出典 · 古典期(悲劇・歴史)
テーバイ攻めの七将
アイスキュロス · 前467年上演 · Seven Against Thebes
ライオス、オイディプスに続く三部作の最終作で、前二作は散逸。オイディプスの息子エテオクレスとポリュネイケスの相討ちを描く。結末部(アンティゴネが埋葬を宣言する場面)は後代の加筆とする説がある。
この出典が語っていること
アドラストス
- 七将に入るか: アイスキュロス『七将』とソポクレス『コロノスのオイディプス』の七人にはアドラストスがいない(代わりにエテオクロス)。エウリピデス『フェニキアの女たち』とアポロドーロスでは、アドラストス自身が七人の一人として門に立つ。 (『七将』375-676 /『コロノスのオイディプス』1313-1325 / 1134-1138 / 3.6.3)
アンピアラオス
- アイスキュロス『七将』では、七人の中で最も節度ある予言者として描かれる。ホモロイスの門で味方のテュデウスを罵り、ポリュネイケスには祖国を攻める所業を責めて、自分は敵地の下に葬られて大地を肥やすだろうと予言する。盾には図柄が無く、その理由は「最善に見えることではなく、最善であることを望む」からだとされる。 (568-596(盾 590-594))
- ピンダロスは、七つの火葬の火が燃え尽きたあと、アドラストスがテーバイで「わが軍の目を失って寂しい、予言者としても槍の使い手としても優れた男を」と嘆いたと歌う。予言者と戦士の両方を兼ねた人物像は、アイスキュロスの「戦いに勇む予言者」と重なる。 (『オリュンピア祝勝歌』6.12-17 /『七将』568-569)
- 関係: enemy → tydeus (『七将』570-575 / 3.6.8)
- 関係: participated_in → seven-against-thebes (『オデュッセイア』15.246-247 /『七将』568-625 / 1109-1112 / 3.6.2-8)
アンティゴネ
- アイスキュロス『テーバイ攻めの七将』(前467年)の結末にも、ポリュネイケスの埋葬禁止に逆らうアンティゴネが登場する。ただしこの結末部は、ソポクレスの作品の影響を受けて後から書き加えられたとする説がある。 (1005-1078。後代の加筆説の出典箇所は未確認)
カパネウス
- アイスキュロスの形(前467年): エレクトラの門に立つ巨漢。神が望もうと望むまいと町を滅ぼすと言い、ゼウスの雷も真昼の日差しほどにしか思わない。盾には松明を持つ裸の男と「町を焼く」の金文字。エテオクレスは、その雷こそ正しく彼に落ちるだろうと応じ、守将ポリュポンテスを当てる。 (422-451)
- もう一つの人物像: エウリピデス『嘆願する女たち』では、遺体を取り戻したあとアドラストスが死者を一人ずつ讃え、カパネウスについて、豊かでありながら財を誇らず、貧しい隣人を見下さず、節度を重んじ、約束を必ず守る男だったと語る。悲劇『七将』の傲慢な姿とは正反対の描き方で、同じ作家の『フェニキアの女たち』とも食い違う。 (『嘆願する女たち』857-871 /『七将』422-451 /『フェニキアの女たち』1172-1186)
- 関係: participated_in → seven-against-thebes (『七将』422-451 / 1128-1133, 1172-1186 / 3.6.3, 3.6.7 /『コロノスのオイディプス』1318-1319)
- 関係: enemy → zeus (『七将』427-431, 440-446 ゼウスの雷も真昼の日差しほどにしか思わないと豪語 / 1172-1176)
エテオクレス
- アイスキュロスの形(前467年): 劇は、町を守る王としてのエテオクレスの演説で始まる。取り乱す女たちを叱り、斥候の報告に合わせて六つの門に守将を割り当て、第七の門にポリュネイケスが来ると知ると、止める女たちを振り切って自ら向かう。そこで初めて「父の呪いがいま果たされる」と、家の宿命を受け入れる。 (1-77, 181-202, 375-676(第七の門 653-676)、714(「第七の門へ行くな」))
- 関係: child → oedipus (3.5.8 /『フェニキアの女たち』55-58 /『七将』654-655)
- 関係: sibling → polynices (『七将』631-676 / 69-76 / 3.5.8)
- 関係: killed → polynices (相討ち。『七将』804-819 /『フェニキアの女たち』1404-1424 / 3.6.8)
- 関係: ruler → thebes (『イリアス』4.385-386「力強いエテオクレスの館」/『七将』1-9 / 3.6.1)
- 関係: participated_in → seven-against-thebes (守る側の王。『七将』375-676 / 1090-1096 / 3.6.6)
イスメネ
- 悲劇でのイスメネは兄たちの死後も生きている。ソポクレス『アンティゴネ』では、クレオンの尋問の場面のあとは舞台に戻らない。アイスキュロス『テーバイ攻めの七将』の結末でも、兄たちの死が伝えられたあと、アンティゴネとイスメネの姉妹が嘆きに来ることが告げられる。 (『アンティゴネ』577-581 で退場し、以後登場しない /『七将』861-874。『七将』の結末部には後代の加筆説があるが、その出典箇所は未確認)
