星座になった神話

りゅう座の神話

Draco

黄金のりんごの番をしていた竜は、ヘラクレスに倒されたあと、女神ヘラの手で空に上げられた。

黄金のりんごの番人

りゅう座は、おおぐま座とこぐま座のあいだに、大きな体を横たえている。ローマ時代のヒュギヌスの星座の本『天文譜』によれば、この竜はヘスペリデスの黄金のりんごを守っていた竜で、ヘラクレスに殺されたあと、女神ヘラが星のあいだに置いた。ヘラクレスが竜に挑むことになったのは、もとをたどればヘラの差し金だったからだという。

ローマ期天文譜

りんごの木がそこに植えられたいきさつも、ヒュギヌスは書きとめている。ゼウスがヘラを妻に迎えたとき、大地の女神が枝ごと黄金のりんごを持ってきた。見とれたヘラは、アトラス山のあたりまで広がる自分の庭に植えてほしいと頼んだ。ところがアトラスの娘たちが、たびたび木から実をもいでしまう。そこでヘラは、この竜を見張りに置いたのである。

ローマ期天文譜

すぐ上でひざをつく英雄

その証拠に、空では竜のすぐ上に、ヘラクレスの姿の星座がある。ヒュギヌスはこれを、前3世紀の学者エラトステネスの説として伝える。ヘラクレスは左手に獅子の皮、右手に棍棒を握り、片ひざをついて、竜の頭を左足で踏みつけようとしている。

ローマ期天文譜

竜のほうは、一度も眠りに目を閉じたことのない番人だったといわれる。頭を高くもたげたまま、いまも英雄と向き合っている。この戦いぶりに感心したゼウスが、二人をそろって星にしたのだという。

ローマ期天文譜

アテナが天に投げ上げた竜

同じ本は、まったく別の話も紹介している。巨人族が神々と戦ったとき、この竜は女神アテナに向かって投げつけられた。アテナは竜をつかむと、ねじ曲げて空へ放り投げ、天の軸に縫いとめた。りゅう座の体がいまも曲がりくねって見えるのは、空へ運ばれたばかりの姿のままだからだ、というのである。

ローマ期天文譜

名前の由来

星座カード『ウラニアの鏡』(1825年)のりゅう座
星座カード『ウラニアの鏡』(1825年)のりゅう座シドニー・ホール『りゅう座・こぐま座(星座カード『ウラニアの鏡』)』1825年・Public domain

学名の Draco はラテン語で「大蛇、竜」の意味で、語源辞典によれば古代から竜の姿とされてきた星座である。

近現代オンライン語源辞典近現代国立天文台 公式サイト

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