出典 · ヘレニズム期
アルゴナウティカ
アポロニオス・ロディオス · 前3世紀 · Argonautica
日本語訳: 岡道男訳、講談社文芸文庫、2019 · 原文・参考リンク ↗
この出典が語っていること
アイエテス
- アポロニオスでは、アイエテス自身がこの仕事を毎日のようにこなしていると語る。夜明けに火を吐く青銅の足の牡牛をつなぎ、アレスの四区画の畑を耕し、穀物ではなく竜の歯をまいて、生えた武装の男たちを槍で倒し、夕方に仕事を終える。同じことをやり遂げた者には、その日のうちに羊毛を与える、と。 (3.401-421)
- アポロニオスによれば、アイエテスは父ヘリオスから「自分の血筋の者の企みと裏切り」に気をつけよというお告げを聞いていた。彼はそれをカルキオペの子ら(プリクソスの息子たち)のことと考え、娘たちや息子アプシュルトスは少しも疑わなかった。 (3.594-605)
- 関係: enemy → jason (アポロドーロス1.9.23、『アルゴナウティカ』3.401-421、『ピュティア祝勝歌』4.224-246)
アルゴ船
- アポロニオスでは、造り手はアレストルの子アルゴス。昔の歌い手たちは「アテナの指示でアルゴスが造った」と歌うと断ったうえで、アテナ自身が船を造り、アルゴスがそれを手伝ったとする。 (1.18-19, 1.111-114)
- 関係: created_by → athena (アポロニオス 1.18-19, 1.111-114 アテナ自身が造り、アルゴスがその指示で組み立てた。アポロドーロス 1.9.16)
- 関係: participated_in → argonauts (アポロニオス 1.4、アポロドーロス 1.9.16)
アルゴナウタイの遠征
- 遠征の全体を一つの叙事詩にしたのが、前3世紀のアポロニオス『アルゴナウティカ』全4巻。 (全4巻)
- アポロニオスはテセウスについて「冥界に囚われていて来られなかった」とわざわざ断り、名簿から外す。 (1.101-104)
- アポロニオスでは、ヘラクレスは序盤でミュシアに置き去りにされる。愛する従者ヒュラスが泉のニンフにさらわれ、探しに行ったあいだに船が出てしまった。海神グラウコスが現れ、ヘラクレスはエウリュステウスのもとで十二の難業を果たす定めだと告げて一同をなだめる。 (アポロニオス 1.1207-1320、アポロドーロス 1.9.19)
- 出航を見送るケイロンの妻の腕には幼いアキレウスがいる。アルゴ船の英雄たちはトロイア戦争の英雄たちの父の世代にあたり、ペレウスとアキレウス、ラエルテスとオデュッセウスのように親子で二つの物語がつながる。 (アポロニオス 1.553-558、アポロドーロス 1.9.16)
- 関係: participant → jason (指揮者。アポロドーロス 1.9.17)
- 関係: participant → argo (遠征の船。アポロドーロス 1.9.16)
- 関係: participant → medea (コルキスから同行。アポロドーロス 1.9.23-26)
- 関係: participant → herakles (アポロニオス 1.122-131, 1.1207-1320(途中で置き去り)、アポロドーロス 1.9.16, 1.9.19)
- 関係: participant → orpheus (アポロニオス 1.23-34、アポロドーロス 1.9.25 セイレネスの歌を対抗の歌で打ち消す)
- 関係: participant → peleus (アポロニオス 1.90-94、アポロドーロス 1.9.16)
- 関係: participant → chiron (1.553-558 出航を海辺で見送る。妻は幼いアキレウスを抱いて父ペレウスに見せる)
- 関係: participant → circe (アポロドーロス 1.9.24 アプシュルトス殺しの穢れを清める、アポロニオス 4.659-752)
- 関係: located_at → crete (アポロニオス 4.1638-1688、アポロドーロス 1.9.26 青銅の番人タロス)
アタランテ