ライオス
- アイスキュロス『テーバイ攻めの七将』(前467年)の合唱隊は、アポロンがデルポイで三度「子なしで死ねば国は救われる」と告げたのに、ライオスが従わなかったことを「古い罪」と歌う。神託は国の存続にかかわる警告として語られる。アイスキュロスの三部作の第一作『ライオス』は失われている。 (742-757)
- 関係: advisee → apollo (デルポイの神託。『七将』745-749 / OT 711-714 /『フェニキアの女たち』17-20)
ポボスとデイモス
- アイスキュロスの『テバイ攻めの七将』では、テバイを攻める7人の将が黒縁の盾の上で牡牛をほふり、その血に手を触れて、アレス、エニュオ、そして血を好むポボスにかけて、町を落とすか死んでこの地を血で染めるかと誓う。 (42-48)
ポリュネイケス
- 名前の意味: アイスキュロス『七将』では、予言者アンピアラオスがポリュネイケスを呼ぶとき、名の後半を二度区切って強調する。後半の neikos は「争い」で、「多くの争いの人」と名前を突きつけたことになる。エテオクレスも後で「まさに名のとおりの男、ポリュネイケス」と言う。 (576-579, 658)
- 盾の図柄: アイスキュロスでは、金細工の男を女性が導く姿で、女性は「正義(ディケ)」を名乗り「私はこの男を連れ帰り、町と父の館を取り戻させる」と書かれている。エテオクレスは、正義が彼に寄り添ったことなど生まれてから一度も無い、と切り捨てる。エウリピデスでは、狂ったように駆けるポトニアイの牝馬が、仕掛けで回るように作られている。 (『七将』642-648, 662-671 /『フェニキアの女たち』1124-1127)
- 関係: sibling → eteocles (『七将』631-676 /『コロノスのオイディプス』1292-1296 / 69-76 / 3.5.8)
- 関係: killed → eteocles (相討ち。『七将』804-819 /『フェニキアの女たち』1404-1424 / 3.6.8)
- 関係: killed_by → eteocles (相討ち。『七将』804-819 /『フェニキアの女たち』1404-1424 / 3.6.8)
- 関係: participated_in → seven-against-thebes (『イリアス』4.376-381 /『七将』631-652 / 1123-1127 / 3.6.1-8)
テーバイ攻めの七将
- アイスキュロス『テーバイ攻めの七将』(前467年)の顔ぶれ: 斥候が一人ずつ報告し、エテオクレスが守将を当てていく。テュデウス(プロイトスの門)対メラニッポス、カパネウス(エレクトラの門)対ポリュポンテス、エテオクロス(ネイストスの門)対メガレウス、ヒッポメドン(オンカのアテナの近くの門)対ヒュペルビオス、パルテノパイオス(北の門、アンピオンの墓の向かい)対アクトル、アンピアラオス(ホモロイスの門)対ラステネス、そして第七の門のポリュネイケスには、エテオクレス自身が向かう。アドラストスは七人に入っていない。ソポクレス『コロノスのオイディプス』のポリュネイケスが挙げる七人も同じ顔ぶれ。 (『七将』375-676 /『コロノスのオイディプス』1313-1325)
- 盾の図柄: アイスキュロスでは、カパネウスの盾には松明を持つ裸の男と「町を焼く」の文字、ポリュネイケスの盾には彼を連れ帰る「正義(ディケ)」の女神が描かれる。アンピアラオスの盾だけは図柄が無く、「最善に見えることではなく、最善であることを望む」からだと語られる。エウリピデスでは、パルテノパイオスの盾に母アタランテが猪を射る姿、カパネウスの盾に町を担ぎ上げる巨人、アドラストスの盾にアルゴスの誇りである百の蛇のヒュドラが描かれる。 (『七将』422-436, 590-594, 642-648 /『フェニキアの女たち』1104-1109, 1128-1138)
- 関係: has_episode → eteocles (第七の門でポリュネイケスと一騎打ちし、相討ち。『七将』804-819 /『フェニキアの女たち』1356-1424 / 3.6.8)
- 関係: participant → polynices (『イリアス』4.376-378 / 『七将』631-652 / 1123-1127 / 3.6.1-3)
- 関係: located_at → thebes (攻められた町)
テュデウス
- アイスキュロス『七将』では、プロイトスの門に陣取り、予言者アンピアラオスが凶兆を理由にイスメノス川を渡らせないのに苛立って、真昼の蛇のようにわめき、彼を臆病者となじる。盾には星空と満月が描かれている。対するアンピアラオスは、テュデウスを「人殺し、町の騒乱の元、アルゴスへの禍の教師」と罵る。 (377-394, 570-575)
- 関係: enemy → amphiaraus (『七将』570-575 アンピアラオスがテュデウスを「人殺し、禍の教師」と罵る / 3.6.8 自分に逆らって出兵させたテュデウスを憎む)
- 関係: participated_in → seven-against-thebes (『イリアス』4.376-398, 14.114 /『七将』377-394 / 1119-1122 / 3.6.3-8)