出典 · ヘレニズム期
物語集(ディエーゲーセイス)
コノン · 前1世紀末〜後1世紀初め · Narrations (Diegeseis)
50話の神話・伝説の要約集。本文は失われ、9世紀のフォティオス『ビブリオテーケー』第186写本の摘要でのみ伝わる。オウィディウスとほぼ同時代。
この出典が語っていること
エコー
- ナルキッソスの物語にエコーを組み込んだのは、現存する資料ではオウィディウスが最初とされる。オウィディウスより前、または同時代のナルキッソス譚(コノン第24話、オクシュリンコス出土のパピルス断片)には、エコーが登場しない。 (詳しくは narcissus の各説を参照)
ミダス
- コノンは、ミダスがピエリアの山でオルペウスに学んだこと、捕らえたシレノスが人の姿に変えられて連れてこられたこと、食べ物まで黄金に変わったことを伝える。さらにミダスは民を率いてヘレスポントスを渡り、ブリゲス人をプリュギア人に変えたとされ、民族の移動の話と結びついている。 (第1話(フォティオス『ビブリオテーケー』第186写本の摘要))
- 関係: student → orpheus (Met. 11.92-93 オルペウスとエウモルポスから秘儀を授けられていた / コノン第1話 ピエリアの山でオルペウスに学んだ)
ナルキッソス
- コノンの形: 舞台はボイオティアのテスピアイ。言い寄る男たちを退け、最も熱心なアメイニアスには剣を送りつける。アメイニアスはその剣で戸口で自害し、神に復讐を祈る。ナルキッソスは泉の自分に恋し、罰を受けたと悟って自害する。流れた血からスイセンが生えたと土地の人は言う。エコーは登場せず、求愛者はすべて男性。 (第24話(フォティオス『ビブリオテーケー』第186写本の摘要))
- エコーとナルキッソスを一つの物語にしたのは、現存する資料ではオウィディウスが最初。それ以前の伝承(コノン、パピルス断片)にはエコーが出てこない。エコーの「他人の言葉の終わりしか繰り返せない」声を、自分の像しか愛せないナルキッソスと対にした構成は、オウィディウスの工夫と考えられている。 (Met. 3.356-401 / コノン第24話 / P.Oxy. 4711(オックスフォード大学オクシュリンコス・パピルス解説記事))