りゅう座の神話
Draco
黄金のりんごの番をしていた竜は、ヘラクレスに倒されたあと、女神ヘラの手で空に上げられた。
黄金のりんごの番人
すぐ上でひざをつく英雄
その証拠に、空では竜のすぐ上に、ヘラクレスの姿の星座がある。ヒュギヌスはこれを、前3世紀の学者エラトステネスの説として伝える。ヘラクレスは左手に獅子の皮、右手に棍棒を握り、片ひざをついて、竜の頭を左足で踏みつけようとしている。
ローマ期天文譜
竜のほうは、一度も眠りに目を閉じたことのない番人だったといわれる。頭を高くもたげたまま、いまも英雄と向き合っている。この戦いぶりに感心したゼウスが、二人をそろって星にしたのだという。
ローマ期天文譜
アテナが天に投げ上げた竜
名前の由来

学名の Draco はラテン語で「大蛇、竜」の意味で、語源辞典によれば古代から竜の姿とされてきた星座である。
近現代オンライン語源辞典近現代国立天文台 公式サイト
この話の項目
- ヘスペリデス世界の西の果て、オケアノスの向こうで黄金の林檎の木を守るニンフたち。ヘラクレスの第十一の功業はこの林檎を持ち帰ることで、すぐそばでは巨人アトラスが天空を支えている。
- 黄金の林檎ペレウスとテティスの婚礼に招かれなかった不和の女神エリスが投げ込んだ林檎。「最も美しい者へ」とされたため、ヘラ・アテナ・アフロディーテが争い、パリスの審判とトロイア戦争を引き起こす。ただし「銘が刻まれていた」という形は古い出典には見られない。
- ヘラクレスゼウスとアルクメネの子の英雄。ヘラに憎まれ、母のいとこにあたるエウリュステウスに仕えて数々の難業をこなした。トロイアをトロイア戦争の一世代前に一度攻め落とし、その弓はのちにピロクテテスに渡ってトロイア陥落の鍵になる。
- ヘラゼウスの正妻にして姉。結婚の守護者でありながら、夫の浮気相手とその子を執拗に苦しめる。トロイア戦争では一貫してギリシャ側に立ち、その動機は『イリアス』末尾で一度だけパリスの審判に結び付けられる。
- ゼウスオリュンポスの神々の王。クロノスとレアの末子で、父を倒して天を得た。多くの女神・人間の女性との間に子をもうけ、神々と英雄の多くの父になった。トロイア戦争では人間の側に肩入れしつつ、最後は運命の側に立つ。
- ガイアカオスに次いで生まれた大地の女神で、ギリシャ神話の系図のほぼすべての出発点。ウラノスを単独で産み、その子らを産み、さらに夫ウラノスを倒す計略を立てた。神々の世代交代はいずれもガイアの助言から始まる。
- アトラス世界の西の果てで天を支え続けるティタン神族の一柱。イアペトスの子でプロメテウスの兄弟にあたる。ホメロスでは海の深みを知り、天と地を隔てる柱を保つ者とされ、カリュプソの父。地名のアトラス山脈、大西洋(Atlantic)、そして地図帳の atlas へと名前が広がった。
- アテナゼウスの頭から武装して生まれた知恵と戦術の女神。トロイア戦争ではギリシャ側、とりわけディオメデスとオデュッセウスの後ろ盾となる。荒ぶる戦のアレスに対し、計略と工芸を司る戦の神として対置される。
ほかの星座の話
- おひつじ座金の毛の雄羊が、兄と妹を背に乗せて海を越えた。砂漠で軍勢を水場へ導いた羊だという話もある。
- おうし座王女を背に乗せて海を渡った牡牛は、ゼウスの化けた姿だった。牝牛にされた娘イオだという話もある。
- ふたご座どちらが上かを争わなかった双子の兄弟が、二人並んで星になった。ヘラクレスとアポロンだという説もある。
- かに座怪物ヒドラと戦うヘラクレスの足に、沼から出てきた蟹がかみついた。その甲羅の上には、ろばと呼ばれる星もある。
- しし座獣の王だから、ゼウスが星にした。ヘラクレスが素手で倒した、最初の仕事の獅子だともいう。
- おとめ座人間に愛想をつかして天へ去った正義の女神。父の亡骸を見つけて死んだ娘エリゴネだという話もある。
- てんびん座古いギリシャでは、この星たちはさそり座のはさみだった。天秤と呼んだのはローマの人々である。
- さそり座思い上がった狩人オリオンを刺し殺したさそり。だから今も、さそりが昇るとオリオンは沈んでいく。
