただくパルナッソスのふもとのクリサ)
ナルキッソス
- パウサニアスは、スイセンの花はナルキッソスより前からあったと考えた。根拠は詩人パンポスで、ペルセポネ(コレ)が連れ去られたときに摘んでいた花はスミレではなくスイセンだったと歌っていたから。スイセンがペルセポネの誘拐に登場する点は『デメテル讃歌』とも一致する。 (パウサニアス 9.31.9 / 『デメテル讃歌』(ホメロス風讃歌 第2番)8-16)
ニケ
- 『ホメロス風讃歌』の「アレス讃歌」はアレスを「戦の勝利の父」と呼ぶ。ヘシオドスの系譜とは違う。 (8(アレス讃歌)4)
- 関係: child → ares (8(アレス讃歌)4 アレスを「戦の勝利(ニケ)の父」と呼ぶ。ヘシオドスとは別の系譜)
ニンフ
- 『アプロディテ讃歌』によれば、山のニンフは人間にも神々にも属さず、長く生きて神々の食べ物を口にする。生まれるときに樅や樫の木が一緒に生え、その木が枯れるとき、ニンフの命も同時に日の光を離れる。 (『アプロディテ讃歌』256-272)
- 関係: lover → hermes (『アプロディテ讃歌』262-263 山のニンフたちはシレノスやヘルメスと洞窟で交わる)
オケアニス
- 『デメテル讃歌』では、冥王にさらわれる直前、ペルセポネはオケアノスの娘たち(エレクトラ、メリテ、カッリロエ、テュケ、カリュプソ、ステュクス、ウラニアなど)やアテナ、アルテミスと一緒に野で花を摘んでいた。 (『デメテル讃歌』417-424)
- 関係: companion → persephone (『デメテル讃歌』417-424 花を摘んでいたペルセポネの遊び仲間)
パン
- 『ホメロス風讃歌』の「パン讃歌」では、パンはヘルメスとドリュオプスの娘の子で、生まれつき山羊の脚と二本の角と髭をもっていた。乳母は顔を見て逃げ出したが、ヘルメスは喜んで野兎の毛皮にくるみ、オリュンポスへ連れて行ってゼウスたちに見せた。 (19(パン讃歌)28-46)
- 同じ讃歌は、神々「みな(πάντες)」の心を喜ばせたので「パン」と名づけられた、と名前の由来を説明する。「すべて」を意味する pan-(汎・パン)と神の名を結びつける語呂合わせが、すでに古代の讃歌の中にある。 (19(パン讃歌)47。訳者エヴリン=ホワイトの注も「ここでは名を πάντες から導いている」とする)
- 関係: child → hermes (『パン讃歌』(19)1, 28-40。ヘロドトス 2.145)
- 関係: companion → dionysus (19(パン讃歌)45-47 ヘルメスが赤子のパンをオリュンポスへ連れて行くと、神々、とりわけディオニュソスが喜んだ)
- 関係: companion → echo (『パン讃歌』(19)21 で山頂にエコーが響く。アプレイウス 5.25 ではパンがエコーを抱いて声の出し方を教えている)
ペルセポネ
- オケアノスの娘たちと花を摘んでいたとき、ガイアが咲かせた百の花をつけた水仙に手を伸ばすと大地が裂け、ハデスが現れて攫った。悲鳴を聞いたのはヘカテとヘリオスだけだった。 (『デメテル讃歌』2.1-32。水仙は 2.8-14、悲鳴は 2.22-27)
- 地上へ戻る直前、ハデスにひそかに甘いザクロの種を食べさせられた。これが冥界に縛られる理由となる。 (『デメテル讃歌』2.370-374, 2.411-413)
- 『デメテル讃歌』では、ペルセポネは一年の三分の一を冥界で、三分の二を母と神々のもとで過ごすと定められる。半年ずつではない。 (『デメテル讃歌』2.398-403, 2.445-447)
- 娘がさらわれると、デメテルは松明を手に9日間地上をさまよい、10日目にヘカテとともにヘリオスを訪ねて、ゼウスが娘をハデスに与えたと知る。 (『デメテル讃歌』40-89)
