ギリシャ神話が語源の言葉

風刺

ニンフたちに引かれていく山羊脚のサテュロス。ブグローの絵。
ニンフたちに引かれていく山羊脚のサテュロス。ブグローの絵。ウィリアム・アドルフ・ブグロー『ニンフとサテュロス』1873年・Public domain

英語の satire(風刺)は、半人半獣の森の精サテュロス(satyr)と綴りも音も似ているが、もとは別の言葉である。語源辞典によれば、ラテン語の satura がもとで、「いろいろな果物を盛った皿」、字義どおりには「満ち足りた皿」を指した。ローマの詩人がさまざまな韻律と話題の詩を集めたものをこう呼んだのが、文学の意味の始まりである。ところがラテン語の中で、この言葉は綴りを変えていった。風刺詩はギリシャの「サテュロス劇」と関係があるという誤った思い込みから、サテュロスに引きずられた形になったのだという。別の言葉だったのに、似ているせいで本当に似せられてしまった例である。英語では1500年ごろから見える。

近現代オンライン語源辞典

名前が似ている神話

サテュロス酒の神ディオニュソスに従う、野山の男たちの一族。古いギリシャの美術では馬の耳と尾を持つ人の姿で描かれ、年を取った者はシレノスと呼ばれた。ヘシオドスの断片は「役立たずで働かない一族」と呼ぶ。エウリピデスの『キュクロプス』は、彼らを合唱隊にした劇「サテュロス劇」の唯一完全に残る作品である。