- 関係: gave_gift → jason (1.769-773 マイナロス山でイアソンに遠矢の槍を客人の贈り物として与えた)
アウゲイアス
- アポロニオス『アルゴナウティカ』では、ヘリオスの子とうわさされるエリスの王アウゲイアスが、富を誇りつつ、コルキスの地とその王アイエテスをひと目見たいと願ってアルゴ船に加わる。コルキスでは、テラモンとともにイアソンに従ってアイエテスの館へ行く。アポロドーロスのアルゴナウタイの名簿にも「ヘリオスの子アウゲイアス」がいる。 (アポロニオス1.172-175、3.196-198、3.440、アポロドーロス1.9.16)
- 関係: child → helios (アポロドーロス1.9.16、2.5.5(ほかにポセイドンの子、ポルバスの子とする説も併記)、アポロニオス1.172-173(「うわさでは」ヘリオスの子))
- 関係: member_of → argonauts (アポロニオス1.172-175、3.197、3.440、アポロドーロス1.9.16)
ボレアス
- オレイテュイアとの間に生まれた息子ゼテスとカライスは、父譲りの翼をもち、アルゴ船の乗組員になった。 (アポロドーロス 1.9.16, 3.15.2、アポロニオス 1.211-223、『変身物語』6.711-721)
- 関係: abducted → orithyia (アポロドーロス 3.15.2、『変身物語』6.683-707、アポロニオス 1.211-218、『パイドロス』229b-c)
クレタ島
- アルゴ船がクレタに近づくと、1日に3度島を巡回する青銅の番人タロスが岩を投げて上陸を阻んだ。タロスは首から踝まで一本の血管が通り、端を青銅の釘で留めていた。メデイアの魔術で倒れたとも、ポイアスが踝を射たともいう。アポロドーロスは、タロスは青銅の種族の生き残りとも、ヘパイストスがミノスに贈ったものとも伝える。 (アポロニオス 4.1638-1688、アポロドーロス 1.9.26)
- 関係: visited_by → argonauts (アポロニオス 4.1638-1688 青銅の巨人タロスに上陸を阻まれる。アポロドーロス 1.9.26)
エンデュミオン
- ヘレニズム期の詩では、エンデュミオンの眠る場所は小アジアのカリア地方、ラトモス山の洞窟になる。アポロニオス『アルゴナウティカ』では、月の女神が「ラトモスの洞窟へさまよって行き、美しいエンデュミオンに焦がれるのは私ひとりではない」と、メデイアの恋を見てつぶやく。テオクリトスも、月が牛飼いのエンデュミオンを愛し、オリュンポスから降りて彼のそばで眠った、と歌う。 (『アルゴナウティカ』4.57-58 /『牧歌』20.37-39、3.49-50(「覚めない眠りを眠るエンデュミオンがうらやましい」))
- 関係: lover → selene (アポロドーロス 1.7.5 /『アルゴナウティカ』4.57-58 / テオクリトス『牧歌』20.37-39 / パウサニアス 5.1.4)
エラト
- アポロニオス『アルゴナウティカ』第3巻は「さあエラトよ、傍らに立って語れ」と始まり、イアソンがメデイアの恋によって金羊毛を持ち帰った次第を語るよう頼む。エラトはアプロディテの受け持ちにも与り、未婚の乙女を思い悩ませるので、「愛らしい」名が付いているのだ、と名前の由来に掛けている。 (3.1-5)
- 関係: tells_of → medea (3.1-5 メデイアの恋を語るようにと呼びかけられる)
エレクテウス
- 関係: parent → orithyia (アポロドーロス 3.15.1-2、ヘロドトス 7.189、アポロニオス 1.211-213)
エロス
- ヘレニズム期以降、エロスはアプロディテの息子として扱われるのが普通になる。アポロニオス『アルゴナウティカ』ではアプロディテが息子エロスを動かしてメデイアに矢を射させ、オウィディウスでは「ウェヌスの息子」クピドがアポロンを射る。 (『アルゴナウティカ』3.25-166, 3.275-298。『変身物語』1.452-473(1.463 filius Veneris))