- 関係: child → demeter (『神統記』912-914)
- 関係: abducted_by → hades (『デメテル讃歌』2.1-32)
- 関係: companion → hermes (『デメテル讃歌』2.334-385。冥界から地上へ連れ戻す)
- 関係: companion → helios (『デメテル讃歌』2.62-89。誘拐を見ていた唯一の神)
プルトス
- 『ホメロス風讃歌』の「デメテル讃歌」の結びでは、デメテルとペルセポネがオリュンポスへ帰ったあと、二柱が心から愛した地上の人は大いに幸せで、女神たちはすぐにその人の大きな家の炉ばたの客としてプルトスを送る、と語られる。 (『デメテル讃歌』483-489)
ポセイドン
- 関係: suitor → hestia (『アプロディテ讃歌』5.22-28。アポロンと共に求婚したが断られた)
ピュトン
- 最古の『アポロン讃歌』では、アポロンが射殺すのは泉のそばの名のない雌の大蛇(ドラカイナ)である。骸が太陽の力で腐ったことから、土地はピュト、アポロンはピュティオスと呼ばれるようになったと説明される。 (『アポロン讃歌』300-304、357-374)
- 同じ讃歌で、この雌の大蛇は、ヘラがゼウスに対抗して独りで産んだテュポンを預かって育てたとされる。アポロンは止めを刺すとき、テュポンもキマイラもお前を救えない、と言い放つ。 (『アポロン讃歌』305-355、364-369)
- 関係: killed_by → apollo (『アポロン讃歌』357-374、『変身物語』1.441-444、『神話集』140、アポロドーロス1.4.1)
- 関係: foster_parent → typhon (『アポロン讃歌』305-355 ヘラからテュポンを受け取って育てた)
サテュロス
- パウサニアスは、サテュロスのうち年長の者をシレノスと呼ぶと書く。『アプロディテ讃歌』では、シレノスたちとヘルメスが、山のニンフと洞窟の奥で交わる。 (パウサニアス1.23.5、『アプロディテ讃歌』262-263)
- 関係: lover → nymphs (『アプロディテ讃歌』262-263 シレノスたちが洞窟でニンフと交わる)
セレネ
- 『神統記』では、ヒュペリオンの妻テイアが偉大なヘリオス、輝くセレネ、エオスを産む。『ヘリオス讃歌』では母の名がエウリュパエッサになるが、三きょうだいの顔ぶれは同じ。 (『神統記』371-374。『ヘリオス讃歌』(31)1-7)
- 『ヘルメス讃歌』には、夜明け前に物見の場所に昇った「メガメデスの子パラスの娘」セレネという言い方があり、ヘシオドスとは違う父の名が出てくる。 (4(ヘルメス讃歌)99-100)
- 『ホメロス風讃歌』の「セレネ讃歌」は、オケアノスの水で身を洗ったセレネが、月の半ばの夕刻に長いたてがみの馬を駆り、満ちた光で人間に時のしるしを与える姿を歌う。ゼウスとのあいだに娘パンディアを産んだとも語る。 (32(セレネ讃歌)1-16)
- 関係: child → hyperion (『神統記』371-374。『ヘリオス讃歌』(31)4-7)
- 関係: sibling → helios (『神統記』371-374。『ヘリオス讃歌』(31)4-7)
- 関係: sibling → eos (『神統記』371-374。『ヘリオス讃歌』(31)4-7)
- 関係: lover → zeus (32(セレネ讃歌)14-16 ゼウスとのあいだに娘パンディアを産む)
シュリンクス
- 楽器のシュリンクスはニンフの話よりずっと古くから記録がある。『イリアス』のアキレウスの盾には、シュリンクスを吹いて楽しむ牧人が描かれ、トロイア勢の陣の笛と管の音も聞こえる。『ヘルメス讃歌』では、竪琴をアポロンに譲ったヘルメスが、遠くまで響くシュリンクスを新たに作る。ホメロスやホメロス風讃歌にはニンフのシュリンクスは出てこない。現存する資料でニンフの変身譚を語るのは、オウィディウスが古いほうとされる。 (『イリアス』18.525-526、10.13 /『ヘルメス讃歌』(第4番)511-512。「オウィディウス以前の変身譚の有無」は研究書で未確認)
