出典 · ローマ期
名婦の書簡
オウィディウス · 前15年頃 · Heroides
ペネロペ、ブリセイス、オイノネ、パリス、ヘレネらの書簡体詩。
日本語訳: 高橋宏幸訳『ヘーローイデス 女性たちのギリシア神話』平凡社ライブラリー(全21歌の全訳) · 原文・参考リンク ↗
この出典が語っていること
ブリセイス
- オウィディウス『名婦の書簡』第3歌はブリセイスからアキレウスへの手紙という形をとる。返されないことを責め、贈り物ではなく自分自身を取り返しに来てほしいと訴える。『イリアス』でほぼ沈黙している人物が、語る主体として書き直されている。 (3(全体))
ダナイデス
- ホラティウスは、夫を助けたヒュペルムネストラを「見事な嘘つき(splendide mendax)」と呼び、父を欺いて夫を逃がした彼女の言葉を詠む。オウィディウス『名婦の書簡』にも、彼女が夫リュンケウスに宛てた手紙の形の詩がある。 (『歌章』3.11.33-52 /『名婦の書簡』14)
ディド
- オウィディウス『名婦の書簡』第7歌は、去っていくアイネイアスにディドが書いた手紙の形をとる。お腹に子がいるかもしれないとまで訴え、墓碑に刻む二行を自分で用意して終わる。 (7.133-136(身ごもっているかもしれない)、7.193-196(墓碑銘))
- 関係: lover → aeneas (『アエネイス』4.160-172 嵐の中の洞窟で結ばれる。オウィディウス『名婦の書簡』7 はディドがアイネイアスに宛てた手紙)
パリスの審判
- オウィディウス『名婦の書簡』16では、パリスがヘレネに宛てた手紙の中で審判の一部始終を自ら語る。三女神が服を脱いで身を見せたという描写など、後世の絵画に繋がる要素はここで強められている。 (16(パリスからヘレネへ))
オイノネ
- オウィディウス『名婦の書簡』第5歌は、捨てられたオイノネがパリスに宛てた手紙という形をとる。イダ山の木に二人の名が刻まれているという描写が有名で、後世の詩人に繰り返し引かれた。 (5(オイノネからパリスへ))
- 関係: lover → paris (アポロドーロス 3.12.6、『名婦の書簡』5(オイノネからパリスへ))
- 関係: enemy → helen (書簡5でヘレネへの嫉妬と恨みを述べる)
パリス
- 審判の詳細(三女神がそれぞれ権力・武勇・最も美しい女を約束し、パリスがアプロディテを選ぶ)は『イリアス』の外で語られる。『キュプリア』要約、エウリピデス、アポロドーロス、オウィディウスと繰り返し語り直された。 (『キュプリア』要約(プロクロス)、エウリピデス『トロイアの女』924-937、アポロドーロス摘要 3.2、『名婦の書簡』16(パリスからヘレネへ))
パイドラ
- オウィディウスの『名婦の書簡』には、パイドラがヒッポリュトスに宛てて恋を打ち明ける手紙という形の詩がある。悲劇では語られない、口説く側の言葉として書かれている。 (第4歌(パイドラからヒッポリュトスへ))