出典 · 古典期(悲劇・歴史)
クリティアス
プラトン · 前4世紀 · Critias
『ティマイオス』の続きの対話篇。古のアテナイとアトランティス島の国土・都・王たちの掟を詳しく描き、ゼウスが神々を集めて語り出すところ(121c)で文の途中で終わっている。ステファヌス版の頁・段で参照する。
この出典が語っていること
アトランティス
- アトランティスの話は、プラトンの『ティマイオス』と『クリティアス』が初出で、それ以前の叙事詩や悲劇には見えない。作中では、クリティアスが祖父から、祖父はソロンから、ソロンはエジプトのサイスの神官から聞いた話という形をとる。 (『ティマイオス』20d-21e、『クリティアス』113a-b)
- 9000年前、アトランティスの王たちはリビュアをエジプトまで、ヨーロッパをテュレニア(イタリア中部)まで支配し、地中海内側の全土を一挙に隷属させようとした。アテナイはギリシャ勢を率い、見捨てられて孤立しても勝ち抜いて侵略者を退けた。 (『ティマイオス』23e、25a-c、『クリティアス』108e)
- その後の大地震と洪水で、一日と一夜のうちにアテナイの戦士たちは大地に呑まれ、アトランティスは海に沈んだ。沈んだ島が残した泥の浅瀬のため、その海は今も航行できないとされる。 (『ティマイオス』25c-d、『クリティアス』108e)
- 神々がくじで土地を分けたとき、ポセイドンがアトランティスを得た。島の地から生まれたエウエノルとレウキッペの一人娘クレイトを妻とし、その丘を陸の輪二つと海の輪三つで囲んで近づけないようにし、温かい泉と冷たい泉を湧かせた。 (109b-c、113c-e)
- クレイトは5組の双子を産み、ポセイドンは島を十に分けて、長男アトラスを王とした。島の名と「アトランティコス」の海の名はこのアトラスから来ていると書かれる。アトラスの双子の弟は、ギリシャ語でエウメロス、土地の言葉でガデイロスで、ヘラクレスの柱近くのガデイラ(現在のカディス)の名の由来かもしれないとされる。 (114a-c)
- プラトンの王アトラスはポセイドンとクレイトの子で、ヘシオドスが語る、イアペトスの子で天を支える巨人アトラスとは別人である。大西洋(Atlantic)の名を、北アフリカのアトラス山にちなむ「アトラスの海」とする説明もある。 (『クリティアス』114a、『神統記』507-520、ヘロドトス1.202.4、etymonline「Atlantic」)
- 島では、金に次いで尊い金属オリハルコンが各地で採れた。当時は名前だけでなく実物があった、と作中では語られる。都の外側の城壁は青銅、内側は錫、城塞はオリハルコンで覆われ、火のように輝いた。 (114e、116b-c)
- 島は木材・獣・香料・果実に富み、象も多数いたと書かれる。 (114e-115b)
- 中心にはクレイトとポセイドンの聖域と、長さ1スタディオンのポセイドン神殿があり、外側は銀、屋根飾りは金、内部の天井は象牙に金銀とオリハルコンをあしらっていた。六頭の翼ある馬の戦車に立つポセイドンの黄金像は頭が天井に届き、イルカに乗った百人のネレイスが囲んでいた。 (116c-e)
- 十人の王は5年目と6年目にかわるがわる集まり、ポセイドンの聖域の牛を鉄を使わず棒と縄で捕らえて、掟を刻んだオリハルコンの柱の上で屠り、血を碑文に注いで誓った。夜には濃い色の衣をまとって火を消し、互いを裁いて判決を金の板に記した。 (119c-120c)
- 王たちは長く徳を保ったが、神の性質が人間の性質に薄められると、欲と力にとらわれた。ゼウスは彼らを懲らしめようと神々を宇宙の中心の住まいに集め、語り出す。『クリティアス』はその言葉が始まる直前で、文の途中で終わっている。 (120d-121c)
- 関係: owned_by → poseidon (113c くじで島を得る)
- 関係: enemy → athens (『ティマイオス』24e-25c、『クリティアス』108e)
- 関係: punished_by → zeus (121b-c 罰を与えようと神々を集める(本文はここで途切れる))
- 関係: companion → nereids (116e ポセイドンの神殿の百人のネレイスの像)