出典 · 古拙期(ヘシオドス・叙事詩圏)
テレゴニア
エウガンモン(伝) · 前6世紀頃 · Telegony
叙事詩環。オデュッセウスの帰還後の物語と、キルケとの子テレゴノスによる死を扱う。要約のみ現存。
日本語訳: 中務哲郎訳『ホメロス外典/叙事詩逸文集』京都大学学術出版会(西洋古典叢書 G113)、2020。プロクロス梗概と断片の訳を収める
この出典が語っていること
キルケ
- 関係: parent → telegonus (Epit. 7.16 オデュッセウスとの間に生まれた子)
オデュッセウス
- 叙事詩環『テレゴニア』の要約では、キルケとの子テレゴノスがイタケと知らずに略奪に来て、父と知らずにオデュッセウスを殺す。アポロドーロス摘要7.36は、その槍の穂先がエイの棘だったとする。 (プロクロス要約。アポロドーロス Epit. 7.36)
- 関係: parent → telegonus (キルケとの子。Epit. 7.16)
テレゴノス
- 『イリアス』にも『オデュッセイア』にも登場しない。ホメロスはオデュッセウスとキルケの間の子に一切触れず、この人物は叙事詩環『テレゴニア』とその系統の資料にのみ現れる。 (プロクロス要約。『テレゴニア』は本文が失われ、要約と断片のみ現存)
- 父を探してイタケに渡り、その島と知らずに家畜を奪う。防ごうとしたオデュッセウスを、エイの棘を穂先に付けた槍で突き、父と知らぬまま殺す。 (アポロドーロス Epit. 7.36)
- テイレシアスが「死は海から(エクス・ハロス)穏やかに来る」と告げた予言(『オデュッセイア』11.134-137)は、海の生き物であるエイの棘によって成就した、と読むことができる。ホメロスの予言と『テレゴニア』を繋ぐ古来の解釈。 (『オデュッセイア』11.134-137 と『テレゴニア』要約の対比)
- 『テレゴニア』の要約では、この後テレゴノスはペネロペイアを、テレマコスはキルケを娶り、キルケは二人を祝福の島へ送ったとされる。父の妻と子、母と義理の子が入れ替わる後日談。 (Epit. 7.37。アポロドーロスはテレゴノスとペネロペイアの結婚までを記す)
- 関係: child → odysseus (Epit. 7.16 キルケが産んだオデュッセウスの子)
- 関係: child → circe (Epit. 7.16)
- 関係: spouse → penelope (Epit. 7.37 父の遺骸とペネロペイアをキルケのもとへ運び、そこで彼女を妻とする)
テレマコス
- 異伝: 『テレゴニア』の要約では、オデュッセウスの死後にテレマコスはキルケと結婚し、テレゴノスはペネロペイアと結婚したとされる。ホメロスの外での後日談。 (プロクロス要約)
トロイア戦争
- 発端から帰還までは「叙事詩環(エピック・キュクロス)」と呼ばれる一群の詩が埋めていた。『キュプリア』(発端〜開戦)、『アイティオピス』(アキレウスの死)、『小イリアス』(武具争い〜木馬)、『イリオスの陥落』(落城)、『帰還』(諸将の帰路)、『テレゴネイア』(オデュッセウスの後日談)。いずれも散逸し、プロクロスの要約と断片からしか内容が分からない。「よく知られた話」の多くが、実はこの失われた詩の要約に由来する。 (プロクロス『文学便覧』の要約)