- 『アルゴナウティカ』で、アプロディテはゼウスの果樹園でガニュメデスとさいころ遊びをしている息子エロスを見つけ、ゼウスが幼いころの玩具だった黄金の鞠を与えると約束してメデイアを射させる。アプロディテは、息子は自分の言うことを聞かないとこぼしている。 (3.91-166)
- 関係: child → aphrodite (3.25-166 ヘラとアテナがアプロディテに「息子」を動かしてメデイアを恋させるよう頼む。後代の標準的な設定)
グラウコス(海の神)
- アポロニオス『アルゴナウティカ』では、ヘラクレスを置き去りにして仲間割れしかけたアルゴー船の前に、グラウコスが海の底から姿を現す。ヘラクレスはアルゴスに戻って十二の功業を果たす定めであり、ポリュペモス(キュクロプスとは別人)はミュシアに町を築き、ヒュラスはニンフに夫として迎えられた、と告げて海に沈む。 (1.1310-1328)
- 関係: servant → nereus (アポロニオス 1.1311「神なるネレウスの代弁者」、エウリピデス『オレステス』364「ネレウスの予言者」。関係の種類は仮に「仕える者」とした)
- 関係: participated_in → argonauts (1.1310-1328 ヘラクレスを置き去りにしたと争うアルゴー船の前に現れ、神意を告げる)
- 関係: advisor → herakles (1.1315-1320 ヘラクレスはアルゴスに戻って十二の功業を果たす定めだと告げる(本人ではなく仲間たちに))
金羊毛
- アポロニオスとアポロドーロスでは、竜を眠らせるのはメデイアの薬と呪文。竜は殺されず、夜のうちに金羊毛が持ち出される。 (アポロニオス 4.156-161、アポロドーロス 1.9.23)
ハルピュイア
- アポロニオスの『アルゴナウティカ』では、神の怒りを受けた盲目の予言者ピネウスの食事を、ハルピュイアが空から舞い降りては口や手から奪い、残りを汚していく。アルゴ号に乗っていた北風ボレアスの息子たちが剣を抜いて追いかけるが、イリスが止め、二度とピネウスに近づかないと誓わせる。 (アポロニオス 2.178-300。アポロドロス 1.9.21)
- 追跡を打ち切って引き返した場所の島々は、それまで「プロタイ(浮き島)」と呼ばれていたが、このことから「ストロパデス(引き返しの島)」と呼ばれるようになった、とアポロニオスは説明する。アポロニオスではハルピュイアはそのあとクレタへ逃げ込むが、ウェルギリウスでは、ピネウスの館を追われたハルピュイアがこのストロパデス島に住みついている。 (アポロニオス 2.284-300。『アエネイス』3.209-213)
- 関係: servant → zeus (2.288-289 イリスが「大いなるゼウスの猟犬」であるハルピュイアを剣で追い払ってはならないと止める)
- 関係: enemy → argonauts (アポロニオス 2.178-300 ピネウスの食卓を襲い、ボレアスの息子たちに追われる。アポロドロス 1.9.21)
ヘカテ
- アポロニオス『アルゴナウティカ』では、メデイアはヘカテの神殿の巫女で、ヘカテから薬草の扱いを教わっている。イアソンは夜にペルセスの一人娘ヘカテを宥める儀式をしてから試練に挑む。魔術の女神としてのヘカテ像はこのヘレニズム期の叙事詩にはっきり現れる。 (3.251-252, 3.528-530, 3.1035-1041)
- 関係: teacher → medea (3.528-530 ヘカテがメデイアに薬草の扱いを教えた。3.251 ではメデイアがヘカテの神殿に仕えている)
ヘラクレス
- 関係: participated_in → argonauts (アポロニオス 1.122-131 に参加、1.1207-1320 ヒュラスを探すうちに置き去りにされる。アポロドーロス 1.9.16, 1.9.19)
ヘスペリデス
- アポロニオスでは、アフリカの砂漠で渇いたアルゴ船の一行が、前日までラドンという大蛇が黄金の林檎を守っていた聖なる土地に着く。大蛇はヘラクレスの、ヒュドラの毒を塗った矢に倒れ、尾の先だけが動いていた。嘆いていたヘスペリデスは一行が近づくと塵と土になったが、オルペウスの祈りでヘスペレはポプラ、エリュテイスは楡、アイグレは柳の木となって現れ、アイグレが、昨日獅子の皮の男が大蛇を殺して林檎を持ち去り、岩を蹴って水を湧かせたと語る。 (4.1396-1449)
