ギリシャ神話が語源の言葉

ミルラ

没薬

木から生まれた赤ん坊を抱き取る、川のニンフたち。左の木が、姿を変えた母。
木から生まれた赤ん坊を抱き取る、川のニンフたち。左の木が、姿を変えた母。マルカントニオ・フランチェスキーニ『アドニスの誕生』1684年ごろ・Public Domain (The Met Open Access, CC0)

アラビアやエチオピアの植物から出る香り高いゴム状の樹脂で、香や香料に使われた。英語 myrrh は古英語 myrre・古フランス語 mirre からで、ラテン語 myrrha、ギリシャ語 myrrha を経て、アッカド語 murru、ヘブライ語 mor、アラビア語 murr など「苦い」を意味するセム語の語根にさかのぼる。古典的な綴りに戻ったのは16世紀。ギリシャ神話では、父への恋の罰で木に変わったミュラ(スミュルナ)の涙がこの樹脂だとされる。

近現代オンライン語源辞典ローマ期変身物語

元になった神話

ミュラキュプロス王キニュラスの娘。父への禁じられた恋に取りつかれ、乳母の手引きで正体を隠して父と夜をともにした。気づいた父に剣で追われ、身ごもったまま9か月さまよったすえ、神々に祈って没薬(ミルラ)の木に変えられた。木から流れる香り高い樹脂は彼女の涙で、裂けた木の幹から美少年アドニスが生まれた。