おとめ座

おとめ座(乙女座)の乙女は、人間に愛想を尽かして天へ去った女神だ、という話がある。紀元前3世紀のアラトスが星座を題材に書いた詩『星辰譜』によれば、この女神はむかし地上で人間とともに暮らし、広場や大通りに長老たちを集めては、人々のためになる裁きを説いていた。人々は彼女を「正義」と呼んだ。争いも戦もなく、船で遠くへ出る者もいない金の時代のことである。銀の時代になると、女神は夕方に山からひとりで下りてきて、人々の悪い行いを叱るだけになった。そして青銅の時代、人間が初めて悪事のための剣を鍛え、畑を耕す牛まで食べるようになったとき、女神はこの種族を嫌って天へ飛び去った。いまも夜空に見える乙女がその姿だという。ローマ時代のヒュギヌスの『天文譜』もこの話を紹介しつつ、同じ星座を実りの女神ケレス(デメテル)や幸運の女神とする人もいて意見が合わない、それは乙女の頭のあたりの星が暗すぎるからだ、と書いている。英語の Virgo はラテン語で「乙女」の意味で、1000年ごろから使われている。
ヘレニズム星辰譜(パイノメナ)ローマ期天文譜近現代オンライン語源辞典近現代国立天文台 公式サイト