ヒッポリュテ
- アポロニオスでは、ヘラクレスがアレスの娘メラニッペを待ち伏せして捕らえ、ヒッポリュテが姉妹の身代金として輝く帯を渡した。ヘラクレスはメラニッペを無事に帰す。ヒッポリュテは殺されない。 (2.966-969)
- 『アルゴナウティカ』では、マリアンデュノイの王リュコスが、ヘラクレスが「戦好きのヒッポリュテの帯」を持ってアジアを歩いて通ったのを見た、と回想する。三つに分かれたアマゾンの部族のうち、ヒッポリュテが治めていたのはテミスキュラの一族だった、ともされる。 (2.777-779、2.996-999)
- 関係: ruler → amazons (アポロドーロス2.5.9 アマゾンの女王。『アルゴナウティカ』2.998-999 三つの部族のうちの一つを治める)
イアソン
- ペリアスは「片方のサンダルの男に用心せよ」という神託を受けていた。川を渡るときにサンダルを片方なくしたイアソンが現れ、ペリアスが「自分を殺す者がいると神託を受けたらどうするか」と問うと、イアソンは「金羊毛を取りに行かせる」と答えてしまい、自らその役を負った。 (ピンダロス『ピュティア』4.73-78、アポロニオス 1.5-7、アポロドーロス 1.9.16)
- 関係: student → chiron (ピンダロス『ピュティア祝勝歌』4.102-103, 4.119 ケイロンの洞窟で20年育ち、「イアソン」と名づけたのもケイロン。アポロニオス 1.32-34 ケイロンの勧めでオルペウスを仲間に迎える)
- 関係: participated_in → argonauts (指揮者。アポロドーロス 1.9.16-17、『ピュティア』4.169-254)
- 関係: visited → circe (アポロドーロス 1.9.24 アプシュルトス殺しの穢れをアイアイエで清めてもらう。アポロニオス 4.659-752)
- 関係: companion → herakles (1.122-131 乗組員として参加)
- 関係: companion → orpheus (1.23-34)
- 関係: companion → peleus (アポロニオス 1.90-94、アポロドーロス 1.9.16)
メデイア
- アポロニオスでは、ヘラとアテナの頼みでアプロディテがエロスを遣わし、エロスがイアソンの陰からメデイアの胸に矢を射た。恋は神々の計画として始まる。 (3.1-110(ヘラとアテナがキュプリス=アプロディテを訪ねる), 3.275-298)
- 関係: companion → circe (叔母と姪。『神統記』956-957 キルケとアイエテスはヘリオスの子、『オデュッセイア』10.137 キルケは「アイエテスの実の姉妹」。アポロニオス 4.683-684, 4.726-732 キルケが同じ血筋の目の輝きでメデイアを見分ける)
- 関係: servant → hecate (アポロニオス 3.251-252 一日中ヘカテの神殿に仕える、3.529-530 ヘカテが薬の技を教えた)
- 関係: owner → golden-fleece (アポロドーロス 1.9.23 薬で竜を眠らせて金羊毛を手に入れる、アポロニオス 4.156-161)
- 関係: participated_in → argonauts (1.9.23-26)
- 関係: visited → crete (アポロニオス 4.1638-1688、アポロドーロス 1.9.26 クレタの青銅の番人タロスを魔術で倒す)
メレアグロス
- アルゴナウタイにも名がある。アポロニオスの『アルゴナウティカ』では、まだ少年で、父オイネウスが異母兄弟ラオコオン(トロイアの神官とは別人)を目付役に付けて送り出し、母方の叔父イピクロスも同行した。あと一年アイトリアで育っていれば、ヘラクレスを除いて誰にも負けなかっただろうと語られる。 (『アルゴナウティカ』1.190-201 / 1.9.16)
