ギリシャ神話が語源の言葉

フェニックス

燃える炎の中に身を置く不死鳥。中世の写本の挿絵。
燃える炎の中に身を置く不死鳥。中世の写本の挿絵。作者不詳(写本の挿絵)『不死鳥』・Public domain

英語の phoenix(フェニックス)は、古英語の時代から見える古い言葉で、ラテン語・ギリシャ語の phoinix にさかのぼる。9世紀ごろの古英語の詩にも、美しい羽の鳥「フェニックス」が登場する。何百年も生きたあと香料の薪に自ら火をつけて焼け、灰の中から若返ってよみがえる鳥、という姿から、1590年代には「滅んだものの灰の中からよみがえるもの」のたとえになった。アメリカ・アリゾナ州の都市フェニックスも、1867年に古い先住民の集落の跡に築かれたことからこの名が付いたという。夜空のほうおう座(英語名 Phoenix)は、南半球の探検が始まった1610年代に、フランドルの地図製作者が付け加えた星座である。なお、似た音の「フェニキア」とは関係がないらしい。

近現代オンライン語源辞典

元になった神話

フェニックス500年に一度エジプトの太陽の町に現れるという霊鳥。ヘロドトスでは父の亡骸を没薬の卵に納めて運ぶ鳥で、火は出てこない。父の体から次の鳥が生まれる話(オウィディウス)、骨から虫がわく話(プリニウス)を経て、みずから炎に焼かれて灰からよみがえる姿がはっきり描かれるのは4世紀末のクラウディアヌスから。