ギリシャ神話が語源の言葉

パンデミック・パノラマの「パン」

山羊の脚を持つパン(左)が、少年ダプニスに笛を教える大理石像。
山羊の脚を持つパン(左)が、少年ダプニスに笛を教える大理石像。ロドスのヘリオドロスの像の写し『ダプニスに笛を教えるパン』・Public domain

パンデミック(世界的な大流行)、パノラマ、パンアメリカンの「パン」は、ギリシャ語で「すべての」を表す言葉から来た接頭辞で、上半身が人、下半身が山羊の牧神パンとは本来別の言葉である。語源辞典によれば、パンの名はインドの古い神と同じ根をもつという説もあるが、疑う人もいて定まっていない。ところが古代の人々自身が、この二つを結びつけていた。『ホメロス風讃歌』の「パン讃歌」では、生まれたばかりの山羊の足の赤ん坊を父ヘルメスが神々に見せると、みな心から喜んだので、神々はこの子を「パン」と名付けた、と語られる。「すべて」の神々を喜ばせたから、という言葉遊びである。後の時代にも、この似た音のせいで、パンは自然のすべてを体現する神と見なされるようになったという。一方「パニック」は本当にパンの名から来ている。

近現代オンライン語源辞典古拙期ホメロス風讃歌

名前が似ている神話

パン山羊の脚と角を持つ牧人と羊の群れの神で、アルカディアの山野にいて葦笛を吹く。ヘルメスの子とされることが多いが、母親については説が割れ、ヘロドトスはオデュッセウスの妻ペネロペとする。山中で人や家畜を理由もなく襲う恐慌は「パンの(パニコン)恐れ」と呼ばれ、英語 panic の語源になった。

パンから来た言葉