出典 · ローマ期
対話篇(神々の対話・海神たちの対話)
ルキアノス · 2世紀後半 · Dialogues of the Gods / Dialogues of the Sea-Gods
神話を風刺的に語り直す短編対話集。『海神たちの対話』5(パノペとガレネ)は、エリスが投げ込んだ黄金の林檎に「美しい者が私を取れ」と銘が刻まれていたとする。銘入りの林檎を明記する現存最古級の典拠。『神々の対話』20 も同じ場面を扱う。
この出典が語っていること
ガラテイア
- 2世紀のルキアノスの小対話では、ネレイデスの姉妹ドリスが、一つ目の羊飼いに好かれてうぬぼれるガラテイアをからかう。「あの人がほめたのは白い肌だけ。チーズや乳に似ているからでしょう」と。ガラテイアの白さを乳にたとえるのは、テオクリトス以来の言葉遊び。 (ルキアノス『海神たちの対話』1 /『牧歌』11.20)
- 関係: courted_by → polyphemus (『牧歌』11、6 / Met. 13.755-869 / ルキアノス『海神たちの対話』1(ドリスとガラテイア))
黄金の林檎
- 「最も美しい女神へ」という銘が林檎に刻まれていた、という形は古い出典には無い。確認できるかぎり最も古く銘を明記するのは2世紀のルキアノスで、『海神たちの対話』5 では、エリスが宴に投げ込んだ黄金の林檎に「美しい者が私を取れ」と書かれており、ヘルメスがそれを読み上げる。 (ルキアノス『海神たちの対話』5(パノペとガレネ)。ヒュギヌス92 は銘ではなく「最も美しい者が取るように」という声の形(本文確認済み)。OCD「Judgement of Paris」「Eris」の項)
ヒュアキントス
- 西風ゼピュロスの嫉妬説: ヒュアキントスに恋していたが相手にされなかったゼピュロスが、タユゲトス山から吹き下ろして円盤の向きを変え、少年の頭に当てた。ルキアノスではアポロンがヘルメスにそう打ち明ける。パウサニアスも「西風のこと、アポロンが意図せず殺したこと、花の話」を伝承として挙げたうえで、事実ではないかもしれないと付け加えている。 (ルキアノス『神々の対話』14(Fowler 訳の番号)/ パウサニアス 3.19.5)
ゼピュロス
- ルキアノスの『神々の対話』では、アポロンがヘルメスに、ヒュアキントスの死は、少年に恋していた西風の嫉妬のせいだと打ち明ける。西風がタユゲトス山から吹き下ろして円盤を少年の頭に当てた。パウサニアスも、アミュクライの祭壇の話のあとで「西風のこと、アポロンが意図せずヒュアキントスを殺したこと、花の話」を、事実ではないかもしれない伝承として挙げる。 (ルキアノス『神々の対話』14(Fowler 訳の番号)、パウサニアス3.19.5)
- 関係: killed → hyacinthus (ルキアノス『神々の対話』14 嫉妬した西風が円盤を少年の頭に当てる。パウサニアス3.19.5 は言い伝えとして挙げる。オウィディウス『変身物語』10.174-219 では西風は出ず、事故として語られる)