出典 · 古典期(悲劇・歴史)
国家
プラトン · 前375年頃 · Republic
対話篇。第10巻末尾の「エルの物語」(614b-621d)で、死後の魂の裁きと生まれ変わりを語る。
この出典が語っていること
人間の五つの時代
- プラトン『国家』では、同じ金属の序列が国家の身分の神話に使われる。神は支配者に金を、補助者に銀を、農民や職人に鉄と銅(青銅)を混ぜて作った。鉄や銅の守護者が国を守るとき国は滅びる、という神託があると語らせる。 (3.415a-c(ギリシャ語本文で確認))
アナンケ
- プラトン『国家』の最後で語られるパンピュリアの兵士エルの物語では、天を束ねる光の端から「必然の女神の紡錘」が伸び、すべての天球の軌道がそれを軸に回る。紡錘は必然の女神の膝の上で回り、八つの輪の上にセイレンが一人ずつ立って一つの音を発し、全体で一つの調和をなす。まわりには必然の女神の娘であるモイラたち(ラケシス、クロト、アトロポス)が白い衣で玉座に座り、ラケシスは過去を、クロトは現在を、アトロポスは未来を歌う。次の生を選んだ魂は、クロトとアトロポスのもとで運命を確かめられ、必然の女神の玉座の下をくぐってから忘却の平野へ向かう。 (10.614b、616b-617d、620e-621a(Shorey 英訳))
- 関係: parent → moirai (10.617c 「必然の女神の娘たち、モイラたち」)
ギガントマキア
- プラトン『国家』は、国の守護者に聞かせる物語から、神々と英雄の身内どうしの争いと並べて、ギガントマキアを物語ることも刺繍などで飾り立てること(ποικίλλειν)も除くべきだとする。前4世紀には、この戦いが広く語られていたことがうかがえる。 (2.378c)
グラウコス(海の神)
- プラトン『国家』は、この世にある魂の姿を海のグラウコスにたとえる。波に打たれて体の一部は折れ、すり減り、そこへ貝や海藻や石がこびりついて、元の姿よりも獣のように見える。見えている姿から本来の姿を想像しなければならない、という比喩。 (10.611c-d)
レテ
- プラトン『国家』の「エルの物語」では、生まれ変わる前の魂は、灼けつくように暑く草木一本ない「レテ(忘却)の野」を進み、夕方「アメレス(放念)の川」のほとりで野営する。その水は器に留めることができず、定められた量を飲まねばならない。分別のない者は飲みすぎ、飲んだ者はみなすべてを忘れた。ここでは忘却の名は野のほうについていて、川の名は別。 (621a-b)
- プラトン『国家』のエルは戦死したパンピュリア人の兵士で、死後12日目、火葬の薪の上で生き返り、あの世で見たことを語った。 (614b)
モイラ
- プラトン『国家』の結びのエルの物語では、白い衣をまとい頭に飾り紐を巻いた必然の娘モイラたちがセイレンの調べに合わせて歌い、ラケシスは過去を、クロトは現在を、アトロポスは未来を歌う。ここでは三柱が時間の三つの相に割り振られている。 (10.617c)