ギリシャ神話が語源の言葉

シリンジ

注射器

パンとシュリンクス。フランソワ・ブーシェの作。
パンとシュリンクス。フランソワ・ブーシェの作。フランソワ・ブーシェ『パンとシュリンクス』1759年・Public domain

ギリシャ語 syrinx は「牧人の笛、管」で、動詞 syrizein(笛を吹く、口笛を吹く)と同じ語根。その対格 syringa が後期ラテン語に入り、英語 syringe(15世紀初め、液体を吸い込んで押し出す細い管)になった。皮下注射の注射器を指すのは1884年から。鳥の発声器官「鳴管」を syrinx と呼ぶのは1872年から。オウィディウスはこの笛の名を、パンに追われて葦になったニンフ、シュリンクスの名の由来として語る。

近現代オンライン語源辞典ローマ期変身物語

元になった神話

シュリンクスパンの笛(パンパイプ)の名のもとになった、アルカディアのニンフ。牧神パンに追われ、ラドン川のほとりで葦に姿を変えた。パンがその葦に吹き込むと哀しい音が出たので、長さの違う葦を蝋でつないで笛を作り、彼女の名をとってシュリンクスと呼んだ。楽器の名が先にあり、ニンフの話はその由来譚として後から語られたもの。