おひつじ座

星占いでおなじみのおひつじ座(牡羊座)の羊は、ただの羊ではない。ローマ時代の星座の本、ヒュギヌスの『天文譜』によれば、命をねらわれた兄妹を背に乗せて空を逃げた、金の毛皮の雄羊である。妹は途中で海に落ちて死に、その海峡は彼女の名からヘレスポントスと呼ばれるようになった。兄はコルキスにたどり着き、羊をゼウスに捧げ、金の毛皮を神殿に掛けた。のちにイアソンとアルゴ船の英雄たちが取りに行く金羊毛が、これである。羊の姿は、兄妹の母が星のあいだに置いたという。星の本はもう一つ別の伝えも書き留めている。羊は自分で金の毛皮を脱いで少年に形見として渡し、自分だけが星になった。だからこの星座は暗く見えるのだ、と。英語の Aries はラテン語で「雄羊」の意味で、星座の名としては古英語の終わりごろから使われている。
ローマ期天文譜ローマ期神話集(ファブラエ)近現代オンライン語源辞典近現代国立天文台 公式サイト