出典 · 古典期(悲劇・歴史)
トラキスの女たち
ソポクレス · 前5世紀中頃(上演年不詳) · Women of Trachis (Trachiniae)
デイアネイラがネッソスの血を「媚薬」と信じてヘラクレスに衣を贈り、夫を死なせてしまう悲劇。上演年は確定していない。
日本語訳: 松平千秋・久保正彰・岡道男編『ギリシア悲劇全集』岩波書店、1990-93 · 原文・参考リンク ↗
この出典が語っていること
デイアネイラ
- エウエノス川で、渡し守をしていたケンタウロスのネッソスがデイアネイラを運ぶ途中で襲いかかり、ヘラクレスに射殺された。ネッソスは死に際に、自分の血を「ヘラクレスの心をつなぎとめる媚薬」として取っておけと告げた。その血には矢に塗られたヒュドラの毒が混じっていた。 (アポロドーロス 2.7.6、ソポクレス『トラキスの女たち』555-577、『変身物語』9.101-133)
- ヘラクレスがオイカリアを落として王女イオレを連れ帰ると知り、デイアネイラは夫の心が移るのを恐れて、ネッソスの血を塗った衣を送った。衣を着て生贄を捧げるうちに毒が体を焼き、肉ごと剥がれた。 (アポロドーロス 2.7.7)
- ソポクレス『トラキスの女たち』では、両刃の剣で脇腹を刺して死ぬ。 (930-931)
- 関係: spouse → herakles (アポロドーロス 2.7.5 河神アケロオスとの組み打ちに勝ったヘラクレスの妻になる)
- 関係: killed_unintentionally → herakles (殺意はなく、媚薬と信じて毒の衣を贈った。アポロドーロス 2.7.7、ソポクレス『トラキスの女たち』555-577、オウィディウス『変身物語』9.101-272)
ヘラクレス
- 関係: spouse → deianira (アポロドーロス 2.7.5 河神アケロオスと組み合って勝ち、妻に迎える)
ヒュドラ
- ヘラクレスはヒュドラの胆汁に矢を浸した。この毒矢でケンタウロスのネッソスが射られ、その血を「媚薬」と信じたデイアネイラの贈った衣が、ヘラクレスを焼き殺す。ヒュドラは死んだあとも最後の敵であり続ける。 (アポロドーロス 2.5.2, 2.7.6-7、ソポクレス『トラキスの女たち』572-577(「レルネのヒュドラが矢を染めた」血))