ギリシャ神話が語源の言葉

おおいぬ座・シリウス

ケパロスとプロクリス。ホットフリート・スハルケンの作。
ケパロスとプロクリス。ホットフリート・スハルケンの作。ホットフリート・スハルケン『ケパロスとプロクリス』1680年代・Public Domain (The Met Open Access, CC0)

夜空でいちばん明るい恒星シリウスを持つおおいぬ座の犬は、どんな獲物も逃さない犬だった。ローマ時代のヒュギヌスの『天文譜』によれば、この犬はもともとゼウスがエウロペの番犬に付けたもので、やがてクレタ王ミノスのもとに来た。ミノスの病を治したお礼に、狩りの好きなプロクリスがこの犬を贈られ、彼女の死後は夫のケパロスが連れ歩いた。ところがテーバイには、どんな犬からも逃げおおせる狐がいた。絶対に捕まえる犬と、絶対に捕まらない狐が出会ってしまい、どうしていいか分からなくなったゼウスは、両方を石に変えたという。同じ本は、狩人オリオンの犬だとする説も紹介している。シリウスの名はギリシャ語で「焼き焦がすもの」の意味と言われ、語源辞典によれば、夏の暑さと結びつけられたのは、夜明け前にこの星が昇ってくる時期が真夏にあたったからである。英語で真夏のうだるような時期を dog days(犬の日々)と呼ぶのも、このためだ。こいぬ座の明るい星プロキオンは、ギリシャ語で「犬の前」の意味で、シリウスより少し先に昇ってくることからの名である。

ローマ期天文譜近現代オンライン語源辞典近現代国立天文台 公式サイト

元になった神話

プロクリスアテナイ王エレクテウスの娘で、狩人ケパロスの妻。夫婦は互いの貞節を試し合い、傷つけ合う。彼女が夫に贈った、獲物を逃さない犬は、クレタ王ミノスからもらったものとも、女神アルテミスから授かったものとも言われる。最後は夫の投げた槍に倒れた。