- 関係: participated_in → argonauts (『アルゴナウティカ』1.190-201 まだ少年で、叔父イピクロスが付き添う / 1.9.16)
ネレイス
- アポロニオス『アルゴナウティカ』では、ヘラの頼みでテティスが姉妹のネレイスたちを呼び集め、アルゴー船をさまよう岩のあいだから無事に通す。 (アポロニオス 4.842-963。アポロドロス 1.9.25)
- アポロニオスでは、プランクタイ(さまよう岩)に差しかかったアルゴ号を、テティスの呼びかけで集まったネレイスたちが、凪の海で船を囲むイルカのように取り巻き、浜辺で娘たちが毬を投げ合うように波の上へ次々と放り上げて岩から遠ざけた。春の一日の長さだけ船を押し続けた。ヘパイストスやヘラが見守っていた。 (4.930-963)
- 関係: participated_in → argonauts (アポロニオス 4.930-963 テティスと姉妹たちがアルゴー船をさまよう岩のあいだで導く。アポロドロス 1.9.25)
オレイテュイア
- イリソス川のほとりで遊んで(踊って)いたところを、ボレアスにさらわれた。アポロニオスでは、ケクロピア(アテナイ)からトラキアのサルペドンの岩まで運ばれ、黒い雲に包まれて妻にされる。 (アポロドーロス 3.15.2、アポロニオス 1.211-218)
- 関係: child → erechtheus (アポロドーロス 3.15.1、ヘロドトス 7.189、アポロニオス 1.211-213)
- 関係: abducted_by → boreas (アポロドーロス 3.15.2、『変身物語』6.705-707、アポロニオス 1.211-218、『パイドロス』229b-c)
オルペウス
- アポロニオス『アルゴナウティカ』では、ムーサのカリオペとトラキアのオイアグロスの子として、英雄の名簿の真っ先に挙げられる。歌で岩や川を魅了し、木々を山から連れ下ろしたという。航海の途中、セイレネスの歌を自分の竪琴の音でかき消して仲間を救う。 (1.23-34、4.891-911)
- 関係: child → muses (母はムーサのカリオペ。アポロドーロス 1.3.2、アポロニオス 1.23-25)
- 関係: participated_in → argonauts (1.23-34 英雄の名簿の最初に挙げられる。ケイロンの勧めでイアソンが迎えた)
- 関係: enemy → sirens (4.891-911 セイレネスの歌を竪琴の音でかき消し、船を通過させる)
- 関係: advisee → chiron (1.32-34 ケイロンの勧めに従ってイアソンがオルペウスを仲間にした)
ペレウス
- アルゴナウタイの一人として数えられる。アポロニオス『アルゴナウティカ』では、海のニンフに助けられる場面で妻テティスとの関係が語られる。 (1.94-95(乗組員の一覧)、4.852-884(テティスとの経緯))
ペリアス
- 関係: advisor → argonauts (アポロドーロス1.9.16 イアソンに羊毛を取ってくるよう命じる。『アルゴナウティカ』1.1-17 ペリアスの命で船出する)
プリクソス
- アポロニオスでは、プリクソスの息子アルゴスがアルゴ船の英雄たちに語る。プリクソスはヘルメスが金にした雄羊に乗ってアイエテスの町に着き、雄羊自身の勧めに従って、逃れる者を守るゼウス(ピュクシオス)にそれを捧げた。アイエテスは娘カルキオペを婚資なしで与えた。プリクソスはアイエテスの館で年老いて死に、息子たちは父の遺言に従ってオルコメノスへ向かう途中、難破した。 (2.1093-1156(雄羊の勧めは 2.1146-1147、老いて死ぬのは 2.1151))
ポリュデウケス
- アルゴ船に乗り、ベブリュケス人の王アミュコスと拳闘の勝負をして打ち倒す。拳闘の名手という『イリアス』の添え名が、そのまま一つの物語になっている。 (2.1-97)
スケリエ(パイエケス人の国)
