出典 · 古典期(悲劇・歴史)
ヒッポリュトス
エウリピデス · 前428年上演 · Hippolytus
現存するのは改作版(『冠を捧げるヒッポリュトス』)で、前428年のディオニュシア祭で一等。先に上演された『覆面のヒッポリュトス』は断片のみ。冒頭にアプロディテ、結末にアルテミスが現れる。行番号で参照する。
この出典が語っていること
ヒッポリュトス
- 現存するエウリピデスの劇は、アプロディテが「自分を軽んじるヒッポリュトスを今日罰する」と宣言して始まる。パイドラは死ぬ前に「ヒッポリュトスに辱められた」と書いた書き板を手に残し、それを読んだテセウスは、ポセイドンが約束した三つの願いの一つで息子の死を願う。 (1-57(プロロゴス)、856-865(書き板)、885-890(呪い))
- トロイゼンを去る海沿いの道で、大波の中から牡牛が現れ、驚いた馬が戦車を岩にぶつけた。手綱に絡まったヒッポリュトスは引きずられて致命傷を負う。 (『ヒッポリュトス』1198-1242(牡牛は 1214-1215)、アポロドーロス 摘要 1.19)
- 劇の最後にアルテミスが現れて真相を明かし、トロイゼンでは結婚前の娘たちが彼のために髪を切って捧げる、と祭祀の起こりを告げる。悲劇がそのまま実在の土地の習慣の由来話になっている。 (1420-1430)
- エウリピデスはこの話を二度書いた。先の『覆面のヒッポリュトス』は失われ、パイドラが自分から言い寄る筋だったとされる。現存する前428年の改作では、パイドラは恋を隠そうとして乳母が仲立ちをする形に変わっている。 (先の版の内容は断片と古代の梗概からの推定)
- 死の間際、ヒッポリュトスはアルテミスに言われて父と和解し、父を血の穢れから解き放つと告げ、顔を覆ってくれと頼んで息を引き取る。 (1440-1458)
- 関係: child → theseus (『ヒッポリュトス』10-11、アポロドーロス 摘要 1.16, 1.18。父の呪い(887-890)で死ぬ)
- 関係: courted_by → phaedra (継母に恋される。摘要 1.18、『ヒッポリュトス』27-28)
- 関係: companion → artemis (15-19 アルテミスだけを敬い、狩りの伴をする。1420-1430 死後、アルテミスがトロイゼンでの祭祀を約束する)
- 関係: punished_by → aphrodite (1-22 恋と結婚を拒む彼に怒ったアプロディテが、罰を宣言する)
- 関係: killed_by → poseidon (テセウスの願いでポセイドンが海から牡牛を送る。『ヒッポリュトス』1214-1215、摘要 1.19、『変身物語』15.497-529)
パイドラ
- エウリピデスでは、パイドラの恋は、自分を軽んじるヒッポリュトスを罰したいアプロディテの仕掛け。パイドラはアテナイで彼を見て恋に落ち、トロイゼンを望む場所にアプロディテの社を建てた、とアプロディテ自身が語る。 (1-33)
- エウリピデスでは、乳母の仲立ちで恋を知ったヒッポリュトスに罵られたあと、パイドラは首を吊る。夫が帰る前に、「ヒッポリュトスに辱められた」と書いた書き板を手に残していた。訴えを残すのは死ぬ前。 (856-865(書き板)、885-886(告発の内容))
- エウリピデスのパイドラは、恋を黙って隠し、次に自制で打ち勝とうとし、それもかなわないと知って死を選ぶ。3日間食を断って床に伏せる。夫と子の名を汚さないためだと語る。 (131-140、391-425)
- 関係: spouse → theseus (摘要 1.16-18。アカマスとデモポンを産む)
- 関係: suitor → hippolytus (継子への一方的な恋。摘要 1.18、『ヒッポリュトス』27-28)
- 関係: stepparent → hippolytus (摘要 1.18、『ヒッポリュトス』27-28 テセウスの妻で、前妻の子ヒッポリュトスの継母)