星座になった神話

ケンタウルス座の神話

Centaurus

英雄たちを育てた賢いケンタウロス、ケイロン。ヘラクレスの矢がたった一本、足の上に落ちたことで命を落とした。

人間よりも正しいケンタウロス

ケンタウルス座は、上半身が人、下半身が馬のケンタウロスの姿をしている。ローマ時代のヒュギヌスの『天文譜』によれば、これはクロノスとピリュラの子ケイロンで、ほかのケンタウロスばかりか、人間よりも正しい心を持っていたという。

ローマ期天文譜

ケイロンは、のちに医術の神となるアスクレピオスや、英雄アキレスを育てた。その誠実さとまじめさのおかげで、星のあいだに数えられることになった。

ローマ期天文譜

足の上に落ちた一本の矢

あるとき、英雄ヘラクレスがケイロンのもとに立ち寄った。二人は並んで座り、ヘラクレスの矢を眺めていた。そのとき一本が手からこぼれ、ケイロンの足の上に落ちた。その矢が、ケイロンの命を奪ったのだという。

ローマ期天文譜

別の話では、ケイロンは、こんなに短い矢で、あれほど大きなケンタウロスたちを倒せるのかと不思議に思った。自分で弓を引いてみようとしたところ、矢が手から滑り落ち、足の上に落ちてしまった。

ローマ期天文譜

ゼウスはケイロンを哀れみ、星のあいだに置いた。空のケンタウロスは、いけにえの獣を手に持ち、すぐそばの祭壇の星座、さいだん座の上で捧げようとしている姿だという。

ローマ期天文譜

占いにすぐれたもう一人

この星座はケイロンではなく、同じケンタウロスのポロスだ、と言う人もいた。ほかのだれよりも鳥占いにすぐれていたので、ゼウスの意思によって、いけにえを持って祭壇へ向かう姿に描かれたのだという。

ローマ期天文譜

名前の由来

星座カード『ウラニアの鏡』(1825年)のケンタウルス座(右下)
星座カード『ウラニアの鏡』(1825年)のケンタウルス座(右下)シドニー・ホール『うみへび座・からす座・コップ座・ケンタウルス座・アルゴ座など(星座カード『ウラニアの鏡』)』1825年・Public domain

太陽系にいちばん近い恒星のある星座が、ケンタウルス座だ。NASAによれば、地球にいちばん近い恒星系はこの星座のアルファ・ケンタウリで、距離は4.3光年。A星とB星の二つの星に、プロキシマ・ケンタウリとも呼ばれる暗い赤色矮星のC星を加えた三つの星から成る。

語源辞典によれば、この星座はギリシャ人にもケンタウロスとして知られていたが、古代から、同じく半人半馬で描かれるいて座とよく取り違えられてきた。

近現代NASA公式サイト近現代オンライン語源辞典近現代国立天文台 公式サイト

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