ギリシャ神話が語源の言葉

ノスタルジア

郷愁

帰国した夫アガメムノンが眠るそばで、刃を手にためらう妻。
帰国した夫アガメムノンが眠るそばで、刃を手にためらう妻。ピエール=ナルシス・ゲラン『眠るアガメムノンを討つ前にためらうクリュタイムネストラ』1817年・Public domain

英語 nostalgia は1726年から記録される。もとは1688年にバーゼル大学のヨハネス・ホーファーが、ドイツ語 Heimweh(ホームシック)を言い換えるために作った近代ラテン語の医学用語で、「故郷に帰りたいと病的に願う、病気としての重いホームシック」を指した。ギリシャ語 nostos「帰郷」と algos「痛み、苦しみ」の組み合わせ。トロイアからの帰国を歌う叙事詩『ノストイ(帰国物語)』の nostos と同じ語。「過ぎた時代を懐かしむ気持ち」の意味は1920年までに見られ、フランス語の文学的な用法の影響とみられる。

近現代オンライン語源辞典古拙期帰国物語(ノストイ)

元になった神話

ギリシャ勢の帰国(ノストイ)トロイアを落としたギリシャの将たちが、それぞれ故郷へ帰る(あるいは帰れない)までの話の総称。すぐ帰り着いたネストルやディオメデス、8年さまよったメネラオス、帰国した日に殺されたアガメムノン、海で死んだ小アイアスと、帰り方は将ごとにまったく違う。オデュッセウスの漂流もその一つで、『オデュッセイア』は他の将の帰国を何度も語り比べる。