ギリシャ神話が語源の言葉

おひつじ座

雄羊の背にまたがり、魚の泳ぐ海の上を駆ける若者。
雄羊の背にまたがり、魚の泳ぐ海の上を駆ける若者。『テラコッタの浮彫板』前450年ごろ・Public Domain (The Met Open Access, CC0)

星占いでおなじみのおひつじ座(牡羊座)の羊は、ただの羊ではない。ローマ時代の星座の本、ヒュギヌスの『天文譜』によれば、命をねらわれた兄妹を背に乗せて空を逃げた、金の毛皮の雄羊である。妹は途中で海に落ちて死に、その海峡は彼女の名からヘレスポントスと呼ばれるようになった。兄はコルキスにたどり着き、羊をゼウスに捧げ、金の毛皮を神殿に掛けた。のちにイアソンとアルゴ船の英雄たちが取りに行く金羊毛が、これである。羊の姿は、兄妹の母が星のあいだに置いたという。星の本はもう一つ別の伝えも書き留めている。羊は自分で金の毛皮を脱いで少年に形見として渡し、自分だけが星になった。だからこの星座は暗く見えるのだ、と。英語の Aries はラテン語で「雄羊」の意味で、星座の名としては古英語の終わりごろから使われている。

ローマ期天文譜ローマ期神話集(ファブラエ)近現代オンライン語源辞典近現代国立天文台 公式サイト

元になった神話

金羊毛空を飛ぶ金色の毛の雄羊の毛皮。継母イノに命を狙われた少年プリクソスを乗せてコルキスまで運んだ羊が生贄にされ、その毛皮がアレスの森の樫の木に掛けられて、眠らない竜に守られた。イアソンとアルゴ船の英雄たちの遠征の目的である。