ギリシャ神話が語源の言葉

マーキュリー計画

片手を上げて語りかける、弁論のヘルメス像。
片手を上げて語りかける、弁論のヘルメス像。作者不詳『弁論のヘルメス(ヘルメス・ロギオス)』1世紀末〜2世紀初めのローマの写し(元は前5世紀のギリシャの像。コモンズの説明による)・Public domain

アメリカが初めて人間を宇宙へ送った計画が、マーキュリー計画である。NASAの公式の歴史によると、名前を決めるとき、現場の責任者は宇宙飛行士の存在を前に出す「プロジェクト・アストロノート」を推したが、乗る人の個性ばかりが注目されかねないとして退けられた。代わりにNASAのシルバースタインが推したのが、神々の使者メルクリウス、つまりギリシャのヘルメスだった。ゼウスの息子で、翼のあるサンダルと兜と杖を持つこの神は、アメリカ人にいちばんなじみのあるオリュンポスの神で、象徴としてこれ以上ない、と考えられた。1958年11月26日に名前が決まり、ライト兄弟の初飛行から55年目の12月17日に発表された。同じ本は、神話にくわしい人に相談していたら、この神が盗みの名人で商売の神でもあることが笑い話になって、名前は通らなかったかもしれない、とも書いている。さらに、神々の伝令としての役目を果たしてくれるのか、それとも死者を冥界へ送る役目のほうなのかとギリシャ人なら気をもむところだが、アメリカ人はそんな心配はしないだろう、と冗談めかしている。

近現代この新しき大洋 ― マーキュリー計画の歴史(NASA SP-4201)

元になった神話

ヘルメス神々の伝令であり、境界と旅人と盗人と商人の神。生まれたその日に竪琴を発明し、アポロンの牛を盗んだ。魂を冥界へ導く役目も担い、生と死、神と人の境を行き来する神として描かれる。

ヘルメスから来たほかの言葉