- いて座弓を引く、馬の脚の射手は誰なのか。弓を使うケンタウロスはいない、と言う人たちもいた。芸術の女神ムーサたちの友の姿だ、という説もある。
- やぎ座怪物テュポンに襲われた神々は、動物に化けて逃げた。牧神パンは川に飛び込み、半分だけ魚になった。
- みずがめ座瓶から水を注ぐ男は、ゼウスにさらわれた美少年か、大洪水を生き延びた男か。古い星座の本は三つの答えを並べる。
- うお座怪物テュポンから逃げるアフロディーテとエロスが、川に飛び込んだ。二人を背に受けたのが、二匹の魚だった。
- へびつかい座太陽の通り道にかかりながら、十二の星座には数えられない星座。蛇を抱えた男は、医術の神とも、麦の種をまく若者を襲った王ともいう。
- オリオン座女神アルテミスは、沖に浮かぶ黒い点を射抜いた。それは、愛した狩人オリオンの頭だった。
- カシオペヤ座海の女神たちより美しいと言い放った王妃は、椅子に座ったまま、頭を下にして空を回り続ける。
- アンドロメダ座英雄ペルセウスに救われた王女は、空の上でも両腕を広げたまま、鎖につながれている。
- ペルセウス座怪物メドゥーサを討った英雄は、見張りの目を奪って湖へ投げ込んだ。空では今も、ちりにまみれて大またに歩いている。
- ペガスス座蹄で泉を開いた天馬は、乗り手が地に落ちたあと、ひとり空へ昇った。この馬は、馬に変えられたケイロンの娘だという話もある。
- こと座赤ん坊のヘルメスが亀の甲羅で作った竪琴は、やがて名手オルフェウスの手に渡り、その死のあと空に上げられた。
- はくちょう座鷲に追われるふりをして、女神のひざに飛び込んだ白鳥。その正体はゼウスで、女神の産んだ卵から絶世の美女ヘレネが生まれた。
- おおぐま座北斗七星をふくむ大きな熊は、熊に変えられた娘カリスト。けれども、いちばん初めに星を見た人たちは、これを熊ではなく車だと見ていた。
- わし座美少年ガニュメデスをさらった、ゼウスの鷲。妻を失った王が、忘れられるように鷲にされたのだという話もある。
- こぐま座北極星をしっぽの先にもつ小さな熊は、クレタ島の洞窟で幼いゼウスを育てた乳母だという。フェニキアの船乗りは、この熊を頼りに海を渡った。
- ケフェウス座王女アンドロメダの父、エチオピアの王。婚礼に武器を持って乗り込んできた実の弟を、王は必死にいさめた。
- うしかい座熊を追いかける牛飼い。熊にされた母を知らずに追った息子とも、世界で初めて荷車を作った男ともいう。
- くじら座名前はくじらだが、もとは王女アンドロメダを襲った海の怪物。空の上でも王女に迫り、その父王に押し返されている。
- ヘルクレス座片ひざをついて戦う男の星座。竜と戦うヘラクレスとも、石を持ち上げる若いテセウスとも言われ、古代から正体が定まらなかった。
- かんむり座酒の神ディオニュソスが、妻アリアドネの冠を空に置いた。迷宮の闇を照らした冠とも、海の底から持ち帰った冠とも語られる。
- ぎょしゃ座人間で初めて四頭の馬を車につないだ男が、馭者の姿で空にいる。その肩には、幼いゼウスに乳を与えた雌山羊が乗っている。
- おおいぬ座どんな獲物も逃さない犬が、だれにも捕まらない狐と出会ってしまった。困ったゼウスは、二匹とも石に変えた。
- ケンタウルス座英雄たちを育てた賢いケンタウロス、ケイロン。ヘラクレスの矢がたった一本、足の上に落ちたことで命を落とした。
- アルゴ座金の羊毛を求めた英雄たちの船アルゴは、海に出た最初の船として空に上げられた。ただし星になったのは、船の後ろ半分だけである。
- からす座・コップ座・うみへび座水を汲みに行ったカラスは、イチジクが熟すのを待って道草を食った。怒ったアポロンは、水の入った鉢と、それを守る水蛇を空に置いた。
- いるか座逃げた花嫁を探し出し、海の神の婚礼をまとめたイルカ。歌い手アリオンを背に乗せて岸まで運んだイルカだ、という話もある。
- や座空の小さな矢は、ヘラクレスがプロメテウスを苦しめる鷲を射落とした一本だという。指輪の始まりも、この話から語られる。