ギリシャ神話が語源の言葉

へびつかい座

蛇の巻きついた杖のそばに立つアスクレピオス。
蛇の巻きついた杖のそばに立つアスクレピオス。作者不詳『エピダウロスのアスクレピオス』160年ごろのローマの写し(元は前4世紀のギリシャの像。コモンズの説明による)・CC0

へびつかい座は、蛇を両手で抱える男の姿の星座で、その男は医術の神アスクレピオスだとする星の学者が多かった。ローマ時代のヒュギヌスの『天文譜』によれば、アスクレピオスは人間の中で並ぶ者のない名医だったが、痛みを和らげるだけでは満足できず、ついには死んだ人まで生き返らせた。継母の企みと父の思い違いで命を落とした若者を治したのが、その最後だったという。ゼウスはこれを罪として雷で彼の家を焼いたが、その技と父アポロンに免じて、蛇を持つ姿で星のあいだに置いた。なぜ蛇を持っているのかについて、同じ本はこんな話も伝える。クレタ王ミノスの死んだ息子を治すよう命じられ、杖を手に考え込んでいると、蛇が杖に這い寄ってきた。杖で打ち殺すと、もう一匹の蛇が薬草をくわえて現れ、死んだ蛇の頭にのせた。すると二匹とも逃げていった。その草で、彼は少年を生き返らせた。こうして蛇はアスクレピオスに守られる生き物として星にもなり、医者が蛇を使う習わしもそこから始まったという。ただし、この星座をヘラクレスなど別の人物とする説も並べられている。英語の Ophiuchus はギリシャ語で「蛇を持つ者」の意味で、1650年代から。語源辞典によれば、この星座は今の境界では黄道の帯に入り込んでいて、太陽は11月30日ごろから12月18日ごろまでここを通る。

ローマ期天文譜近現代オンライン語源辞典近現代国立天文台 公式サイト

元になった神話

アスクレピオス医術の神。アポロンとコロニスの子で、ケンタウロスのケイロンに育てられて医術を学び、ついには死者まで生き返らせたためにゼウスの雷で打たれた。ホメロスでは神ではなく、トロイアに従軍した軍医マカオンとポダレイリオスの父である「非の打ちどころのない医者」にすぎない。杖に蛇が巻きついた「アスクレピオスの杖」は、今もWHOの紋章などに医療の象徴として使われている。

アスクレピオスから来たほかの言葉