ギリシャ神話が語源の言葉

かんむり座

ナクソス島に置き去りにされたアリアドネ(左)のもとへ、ディオニュソスが現れる。ティツィアーノの絵。
ナクソス島に置き去りにされたアリアドネ(左)のもとへ、ディオニュソスが現れる。ティツィアーノの絵。ティツィアーノ『バッカスとアリアドネ』1520〜1523年・Public domain

かんむり座(冠座)の冠は、クレタの王女アリアドネの冠である。ローマ時代のヒュギヌスの『天文譜』によれば、酒の神ディオニュソスがアリアドネと結婚したとき、神々がこぞって贈り物をし、アリアドネはアフロディーテと季節の女神たちからこの冠を受け取った。のちにディオニュソスが、この冠を星のあいだに置いた。同じ本には、こんな伝えもある。冠は鍛冶の神ヘパイストスが金とインドの宝石で作ったもので、英雄テセウスは、暗闇の中で光を放つこの冠の輝きのおかげで、迷宮の闇から外へ出られたのだという。迷宮を抜け出す道しるべといえば「アリアドネの糸」が有名だが、糸ではなく冠だったとする話もあったわけである。語源辞典によれば、この星座はほかの星座よりずっと名前どおりの形をしていて、ギリシャ人は「花の冠」と呼び、ローマ時代からは「アリアドネの冠」と呼ばれた。ラテン語の corona は「冠」の意味で、皆既日食のとき太陽のまわりに見える光の輪「コロナ」も、1809年からこの言葉で呼ばれている。

ローマ期天文譜近現代オンライン語源辞典近現代国立天文台 公式サイト

元になった神話

アリアドネクレタ王ミノスの娘。テセウスに恋して迷宮から戻るための糸玉を渡したが、ナクソス(ディア)島に置き去りにされ、ディオニュソスの妻になった。その最期は資料によって驚くほど違う。

アリアドネから来たほかの言葉