星座になった神話

おおぐま座の神話

北斗七星をふくむ大きな熊は、熊に変えられた娘カリスト。けれども、いちばん初めに星を見た人たちは、これを熊ではなく車だと見ていた。

熊か、車か

日本で北斗七星と呼ぶ七つの星は、星座としては、おおぐま座の体の一部にあたる。

近現代国立天文台 公式サイト

ローマ時代のヒュギヌスは、星座の本『天文譜』で、この七つの星にまつわる古い見方を書きとめている。いちばん初めに星を見て、形ごとに星の数を決めた人たちは、これを熊ではなく「車」と呼んだ。七つのうち、同じくらいの明るさで寄り添う二つを、車を引く牛に見立て、残りの五つを荷車の形と見たのである。ギリシャ人はこれをハマクサ(車)と呼んだ。すぐとなりの星座が「牛飼い」と名づけられたのも、そのためだという。

ローマ期天文譜

ホメロスは、この星座を「熊」とも「車」とも呼んでいる。そののち天文家たちが星の数を二十五まで増やして、熊の姿に仕立てた。すると、車を追う牛飼いだったとなりの星座も、「熊の番人」と呼ばれるようになった、とヒュギヌスは説明している。

ローマ期天文譜ホメロスイリアス

アルカディアの神域で

熊の正体は、ゼウスに身ごもらされたあと熊の姿に変えられた、狩りの娘カリストだという。ヒュギヌスは、よく知られた筋とは違う結末も書きとめている。

ローマ期天文譜

熊になったカリストは、森をさまよううちにアイトリアの人々に捕らえられ、生まれた息子と一緒に、贈り物としてアルカディアの王のもとへ連れて行かれた。そこでカリストは、掟を知らないまま、ゼウス・リュカイオスの神域に駆け込んでしまう。アルカディアでは、そこへ入った者は死をもって罰すると決まっていた。息子も、すぐに母を追って中へ入った。

ローマ期天文譜

アルカディアの人々が二人を殺そうと追ってきたとき、ゼウスは自分の犯した過ちを思い出した。そして母と子を連れ去り、星々のあいだに置いた。母は熊(アルクトス)、息子は熊の番人(アルクトピュラクス)と名づけられたのだという。

ローマ期天文譜

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