テイア
- 『ホメロス風讃歌』のヘリオス讃歌では、三柱の母の名はテイアではなく「エウリュパエッサ」。ヒュペリオンの実の姉妹で、ガイアとウラノスの子という点はヘシオドスと同じだが、名前が違う。 (31番(ヘリオス讃歌)2-7)
ティトノス
- エオスがゼウスに「この者を不死にしてほしい」と願い、聞き入れられたが、永遠の若さを願い忘れた。やがて髪が白くなり動けなくなっても死ねず、エオスは彼を部屋に押し込めて扉を閉ざした、と讃歌は語る。 (讃歌5(アプロディテ)218-238)
- この話はアプロディテ讃歌の中で、アンキセスを不死にはしない理由としてアプロディテ自身が語るものである。神と人間の交わりの結末を示す例として置かれている。 (讃歌5(アプロディテ)218-246)
- 縮み続けて最後は蝉(セミ)になった、という続きは讃歌には無い。これを明記するのは『イリアス』の古註で、3.151(トロイアの長老たちを蝉にたとえる直喩)への註が、長い生に疲れ果てたティトノスを女神が蝉に変えたと述べ、ヘラニコスの名を挙げる。11.1 への註も同じ話を伝える。讃歌が「声だけは尽きることなく流れ続ける」と書いていることが、その連想の下地になっている。 (讃歌5(アプロディテ)237-238 が声への言及。『イリアス』D註 3.151 および 11.1(ヘラニコス断片140 Fowler を引く)。ただしヤコービ以来、ヘラニコスが伝えたのは系譜だけで変身譚まで遡らせるのは危ういとする批判がある)
オリュンポス十二神
- 『ヘルメス讃歌』で、生まれたばかりのヘルメスは盗んだアポロンの牛を焼き、肉をくじで分ける12の分け前に切り分けて、どれも誉れある分け前にした。神々の数を前提にした場面と解されることが多い(研究上の解釈)。 (『ヘルメス讃歌』115-133)
テュケ
- 「デメテル讃歌」では、ペルセポネが母に、さらわれた日に牧場で一緒にいた娘たちの名を挙げる中に「テュケ」がいる。パウサニアスはこれを、テュケに触れた最初の詩としてホメロスの作に数え、オケアノスの娘として扱っている。 (「デメテル讃歌」417-420、パウサニアス4.30.4)
- 関係: member_of → oceanids (『神統記』360、「デメテル讃歌」420、パウサニアス4.30.4(オケアノスの娘として))
- 関係: companion → persephone (「デメテル讃歌」417-420 ペルセポネと牧場で遊んでいた娘たちの一人)
テュポン
- 『アポロン讃歌』では、ゼウスが自分だけでアテナを産んだことに怒ったヘラが、大地と天とティタンたちに祈ってゼウスに頼らず一人で子を産み、それがテュパオンだったとされる。ヘラはこの子をデルポイの雌の大蛇に預けて育てさせた。 (3(アポロン讃歌)305-355)
- 関係: child → hera (3(アポロン讃歌)305-355 ゼウスが一人でアテナを産んだことに怒ったヘラが、ゼウス抜きで産んだとする別伝)
ウラニア
- オケアノスの娘ウラニアは『デメテル讃歌』にも出てきて、ペルセポネが冥王にさらわれる直前に一緒に花を摘んでいた仲間の一人に数えられる。 (『デメテル讃歌』417-424)
ゼピュロス
- 『ホメロス風讃歌』6番では、湿った西風の力が、アプロディテを柔らかな泡に包んで、とどろく海の波の上をキュプロスへ運ぶ。ホーライ(季節の女神)が迎えて衣を着せる。 (6.3-6)
ゼウス
- 関係: parent → hermes (『神統記』938-939。『ヘルメス讃歌』4.1-9 ではマイアとの子)