出典 · 中世以降
トロイルスとクリセイデ
ジェフリー・チョーサー · 14世紀末(1380年代) · Troilus and Criseyde
中英語の長編韻文物語。ボッカッチョ『フィロストラト』の翻案。英語圏でトロイロス像を決定づけた。
この出典が語っていること
パンダロス
- 中世のトロイア物語では、クリセイデの叔父(ボッカッチョでは従兄弟)として二人の逢瀬を取り持つ人物に変わる。ホメロスの弓兵とはほとんど別人である。 (ボッカッチョ『フィロストラト』ではパンダーロ、チョーサーではパンダルス)
- 英語の pander(男女の仲を取り持つ者、転じて情欲に迎合する)は、この名から生まれた。ただし語源になったのはホメロスの弓兵ではなく、中世のトロイア物語で逢瀬を取り持つ役に変えられたパンダルスのほうで、辞書はボッカッチョからチョーサーへ受け継がれた人物像を典拠に挙げる。名詞は1520年代、動詞は1600年頃から。語源の節も参照。 (etymonline「pander」の項で確認(中英語 Pandare は14世紀末、チョーサーがボッカッチョ『フィロストラト』から取ったもので「物語も名も中世の作り物」。名詞1520年代、動詞1600年頃)。OED / Merriam-Webster の pander の項も同じ系統)
- 関係: companion → troilus (中世の物語では、クリセイデの叔父としてトロイロスの恋を取り持つ役)
トロイロス
- チョーサー『トロイルスとクリセイデ』(1380年代)がボッカッチョを英語に移し、シェイクスピア『トロイラスとクレシダ』(1602年頃)がそれを戯曲化した。英語圏で「Troilus」といえばまずこの恋物語を指す。 (クリセイデの名は、『イリアス』の女たちブリセイスとクリュセイスの名が中世の伝承の中で入れ替わり結びついたものとされる)