ギリシャ神話が語源の言葉

やぎ座

山羊の脚を持つパン(左)が、少年ダプニスに笛を教える大理石像。
山羊の脚を持つパン(左)が、少年ダプニスに笛を教える大理石像。ロドスのヘリオドロスの像の写し『ダプニスに笛を教えるパン』・Public domain

やぎ座(山羊座)の山羊は、上半身が山羊、下半身が魚という不思議な姿で描かれる。ローマ時代のヒュギヌスの『天文譜』は、この姿の由来を二つ伝える。一つめは、ゼウスと一緒に育った山羊の脚の神の姿だという話である。ゼウスは、自分を育てた雌山羊を星にしたように、この幼なじみも星にした。彼はゼウスがティタン族と戦ったとき、敵に真っ先に恐怖を投げつけた者でもあり、その恐怖は「パンの恐れ」と呼ばれた。英語の panic(パニック)の元になった言葉である。石の代わりに貝を敵に投げつけたので、下半身が魚なのだともいう。二つめはエジプトの神官たちの伝えで、神々のもとに怪物テュポンが突然現れたとき、神々は鳥や猫に化けて逃げた。牧神パンは川に飛び込み、体の後ろ半分を魚に、前半分を山羊に変えて逃げのびた。ゼウスはその機転に感心して、その姿を星にしたという。英語の Capricorn はラテン語で「山羊の角を持つもの」の意味で、ギリシャ語の星座名「角のある山羊」を訳した言葉。古英語の終わりごろから使われている。

ローマ期天文譜近現代オンライン語源辞典近現代国立天文台 公式サイト

元になった神話

パン山羊の脚と角を持つ牧人と羊の群れの神で、アルカディアの山野にいて葦笛を吹く。ヘルメスの子とされることが多いが、母親については説が割れ、ヘロドトスはオデュッセウスの妻ペネロペとする。山中で人や家畜を理由もなく襲う恐慌は「パンの(パニコン)恐れ」と呼ばれ、英語 panic の語源になった。

パンから来たほかの言葉