ギリシャ神話が語源の言葉

プルトクラシー

金権政治

幼いプルトス(富)を腕に抱く平和の女神エイレネ。アテナイのアゴラにあったケピソドトスの奉納像のローマ時代の模刻。
幼いプルトス(富)を腕に抱く平和の女神エイレネ。アテナイのアゴラにあったケピソドトスの奉納像のローマ時代の模刻。作者不詳(ケピソドトスの原作によるローマ時代の模刻)『幼いプルトス(富)を抱くエイレネ(平和)』原作は前370年ごろ・Public domain

お金を持つ者が政治を動かすことを、英語で plutocracy、日本語で金権政治という。平凡社の世界大百科事典によれば、もとは古代ギリシャで「富める者による支配」を指し、賢い者の支配や戦士の支配、貧しい大衆の支配と並べて論じられた政治の形の一つだった。語源辞典によれば、ギリシャ語の「富」ploutos に「支配」を表す -kratia を付けた言葉で、英語では1650年代から使われている。この ploutos は、富の神プルトスの名そのものである。つまり金権政治は、神の名から作られたというより、神と同じ「富」という言葉から作られた言葉である。冥界の王ハデスの別名プルトン(ローマではプルート)も、地下から金属や宝石という富が出ることから、同じ ploutos から来ている。

近現代オンライン語源辞典近現代改訂新版 世界大百科事典

元になった神話

プルトス富の神。名前そのものがギリシャ語で「富」を意味する。ヘシオドスでは、女神デメテルがクレタの三度鋤いた畑で英雄イアシオンと交わって産んだ子で、出会った人を金持ちにする。『デメテル讃歌』では、デメテルとペルセポネが愛する人の家に送り届ける。アリストパネスの喜劇『プルトス』では、ゼウスに目をつぶされた盲目の老人として登場し、アスクレピオスの神殿で目を治される。冥界の王ハデスの別名プルトンとは別の神。