ギリシャ神話が語源の言葉

おおぐま座・こぐま座

ディアナ(アルテミス)と従者のカリスト。ティツィアーノの作。
ディアナ(アルテミス)と従者のカリスト。ティツィアーノの作。ティツィアーノ『ディアナとカリスト』1556〜1559年・Public domain

国立天文台によれば、北斗七星はそれ自体では88星座に数えられず、もっと広いおおぐま座の一部である。そのおおぐま座の熊は、熊に変えられた娘カリストだ。ローマ時代のヒュギヌスの『天文譜』によれば、カリストは女神アルテミスに仕える狩りの娘だったが、ゼウスに身ごもらされ、熊の姿に変えられた。変えたのはアルテミスだとも、ヘラだとも、ゼウス自身だとも伝えられる。のちに成長した息子が、それと知らずに母の熊を追いつめたとき、ゼウスが二人を哀れんで星にした。この星座は一年中沈まない。同じ本によれば、それはヘラの育ての親である海の女神テテュスが、夫の浮気相手を海に迎え入れようとしないからだという。こぐま座のほうは、幼いゼウスを育てたニンフの一人だとする説があり、その名キュノスラは、ギリシャ語で「犬のしっぽ」の意味にもなる。語源辞典によれば、英語の cynosure(人の目を集めるもの、注目の的)はこの星座の古い名から来ていて、1590年代から使われている。しっぽの先に、航海の目印になる北極星があるからである。もっとも、古代にはこの星はまだ北極星ではなかった。ヒュギヌスによれば、こぐま座は、それを頼りに航海するフェニキア人にちなんで「フェニキアの熊」とも呼ばれた。

ローマ期天文譜近現代オンライン語源辞典近現代国立天文台 公式サイト

元になった神話

カリストアルテミスに従って処女の誓いを立てた狩りの娘。ゼウスに身ごもらされ、熊に変えられた末、息子アルカスとともに星座(大熊座・小熊座)にされた。ホメロスは「海に沈まない熊座」を歌うだけで、その理由をカリストの物語で説明するのは後代の詩人たち。北極 arctic の「熊」ともつながる。

カリストから来たほかの言葉