出典 · 古典期(悲劇・歴史)
祝勝歌・ディテュランボス
バッキュリデス · 前5世紀前半(第5歌は前476年) · Epinicians and Dithyrambs
1896年にエジプトで見つかったパピルスで大部分が読めるようになった。第5歌(ヒエロンのための祝勝歌)で、冥界のメレアグロスがヘラクレスに自分の死を語る。燃えさし(薪)の話を語る現存最古級の詩。
この出典が語っていること
アルタイア
- 薪の形: メレアグロスが生まれたとき(アポロドーロスでは生後7日目)、運命の女神たちが「炉の薪が燃え尽きるとき、この子も死ぬ」と告げた。アルタイアは薪を火から取り出して水をかけ、奥にしまっておいたが、兄弟の死を知ると取り出して火に投じた。バッキュリデス(前476年)では「飾りのある箱から」取り出したとされる。 (バッキュリデス 5.136-144 / 1.8.2-3 / Met. 8.451-459, 8.511-514)
- アルタイアの兄弟たち(テスティオスの息子たち)は、猪狩りの参加者としてどの名簿にも入っている。名前は出典で違い、バッキュリデスではイピクロスとアパレス、オウィディウスではプレクシッポスとトクセウス、テゲアの破風(パウサニアス)ではプロトオスとコメテス。 (バッキュリデス 5.127-129 / Met. 8.440-444 / 8.45.6)
- 関係: parent → meleager (『イリアス』9.555 / バッキュリデス 5.136-140 / 1.8.2 / Met. 8.451-459)
- 関係: killed → meleager (運命の薪を燃やす。バッキュリデス 5.136-144 / 1.8.3 / Met. 8.460-525)
アタランテ
- ホメロスには登場しない。『イリアス』9歌のカリュドンの猪の話にも、バッキュリデス第5歌(前476年)の猪狩りにも出てこない。猪狩りの英雄としての姿が確かめられるのは、エウリピデス『フェニキアの女たち』(前410年頃)の盾の図柄や、ローマ期のアポロドーロス、オウィディウスから。 (『イリアス』9.529-599 / バッキュリデス 5.93-154 /『フェニキアの女たち』1104-1109。「登場しない」は現存本文の範囲での確認)
カリュドンの猪狩り
- バッキュリデスの形(前476年): 冥界でメレアグロスの亡霊がヘラクレスに語る。「ギリシャの最良の者たち」が六日間続けて猪と戦い、アンカイオスとメレアグロスの兄弟アゲラオスが牙にかかって死んだ。名が挙がるのはこれだけで、ここにもアタランテはいない。その後、皮をめぐってクレテス人と戦った。 (5.93-135(六日間 5.111-113、アンカイオスとアゲラオス 5.115-120))
- 関係: participant → artemis (猪を送った女神。『イリアス』9.538-542 / バッキュリデス 5.97-110 / 1.8.2 / Met. 8.279-283)
- 関係: has_episode → althaea (結末。兄弟を殺された母が運命の薪を燃やす。バッキュリデス 5.136-144 / 1.8.3 / Met. 8.445-525)
メレアグロス
- 死に方(2)燃えさしの薪: 生まれて7日目に運命の女神たちが現れ、炉で燃えている薪が燃え尽きるとき子も死ぬと告げた。母は薪を取り出して箱にしまったが、息子が兄弟を殺したと知って薪を火に投じ、メレアグロスは遠く離れた場所で体の内から焼かれるように死んだ。現存する詩ではバッキュリデス(前476年)が早い例。パウサニアスによれば、劇に初めて仕立てたのはプリュニコスの『プレウロンの女たち』だが、彼は自分で考えた話としてではなく、ギリシャ中で知られた話として軽く触れているという。 (バッキュリデス 5.136-154 / 10.31.4 / 1.8.2-3 / Met. 8.451-525)
- 殺した母の兄弟の名も出典で違う。バッキュリデスではイピクロスとアパレス(クレテス人との戦闘中に、狙ったのではなく乱戦で)。オウィディウスではプレクシッポスとトクセウスで、アタランテから皮を奪ったことに怒って刺す。ヒュギヌスはイデウス、プレクシッポス、リュンケウスの名を挙げる。アタランテをめぐる争いに変わるのは後代の形で、ホメロスとバッキュリデスには恋の要素が無い。 (バッキュリデス 5.125-135 / Met. 8.425-444 / 『神話伝説集』174 / 1.8.2-3)
- 冥界でヘラクレスと出会う: バッキュリデスの祝勝歌では、ケルベロスを連れに冥界へ降りたヘラクレスが、鎧姿のメレアグロスの亡霊を見て矢をつがえる。メレアグロスが自分の死を語ると、ヘラクレスは生涯でこの時だけ涙を流し、「きみに似た未婚の姉妹はいないか」と尋ねる。メレアグロスが名を挙げたのがデイアネイラで、のちにヘラクレスの妻となり、彼の死の原因となる。 (5.56-175(涙 5.155-158、デイアネイラ 5.165-175))
- 関係: child → oeneus (『イリアス』9.543「オイネウスの子メレアグロス」/ 1.8.2 / バッキュリデス 5.97)
- 関係: killed_by → althaea (運命の薪を燃やされる。バッキュリデス 5.136-154 / 1.8.3 / Met. 8.511-525。『イリアス』9.565-572 では呪いのみ)
- 関係: sibling → deianira (バッキュリデス 5.170-175 冥界でヘラクレスに妹デイアネイラを勧める / 1.8.1(デイアネイラはディオニュソスの子という説も))
- 関係: participated_in → calydonian-boar-hunt (『イリアス』9.543-546 / バッキュリデス 5.93-135 / 1.8.2 / Met. 8.299-444)
- 関係: visited_by → herakles (5.56-175 ケルベロスを連れに冥界へ降りたヘラクレスが、メレアグロスの亡霊と出会う)
オイネウス
- 関係: parent → deianira (1.8.1(ディオニュソスの子とする説も)/ バッキュリデス 5.165-175「オイネウスの館の娘」)
- 関係: enemy → artemis (『イリアス』9.533-540 / バッキュリデス 5.97-104 / 1.8.2 / Met. 8.273-283)