ギリシャ神話が語源の言葉

かに座

鎌首をもたげるヒドラと、立ち向かうヘラクレス。モローの絵。
鎌首をもたげるヒドラと、立ち向かうヘラクレス。モローの絵。ギュスターヴ・モロー『ヘラクレスとレルネのヒドラ』1876年・Public domain

かに座(蟹座)の蟹は、ヘラクレスの足に噛みついた蟹である。ヒュギヌスの『天文譜』によれば、ヘラクレスが沼で怪物ヒドラと戦っていたとき、沼から出てきた蟹が彼の足をはさんだ。怒ったヘラクレスは蟹を殺してしまう。けれども女神ヘラがその蟹を星のあいだに置き、太陽の通り道に並ぶ十二の星座の仲間に入れた。英雄の足をはさんだだけで殺された小さな蟹が、星占いの12星座の一つとして残ったわけである。英語の cancer はラテン語で「蟹」。これが病気の「がん」の名にもなった。語源辞典によれば、ギリシャ語の karkinos も蟹・腫瘍・星座の三つの意味を持ち、古代の医者ヒッポクラテスやガレノスらが、血管が浮き出て腫れた腫瘍を蟹に似ていると書き残している。

ローマ期天文譜近現代オンライン語源辞典近現代国立天文台 公式サイト

元になった神話

ヒドラアルゴス近くのレルネの沼に棲んだ多頭の水蛇。首を切るとそこから新しい首が生えた。ヘラクレスが甥イオラオスの助けで倒し、その胆汁(毒)に浸した矢が、のちにケンタウロスのネッソス、さらにヘラクレス自身の死を招く。

ヒドラから来たほかの言葉