- 後代にはコルキュラ島(現在のケルキラ島・コルフ島)と同一視される。アポロニオス『アルゴナウティカ』ではアルゴ船がドレパネ(パイエケス人の島)に寄り、アルキノオスとアレテのもとでイアソンとメデイアが結婚する。 (4.982-1222。ホメロス自身はスケリエの位置を特定していない)
スキュラ
- ホメロスでは母をクラタイイスとするのみで父に触れない。後代の資料では親の組み合わせが一定しない。アポロニオスは「夜をさまようヘカテ、人がクラタイイスと呼ぶ者」がポルキュスに産んだとし、アポロドーロスはクラタイイスあるいはトリエノスとポルコスの娘とする。ヒュギヌスはテュポンとエキドナの子の一人に数える。 (『オデュッセイア』12.124-125(クラタイイスを呼べ、それがスキュラの母だ)を本文で確認。アポロニオス『アルゴナウティカ』4.825-829、アポロドーロス摘要7.20、ヒュギヌス151(テュポンとエキドナの子の列挙にスキュラ)。アポロニオスの箇所は theoi.com の引用で確認)
セイレーン
- 別の航海譚: アポロニオス『アルゴナウティカ』では、アルゴ船がセイレーンの島を通るとき、オルペウスが竪琴を掻き鳴らして歌声をかき消す。耳を塞ぐオデュッセウスの解法と対になる。 (4.891-919)
- アポロニオスでは、セイレーンたちはアケロオスとムーサのテルプシコレの娘で、かつてデメテルの娘(ペルセポネ)のそばで歌っていた。いまは半ば鳥、半ば乙女の姿。オルペウスの竪琴が歌声をかき消したが、ブテスだけは心を奪われて海に飛び込み、キュプリス(アプロディテ)に救われてシチリアのリリュバイオン岬に住まわされた。 (4.891-919(母をテルプシコレとするのは 4.895-896。アポロドーロスはメルポメネとする))
ステュンパロスの鳥
- アポロニオスでは、アルゴ船がアレスの島(アレティアス)に近づくと、島の鳥が鋭い羽根を放ち、オイレウスの肩を傷つけた。アンピダマスが、ヘラクレスもステュンパロスの湖の鳥を弓では追い払えず、高い見張り場で青銅のガラガラを振って音で追い払ったと思い出させ、英雄たちは兜をかぶり、盾と槍で屋根瓦のように船を覆い、盾を打ち鳴らして鳥を追い払った。鳥は雹のように羽根を降らせて飛び去る。 (2.1030-1089(ヘラクレスの回想は2.1052-1057))
- 関係: enemy → argonauts (『アルゴナウティカ』2.1030-1089(アレスの島の鳥)、ヒュギヌス20「ステュンパリデス」)
テセウス
- アポロニオスは逆に、テセウスはペイリトオスについて冥界に下り、見えない鎖に捕らわれていたので参加できなかった、と明記する。「いれば遠征はもっと楽だったろう」とまで書く。 (1.101-104)
- 関係: visited → underworld (摘要 1.24 ペイリトオスのためにペルセポネを妻にしようと冥界に下り、忘却の椅子に縛られる。アポロニオス 1.101-104)
トラキア
- アポロニオスでは、ボレアスはオレイテュイアをケクロピア(アテネ)からトラキアのサルペドンの岩まで運び、黒い雲に包んで妻にした。オウィディウスでは、ボレアスの穏やかな求婚が拒まれ続けたのは、トラキア人テレウスの一件があったためである。 (アポロニオス1.211-218、『変身物語』6.683-707)
トリトン
- アポロニオス『アルゴナウティカ』では、リビュアのトリトン湖で出口を見失ったアルゴー船の前に、トリトンが若者の姿で現れ、客人への贈り物として土くれを差し出す。やがて本来の姿を現して船を海へ押し出す。その体は頭から腰までは神々に似ているが、腰から下は二股に分かれた海の怪物の長い尾になっていた。 (4.1551-1622(姿の描写は 4.1610-1616))
- 関係: participated_in → argonauts (4.1551-1622 トリトン湖で迷ったアルゴー船を海へ導く)
ヘラクレスの十二の功業
- 「十二」という数が明記される例として、前3世紀のアポロニオス『アルゴナウティカ』がある。海神グラウコスが、ヘラクレスはエウリュステウスのもとで「十二の難業すべて」を果たす定めだと告げる。 (1.1317-1318(δυώδεκα πάντας ἀέθλους))